特許第6603984号(P6603984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6603984画像供給装置、画像供給方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603984
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】画像供給装置、画像供給方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20191031BHJP
   H04N 21/238 20110101ALI20191031BHJP
【FI】
   G06F13/00 550L
   G06F13/00 520B
   H04N21/238
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-227370(P2014-227370)
(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公開番号】特開2016-91425(P2016-91425A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴行
【審査官】 今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/076823(WO,A1)
【文献】 特開2013−005240(JP,A)
【文献】 特開2000−232368(JP,A)
【文献】 特開2005−339256(JP,A)
【文献】 特開2004−194156(JP,A)
【文献】 特開2012−133586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
H04N 21/238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を取得する第1取得手段と、
前記画像の送信に用いられる通信路の伝送容量を示す情報を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段により取得された画像を解析する解析手段と、
前記画像の解析結果および前記伝送容量に応じて、当該画像を送信するための通信条件と当該画像を圧縮するためのパラメーターとを設定する設定手段と、
前記パラメーターを用いて圧縮された画像を前記通信条件に従って送信する送信手段と
を有し、
前記解析手段は、次の送信対象である画像について解析を行い、
前記設定手段は、次の送信対象である画像の前記解析結果および前記伝送容量に応じて、当該画像を送信するための前記通信条件と前記パラメーターとを更新する
画像供給装置。
【請求項2】
前記解析手段は、前記画像が前記送信手段により送信される毎に、次の送信対象である画像について解析を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像供給装置。
【請求項3】
前記パラメーターを用いて前記画像を圧縮する圧縮手段を有し、
前記解析手段は、前記圧縮手段により圧縮された画像を解析する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像供給装置。
【請求項4】
前記解析手段は、前記圧縮手段により圧縮された画像の画質を解析する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像供給装置。
【請求項5】
前記解析手段は、前記圧縮手段により圧縮された画像の解像度または階調数を解析する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像供給装置。
【請求項6】
前記圧縮手段は、圧縮の対象となる画像のうち、当該画像の直前に送信された画像から変更があった領域を圧縮する
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の画像供給装置。
【請求項7】
前記設定手段は、予め決められた上限値および下限値の範囲で前記パラメーターを設定する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像供給装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記画像の属性に応じて前記上限値および前記下限値の少なくとも一方を決定する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像供給装置。
【請求項9】
前記設定手段は、単位時間あたりに画像が送信される回数を前記通信条件として設定する
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像供給装置。
【請求項10】
前記伝送容量を検出する検出手段を有し、
前記第2取得手段は、前記検出手段から前記情報を取得する
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像供給装置。
【請求項11】
像の送信に用いられる通信路の伝送容量を示す情報を取得する第ステップと、
次の送信対象である画像を取得する第2ステップと、
取得された前記次の送信対象である画像を解析する第3ステップと、
前記次の送信対象である画像の解析結果および前記伝送容量に応じて、前記次の送信対象である画像を送信するための通信条件と前記次の送信対象である画像を圧縮するためのパラメーターとを更新する第4ステップと、
