【文献】
鈴木 昭弘,写真に現れた顔の形態及び印象評定の個人差,科学警察研究所報告,日本,科学警察研究所,1982年 2月15日,第35巻 第1号,pp.19−26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の評価項目の値の総和による評価対象者の評価において、他者の評価項目毎の値のばらつきと、前記評価対象者の前記評価項目毎の値とを用いて、前記評価対象者を評価する評価支援処理部と、
前記評価の結果に基づき、前記複数の評価項目のうち、前記評価対象者が優先的に改善すべき評価項目を示す情報を出力する出力部と、
前記評価項目の値のばらつきの度合いのばらつきを算出するばらつき算出部を有し、
前記評価の結果は、
前記評価項目の値のばらつきの平均と、前記度合いのばらつきとの比率により定義される第一の評価軸及び第二の評価軸を用いて、前記評価項目毎に示される、評価支援装置。
複数の評価項目の値の総和による評価対象者の評価において、他者の評価項目毎の値のばらつきと、前記評価対象者の前記評価項目毎の値とを用いて、前記評価対象者を評価し、
前記評価の結果に基づき、前記複数の評価項目のうち、前記評価対象者が優先的に改善すべき評価項目を示す情報を出力し、
前記評価項目の値のばらつきの度合いのばらつきを算出し、
前記評価の結果は、
前記評価項目の値のばらつきの平均と、前記度合いのばらつきとの比率により定義される第一の評価軸及び第二の評価軸を用いて、前記評価項目毎に示される、処理をコンピュータに実行させる評価支援プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、評価支援システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0012】
本実施形態の評価支援システム100は、評価支援装置200と、端末装置300と、を有し、評価支援装置200と端末装置300とは、ネットワークを介して接続されている。
【0013】
本実施形態の評価支援装置200は、成績データデータベース210と、評価支援処理部220と、を有する。
【0014】
本実施形態の成績データデータベース210は、例えば端末装置300からネットワークNを介して評価支援装置200に送信されても良い。また、成績データデータベース210は、例えば可搬型の記録媒体等に格納されていたものを、評価支援装置200が読み取ったものであっても良い。
【0015】
本実施形態の成績データデータベース210は、例えば複数の教科についてテストを受けた受験者の成績データが格納されている。
【0016】
本実施形態の評価支援処理部220は、成績データデータベース210に格納された成績データに基づき、受験者毎の優先的に取り組むべき教科を提示する。具体的には、例えば本実施形態の評価支援装置200は、端末装置300から評価支援の要求を受け付けると、該当する受験者が優先的に取り組むべき教科を提示した評価結果を端末装置300に表示させても良い。優先的に取り組むべき教科とは、優先的に改善すべき教科である。
【0017】
本実施形態では、優先的に取り組むべき教科を提示する際に、各教科の重要度の観点を含める。具体的には、本実施形態では、各教科の標準偏差の値のばらつきの大きさを用いて、受験者が優先的に取り組むべき教科を提示する。言い換えれば、本実施形態では、各教科の点数のばらつきの度合いを示す標準偏差のばらつきの大きさを用いて、受験者が優先的に取り組むべき教科を提示する。
【0018】
例えば、ある受験者iがn教科のテストを受けたとする。この場合、受験者iの総合点Qiは、以下の式(1)で示される。
【0020】
本実施形態では、この式(1)を、変形すると以下の式(2)のように表せることに着目した。尚、ここで、x
ipは受験者iの教科pの点数であり、nは教科の数であり、σ
pは教科pの標準偏差であり、μ
pは教科pの平均点であり、Z
ipは受験者iの教科pの点数を標準偏差σ
pと平均点μ
pとで規格化した点数値である。本実施形態の点数値は、偏差値に対応する値である。
【0022】
