(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断情報は、検査を実施するために施設に要求される要件を満足するか否かを決定するための施設要件判断情報と患者に要求される要件を満足するか否かを決定するための患者要件判断情報との少なくとも一方の実施要件判断情報を含み、
前記次回ステージ決定部は、前記現在検査の検査ステージに対応付けられた検査候補のうちの前記実施要件判断情報に適合する実施要件を有する検査候補のステージを、前記次回検査の検査ステージを決定する、
請求項1記載の診断治療支援装置。
前記複数の検査ステージの中から前記現在検査の検査ステージを、予め定められたルールに従って決定する現在ステージ決定部、をさらに備える請求項3記載の診断治療支援装置。
前記表示部は、前記対象ファイルに含まれる前記次回検査の検査ステージと前記現在検査の検査ステージとを視覚的に強調して前記対象ファイルを表示する、請求項12記載の診断治療支援装置。
前記ファイルは、前記複数の検査ステージのうちの第1の検査ステージと前記第1の検査ステージの後続の第2の検査ステージとについて、前記第1の検査ステージに対応する検査から前記第2の検査ステージに対応する検査までの標準的な実施期限を前記第1の検査ステージ又は前記第2の検査ステージに関連付け、
前記表示部は、前記第1の検査ステージを前記現在検査の検査ステージとして表示し、前記第2の検査ステージを前記次回検査の検査ステージとして表示する場合において、前記実施期限に基づく期限日を過ぎている場合、前記期限日を過ぎている旨を表示する、
請求項10記載の診断治療支援装置。
前記表示部は、前記次回検査の検査ステージがユーザにより選択された場合、前記次回検査を依頼するための表示ウィンドウを表示する、請求項9記載の診断治療支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる診断治療支援装置及び診断治療支援システムを説明する。
【0010】
本実施形態に係る診断治療支援装置は、診断治療支援システムに含まれるコンピュータ装置である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る診断治療支援装置1を含む診断治療支援システム100の構成を示す図である。
図1に示すように、診断治療支援システム100は、互いにネットワークを介して接続された診断治療支援装置1、電子カルテシステム200、及び医用レポートシステム300を有する。診断治療支援システム100に含まれる各装置間の画像通信としては、医用画像の標準規格であるDICOM規格などの既成のどのような規格が利用されてもよい。なお、情報通信としては、典型的には、業界標準規格のTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)通信が採用される。情報は、ネットワークを介してパケット単位(転送する情報の基本単位)で送受信される。なお、診断治療支援システム100には、医用画像撮影装置や医用画像保管装置等の他の装置が含まれていても良い。
【0012】
電子カルテシステム200は、医師による入力機器を介した指示に従って電子カルテを作成し、保管し、閲覧するためのシステムである。電子カルテは、診察や検査が行われると医師等の医療従事者により作成される。電子カルテシステム200は、複数のコンピュータから構成されるシステムであっても良いし、単一のコンピュータから構成されるシステムであっても良い。電子カルテは、ネットワークを介して診断治療支援装置1に供給される。
【0013】
医用レポートシステム300は、医師による入力機器を介した指示に従って医用レポートを作成し、保管し、閲覧するためのシステムである。医用レポートは、医用画像の読影が行われると医師等の医療従事者により作成される。医用レポートシステム300は、複数のコンピュータから構成されるシステムであっても良いし、単一のコンピュータから構成されるシステムであっても良い。医用レポートは、ネットワークを介して診断治療支援装置1に供給される。
【0014】
診断治療支援装置1は、診断や治療、検査等を支援するためのコンピュータ装置である。診断治療支援装置1は、後述する診断樹を用いて患者の現在検査の検査ステージや次回検査の検査ステージを決定し、医師や看護師等の医療従事者に提供する。診断樹は、ある病変に対する診断の標準的な検査の流れを示すガイドラインに基づいて生成される。
【0015】
図2A及び
図2Bは、安定狭心症の診断のガイドライン(山科章ほか,2009,「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン」、Circulation Journal Vol.73,Suppl. III.)を示す図である。
図2Aは患者が運動可能な場合のガイドラインであり、
図2Bは患者が運動不能な場合のガイドラインである。
図2A及び
図2Bに示すように、各病変にはガイドラインが定められている。本実施形態に係る診断治療支援装置1は、このガイドラインに基づいて予め生成された診断樹を利用して現在検査の検査ステージや次回検査の検査ステージを決定する。
【0016】
図3は、診断治療支援装置1の構成を示す図である。
図3に示すように、診断治療支援装置1は、制御部11を中枢として、記憶部13、読み書き部15、情報処理部17、通信部19、操作部21、及び表示部23を有する。
【0017】
記憶部13は、半導体記憶装置やHDD(hard disk drive)等の記憶装置である。記憶部13は、種々の情報を記憶している。例えば、記憶部13は、診断樹記憶部13A、病変情報記憶部13B、施設要件判断情報記憶部13C、及び患者要件判断情報記憶部13Dを有している。
【0018】
