(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記基板支持部は、上記基板より上記第1方向に延出されており、上記消費材カートリッジが上記装着部に挿入される過程で上記第1壁に接触する接触部を備える請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0029】
また、以下の説明では、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される方向が挿入方向51(第1方向の一例)と定義される。また、挿入方向51と反対方向であって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される方向が脱抜方向52(第2方向の一例)と定義される。本実施形態において、挿入方向51及び脱抜方向52は水平方向であるが、挿入方向51及び脱抜方向52は水平方向でなくてもよい。
【0030】
また、挿入方向51及び脱抜方向52に直交する方向が上方向54(第3方向の一例)と定義される。また、上方向54と反対方向が下方向53(第4方向の一例)と定義される。本実施形態において、第3方向としての上方向54が鉛直上方であり、第4方向としての下方向53が鉛直下方であるが、第3方向及び第4方向は鉛直方向でなくてもよい。
【0031】
また、挿入方向51及び下方向53と直交する方向が、右方向55(第5方向の一例)及び左方向56(第6方向の一例)と定義される。より具体的には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の装着姿勢(使用姿勢)にある状態において、インクカートリッジ30を挿入方向51に視た場合において、右に延びる方向が右方向55と定義され、左に延びる方向が左方向56と定義される。本実施形態において、第5方向としての右方向55及び第6方向としての左方向56は水平方向であるが、第5方向及び第6方向は水平方向でなくてもよい。
【0032】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10(システムの一例)は、記録ヘッド21(消費部の一例)と、インク供給装置100と、記録ヘッド21及びインク供給装置100を接続するインクチューブ20とを備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110(装着部の一例)が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30(消費材カートリッジの一例)が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面に開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジ装着部110に挿入方向51に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から脱抜方向52に抜き出される。
【0033】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインク(消費材の一例)が貯留されている。つまり、インクカートリッジ30は、インクを保持する。カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、インクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。具体的には、記録ヘッド21に設けられたヘッド制御基板(不図示)から各ノズル29に対応して設けられたピエゾ素子29Aに選択的に駆動電圧が印加される。これにより、ノズル29から選択的にインクが吐出される。
【0034】
プリンタ10は、給紙トレイ15と、給紙ローラ23と、搬送ローラ対25と、プラテン26と、排出ローラ対27と、排紙トレイ16と、を備えている。給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ給送された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。また、これにより、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30が保持するインクが、記録ヘッド21によって消費される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対27によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0035】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21にインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、
図1においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態が示されている。
【0036】
[インクカートリッジ30]
図4及び
図5に示されるインクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインクを貯留する貯留室36である。貯留室36は、インクカートリッジ30の外観を形成している後部カバー31及び前部カバー32に収納された内部フレーム35によって形成されているが、後部カバー31及び前部カバー32などによって形成されていてもよい。内部フレーム35及び後部カバー31は、本体の一例である。前部カバー32(特に、前部カバー32のうち、後述する基板支持台130)は、基板支持部の一例である。