この式(2)に示されるように、受験者iの総合点Qiは、点数値Z
ipだけではなく、点数値Z
ipと標準偏差σ
pとの積の和を含む。したがって、受験者iの教科pの評価を行う際には、教科pの点数値Z
ipだけでなく、教科pの点数のばらつきの程度も考慮する必要がある。
【0023】
式(2)によれば、点数のばらつきの度合い(標準偏差σ
p)が小さい教科の点数を上げるよりも、点数のばらつきの度合いが大きい教科の点数を上げた方が、総合点に対する影響が大きくなることがわかる。
【0024】
したがって、本実施形態では、点数のばらつきの度合いが大きい教科を重要度の高い教科とて、各教科の評価を行う。
【0025】
以下に、本実施形態の評価支援装置200について説明する。
図2は、評価支援装置のハードウェア構成を説明する図である。
【0026】
本実施形態の評価支援装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置21、出力装置22、ドライブ装置23、補助記憶装置24、メモリ装置25、演算処理装置26及びインターフェース装置27を含む。
【0027】
入力装置21はキーボードやマウス等を含み、各種信号を入力するために用いられる。出力装置22はディスプレイ装置等を含み、各種ウインドウやデータ等を表示するために用いられる。インターフェース装置27は、モデム、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0028】
評価支援プログラムは、評価支援装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。評価支援プログラムは例えば記録媒体28の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。編集プログラムを記録した記録媒体28は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0029】
また、評価支援プログラムは、評価支援プログラムを記録した記録媒体28がドライブ装置23にセットされるとは記録媒体28からドライブ装置23を介して補助記憶装置24にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた評価支援プログラムは、インターフェース装置27を介して補助記憶装置24にインストールされる。
【0030】
補助記憶装置24は、インストールされた評価支援プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置25は、コンピュータの起動時に補助記憶装置24から評価支援プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置26はメモリ装置25に格納された評価支援プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0031】
また、本実施形態の評価支援装置200は、例えばタブレット型のコンピュータ等であっても良い。その場合、入力装置21及び出力装置22の代わりに、表示機能を有するタッチパネル等の表示操作装置を有していても良い。
【0032】
本実施形態の端末装置300は、一般のコンピュータやタブレット型のコンピュータ等であり、そのハードウェア構成は、評価支援装置200と同様であるから、説明を省略する。
【0033】
図3は、成績データデータベースの一例を示す図である。本実施形態の成績データデータベース210は、情報の項目として、ID、国語、英語、理科、社会、数学を有する。項目「ID」の値は、テストを受けた受験者を識別するための識別子を示す。
【0034】
項目「国語」の値は、テストが行われた複数の教科のうち、国語のテストの点数である。項目「英語」の値は、テストが行われた複数の教科のうち、英語のテストの点数である。項目「理科」の値は、テストが行われた複数の教科のうち、理科のテストの点数である。項目「社会」の値は、テストが行われた複数の教科のうち、社会のテストの点数である。項目「数学」の値は、テストが行われた複数の教科のうち、数学のテストの点数である。
