特許第6604010号(P6604010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604010
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】指定管理鳥獣の方向誘導装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20191031BHJP
【FI】
   A01M29/30
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-53329(P2015-53329)
(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-171772(P2016-171772A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 泰啓
(72)【発明者】
【氏名】田邉 靖
(72)【発明者】
【氏名】田房 信之
【審査官】 川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−276911(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3116809(JP,U)
【文献】 特開2003−061554(JP,A)
【文献】 実開昭57−094358(JP,U)
【文献】 実開昭58−141369(JP,U)
【文献】 特開2011−010568(JP,A)
【文献】 特開2011−152060(JP,A)
【文献】 特開2000−050785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−99/00
A01G 11/00−15/00
E02D 17/20
E04H 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定管理鳥獣の侵入が防止される保護領域の近傍で、地面上または地面から前記指定管理鳥獣の足が上がる高さだけ上方の位置に水平方向に多列的に設置された複数枚のネットと、
前記ネットを支持する支持手段と、を備え、
前記ネットの編み目は、前記指定管理鳥獣の足が挿入可能で、かつ前記編み目から前記指定管理鳥獣の足を抜こうとする際に前記足に引っかかる大きさであり、
前記支持手段は、地面に立設された複数本の支柱と、前記ネットの設置列を挟むように前記支柱に張設される複数本のロープと、前記ロープに装着されて前記ネットの端縁を保持する複数個の保持部材とを有し、
前記保持部材は、前記ネットが前記指定管理鳥獣の足に引っかかって引っ張られた場合に、前記ネットの保持を解除する解除機能を有する、
ことを特徴とする指定管理鳥獣の方向誘導装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記ロープに装着される装着部と、前記ネットの端縁を引っかけて保持する保持部とを有し、前記保持部は、前記ネットが引っ張られた場合に弾性変形して前記ネットの保持を解除することを特徴とする請求項1に記載の指定管理鳥獣の方向誘導装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記ロープが挿通可能なように線材がコイル状に巻かれた前記装着部と、前記装着部の端部が前記コイル部分から外周に引き出され、前記ネットが引っかけられるように屈曲された前記保持部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の指定管理鳥獣の方向誘導装置。
【請求項4】
前記支柱は、
地面に立設される柱部と、
前記柱部の上部に設けられて前記ロープがその外周方向から挿入可能なロープ保持部と、を備え、
前記ロープ保持部は、前記柱部に後端が固定され、先端が前記柱部の側面に当接された弾性部材からなり、前記弾性部材は、前記先端と後端との間が前記ロープの挿入が可能なように屈曲されている
ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の指定管理鳥獣の方向誘導装置。
【請求項5】
