【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の手段として、第1の光照射手段と、第2の光照射手段とを備え、前記第1の光照射手段は、前記第2の光照射手段よりも放射強度の大きな光を狭い範囲に照射可能であり、前記第2の光照射手段は、前記第1の光照射手段よりも放射強度の小さな光を広い範囲に照射可能とすることがよい。
このような構成であると、遠方については放射強度の大きな光によって照らし出して遠方の必要な領域をより明瞭に見ることができると同時に、近方の広い領域は相対的に放射強度の小さな光を使用して広角度で照らし出して近方をより広範囲により明瞭に見ることができ、ユーザーは遠方から近方にかけての必要な範囲を同時に適切な明るさで認識することができる。特に、第1の光照射手段と第2の光照射手段の照射強度と照射領域を視認対象とその関係で適切に設定するとよく、このような構成によれば、無駄なく効率的に消費電力を抑制しつつ、必要な範囲を視認可能とすることが可能となる。
光照射システムは、それぞれ放射強度が順に大きくなりかつより狭い範囲を照射可能になる複数の光照射手段を組み合わせて構成するとよい。例えば、n個の光照射手段を設け、光照射手段Aは最も放射強度の小さな光を最も広い範囲に照らすものとし、光照射手段Bは光照射手段Aよりも放射強度の大きな光をより狭い範囲に照らすものとし、光照射手段Cは光照射手段Bよりも放射強度の大きな光をより狭い範囲に照らすものとし・・・、光照射手段nは光照射手段n−1よりも放射強度の大きな光をより狭い範囲に照らすものとするとよい。
光照射システムに備える放射強度と照射範囲の異なる光照射手段の個数は、視認が必要な領域の個数とするとよい。視認が必要な領域は、基準位置からの距離が段階的に異なる位置とするとよい。段階的に異なる位置としては、例えば、所定値以上の差がある位置とするとよい。特に基準位置からの距離に所定以上の差がある複数の異なる照射対象領域に対応付けて光照射手段を設けるとよい。基準位置は例えばいずれかの光照射手段の位置とするとよい。例えば、車両において、基準位置をルームミラーの近傍として後方車室内を照らす場合、車両が前後2列のシートの車両であれば、運転席・助手席を照らす光照射手段Aと後部座席を照らす光照射手段Bとの2つの光照射手段を設けるとよい。また例えば、車両の後部座席が前後2列あり合計3列のシートの車両であれば、運転席・助手席を照らす光照射手段Aとその後ろの第一の後部座席を照らす光照射手段Bとさらにその後ろの第二の後部座席を照らす光照射手段Cの3つの光照射手段を設けるとよい。前後の座席の間には、基準位置からの距離に所定値以上の差があり、このような場合に、本光照射システムは、各列の座席にいる者を従来に比べより確実に照らし出すことができる。特に第1の光照射手段から第nの光照射手段の照射範囲はそれぞれの列においてほぼ同一の幅に照射範囲となるようにそれぞれの照射範囲を設定するとよい。このようにすれば車両において各列を同様の幅で照らすことができる。但し、全ての光照射手段を運転席よりも前に設置する場合には、各列における照射範囲の幅として第1の光照射手段の照射する照射範囲の幅が第2以降の光照射手段の照射する幅よりも広い幅に設定するとよい。特に、運転者の運転状況は例えば運転者のハンドル操作や足元付近などまで広く照らす一方、後部座席の人はその顔などが照らされるようにするとよい。
【0006】
ここに、第1の光照射手段及び第2の光照射手段はそれぞれ単数であっても複数であってもよい。数に制限がなければ最適な電力効率となるような設計が考えやすくなり、様々な仕様の光デバイスに対応しやすくなる。また、第1の光照射手段及び第2の光照射手段が同じ数あっても異なる数であってもよいが、特に同じ数であれば配置バランスがよくなる。
また、具体的な光照射手段としては、例えばLED(発光ダイオード)や白熱灯である。LEDであると同じ光量でLEDではない例えば白熱灯に比べて消費電力が少なくなり、例えば車両のようなバッテリー電源からの給電において無駄に電気を消費しないためよい。また、コンパクト化にも貢献するためユーザにとって例えば狭い車両内で機器を設置する場合に有利である。また、消費電力が少ないため電源部が発熱しにくくなり、特に他の電子機器側の電源部から分岐して給電される場合には電力消費が多くなるため、このように消費電力が少ないLEDを使用することがよい。