【0037】
図1、
図4、
図5、
図7、
図8、及び
図9に示されるインクカートリッジ30の姿勢は、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときの姿勢である。すなわち、インクカートリッジ30は、後述されるように、前面140と、後面41と、上面39,141と、下面42,142と、側面37、143と、側面38、144とを備えるが(
図4参照)、
図1、
図4、
図5、
図7、
図8、及び
図9に示されているインクカートリッジ30の姿勢は、後面41から前面140に向かう方向が挿入方向51に一致し、前面140から後面41に向かう方向が脱抜方向52に一致し、上面39,141から下面42,142に向かう方向が下方向53に一致し、下面42,142から上面39,141に向かう方向が上方向54に一致する姿勢である。また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるときに、前面140は挿入方向51を向き、後面41は脱抜方向52を向き、側面37、143は右方向55を向き、側面38、144は左方向56を向き、下面42,142は下方向53を向き、上面39,141は、上方向54を向く。
【0038】
図4及び
図5に示されるように、インクカートリッジ30は、略直方体形状の後部カバー31と、前面140を構成する前部カバー32と、貯留室36を区画する内部フレーム35とで構成される。後部カバー31と前部カバー32とによって、インクカートリッジ30の外形が構成されている。内部フレーム35は、後部カバー31及び前部カバー32の内部に収納される。インクカートリッジ30は、全体として、右方向55及び左方向56に沿った寸法が細く、下方向53及び上方向54、並びに挿入方向51及び脱抜方向52それぞれに沿った寸法が、右方向55及び左方向56に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるときに挿入方向51を向く前部カバー32の面が前面140であり、脱抜方向52を向く後部カバー31の面が後面41である。すなわち、後面41は、前部カバー32の前面140との間に貯留室36を挟んで配置されている。
【0039】
[内部フレーム35]
図5に示される内部フレーム35は、右方向55及び左方向56の一対の端面が開放された環状に構成されている。内部フレーム35において、開放された一対の面がフィルム(不図示)によって封止されることにより、その内部にインクを貯留可能な貯留室36が形成されている。
【0040】
図5に示されるように、貯留室36を区画する内部フレーム35の前面40は、内部フレーム35が前部カバー32に挿入された際に、前部カバー32の前面140の裏面に対向する面である。前面40に、後述するインク供給部34が設けられている。
【0041】
貯留室36を区画する内部フレーム35の上面46は、内部フレーム35が前部カバー32及び後部カバー31に挿入された際に、前部カバー32の上面141及び後部カバー31の上面39の裏面に対向する面である。
図4及び
図5に示されるように、上面46に、上方へ突出する凸部48が設けられている。凸部48に、挿入方向51へ突出する操作部49が設けられている。操作部49の挿入方向51の端面49A(接触面の一例)は、挿入方向51を向いた面であり、挿入方向51へ向かって上方向54へ傾斜している。後述するように、端面49Aは、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される過程において、カートリッジ装着部110の被操作部168Bの面168Cと接触する(
図8参照)。なお、操作部49は、後部カバー31に設けられていてもよい。
【0042】
凸部48は、内部フレーム35に組み付けられた後部カバー31及び前部カバー32に形成された長孔50を通じて、後部カバー31及び前部カバー32の外部へ突出している。長孔50は、後部カバー31の上面39の挿入方向51の端から脱抜方向52へ凹んだ凹みと、前部カバー32の上面141の脱抜方向52の端から挿入方向51へ凹んだ凹みとによって形成されている。長孔50の挿入方向51及び脱抜方向52に沿った長さは、凸部48の挿入方向51及び脱抜方向52に沿った長さよりも長い。これにより、後述する前部カバー32の内部フレーム35に対する相対移動が、凸部48によって阻害されることはない。
【0043】
[後部カバー31]
図4及び
図5に示されるように、後部カバー31は、右方向55及び左方向56において互いに隔てて配置された側面37、38と、上方向54を向く上面39、下方向53を向く下面42とが後面41から挿入方向51へ延設されて構成されており、挿入方向51へ向かって開口された箱形である。後部カバー31の内部には、開口を通じて内部フレーム35が挿入される。すなわち、後部カバー31は、内部フレーム35の後部を覆っている。また、下面42は、内部フレーム35が挿入された状態において、上面39との間に貯留室36を挟んで配置されている。
【0044】
