特許第6603913号(P6603913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603913
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】覗き見防止シート
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20191031BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20191031BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   G02B5/00 B
   B32B27/00 M
   B32B27/00 E
   H04M1/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-154765(P2015-154765)
(22)【出願日】2015年8月5日
(65)【公開番号】特開2017-32894(P2017-32894A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】510138051
【氏名又は名称】ディーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133075
【弁理士】
【氏名又は名称】永芳 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100100697
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 さと子
(72)【発明者】
【氏名】荒木 徹
【審査官】 草野 顕子
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3127722(JP,U)
【文献】 特開2011−232602(JP,A)
【文献】 特開2011−074308(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3195969(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0134635(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00
B32B 27/00
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する携帯端末機の、表示領域を有する表面の全体に貼着するシート部材であって、
透明な基材フィルムと、印刷フレーム部と、覗き見防止フィルム及び粘着層を備え、
前記透明な基材フィルムは、平らな裏面と携帯端末機の表面の全面を被覆する寸法を有し、
前記印刷フレーム部は、前記基材フィルムの前記平らな裏面に、所定の厚みをもって携帯端末機の前記表示領域に対応する部分以外の部分を不透明塗料で塗りつぶして形成されており、
前記覗き見防止フィルムは、前記基材フィルムの前記平らな裏面と前記印刷フレーム部で囲まれた凹部に嵌め込まれる形で配置され、前記基材フィルムの前記平らな裏面の携帯端末機の前記表示領域に対応する部分に前記印刷フレーム部と段差を生じるように貼着されており、
前記粘着層は、前記印刷フレーム部及び前記覗き見防止フィルムの裏面全体に、裏面全体が平らとなる厚さに塗布されていること、
を特徴とした覗き見防止シート。
【請求項2】
前記印刷フレーム部は携帯端末機における表示領域の周囲を装飾するものであることを特徴とした請求項1に記載の覗き見防止シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末機の表面に貼着する覗き見防止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末機用に覗き見防止シートが市販されている。この種のシートはシートを構成する層中に正面からの光だけを通過させるブラインド層を形成したものであるが、携帯端末機における表示領域だけに貼着するか、携帯端末機の前記表示領域を有する表面の全体に被覆するものである。
表示領域だけに貼着するものは、覗き見防止シート自体にわずかではあるが厚みがあるために、携帯端末機の表面に段差が生じ、外観が劣化したり、はがれたりしやすい。また、この種のシートは携帯端末機の表層を構成するガラスの破損や損傷を防止する機能も有するものが多いが、表示領域に貼着するだけでは、この機能を十分に発揮できない。