【0007】
第2の手段として、前記第1の光照射手段が照射する光は半値角±10〜30度であり、前記第2の光照射手段が照射する光は半値角±45〜60度であることがよい。
半値角とは光軸位置における光の放射強度が半分になる位置の角度であって、光の指向性の尺度となるものである。半値角は光軸を基準として左右(つまり±方向)方向への角度で示す。このような角度を持った光であるためユーザーにとって遠方から近方にかけての広い範囲を同時に妥当な明るさで認識することが可能となる。特に車内フロントガラス付近に設けた光照射手段から光を照射する場合に、このような構成とすれば、運転席・助手席側の人を広範囲に照らすことができるとともに、後部座席の人を明るく照らすことができる。
【0008】
第3の手段として、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段が照射する光は赤外線領域を含み、当該赤外線を検出してその検出内容を人が認知可能な状態で出力する出力手段を備えることがよい。
このようにすれば、近方も遠方も必要な領域を夜間等にも人が認知可能となる。検出は、例えば、センサ等で行うようにするとよく、特にマトリックス状に配置されたセンサを用いるとよく、例えば、赤外線カメラを用いるとよい。出力は、例えば、検出強度が所定以上か否かを判別して出力する構成としてもよいが、例えば、可視光に変換して出力するとよい。出力は例えば音声等で行うようにしてもよいが、光で行うようにするとよい。
出力はリアルタイムで行うようにしてもよいが、特に記録しておき、後に記録した内容を読みだして行うようにするとよい。例えば、検出は赤外線カメラで行い、出力はカメラの映像として記録しておき、後に記録した映像をパソコン等のモニター上に再生して出力する構成とするとよい。
【0009】
第4の手段として、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段は互いに近傍に配置されており、前記第1及び第2の光照射手段による照射方向は略同一方向であることがよい。
このようにすれば、第1の光照射手段による第1の照射領域の略中心部に第2の光照射手段による第2の照射領域が形成されることになる。したがって、照射領域全体のうち、中心部をより遠くまで視認できるとともに、近傍は周辺部を広く視認できる。
【0010】
第5の手段として、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段は車両前方位置から車室内を照射するように設置可能であり、前記第1の光照射手段を車両内において運転席から遠方となる後部座席をスポット的に照らし出す照射範囲及び照射強度とし、第2の光照射手段を運転席や助手席を含む近傍を広角度で照らし出す照射範囲及び照射強度とすることがよい。
このようにすれば、ユーザー(例えばタクシーの運転手やタクシー会社)は後部座席に着座する人の顔周辺をしっかりと確認することが可能となるとともに、同時に前部座席に着座する人(運転手と助手席に座る人)の様子全体もしっかりと確認することができる。
【0011】
第6の手段として、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段の前面には前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段から照射される赤外線の透過を許容するとともに、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段を肉眼で視認させないようにするため可視光を吸収又は反射させるカバー体を配置することがよい。
これによってユーザは直接第1及び第2の光照射手段を目視して確認することができ、その位置に第1及び第2の光照射手段があることを意識することが少なくなる。また、第三者に気づかれることもなくなるため、第三者からユーザーがその存在の指摘を受けるという煩わしさも回避できる。特に、赤外線は透過でき、可視光を遮断するカバー体とするとよい。
【0012】
第7の手段として、前記第1の光照射手段によって照射される領域と、前記第2の光照射手段によって照射される領域と、を含む領域の少なくとも一部を撮影可能な撮影手段を備えていることがよい。
