特許第6604016号(P6604016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604016
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   H02K5/10 Z
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-73263(P2015-73263)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-192885(P2016-192885A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱岸 憲一朗
(72)【発明者】
【氏名】木崎 紘典
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−039381(JP,A)
【文献】 特開平07−231613(JP,A)
【文献】 特開2008−219983(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/120934(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/021294(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/120065(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0208586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを備えるモータであって、
前記シャフトに固定される電機子と、
下側に開口する下側開口部を有し前記電機子を収容する筒状のハウジングと、
前記下側開口部に位置し前記電機子に電流を供給するブラシカードアセンブリと、
前記ブラシカードアセンブリの下側に位置し前記ハウジングと固定される筒状のブラケットと、
前記ハウジングと前記ブラケットとの間に位置する弾性体製のシール部材と、
を備え、
前記ハウジングおよび前記ブラケットは、金属製であり、
前記ブラシカードアセンブリは、前記シャフトを周方向に囲む筒状のブラシカード筒部と、前記ブラシカード筒部から径方向外側に延びるブラシカードフランジ部と、を有し、
前記シール部材は、前記ブラシカードフランジ部の上面と前記ハウジングとの間に位置する上側シール部と、前記ブラシカードフランジ部の下面と前記ブラケットとの間に位置する下側シール部と、を有し、
前記ハウジングの下端面であるハウジング下端面と前記ブラケットの上端面であるブラケット上端面とは、軸方向に対向し、
前記ハウジング下端面および前記ブラケット上端面は、互いに接触する接触部と、互いに軸方向に離れる離間部と、を有し、
前記モータには、前記ハウジング下端面の前記離間部と前記ブラケット上端面の前記離間部との軸方向の間に位置し径方向に開口する径方向開口部が設けられ、
前記シール部材は、前記径方向開口部に位置する介在部を有し、
前記介在部は、前記ブラシカードフランジ部の径方向外側の少なくとも一部を覆う側壁部を含み、
前記上側シール部と前記下側シール部とは、前記側壁部を介して接触するモータ。
【請求項2】
前記介在部の上面は、前記ハウジング下端面と接触し、
前記介在部の下面は、前記ブラケット上端面と接触する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記上側シール部および前記下側シール部は、前記シャフトを周方向に囲む環状である、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記側壁部は、前記上側シール部と前記下側シール部とのうちの一方に設けられ、
前記上側シール部と前記下側シール部とのうちの他方における径方向外側の端部は、前記側壁部の径方向内側の面と接触する、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記シール部材は、単一の部材であり、
前記上側シール部と前記下側シール部とは、前記側壁部を介して連結される、請求項1または4に記載のモータ。
【請求項6】
前記シール部材は、単一の部材であり、前記上側シール部と前記下側シール部とを連結するヒンジ部を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記ハウジングと前記ブラケットとのうちの少なくとも一方は、軸方向に延び先端に前記接触部を有する固定壁部を有し、
前記介在部は、前記固定壁部の周方向の側面である固定壁部側面と接触する、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記介在部における前記固定壁部側面と接触する部分は、軸方向に対して傾斜する、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記ハウジングと前記ブラケットとのうちの一方は、軸方向に延び先端に前記接触部を有する固定壁部を有し、
前記上側シール部と前記下側シール部とのうちの、前記ブラシカードフランジ部に対して前記ハウジングと前記ブラケットとのうちの他方側に位置するシール部材は、前記固定壁部における径方向内側の面である固定壁部内側面と接触する、請求項1から8のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項10】
前記固定壁部内側面は、下側から上側に向かうに従って前記中心軸から離れる傾斜面を有し、
前記上側シール部は、前記傾斜面と接触する、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記ハウジングと前記ブラケットとのうちの少なくとも一方は、軸方向に延び先端に前記接触部を有する固定壁部を有し、
前記ブラシカードアセンブリは、前記ブラシカードフランジ部よりも径方向外側に位置するコネクタ部を有し、
前記コネクタ部の少なくとも一部は、前記径方向開口部に位置し、
前記介在部は、前記上側シール部と前記下側シール部とのうちの少なくとも一方に設けられ軸方向に突出する介在突出部を含み、
前記介在突出部は、前記コネクタ部と前記固定壁部との周方向の間に位置する、請求項1から10のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項12】
前記ブラシカードアセンブリは、前記ブラシカードフランジ部から径方向外側に突出するブラシカード突出部を有し、
前記上側シール部と前記下側シール部とのうちの少なくとも一方は、前記ブラシカード突出部に引っ掛けられる、請求項1から11のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項13】
前記径方向開口部の周方向の寸法の合計は、前記接触部の周方向の寸法の合計よりも大きい、請求項1から12のいずれか一項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ヨークの外フランジ部とブラケットの周縁部との間をシールするシール部を備えた電動モータが記載されている。このような電動モータは、車両等の屋外で用いることができるように、シール部によってモータ内部へ水の浸入を防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−039381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動モータにおいては、ヨークの外フランジ部とブラケットの周縁部とが接触し、シール部はヨークとブラケットとの接触する部分における径方向外縁よりも径方向内側に位置する。
【0005】
このような構成では、ヨークとブラケットとが互いに接触する接触部同士の間に径方向外縁から水が浸入し、ヨークおよびブラケットの接触部が腐食する虞があった。これにより、電動モータの防水性が低下する問題があった。
【0006】
また、ヨークおよびブラケットの接触部の腐食は、径方向内側に進行し、ヨークおよびブラケットにおけるシール部の位置する部分にまでおよぶ場合がある。この場合、シール部によるヨークとブラケットとの間のシールが不十分となりやすく、電動モータの防水性がより低下する問題があった。