【0035】
本実施形態の以下の説明では、項目「ID」の値と、その他の項目の値とが対応付けられており、項目「ID」の値と、その他の項目の値とを含むデータを成績データと呼ぶ。
【0036】
次に、
図4を参照して本実施形態の評価支援装置200の機能について説明する。
図4は、評価支援装置の機能構成を説明する図である。
【0037】
本実施形態の評価支援装置200は、評価支援処理部220を有する。本実施形態の評価支援処理部220は、演算処理装置26が評価支援プログラムを実行することで実現される。
【0038】
本実施形態の評価支援処理部220は、成績データ取得部221、平均算出部222、ばらつき算出部223、規格化処理部224、ベクトル取得部225、貢献度算出部226、改善必要度算出部227、表示制御部228を有する。
【0039】
成績データ取得部221は、成績データデータベース210から成績データを取得する。平均算出部222は、教科毎の平均値、教科毎の標準偏差の平均値等を算出する。
【0040】
ばらつき算出部223は、教科毎の点数のばらつきの程度を示す標準偏差や、標準偏差のばらつきの程度を示す標準偏差の標準偏差(第一の規格化値)等を算出する。
【0041】
規格化処理部224は、平均算出部222により算出された平均値と、ばらつき算出部223により算出された値と、を用いて、規格化の対象となる値を規格化する。尚、本実施形態にかける規格化とは、平均値と等しい値を0とし、平均値より大きい値をプラス、平均値より小さい値をマイナスとし、平均値からどちらの方向にはなれているかを示す値とすることである。
【0042】
ベクトル取得部225は、規格化した標準偏差と、規格化した点数との組である二次元ベクトル値を取得する。
【0043】
貢献度算出部226は、二次元ベクトル値を用いて、教科毎の貢献度を算出する。本実施形態の貢献度とは、個人の総合成績の評価に貢献している度合いを示す。
【0044】
改善必要度算出部227は、二次元ベクトルを用いて、教科毎の改善必要度を算出する。本実施形態の改善必要度とは、改善する必要の度合いを示す。
【0045】
表示制御部228は、貢献度と改善必要度とを用いた評価結果の表示を行う。本実施形態の表示制御部228は、例えば貢献度と改善必要度とを用いた評価結果を端末装置300に表示させるための画面データを生成しても良い。
【0046】
評価支援処理部220の有する平均算出部222、ばらつき算出部223、規格化処理部224、ベクトル取得部225、貢献度算出部226、改善必要度算出部227の処理の詳細は後述する。
【0047】
次に、
図5を参照して本実施形態の評価支援装置200における評価支援処理部220処理について説明する。
図5は、評価支援処理部の処理を説明するフローチャートである。
【0048】
本実施形態の評価支援処理部220は、受験者の評価支援指示を受け付けた否かを判定する(ステップS501)。ステップS501において評価支援指示を受け付けない場合は、評価指示を受け付けるまで待機する。尚、本実施形態では、評価支援指示を受け付けた際に、評価支援指示と共に、評価対象となる受験者のIDを受け付けても良い。
【0049】
ステップS501において、評価支援指示を受け付けると、成績データ取得部221は、成績データデータベース210を参照し、評価支援指示を受けた受験者のIDの成績データを取得する(ステップS502)。ここで、成績データとは、該当する受験者の各教科の点数である。
【0050】
続いて、評価支援処理部220は、平均算出部222により、各教科の平均点μ
pを算出する。また、評価支援処理部220は、ばらつき算出部223により、点数のばらつきの度合いを示す標準偏差σ
pを、教科毎に算出する。さらに、評価支援処理部220は、規格化処理部224により、取得した成績データに含まれる各教科の点数を規格化した点数値Z
ipを算出する(ステップS503)。
【0051】
続いて、評価支援処理部220は、平均算出部222により、以下の式(3)から各教科の標準偏差σ
pの平均値μ
