(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の搬送装置及びその搬送装置を備える印刷装置、もしくは包装装置について図面を参考に説明する。
(包装装置全体の構成)
本発明の実施形態に係る包装装置は、
図1に示すように、予めマークが施された帯状の被搬送媒体1が巻回されてなるフィルムロールRから帯状の被搬送媒体1を繰り出し、プリンタ手段3に導く被搬送媒体繰出手段2と、繰り出された帯状の被搬送媒体1に対して、印刷を行う印刷部としてのプリンタ手段3と、プリンタ手段3によって印刷された被搬送媒体1を枚葉状に切断する切断手段4と、切断手段4により枚葉状となった被搬送媒体1をコンベアベルト51により搬送される被包装物Xの外周に巻回する包装手段52と、プリンタ手段3に対する命令を入力するプリンタ部入力手段53と、プリンタ部入力手段53により入力されたプリンタ情報に基づいて、プリンタ手段3の制御を行うプリンタ制御部54とを、備えている。
そして、フィルムロールRから切断手段4にわたって、被搬送媒体を搬送するための搬送装置が構成されており、搬送装置の搬送経路上に印刷部としてのプリンタ手段3を配置することにより、印刷装置が構成されている。プリンタ手段3には、その上方位置に、プリンタ手段3及び被搬送媒体1を除電する除電手段6が配置されると共に、搬送装置における搬送経路の適宜位置には、搬送する被搬送媒体1の位置決めを行うための基準標7(
図5)が設けられている。
上記のような包装装置において、作業者が、コンベアベルト51の上流(
図1において、左側)に被包装物Xを載置することにより、被包装物Xは、コンベアベルト51上を下流(
図1において、右側)に搬送される間に、包装手段52によってその外周に枚葉状の被搬送媒体1が巻回して包装され、コンベアベルト51の下流側に搬送されるものである。
以下、搬送装置,印刷装置及び包装装置の構成について詳細に説明する。
なお、本発明の実施形態の説明において、「幅」とは、帯状の被搬送媒体1の搬送方向と直交する方向の寸方をいい、「長さ」とは、搬送方向の寸法をいう。
【0011】
(被搬送媒体の構成)
搬送装置,印刷装置及び包装装置について説明するに先立って、本発明の実施形態に係る搬送装置,印刷装置及び包装装置に用いられる被搬送媒体1について説明する。
被搬送媒体1は、帯状の透明もしくは半透明な樹脂製のフィルムにより形成されている。そして、
図2に示すように、フィルムには、繰り出し方向に所定間隔でミシン目等の切断部11が形成されており、切断部11によって分割される各枚葉状部毎に、その幅方向中央位置には、例えば、フィルムにより包装する商品を販売する店舗のロゴマーク等を印刷した位置合わせマーク(マーク)12が予め設けられている。その他、フィルムには、包装を開く際の切り取り指示線や図、絵柄や図柄、プラマーク等が必要に応じて印刷されていてもよい。
【0012】
さらに、帯状のフィルムの幅方向両端部近傍には、切断部11に沿って枚葉状に切断されたフィルムを被包装物Xに巻回する際に端部を接着するための糊面13が形成されている。前記位置合わせマーク12と糊面13との間は、商品の品名、値段、バーコード、製造日、賞味期限、電子レンジの出力別の運転時間、原材料名、保存方法、内容量、販売者などを印刷するための印刷領域14として構成されている。
帯状の樹脂製のフィルム等の被搬送媒体1の使用可能領域の最後には、被搬送媒体1のエンドを示すエンドシールが添付されている。
なお、上記説明において、被搬送媒体1は、全面が透明もしくは半透明なフィルムとして説明しているが、一部が透明もしくは半透明であって、位置合わせマーク12の下方に位置する後述する基準標7がフィルムの表面側から視認できればよく、必ずしも全面が透明もしくは半透明なフィルムでなくてもよい。
【0013】
(被搬送媒体繰出手段の構成)
被搬送媒体繰出手段2は、
図3に示すように、包装装置のフレームに固定されたフィルムロール支持壁21に、フィルムロールRを回転自在に支持するフィルムロール支持軸22、及び、フィルムロールRから繰り出される被搬送媒体1を、テンションを付与しながらプリンタ手段3に導く3つのフィルムターンローラ23,24,25が設けられて形成されている。
フィルムロール支持軸22には、フィルムロールRのセンタリングを可能とする調節機構が設けられており、フィルムの送り出し位置での位置決めを可能としている。
【0014】
(プリンタ手段の構成)
印刷部としてのプリンタ手段3は、
図4,5に示すように、包装装置のフレームに固定された基台31と、基台31から立ち上がる左、右フレーム32a、32bと、左、右フレーム32a,32b間に配置されるプラテンローラ33と、プラテンローラ33の上方位置に対向して配置され、付勢手段34によってプラテンローラ33に対して当接している左右2つのサーマルヘッド35a,35bとを備えており、プラテンローラ33とサーマルヘッド35a,35bとの間を通過する被搬送媒体1の印刷領域14に対して印刷を行う。