後部カバー31の上面39には、凸部43が設けられている。凸部43は、上面39における右方向55及び左方向56の中央において挿入方向51及び脱抜方向52に沿って延びている。凸部43において脱抜方向52を向く面がロック面151である。ロック面151は、下方向53及び上方向54に沿って延びている。ロック面151は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態において、後述するロック部145と脱抜方向52へ向かって接触し得る面である。ロック面151がロック部145と脱抜方向52へ向かって接触することにより、インクカートリッジ30がコイルバネ78、47(
図5参照)の付勢力に抗してカートリッジ装着部110に保持される。
【0045】
凸部43においてロック面151より挿入方向51には、傾斜面155が設けられている。傾斜面155は、上方向54且つ挿入方向51を向いている。
【0046】
後部カバー31の上面39において、ロック面151より脱抜方向52には、操作部90が設けられている。後部カバー31の上面39の後端には、上面39のその他の部分より下方向53に位置するサブ上面91が形成されている。サブ上面91の上方において空間を隔てて操作部90が配置されている。操作部90は、上面39のその他の部分とサブ上面91との境界付近から上方向54へ凸部43より上方まで突出し、さらに脱抜方向52且つ下方向53へ斜め下方向に折れ曲がった平板形状である。
【0047】
操作部90において、上方向54且つ脱抜方向52を向く面が操作面92である。操作面92とサブ上面91とは、挿入方向51及び脱抜方向52に沿った方向における位置が重複している。換言すれば、インクカートリッジ30を下方向53に視たとき、操作面92とサブ上面91とは重複した位置にある。
【0048】
操作面92は、インクカートリッジ30を下方向53に視たときに視認可能であり、且つ、インクカートリッジ30を挿入方向51に視たときに視認可能である。操作面92は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態からインクカートリッジ30を取り出すために、ユーザが操作するための面である。なお、操作部90は、後部カバー31と一体に成型されるなどして、後部カバー31に対して固定されており、後部カバー31に対して回動などの相対移動をしないように構成されている。したがって、操作面92にユーザから加えられる力は、方向を変えずに後部カバー31にそのまま伝達される。また、本実施形態では、操作部90は、内部フレーム35や貯留室36に対しても回動などの相対移動をしないように構成されている。
【0049】
[前部カバー32]
図4及び
図5に示されるように、前部カバー32は、右方向55及び左方向56において互いに隔てて配置された側面143、144と、下方向53及び上方向54において互いに隔てて配置された上面141及び下面142とが前面140から脱抜方向52に延設されて構成されており、脱抜方向52へ向かって開口された箱形である。前部カバー32の内部には、開口を通じて内部フレーム35が挿入される。すなわち、前部カバー32は、内部フレーム35のうちの後部カバー31によって覆われていない前部を覆っている。
【0050】
前部カバー32は、内部フレーム35が挿入された状態において、後部カバー31及び内部フレーム35に対して、挿入方向51及び脱抜方向52へ相対移動可能である。本実施形態において、前部カバー32の相対移動は、
図4に示されるように、後部カバー31または内部フレーム35(本実施形態では内部フレーム35)に左方へ延びる係合爪44を設けて、前部カバー32の側面144に挿入方向51及び脱抜方向52に延びる長孔45を設けて、長孔45に係合爪44を挿入することによって実現可能である。前部カバー32が後部カバー31及び内部フレーム35に対して移動して、係合爪44が長孔45の挿入方向51及び脱抜方向52の端部を画定する壁面に当接することにより、前部カバー32のそれ以上の移動が規制される。
【0051】
図5に示されるように、内部フレーム35の前面40と前部カバー32の前面140の裏面との間には、挿入方向51及び脱抜方向52に沿って弾性的に伸縮可能なコイルバネ47(第1付勢部材の一例)が設けられている。
【0052】
前部カバー32は、コイルバネ47によって内部フレーム35及び後部カバー31に対して挿入方向51へ付勢されている。これにより、前部カバー32は、外力が付与されていない状態において、前面140が内部フレーム35の前面40から挿入方向51に最も離れた遠離位置(第1位置の一例)に位置する(
図5、
図7、及び
図8参照)。カバー90が遠離位置に位置するとき、インク供給部34の多くの部分は、前部カバー32内に没入される。
【0053】
内部フレーム35及び後部カバー31、または、前部カバー32に、両者を近接させる方向の外力が付与されると、コイルバネ47が弾性的に収縮して、前部カバー32は、前面140が内部フレーム35の前面40に向かうようにスライドする。これにより、前部カバー32は、前面140が内部フレーム35の前面40に最も近接する近接位置(第4位置の一例)に位置する(
図9参照)。近接位置の前部カバー32(特に、後述する基板支持台130)は、遠離位置の前部カバー32(特に、後述する基板支持台130)よりも、内部フレーム35の操作部49に近い位置である。
【0054】
このように、前部カバー32は、コイルバネ47の伸縮に応じて、内部フレーム35及び後部カバー31に対して挿入方向51及び脱抜方向52へ相対移動可能である。
【0055】
図4及び