前記パラメーターを用いて圧縮された前記次の送信対象である画像を前記通信条件に従って送信する第5ステップと
有する画像供給方法。
【請求項12】
コンピューターに、
像の送信に用いられる通信路の伝送容量を示す情報を取得する第ステップと、
次の送信対象である画像を取得する第2ステップと、
取得された前記次の送信対象である画像を解析する第3ステップと、
前記次の送信対象である画像の解析結果および前記伝送容量に応じて、前記次の送信対象である画像を送信するための通信条件と前記次の送信対象である画像を圧縮するためのパラメーターとを更新する第4ステップと、
前記パラメーターを用いて圧縮された前記次の送信対象である画像を前記通信条件に従って送信する第5ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像供給装置、画像供給方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
送信側端末と受信側端末との間でネットワークを介して画像データを送受信し、受信側端末に画像を表示させるシステムにおいて、帯域の不足によるデータロスまたは伝送遅延の発生を防止するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、PCとプロジェクターとを用いたプロジェクションシステムにおいて、PCとプロジェクターとの通信状況を検出し、検出結果に基づいて、PCからプロジェクターに送信される画像データの単位時間あたりのデータ量(送信間隔、画像圧縮方式、解像度など)を変化させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−49942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、送信される画像のサイズに関係なく、単位時間あたりに送信される画像データのデータ量が決められており、帯域を有効に利用できないという問題があった。これに対し本発明は、画像の送信に用いられる通信路の伝送容量をより有効に利用する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像を取得する第1取得手段と、前記画像の送信に用いられる通信路の伝送容量を示す情報を取得する第2取得手段と、前記第1取得手段により取得された画像を解析する解析手段と、前記画像の解析結果および前記伝送容量に応じて、当該画像を送信するための通信条件と当該画像を圧縮するためのパラメーターとを設定する設定手段と、前記パラメーターを用いて圧縮された画像を前記通信条件に従って送信する送信手段とを有し、前記解析手段は、次の送信対象である画像について解析を行い、前記設定手段は、次の送信対象である画像の前記解析結果および前記伝送容量に応じて、当該画像を送信するための前記通信条件と前記パラメーターとを更新する画像供給装置を提供する。この画像供給装置によれば、画像の解析結果に応じて通信条件とパラメーターとが設定されない場合に比べて、画像の送信に用いられる通信路の伝送容量をより有効に利用することができる。
【0006】
この画像供給装置は、前記パラメーターを用いて前記画像を圧縮する圧縮手段を有し、前記解析手段は、前記圧縮手段により圧縮された画像を解析してもよい。この画像供給装置によれば、圧縮後の画像の解析結果に応じて通信条件とパラメーターとが設定されない場合に比べて、画像の送信に用いられる通信路の伝送容量をより有効に利用することができる。
前記解析手段は、前記画像が前記送信手段により送信される毎に、次の送信対象である画像について解析を行ってもよい。
前記解析手段は、前記圧縮手段により圧縮された画像の画質を解析してもよい。
また、前記解析手段は、前記圧縮手段により圧縮された画像の解像度または階調数を解析してもよい。
【0007】
前記圧縮手段は、圧縮の対象となる画像のうち、当該画像の直前に送信された画像から変更があった領域を圧縮してもよい。この画像供給装置によれば、圧縮の対象となる画像全体が圧縮された場合に比べて、送信される画像のデータ量を抑制することができる。
【0008】
前記設定手段は、予め決められた上限値および下限値の範囲で前記パラメーターを設定してもよい。この画像供給装置によれば、パラメーターの上限値および下限値が決められていない場合に比べて、画像が適度に圧縮される。
【0009】
前記設定手段は、前記画像の属性に応じて前記上限値および前記下限値の少なくとも一方を決定してもよい。この画像供給装置によれば、画像の属性に応じた度合いで画像が圧縮される。
【0010】
前記設定手段は、単位時間あたりに画像が送信される回数を前記通信条件として設定してもよい。この画像供給装置によれば、圧縮後の画像の解析結果に応じて単位時間あたりに画像が送信される回数が設定されない場合に比べて、画像の送信に用いられる通信路の伝送容量をより有効に利用することができる。
【0011】
前記伝送容量を検出する検出手段を有し、前記第2取得手段は、前記検出手段から前記情報を取得してもよい。この画像供給装置によれば、検出された伝送容量を用いて画像が送信される。
【0012】
また、本発明は、像の送信に用いられる通信路の伝送容量を示す情報を取得する第ステップと、次の送信対象である画像を取得する第2ステップと、取得された前記次の送信対象である画像を解析する第3ステップと、前記次の送信対象である画像の解析結果および前記伝送容量に応じて、前記次の送信対象である画像を送信するための通信条件と前記次の送信対象である画像を圧縮するためのパラメーターとを更新する第4ステップと、前記パラメーターを用いて圧縮された前記次の送信対象である画像を前記通信条件に従って送信する第5ステップとを有する画像供給方法を提供する。この画像供給方法によれば、画像の解析結果に応じて通信条件とパラメーターとが設定されない場合に比べて、画像の送信に用いられる通信路の伝送容量をより有効に利用することができる。