σを算出する。また、評価支援処理部220は、ばらつき算出部223により、以下の式(4)から各教科の標準偏差の標準偏差σ
σを、教科毎に算出する(ステップS504)。
【0054】
標準偏差の標準偏差σ
σとは、複数の教科において、点数のばらつきの度合いに、どの程度ばらつきがあるかを示している。つまり、本実施形態では、標準偏差の標準偏差σ
σが小さい場合には、教科毎の点数のばらつきの度合いが同程度であることを示す。また、本実施形態では、標準偏差の標準偏差σ
σが大きい場合には、点数のばらつきの度合いが大きい教科と、点数のばらつきの度合いが小さい教科とが混在していること示す。
【0055】
続いて評価支援処理部220は、規格化処理部224により、以下の式(5)から、教科pの標準偏差の標準偏差σ
σを規格化する(ステップS505)。以下の説明では、標準偏差の標準偏差σ
σを規格化した値を第一の規格化値Z
σpと呼ぶ。第一の規格化値Z
σpは、標準偏差σ
pの偏差値と対応する値である。
【0057】
続いて評価支援処理部220は、規格化処理部224により、受験者iの総合点Qiを、教科pの点数を規格化した点数値Z
ipと、第一の規格化値Z
σpを用いて示すように、式(2)を以下の式(6)、式(7)のように変形する。
【0060】
つまり、規格化処理部224は、点数値Z
ipの係数を、第一の規格化値Z
σpを用いて示すことで、点数値のばらつきと、教科毎の点数値のばらつきの度合いのばらつきとの関係で、総合点Qiを表している。
【0061】
規格化処理部224は、この式(7)における点数値Z
ipの係数を、第二の規格化値Z
ξpとして取得する(ステップS506)。第二の規格化値Z
ξpは、以下の式(8)で示される。
【0063】
本実施形態の評価支援処理部220は、以上のように第二の規格化値Z
ξpを取得すると、ベクトル取得部225により、第二の規格化値Z
ξpと、点数値Z
ipとの組を、教科pの二次元ベクトル値a
iとして取得する(ステップS507)。本実施形態では、この二次元ベクトル値a
iを用いて、教科pの貢献度と改善必要度とを算出する。
【0064】
第二の規格化値Z
ξpは、以下の式(9)に示すように、標準偏差の標準偏差σ
σと、標準偏差の平均値μ
σとの比率によって、値が変化する。具体的には、第二の規格化値Z
ξpは、σ
σ/μ
σの値が1よりも大きくなるほど第一の規格化値Z
σpに近づき、σ
σ/μ
σの値が1よりも小さくなるほど1に近づく。
【0066】
つまり、第二の規格化値Z
ξpは、σ
σ/μ
σの比率によって変化する。したがって、本実施形態では、σ
σ/μ
σの比率を、以下の式(10)と式(11)で示すように、角度θとして定義する。
【0069】
このとき、角度θの値は、以下の式(12)に示すように、σ
σ/μ
σの比率によって変化する。具体的には、角度θは、σ
σ/μ
σの値が1よりも大きくなるほどπ/2に近づき、σ
σ/μ
σの値が1よりも小さくなるほど0に近づく。
【0071】
本実施形態では、第二の規格化値Z
ξpと、点数値Z
ipとの関係を示す座標上に、角度θを反映させた貢献度軸と、改善必要度軸とを設ける。本実施形態の評価支援処理部220は、貢献度軸の単位ベクトルe
G及び、改善必要度軸の単位ベクトルe
Bは、以下の式(13)により算出する。
【0073】
この場合、第二の規格化値Z
ξpと、点数値Z
ipとの関係を示す座標上における、受験者iの教科pの貢献度Z
Giと改善必要度Z
Biは、以下の式(14)により算出される。
【0075】
本実施形態の評価支援処理部220は、式(14)から、貢献度算出部226により受験者iの教科pの貢献度Z
Giを算出し、改善必要度算出部227により、受験者iの教科pの改善必要度Z
Biを算出する(ステップS508)。
【0076】
このように、本実施形態では、角度θを第二の規格化値Z
ξpと、点数値Z
ipとの関係を示す座標上に反映させることで、各教科の標準偏差σ
pの平均値μ
σと、教科pの標準偏差の標準偏差σ
σとの比率と、第二の規格化値Z
ξpと、点数値Z
ipと、の関係を同一座標上で示すことができる。
【0077】