これによって、光を照射して照らし出された領域をユーザーは対象物が照射されている位置とは異なる位置で確認したり、撮影した結果を記録することで後から確認することができる。撮影した映像は、例えばリアルタイムに表示するようにしてもよいが、特に録画しておき録画した映像を後に再生して表示するようにするとよい。
【0013】
第8の手段として、前記撮影手段の撮影方向は前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段によって照射される光の照射方向であることがよい。
これによって、撮影方向が第1及び第2の光照射手段によって照射された光によって照らし出された対象物に対向することとなり、もっとも効率よく光の反射によって照らし出された対象物を撮影できるため、ユーザーはよい条件の撮影映像を見ることができる。
第9の手段として、前記第1及び第2の光照射手段は前記撮影手段の近傍にあり、前記第1及び第2の光照射手段による光の照射方向と撮影手段による撮影方向は略同一方向であることがよい。
【0014】
第10の手段として、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段が照射する光は赤外線であって、前記撮影手段とともに前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段は車両内に配置されることがよい。
第1及び第2の光照射手段が照射する光は赤外線であるため、光を照射されていることをユーザー、あるいは第三者に知られることがなく、薄暗い室内であってもあるいは夜間であっても撮影映像として記録することができる。室内としては、例えば車両の室内とするとよい。車両の室内はその大きさが規定された範囲に収まっているためである。
【0015】
第11の手段として、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段は前記撮影手段が搭載されている筐体に搭載されることがよい。
筐体単位で移動させたり設置したりできるため、ユーザーの設置の際の作業効率が向上する。
第12の手段として、前記筐体は支持部材によって支持される構造であり、前記支持部材を前記筐体の横幅よりも内側位置で前記筐体に連結させていることがよい。
これによって、支持部材の外方への張り出し量が減り、コンパクト化が図られることとなる。その結果、ユーザーが狭い例えば車両内に設置する際においても、設置場所に裕度ができ、邪魔に感じにくくなる。また、支持部材の横幅よりも内側位置の位置となるため、筐体あるいは筐体側の部材が幅広で大きく外方に張り出している場合に筐体を揺動させる際に支持部材との干渉が生じにくくなり、揺動量が多くなるためユーザーがある場所に設置させた際に筐体の変位できる範囲に裕度ができて様々な方向に向けて光を照射させることが可能となる。
第13の手段として、前記筐体は支持部材によって支持される構造であり、前記支持部材を前記筐体の後方側に張り出した位置に連結させていることがよい。
第1及び第2の光照射手段の照射位置がより前方に配置されるため、光が遠くまで届きやすくなる。また、支持部材の位置が筐体から離間した後方に配置されるため、筐体あるいは筐体側の部材が幅広で大きく外方に張り出している場合にその筐体を揺動させる際に支持部材との干渉が生じにくくなり、揺動量が多くなるためユーザーがある場所に設置させた際に筐体の変位できる範囲に裕度ができて様々な方向に向けて光を照射させることが可能となる。
【0016】
第14の手段として、前記撮影手段の画角内に前記第1又は第2の光照射手段を配置させないことがよい。
これによってユーザーは不要な第1又は第2の光照射手段が映り込んだ撮影画像を見ることがなく、見たい対象物だけが写った画像だけを見ることができる。
第15の手段として、前記撮影手段のレンズ面よりも前方に前記第1又は第2の光照射手段を配置させないことがよい。
これによってユーザーは不要な第1又は第2の光照射手段が映り込んだ撮影画像を見ることがなく、見たい対象物だけが写った画像だけを見ることができる。
第16の手段として、前記第2の光照射手段が照射する光の半値角よりも前記撮影手段の前記撮影手段の画角を大きくすることがよい。