診断樹記憶部13Aは、病変毎に診断樹に関する情報を記憶する。診断樹は基本的には病変と1対1対応するが、一病変に複数種類の診断樹が確立されている場合や、複数の病変で共通する単一の診断樹を用いる場合などは多対多対応しても良い。病変の識別子と診断樹の識別子とは、データベースやテーブル等の既知の形態にて関連付けられていても良いし、XML(extensible markup language)やHTML(hypertext markup language)等の記述言語により関連付けられていても良い。以下、病変の識別子と診断樹の識別子とはデータベースにより関連付けられているとする。当該データベースを病変−診断樹DBと呼ぶことにする。病変の識別子としては、例えば、病変名やIDが用いられる。診断樹の識別子としては、例えば、診断樹名やIDが用いられる。以下、病変−診断樹DBにおける病変の識別子は病変IDであるとし、診断樹の識別子は診断樹IDであるとする。なお、病変−診断樹DBは、病変ID及び診断樹IDだけでなく、他の情報を関連付けていても良い。
【0019】
図4は、病変−診断樹DBを示す図である。
図4に示すように、複数の病変IDと複数の診断樹IDとが病変−診断樹DBにおいて関連付けられている。例えば、病変ID「1」は安定狭心症に対応し、診断樹ID「1」の診断樹、すなわち、安定狭心症についての診断樹に関連付けられている。また、病変ID「101」は、肺癌に対応し、診断樹ID「101」の診断樹、すなわち、肺癌の診断樹に関する診断樹と、診断樹ID「102」、すなわち、肺癌の他の診断樹に関する診断樹と付けられている。
【0020】
診断樹は、標準的な遷移順序と実施要件とに従って選択的に対応付けられた複数の検査ステージにより構成されたファイルである。検査ステージは、当該病変の診断や治療のために行われる一連の検査における一検査段階を示す。検査ステージの系列は、一本道ではない。一の検査の次には複数の検査の候補が存在し、各候補には実施要件が定められている。当該一の検査が実施された後は、複数の候補のうちの実施要件を満たす候補が次の検査として決定される。一の検査ステージには、複数の検査ステージが実施要件と共に関連付けられている。また、一の検査には前段階の検査が行われてから当該一の検査を実施するまでの標準的な実施期限が定められている。各検査ステージには、標準的な実施期限が関連付けられている。
【0021】
図5は、安定狭心症についての診断樹の典型例を図式的に表現した図である。
図5に示すように、安定狭心症についての診断樹には、複数の検査ステージが規定されている。各検査ステージには識別子が関連付けられている。検査ステージのための識別子としてはステージIDが採用される。例えば、ステージID「5」の検査ステージは「負荷SPECT」である。各検査ステージには実施要件が関連付けられており、各検査ステージには後続の複数の検査ステージが関連付けられている。例えば、ステージID「5」の検査ステージには、ステージID「6」の検査ステージ「経過観察」、ステージID「7」の検査ステージ「冠動脈造影」、ステージID「8」の検査ステージ「冠動脈CT」に関連付けられている。ステージID「6」の検査ステージ「経過観察」には実施要件「検査結果が正常」が関連付けられ、ステージID「7」の検査ステージ「冠動脈造影」には実施要件「検査結果が正常でない」と「検査結果が軽度灌流異常または検査結果が判定困難でない」とが関連付けられ、ステージID「8」の検査ステージ「冠動脈CT」には実施要件「検査結果が正常でない」と「検査結果が軽度灌流異常または検査結果が判定困難である」とが関連付けられている。また、各検査ステージには、
図5において[・]で示されているように、実施期限が関連付けられている。例えば、ステージID「9」の検査ステージに対応する検査は、負荷SPECTから2週間以内に行われることが推奨されている。従ってステージID「8」の検査ステージには実施期限「2週間以内」が関連付けられている。
【0022】
診断樹は、
図4に示すような図式的な形式で記憶されていても良いが、データベースやテーブル等の既知の形態にて関連付けられていても良いし、XMLやHTML等の記述言語により関連付けられていても良い。例えば、診断樹は、検査ステージデータベース(以下、検査ステージDBと呼ぶ)と、ステージ間データベース(以下、ステージ間DBと呼ぶ)とに分別して記憶される。
【0023】
図6は、検査ステージDBの一例を示す図である。
図6に示すように、検査ステージDBは、複数の検査ステージの各々について、互いに関連付けられたステージID、内容、検査ID、及び治療ID等の項目を有している。ステージIDは、当該検査ステージの識別子を示す。内容は、当該検査ステージの内容を示す。検査IDは、当該検査ステージに紐付けられた既存の検査内容の識別子である。治療IDは、当該検査ステージに紐付けられた既存の治療内容の識別子である。例えば、ステージID:1の検査ステージの内容は「CADの検査前確率の推定」であり、ステージID:1の既存の検査内容の識別子と既存の治療内容の識別子とは「NULL」である。なお「NULL」は「値無し」を意味するコードである。
【0024】
図7は、ステージ間DBの一例を示す図である。
図7に示すように、ステージ間DBは、複数の検査ステージの各々について、互いに関連付けられた診断樹ID,ステージID,始点フラグ、次回検査ステージ、次回検査の実施要件、及び次回検査までの期間等の項目を有している。診断樹IDは、当該検査ステージが属する診断樹の識別子である。ステージIDは、当該検査ステージの識別子である。始点フラグは、当該検査ステージが診断樹における最初の検査ステージであるか否かを示す。具体的には、始点フラグの値が「1」の場合、当該検査ステージが最初の検査ステージであることを示し、始点フラグの値が「0」の場合、当該検査ステージが最初の検査ステージでないことを示す。次回検査ステージIDは、当該検査ステージに対する次回検査の検査ステージの識別子である。次回検査の実施要件は、当該次回検査を実施するための条件である。
図7に示す、$で囲まれた情報は実施要件情報を示し、ダブルクォーテーションで囲まれた情報は、実施要件判断情報を示す。実施要件情報は、電子カルテや医用レポートの所見項目やImpression項目に記載の文字列情報、あるいは、施設要件又は患者要件を示す。また、実施要件判断情報は、電子カルテや医用レポートの所見項目やImpression項目などに記載の文字列情報、あるいは、施設要件判断情報又は患者要件判断情報を示す。次回検査までの期間は、当該検査ステージに対応する検査の実行日から次回検査の実施期限までの推奨期間を示す。推奨期間は、予め定めた年、月、又は日などの単位で表現しても良いし、Y(Year)、M(Month)、D(Day)など単位を併せて記載しても良い。