続いて本実施形態の評価支援処理部220は、受験者iが受けたテストの教科全てにつて、貢献度と改善必要度とを算出したか否かを判定する(ステップS509)。ステップS509において、全ての教科について算出していない場合、評価支援処理部220はステップS505へ戻る。
【0078】
ステップS509において全ての教科について算出した場合、評価支援処理部220は、表示制御部228により、貢献度Z
Giと改善必要度Z
Biとを評価結果として表示させ(ステップS510)、処理を終了する。
【0079】
本実施形態の表示制御部228は、例えば貢献度Z
Giと改善必要度Z
Biとを、受験者の評価支援指示が入力された装置に対して表示させる。具体的には、表示制御部228は、例えは受験者の評価支援指示が端末装置300において入力された場合には、端末装置300に評価結果を表示させる。また、表示制御部228は、評価支援装置200において評価支援指示が成された場合、評価支援装置200に評価結果を表示させても良い。
【0080】
次に、
図6を参照し、第二の規格化値Z
ξpと、点数値Z
ipとの関係を示す座標上における貢献度軸と、改善必要度軸について説明する。本実施形態の貢献度軸と改善必要度軸は、教科pを評価するための第一の評価軸と第二の評価軸である。
【0081】
図6は、貢献度軸と改善必要度軸について説明する図である。
図6は、角度θにおけるID「26」の受験者の貢献度と改善必要度を示している。
【0082】
図6のグラフでは、縦軸が点数値Z
ipであり、横軸が第二の規格化値Z
ξpである。また、
図6では、第二の規格化値Z
ξp=0の軸を基準に、時計回り方向にθ/2傾いた貢献度軸と、時計回り方向に−θ/2傾いた改善必要度軸とが示されている。
【0083】
貢献度軸は、点数値Z
ipと第二の規格化値Z
ξpの両方の値が大きくなる方向に向いているベクトルである。よって、貢献度の値は、点数値Z
ipと第二の規格化値Z
ξpの両方が正の値となる場合に正の値となり、両方が負の値となる場合に負の値となる。
【0084】
改善必要度軸は、点数値Z
ipと第二の規格化値Z
ξpの両方の値が小さくなる方向に向いているベクトルである。よって、改善必要度の値は、点数値Z
ipと第二の規格化値Z
ξpの両方が正の値となる場合に負の値となり、両方が負の値となる場合に正の値となる。
【0085】
したがって、本実施形態の貢献度と改善必要度は、第二の規格化値Z
ξpの値が大きくなるほど、大きくなる。つまり、本実施形態の貢献度と改善必要度は、点数のばらつきの度合いが大きい教科ほど、それぞれの値が大きくなる。
【0086】
図6では、国語、英語、理科、社会、数学の5教科のうち、点数のばらつきが最も大きい教科が数学であり、点数のばらつきが最も小さい教科が社会である。
【0087】
ID「26」の受験者の各教科の点数は、国語「76点」、英語「50点」、理科「44」点、社会「87点」、数学「90点」である(
図3参照)。この各教科の点数を点数値にすると、各教科の点数値は、国語「0.22」、英語「−0.46」、理科「−0.07」、社会「0.46」、数学「1.21」となる。
図6では、教科毎に(第二の規格化値,点数値)がプロットされている。
【0088】
ここで、例えば数学の貢献度と改善必要度について説明する。
【0089】
図6では、数学の(第二の規格化値,点数値)をプロットした点S1を通り、貢献度軸と直交する垂線を引いた際の垂線と貢献度軸との交点を点T1とする。つまり、点T1は、点S1を貢献度軸に射影させた値である。
【0090】
このとき、数学の貢献度の値は、数値Z
ipと第二の規格化値Z
ξpの両方が0である原点から点T1までの貢献度軸の長さとなる。
図6の例では、点T1は、点数値Z
ipと第二の規格化値Z
ξpの両方が正の値であるため、数学の貢献度は正の値1.43となる。
【0091】
同様に、改善必要度の値は、点S1を通り、改善必要度軸と直交する垂線を引いた際の垂線と改善必要度軸との交点を点T2としたとき、原点から点T2までの改善必要度軸の長さとなる。つまり、点T2は、点S1を改善必要度軸に射影させた値である。
図6の例では、点T2は、点数値Z
