特許第6604101号(P6604101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604101
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】転写装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   G03G15/16 103
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-177825(P2015-177825)
(22)【出願日】2015年9月9日
(65)【公開番号】特開2017-54005(P2017-54005A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 創太
(72)【発明者】
【氏名】高島 義行
(72)【発明者】
【氏名】八木 宏明
(72)【発明者】
【氏名】白井 雅憲
(72)【発明者】
【氏名】出口 宏治
(72)【発明者】
【氏名】岩本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】平峯 祐太
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−180284(JP,A)
【文献】 特開2011−191679(JP,A)
【文献】 特開2010−020243(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0124120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体に対して中間転写ベルトを接触させる接触位置と、前記像保持体に対して前記中間転写ベルトを離間させる離間位置と、を選択的に取る一次転写ロールと、
駆動ロールと共に前記中間転写ベルトが巻き掛けられるとともに、前記駆動ロールから離れる方向へ付勢された張力付与ロールと、
前記張力付与ロールの軸部に取り付けられるとともに、前記駆動ロールへ近づく方向へ付勢手段によって付勢され、前記一次転写ロールが離間位置を取ったときに、前記張力付与ロールの前記駆動ロールから離れる方向への付勢力を緩和する緩和部材と、
を備え
前記付勢手段は、
前記張力付与ロールの軸方向に延在され、前記緩和部材に形成された孔部に挿入されるシャフトと、
前記シャフトを前記駆動ロールへ近づく方向へ付勢する引張コイルバネと、
を含んで構成されている転写装置。
【請求項2】
像保持体上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された前記像保持体上の画像が一次転写される中間転写ベルトを有する請求項1に記載の転写装置と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのカムを使用し、感光体に対してベルト状像担持体を2段階に離間可能に構成されたベルト張力ユニットは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。第1段階では、電動によって離間し、印刷待機姿勢を取る。第2段階では、手動によって離間し、挿抜可能姿勢を取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−194472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、像保持体から中間転写ベルトを離間させたときに、中間転写ベルトが巻き掛けられている張力付与ロールの駆動ロールから離れる方向への付勢力を緩和する緩和部材を備えていない構成に比べて、中間転写ベルトに巻癖が付くのを抑制できる転写装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の転写装置は、像保持体に対して中間転写ベルトを接触させる接触位置と、前記像保持体に対して前記中間転写ベルトを離間させる離間位置と、を選択的に取る一次転写ロールと、駆動ロールと共に前記中間転写ベルトが巻き掛けられるとともに、前記駆動ロールから離れる方向へ付勢された張力付与ロールと、前記張力付与ロールの軸部に取り付けられるとともに、前記駆動ロールへ近づく方向へ付勢手段によって付勢され、前記一次転写ロールが離間位置を取ったときに、前記張力付与ロールの前記駆動ロールから離れる方向への付勢力を緩和する緩和部材と、を備えている。
【0006】
そして、前記付勢手段は、前記張力付与ロールの軸方向に延在され、前記緩和部材に形成された孔部に挿入されるシャフトと、前記シャフトを前記駆動ロールへ近づく方向へ付勢する引張コイルバネと、を含んで構成されている。
【0007】