【0013】
さらに、本発明は、コンピューターに、像の送信に用いられる通信路の伝送容量を示す情報を取得する第ステップと、次の送信対象である画像を取得する第2ステップと、取得された前記次の送信対象である画像を解析する第3ステップと、前記前記次の送信対象である画像の解析結果および前記伝送容量に応じて、前記次の送信対象である画像を送信するための通信条件と前記次の送信対象である画像を圧縮するためのパラメーターとを更新する第4ステップと、前記パラメーターを用いて圧縮された前記次の送信対象である画像を前記通信条件に従って送信する第5ステップとを実行させるためのプログラムを提供する。このプログラムによれば、画像の解析結果に応じて通信条件とパラメーターとが設定されない場合に比べて、画像の送信に用いられる通信路の伝送容量をより有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る表示システムの概略図。
図2】一実施形態に係るPCの機能構成を示す図。
図3】PCのハードウェア構成を例示する図。
図4】PCの動作を示すフローチャート。
図5】更新領域を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る表示システムC1の概略図である。表示システムC1は、遠隔地にいる複数のユーザーによる会議に用いられる。表示システムC1は、パーソナルコンピューター1(以下、「PC1」という)と、プロジェクター2とを有する。図1において、PC1とプロジェクター2とは、互いに異なる地点に設けられ、インターネットなどのネットワークNを介して通信を行う。図1の例で、PC1とプロジェクター2とは、互いにネットワークNに無線接続されている。PC1は、映像信号をプロジェクター2に送信する画像供給装置である。表示システムC1において、PC1は、自らの表示部105に表示されている画像をプロジェクター2に送信する。プロジェクター2は、映像信号により示される画像をスクリーンSCに投写する画像表示装置である。表示システムC1において、プロジェクター2は、PC1から送信された画像をスクリーンSCに投写する。図1の例で、PC1はユーザーU1により利用され、プロジェクター2はユーザーU2により利用されている。
【0016】
表示システムC1においては、帯域(通信路の伝送容量)の制限によりPC1とプロジェクター2との間で同期がとれない場合がある。この場合、PC1の表示部105に表示される画像とスクリーンSCに投写される画像との間にタイムラグが発生し、また、スクリーンSCに投写される画像が滑らかでなくなることがある。PC1は、単位時間あたりに画像が送信される回数と送信される画像の画質とを、送信される画像のサイズと帯域とに応じて変化させることにより、このような問題に対処する。
【0017】
図2は、一実施形態に係るPC1の機能構成を示す図である。PC1は、第1取得手段10と、圧縮手段11と、解析手段12と、検出手段13と、第2取得手段14と、設定手段15と、送信手段16とを有する。第1取得手段10は、画像を取得する。圧縮手段11は、第1取得手段10により取得された画像を圧縮する。圧縮手段11は、設定手段15により設定されたパラメーターを用いて画像を圧縮する。解析手段12は、圧縮手段11により圧縮された画像を解析する。検出手段13は、画像の送信に用いられる帯域を検出する。第2取得手段14は、画像の送信に用いられる帯域を示す情報を取得する。設定手段15は、解析手段12による画像の解析結果および第2取得手段14により取得された情報が示す帯域に応じて、画像を送信するための通信条件と、画像を圧縮するためのパラメーターとを設定する。送信手段16は、圧縮手段11により圧縮された画像を、設定手段15により設定された通信条件に従って送信する。
【0018】
図3は、一実施形態に係るPC1のハードウェア構成を例示する図である。PC1は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、記憶部104と、表示部105と、入力部106と、通信部107とを有するコンピューターである。CPU101は、ROM102および記憶部104に記憶されているプログラムを読み出し、RAM103を作業エリアにしてプログラムを実行する。ROM102は、各種のプログラムおよびデータを記憶した不揮発性の記憶装置である。RAM103は、データを記憶する揮発性の記憶装置である。
【0019】
記憶部104は、データおよびプログラムを記憶する不揮発性の記憶装置、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。この例で、記憶部104は、ネットワークを介して外部装置に画像を送信するためのプログラム(以下、「会議プログラム」という)を記憶している。
【0020】
表示部105は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を有する。入力部106は、ユーザーによる操作入力を受け付ける装置であり、キーボード、マウス、および各種ボタン等を備える。
【0021】
通信部107は、データを送受信する手段である。通信部107は、ネットワークを介してプロジェクター2などの外部装置と通信を行う通信インタフェースとして機能する。
【0022】
この例で、会議プログラムを実行しているCPU101は、第1取得手段10、圧縮手段11、解析手段12、検出手段13、第2取得手段14、設定手段15、および送信手段16の一例である。