ipと第二の規格化値Z
ξpの両方が正の値であるため、
数学の改善必要度は、負の値−0.95となる。
【0092】
本実施形態では、以上のようにして、各教科の貢献度と改善必要度が算出される。本実施形態の貢献度軸は、点数値Z
ipが大きくなる方向に向かうベクトルである。したがって、貢献度が高い教科は、総合成績に寄与している割合が高く、良い影響を与えていると言える。
【0093】
また、改善必要度軸は、点数値Z
ipが小さくなる方向に向かうベクトルである。したがって、改善必要度が高い教科は、総合成績に寄与している割合が低く、悪い影響を与えていると言える。
【0094】
また、改善必要度が高い教科は、他の教科と比べて点数のばらつきが大きく、且つ点数が低い教科であることがわかる。
【0095】
さらに、上述した式(2)からわかるように、点数のばらつきの度合い(標準偏差σ
p)が小さい教科の点数を上げるよりも、点数のばらつきの度合いが大きい教科の点数を上げた方が、総合点に対する影響が大きくなる。
【0096】
したがって、本実施形態では、この改善必要度の高い教科を、優先的に取り組む教科として提示することで、効率的な総合成績の向上を図ることができる、適正な評価結果を提供することができる。
【0097】
次に、
図7及び
図8を参照し、評価結果の表示について説明する。
図7は、評価結果の一例を示す第一の図である。
【0098】
図7の例では、ID「26」の各教科の点数、点数値、貢献度、改善必要度を一覧としたものを評価結果とする場合を示している。本実施形態の評価支援装置200は、この一覧を、例えば端末装置300に表示させても良い。
【0099】
図7では、数学の点数値欄と貢献度欄及び社会の貢献度欄に得意な教科であることを示すマーカが表示されている。また、
図7では、英語の改善必要度欄に苦手な教科であることを示すマーカが表示されている。
【0100】
本実施形態では、貢献度が0.5以上の教科を得意教科とし、改善必要度が0.5以上の教科を強化対象の教科とした。
【0101】
数学は、点数値と貢献度が共に高く、ID「26」の受験者が得意な教科と評価されている。また、社会は、点数値が0.5以下であるが、貢献度が0.53であるため、ID「26」の受験者が得意な科目と評価される。
【0102】
英語は、改善必要度が0.66であるため、強化対象の教科と評価される。
【0103】
図8は、評価結果の一例を示す第一の図である。
図8は、例えば端末装置300に表示された評価結果画面の一例である。
【0104】
図8に示す評価結果画面81では、メンバーAの評価結果として、強化対象として取り組むべき教科の優先順位が示されている。具体的には、評価結果画面81では、偏差値による評価から得た優先順位と、改善必要度から得た優先順位とが示されている。
【0105】
偏差値から得た優先順位は、偏差値が低い科目から順に優先順位が付与されている。これに対し、改善必要度から得た優先順位では、改善必要度の値が大きい順に優先順位が付与されている。
【0106】
この結果、偏差値が最も低い理科よりも、偏差値が3番目に低い数学に優先的に取り組むことで、偏差値が最も低い理科を優先的に強化するよりも効率的に総合成績の向上させることがわかる。
【0107】
以上のように、本実施形態によれば、教科毎に「各教科の点数のばらつきの度合い」の度合いを考慮した評価を行うことで、適切な評価結果を提示することができる。
【0108】
尚、本実施形態では、評価結果を画面に表示させる形態としたが、評価支援装置200,は、単に
図7や
図8に示す評価結果を評価結果データとして出力し、表示させなくても良い。
【0109】
さらに、本実施形態の平均算出部222とばらつき算出部223は、最新のテストにおける成績データを用いて各教科の平均点や標準偏差を算出するものとしたが、これに限定されない。成績データデータベース210には、過去の成績データが蓄積されており、平均算出部222とばらつき算出部223は、教科の平均点や標準偏差を算出する際に過去の成績データを用いて良い。
【0110】