図5に示されるように、前部カバー32の前面140の上部分には、脱抜方向52へ凹む凹部96が形成されている。凹部96には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、カートリッジ装着部110に設けられた凸部125(
図2及び
図3参照)が進入する。したがって、凹部96の挿入方向51及び脱抜方向52に直交する断面は、凸部125の断面形状に対応する形状である。
【0056】
前部カバー32の前面140の下部分には、脱抜方向52へ貫通する孔97が形成されている。孔97は、前部カバー32に内部フレーム35が挿入された状態において、内部フレーム35のインク供給部34を外部へ露出させるための孔である。したがって、孔97は、内部フレーム35のインク供給部34に対応する位置、寸法、及び形状に形成されている。
【0057】
前部カバー32の前面140には、突出部85が設けられている。突出部85は、前部カバー32の上端において挿入方向51へ突出している。凹部96は、突出部85の先端に設けられている。突出部85の先端は前面140の一部をなす。
【0058】
前部カバー32の上面141であって、突出部85の上方には、IC基板64(基板の一例)が設けられている。つまり、IC基板64は、前部カバー32(詳細には、前部カバー32の基板支持台130)に支持されている。IC基板64は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に、挿入、装着される過程において右方向55及び左方向56に沿って4つが並ぶ接点106(
図3参照)と導通し、かつインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態においても接点106と導通する。
【0059】
[インク供給部34]
図4及び
図5に示されるように、インク供給部34は、前面140の下部分において、内部フレーム35の前面40から挿入方向51へ突出されている。インク供給部34は、円筒形状の外形をなしており、前部カバー32の前面140に設けられた孔97を通じて外方へ突出されている。
図5に示されるように、インク供給部34は、内部空間を有する円筒形状の筒壁73と、筒壁73に取り付けられたシール部材76及びキャップ79とを備えている。
【0060】
筒壁73は、貯留室36の内部から外部に亘って延設されている。筒壁73の脱抜方向52の端部は、貯留室36において開口している。筒壁73の挿入方向51の端部は、インクカートリッジ30の外部に開口している。これにより、筒壁73は、内部空間を介して貯留室36及びインクカートリッジ30の外部と連通している。つまり、インク供給部34は、貯留室36に貯留されたインクを筒壁73の内部空間を通じてインクカートリッジ30の外部に供給する。筒壁73の挿入方向51の端には、シール部材76及びキャップ79が取り付けられている。
【0061】
筒壁73の内部空間には、弁体77及びコイルバネ78が収容されている。弁体77及びコイルバネ78は、インク供給部34の状態を、筒壁73の内部空間を通じて貯留室36からインクカートリッジ30の外部にインクが流出される状態(
図9参照)と、筒壁73の内部空間からインクカートリッジ30の外部にインクが流出されない状態(
図5、
図7、及び
図8参照)との間で選択的に切り換えるためのものである。
【0062】
弁体77は、挿入方向51及び脱抜方向52に沿って移動することにより、シール部材76の中央に貫通されたインク供給口71を開閉する。コイルバネ78は弁体77を挿入方向51へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態において、弁体77は、シール部材76のインク供給口71を閉じている。
【0063】
シール部材76は、筒壁73の先端に配置されている。シール部材76は、中央に貫通孔が形成された円盤形状の部材である。シール部材76は、例えば、ゴムやエラストマのような弾性材料から形成されている。シール部材76の中央が挿入方向51及び脱抜方向52に貫通されて筒状の内周面が形成され、その内周面によりインク供給口71が形成されている。インク供給口71の内径は、インクニードル102の外径より若干小さい。シール部材76は、筒壁73に外嵌されたキャップ79によって、筒壁73の先端に液密に当接している。
【0064】
弁体77がインク供給口71を閉じている状態において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、インク供給口71にインクニードル102が進入する。インクニードル102は、シール部材76を弾性変形しつつ、その外周面がインク供給口71を画定する内周面に液密に接触する。インクニードル102の先端がシール部材76を通過して筒壁73の内部空間へ進入すると、弁体77に当接する。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されることにより、インクニードル102が弁体77をコイルバネ78の付勢力に抗して脱抜方向52へ移動させる。これにより、貯留室36に貯留されているインクが筒壁73の内部空間を通じてインクニードル102の先端部分へ流通することが可能となる。各図には現れていないが、インクニードル102の先端部分に形成された貫通孔を通じて、筒壁73の内部空間からインクニードル102の内部空間へインクが流通する。これにより、貯留室36に貯留されたインクが、筒壁73の内部空間、インクニードル102を通じて外部へ流出可能となる。