【0023】
2.動作
図4は、一実施形態に係るPC1の動作を示すフローチャートである。以下の処理は、会議プログラムを起動されたことを契機として開始される。なお、PC1とプロジェクター2とは、図4の処理が開始される前に予めネットワークNを介して接続されている。以下の説明においては、会議プログラムを動作の主体として説明することがあるが、これは、このプログラムを実行しているCPU101が他のハードウェア要素と協働して処理を行うことを意味する。
【0024】
ステップS1において、会議プログラムは、画像の送信に利用される帯域を示す情報(以下、「帯域情報」という)を取得する。会議プログラムは、例えば、表示部105に帯域の候補を表示し、ユーザーU1による帯域の選択を受け付けることにより、帯域情報を取得する。ステップS2において、会議プログラムは、表示部105に表示されている画像を取得する。会議プログラムは、取得した画像(以下、「キャプチャ画像」という)をRAM103に記憶する。なお、本実施形態において、RAM103には、新たに取得されたキャプチャ画像と、当該キャプチャ画像よりも1つ前のキャプチャ画像とが記憶される。
【0025】
ステップS3において、会議プログラムは、ステップS2において新たに取得されたキャプチャ画像のうち、当該キャプチャ画像よりも1つ前のキャプチャ画像から変更があった領域(以下、「更新領域」という)を特定する。具体的には、会議プログラムは、RAM103に記憶された2枚のキャプチャ画像を比較して差分を抽出し、当該差分を含む領域を更新領域として特定する。なお、ステップS3の処理が、会議プログラムが起動された後に最初に行われる場合には、会議プログラムは、キャプチャ画像全体を更新領域として特定する。会議プログラムは、特定された更新領域をRAMに記憶する。
【0026】
図5は、更新領域を例示する図である。この例では、プレゼンテーション用のソフトウェアが実行されることにより表示部105に画像Iが表示されている。図5(a)は現フレームの画像I1を表し、図5(b)は前フレーム(現フレームよりも1つ前のフレーム)の画像I2を表す。なお、ここでいうフレームとは、映像を構成する個々の静止画を表す。同図に示すとおり、ユーザーU1はマウスを操作することにより、領域DにおいてカーソルA1を動かしている。この場合、会議プログラムは、領域Dを更新領域として特定する。
【0027】
再び図4を参照する。ステップS4において、会議プログラムは、キャプチャ画像のうちの更新領域を所定のパラメーター(以下、「圧縮パラメーター」という)を用いて圧縮する。圧縮パラメーターは、画像の圧縮に用いられるパラメーターであって、当該パラメーターの値に応じて画像の圧縮率が変化する。すなわち、圧縮後の画像(以下、「圧縮画像」という)のサイズが変化する。圧縮パラメーターには初期値が設定されており、当該パラメーターの値は後述のステップS9およびS12の処理により変更される。会議プログラムは、圧縮画像をRAM103に記憶する。
【0028】
ステップS5において、会議プログラムは、圧縮画像を解析し、当該圧縮画像のサイズを特定する。ステップS6において、会議プログラムは、単位時間あたりに画像を送信する回数f(以下、「送信回数f」という)を通信条件として設定する。送信回数fは、以下の式(1)により算出される。
[数1]
f=Bw/Sz ・・・(1)
ここで、Bwは、ステップS1において取得された帯域情報が示す帯域を表す。Szは、ステップS5において特定された圧縮画像のサイズを表す。会議プログラムは、算出した送信回数fを通信条件として設定する。
【0029】
ステップS7において、会議プログラムは、送信回数fが閾値F1以上であるか否かを判断する。閾値F1は、送信回数fの下限値であり、予め会議プログラムにおいて設定されている。送信回数fが閾値F1を下回ると判断された場合(S7:NO)、会議プログラムは、処理をステップS8に移行する。送信回数fが閾値F1以上であると判断された場合(S7:YES)、会議プログラムは、処理をステップS10に移行する。
【0030】
ステップS8において、会議プログラムは、圧縮画像の画質qが閾値Q1以下であるか否かを判断する。画質qは、圧縮画像の画質(例えば、圧縮画像の解像度または階調数)を示す値であり、会議プログラムが圧縮画像を解析することにより特定される。閾値Q1は、画質qの下限値であり、予め会議プログラムにおいて設定されている。画質qが閾値Q1を上回ると判断された場合(S8:NO)、会議プログラムは、処理をステップS9に移行する。画質qが閾値Q1以下であると判断された場合(S8:YES)、会議プログラムは、処理をステップS13に移行する。
【0031】
ステップS9において、会議プログラムは、圧縮パラメーターを変更する。具体的には、圧縮画像の画質qが所定のレベルだけ下がるように、圧縮パラメーターの値を変更する。ステップS9の処理は、ステップS7の判断条件「F1≦f」を充たすように送信回数fを再設定するために行われる。ステップS9の処理を終えると、会議プログラムは、再び処理をステップS4に移行し、変更後の圧縮パラメーターを用いて再び更新領域を圧縮する。この場合、圧縮画像の画質が下がることにより当該圧縮画像のサイズも小さくなるため、ステップS6において再設定される送信回数fは多くなる。
【0032】
ステップS10において、会議プログラムは、送信回数fが閾値F2以下であるか否かを判断する。閾値F2は、送信回数fの上限値であり、予め会議プログラムにおいて設定されている。送信回数fが閾値F2を上回ると判断された場合(S10:NO)、会議プログラムは、処理をステップS11に移行する。送信回数fが閾値F2以下であると判断された場合(S10:YES)、会議プログラムは、処理をステップS13に移行する。