これによってユーザーは必ず光照射手段によって照射された範囲を見ることができ、せっかく照らし出された対象物が画像になっていないという不具合が生じることがない。
【0017】
第17の手段として、撮影手段は前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段とともに前記カバー体で覆われていることがよい。
これによってユーザは第1及び第2の光照射手段とともに撮影手段を直接目視することがなく、その位置に撮影手段、第1及び第2の光照射手段があることを意識することが少なくなる。また、第三者に気づかれることもなくなるため、第三者からユーザーがその存在の指摘を受けるという煩わしさも回避できる。特に撮影手段で撮影されているということは第三者には必ずしも好意的には解されないため、このようにカバー体で覆われてレンズ等が直接目視できないことはよい。
【0018】
第18の手段として、光照射手段として、光照射手段Xより可視光を視認しやすい光照射手段Yと、光照射手段Yより可視光を視認しにくい光照射手段Xとを備え、光照射手段Yについて複数の光源から構成する場合、光源同士の間に撮影手段のレンズを挟まない構成とするとよい。
このようにすれば、撮影手段の存在を認識されにくくすることができる。
第19の手段として、光照射手段として、光照射手段Xより可視光を視認しやすい光照射手段Yと、光照射手段Yより可視光を視認しにくい光照射手段Xとを備え、光照射手段Yについて複数の光源から構成する場合、光源同士を概ね水平に配置するとよい。
このようにすれば、斜めの位置に光るものが見えて、違和感があるという問題を解決できる。特に、光源同士を概ね水平かつレンズを挟まない位置に配置するとよい。特に第1の光照射手段を光照射手段Y、第2の光照射手段を光照射手段Xとするとよい。
【0019】
第20の手段として、前記第1の光照射手段の数が複数である場合には前記第1の光照射手段を前記撮影手段のレンズを斜めに挟む位置には配置しないことがよい。
第1の光照射手段からの赤外線は第2の光照射手段からの赤外線よりも放射強度が大きく、かつ赤外線の中に近赤外線が含まれている場合にはカバー体で覆われていても人の眼に赤く認識される可能性があるため、第1の光照射手段の存在がわかってしまう場合がある。その場合に複数(例えば2つの)の第1の光照射手段が斜め位置に配置されていると不安定な印象を与え、かついかにもその間に何かあるような印象を与えてしまう可能性がある。特に撮影手段で撮影されているということは第三者には必ずしも好意的には解されないため、そのような印象がないことがユーザーにとってよい。そのため、複数の第1の光照射手段を配置する場合に撮影手段のレンズを斜めに挟む位置に配置させないようにすることで、第三者の疑いを受けにくくしている。
【0020】
第21の手段として、前記撮影手段が撮影する対象者から前記撮影手段の存在を視認できる部位を隠す手段を備えることがよい。
これによって、撮影手段が視認されにくくなるため、撮影されていることがわかりにくできる。撮影手段の存在を視認できる部位としては、特に撮影手段のレンズとするとよい。視認する対象者としては、特に乗客とするとよい。
第22の手段として、前記隠す手段の少なくとも一部に車両内に存在する物を擬態する部位を設けることがよい。
このようにすれば、隠している不自然さが減少するため撮影手段が対象者からよりわかりにくくなる。擬態する部位の擬態の態様としては、例えば車両のスピーカやエアコンの吹き出し口やミラーなどとするとよいが、特に撮影手段の取り付け位置の近傍に存在する物を擬態するとよい。例えば、ルームミラーの近傍に撮影手段を取り付ける場合には、擬態する部位は、ミラーを擬態するとよい。
【0021】
第23の手段として、前記擬態する部位は、人が見るための部位であることがよい。
このようにすることで視線を集めてより撮影手段によって対象者の顔が撮影されやすくできる。例えば、ルームミラーや化粧用ミラーであるとよい。
第24の手段として、前記車両内に存在する物はその方向が可変である物であり、前記擬態する部位もその方向が可変であることがよい。
このように構成すると、車両内において擬態する部位を様々な方向に変位させて乗車する者の使用に適した位置にセットすることができる。