前記ロープ保持部は、前記柱部に後端が固定され、先端が前記柱部の側面に当接された弾性部材からなり、前記弾性部材は、前記先端と後端との間が前記ロープの挿入が可能なように屈曲されていることを特徴とする請求項4に記載の指定管理鳥獣の方向誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猪や鹿などの指定管理鳥獣による農地や土構造物への有害行動を防止し、指定管理鳥獣が移動する方向を誘導するための方向誘導装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平野の外縁部から山間地までの中山間地域において、人口の減少や生活スタイルの変化に伴い、耕作放棄地の増加や山林原野の利用放棄が広がり、環境の変化が進んでいる。このような環境が変化した中山間地域は、猪や鹿などの大型獣に餌、隠れ場所、水などを提供する生息適地となるため、大型獣の生息数および生息分布域が拡大している。大型獣の増加は、農地での食害や人への被害(噛みつき、寄生虫など)、堤防や土手、盛り土などの土構造物に対する棄損などのさまざまな問題をもたらしている。特に、土構造物では、法面の法尻部に生息するミミズを猪が捕食するために掘り返すなどの有害行動が増加している。法尻部は、斜面安定上極めて重要な部分であり、この部分の緩みは斜面崩壊の危険度を増加させる。また、同様な理由から、猪により石垣を壊される被害も発生している。このような大型獣による被害の拡大を防止するため、環境省では、従来の鳥獣保護法を改正した新たな鳥獣保護管理法において、猪および鹿を適正規模に捕獲可能な指定管理鳥獣として指定している。
【0003】
従来、農地や土構造物などの保護領域内に対する指定管理鳥獣の侵入を防止するため、各種の侵入防止対策が施されている。例えば、従来の侵入防止対策には、金属フェンスや合成樹脂製のネットなどで保護領域内を囲んで指定管理鳥獣の侵入を防止するもの(例えば、特許文献1、2参照)、センサーライトや蓄光機能を有する合成樹脂製のネットから放射される光、電気ショックなどを利用して指定管理鳥獣に不快感や恐怖感を与えて保護領域への侵入を防止するもの(例えば、特許文献3、4参照)、罠などで指定管理鳥獣を駆除するもの(例えば、特許文献5参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−008604号公報
【特許文献2】特開2008−187951号公報
【特許文献3】特開2000−194927号公報
【特許文献4】実用新案登録第3172053号公報
【特許文献5】特開2014−083049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の侵入防止対策は、その設置に多額の費用や手間を必要とするだけでなく、金属フェンスやネットの破損状況の確認や、電気ショックを与えるための電気設備のメンテナンスなど、ランニングコストの負担が大きい。また、従来の侵入防止対策は、その設置コストが大きいことから、指定管理鳥獣に設備を破損された場合の被害額も大きくなってしまう。さらに、大がかりな設備は、人や車両の移動に制約がかかることから、小規模な農地などには実施しにくいという問題もある。
【0006】
また、改正後の鳥獣保護管理法では、罠などで捕獲した指定管理鳥獣をその場で放置することが認められているため、集落周辺で捕獲された指定管理鳥獣がその場に放置される可能性がある。このような事態が発生した場合、放置された指定管理鳥獣の腐敗によるハエの発生や、住民の衛生に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、設置コストやランニングコストが低廉でありながら、農地や土構造物などの保護領域への高い侵入防止効果が得られる指定管理鳥獣の方向誘導装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、指定管理鳥獣の侵入が防止される保護領域の近傍で、地面上または地面から前記指定管理鳥獣の足が上がる高さだけ上方の位置に水平方向に多列的に設置された複数枚のネットと、前記ネットを支持する支持手段と、を備え、前記ネットの編み目は、前記指定管理鳥獣の足が挿入可能で、かつ前記編み目から前記指定管理鳥獣の足を抜こうとする際に前記足に引っかかる大きさであり、前記支持手段は、地面に立設された複数本の支柱と、前記ネットの設置列を挟むように前記支柱に張設される複数本のロープと、前記ロープに装着されて前記ネットの端縁を保持する複数個の保持部材とを有し、前記保持部材は、前記ネットが前記指定管理鳥獣の足に引っかかって引っ張られた場合に、前記ネットの保持を解除する解除機能を有することを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、保持部材は、ロープに装着される装着部と、ネットの端縁を引っかけて保持する保持部とを有し、保持部は、ネットが引っ張られた場合に弾性変形してネットの保持を解除することを特徴とする。