【0007】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、防水性を向上できる構造を有するモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のモータの一つの態様は、上下方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを備えるモータであって、前記シャフトに固定される電機子と、下側に開口する下側開口部を有し前記電機子を収容する筒状のハウジングと、前記下側開口部に位置し前記電機子に電流を供給するブラシカードアセンブリと、前記ブラシカードアセンブリの下側に位置し前記ハウジングと固定される筒状のブラケットと、前記ハウジングと前記ブラケットとの間に位置する弾性体製のシール部材と、を備え、前記ハウジングおよび前記ブラケットは、金属製であり、前記ブラシカードアセンブリは、前記シャフトを周方向に囲む筒状のブラシカード筒部と、前記ブラシカード筒部から径方向外側に延びるブラシカードフランジ部と、を有し、前記シール部材は、前記ブラシカードフランジ部の上面と前記ハウジングとの間に位置する上側シール部と、前記ブラシカードフランジ部の下面と前記ブラケットとの間に位置する下側シール部と、を有し、前記ハウジングの下端面であるハウジング下端面と前記ブラケットの上端面であるブラケット上端面とは、軸方向に対向し、前記ハウジング下端面および前記ブラケット上端面は、互いに接触する接触部と、互いに軸方向に離れる離間部と、を有し、前記モータには、前記ハウジング下端面の前記離間部と前記ブラケット上端面の前記離間部との軸方向の間に位置し径方向に開口する径方向開口部が設けられ、前記シール部材は、前記径方向開口部に位置する介在部を有し、前記介在部は、前記ブラシカードフランジ部の径方向外側の少なくとも一部を覆う側壁部を含み、前記上側シール部と前記下側シール部とは、前記側壁部を介して接触する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、防水性を向上できる構造を有するモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態のモータを示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態のモータの部分を示す分解斜視図である。
図3図3は、第1実施形態のモータを示す図であって、図1におけるIII−III断面図である。
図4図4は、第1実施形態のモータの部分を示す平面図である。
図5図5は、第1実施形態のモータの部分を示す断面図である。
図6図6は、第1実施形態のブラシカードアセンブリおよびシール部材を示す側面図である。
図7図7は、第1実施形態のモータの部分を示す平面図である。
図8図8は、第1実施形態の他の一例であるモータの部分を示す断面図である。
図9図9は、第1実施形態の他の一例であるモータの部分を示す側面図である。
図10図10は、第2実施形態のブラシカードアセンブリおよびシール部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0012】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってコネクタ部53の突出する方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0013】
また、以下の説明においては、中心軸Jの延びる方向(Z軸方向)を上下方向とする。Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「下側」と呼ぶ。なお、上下方向、上側および下側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向(θ方向)、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0014】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0015】
<第1実施形態>
図1から図4は、本実施形態のモータ10を示す図である。図1は、斜視図である。図2は、分解斜視図である。図3は、図1におけるIII−III断面図である。図4は、平面図である。図2および図4においては、ハウジング20、電機子40等の図示を省略している。
【0016】
図1から図3に示すように、モータ10は、ハウジング20と、ブラケット30と、シャフト41と、電機子40と、整流子44と、ブラシカードアセンブリ50と、シール部材60と、マグネット70と、上側ベアリング71と、下側ベアリング72と、オイルシール73と、を備える。
【0017】
[シャフト]
図3に示すように、シャフト41は、上下方向(Z軸方向)に延びる中心軸Jを中心とする。シャフト41は、中心軸J周り(±θ方向)に回転可能に支持される。シャフト41の下端は、後述する出力軸孔31gを介してブラケット30の外部に露出する。
【0018】
[電機子および整流子]
電機子40は、シャフト41に固定される。電機子40は、シャフト41とともに中心軸J周り(±θ方向)に回転可能である。電機子40は、コア42と、コイル43と、を有する。コア42は、シャフト41の外周面に固定される。コイル43は、コア42に巻き回される。
【0019】
整流子44は、電機子40の下側に位置し、シャフト41に固定される。整流子44は、コイル43と電気的に接続される。整流子44は、後述するブラシ54と接触する。コイル43には、ブラシ54を通じて整流子44から電流が供給される。これにより、電機子40が励磁される。
【0020】
[上側ベアリングおよび下側ベアリング]
上側ベアリング71と下側ベアリング72とは、シャフト41を回転可能に支持する。上側ベアリング71は、電機子40よりも上側に位置する。上側ベアリング71は、ハウジング20の後述する上側ベアリング保持部24に保持される。下側ベアリング72は、整流子44よりも下側に位置する。下側ベアリング72は、ブラケット30の後述する下側ベアリング保持部31dに保持される。
【0021】
[マグネット]
マグネット70は、ハウジング20の内周面に固定される。マグネット70は、電機子40と径方向に対向する。マグネット70の磁極は、周方向に沿ってN極とS極とが交互に配置される。マグネット70は、単一の部材であってもよいし、周方向に沿って複数に分割されてもよい。
【0022】
[オイルシール]
オイルシール73は、後述するオイルシール保持部31eに保持される。オイルシール73は、モータ10の外部のオイルが下側ベアリング72を通じてモータ10の内部へ浸入するのを防止するために用いられる。
【0023】
[ハウジング]
ハウジング20は、電機子40を収容する有蓋の筒状である。ハウジング20は、金属製であって、例えば鉄製である。ハウジング20は、鉄製であるため、マグネット70のヨークとして機能する。
【0024】
ハウジング20は、ハウジング筒部21と、ハウジングフランジ部22と、を有する。ハウジング筒部21は、下側に開口する下側開口部21aを有する有蓋の筒状である。すなわち、ハウジング20は、下側に開口する下側開口部21aを有する。ハウジング筒部21は、上側の端部に上側ベアリング保持部24を有する。上側ベアリング保持部24の径方向内側には、上側ベアリング71が保持される。
【0025】
ハウジング筒部21の直径は、上側ベアリング保持部24、上側ベアリング保持部24の下側の筒状の部位、下側開口部21aの順で階段状に大きくなる。すなわち、本実施形態においてハウジング筒部21は、有蓋で、かつ、中心軸Jと同心の多段の円筒状である。
【0026】
ハウジングフランジ部22は、ハウジング筒部21の下側の端部から、径方向外側に延びる。図1に示すように、ハウジングフランジ部22は、ハウジングフランジ部22を軸方向に貫通する孔部である取付孔部25および固定孔部26を有する。
【0027】
取付孔部25には、モータ10を例えば車体等に取り付けるネジが通される。固定孔部26には、ハウジング20とブラケット30とを固定するネジ74が通される。取付孔部25の数および固定孔部26の数は、特に限定されない。本実施形態においてハウジングフランジ部22は、取付孔部25を例えば3つ有する。本実施形態においてハウジングフランジ部22は、固定孔部26を例えば2つ有する。
【0028】
[ブラケット]