また、本発明に係る請求項に記載の画像形成装置は、像保持体上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された前記像保持体上の画像が一次転写される中間転写ベルトを有する請求項に記載の転写装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、像保持体から中間転写ベルトを離間させたときに、中間転写ベルトが巻き掛けられている張力付与ロールの駆動ロールから離れる方向への付勢力を緩和する緩和部材を備えていない構成に比べて、中間転写ベルトに巻癖が付くのを抑制することができる。
【0009】
また、請求項に係る発明によれば、付勢手段が、シャフトと引張コイルバネとで構成されていない場合に比べて、付勢手段の構成を簡略化することができる。
【0010】
請求項に係る発明によれば、請求項に記載の転写装置を備えていない構成に比べて、中間転写ベルトに巻癖が付くことによる画像欠陥の発生を抑制又は防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る一次転写ユニットの画像形成時を示す正面図である。
図3】本実施形態に係る一次転写ユニットのリトラクト時を示す正面図である。
図4】本実施形態に係る一次転写ユニットの一部を示す平面図である。
図5】本実施形態に係る一次転写ユニットのスライダーをスライドさせる機構を拡大して示す平面図であり、(A)はスライド前、(B)はスライド後である。
図6】本実施形態に係る一次転写ユニットの付勢手段の構成を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る一次転写ユニットの緩和部材を示す正面図である。
図8】本実施形態に係る一次転写ユニットの緩和部材を模式的に示す説明図であり、(A)は画像形成時、(B)はリトラクト時である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1に示される矢印UPを画像形成装置10の上方向とし、矢印RHを画像形成装置10の右方向とする。また、図1における紙面手前方向を画像形成装置10の前方向とする。また、図2図3図7図8では、一次転写ユニット60を左右方向に対して傾斜させずに描いており、左右方向に対して僅かに傾斜されている場合も「左右方向」とする。
【0013】
図1に示されるように、画像形成装置10の装置本体12の内部には、入力される画像データに対して画像処理を行う画像処理部14が設けられている。この画像処理部14は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっている。
【0014】
装置本体12の中央側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成部の一例としての画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、左右方向に対して傾斜して配置されている。各色の画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、装置本体12から前方側へ引出可能に構成されており、装置本体12の前壁は開閉可能に構成されている。なお、以下において、各色を区別して説明する必要がない場合には、Y、M、C、Kの英字を省略する。
【0015】
各色の画像形成ユニット16は、それぞれ同様に構成されており、回転する円柱状の像保持体20と、像保持体20の表面を帯電させる帯電器22と、帯電した像保持体20の表面に露光光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド24と、LEDヘッド24によって形成された静電潜像をトナー(現像剤)で現像し、トナー画像として可視化する現像器26と、像保持体20の表面を清掃する清掃ブレード(図示省略)と、を備えている。
【0016】
現像器26は、像保持体20と対向して配置される現像ロール28を有しており、現像ロール28から供給されるトナーにより、像保持体20上の静電潜像が現像され、トナー画像として可視化されるようになっている。なお、帯電器22、LEDヘッド24、現像ロール28及び清掃ブレードは、像保持体20の表面と対向し、像保持体20の回転方向上流側から下流側へ向けて、この順番で配置されている。
【0017】
各色の画像形成ユニット16の上方側には、各色の画像形成ユニット16で形成されたトナー画像が多重転写される一次転写ユニット60が配置されている。図1図3に示されるように、転写装置の一例としての一次転写ユニット60は、トナー画像が多重転写される無端状の中間転写ベルト62と、中間転写ベルト62が巻き掛けられる駆動ロール64とセンサーロール66と面出ロール68と張力付与ロール70と、を有している。