一方、携帯端末機の表面全体に貼着するものは、端末機の表層を構成するガラスの破損や損傷を防止する機能に優れるが、覗き見防止シート自体に前記ブラインド層が原因の着色(暗く見える)があり、また、前記表面の他の部分も覆ってしまうので、携帯端末機における前記表示領域以外のフレーム状に見える部分の色彩がくすんでしまう。
【0003】
特許文献1には、携帯電話機の液晶表示装置が設けられている側の面(表面)の全体に貼り付けて使用される貼着シートが記載されている。この貼着シートは透明な基本シートと電磁波防止フィルム、覗き見防止フィルム及び粘着層を重ねた構造で、電磁波防止フィルムは前記液晶表示装置による表示領域の周囲を取り囲んで配置され、覗き見防止フィルムは前記基本シートの前面に重ねられている。
このため、電磁波防止フィルムは表示領域の周囲を取り囲むフレームのようになり、携帯電話機の表面に貼着シートを貼着すると、携帯電話機の表面の表示領域の周囲を隠ぺいしたり、くすませてしまう。また、覗き見防止フィルムも基本シートの裏面全域に存在するので、前記表示領域の周囲をくすませてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−219308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末機の表示領域を有する表面において、表示領域周囲の美観を損なわずに表示領域に覗き見防止機能を持たせることができ、携帯端末機に貼着しやすい覗き見防止シートの提供。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、表示領域を有する携帯端末機の、表示領域を有する表面の全体に貼着するシート部材であって、透明な基材フィルムと、印刷フレーム部と、覗き見防止フィルム及び粘着層を備え、前記透明な基材フィルムは、平らな裏面と携帯端末機の表面の全面を被覆する寸法を有し、前記印刷フレーム部は、前記基材フィルムの前記平らな裏面に、所定の厚みをもって携帯端末機の前記表示領域に対応する部分以外の部分を不透明塗料で塗りつぶして形成されており、前記覗き見防止フィルムは、前記基材フィルムの前記平らな裏面と前記印刷フレーム部で囲まれた凹部に嵌め込まれる形で配置され、前記基材フィルムの前記平らな裏面の携帯端末機の前記表示領域に対応する部分に前記印刷フレーム部と段差を生じるように貼着されており、前記粘着層は、前記印刷フレーム部及び前記覗き見防止フィルムの裏面全体に、裏面全体が平らとなる厚さに塗布されていること、を特徴とした覗き見防止シートである。
請求項2に係る発明は、前記印刷フレーム部は携帯端末機における表示領域の周囲を装飾するものであることを特徴とした請求項1に記載の覗き見防止シートである。
また、別発明として、以下のものでもよい。
表示領域を有する携帯端末機の、表示領域を有する表面の全体に貼着するシート部材(覗き見防止シート)とする。
シート部材は、透明な基材フィルムと、印刷フレーム部と、覗き見防止フィルム及び粘着層を備える。
そして、透明な基材フィルムは、携帯端末機の表面の全面を被覆する寸法であり、前記印刷フレーム部は、前記基材フィルムの裏面において携帯端末機の前記表示領域に対応する部分以外の部分を不透明塗料で塗りつぶして形成し、覗き見防止フィルムは、前記基材フィルムの裏面側から携帯端末機の前記表示領域に対応する部分に貼着し、前記粘着層は、前記印刷フレーム部及び覗き見防止フィルムの裏面を含む基材フィルムの裏面全体に、裏面全体が平らとなる厚さに塗布されたものとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の覗き見防止シートは携帯端末機の表示領域を有する表面の全体に貼着するので、携帯端末の表面に段差が生じない。また、全体に貼着するので表示領域にのみ貼着する場合に比べて、携帯端末機の表面全体と表示領域との調和を取りやすい。
また、透明な基材フィルムによって携帯端末機の表面が保護されると共に、表示領域に覗き見防止機能が付加される。
さらに、表示領域以外の部分を印刷フレーム部としてあることによって、携帯端末機の美観を損ねることがなく、むしろ、表示領域の周辺を好みの色に変更するなど美感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】覗き見防止シート及び携帯端末機の斜視図である。
図2】覗き見防止シートの断面図である。