図2および図3に示すように、ブラケット30は、ブラシカードアセンブリ50の下側に位置する。ブラケット30は、ハウジング20と固定される。ブラケット30は、筒状である。ブラケット30は、金属製であって、例えばアルミニウム製である。図2に示すように、ブラケット30は、ブラケット本体部31と、固定壁部32,33,34と、を有する。
【0029】
図3に示すように、ブラケット本体部31は、ブラケット底部31aと、ブラケット筒部31bと、ブラケットフランジ部31cと、下側ベアリング保持部31dと、オイルシール保持部31eと、補強壁31hと、を有する。
【0030】
ブラケット底部31aは、後述するブラシカード筒部51の下側を覆う。ブラケット底部31aは、中央にブラケット底部31aを軸方向に貫通する出力軸孔31gを有する。出力軸孔31gには、シャフト41が通される。
【0031】
ブラケット筒部31bは、ブラケット底部31aの径方向外縁から上側に延びる。ブラケットフランジ部31cは、ブラケット筒部31bの上側の端部から径方向外側に延びる。
【0032】
下側ベアリング保持部31dは、ブラケット底部31aから上側に延びる。下側ベアリング保持部31dは、出力軸孔31gよりも径方向外側に位置する。下側ベアリング保持部31dは、シャフト41を周方向に囲む筒状である。下側ベアリング保持部31dの内側には、下側ベアリング72が保持される。
【0033】
オイルシール保持部31eは、ブラケット底部31aから下側に延びる。オイルシール保持部31eは、出力軸孔31gよりも径方向外側に位置する。オイルシール保持部31eは、シャフト41を周方向に囲む筒状である。オイルシール保持部31eの内側には、オイルシール73が保持される。
【0034】
図2に示すように、補強壁31hは、下側ベアリング保持部31dの外周面からブラケット筒部31bの内周面の手前まで径方向外側に延びる。すなわち、補強壁31hの径方向外側の端部は、ブラケット筒部31bの内周面から径方向内側に離れた位置にある。図2の例では、補強壁31hは、例えば、6つ設けられる。6つの補強壁31hは、周方向に等間隔に配置される。補強壁31hによって、下側ベアリング72を中心にブラケット30の全体に荷重が掛かる場合であっても、ブラケット30が撓むことを抑制できる。
【0035】
固定壁部32〜34は、ブラケット本体部31の径方向外縁に位置する。固定壁部32〜34は、ブラケットフランジ部31cよりも軸方向上側に延びる。図2および図4に示すように、固定壁部32〜34は、周方向に沿って互いに離れて設けられる。固定壁部32と固定壁部33とは、中心軸Jを基準として互いに反対側に位置する。図4に示すように、固定壁部34は、固定壁部32から固定壁部33までを、中心軸Jを中心として反時計回り(+θ向き)に周方向に辿る間に位置する。
【0036】
固定壁部32〜34は、固定壁部32〜34を軸方向に貫通する孔部である取付孔部36を有する。取付孔部36は、ハウジング20の取付孔部25と軸方向に重なる。すなわち、モータ10を例えば車体等に取り付けるネジは、ハウジング20の取付孔部25とブラケットの取付孔部36とに通される。
【0037】
固定壁部32および固定壁部33は、固定壁部32および固定壁部33を軸方向に貫通する孔部である固定孔部37を有する。固定孔部37は、例えば、内側にネジ山を有するネジ孔である。固定孔部37は、ハウジング20の固定孔部26と軸方向に重なる。図1に示すネジ74は、ハウジング20の固定孔部26を介して、ネジ孔である固定孔部37に締め込まれる。これにより、ハウジング20とブラケット30とが固定される。
【0038】
図5は、モータ10の部分を示す図であって、固定壁部32とシール部材60とが接触する部分を示す断面図である。図5に示すように、固定壁部32における径方向内側の面である固定壁部内側面32bは、内壁面32cと、傾斜面32dと、を有する。内壁面32cは、ブラケットフランジ部31cの上面、すなわち、後述するブラケット側離間部31fから上側に延びる面である。
【0039】
傾斜面32dは、内壁面32cの上側の端部と固定壁部32の上面、すなわち、後述するブラケット側接触部32aとに接続される。傾斜面32dは、下側から上側に向かうに従って中心軸Jから離れる。傾斜面32dは、固定壁部32の上側の端部における径方向内縁が面取りされた面取り面である。固定壁部33および固定壁部34における径方向内側の面は、固定壁部32と同様に、内壁面と、傾斜面と、を有する。
【0040】
図1に示すように、ハウジング20の下端面であるハウジング下端面23とブラケット30の上端面であるブラケット上端面35とは、軸方向に対向する。ハウジング下端面23およびブラケット上端面35は、互いに接触する接触部と、互いに軸方向に離れる離間部と、を有する。
【0041】
具体的にハウジング下端面23は、ハウジング側接触部(接触部)23aと、ハウジング側離間部(離間部)23bと、を有する。ハウジング側接触部23aは、ブラケット上端面35と接触する接触部である。ハウジング側離間部23bは、ブラケット上端面35と軸方向に離れる離間部である。本実施形態においてハウジング下端面23は、ハウジングフランジ部22の下面である。
【0042】
図2に示すように、本実施形態においてブラケット上端面35は、固定壁部32〜34の上面と、ブラケットフランジ部31cの上面と、を含む面である。ブラケット上端面35は、ブラケット側接触部(接触部)32a,33a,34aと、ブラケット側離間部(離間部)31fと、を有する。ブラケット側接触部32a,33a,34aは、ハウジング下端面23と接触する接触部である。ブラケット側離間部31fは、ハウジング下端面23と軸方向に離れる離間部である。
【0043】
ブラケット側接触部32aは、固定壁部32の上面である。ブラケット側接触部33aは、固定壁部33の上面である。ブラケット側接触部34aは、固定壁部34の上面である。すなわち、固定壁部32〜34は、先端、すなわち上側の端部に接触部を有する。ブラケット側離間部31fは、ブラケットフランジ部31cの上面である。
【0044】
図1および図2に示すように、モータ10には、径方向開口部11a,11b,11cが設けられる。径方向開口部11a〜11cは、ハウジング下端面23のハウジング側離間部23bとブラケット上端面35のブラケット側離間部31fとの間に位置する。径方向開口部11a〜11cは、径方向に開口する。径方向開口部11a〜11cは、ハウジング20とブラケット30とが接合される領域に位置し、ハウジング20およびブラケット30の内部の空間と、ハウジング20およびブラケット30の外部の空間とを連通する。
【0045】
図2に示すように、径方向開口部11aは、固定壁部32から固定壁部33までを、中心軸Jを中心として時計回り(−θ向き)に周方向に辿る間に位置する。径方向開口部11bは、固定壁部33から固定壁部34までを、中心軸Jを中心として時計回り(−θ向き)に周方向に辿る間に位置する。径方向開口部11cは、固定壁部34から固定壁部32までを、中心軸Jを中心として時計回り(−θ向き)に周方向に辿る間に位置する。
【0046】
図1に示すように、径方向開口部11aは、周方向に隣り合う固定壁部、すなわち径方向開口部11aにおいては固定壁部32および固定壁部33と、ハウジング側離間部23bと、ブラケット側離間部31fと、によって囲まれる。径方向開口部11aは、ハウジング20およびブラケット30を径方向に貫通する。これらの構成は、径方向開口部11b,11cについても同様である。
【0047】
図4に示すように、寸法L1は、径方向開口部11aの周方向の寸法である。寸法L2は、径方向開口部11bの周方向の寸法である。寸法L3は、径方向開口部11bの周方向の寸法である。寸法L4は、ブラケット側接触部32aの周方向の寸法である。寸法L5は、ブラケット側接触部33aの周方向の寸法である。寸法L6は、ブラケット側接触部34aの周方向の寸法である。
【0048】
図4の例において、寸法L1〜L3は、ブラケット側接触部32a〜34aの径方向内縁の径方向位置における径方向開口部11a〜11cの周方向の寸法である。図4の例において、寸法L4〜L6は、ブラケット側接触部32a〜34aの径方向内縁における周方向の寸法である。
【0049】
径方向開口部11a,11b,11cの周方向の寸法L1,L2,L3の合計は、ブラケット側接触部32a,33a,34aの周方向の寸法L4,L5,L6の合計よりも大きい。図示は省略するが、径方向開口部11a,11b,11cの周方向の寸法L1,L2,L3の合計は、ハウジング側接触部23aの周方向の寸法の合計よりも大きい。寸法L1は、周方向の寸法L1,L2,L3のうちで最も大きい。寸法L2および寸法L3は、ほぼ同一である。