【0018】
駆動ロール64は、回転駆動して中間転写ベルト62を矢印A方向に周回させるようになっている。張力付与ロール70は、付勢部材としての圧縮コイルバネ100(図8参照)によって常時右方向(駆動ロール64から離れる方向)へ付勢されており、中間転写ベルト62に張力を付与するようになっている。
【0019】
なお、中間転写ベルト62上に多重転写されたトナー画像を検知するセンサーロール66は、駆動ロール64の下方側に配置されている。また、各色の像保持体20に対して、後述する一次転写ロール58に支持された中間転写ベルト62を接触させるために、その中間転写ベルト62の位置を設定する面出ロール68は、張力付与ロール70の下方側に配置されている。
【0020】
一次転写ユニット60は、中間転写ベルト62を挟んで各色の像保持体20の反対側にそれぞれ配置される複数(4つ)の一次転写ロール58を有している。各色の一次転写ロール58Y、58M、58C、58Kは、センサーロール66と面出ロール68との間における中間転写ベルト62の内周面側に間隔を空けて配置されており、各色の像保持体20に対して中間転写ベルト62を接触させるように、その中間転写ベルト62を像保持体20に向けて押圧するようになっている。
【0021】
これにより、各色の像保持体20上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、中間転写ベルト62上に順次転写される(多重転写される)ようになっている。なお、この一次転写ユニット60には、中間転写ベルト62の表面に接触し、一次転写されずに、その表面に残留した残留トナーを清掃する清掃ブレード63も配置されている。
【0022】
また、この一次転写ユニット60には、各色の画像形成ユニット16を装置本体12から引き出すときに、各一次転写ロール58を上方側へ移動させて、中間転写ベルト62を各色の像保持体20から離間させるリトラクト機構80(図2図3参照)が備えられている。なお、このリトラクト機構80については、後で詳述する。
【0023】
図1に示されるように、一次転写ユニット60の上方側には、装置本体12に対して着脱可能とされ、現像器26に補給されるトナーが充填されているトナーカートリッジ18が、各色別に並んで配置されている。各色のトナーカートリッジ18は、各色の現像器26と補給管(図示省略)を介して接続されている。
【0024】
一方、各色の画像形成ユニット16の下方側には、記録シートの一例としての記録用紙Pを供給して搬送する供給搬送ユニット30が配置されている。供給搬送ユニット30は、複数の記録用紙Pが積載される給紙部32と、給紙部32に積載された記録用紙Pを搬送経路40へ送り出す給紙ロール34と、給紙ロール34によって送り出された記録用紙Pを1枚ずつ分離する分離ロール36と、を備えている。
【0025】
そして、供給搬送ユニット30は、記録用紙Pの搬送タイミングを合わせる位置合わせロール38を備えている。したがって、給紙部32から供給され、給紙ロール34及び分離ロール36によって搬送された記録用紙Pは、位置合わせロール38によって、中間転写ベルト62と後述する二次転写ロール42との接触部(二次転写位置)へ決められたタイミングで送り出されるようになっている。
【0026】
一次転写ユニット60の左方側には、供給搬送ユニット30によって搬送経路40に沿って搬送された記録用紙Pに、一次転写ユニット60の中間転写ベルト62上に多重転写されたトナー画像を転写する二次転写ロール42が設けられている。二次転写ロール42は、中間転写ベルト62を挟んで駆動ロール64の反対側に設けられており、接地されている。
【0027】
駆動ロール64は、二次転写ロール42の対向電極を形成するようになっており、二次転写電圧が印加されるようになっている。これにより、中間転写ベルト62上に多重転写されたトナー画像が、その中間転写ベルト62と二次転写ロール42との接触部(二次転写位置)にて、記録用紙Pに転写されるようになっている。
【0028】
二次転写ロール42よりも記録用紙Pの搬送方向下流側には、記録用紙Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によって記録用紙Pに定着させる定着装置50が設けられている。そして、定着装置50よりも記録用紙Pの搬送方向下流側には、トナー画像が定着された記録用紙Pを装置本体12の上部に設けられた排出部52へ排出する排出ロール44が設けられている。
【0029】
また、供給搬送ユニット30には、定着装置50によって一方の面にトナー画像が定着された記録用紙Pの他方の面にトナー画像を形成するために、その記録用紙Pを二次転写位置へ搬送する反転搬送装置54が備えられている。反転搬送装置54は、排出ロール44から位置合わせロール38に向けて、記録用紙Pの表裏を反転させて搬送する反転経路48と、反転経路48に沿って記録用紙Pを搬送する搬送ロール46と、を備えている。