また、本実施形態では、複数の教科のテストを行った場合の教科毎の評価に評価支援処理部220の処理を適用するものとしたが、評価支援処理部220の処理は、他の評価に用いることもできる。
【0111】
本実施形態の評価支援処理部220の処理は、例えば1つの試験で複数の評価項目の値を取得し、各評価項目の値から試験の結果を評価する際に適用できる。
【0112】
この場合、評価支援処理部220は、各評価項目の値を規格化した点数値を算出する。また、評価支援処理部220は、複数の評価項目の標準偏差の標準偏差を規格化した第一の規格化値から、第二の規格化値を求める。そして、評価支援処理部220は、点数値と第二の規格化値との組である二次元ベクトル値を求め、この二次元ベクトル値から評価項目の貢献度と改善必要度とを算出すれば良い。
【0113】
このように評価項目毎の貢献度と改善必要度を算出することで、例えば改善必要度の高い評価項目を優先的に改善すべき項目であり、貢献度が高い評価項目は現状を維持することが好ましい項目であることがわかる。
【0114】
開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
複数の評価項目を有する評価において、前記評価項目毎に、前記評価項目の値のばらつきの度合いのばらつきを算出するばらつき算出部と、
前記評価項目毎に、前記度合いのばらつきを規格化した値を算出する規格化処理部と、
前記度合いのばらつきと、前記規格化した値と、を用いた前記評価の結果を出力する出力部と、を有する評価支援装置。
(付記2)
前記評価の結果は、
前記評価項目の値のばらつきの平均と、前記度合いのばらつきとの比率により定義される第一の評価軸及び第二の評価軸を用いて、前記評価項目毎に示される付記1記載の評価支援装置。
(付記3)
前記評価結果は、
前記評価項目の値を規格化した値と、前記度合いのばらつきを規格化した値とで示されるベクトル値を、前記第一の評価軸及び第二の評価軸に射影して得られる値である付記2記載の評価支援装置。
(付記4)
前記第一の評価軸は、前記評価項目の値が、前記評価の結果に対して貢献している度合いを示す軸であり、
前記第二の評価軸は、前記評価項目についての改善が必要とされる度合いを示す軸である付記3記載の評価支援装置。
(付記5)
前記度合いのばらつきは、前記評価項目の値の標準偏差の標準偏差である付記1乃至4の何れか一項に記載の評価支援装置。
(付記6)
複数の評価項目を有する評価において、前記評価項目毎に、前記評価項目の値のばらつきの度合いのばらつきを算出し、
前記評価項目毎に、前記度合いのばらつきを規格化した値を算出し、
前記度合いのばらつきと、前記規格化した値と、を用いた前記評価の結果を出力する、処理をコンピュータに実行させる評価支援プログラム。
(付記7)
複数の評価項目を有する評価を行う評価支援装置と、前記評価の結果を受け付ける端末装置と、を有する評価支援システムであって、
前記評価支援装置は、
複数の評価項目を有する評価において、前記評価項目毎に、前記評価項目の値のばらつきの度合いのばらつきを算出するばらつき算出部と、
前記評価項目毎に、前記度合いのばらつきを規格化した値を算出する規格化処理部と、
前記度合いのばらつきと、前記規格化した値と、を用いた前記評価の結果を前記端末装置へ出力する出力部と、を有する評価支援システム。
(付記8)
コンピュータによる評価支援方法であって、該コンピュータが、
複数の評価項目を有する評価において、前記評価項目毎に、前記評価項目の値のばらつきの度合いのばらつきを算出し、
前記評価項目毎に、前記度合いのばらつきを規格化した値を算出し、
前記度合いのばらつきと、前記規格化した値と、を用いた前記評価の結果を出力する、評価支援方法。
(付記9)
複数の教科の総合評価において、前記教科毎に、前記教科の点数のばらつきの度合いのばらつきを算出するばらつき算出部と、
前記教科毎に、前記度合いのばらつきを規格化した値を算出する規格化処理部と、
前記度合いのばらつきと、前記規格化した値と、を用いた前記総合評価の結果を出力する出力部と、を有する学習支援装置。
本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。