【0065】
なお、インク供給部34において、インク供給口71を閉じる弁体77は必ずしも設けられなくてもよい。例えば、インク供給口71がフィルムなどで閉塞されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インクニードル102がフィルムを突き破ることによりインク供給口71を通じてインクニードル102の先端部分が筒壁73の内部空間へ進入する構成であってもよい。また、インク供給口71は、シール部材76の弾性により閉じており、インクニードル102が挿入されたときのみに、インクニードル102に押し拡げられるように形成されていてもよい。
【0066】
[基板支持台130及びIC基板64]
図4及び
図5に示されるように、前部カバー32における凹部96の上方には、基板支持台130が設けられている。基板支持台130は、凹部96の上方向54の端部を区画する部材である。基板支持台130の脱抜方向52の端部は、前部カバー32の上面141と繋がっている。
【0067】
基板支持台130の上面には、IC基板64が、接着等の公知の方法で取り付けられている。つまり、基板支持台130は、IC基板64を支持している。IC基板64の挿入方向51及び脱抜方向52の長さは、基板支持台130の挿入方向51及び脱抜方向52の長さ以下であることが好ましい。本実施形態では、IC基板64の挿入方向51及び脱抜方向52の長さは、基板支持台130の挿入方向51及び脱抜方向52の長さより短い。基板支持台130は、支持されたIC基板64よりも挿入方向51に延出された端面130A(接触部の一例)を備えている。
【0068】
IC基板64の上面、つまりIC基板64の上方向54を向く面には、4つの電極65(電気的インターフェースの一例)が形成されている。各電極65は、IC基板64の上面において挿入方向51及び脱抜方向52に延設されており、且つ右方向55及び左方向56に互いに離間して設けられている。電極65は、例えば、クロック用電極、データ用電極、電源電圧用電極及びグランド用電極等である。IC基板64には、各電極65に電気的に接続されたIC(不図示、集積回路の一例)が実装されている。ICは、半導体集積回路であり、インクカートリッジ30に関する情報(例えばロット番号や製造年月日などの情報)や、インクに関する情報(例えばインク色)を示すデータが読み出し可能に格納されている。
【0069】
[第1空間181、第2空間182、及び第3空間]
図4に示されるように、基板支持台130の右方に、基板支持台130と間隔を空けて右壁173が配置されている。これにより、右壁173と基板支持台130との間には、第1空間181が形成される。
【0070】
また、基板支持台130の左方に、基板支持台130と間隔を空けて左壁174が配置されている。これにより、左壁174と基板支持台130との間には、第2空間182が形成される。
【0071】
また、上面141に、下方へ凹んだ凹部172が形成されている。凹部172は、基板支持台130よりも脱抜方向52に、基板支持台130と隣接して形成されている。これにより、基板支持台130に対して脱抜方向52に隣接する位置に、凹部172内の空間である第3空間(受容空間の一例)が形成される。
【0072】
[カートリッジ装着部110]
図2、
図3、及び
図7に示されるように、カートリッジ装着部110は、ケース101と、インクニードル102と、ロック部145と、凸部125と、接点ユニット160と、移動部材165と、センサ120とを備えている。カートリッジ装着部110には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。
図2及び
図3には、1つのインクカートリッジ30が収容可能なケース101の空間が示されている。
【0073】
以下に説明する、インクニードル102、ロック部145、凸部125、接点ユニット160、移動部材165、及びセンサ120は、4つのインクカートリッジ30の各々に対応して設けられている。つまり、本実施形態において、インクニードル102、ロック部145、凸部125、接点ユニット160、移動部材165、及びセンサ120は、それぞれ4つ設けられている。4つのインクニードル102、4つのロック部145、4つの凸部125、4つの接点ユニット160、4つの移動部材165、及び4つのセンサ120は、それぞれ、右方向55及び左方向56に並んで配置されている。4つのインクニードル102、4つのロック部145、4つの凸部125、4つの接点ユニット160、4つの移動部材165、及び4つのセンサ120は、それぞれ同一の構成を有する。そのため、以下では、1つのインクニードル102、1つのロック部145、1つの凸部125、1つの接点ユニット160、1つの移動部材165、及び1つのセンサ120の構成が説明され、残り3つのインクニードル102、ロック部145、凸部125、接点ユニット160、移動部材165、及びセンサ120の構成の説明は省略される。
【0074】
[ケース101]
図2及び