プリンタ手段3の左フレーム32aの外面には、プリンタ手段3(及び包装装置)の電源が入っていることを示す表示手段36、及び、サーマルヘッド35a、35bを付勢手段34に抗してプラテンローラ33から離脱させる操作を行うためのハンドル37が配置されている。
【0015】
(除電手段の構成)
プリンタ手段3の被搬送媒体1の搬送方向下流面には、除電手段6を支持するための除電手段支持フレーム6aが前方上方に向かうように固定されており、前記除電手段支持フレーム6aに対して、除電手段6が取付角度調節自在に支持されている。
除電手段6は、
図5に示すように、所定の電荷を生成して、周囲の空気を帯電させるイオン発生手段61と、イオン発生手段61により帯電させた空気aを送り出す送風手段62と、送風手段62により送り出される空気aの送風方向を調節する送風ノズル63とにより構成されており、送風ノズル63は、除電手段6の幅方向に複数配置されている。そして、送風ノズル63から帯電した空気aをプラテンローラ33に向けて送風して、プラテンローラ33及び印刷された被搬送媒体1の除電を行っている。
【0016】
除電手段支持フレーム6aに対する除電手段6の取付角度、もしくは、送風ノズル63の向きを調節することにより、除電手段6により吹き付けられる帯電した空気aが送風される範囲を調節することができる。
また、送風手段62の出力を調節自在としたり、送風ノズル63の開口寸法を変更することにより、空気aの到達範囲を調節することができる。
さらに、除電手段6の幅方向に複数設けられた送風ノズル63をそれぞれ独立して向き等を調節できるように構成することにより、プリンタ手段3の上方に配置した除電手段6によって、搬送手段もしくは包装装置の広い範囲に亘って除電を行うことも可能である。
なお、本実施例においては、除電手段6によって送風される帯電された空気は、サーマルヘッド35a,35bから、被搬送媒体1の搬送範囲の幅全体に広がり、後述する切断手段4までの範囲に行き届くように、その帯電強度、送風強度、送風向きを調節して、プリンタ手段、切断手段、及び、その間の被搬送媒体1の除電を可能としている。
【0017】
(基準標の構成)
図5に示すように、搬送装置の搬送経路上であって、プラテンローラ33の下流近傍位置には、被搬送媒体1の幅方向の位置を調節するための基準標7がネジ等の固定手段gによって固定されている。基準標7は、例えばステンレス等の材料からなり、
図6に示すように、固定するためのネジ孔71aが形成された標固定部71と、標固定部71の上方に連続して搬送面と略平行に形成されるとともに、被搬送媒体1に予め施されたマーク12と略同じ幅を有する標部72とから構成されている。
基準標7の標部72には、例えばシール等を貼ることにより、補助基準面73が形成されている。補助基準面73の幅は、基準標7の幅よりも幅の小さい規格のマーク12の幅と同一に形成されており、基準標7の付け替えをすることなく、規格のことなる被搬送媒体1の位置決めに対応することができる。
そして、
図4に示すように、被搬送媒体1の搬送経路上において、被搬送媒体1に予め施されたマーク12が通過する位置に標部72が対向するように基準標7が固定されている。
【0018】
(切断手段の構成)
図3に示すように、搬送装置の搬送経路上のプリンタ手段3の下流側の下方には、プリンタ手段3により印刷された帯状の被搬送媒体1を所定間隔で切断する切断手段4が配置されている。
切断手段4は、本体部41と、本体部41の上面を開閉自在にカバーするカバー部材42とにより構成され、本体部41には搬送経路の下に位置する下ローラ43a,43bが設けられ、カバー部材42には被搬送媒体1の搬送経路の上に位置する上ローラ43c,43dが設けられている。
下ローラ43a,43bと上ローラ43c,43dにより、送り機構43が構成されて、下ローラ43a,43bと上ローラ43c,43dとで搬送経路中の被搬送媒体1を挟み込んで搬送している。
本体部41の送り機構43の下方位置には、カッタ刃44が配置されており、送り機構43の下ローラ43aと下ローラ43bの間から、上ローラ43cと上ローラ43dとの間にカッタ刃44を突出させることにより、搬送された被搬送媒体1を、切断部11において押切りして枚葉状の巻き帯を作成している。
【0019】
(検出手段の構成)
搬送装置の搬送経路上のプラテンローラ33の上流位置には、被搬送媒体1を検出する検出手段8が設けられており、搬送装置により搬送される被搬送媒体1に予め印刷されたマーク12を検出することによって被搬送媒体1の存否を検出している。
具体的には、被搬送媒体1には、所定間隔にてマーク12が印刷されているので、搬送装置により被搬送媒体1を所定距離搬送したにも関わらず、検出手段8により、マーク12が検出されない場合には、被搬送媒体1が破損等して正常に搬送されていないことを報知する。
また、被搬送媒体1の使用可能領域の最後に添付されたエンドシールを検出することにより、被搬送媒体1がすべて使用されたことを検出して、被搬送媒体1の交換を促す報知をする
【0020】
(フィルムの交換方法)