【0013】
請求項の発明は、保持部材は、ロープが挿通可能なようにコイル状に巻かれた装着部と、装着部の端部がコイル部分から外周に引き出され、ネットが引っかけられるように屈曲された保持部とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項の発明は、支柱は、地面に立設される柱部と、柱部の上部に設けられてロープがその外周方向から挿入可能なロープ保持部とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、ロープ保持部は、柱部に後端が固定され、先端が柱部の側面に当接された弾性部材からなり、弾性部材は、先端と後端との間がロープの挿入可能なように屈曲されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
指定管理鳥獣として指定されている猪や鹿などの偶蹄目は、足の先端に2本の主蹄と、そのやや上の後ろ側に2本の副蹄とを有し、これら主蹄や副蹄の間に物が挟まり、あるいは足自体が挟まる可能性があるものを嫌う習性がある。また、猪や鹿は、自分の前足は見えるが後ろ足は見えないため、後足を下ろす位置は自分では意識してコントロールすることができない。そのため、請求項1の発明によれば、本装置に猪や鹿が侵入した場合に、前足がネットの編み目に挿入されて絡まり、足が曲げられバランスを崩す等の現象を高い確率で経験することになる。また、主蹄や副蹄にネットが挟まることにより、猪や鹿に不快感を与えることもできる。仮に、前足が無事に侵入して着地できたとしても、死角であり意識して着地場所をコントロールできない後足は、前足より更に高い確率でネットに絡まり、主蹄および副蹄の間にネットが挟まることになる。したがって、地面上または地面から所定高さだけ上方の位置に、複数枚のネットを水平方向に多列的に設置するという非常に簡素な構成でありながら、保護領域内への指定管理鳥獣の侵入を効果的に防止し、その保護領域外に指定管理鳥獣の移動方向を誘導することができる。
【0018】
また、支持手段が、複数本の支柱、複数本のロープおよび複数個の保持部材という簡素な構成であるため、設置の費用が安く、手間もかからないため、小規模の農地でも簡単に施工することができる。また、従来のフェンス型の装置に比べて、メンテナンス費用も抑えることができる。
【0019】
さらに、ネットの編み目の大きさを適正にサイズにしたので、指定管理鳥獣の足に確実に引っかけて絡めることができる。
【0020】
そして、保持部材は、ネットが指定管理鳥獣の足に引っかかって引っ張られた場合にネットの保持を解除するので、支柱、ロープおよびその他のネットへの影響(破壊等)を避けることができると伴に、指定管理鳥獣は足にネットが絡まった不快な状態を学習することになるので、本装置の不快感を学習した指定管理鳥獣の侵入を効果的に防止することができる。
【0021】
請求項記載の発明によれば、保持部材の保持部は、ネットが引っ張られた場合に弾性変形してネットの保持を解除する簡便な構成なのでローコストに採用することができる。
【0022】
請求項記載の発明によれば、保持部材の装着部は、ロープが挿通可能なようにコイル状に巻かれているので、ロープに装着後に簡単に位置を調整することができる。また、保持部材の保持部は、装着部の端部がコイル部分から外周に引き出されて屈曲されたものなので、簡単にネットの装着を行うことができる。したがって、本装置の設置にかかる手間を大幅に軽減することができる。
【0023】
請求項記載の発明によれば、支柱の柱部に設けられたロープ保持部に対し、ロープをその外周方向から挿入して保持させることができるので、保持部材が装着された後のロープでも簡単に支柱に保持させることができる。したがって、本装置の設置にかかる手間を大幅に軽減することができる。
【0024】
請求項記載の発明によれば、ロープ保持部を、後端が固定され先端が柱部に当接された弾性部材という簡素な構造体により構成しているので、ローコストに採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施の形態に係る指定管理鳥獣の方向誘導装置を示す概略構成図である。
図2図1の指定管理鳥獣の方向誘導装置の最小構成を示す概略構成図である。
図3図1の保持部材の外観形状を示す斜視図である。
図4図1の支柱の概略構成を示す側面図である。
図5図1の指定管理鳥獣の方向誘導装置に猪が侵入した状態を示す説明図である。
図6】猪の足に図1に示すネットが絡まった状態、および主蹄および副蹄にネットが挟まった状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0027】