第25の手段として、前記隠す手段の側は、前記撮影手段の側と着脱自在であることがよい。
これによって隠す手段を配設するには設置場所が狭い場合や、あえて使用する必要がない場合等では外すことも可能である。また、隠す手段の側の部材を、例えばオプション部品として販売して、必要な人だけが購入して取り付けるようにすることができ、必要のない人は購入する必要がなくなる。
第26の手段として、撮影手段の撮影方向を変更する手段の固定力を前記隠す手段の方向を変更する手段の固定力よりも強くすることがよい。
これによって、一旦固定した撮影手段の撮影方向が、隠す手段を操作することで不用意に動いてしまうという不具合が生じにくい。特に、隠す手段の方向は手で変更可能な固定力であり、撮影方向を変更する手段は手で動かしても動きにくい例えばネジやクランプ等による機械的な固定力とするとよい。
【0022】
第27の手段として、前記撮影手段の少なくともレンズ前面には前記撮影手段の撮影機能を阻害しにくく、かつ前記撮影手段を肉眼で視認させないようにするための第2のカバー体を着脱可能に配置することがよい。
これによって、第2のカバー体を撮影手段の前面に配置しても撮影が可能であり、撮影手段の少なくともレンズが視認されないため、撮影されていることがわかりにくい。また、着脱可能であるため第2のカバー体を配設するには車内が狭い場合や使用する必要がない場合等では外すことも可能である。「撮影機能を阻害しにくく」とは、例えば、第2のカバー体が可視光を吸収又は反射させることで、撮影手段を肉眼で視認させないようにすることが可能であり、その場合に撮影可能な程度に可視光を透過させることがよい。「撮影機能を阻害しにくく」としては、例えば「撮影機能を阻害しない」構成が最も望ましい。
第28の手段として、前記第2のカバー体は前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段の前面に配置され、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段から照射される赤外線を透過させることがよい。
これによって、第1の光照射手段及び第2の光照射手段が視認されないため、車内の撮影のための光照射手段が発見されずに結果として撮影されていることがわかりにくい。また、第1の光照射手段及び第2の光照射手段を撮影手段の近傍に配置されている場合には1つの第2のカバー体によって撮影手段とともに一緒に隠すことができるため、コンパクト化に貢献する。
【0023】
第29の手段として、前記第2のカバー体を前記撮影手段が搭載されている筐体に対して支持させるようにすることがよい。
これによって、第2のカバー体を支持するために筐体とは別個の部材が不要となり、筐体の取り付けと同時に取り付け作業ができるため取り付けの手間が省けることとなる。
第30の手段として、前記第2のカバー体は前記筐体に対して相対的に変位可能に保持され、所定以上の外力が作用しないと変位せずに特定の位置での保持状態が維持されることがよい。
つまり、第2のカバー体は筐体に対して例えば、揺動したり回動したりしてその位置を変えることができるが、同時にある設定した位置で停止できなければならない。そのため、このように所定以上の外力が作用しないと変位せずに保持状態が維持される構成であれば、別途その位置で固定するための例えばネジ等の手段を必要としないため、一々、そのネジ等を緩めたり締めたりせずとも自在にかつ簡単に最適な位置に配置することができる。
また、この保持力は多少の揺れや自重によって一旦設定した停止位置がずれてしまうことのない程度の保持力であり、かつ所定以上の力で操作することで変位できる程度の保持力であることがよい。例えば、車両内に配置した場合に車両の振動で位置がずれることのない程度の保持力で、一方手で簡単に操作して位置を変えることができる程度であることがよい。例えば、摩擦力によって保持力を発現させることがよい。
【0024】
第31の手段として、前記筐体側と前記第2のカバー体側との間には自在継ぎ手機構が構成され、前記第2のカバー体は前記自在継ぎ手機構によって前記筐体に対して相対的に変位可能とされていることがよい。
このような機構を設けることで、筐体に対して第2のカバー体を自由な方向に向けることができ、撮影手段において撮影方向を一定にしても第2のカバー体のみを例えばバックミラーや化粧用ミラーに使用するために向きを変更させることができる。