【0025】
病変情報記憶部13Bは、患者の病変毎に生成される病変情報を記憶する。病変情報は、患者の病変を管理するための情報である。病変情報は、レコード形式で管理される。以下、病変情報のレコードを病変レコードと呼ぶことにする。病変レコード内の種々の情報は、データベース等の形態にて関連付けられても良いし、XMLやHTML等の記述言語により関連付けられても良い。以下、病変レコード内の種々の情報はデータベースにより関連付けられているとする。当該データベースを病変情報DBと呼ぶことにする。
【0026】
図8は、病変情報DBの一例を示す図である。
図8に示すように、病変情報DBは、複数の病変に関する複数の病変レコードを保持している。各病変レコードは、患者ID、病変情報ID、診断樹ID、現在検査ステージID、次回検査ステージID、及び実施期限等の項目を有している。患者IDは、患者の識別子である。現在検査ステージIDは、現在検査の検査ステージのステージIDである。現在検査とは、直近に実施された検査である。現在検査の検査ステージは、現在ステージ決定部17Cにより決定される。次回検査ステージIDは、次回検査の検査ステージのステージIDである。次回検査とは、次回に実施する予定の検査である。次回検査の検査ステージは、次回ステージ決定部17Dにより決定される。現在検査と次回検査とは、病変毎に設定される。実施期限は、現在検査から次回検査までの実施期限を表している。次回検査が未定の場合や実施期限が未定の場合、実施期限の値はNULLに設定されると良い。例えば、患者ID「1」且つ病変ID「1」の病変レコードにおいては、診断樹IDが「1」であり、当該検査ステージのステージIDが「2」であり、次回検査ステージのIDが「12」であり、実施期限が「2012/12/15」である。
【0027】
施設要件判断情報記憶部13Cは、患者の検査を行う検査施設に関する施設要件判断情報を施設要件に関連付けられて記憶する。施設要件判断情報は、検査施設毎に管理される。施設要件と施設要件判断情報とは、テーブルやデータベース等の形態にて関連付けられても良いし、XMLやHTML等の記述言語により関連付けられても良い。以下、施設要件と施設要件判断情報とはデータベースにより関連付けられているとする。当該データベースを施設情報DBと呼ぶことにする。
【0028】
図9は、施設要件判断情報DBの一例を示す図である。
図9に示すように、施設要件判断情報DBは、施設要件IDや施設要件判断情報等の項目を有している。施設要件IDは、施設要件の識別子である。すなわち、施設要件IDは、施設要件の内容に対応する。施設要件判断情報は、当該施設要件を満たすか否かを判断するための情報である。施設要件を満たす場合、施設要件判断情報の値は「1」に設定され、施設要件を満たさない場合、施設要件判断情報の値は「0」に設定されると良い。例えば、施設要件ID「1」において施設要件は「64列MDCT以上のCTの有無」であり、施設要件判断情報は「1(ある)」である。また、施設要件ID「2」において施設要件は「被曝線量の低減プロトコールに取り組んでいるか否か」であり、施設要件判断情報は「1(取り組んでいる)」である。
【0029】
患者要件判断情報記憶部13Dは、各患者についての患者要件判断情報を患者要件に関連付けて記憶する。患者要件判断情報は、患者毎に管理される。患者要件と患者要件判断情報とは、テーブルやデータベース等の形態にて関連付けられても良いし、XMLやHTML等の記述言語により関連付けられても良い。以下、患者要件と患者要件判断情報とはデータベースにより関連付けられているとする。当該データベースを患者要件判断情報DBと呼ぶことにする。
【0030】
図10は、患者要件判断情報DBの一例を示す図である。
図10に示すように、患者要件判断情報DBは、患者IDや患者要件ID、患者要件判断情報等の項目を有している。患者IDは、患者の識別子である。患者要件IDは、患者要件の識別子である。すなわち、患者要件IDは、患者要件の内容に対応する。患者要件判断情報は、当該患者要件を満たすか否かを判断するための情報である。患者要件を満たす場合、患者要件判断情報の値は「1」に設定され、患者要件を満たさない場合、患者要件判断情報の値は「0」に設定されると良い。また、患者要件が対象検査項目の数値を求めている場合、患者要件判断情報として、対象検査項目の数値が設定されても良い。例えば、患者要件ID「1」の患者要件は「血清クレアチン」であり、患者要件判断情報は「2.8mg/dL」である。また、患者要件ID「2」の患者要件は「造影剤アレルギーの有無」であり、患者要件判断情報は「1(ある)」であり、患者要件ID「3」の患者要件は「喘息の有無」であり、患者要件判断情報は「0(ない)」である。
【0031】
読み書き部15は、記憶部13に記憶されている種々の情報を読み出し、読み出した情報を制御部11に供給する。また、読み書き部15は、記憶部13に記憶されている種々の情報を更新したり、新たな情報を書き込んだりする。
【0032】
情報処理部17は、制御部11からの指示に従って情報処理を実行する。具体的には、情報処理部17は、文字列抽出部17A、診断樹決定部17B、現在ステージ決定部17C、及び次回ステージ決定部17Dを有している。文字列抽出部17Aは、電子カルテや医用レポートに記載されている複数の文字の中から特定の文字列を抽出する。診断樹決定部17Bは、診断樹記憶部13Aに記憶されている診断樹のうちの、処理対象の診断樹を特定する。現在ステージ決定部17Cは、処理対象の診断樹における複数の検査ステージの中から現在検査の検査ステージを決定する。次回ステージ決定部17Dは、処理対象の診断樹における複数の検査ステージの中から次回検査の検査ステージを決定する。
【0033】
通信部19は、診断治療支援システム100に含まれる電子カルテシステム200や医用レポートシステム300とネットワークを介して通信する。例えば、通信部19は、電子カルテシステム200から電子カルテを受信したり、医用レポート作成装置300から医用レポートを受信したりする。受信された電子カルテや医用レポートは、制御部11に供給される。なお、通信部19による通信相手は電子カルテシステム200や医用レポートシステム300のみに限定されず、図示しない他の装置と通信しても良い。