図1ないし図6は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る指定管理鳥獣の方向誘導装置(以下、誘導装置という)1を示す概略構成図である。方向誘導装置1は、例えば、傾斜した法面21を有する土手2の法尻部22に法面21の下端に沿うように設置されている。猪3や鹿などの指定管理鳥獣は、法面21および法尻部22に生息するミミズや、植生する草木などを捕食するために土手2に出没し、法面21や法尻部22を掘り返す。方向誘導装置1は、指定管理鳥獣の法尻部22および法面21への侵入を防止して、指定管理鳥獣の移動方向を保護領域である土手2以外の場所へ誘導する。
【0028】
図1および図2に示すように、方向誘導装置1は、地面Gから所定高さTだけ上方の位置に水平方向に多列的に設置された複数枚のネット4と、ネット4を支持する支持手段である複数本の支柱5、ネット4の設置列を挟むように支柱5に張設される複数本のロープ6、およびロープ6に装着されてネット4の端縁を保持する複数個の保持部材7を備える。
【0029】
ネット4は、例えば短辺L1が20〜30cm、長辺L2が30〜50cmの正方形または長方形である。ネット4には、猪3などの指定管理鳥獣の足31が挿入可能で、かつ指定管理鳥獣が足31を抜こうとする際に足31に引っかかる大きさの編み目41が複数設けられている。編み目41は、例えば1辺が2〜5cmの正方形、長方形をしている。なお、編み目41の形状は、正方形、長方形以外の多角形でもよいし、三角形、円形または楕円形であってもよい。ネット4には、合成樹脂製のものを用いてもよいし、金属製のものを用いてもよい。
【0030】
ネット4は、図示するように、地面Gから所定高さTだけ上方の位置に設置してもよいし、地面Gに直接設定してもよい。ネット4が設置される限界高さとしては、例えば、猪2が法尻部22に進入する際に足31が上がる高さが好ましく、例えば20cm程度が好ましい。したがって、ネット4の設置高さTは、地面Gから0〜20cmの範囲が好ましい。
【0031】
図3に示すように、支柱5は、地面Gに立設される柱部51と、柱部51の上部に設けられてロープ6がその外周方向から挿入可能なロープ保持部52とを備える。柱部51は、断面が円形または多角形形状のいわゆるペグと呼ばれる杭である。ロープ保持部52は、柱部51に後端51bが固定され、先端51aが柱部51の側面に当接された金属板の弾性部材からなる。ロープ保持部52は、先端51aと後端51bとの間がロープ6の挿入可能な空間が形成されるように屈曲されている。なお、ロープ保持部51を金属板で構成したが、金属製の弾性を有する線材や、耐候性を有する合成樹脂製の板材または線材を用いてもよい。
【0032】
図4に示すように、保持部材7は、ロープに装着される装着部71と、ネット4の端縁を引っかけて保持する保持部72とを有し、保持部72は、ネット4が引っ張られた場合に弾性変形してネット4の保持を解除する機能を有する。装着部71は、ロープ6が挿通可能なように丸棒状の線材がコイル状に巻かれた形態をしている。また、保持部72は、装着部71の両端部がコイル部分から外周に引き出され、ネット4が引っかけられるように屈曲された形態となっている。線材としては、例えば、弾性を有する金属線材が用いられる。なお、耐候性を有する合成樹脂製の線材を用いてもよい。
【0033】
次に、上記方向誘導装置1の作用について説明する。図1に示すように、方向誘導装置1は、最初に土手2の法尻部22に複数本の支柱5を所定間隔で立設する。次いで、予め複数個の保持部材7が挿通された複数本のロープ6を支柱5のロープ保持部52に保持させていき、ロープ6の両端を端部の支柱5に固定して張設する。最後に、ロープ6に保持されている保持部材7の位置を調節しながら、保持部材7の保持部72に複数枚のネット4の端部を順に引っかけていき、ネット4を地面Gから所定高さに設置する。このように、本実施形態の方向誘導装置1の設定は、非常に簡単であり、手間がかからないため、短時間で施工することが可能である。
【0034】
図5に示すように、猪3などの指定管理鳥獣は、法面21および法尻部22に生息するミミズや、植生している草木を捕食するために土手2に出没する。猪3が法尻部22に足31を踏み入れると、足31はネット4の編み目41に挿入される。図6に示すように、猪3や鹿などの偶蹄目の足31は、先端に2本の主蹄31aを有し、主蹄31aの後方上部には、軟質の膨張部31bがある。また、膨張部31bの上部には、2本の副蹄31cが存在する。
【0035】