図3に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体を形成するケース101は、ケース101の内部空間の天部を確定している天面115と、底部を確定している底面116と、天面115と底面116とをつないでいる終面117と、終面117と挿入方向51及び脱抜方向52に対向する位置に設けられ、ユーザがプリンタ10を使用するときに対面する面であるプリンタ10のユーザインタフェース面に露出し得る開口112とを有する箱形状である。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿抜される。インクカートリッジ30は、底面116に設けられたガイド溝109に、インクカートリッジ30の下端部が挿入されることによって、挿入方向51及び脱抜方向52へ案内される。ケース101には、内部空間を縦方向に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート104が設けられている。このプレート104によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ30が収容される。
【0075】
[インクニードル102]
図2及び
図3に示されるように、インクニードル102は、管状の樹脂からなり、ケース101の終面117の下部に設けられている。インクニードル102は、ケース101の終面117において、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34に対応する位置に配置されている(
図7〜
図9参照)。インクニードル102は、ケース101の終面117から脱抜方向52へ突出している。
【0076】
インクニードル102の周囲には、円筒形状のガイド部105が設けられている。ガイド部105は、ケース101の終面から脱抜方向52へ突出し、その突出端が開口している。インクニードル102は、ガイド部105の中心に配置されている。ガイド部105は、インクカートリッジのインク供給部34が内方に進入する形状である。
【0077】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入方向51へ挿入される過程において、つまりインクカートリッジ30が装着位置(
図9に示される位置)へ移動する過程において、インクカートリッジ30のインク供給部34がガイド部105に進入する(
図8参照)。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入方向51に挿入されると、インクニードル102が、インク供給部34に形成されたインク供給口71に挿入される(
図9参照)。これにより、インクニードル102とインク供給部34とは連結される。そして、インクカートリッジ30の内部に形成された貯留室36に貯留されたインクは、インク供給部34の内部に形成された筒壁73の内部空間及びインクニードル102の内部空間を通じてインクニードル102に接続されたインクチューブ20に流出される。なお、インクニードル102の先端は、平坦であってもよく、尖っていてもよい。
【0078】
[ロック部145]
図2に示されるように、ロック部145が、ケース101の天面115付近且つ開口112付近において、ケース101の左方向56及び右方向55へ延出されている。ロック部145は、左方向56及び右方向55に沿って延びる棒状の部材である。ロック部145は、例えば、金属の円柱である。ロック部145の左方向56及び右方向55の両端は、ケース101の左方向56及び右方向55の両端を確定している壁に固定されている。ロック部145は、4つのインクカートリッジ30が収納可能な4つの空間に渡って左方向56及び右方向55に延びている。インクカートリッジ30が収容される各空間において、ロック部145の周囲には空間が存在する。したがって、ロック部145に対して、上方向54へ向かって、また、脱抜方向52へ向かってアクセスすることができる。
【0079】
ロック部145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着位置に保持するためのものである。インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に挿入されることにより、ロック部145に係合され、また、ロック部145は、インクカートリッジ30のコイルバネ78、47がインクカートリッジ30を脱抜方向52へ押す力に抗してインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110内に保持する。
【0080】
[凸部125]
図2及び
図3に示されるように、凸部125が、ケース101の終面117におけるインクニードル102より上方に設けられている。凸部125は、ケース101の終面117から脱抜方向52へ突出されている。凸部125は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、つまりインクカートリッジ30が装着位置に位置する状態において、インクカートリッジ30の凹部96(
図4参照)へ挿入される。
【0081】
[接点ユニット160]
図2及び
図3に示されるように、接点ユニット160が、ケース101の天面115に取り付けられている。接点ユニット160は、終面117の近傍であり且つ凸部125の上方に配置されている。接点ユニット160は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、少なくとも一部が、インクカートリッジ30の基板支持台130及びIC基板64の上方に、基板支持台130及びIC基板64と対向する位置に設けられている。
【0082】
図6(B)及び(C)に示されるように、接点ユニット160は、概ね直方体形状の本体部163と、本体部163に支持された4つの接点106とを備えている。