【0030】
以上のような構成とされた画像形成装置10において、次にその画像形成プロセスについて簡単に説明する。
【0031】
まず、画像処理部14から各色のLEDヘッド24へ各色の階調データが出力される。そして、各色の階調データに応じて各色のLEDヘッド24から出射された露光光が、帯電器22によって帯電された各色の像保持体20の表面に照射される。これにより、各色の像保持体20の表面に静電潜像が形成される。
【0032】
各色の像保持体20上に形成された静電潜像は、各色の現像器26によって現像され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として可視化される。そして、各色の像保持体20上に形成された各色のトナー画像が、一次転写ユニット60の一次転写ロール58により、周回する中間転写ベルト62上に順次転写される(多重転写される)。
【0033】
周回する中間転写ベルト62上に多重転写された各色のトナー画像は、給紙部32から給紙ロール34、分離ロール36及び位置合わせロール38によって搬送経路40に沿って搬送されてきた記録用紙Pに、二次転写位置にて、二次転写ロール42によって二次転写される。そして、トナー画像が二次転写された記録用紙Pは定着装置50へ搬送され、その定着装置50によってトナー画像が記録用紙Pに定着される。
【0034】
定着装置50によって表面にトナー画像が定着された記録用紙Pは、排出ロール44によって排出部52上へ排出されるか、又は反転搬送装置54によって再び二次転写位置へ搬送され、裏面に対してトナー画像が転写される。そして、裏面にトナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置50へ搬送され、上述のように、そのトナー画像が定着されて、排出部52上へ排出される。
【0035】
以上のような構成とされた画像形成装置10において、次にその一次転写ユニット60のリトラクト機構80について詳細に説明する。
【0036】
図2図4に示されるように、一次転写ユニット60は、左右方向に延在するフレーム72を前部側及び後部側に有しており、駆動ロール64の回転軸65、センサーロール66の回転軸67及び面出ロール68の回転軸69は、それぞれ前後のフレーム72によって回転可能に支持されている。なお、センサーロール66及び面出ロール68は、後述するリトラクト時には、上方側へ移動するように構成されている。
【0037】
各色の一次転写ロール58は、フレーム72に設けられたリンク機構82によって支持されており、後述するリトラクト時には、支軸56を中心に上方側へ移動するように構成されている。リンク機構82は、フレーム72の前後方向内側で左右方向に移動可能に構成された移動部材の一例としてのスライダー84を有している。
【0038】
スライダー84は、左右方向に延在されており、その左右方向の適宜位置にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の正面視略「L」字状のアーム部材86Y、86M、86Cの上端部が回転可能に取り付けられている。アーム部材86Y、86M、86Cの屈曲部は、支軸56に回転可能に支持されており、アーム部材86Y、86M、86Cの下端部には、一次転写ロール58Y、58M、58Cが回転可能に支持されている。
【0039】
また、ブラック(K)のアーム部材86Kの上端部は、リンク機構82を構成する支持部材87に支軸56を介して取り付けられており、アーム部材86Kの下端部には、一次転写ロール58Kが回転可能に支持されている。この支持部材87は、後述するリトラクト時に、スライダー84が左方向へ移動すると、一次転写ロール58Kを上方側へ移動させるように構成されている。
【0040】
また、一次転写ユニット60の左側端部には、カム部材74が支軸76に固定されており、このカム部材74は、手動(図示しないハンドル)で支軸76を回転させることによって回転する構成になっている。そして、このカム部材74が、センサーロール66の回転軸67に回転可能に設けられているカム受部材78を押圧することにより、図2に示されるように、センサーロール66を支軸76から離れる方向に位置させるようになっている。
【0041】
この状態が、一次転写ユニット60の画像形成姿勢であり、図2に示されるように、各色の一次転写ロール58が、各色の像保持体20に対して中間転写ベルト62を接触させる接触位置を取るようになっている。つまり、各色の一次転写ロール58によって内周面側から押圧されて支持されている中間転写ベルト62が、各色の像保持体20に接触するようになっている。
【0042】