図3】覗き見防止シートの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の覗き見防止シート1は、携帯電話機、タブレット端末等の携帯端末機Aの表示領域aを有する表面bに貼着するものである。携帯端末機Aの表面bの表示領域aを囲む枠部分fには、操作ボタンc、マイクロフォンd、センサーe等が設置されている。
図2及び図3に示すように、覗き見防止シート1は、基材フィルム2と、印刷フレーム部3と、覗き見防止フィルム4及び粘着層5を備える。符号8は剥離シートである。
【0010】
基材フィルム2は、強化ガラス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等を素材とし、携帯端末機Aの表面bの全面を被覆可能な寸法を有する。また、基材フィルム2には、携帯端末機Aの操作ボタンc、マイクロフォンd、センサーe等と対応する位置に、それぞれこれらを露出させる形状の透孔6が形成される。
基材フィルム2の厚みは、素材や、携帯端末機Aの種類、機種等によって異なる。
【0011】
印刷フレーム部3は、任意の色彩を有する不透明な塗料(紫外線硬化型インク等)を用いて、基材フィルム2の裏面の表示領域aを囲む周囲部に印刷される。印刷フレーム部3の表面側に現れる意匠は、この実施例において、携帯端末機の表面bにおける前記枠部分fに一致したものとしている。
なお、印刷フレーム部3の基材フィルム2を通して見える意匠は種々に考えられるから、例えば、印刷フレーム部3の色が異なる複数種類の覗き見防止シート1を用意しておき、好みの色を選択できるようにする使用方法がある。
【0012】
覗き見防止フィルム4は、フィルム面に対して一定角度以上傾斜した光を遮断する偏光フィルタ機能を有するフィルムであり、覗き見防止フィルム4を一面側から直角に近い角度で見ると透光して他面側を見ることができるが、斜めからは遮光されて他面側を見ることができない。
また、覗き見防止フィルム4は、携帯端末機Aの表示領域aとほぼ同じ寸法に形成され、基材フィルム2の裏面において印刷フレーム部3で囲まれた凹部(表示領域aを覆う部分)7に嵌め込まれる形で配置され、OCA光学粘着シート等によって貼着される。
通常、覗き見防止フィルム4の厚み(160μm程度)は印刷フレーム部3の塗厚よりも厚いので、覗き見防止フィルム4は印刷フレーム部3より裏側へ僅かに突出して両者の境界部には段差ができる。
【0013】
粘着層5は、覗き見防止シート1を携帯端末機Aの表面bに貼り付けるためのものであり、シリコン系粘着剤、ウレタン係粘着剤、アクリル系粘着剤等の公知の粘着剤を印刷フレーム部3及び覗き見防止フィルム4の裏面に塗布して形成され、裏面に剥離シート8が積層される。
粘着層5の厚みは、覗き見防止フィルム4と印刷フレーム部3の境界部の段差より厚くして覗き見防止シート1の裏面が平らになるようにするが、覗き見防止シート1を携帯端末機Aの表面bに貼り付けた時に、粘着層5が押し出されてこない程度とする。望ましくは、覗き見防止フィルム4の裏面における粘着層5の厚みを約60μmとする。
【0014】
覗き見防止シート1を使用する際には、剥離シート8を剥がして粘着層5を露出させ、粘着層5を介して携帯端末機Aの表面bの全面に貼り付ける。すると、覗き見防止フィルム4が携帯端末機Aの表示領域aを覆って、表示領域aに表示された内容を他人が覗き見るのを防ぎ、印刷フレーム部3が表示領域aの周囲の枠部分fを覆う。
【0015】
この時、粘着層5が印刷フレーム部3と覗き見防止フィルム4の境界部に形成された段差を吸収するので、覗き見防止シート1と携帯端末機Aの表面との間に気泡が入り難く、携帯端末機Aの表面bに密着して貼り付けられる。
なお、印刷フレーム部3を塗膜が厚く形成される塗料を使用して、塗膜を表示領域aに貼着する覗き見防止フィルム4の厚さ寸法に近くして前記の段差を無くすることもできる。この場合、粘着層5の総厚を薄くすることができる。
【0016】
覗き見防止シート1は、基材フィルム2をベースにして覗き見防止フィルム4及び印刷フレーム部が携帯端末機Aの表面前面へ一挙に貼着されるので、貼着作業が簡単で失敗が少ない。また、貼着によって、表示領域に覗き見防止機能が付加されると共に、印刷フレーム部3によって、仮に、携帯端末機Aの表示領域周囲の部分に汚れや擦過傷等が目立っていても一挙にリニューアルされる。
【符号の説明】
【0017】
A 携帯端末機
a 表示領域
b 表面
c 操作ボタン
d マイクロフォン
e センサー
f 枠部分
1 覗き見防止シート
2 基材フィルム
3 印刷フレーム部
4 覗き見防止フィルム
5 粘着層
6 透孔
7 凹部
8 剥離シート
図1
図2
図3