【0034】
操作部21は、入力機器を介したユーザからの各種指示を受け付ける。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0035】
表示部23は、次回検査の検査ステージ等を所定のレイアウトで表示機器に表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。
【0036】
制御部11は、診断治療支援装置1の中枢として機能する。制御部11は、次回検査の検査ステージの決定のための情報処理プログラムをメモリに記憶している。制御部11は、次回検査の検査ステージの決定処理の開始指示を受けて当該情報処理プログラムを読み出し、読み出された情報処理プログラムに従って各部を制御し、本実施形態に係る診断治療支援処理を実行させる。
【0037】
以下、制御部11の制御のもとに行われる診断治療支援処理について詳細に説明する。
図11は、制御部の制御のもとに行われる診断治療支援処理の典型的な流れを示す図である。診断治療支援処理は、ある病変についての現在検査が終了し、電子カルテや医用レポートの作成が終了した後に実行される。診断治療支援処理は、例えば、医療従事者や患者等のユーザにより操作部21を介して開始指示が入力されることを契機として制御部11により開始される。ユーザは、任意のタイミングで開始指示を入力すると良い。例えば、ユーザは、診断治療支援処理の処理対象となる患者の電子カルテや医用レポートが通信部19により受信されたことを契機として開始指示を入力すると良い。また、診断治療支援処理は、電子カルテや医用レポートが通信部19により受信されたことを契機として自動的に開始されても良い。
【0038】
図11に示すように、診断治療支援処理において制御部11は、まず、文字列抽出部17Aに抽出処理を行わせる(ステップS1)。ステップS1において文字列抽出部17Aは、病変名を表す文字列(以下、病変名文字列よ呼ぶ)を、処理対象患者に関する電子カルテや医用レポートから抽出する。例えば、文字列抽出部17Aは、電子カルテに記載されている文字列から検査対象の病変の病変名文字列を抽出する。あるいは、文字列抽出部17Aは、医用レポート内の所見項目に記載されている文字列またはImpression項目に記載されている文字列から病変名文字列を抽出する。文字列抽出部17Aは、既定の抽出ルールに従い病変名文字列を抽出する。具体的には、文字列抽出部17Aは、病変名文字列の周辺にある文字列の記載に応じて当該病変名文字列を抽出するか否かを判定する。なお、文字列抽出部17Aは、電子カルテと医用レポートとの両方から、病変名を表す文字列を抽出しても良い。
【0039】
図12は、病変名文字列の抽出方法を説明するための図であり、医用レポートの記載内容を項目別に表形式で表した図である。
図12に示すように、医用レポートには、検査部位、モダリティ、所見、Impression、病床病名、及び検査目的等の項目が設けられている。ここで、所見項目に「**に安定狭心症の疑いが見られる。**」という記載があるとする。この場合、文字列抽出部17Aは、まず、所見項目から「安定狭心症」という文字列を病変名文字列として特定する。病変名文字列は、既存の特定方法が用いられれば良い。例えば、文字列抽出部17Aは、予め複数の病変名が登録されたテーブル等を参照して病変名文字列を特定しても良いし、「症」という文字に前方に語彙的に連結する文字列を病変名文字列として特定しても良い。次に文字列抽出部17Aは、特定された病変名文字列の周辺にある文字列に応じて当該病変名文字列を抽出するか否かを判定する。例えば、文字列抽出部17Aは、病変名文字列の周辺にある文字列を探索し、予め設定されている抽出対象に対応するキーワードを特定する。抽出対象に対応するキーワードとしては、例えば、「疑いは見られる」や「疑いはある」等である。
図12に示すように、抽出対象に対応するキーワードが当該病変名文字列の周辺にある場合、文字列抽出部17Aは、当該病変名文字列を抽出する。また、文字列抽出部17Aは、病変名文字列の周辺にある文字列を探索し、予め設定されている非抽出対象に対応するキーワードを特定しても良い。非抽出対象に対応するキーワードとしては、例えば、「疑いが見られない」や「疑いがない」等である。
図13に示すように、非抽出対象に対応するキーワードが当該病変名文字列の周辺にある場合、文字列抽出部17Aは、当該病変名文字列を抽出しない。抽出対象の文字列と非抽出対象の文字列とは、ユーザにより操作部21等を介して任意に設定可能である。
【0040】
ステップS1が行われると制御部11は、診断樹決定部17Bに決定処理を行わせる(ステップS2)。ステップS2において診断樹決定部17Bは、ステップS1において抽出された病変名文字列に適合する診断樹を決定する。ステップS2においては、まず、読み書き部15により病変−診断樹DBが診断樹記憶部13Aから読み出され、情報処理部17に供給される。診断樹決定部17Bは、病変名文字列に対応する病変IDをキーワードとして病変−診断樹DBを検索し、当該キーワードに関連付けられた診断樹IDを特定する。その後、読み書き部15は、特定された診断樹IDに対応する診断樹を診断樹記憶部から読み出し、情報処理部17に供給する。このようにして診断樹決定部17Bは、ステップS1において抽出された病変名文字列が表す病変名に対応する診断樹を決定する。以下、決定された診断樹を対象診断樹と呼ぶことにする。
【0041】
ステップS2が行われると制御部11は、現在ステージ決定部17Cに決定処理を行わせる(ステップS3)。ステップS3において現在ステージ決定部17Cは、ステップS2において決定された対象診断樹における現在検査の検査ステージを決定する。具体的には、現在ステージ決定部17Cは、対象診断樹に含まれる複数の検査ステージの中から、予め定められたルール(以下、今回ステージ決定ルールと呼ぶ)に従って現在検査の検査ステージを決定する。今回ステージ決定ルールは、検査対象の病変が新規であるか既存であるかに応じて分けられる。なお、新規の病変とは、ある病変についての現在検査において当該患者から新たに見つかった病変を意味し、既存の病変とは、当該患者の過去の検査において既に検査対象となっている他の病変を意味する。以下、現在検査の検査ステージの決定方法は、検査対象の病変が新規の病変である場合と既存の病変である場合とに分けて説明する。