一方、図3に示されるように、カム部材74が図3の反時計回り方向へ回転させられると、センサーロール66の回転軸67が支軸76に近づく方向に移動するようになっている。そして、図5に示されるように、スライダー84の左側端部に後方側へ向かって突出形成された被係合部85が、カム部材74と連動する係合部75に係合されて左方向へ移動し、スライダー84が左方向へ移動するようになっている。
【0043】
これにより、アーム部材86Y、86M、86Cが支軸56を中心に図3の反時計回り方向へ回転し、アーム部材86Kが支軸56を中心に図3の時計回り方向へ回転するようになっているので、各色の一次転写ロール58が上方側へ移動し、中間転写ベルト62が各色の像保持体20から離間するようになっている。
【0044】
この状態が、一次転写ユニット60のリトラクト姿勢であり、図3に示されるように、各色の一次転写ロール58が、各色の像保持体20に対して中間転写ベルト62を離間させる離間位置を取るようになっている。そして、張力付与ロール70は、圧縮コイルバネ100(図8参照)によって常時右方向(駆動ロール64から離れる方向)へ付勢されていることから、右方向(駆動ロール64から離れる方向)へ移動するようになっている。
【0045】
ここで、その張力付与ロール70の駆動ロール64から離れる方向への付勢力が強すぎると、中間転写ベルト62の張力付与ロール70に巻き掛けられている部分の張力が必要以上に高くなるので、その部分に巻癖が付き易くなる。そのため、本実施形態に係る一次転写ユニット60のリトラクト機構80には、張力付与ロール70の右方向(駆動ロール64から離れる方向)への付勢力を緩和する緩和機構90(図7参照)が設けられている。
【0046】
詳細に説明すると、図7に示されるように、この緩和機構90は、張力付与ロール70の軸部の一例としての回転軸71に一端部が取り付けられた緩和部材92を有している。緩和部材92は、フレーム72(スライダー84)の前後方向外側に配置されており、左右方向が長手方向とされている。そして、この緩和部材92は、図4図6に示される付勢手段94によって、常時左方向(駆動ロール64に近づく方向)へ付勢されている。
【0047】
図4図6に示されるように、付勢手段94は、前後方向に延在されて前後のフレーム72にそれぞれ両端部が固定されたシャフト88に左端部(一端部)が取り付けられた引張コイルバネ96と、前後方向(張力付与ロール70の軸方向)に延在され、引張コイルバネ96の右端部(他端部)が取り付けられたシャフト98と、を有している。
【0048】
シャフト98の両端部は、それぞれスライダー84に形成された長孔部83(図2図3参照)を貫通して、フレーム72に形成された長孔部73(図6参照)に挿入されている。なお、シャフト88の両端部も、スライダー84に形成された孔部81(図2図3参照)を貫通してフレーム72に固定されている。また、図6では、フレーム72のみを示し、スライダー84等の図示は省略している。
【0049】
図6図8(A)に示されるように、長孔部73は、左右方向が長手方向とされた略楕円形状に形成されており、一次転写ロール58が画像形成姿勢(接触位置)を取る画像形成時には、シャフト98の両端部が、引張コイルバネ96の付勢力によって長孔部73の左辺縁部に接触して(長孔部73の左辺縁部を左方向に押圧して)保持されるようになっている。
【0050】
また、図7図8(A)に示されるように、シャフト98の両端部は、緩和部材92に形成された孔部の一例としての長孔部93にも挿入されている。この長孔部93は、左右方向が長手方向とされた略楕円形状に形成されており、一次転写ロール58が画像形成姿勢を取る画像形成時には、シャフト98の両端部が、長孔部93の左右辺縁部に接触しない(又は接触しても左右方向に押圧しない)構成になっている。
【0051】
そして、一次転写ロール58がリトラクト姿勢(離間位置)を取るリトラクト時には、圧縮コイルバネ100の付勢力により張力付与ロール70が右方向(駆動ロール64から離れる方向)へ移動し、緩和部材92が右方向へ移動するが、その移動が長孔部93に挿入されたシャフト98によって抑制されるようになっている。すなわち、図8(B)に示されるように、緩和部材92が右方向へ移動すると、長孔部93の左辺縁部がシャフト98の両端部に接触し、シャフト98を右方向へ移動させようとする。
【0052】
しかしながら、シャフト98は引張コイルバネ96によって、常時左方向へ付勢されているため、シャフト98の右方向への移動が、その引張コイルバネ96の付勢力によって抑制される。よって、緩和部材92を介して、張力付与ロール70の右方向への付勢力が緩和され、張力付与ロール70に巻き掛けられている中間転写ベルト62の張力が、巻癖が付かない程度に低減される。
【0053】