【0050】
なお、図4の例では、ブラケット側接触部32a〜34aの径方向内縁の径方向位置における周方向の各寸法の関係について示したが、これに限られない。ブラケット側接触部32a〜34aと径方向開口部11a〜11cとが周方向に重なる領域の径方向のいずれの位置においても、径方向開口部11a〜11cの周方向の寸法の合計は、ブラケット側接触部32a〜34aの周方向の寸法の合計よりも大きい。言い換えると、中心軸Jを中心とするいずれの同心円上においても、径方向開口部11a〜11cの周方向の寸法の合計は、ブラケット側接触部32a〜34aの周方向の寸法の合計よりも大きい。
【0051】
[ブラシカードアセンブリ]
図3に示すように、ブラシカードアセンブリ50は、ハウジング20の下側開口部21aに位置する。図2および図4に示すように、ブラシカードアセンブリ50は、ブラシカード50aと、ブラシ54と、チョークコイル55と、接続端子56と、スプリング57と、を有する。
【0052】
図6は、ブラシカードアセンブリ50およびシール部材60を示す側面図(ZX面図)である。図2および図6に示すように、ブラシカード50aは、ブラシカード筒部51と、ブラシカードフランジ部52と、コネクタ部53と、を有する。すなわち、ブラシカードアセンブリ50は、ブラシカード筒部51と、ブラシカードフランジ部52と、コネクタ部53と、を有する。ブラシカード50aは、例えば、合成樹脂製である。
【0053】
図2および図3に示すように、ブラシカード筒部51は、シャフト41を周方向に囲む筒状である。本実施形態においてブラシカード筒部51は、例えば、中心軸Jと同心の円筒状である。ブラシカード筒部51は、円環部51aと、上側壁部51bと、下側壁部51cと、複数の上側突出部51b1と、複数の下側突出部51c1と、を有する。
【0054】
円環部51aは、シャフト41を囲む円環状である。円環部51aは、径方向に広がる板状である。円環部51aは、ブラシ54、チョークコイル55、接続端子56、およびスプリング57等を保持する保持部を有する。上側壁部51bは、円環部51aの径方向外縁から上側に延びる。図3に示すように、上側壁部51bは、ハウジング20の下側開口部21aに嵌め合わされる。下側壁部51cは、ブラシカードフランジ部52から下側に延びる。下側壁部51cは、ブラケット30のブラケット筒部31bの内側に嵌め合わされる。
【0055】
図2に示すように、上側突出部51b1は、上側壁部51bの外周面に位置する。複数の上側突出部51b1は、周方向に所定の間隔を空けて配置される。上側突出部51b1は、軸方向に延びる。上側突出部51b1は、上側壁部51bが下側開口部21aに嵌め合わされるときに変形する。これにより、上側壁部51bと下側開口部21aとの嵌め合い状態を良好にできる。
【0056】
下側突出部51c1は、下側壁部51cの外周面に位置する。複数の下側突出部51c1は、周方向に所定の間隔を空けて配置される。下側突出部51c1は、軸方向に延びる。下側突出部51c1は、下側壁部51cがブラケット筒部31bの内側に嵌め合わされるときに変形する。これにより、下側壁部51cとブラケット筒部31bとの嵌め合い状態を良好にできる。
【0057】
ブラシカードフランジ部52は、上側壁部51bから径方向外側に延び、かつ一定の径方向幅で上側壁部51bを周方向に囲む円環状である。すなわち、ブラシカードフランジ部52は、ブラシカード筒部51から径方向に延びる。ブラシカードフランジ部52は、ハウジング筒部21よりも径方向外側に延びる。ブラシカードフランジ部52は、ハウジングフランジ部22とブラケットフランジ部31cとの軸方向の間に位置する。
【0058】
図2に示すように、コネクタ部53は、ブラシカードフランジ部52から径方向外側に突出する。すなわち、コネクタ部53は、ブラシカードフランジ部52よりも径方向外側に位置する。コネクタ部53は、コネクタ連結部53aと、コネクタ筒部53bと、を有する。コネクタ連結部53aは、ブラシカードフランジ部52とコネクタ筒部53bとを連結する。図2および図3に示すように、ブラシカードフランジ部52とコネクタ連結部53aとは、上面および下面とが同一平面で繋がる。図3に示すように、コネクタ連結部53aは、径方向開口部11cに位置する。すなわち、コネクタ部53の一部は、径方向開口部11cに位置する。
【0059】
コネクタ筒部53bは、コネクタ連結部53aの径方向外側の端部から上側に延びる筒状である。コネクタ筒部53bは、上側に開口するコネクタ開口部53cを有する。コネクタ筒部53bは、ハウジング20およびブラケット30の外部に露出する。コネクタ筒部53bには、図示しない外部電源が接続される。
【0060】
図4に示すように、ブラシ54は、円環部51aの上面に設けられた箱状の収容部内に径方向に摺動自在に位置する。ブラシ54は、スプリング57によってブラシ54の径方向外側の端部を径方向内側に向かって押圧される。図3に示すように、ブラシ54の径方向内側の端部は、整流子44と接触する。図4の例において、ブラシカードアセンブリ50は、ブラシ54を例えば2つ有する。
【0061】
チョークコイル55は、円環部51aの上面に位置する。チョークコイル55の一端は、ブラシ54と電気的に接続される。チョークコイル55の他端は、接続端子56と電気的に接続される。
【0062】
接続端子56は、ブラシカード50aに保持される。接続端子56は、コネクタ開口部53cの底部から上側に突出する。接続端子56は、コネクタ部53に接続される図示しない外部電源と電気的に接続される。これにより、外部電源から、接続端子56、チョークコイル55、ブラシ54を介して、整流子44に電流が供給される。すなわち、ブラシカードアセンブリ50は、電機子40に電流を供給する。電機子40は、整流子44から電流が供給されると励磁される。これにより、電機子40とマグネット70との磁気的相互作用により、電機子40を含む回転体が回転する。
【0063】
[シール部材]
図1および図3に示すように、シール部材60は、ハウジング20とブラケット30との間に位置する。シール部材60は、弾性体製である。本実施形態においてシール部材60の材質は、例えば、熱硬化性エラストマー(ゴム)であってもよいし、熱可塑性エラストマーであってもよい。図2に示すように、シール部材60は、上側シール部61と、下側シール部62と、を有する。本実施形態において上側シール部61と下側シール部62とは、例えば、別部材である。
【0064】
図3に示すように、上側シール部61は、ブラシカードフランジ部52の上側に位置する。上側シール部61は、ブラシカードフランジ部52とハウジング20との間をシールする。図2および図3に示すように、上側シール部61は、シャフト41を周方向に囲む環状である。そのため、ブラシカードフランジ部52とハウジング20との間を周方向の全体に亘ってシールできる。これにより、モータ10の防水性を向上できる。
【0065】
図2に示すように、上側シール部61は、上側リング部63と、側壁部(介在部)64a,64bと、上側介在部(介在部)64fと、を有する。図2および図3に示すように、上側リング部63は、上側壁部51bを周方向に囲む円環状である。本実施形態において上側リング部63は、例えば、上側壁部51bの径方向外側に嵌め合わされる。図5に示すように、上側リング部63は、ブラシカードフランジ部52の上面であるブラシカードフランジ部上面52aとハウジング20との間に位置する。すなわち、上側シール部61は、ブラシカードフランジ部上面52aとハウジング20との間に位置する。
【0066】
本実施形態において上側リング部63の軸方向の寸法は、例えば、均一である。上側リング部63は、ブラシカードフランジ部上面52aおよびハウジング下端面23と接触する。すなわち、上側リング部63は、ブラシカードフランジ部上面52aと、ハウジング下端面23とに、接触した状態で挟まれる。
【0067】
ブラシカードフランジ部上面52aとハウジング下端面23との間の軸方向寸法は、平常時(外力を受けない状態)の上側リング部63の軸方向寸法よりも小さい。そのため、ブラシカードフランジ部上面52aとハウジング下端面23と挟まれると上側リング部63には圧縮力が加わる。これにより、上側リング部63は、軸方向に収縮しつつ、径方向に膨張する。
【0068】