【0042】
(新規の病変の場合) 新規の病変に対応する病変レコードは、ステップS2の開始時点において病変情報記憶部13Bに記憶されていることは基本的に無い。新規の病変に関する今回ステージ決定ルールは、例えば、「病変レコードに処理対象の病変(以下、対象病変と呼ぶ)に関する病変レコードが存在しない場合、対象診断樹の最初の検査ステージを現在検査の検査ステージとする」、のように規定される。すなわち、現在ステージ決定部17Cは、まず、病変情報記憶部13Bに対象病変に関する病変レコードが存在するか否かを判定する。対象病変に関する病変レコードが存在しないと判定した場合、現在ステージ決定部17Cは、対象診断樹の最初の検査ステージを現在検査の検査ステージとして決定する。
【0043】
新規の病変の場合であっても、過去に同一の病変の検査を実施している場合や他の病変の検査の過程で新規の病変が発見される場合がある。この場合、対象診断樹における途中の検査ステージが現在検査の検査ステージに対応することとなる。例えば、
図5の診断樹において、過去に冠動脈造影が実施されており今回の検査が負荷SPECTだった場合、現在検査の検査ステージは、ステージID「5」の検査ステージ「負荷SPECT」ではなく、ステージID「15」の検査ステージ「負荷SPECT」であると決定される。対象診断樹において一つの検査ステージに複数の検査ステージの候補が後続している場合、ユーザにより操作部21を介して指定された一つの候補が現在検査の検査ステージに決定されると良い。
【0044】
(既存の病変の場合) 既存の病変に対応する病変レコードは、ステップS2の開始時点において既に病変情報記憶部13Bに記憶されている。ステップS2の開始時点において記憶されている病変レコードの現在検査ステージIDは、実際には前回検査の検査ステージのステージIDであり、次回検査ステージIDは、実際には現在検査の検査ステージのステージIDである。既存の病変に関する今回ステージ決定ルールは、例えば、「病変レコードに対象病変に関する病変レコードが存在する場合、当該病変レコードの次回検査ステージIDに対応する検査ステージを、現在検査の検査ステージとして決定する」、のように規定される。すなわち、現在ステージ決定部17Cは、まず、病変情報記憶部13Bに対象病変に関する病変レコードが存在するか否かを判定する。対象病変に関する病変レコードが存在すると判定した場合、現在ステージ決定部17Cは、当該病変レコードの次回検査ステージID項目に規定されている検査ステージを、現在検査の検査ステージに決定する。例えば、
図5の安定狭心症の診断樹を例に挙げると、前回検査終了時での現在検査の検査ステージがステージID「5」の「負荷SPECT」であり、前回検査終了時での次回検査の検査ステージがステージID「8」の「冠動脈CT」である場合、ステージID「8」の「冠動脈CT」が現在検査終了時での現在検査の検査ステージに決定される。
【0045】
上記の方法により、現在検査の検査ステージが決定できない場合、現在ステージ決定部17Cは、電子カルテや医用レポートに記載された文字列と前回検査終了時の次回検査の検査ステージとに基づいて、現在検査終了時の現在検査の検査ステージを決定しても良い。例えば、前回検査において負荷SPECTが行われ、前回検査の医用レポートのImpression項目に検査結果が判定困難である旨の記載がある場合、現在ステージ決定部17Cは、
図5に示すように、ステージID「8」の検査ステージ「冠動脈CT」を現在検査の検査ステージに決定する。
【0046】
また、Impression項目以外にも検査部位項目とモダリティ項目とに記載された文字列を利用して今回ステージを決定しても良い。
図14は、検査部位項目とモダリティ項目とに記載された文字列から現在検査の検査ステージを決定する処理を説明するための図であり、医用レポートの記載内容を項目別に表形式で表した図である。
図14に示すように、医用レポートの検査部位項目には「心臓」が記載され、モダリティ項目には「CT」が記載されているとする。また、前回検査終了時での次回検査の検査ステージがID「9」の検査ステージ「冠動脈CT」であるとする。現在ステージ決定部17Cは、検査部位項目の記載「心臓」とモダリティ項目の記載「CT」との組合せを、検査ステージ「冠動脈CT」に対して比較し、一致しているか否かを判定する。一致していると判定した場合、現在ステージ決定部17Cは、前回検査終了時での次回検査の検査ステージがID「9」の検査ステージ「冠動脈CT」を、現在検査終了時での現在検査の検査ステージに決定する。
【0047】
ステップS3が行われると制御部11は、次回ステージ決定部17Dに決定処理を行わせる(ステップS4)。ステップS4において次回ステージ決定部17Dは、対象診断樹における次回検査の検査ステージを決定する。次回ステージ決定部17Dは、現在検査の検査ステージに後続する次回検査の検査ステージの候補を特定する。具体的には、まず読み書き部15は、診断樹記憶部13Aからステージ間DBや対象診断樹を読み出し、次回ステージ決定部17Dに供給する。次回ステージ決定部17Dは、ステージ間DBや対象診断樹を探索し、現在検査の検査ステージに後続する次回検査の検査ステージの候補を特定する。候補が特定されると次回ステージ決定部17Dは、ステージ間DBや対象診断樹を探索して、当該候補各々について実施要件を特定する。実施要件が特定されると次回ステージ決定部17Dは、特定された実施要件に対する実施要件判断情報を抽出する。そして次回ステージ決定部17Dは、実施要件判断情報に合致する候補を次回検査の検査ステージに決定する。
【0048】
以下、次回検査の検査ステージの決定処理を、