なお、このとき(一次転写ロール58がリトラクト姿勢を取ったリトラクト時)の中間転写ベルト62の張力をTとし、少なくとも4つの一次転写ロール58の重さによって生じる中間転写ベルト62の張力をTmとし、中間転写ベルト62に巻癖が付くときの中間転写ベルト62の張力をTeとしたとき、Tm<T<Teを満たすようになっている。
【0054】
以上のような構成とされたリトラクト機構80(緩和機構90)を備えた一次転写ユニット60において、次にその作用について説明する。
【0055】
各色の画像形成ユニット16を装置本体12から引き出すときには、リトラクト機構80により、各色の像保持体20から中間転写ベルト62を離間させる。すなわち、図示しないハンドルを操作して、カム部材74を図3における反時計回り方向に回転させる。すると、図5に示されるように、スライダー84の被係合部85が、カム部材74と連動する係合部75に係合されて左方向へ移動し、スライダー84が左方向へ移動する。
【0056】
これにより、リンク機構82のアーム部材86が支軸56を中心に回転するので、一次転写ロール58が上方側へ移動し、中間転写ベルト62に対する一次転写ロール58の内周面側からの押圧が解除される。つまり、中間転写ベルト62が各色の像保持体20から離間される。よって、各色の画像形成ユニット16の装置本体12からの引き出しが可能となる。
【0057】
一方、カム部材74が、図3における反時計回り方向に回転すると、センサーロール66の回転軸67が、カム部材74の支軸76に近づく方向に移動するとともに、圧縮コイルバネ100によって常時右方向へ付勢されている張力付与ロール70が、右方向(駆動ロール64から離れる方向)へ移動する。
【0058】
張力付与ロール70が右方向へ移動すると、その回転軸71に取り付けられている緩和部材92が右方向へ移動するが、緩和部材92の長孔部93にはシャフト98が挿入されている。ここで、そのシャフト98は、引張コイルバネ96によって常時左方向(駆動ロール64に近づく方向)へ付勢されている。
【0059】
したがって、図8(B)に示されるように、緩和部材92が右方向へ移動したときには、長孔部93の左辺縁部がシャフト98の両端部に接触し、シャフト98を介して、その緩和部材92の右方向への移動が引張コイルバネ96によって抑制される。つまり、張力付与ロール70を右方向へ付勢する圧縮コイルバネ100の付勢力と、シャフト98を介して緩和部材92を左方向へ付勢する引張コイルバネ96の付勢力と、が釣り合う位置で張力付与ロール70が保持される。
【0060】
これにより、一次転写ロール58がリトラクト姿勢を取るリトラクト時において、張力付与ロール70の右方向への付勢力が緩和され、張力付与ロール70に巻き掛けられている中間転写ベルト62の張力が、緩和機構90を備えていない一次転写ユニット60の場合に比べて低減される。よって、張力付与ロール70により中間転写ベルト62に巻癖が付くのが抑制又は防止される。
【0061】
また、このとき、上記の通り、T<Teとされている。したがって、T≧Teとされている構成に比べて、中間転写ベルト62に巻癖が付くのが抑制又は防止される。そして、中間転写ベルト62に巻癖が付くことによる画像欠陥の発生が抑制又は防止される。また、このとき、上記の通り、T>Tmとされている。したがって、T≦Tmとされている構成に比べて、中間転写ベルト62が下方側に弛んで装置本体12内の部品(例えば、画像形成ユニット16など)に接触して損傷するのが抑制又は防止される。
【0062】
また、本実施形態に係る一次転写ユニット60では、緩和部材92が右方向へ移動するのを抑制するための付勢手段94が、シャフト98と引張コイルバネ96とを含んで構成されている。したがって、その付勢手段94が、シャフト98と引張コイルバネ96とを含んで構成されていない場合に比べて、付勢手段94の構成が簡略化される利点がある。
【0063】
以上、本実施形態に係る一次転写ユニット60(転写装置)について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る一次転写ユニット60は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、付勢手段94は、シャフト98と引張コイルバネ96とで構成されるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
10 画像形成位置
16 画像形成ユニット(画像形成部の一例)
20 像保持体
58 一次転写ロール
60 一次転写ユニット(転写装置の一例)
62 中間転写ベルト
64 駆動ロール
70 張力付与ロール
71 回転軸(軸部の一例)
92 緩和部材
93 長孔部(孔部の一例)
94 付勢手段
96 引張コイルバネ
98 シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8