上側リング部63の径方向外側の端部は、固定壁部内側面32bと接触する。すなわち、上側シール部61は、固定壁部内側面32bと接触する。そのため、ハウジング側接触部23aとブラケット側接触部32aとの間に水が浸入した場合であっても、上側シール部61によって、水がブラシカードアセンブリ50の内部に浸入することを抑制できる。特に、上側リング部63は径方向外側に膨張するため、固定壁部内側面32bに対する上側リング部63の密着性がより増加する。これにより、高いシール性能が実現される。
【0069】
本実施形態において上側リング部63は、例えば、傾斜面32dと接触する。すなわち、上側シール部61は、傾斜面32dと接触する。そのため、上側シール部61の軸方向の寸法に誤差が生じた場合であっても、傾斜面32dのいずれかの位置に上側シール部61を接触させやすい。これにより、傾斜面32dとハウジング下端面23との間をより確実にシールしやすい。
【0070】
本実施形態において上側リング部63の径方向外側の端部は、傾斜面32dを介してハウジング20とブラケット30とに接触した状態で挟まれる。そのため、傾斜面32dの寸法に誤差が生じる場合であっても、傾斜面32dのいずれかの位置に上側リング部63を接触させやすく、上側リング部63をハウジング20とブラケット30とで挟みやすい。これにより、本実施形態のように上側リング部63の軸方向の寸法が均一である場合であっても、上側リング部63をブラシカードフランジ部52とハウジング20とで挟みつつ、ハウジング20とブラケット30とで挟むことができる。したがって、本実施形態によれば、防水性を確保しつつ、上側シール部61の形状を簡単にできる。
【0071】
図2に示すように、側壁部64aは、上側リング部63から下側に延びる。側壁部64aは、周方向に沿って延びる。図3に示すように、側壁部64aは、ブラシカードフランジ部52の径方向外側の少なくとも一部を覆う。図1および図3に示すように、側壁部64aは、径方向開口部11aに位置する介在部である。すなわち、シール部材60は、径方向開口部11aに位置する介在部を有する。介在部は、側壁部64aを含む。
【0072】
本実施形態によれば、ハウジング20とブラケット30とが接触する領域の一部に代えて、ハウジング下端面23およびブラケット上端面35が、互いに軸方向に離れる離間部を有する。そのため、ハウジング20とブラケット30とが接合される部分において、ハウジング20とブラケット30とが接触する領域を少なくできる。そして、ハウジング側離間部23bとブラケット側離間部31fとの間に設けられる径方向開口部11aには、シール部材60の介在部、例えば側壁部64aが位置する。
【0073】
これにより、径方向開口部11aにおいては、ハウジング下端面23とブラケット上端面35とが、少なくともシール部材60の一部を介して接触する。シール部材60は弾性体製であるため、金属製のハウジング20と金属製のブラケット30とが接触する場合に比べて、シール部材60の介在部とハウジング下端面23との間、およびシール部材60の介在部とブラケット上端面35との間を、より密閉しやすい。つまり、金属面と弾性体面との接合部は、弾性体の変形により互いの密着性が良好となるため、金属面同士の接合部に比べて密閉性が優れる。したがって、径方向開口部11aにおいて、ハウジング下端面23とブラケット上端面35との間に水が浸入することを抑制できる。
【0074】
また、径方向開口部11aにおいては、シール部材60がハウジング下端面23およびブラケット上端面35に密着するため、ハウジング下端面23およびブラケット上端面35に水が付着しない。これにより、径方向開口部11aにおいては、ハウジング下端面23およびブラケット上端面35における錆などの腐食を防止できる。
【0075】
以上により、ハウジング20とブラケット30との間に水が浸入して、ハウジング20およびブラケット30が腐食することを抑制できる。その結果、本実施形態によれば、防水性を向上できる構造を有するモータ10が得られる。
【0076】
また、例えば、ハウジング20とブラケット30との接合部を周方向の全体に亘って、円環状の弾性体を介在させる等して離間させた構成の場合、金属製のハウジング20と金属製のブラケット30とが接触する部分がない。弾性体はそれ自体が弾性変形するため、ハウジング20とブラケット30との組み付け精度が低下する虞がある。
【0077】
これに対して、本実施形態によれば、ハウジング20とブラケット30とが接触する接触部が設けられるため、ハウジング20とブラケット30との組み付け精度が低下することを抑制できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、上述したように、径方向開口部11a〜11cの周方向の寸法L1〜L3の合計が、ブラケット側接触部32a〜34aの周方向の寸法L4〜L6の合計よりも大きい。そのため、ハウジング20とブラケット30とが互いに接触する領域をより小さくできる。これにより、ハウジング20とブラケット30との間に水が浸入することをより抑制できる。したがって、ハウジング20とブラケット30との組み付け精度を確保しつつ、ブラケット側接触部32a,33a,34aおよびハウジング側接触部23aが腐食することをより抑制できる。その結果、モータ10の防水性をより向上できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、介在部はブラシカードフランジ部52の径方向外側の少なくとも一部を覆う側壁部64aを含むため、径方向開口部11aからブラシカードアセンブリ50の内部に水が浸入することをより抑制できる。
【0080】
図1に示すように、側壁部64aの径方向外側の面は、モータ10の外部に露出する。側壁部64aの上面である側壁部上面64cは、ハウジング側離間部23bと接触する。すなわち、介在部の上面は、ハウジング下端面23と接触する。側壁部64aの下面である側壁部下面64dは、ブラケット側離間部31fと接触する。すなわち、介在部の下面は、ブラケット上端面35と接触する。
【0081】
そのため、ハウジング下端面23と側壁部64aとの間の密閉性、およびブラケット上端面35と側壁部64aとの間の密閉性を向上できる。その結果、モータ10の防水性をより向上できる。
【0082】
本実施形態において平常時(外力を受けない状態)における側壁部64aの軸方向寸法は、ハウジング下端面23のハウジング側離間部23bとブラケット上端面35のブラケット側離間部31fとの間の軸方向寸法よりも大きい。そのため、ハウジング20とブラケット30とが固定されると、径方向開口部11aに位置する側壁部64aに、軸方向の圧縮力が加わる。これにより、側壁部64aは軸方向に収縮し、ハウジング下端面23と側壁部64aとの間の密着性、およびブラケット上端面35と側壁部64aとの間の密着性を向上できる。したがって、モータ10の防水性をより向上できる。
【0083】
また、上側リング部63には、ブラシカードフランジ部52とハウジング下端面23とに挟まれることによって圧縮力が作用するが、その圧縮力は取付孔部25および固定孔部37に所定のネジが取り付けられたときの締付力に関係する。つまり、取付孔部25および固定孔部37から離れるとそれだけ上側リング部63に加えられる圧縮力が弱まり、上側リング部63の密着性は低下する虞があるが、側壁部64aがあるため、上側リング部63の密着性が低下して隙間ができたとしても水の浸入は阻止される。側壁部64aの効果は、側壁部64bにおいても同様であるが、周方向の寸法が大きい側壁部64aにおいて、より顕著である。
【0084】
図7は、モータ10の部分を示す図であって、側壁部64aと固定壁部32とが接触する箇所を示す平面図である。図7においては、ハウジング20の図示を省略している。図7に示すように、側壁部64aの周方向の側面は、固定壁部32の周方向の側面である固定壁部側面32eと接触する。すなわち、介在部は、固定壁部側面32eと接触する。そのため、径方向開口部11aにおける側壁部64aと固定壁部32との周方向の間から水が浸入することを抑制できる。
【0085】
また、平常時(外力を受けない状態)の側壁部64aの周方向寸法は、例えば、径方向開口部11aの周方向の寸法L1よりも大きい。そのため、側壁部64aが径方向開口部11aに位置すると、側壁部64aには周方向の圧縮力が加わる。これにより、側壁部64aが周方向に収縮し、側壁部64aと固定壁部側面32eとの密着性が良好となる。したがって、径方向開口部11aにおける側壁部64aと固定壁部32との周方向の間から水が浸入することをより抑制できる。
【0086】