足31が挿入されたネット4は、編み目41が副蹄31cの上部で絡まり、主蹄31aの間や、足31と副蹄31との間に挟まる。指定管理鳥獣は、主蹄31aや副蹄31cの間に物が挟まったり、足31自体が挟まる可能性があるものを嫌う習性があるため、ネット4から足31を抜こうとして足31を上げ下ろししたり、法尻部22から後退する。ネット4は、足31の膨張部31bに引っかかり、主蹄31aや副蹄31cに挟まっているため、足31は容易にネット4から抜けることはない。そのため、ネット4が猪3に引っ張られることにより、保持部材7の保持部72が弾性変形してネット4の保持が解除される。猪3は、足31にネット4が絡まり、不快な状態が維持されるため、法尻部22への侵入を諦めて移動方向を変更する。
【0036】
仮に、猪3の前足が無事に法尻部22内に侵入して着地できたとしても、死角であり意識して着地場所をコントロールできない後足は、前足より更に高い確率でネット4に絡まり、主蹄31aおよび副蹄31cの間にネット4が挟まることになる。したがって、猪3の後足31にも不快感を与えることができるので、法尻部22への侵入を防止することができる。
【0037】
以上で説明したように、地面G上または地面Gから所定高さTに複数枚のネット4を水平方向に多列的に設置するという非常に簡素な構成でありながら、土手2という保護領域への指定管理鳥獣の侵入を効果的に防止し、保護領域外に指定管理鳥獣の移動方向を誘導することができる。また、複数枚のネット4は、複数本の支柱5、複数本のロープ6および複数個の保持部材7という簡素な構成で保持できるため、設置の費用が安く、手間もかからないため、小規模の農地でも簡単に施工することができる。また、従来のフェンス型の装置に比べて、メンテナンス費用も抑えることができる。
【0038】
さらに、ネット4の編み目41の大きさを、指定管理鳥獣の足31が挿入可能で、かつ指定管理鳥獣が足31を抜こうとする際に足31に引っかかる適正にサイズにしたので、指定管理鳥獣の足に確実に引っかけて絡めることができる。
【0039】
また、保持部材7は、ネット4が指定管理鳥獣の足31に引っかかって引っ張られた場合にネット4の保持を解除するので、指定管理鳥獣は足31にネット4が絡まった不快な状態を学習することになる。したがって、本装置の不快感を学習した指定管理鳥獣の侵入を効果的に防止することができる。また、保持部材7の保持部72は、ネットが引っ張られた場合に弾性変形してネット4の保持を解除する簡便な構成なのでローコストに採用することができる。さらに、保持部材7の装着部71は、ロープ6が挿通可能なようにコイル状に巻かれているので、ロープ6に装着後に簡単に位置を調整することができる。また、保持部材7の保持部72は、装着部71の端部がコイル部分から外周に引き出されて屈曲されたものなので、簡単にネット4の装着を行うことができる。したがって、本装置の設置にかかる手間を大幅に軽減することができる。
【0040】
さらに、支柱5の柱部51に設けられたロープ保持部52に対し、ロープ6をその外周方向から挿入して保持させることができるので、保持部材7が装着された後のロープ6でも簡単に支柱5に保持させることができる。したがって、本装置の設置にかかる手間を大幅に軽減することができる。また、ロープ保持部を、後端が固定され先端が柱部に当接された弾性部材という簡素な構造体により構成しているので、ローコストに採用することができる。
【0041】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、ロープ6に予め装着される保持部材7を用いたが、支柱5に保持された後のロープ6に着脱自在な保持部材を装着するようにしてもよい。この場合、支柱5には、ロープ6を外周方向から挿入可能にするロープ保持部52が不要になるので、支柱5のコストをさらに下げることができる。
【0042】
また、本発明の方向誘導装置を複数セット設置して、所定の位置に設置した捕獲用の罠まで指定管理鳥獣を誘導するようにすることもできる。これによれば、本発明の方向誘導装置を指定管理鳥獣により有害行動を防止するという消極的な利用だけでなく、指定管理鳥獣の個体数の制御という積極的な有害行動の防止にも利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 指定管理鳥獣の方向誘導装置
2 土手
3 猪
31 足
4 ネット
41 編み目
5 支柱
51 柱部
52 ロープ保持部
6 ロープ
7 保持部材
71 装着部
72 保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6