図5に示す安定狭心症の診断樹を具体例に挙げて説明する。例えば、現在検査の検査ステージ項目ID「8」の検査ステージ「冠状動脈CT」であるとする。この場合、次回検査の検査ステージの候補として、検査ステージ項目ID「9」の検査ステージ「経過観察」、検査ステージ項目ID「10」の検査ステージ「冠動脈造影」、及び検査ステージ項目ID「11」の検査ステージ「内科的治療経過観察」が挙げられる。次回ステージ決定部17Dは、3つの候補各々について、診断樹あるいはステージ間DBを参照して実施要件を特定する。例えば、検査ステージ項目ID「9」の検査ステージ「経過観察」の実施要件は「検査結果が正常」であり、検査ステージ項目ID「10」の検査ステージ「冠動脈造影」の実施要件は「検査結果が異常」であり、検査ステージ項目ID「11」の検査ステージ「内科的治療経過観察」の実施要件は「検査結果が正常でも異常でもない」である。次回ステージ決定部17Dは、各実施要件に対する実施要件判断情報を特定する。検査結果に関する実施要件に対する実施要件判断情報は、電子カルテや医用レポートの所見項目やImpression項目の記載から特定可能である。
【0049】
図15は、実施要件判断情報の特定処理を説明するための図であり、医用レポートの記載内容を項目別に表形式で表した図である。
図15に示すように、所見項目に検査結果を示す文字列「**に異常が見られた。」の記載があるとする。この場合、文字列抽出部17Aは、「異常が見られた」の文字列を、実施要件判断情報として特定する。次回ステージ決定部17Dは、実施要件判断情報に適合する実施要件を要求する候補を、次回検査の検査ステージに決定する。例えば、実施要件判断情報「異常が見られた」は実施要件「検査結果が異常」に適合する。従ってこの場合、次回ステージ決定部17Dは、ステージID「10」の検査ステージ「冠動脈造影」を次回検査の検査ステージに決定する。
【0050】
実施要件には、検査結果に関する要件の他に施設要件や患者要件が含まれている場合がある。施設要件に対する実施要件判断情報は施設要件判断情報記憶部13Cから特定され、患者要件に対する実施要件判断情報は患者要件判断情報記憶部13Dから特定可能である。例えば、
図5のステージID「5」の検査ステージ「負荷SPECT」は、実施要件として「冠動脈CT優先実施のための条件を満たしていない」が要求され、ステージID「12」の検査ステージ「冠動脈造影」は、実施要件として「冠動脈CT優先実施のための条件を満たしている」が要求されている。冠動脈CT優先実施のための条件とは、下記の施設要件と患者要件を意味する。
【0051】
施設要件:1.十分な経験を有している。2.64列MDCT以上の機種を有している。3.鮮明な画像のもとに適切なレポーティングシステムが稼動している。4.冠動脈造影との比較によりCT特性が評価されている。5.被曝線量の低減プロトコールに取り組んでいる。
【0052】
患者要件:1.50歳未満の女性では被曝に注意すること。2.著しい冠動脈石灰化が予想される患者でないこと(例えば、透析患者や高齢者など)。3.血清クレアチニンが2.0mg/dL以上でないこと。4.eGRが60mL/min/1.73m
2以下でないこと。5.糖尿病患者の場合、微量アルブミン尿を含む腎症を認めないこと。6.造影剤アレルギーがないこと。7.喘息がないこと。
【0053】
次回ステージ決定部17Dは、施設要件判断情報DBを検索して検査ステージの候補に関連付けられている施設要件に対する施設要件判断情報を特定する。同様に、次回ステージ決定部17Dは、患者要件判断情報DBを検索して候補の検査ステージに関連付けられている患者要件に対する患者要件判断情報を特定する。次回ステージ決定部17Dは、特定された施設要件判断情報と患者要件判断情報との両方に適合する実施要件に関連付けられた検査ステージを、次回検査の検査ステージに決定する。
【0054】
このように次回ステージ決定部17Dは、検査ステージの候補に関連付けられている実施要件の種類に応じた実施要件判断情報を電子カルテ、医用レポート、施設要件判断情報DB、及び患者要件判断情報DBから特定し、特定された実施要件判断情報に合致する実施要件に関連付けられた検査ステージを次回検査の検査ステージに決定する。
【0055】
ステップS3において決定された現在検査の検査ステージとステップS4において決定された次回検査の検査ステージとは、読み書き部15により対象患者及び対象病変に関する病変レコードに書き込まれる。
【0056】
ステップS4が行われると制御部11は、表示部23に表示処理を行わせる(ステップS5)。ステップS5において表示部23は、現在検査の検査ステージと次回検査の検査ステージとを所定のレイアウトで表示機器に表示する。
【0057】
図16は、年齢「**」の患者名「A」に関する現在検査の検査ステージと次回検査の検査ステージとの表示例を示す図である。
図16に示すように、表示部23は、現在検査の検査ステージと次回検査の検査ステージとを表形式のレイアウトで表示する。以下、この表形式の画像をテーブル画像ITと呼ぶことにする。テーブル画像IT1は、横軸が検査日、縦軸が病変の種類に規定された表を示している。なお次回検査は、検査日が確定されていないので、次回検査の日付ではなく、「次回検査」と表示されている。表の各セルには、検査ステージが表示される。検査ステージは、単に検査ステージの内容に関する文字列として表示されても良いし、
図16に示すように、検査ステージの内容に関する文字列を含むマークSTnとして表示されても良い。現在検査と次回検査との区別を容易に行うため、現在検査の検査ステージに関するマークST1と次回検査の検査ステージに関するマークST2とを視覚的に区別して表示すると良い。例えば、
図16においては、「2012/05/01」に病変「肺癌」についての現在検査が行われ、病変「安定狭心症」について「2012/04/01」に現在検査が行われ、「安定狭心症」についての現在検査の検査ステージが「冠動脈CT」であり、「肺癌」についての現在検査の検査ステージが「CT」であり、「安定狭心症」についての次回検査の検査ステージが「冠動脈造影」であり、「肺癌」についての次回検査の検査ステージが「CT」である例が示されている。
【0058】
テーブル画像IT1の各セルには、当該セルに対応する検査に関する種々の情報を表示しても良い。例えば、
図16に示すように、各セルには、当該検査において発生された医用画像のサムネイル画像Isや、「異常」等の検査結果が示されている。表示対象のサムネイル画像は、如何なる医用画像のサムネイル画像であっても良いが、実運用上、キー画像のサムネイル画像が好ましい。サムネイル画像には、当該サムネイル画像のオリジナル画像へのハイパーリングが埋め込まれても良い。検査結果は、単に検査結果の内容を示す文字列として表示されても良いし、