検出手段8により、被搬送媒体1の終了、もしくは、破損が検出された際の被搬送媒体1の交換もしくは再配置方法について説明する。
包装装置の電源を切り、表示手段36が消灯していることを確認した上で、ハンドル37を操作して、プラテンローラ33からサーマルヘッド35a,35bを離間させるとともに、切断手段4のカバー部材42を開いて送り機構43を開放し、搬送経路中に被搬送媒体1が残存していれば取り除く。
フィルムロールRを交換する場合には、フィルムロール支持軸22に支持される古いフィルムロールRを取り外し、新しいフィルムロールRを取り付けてセンタリングを行い、被搬送媒体1を繰り出す。
【0021】
図3の被搬送媒体1の搬送経路に示すように、フィルムロールRから繰り出された被搬送媒体1をフィルムターンローラ23,24,25に掛け回した後に、離間したプラテンローラ33とサーマルヘッド35a,35b間を通し、切断手段4の開放された送り機構43に通す。
このとき、基準標7の中央に被搬送媒体1のマーク12の中央をあわせることにより、被搬送媒体1の位置合わせをおこなう。ここで、基準標7の標部72の幅は、マーク12の幅と略同一に形成されているので、被搬送媒体1を配置する使用者は、交換時に、被搬送媒体1の表面側から透明部又は半透明部を通してマーク12の下方に位置する基準標7を視認して、マーク12の幅と基準標7の標部72の幅とが重なるようにフィルムロールRから繰り出される被搬送媒体1の位置を調節することにより、被搬送媒体1の印刷領域14を正確に配置することができる。
その後、ハンドル37を操作して、サーマルヘッド35a,35bをプラテンローラ33に当接させることにより、被搬送媒体1を挟み込み、被搬送媒体1の位置ずれを防止することができる。
このように、基準標7を使用して位置決めし、サーマルヘッド35a,35bによりその位置が維持された被搬送媒体1は、送り出し位置においてもフィルムロール支持軸22により位置決めがなされることにより、搬送経路上の2点において位置調整がされて、被搬送媒体1の直線性が担保される。
【0022】
以上のように、本発明の実施形態においては、搬送装置における搬送経路の適宜位置に単純な構成の基準標を設けるだけの構成により、被搬送媒体1に対して予め印刷されているロゴマーク等を利用して位置決め作業を誰でも簡単に行うことができる。また、基準標に補助基準面を形成することにより、複数の被搬送媒体にガイドの機構を変更すること無く対応できるので、作業の効率化と位置決め機構の簡素化を実現できる。
そして、被搬送媒体を搬送経路上の適切な位置に位置決めすることにより、被搬送媒体の搬送時における蛇行による被搬送媒体の破損や被搬送媒体の適正箇所への印刷を可能とすることはもちろんのこと、搬送装置を包装装置に使用した際には、被搬送媒体が商品に対して適切な位置に位置決めされることにより、被包装媒体に印刷される情報が包装される商品の適切な位置に配置するように包装することを可能とする。
また、巻回した透明な樹脂製のフィルムを被搬送媒体とする場合には、被搬送媒体に、所定間隔毎に枚葉状に切断するための切断部が形成されていたり、また、被搬送媒体の両側には糊面が形成されているなどしても、被搬送媒体が被搬送媒体の側面がガイド等に接触して、被搬送媒体が傷つくことなどを防止することができる。
【0023】
なお、本発明の上記実施形態においては、マーク12は、被搬送媒体1の幅方向中央部に施されていたが、マーク12の位置は中央に限定されるものではなく、マーク12として使用するロゴマークによっては、被搬送媒体1の幅方向いずれの位置に設けられることも考えられ、また、複数設けられることも考えられる。それにあわせて、搬送装置における基準標7を固定する位置や数を変更すればよい。
また、基準標7を固定する位置は、搬送装置の搬送経路上のどこに設けてもよいが、位置決め後の被搬送媒体の位置をプリンタ手段のサーマルヘッドによって維持するには、基準標7はサーマルヘッドの上流近傍もしくは下流近傍にあることが望ましい。なお、基準標7は複数設けてもよく、複数設けることによって、搬送装置によって搬送される被搬送媒体1をより正確に配置することができる。
さらに、上述した実施形態では、基準標7に対する補助基準面73は、1つであったが、規格された全ての寸法に併せて複数重ねるように設けても良い。
基準標7との調整に使用されるマークとしては、ロゴマークに限られるものではなく、プリンタ手段3により点や線を印刷してそれをマークとして使用してもよく、また、印刷領域に印刷された何れかの印刷情報をマークとして使用しても良い。さらに、被搬送媒体1に形成されている切り取り用の破線などをマークとして利用して基準標7との位置を調節することも可能である。
【0024】
本発明の搬送装置は、上記実施形態のように印刷装置や包装装置に用いられるものに限られるものではなく、包装装置に限らず、POSレジスタや発券機、検査装置等に用いられるものであっても良い。
また、被搬送媒体1は、透明もしくは半透明なフィルムを用いて説明されているが、前記基準標7に合わせて位置調整が可能であれば、不透明なフィルムであっても良い。