本実施形態において側壁部64aの周方向の側面は、リブ64eを有する。リブ64eは、固定壁部32側に突出する。図7の例では、側壁部64aの周方向の側面は、例えば、リブ64eを2つ有する。リブ64eの先端は、固定壁部側面32eと接触する。そのため、側壁部64aの周方向の側面と固定壁部側面32eとの間に生じる圧力を大きくできる。これにより、側壁部64aと固定壁部32との間の密閉性をより向上できる。
【0087】
側壁部64bは、径方向開口部11bに位置する介在部である。側壁部64bの周方向の寸法は、例えば、側壁部64aの周方向の寸法よりも小さい。側壁部64bのその他の構成は、側壁部64aの構成と同様である。
【0088】
図2に示すように、上側介在部64fは、上側リング部63から径方向外側に延びる。図3に示すように、上側介在部64fは、径方向開口部11cに位置する介在部である。すなわち、本実施形態において介在部は、上側介在部64fを含む。上側介在部64fの上面は、ハウジング側離間部23bと接触する。上側介在部64fの下面は、コネクタ連結部53aの上面と接触する。
【0089】
下側シール部62は、ブラシカードフランジ部52とブラケットフランジ部31cとの間に位置する。下側シール部62は、ブラシカードフランジ部52とブラケット30との間をシールする。下側シール部62は、シャフト41を周方向に囲む円環状である。そのため、ブラシカードフランジ部52とブラケット30との間を周方向の全体に亘ってシールできる。これにより、モータ10の防水性を向上できる。
【0090】
下側シール部62も、上側シール部61と同様に、軸方向に収縮し、かつ径方向に膨張して位置するため、ブラシカードフランジ部52の下面、ブラケットフランジ部31cの上面、および内壁面32cとの密着性が良好となる。
【0091】
図2に示すように、下側シール部62は、下側リング部65と、下側介在部(介在部)66cと、介在突出部(介在部)66a,66bと、を有する。すなわち、本実施形態において介在突出部66a,66bは、下側シール部62に設けられる。
【0092】
図2および図3に示すように、下側リング部65は、下側壁部51cを周方向に囲む円環状である。本実施形態において下側リング部65は、例えば、下側壁部51cの径方向外側に嵌め合わされる。図5に示すように、下側リング部65は、ブラシカードフランジ部52の下面であるブラシカードフランジ部下面52bとブラケット30との間に位置する。すなわち、下側シール部62は、ブラシカードフランジ部下面52bとブラケット30との間に位置する。
【0093】
図3に示すように、下側リング部65は、側壁部64aの径方向内側に位置する。図示は省略するが、下側リング部65は、側壁部64bの径方向内側に位置する。下側リング部65における径方向外側の端部のうち側壁部64aと対向する部分は、側壁部64aの径方向内側の面と接触する。すなわち、上側シール部61と下側シール部62とは、側壁部64aを介して接触する。
【0094】
そのため、上側シール部61と下側シール部62とが接触する境界から水が浸入することを抑制できる。また、下側シール部62が側壁部64aの径方向内側に位置するため、上側シール部61と下側シール部62とが接触する境界が、シール部材60の径方向外側の面に位置しない。これにより、上側シール部61と下側シール部62とが接触する境界から水が浸入することをより抑制できる。
【0095】
図5に示すように、下側リング部65における径方向外側の端部のうち固定壁部32と対向する部分は、固定壁部内側面32bと接触する。本実施形態において下側リング部65は、内壁面32cと接触する。図示は省略するが、下側リング部65における径方向外側の端部のうち固定壁部33,34と対向する部分は、固定壁部33,34の径方向内側の面と接触する。
【0096】
下側リング部65は、ブラシカードフランジ部下面52bおよびブラケット上端面35と接触する。図6に示すように、下側リング部65の下面は、側壁部下面64dと同一平面上に位置する。図2および図3に示すように、本実施形態において下側リング部65の軸方向の寸法は、例えば、均一である。
【0097】
図2に示すように、下側介在部66cは、下側リング部65から径方向外側に延びる。図3に示すように、下側介在部66cは、径方向開口部11cに位置する介在部である。下側介在部66cの上面は、コネクタ連結部53aの下面と接触する。下側介在部66cの下面は、ブラケット側離間部31fと接触する。
【0098】
図2に示すように、介在突出部66a,66bは、軸方向に突出する。より詳細には、本実施形態において介在突出部66a,66bは、下側介在部66cから上側に突出する。介在突出部66a,66bは、径方向開口部11cに位置する介在部である。すなわち、介在部は、介在突出部66a,66bを含む。
【0099】
図4に示すように、介在突出部66aは、コネクタ部53と固定壁部32との周方向の間、かつハウジングフランジ部22とブラケットフランジ部31cとの軸方向の間に位置する。介在突出部66bは、コネクタ部53と固定壁部34との周方向の間、かつハウジングフランジ部22とブラケットフランジ部31cとの軸方向の間に位置する。そのため、径方向開口部11cにおけるコネクタ部53と固定壁部32,34との周方向の間から水が浸入することを抑制できる。
【0100】
介在突出部66aは、固定壁部32とコネクタ連結部53aとに接触する。平常時(外力を受けない状態)の介在突出部66aの周方向寸法は、例えば、コネクタ連結部53aと固定壁部32との周方向の間の寸法よりも大きい。そのため、介在突出部66aが径方向開口部11cに位置すると、介在突出部66aに周方向の圧縮力が加わる。これにより、介在突出部66aが周方向に収縮し、介在突出部66aとコネクタ連結部53aとの密着性、および介在突出部66aと固定壁部32との密着性が良好となる。したがって、径方向開口部11cにおけるコネクタ部53と固定壁部32との周方向の間から水が浸入することをより抑制できる。介在突出部66bについても同様である。介在突出部66bは、固定壁部34とコネクタ連結部53aとに接触する。
【0101】
本実施形態において介在突出部66a,66bは、周方向両側の側面にリブ66dを有する。介在突出部66aのリブ66dの一方は、固定壁部32に接触する。介在突出部66aのリブ66dの一方は、コネクタ連結部53aに接触する。リブ66dは、径方向開口部11cに位置することで介在突出部66aに加えられる圧縮力によって変形する。これにより、介在突出部66aとコネクタ連結部53aとの密着性、および介在突出部66aと固定壁部32との密着性をより向上できる。したがって、径方向開口部11cにおけるコネクタ部53と固定壁部32との周方向の間から水が浸入することをより抑制できる。介在突出部66bについても同様である。
【0102】
なお、図4においては、リブ66dが変形する前の状態、すなわちリブ66dに外力が加えられない状態を点線で示している。
【0103】
図6に示すように、介在突出部66aの上側の端部は、上側介在部64fと接触する。平常時(外力を受けない状態)の介在突出部66aの軸方向寸法と、平常時の上側介在部64fの軸方向寸法を足し合わせた寸法は、例えば、ハウジングフランジ部22とブラケットフランジ部31cとの軸方向の間の寸法よりも大きい。そのため、ハウジング20とブラケット30とが固定されることで、介在突出部66aおよび上側介在部64fに軸方向の圧縮力が加わる。これにより、介在突出部66aおよび上側介在部64fが軸方向に収縮し、介在突出部66aとブラケットフランジ部31cとの密着性、および上側介在部64fとハウジングフランジ部22との密着性が良好となる。したがって、径方向開口部11cにおけるコネクタ部53と固定壁部32,34との周方向の間から水が浸入することをより抑制できる。介在突出部66bについても同様である。
【0104】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0105】
本実施形態においては、ハウジング20とブラケット30とのうちの少なくとも一方が、軸方向に延び先端に接触部を有する固定壁部32〜34を有する構成を採用できる。すなわち、本実施形態においては、ハウジング20のみが固定壁部32〜34を有してもよいし、ハウジング20とブラケット30との両方が固定壁部32〜34を有してもよい。
【0106】