図16に示すように、検査結果の内容を示す文字列を含むマークErとして表示されても良い。また、当該検査についての電子カルテや医用レポートへのハイパーリンクが埋め込まれたマークM1等が表示されても良い。
【0059】
表示部23により表示されている内容は、ユーザにより操作部21を介して任意に変更可能である。例えば、操作部21を介した検査ステージの内容の修正指示に従って読み書き部15は、病変情報記憶部13Bに記憶されている修正対象の検査ステージに関する病変レコードを修正する。また表示部23は、ユーザによる操作部21を介した病変や検査などの制限指示に従って当該病変や検査のみに表示を制限したり、ユーザによる操作部21を介した病変や検査などの並べ替え指示に従って並び替えたりしても良い。
【0060】
また、表示部23は、新規の病変と既存の病変とを区別して検査ステージを表示しても良い。
図17は、新規の病変と既存の病変とを区別する、現在検査の検査ステージと次回検査の検査ステージとの表示例を示す図である。新規の病変と判断された病変が本当は関係の無い病変である可能性がある。表示部23は、新規の病変を確定するための電子的インターフェースIbを表示すると良い。
図17に示すように、例えば、「安定狭心症」と「肺癌」とが既存の病変であり、「肺炎」が新規の病変であるとする。この場合、表示部23は、「肺炎」が新規の病変であるか否かを確認するための電子ボタンIbをテーブル画像IT2に重畳して表示する。この段階においては「肺炎」は病変候補として表示される。「肺炎」が新規の病変である旨が電子ボタンを押すことにより確定されると表示部23は、当該新規の病変「肺炎」の検査ステージを表示する。例えば、
図17に示すように、病変「肺癌」の検査日「12/05/01」に対応するセルに、病変「肺癌」の現在検査の検査ステージが表示される。また、読み書き部15は、当該新規の病変「肺炎」の検査ステージに関する病変レコードを病変情報DBに追加する。
【0061】
なお、新規の病変が確定されることを契機として検査ステージが表示されるとしたが本実施形態はこれに限定されない。例えば、表示部23は、新規の病変の確定無しに当該新規の病変に関する検査ステージを表示しても良い。また、電子的インターフェースによる確定無しに、新規の病変が既存の病変と同じ態様で表示されても良い。
【0062】
また、必ずしも次回検査の検査ステージと現在検査の検査ステージとの両方を表示する必要は無い。すなわち、表示部23は、現在検査の検査ステージを表示せず、次回検査の検査ステージを表示しても良い。
【0063】
以上で制御部11の制御のもとに行われる診断治療支援処理についての説明を終了する。
【0064】
次に、表示部23による次回検査の検査ステージの表示の応用例について説明する。
【0065】
(応用例1)
応用例1に係る表示部23は、次回検査の検査ステージと診断樹とを並べて表示する。
【0066】
図18は、応用例1に係る次回検査の検査ステージの表示例を示す図である。
図18に示すように、表示部23は、テーブル画像IT1と診断樹を図式的に表現する画像(以下、診断樹画像と呼ぶ)Idとを並べて表示する。ユーザは、操作部21を介してテーブル画像IT1に表示されている複数の検査ステージのうちの、診断樹の表示対象の検査ステージを指定することができる。表示部23は、指定された検査ステージと当該指定された検査ステージの後続の検査ステージとに表示範囲が限定された診断樹画像IDを表示する。例えば、
図18のように、病変「安定狭心症」の検査ステージ「冠動脈CT」が指定された場合、表示部23は、検査ステージ「冠動脈CT」に加え、後続の検査ステージ「経過観察」、検査ステージ「冠動脈造影」、及び検査ステージ「内科的治療経過観察」に表示範囲が限定された診断樹画像Idを表示する。テーブル画像IT1と診断樹画像Idとが並べて表示されることにより、ユーザは、ステージ間の関係性をより容易且つ正確に把握することができる。表示部23は、診断樹画像Id内に現在検査の検査ステージSTpや次回検査の検査ステージSTnが含まれている場合、診断樹画像Id内の当該検査ステージSTp,STnを強調すると良い。これによりユーザは、診断樹画像IDにおいて現在検査の検査ステージSTpと次回検査の検査ステージSTnとを明瞭に把握することができる。ユーザは、現在検査の検査ステージSTpや次回検査の検査ステージSTnの修正指示を操作部21を介して診断樹画像Id上で行うことが可能である。修正は、既述の方法を用いて読み書き部15により病変レコードに反映することができる。
【0067】
なお上記の説明において、診断樹画像は、診断樹全体のうちの一部を示す画像であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。表示部23は、診断樹全体を図式的に示す診断樹画像を表示しても良い。
【0068】
また、表示部23は、表示対象の診断樹に関する文献データへのハイパーリンクが埋め込まれたマークM2を表示しても良い。マークM2が操作部21を介して選択されることにより表示部23は、選択されたマークM2に埋め込まれたハイパーリンクに関連づけられた文献データを表示する。例えば、医師等の医療従事者が文献を患者等に提示することにより、患者による診断樹への理解をより深めることができる。また、文献は、医療従事者による病変の調査に供されても良い。これにより、医療従事者が文献を探索する手間や参照する手間を削減することができる。
【0069】
(応用例2)
応用例2に係る表示部23は、次回検査の実施期限が過ぎたり近づいたりした場合に警告を表示する。
【0070】
以下、警告処理について説明する。次回ステージ決定部17Dは、本表示処理の実行日を警告期限日に対して比較し、本表示処理の実行日が警告期限日を経過しているか否かを判定する。警告期限日は、任意に設定可能である。例えば、実施期限を過ぎたことを契機として警告を発したい場合、警告期限日は、実施期限に設定される。実施期限よりも前に警告を発したい場合、警告期限日は、実施期限よりも所定期間だけ前の指定日に設定される。
【0071】