【0033】
ステップS11において、会議プログラムは、圧縮画像の画質qが閾値Q2以上であるか否かを判断する。閾値Q2は、画質qの上限値であり、予め会議プログラムにおいて設定されている。画質qが閾値Q2を下回ると判断された場合(S11:NO)、会議プログラムは、処理をステップS12に移行する。画質qが閾値Q2以上であると判断された場合(S11:YES)、会議プログラムは、処理をステップS13に移行する。
【0034】
ステップS12において、会議プログラムは、圧縮パラメーターを変更する。具体的には、圧縮画像の画質qが所定のレベルだけ上がるように、圧縮パラメーターの値を変更する。ステップS12の処理は、ステップS10の判断条件「f≦F2」を充たすように送信回数fを設定するために行われる。ステップS12の処理を終えると、会議プログラムは、処理をステップS13に移行する。したがって、ステップS12の処理が行われた場合には、次のキャプチャ画像が圧縮される際に変更後の圧縮パラメーターが用いられる。この場合、次の圧縮画像の画質が上がることにより当該圧縮画像のサイズも大きくなるため、ステップS6において次に設定される送信回数fは少なくなる。
【0035】
ステップS13において、会議プログラムは、圧縮画像をプロジェクター2に送信する。ステップS14において、会議プログラムは、時間Tが経過するまで待機する。時間Tは、以下の式(2)により算出される。ステップS14の処理は、ステップSにおいて算出された送信回数fで画像が送信されるように制御するために行われる。
[数2]
T=(1/f)−t ・・・(2)
なお、式(2)において、fは、ステップS6において算出された送信回数fを表し、tは、ステップS2の処理を開始してからステップS13の処理を開始するまでの所要時間を示す。なお、会議プログラムは、ステップS2からステップS13の処理を行う過程でこの所要時間を測定している。ステップS14の処理を終えると、会議プログラムは、再び処理をステップS2に移行する。
【0036】
以上の処理により、送信される画像のサイズと帯域とに応じて、通信条件と送信される画像の画質とが調整される。したがって、送信される画像のサイズに関係なく通信条件と画質とが調整された場合に比べて、帯域が有効に利用され、PC1とプロジェクター2との間で同期がとりやすくなる。
【0037】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0038】
表示システムC1において用いられる装置は、実施形態に記載した装置に限らない。例えば、画像供給装置としてスマートフォンなどのタブレット端末またはDVD(Digital Versatile Disk)プレイヤーが用いられてもよい。別の例で、画像表示装置として直視の表示装置が用いられてもよい。
【0039】
閾値Q1および閾値Q2は、固定値である場合に限らない。閾値Q1および閾値Q2の少なくとも一方は、キャプチャ画像の元になる画像(以下、「元画像」という)を表示部105に表示していたソフトウェアの種類など、送信される画像の属性に応じて決定されてもよい。例えば、元画像がプレゼンテーション用のソフトウェアが実行されることにより表示されている場合には、閾値Q1および閾値Q2が低めに設定され、元画像が描画用のソフトウェアが実行されることにより表示されている場合には、閾値Q1および閾値Q2が高めに設定されてもよい。この場合、プレゼンテーション時には描画時に比べてスクリーンSCに投写される画像が滑らかになり、描画時にはプレゼンテーション時に比べてスクリーンSCに投写される画像の画質が向上する。
【0040】
会議プログラムが帯域情報を取得する方法は、実施形態に記載した方法に限らない。会議プログラムは、画像供給装置と画像表示装置とが通信を行う過程において帯域情報を検出してもよい。例えば、画像供給装置と画像表示装置との間で、ネットワークNを介して音声の通信がされている場合に、音声パケット内に所定のテストデータを含めて、当該テストデータが画像供給装置と画像表示装置との間を往復する時間を測定することにより、帯域情報が検出されてもよい。この場合、帯域情報の検出は定期的に行われ、検出された帯域情報を利用して通信条件が設定される。
【0041】
本発明が利用される状況は、遠隔会議に限らない。PC1とプロジェクター2とが同じ地点に設けられている場合に、本発明が利用されてもよい。
【0042】
会議プログラムが設定する通信条件は、送信回数に限らない。例えば、会議プログラムは、画像の送信間隔を通信条件として設定してもよい。
【0043】
会議プログラムは、磁気記憶媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記憶媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD)など)、光磁気記憶媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピューターが読み取り可能な記憶媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…PC、2…プロジェクター、10…第1取得手段、11…圧縮手段、12…解析手段、13…検出手段、14…第2取得手段、15…設定手段、16…送信手段、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…記憶部、105…表示部、106…入力部、107…通信部
図1
図2
図3
図4
図5