ハウジング20とブラケット30との両方が固定壁部32〜34を有する場合には、例えば、ハウジング20の固定壁部32〜34の先端とブラケット30の固定壁部32〜34の先端とが接触する。この場合、ハウジング20の固定壁部32〜34とブラケット30の固定壁部32〜34とが接触する境界は、軸方向において、上側シール部61と下側シール部62との間に位置してもよい。また、上側シール部61がハウジング20の固定壁部32〜34の径方向内側の面と接触してもよいし、下側シール部62がブラケット30の固定壁部32〜34の径方向内側の面と接触してもよい。
【0107】
また、本実施形態においては、上側シール部61と下側シール部62とのうちの、ブラシカードフランジ部52に対してハウジング20とブラケット30とのうちの他方側、すなわち固定壁部32〜34が設けられる側と反対側に位置するシール部材は、固定壁部32〜34における径方向内側の面である固定壁部内側面32bと接触する構成を採用できる。すなわち、本実施形態においては、固定壁部32〜34がハウジング20に設けられ、下側シール部62が固定壁部内側面32bと接触してもよい。
【0108】
また、本実施形態において固定壁部32〜34の数は特に限定されず、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0109】
また、本実施形態においては、側壁部64a,64bが、上側シール部61と下側シール部62とのうちの一方に設けられ、上側シール部61と下側シール部62とのうちの他方における径方向外側の端部が、側壁部64a,64bの径方向内側の面と接触する構成を採用できる。すなわち、本実施形態においては、図8(A)に示す構成を採用してもよい。
【0110】
図8(A)は、本実施形態の他の一例であるモータ110の部分を示す断面図である。図8(A)に示すように、モータ110は、シール部材160を備える。シール部材160は、上側シール部161と、下側シール部162と、を有する。
【0111】
下側シール部162は、下側リング部65と、側壁部(介在部)164と、を有する。側壁部164は、下側リング部65の径方向外縁から上側に延びる。図示は省略するが、側壁部164は、図2の例と同様に、例えば、2つ設けられる。2つの側壁部164は、それぞれ径方向開口部11a,11bに位置する介在部である。側壁部164のその他の構成は、図2等に示す側壁部64a,64bの構成と同様である。下側シール部162のその他の構成は、図2等に示す下側シール部62と同様である。
【0112】
上側シール部161は、上側リング部63を有する。上側シール部161は、図2等に示す上側シール部161と異なり側壁部64a,64bを有しない。上側リング部63は、側壁部164の径方向内側に位置する。上側リング部63の径方向外側の端部は、側壁部164の径方向内側の面と接触する。上側シール部161のその他の構成は、図2等に示す上側シール部61と同様である。
【0113】
また、本実施形態においては、図8(B)に示す構成のように、側壁部64a,64bが上側シール部61と下側シール部62との両方に設けられてもよい。図8(B)は、本実施形態の他の一例であるモータ210の部分を示す断面図である。
【0114】
図8(B)に示すように、モータ210は、シール部材260を備える。シール部材260は、上側シール部261と、下側シール部262と、を有する。上側シール部261は、上側リング部63と、側壁部(介在部)264aと、を有する。下側シール部262は、下側リング部65と、側壁部264bと、を有する。
【0115】
上側シール部261の側壁部264aの径方向内側の面は、下側シール部262の側壁部264bの径方向外側の面と接触する。側壁部264aのその他の構成は、図2等に示す側壁部64a,64bの構成と同様である。
【0116】
下側シール部262の側壁部264bの上側の端部は、上側シール部261と接触する。側壁部264bは、上側シール部261の側壁部264aの径方向内側に位置する。すなわち、下側シール部262は、上側シール部261の側壁部264aの径方向内側に位置する。下側シール部262の径方向外側の端部は、上側シール部261の側壁部264bの径方向内側の面と接触する。
【0117】
このように、この構成においては、上側シール部261の側壁部264aと下側シール部262の側壁部264bとが径方向に重なって設けられる。図示は省略するが、側壁部264aと側壁部264bとは、図2の例と同様に、例えば、それぞれ2つずつ設けられる。2つの側壁部264aおよび2つの側壁部264bは、それぞれ径方向開口部11a,11bに位置する介在部である。
【0118】
この構成によれば、下側に延びる側壁部264aと上側に延びる側壁部264bとによってブラシカードフランジ部52の径方向外側の面を覆うことができるため、ブラシカードアセンブリ50に水が浸入することをより抑制できる。
【0119】
また、この構成によれば、上側シール部261と下側シール部262とが接触する境界における、シール部材260の表面からブラシカードアセンブリ50までを辿る距離を大きくできる。そのため、上側シール部261と下側シール部262とが接触する境界に、シール部材260の表面から水が入り込んだ場合であっても、水がブラシカードアセンブリ50に到達することを抑制できる。これにより、ブラシカードアセンブリ50に水が浸入することをより抑制できる。
【0120】
また、この構成によれば、上側シール部261と下側シール部262とが接触する面積を大きくできるため、上側シール部261と下側シール部262とを安定して接触させることができる。
【0121】
なお、この構成においては、側壁部264aと側壁部264bとが径方向に重ならず、軸方向に重なる構成としてもよい。この場合、例えば、側壁部264aの下側の端部と側壁部264bの上側の端部とは接触する。
【0122】
また、本実施形態においては、図8(C)に示す構成のように、シール部材60が単一の部材であってもよい。図8(C)は、本実施形態の他の一例であるモータ310の部分を示す断面図である。
【0123】
図8(C)に示すように、モータ310は、シール部材360を備える。シール部材360は、単一の部材である。シール部材360は、上側シール部361と、下側シール部362と、側壁部(介在部)364と、を有する。
【0124】
上側シール部361は、上側リング部63を有する。下側シール部362は、下側リング部65を有する。側壁部364は、上側シール部361と下側シール部362とを連結する。すなわち、上側シール部361と下側シール部362とは、側壁部364を介して連結される。
【0125】
この構成によれば、シール部材360が単一の部材であるため、シール部材360を管理しやすい。また、モータ10の部品点数を低減できるため、組み立て工数および製造コストを低減できる。また、シール部材360がブラシカードフランジ部52を取り囲んで装着されるため、例えば、ブラシカード50aにシール部材360を取り付けてからブラシカードアセンブリ50をブラケット30に配置する組立方法を採用する場合、ブラシカードアセンブリ50を配置するまでの間にシール部材360が外れることがない。そのため、本実施形態によれば、モータ310の組み立てを容易にできる。
【0126】
また、上側シール部361と下側シール部362とが接触する境界がないため、上側シール部361と下側シール部362とが接触する境界から水が浸入することがない。そのため、モータ10の防水性をより向上できる。
【0127】
なお、シール部材360の構成は、単一の部材である点を除いて、図2等に示すシール部材60と同様の構成である。
【0128】
また、本実施形態においては、図9に示すような構成を採用してもよい。図9は、本実施形態の他の一例であるモータ410の部分を示す図である。図9に示すように、モータ410は、ハウジング20と、ブラケット430と、シール部材460と、を備える。
【0129】
ブラケット430は、固定壁部432を有する。固定壁部432の周方向の側面である固定壁部側面432eは、軸方向に対して傾斜する。図9の例では、固定壁部側面432eは、下側から上側に向かうに従って、シール部材460と逆側に位置する斜面である。ブラケット430のその他の構成は、図2等に示す固定壁部32の構成と同様である。
【0130】
シール部材460は、介在部である側壁部(介在部)464を有する。側壁部464の周方向の側面は、リブ464eを有する。リブ464eは、軸方向に対して傾斜する。図9の例では、リブ464eは、下側から上側に向かうに従って、固定壁部432側に位置する。リブ464eの固定壁部432側の端部は、固定壁部側面432eと接触する。すなわち、この構成において、介在部である側壁部464における固定壁部側面432eと接触する部分は、軸方向に対して傾斜する。