上記の通り、病変情報DBに実施期限が入力されている。次回ステージ決定部17Dは、病変情報DBを検索し、対象患者に関する複数の病変の各々について、次回検査の実施期限を特定し、特定された実施期限に基づいて警告期限日を設定する。例えば、次回ステージ決定部17Dは、警告期限日を実施期限に設定するモードの場合、特定された実施期限を警告期限日に設定する。警告期限日を実施期限よりも前の日に設定するモードの場合、次回ステージ決定部17Dは、特定された実施期限より所定期間だけ前の日を警告期限日に設定する。所定期間は、例えば、10日や一か月、一週間等、ユーザにより操作部21を介して任意に設定可能である。本表示処理の実行日が警告期限日を経過していると判定した場合、次回ステージ決定部17Dは、制御部11を介して表示部23に警告信号を供給する。警告信号の供給を受けた表示部23は、警告期限日を過ぎている旨の警告を表示する。本表示処理の実行日が警告期限日を経過していないと判定した場合、次回ステージ決定部17Dは、警告信号を供給することは無い。
【0072】
図19は、応用例2に係る次回検査の検査ステージの表示例を示す図であって、警告期限日を実施期限よりも前の日に設定するモードにおける警告表示例を示す図である。
図19に示すように、表示部23は、次回ステージ決定部17Dにより警告期限日が過ぎていると判定された場合、オーダの作成を促すための警告を兼ねて次回検査の実施期限が近づいている旨の警告メッセージMeを表示する。例えば、
図19に示すように、表示部23は、「実施期限が近づいています。オーダを作成して下さい」のような警告メッセージMeを表示すると良い。警告を受けることにより、ユーザは、次回検査の実施し忘れを未然に防止することができる。
【0073】
上記の説明において、対象患者に関する全ての疾病に関する次回検査について警告期限日が過ぎたか否かを判定するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ユーザにより操作部21を介して指定された病変に限定して次回検査について警告期限日が過ぎたか否かが判定されても良い。
【0074】
また、上記の説明において、警告は、表示部23による表示により行われるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、制御部11は、次回ステージ決定部17Dから警告信号が供給されたことを契機として、診断治療支援装置1に設けられたスピーカから警告音や警告メッセージを発する。また、制御部11は、次回ステージ決定部17Dから警告信号が供給されたことを契機として、通信部19から医療従事者所有のコンピュータ装置に警告メッセージをメールで通達しても良い。
【0075】
(応用例3)
応用例3に係る表示部23は、次回検査の検査ステージとともに検査依頼の発行画面を表示する。
【0076】
図20は、応用例3に係る次回検査の検査ステージの表示例を示す図であって、テーブル画像IT1と検査依頼の発行画面Ioとの並列表示例を示す図である。表示部23は、ユーザにより操作部21を介して次回検査の検査ステージの指定指示がなされることを契機として、指定指示された検査ステージに関する検査依頼の発行画面Ioを表示する。例えば、
図20に示すように、マウス操作により病変「安定狭心症」の検査ステージ「冠動脈造影」がクリックされることにより、病変「安定狭心症」と検査ステージ「冠動脈造影」との組合せに応じた検査依頼の発行画面Ioが表示される。発行画面Ioには、検査の入力欄i1と病変の入力欄i2とが設けられている。このように発行画面Ioには、検査依頼のための複数の入力欄が設けられている。発行画面Ioを表示する際、表示部23は、各入力欄に初期値が自動的に入力された発行画面Ioを表示すると良い。初期値の自動入力のため、あるいは、表示部23は、ステージIDと病変名との組合せ毎に各入力欄と初期値とを関連付けたテーブルを保持していると良い。この場合、表示部23は、指定された検査ステージのステージIDと病変名とをキーワードとしてテーブルを検索し、各入力欄の初期値を特定し、特定した初期値を当該入力欄に自動的に入力する。例えば、
図20に示すように、検査の入力欄に「冠動脈造影」が初期値として入力され、病変の入力欄に「安定狭心症」が初期値として入力される。
【0077】
上記の説明のように、検査ステージが指定されたことを契機として検査依頼の発行画面を表示可能にすることにより、ユーザは、検査依頼に関する労力を削減することができる。また、検査ステージと病変名との組合せに応じて決定可能な入力項目を自動的に入力することにより、ユーザの労力をさらに削減することができる。
【0078】
[効果]
上記の説明の通り、本実施形態に係る診断治療支援装置1は、少なくとも診断樹記憶部13A、診断樹決定部17B、及び次回ステージ決定部17Dを有している。診断樹記憶部13Aは、複数の病変の各々について、標準的な遷移順序と実施要件とに従って選択的に対応付けられた複数の検査ステージにより構成される診断樹を記憶する。診断樹決定部17Bは、診断樹記憶部13Aに記憶されている複数の診断樹のうちの検査対象の病変に関する対象診断樹を決定する。次回ステージ決定部17Dは、対象診断樹に含まれる複数の検査ステージの中から、現在検査の検査ステージと次回検査の実施要件を満足するか否かを判断するための実施要件判断情報とを利用して次回検査の検査ステージを決定する。
【0079】
上記の構成により、本実施形態に係る診断治療支援装置1は、複数の診断樹が存在する場合においても、実施した検査の内容に応じた診断樹を自動的に決定することができる。また、診断樹の中に含まれる多数の検査ステージの中から、現在検査の次の検査を自動的に決定することができる。従って手動で次の検査ステージへの移行を指示していた従来に比して、次回検査の検査ステージの決定に関する手間を削減することができる。また、本実施形態に係る診断樹は、実施要件に応じて分岐を有している。従って、分岐を想定していない従来に比して、検査や診断、治療の変化に柔軟に対応することができる。
【0080】
かくして、本実施形態に係る診断治療支援装置1及び診断治療支援システム100によれば、医療に係る検査業務管理の効率の向上を実現することができる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。