自在継ぎ手機構は例えば、球体の周囲をその球体と同じカーブの包囲体で包囲するような構成がよい。球体と包囲体は筐体側と第2のカバー体のどちら側になってもよい。包囲体は球体を包囲するために分割して分割体として構成されていることがよく、その場合には前後で2分割しても、左右で2分割しても3分割以上の部材で構成するようにしてもよい。また、球体は完全な球でなく球の一部のみで構成されるものであってもよい。
【0025】
第32の手段として、前記自在継ぎ手機構は摩擦によって前記第2のカバー体を前記筐体に対して所定の保持位置で保持させる保持手段を有することがよい。
このような構成とすれば、ある位置に保持させるために例えばネジ等の手段を必要とすることがなく、一々、ネジ等を緩めずとも自在に最適な向きにすることができるため操作が楽であり、多少の揺れや自重によって一旦決めた保持位置が狂ってしまうこともない。この保持力は多少の揺れや自重によって一旦設定した停止位置がずれてしまうことのない程度の保持力であり、かつ所定以上の力で操作することで変位できる程度の保持力であることがよい。例えば、車両内に配置した場合に車両の振動で位置がずれることのない程度の保持力で、一方手で簡単に操作して位置を変えることができる程度であることがよい。
摩擦を与える保持手段としては球体の表面に圧力をもって当接する突起状の部材でもよく、包囲体自身の素材の滑りにくさ、例えば弾性のあるゴムのような素材で接触面に摩擦を発生させるようなものでもよい。
摩擦を与える保持手段は上記の球体を包囲する包囲体の内側に形成することがよい。これによって包囲体で球体を包囲すると同時に自在継ぎ手機構に摩擦を与えることができるからである。
包囲体は分割体として構成されていて、その分割体の内側に保持手段が設けられている場合において、分割体を組み立てて球体を包囲させる際にはその分割体の組み立てに伴って分割体が変形して保持手段を変形に伴って発生する押圧力で球体に押しつける構成がよい。これによって分割体を組み立てて自在継ぎ手機構を構築するに伴って第2のカバー体と筐体との間に摩擦を与えることができる。
包囲体は柔軟性と適度な弾性があることがよい。特に包囲体の内側に保持手段が設けられている場合には変形させて付勢させて摩擦力を与えることができるからである。固い素材に柔軟性と適度な弾性を与えるために例えば形状を曲げやすいように変形させることがよい。例えば、部分的にスリットを形成することがよい。また、素材として柔軟性があるもの、例えば、ナイロンや弾性のあるゴムのような素材を使用することがよい。
【0026】
第33の手段として、前記筐体は支持部材によって支持される構造であり、前記自在継ぎ手機構を前記支持部材よりも前方に配置することがよい。
これによって、第2のカバー体をより前方に張り出すように配置させることができ、筐体の取り付け面から離間させられるので特に筐体を大きく稼動させた場合に周囲に干渉しにくくなる。
また、この第30〜33の手段から把握できるその他の技術的思想として、筐体を第1の装置とし、第2のカバー体を第2の装置として、ドライブレコーダや光照射システム以外の機器に適用することが可能である。
【0027】
第34の手段として、他の電子機器と接続され、前記他の電子機器側の制御手段によって制御されていることがよい。
これによって独自の制御手段を必要とせず、他の電子機器からの制御によって対象物を照らし出すことができる。また、撮影手段を備えている場合には他の電子機器からの制御によって撮影を実行し、撮影した画像を記録することができる。これによって、単独の制御手段だけで他の電子機器と一緒に制御することができて低コスト化に寄与する。また、ユーザーは別に設定操作をしなくとも他の電子機器側の設定と同時に設定ができるため、設定動作が簡略化されるため使いやすい。
第35の手段として、前記他の電子機器側の電源部から分岐して給電されることがよい。
これによって別個の電源部が不要となって、ユーザーは取り付けの煩わしさが軽減される。また、例えば車両では電子機器の給電はシガーライターを使用することが多いが、電源部が複数あると別個にシガーソケットを用意したり、二股形状の特殊シガーソケットを用意したりしなければならなくなるがそのような面倒さもない。