【0131】
この構成によれば、ハウジング20とブラケット30とによって側壁部464に軸方向の圧縮力が加えられる場合に、圧縮力の一部が側壁部464を固定壁部432に押し付ける力となる。これにより、側壁部464と固定壁部432との間をより密閉することができる。したがって、この構成によれば、側壁部464と固定壁部432との密着性が良好となり、側壁部464と固定壁部432と間から水が浸入することをより抑制できる。
【0132】
また、本実施形態においては、側壁部64a,64bの周方向の側面は、リブ64eを有しなくてもよい。
【0133】
また、本実施形態においては、介在突出部66a,66bが、上側シール部61と下側シール部62とのうちの少なくとも一方に設けられる構成を採用できる。すなわち、本実施形態において介在突出部66a,66bは、上側シール部61に設けられてもよいし、上側シール部61と下側シール部62との両方に設けられてもよい。介在突出部66a,66bが上側シール部61に設けられる場合、介在突出部66a,66bは、例えば、上側介在部64fから下側に延びる。
【0134】
また、本実施形態において介在突出部66a,66bの上側の端部は、上側シール部61と接触しなくてもよい。また、介在突出部66a,66bの数は、特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0135】
また、本実施形態においては、上側シール部61の材質と下側シール部62の材質とが、互いに異なってもよい。
【0136】
また、本実施形態においては、コネクタ部53の少なくとも一部が、径方向開口部11cに位置する構成を採用できる。すなわち、本実施形態においてコネクタ部53の全体は、径方向開口部11cに位置してもよい。また、本実施形態においてコネクタ部53は、ブラシカード筒部51から径方向外側に突出してもよい。
【0137】
また、本実施形態においては、ハウジング20がハウジングフランジ部22を有しなくてもよい。また、本実施形態においては、ブラケット30がブラケットフランジ部31cを有しなくてもよい。
【0138】
なお、本明細書において、介在部が径方向開口部に位置する、とは、径方向開口部の少なくとも一部分に介在部が位置することを含む。
【0139】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、上側シール部561と下側シール部562とがヒンジ部567で連結される点において異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0140】
図10は、本実施形態のモータ510の部分を示す斜視図である。図10に示すように、モータ510は、ブラシカードアセンブリ550と、シール部材560と、を備える。ブラシカードアセンブリ550は、ブラシカード550aを有する。ブラシカード550aは、ブラシカード筒部51と、ブラシカードフランジ部52と、ブラシカード突出部554a,554bと、を有する。すなわち、ブラシカードアセンブリ550は、ブラシカード突出部554a,554bを有する。
【0141】
ブラシカード突出部554a,554bは、ブラシカードフランジ部52から径方向外側に突出する。ブラシカード突出部554aとブラシカード突出部554bとは、周方向において異なる位置にある。ブラシカード突出部554a,554bの形状は、特に限定されず、例えば、四角柱状である。
【0142】
シール部材560は、上側シール部561と、下側シール部562と、ヒンジ部567と、を有する。シール部材560は、単一の部材である。ヒンジ部567は、上側シール部561と下側シール部562とを連結する。
【0143】
そのため、シール部材560は単一の部材でありつつ、上側シール部561と下側シール部562との相対位置を、ヒンジ部567を折り曲げまたは開くことによって、変化させることができる。これにより、シール部材560の管理を容易にしつつ、上側シール部561と下側シール部562とを別々に組みつけることができる。したがって、モータ510の組み立て性が低下することを抑制できる。
【0144】
また、本実施形態によれば、例えば、上側シール部561と下側シール部562との相対位置が固定された状態でシール部材560を単一の部材として成形する場合に比べて、シール部材560の成形が容易である。
【0145】
上側シール部561は、上側リング部63と、上側シール取付部568aと、を有する。上側シール取付部568aは、上側リング部63の径方向外側の面から下側に延びる。上側シール取付部568aは、環状である。本実施形態において上側シール取付部568aは、例えば、矩形環状である。上側シール取付部568aは、ブラシカード突出部554aに引っ掛けられる。
【0146】
そのため、ブラシカード550aに対して、シール部材560を安定して取り付けることができる。また、例えば、ブラシカード550aにシール部材560を取り付けてからブラシカードアセンブリ550をブラケット30に配置する組立方法を採用する場合、ブラシカードアセンブリ550を配置するまでの間にシール部材560が外れることを抑制できる。そのため、本実施形態によれば、モータ510の組み立てを容易にできる。
【0147】
下側シール部562は、下側リング部65と、下側シール取付部568bと、を有する。下側シール取付部568bは、下側リング部65の径方向外側の面から上側に延びる。下側シール取付部568bは、環状である。本実施形態において下側シール取付部568bは、例えば、矩形環状である。下側シール取付部568bは、ブラシカード突出部554bに引っ掛けられる。
【0148】
すなわち、本実施形態においては、上側シール部561と下側シール部562との両方が、ブラシカード突出部554a,554bに引っ掛けられる。そのため、ブラシカード550aに対して、シール部材560をより安定して取り付けることができる。
【0149】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0150】
本実施形態においては、上側シール部561と下側シール部562とのうちの少なくとも一方が、ブラシカード突出部554a,554bに引っ掛けられる構成を採用できる。すなわち、本実施形態においては、上側シール部561と下側シール部562とのうちのいずれか一方のみが、ブラシカード突出部554a,554bに引っ掛けられる構成であってもよい。この場合、ブラシカード550aは、ブラシカード突出部554a,554bのいずれか一方のみを有する。また、上側シール部561と下側シール部562とのうちの引っ掛けられる側のシール部のみが、上側シール取付部568aあるいは下側シール取付部568bを有する。
【0151】
また、本実施形態においては、シール部材560は、単一の部材でなくてもよい。この場合、ヒンジ部567の材質は、例えば、上側シール部561の材質および下側シール部562の材質と異なってもよい。
【0152】
なお、上記説明した第1実施形態および第2実施形態の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0153】
10,110,210,310,410,510…モータ、11a,11b,11c…径方向開口部、20…ハウジング、21a…下側開口部、23…ハウジング下端面、23a…ハウジング側接触部(接触部)、23b…ハウジング側離間部(離間部)、30,430…ブラケット、31f…ブラケット側離間部(離間部)、32,33,34,432…固定壁部、32a,33a,34a…ブラケット側接触部(接触部)、32b…固定壁部内側面、32d…傾斜面、32e,432e…固定壁部側面、35…ブラケット上端面、40…電機子、41…シャフト、50,550…ブラシカードアセンブリ、51…ブラシカード筒部、52…ブラシカードフランジ部、53…コネクタ部、60,160,260,360,460,560…シール部材、61,161,261,361,561…上側シール部、62,162,262,362,562…下側シール部、64a,64b,164,264a,264b,364,464…側壁部(介在部)、64f…上側介在部(介在部)、66a,66b…介在突出部(介在部)、66c…下側介在部(介在部)、554a,554b…ブラシカード突出部、567…ヒンジ部、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10