【0083】
本体部163の下面には、スリット(不図示)が形成されている。スリットは、後述するインクカートリッジ30の4つの電極65に対応して4つ形成されており、右方向55及び左方向56に並んで形成されている。また、スリットは、挿入方向51及び脱抜方向52に延びている。
【0084】
各接点106は、その一部がスリットから露出するように、本体部163に支持されている。4つの接点106の配置は、4つの電極65(
図4参照)の配置に対応している。各接点106は、導電性及び弾性を有する部材で構成されており、上方向54へ弾性的に変形可能である。本実施形態では、各接点106は、銅の表面にニッケルと金の鍍金が施されたものである。なお、接点106の個数及び電極65の個数は、4つに限らず任意である。
【0085】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に奥まで挿入された状態において、具体的にはインクカートリッジ30の基板支持台130の端面130Aが本体部163の後述する奥壁191に当接した状態(
図8及び
図9に示される状態)において、各接点106は対応する電極65に接触する。
図8及び
図9に示される状態のときの前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が、接触位置である。
【0086】
図1に示されるように、各接点106は、電気回路を介して制御部1に電気的に接続されている。制御部1は、例えばCPU,ROM,RAMなどからなるものであり、プリンタ10の動作を制御するものである。接点106と対応する電極65とが電気的に導通されることによって、電圧が電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。接点106と対応する電極65との電気的に導通により、制御部1からインクカートリッジ30のICに格納されたデータにアクセス可能となる。電気回路からの出力は制御部1に入力される。
【0087】
図6(B)及び(C)に示されるように、本体部163は、奥壁191(第1壁の一例)と、右壁192(第3壁の一例)と、左壁193(第4壁の一例)とを備えている。奥壁191、右壁192、及び左壁193は、本体部163の下面163Aから下方向53へ突出した壁である。
【0088】
奥壁191は、右方向55及び左方向56へ延設されている。奥壁191は、右方向55及び左方向56に3つに分断されて配置されている。奥壁191は、接点106よりも挿入方向51に配置されている。本実施形態において、奥壁191は、接点106の一部(具体的には接点106の脱抜方向52の端部)よりも挿入方向51に配置されている。本実施形態では、各接点106の一部は、右方向55及び左方向56において、分断された奥壁191の間、奥壁191及び右壁192の間、或いは、奥壁191及び左壁193の間に位置している。なお、奥壁191は、接点106の全部よりも挿入方向51に配置されていてもよい。
【0089】
図8及び
図9に示されるように、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるとき、奥壁191の下端は、インクカートリッジ30の基板支持台130上端よりも下方向53に位置する。また、奥壁191の右端は、IC基板64及び基板支持台130の右端よりも左方に位置し、IC基板64及び基板支持台130の左端よりも右方に位置する。奥壁191の左端は、IC基板64及び基板支持台130の左端よりも右方に位置し、IC基板64及び基板支持台130の右端よりも左方に位置する。以上より、奥壁191は、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるときに、IC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部と、挿入方向51に視て重なっている。
【0090】
右壁192は、挿入方向51及び脱抜方向52へ延設されている。右壁192は、接点106よりも右方向55に配置されている。
【0091】
前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるとき、右壁192の下端は、インクカートリッジ30の基板支持台130上端よりも下方向53に位置する。また、右壁192の挿入方向51の端は、IC基板64及び基板支持台130の挿入方向51の端よりも挿入方向51に位置し、右壁192の脱抜方向52の端は、IC基板64及び基板支持台130の挿入方向51の端と脱抜方向52の端との間に位置する。以上より、右壁192は、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるときに、IC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部と、右方向55に視て重なっている。
【0092】
左壁193は、挿入方向51及び脱抜方向52へ延設されている。左壁193は、接点106よりも左方向56に配置されている。
【0093】
前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるとき、左壁193の下端は、インクカートリッジ30の基板支持台130上端よりも下方向53に位置する。また、左壁193の挿入方向51の端は、IC基板64及び基板支持台130の挿入方向51の端よりも挿入方向51に位置し、左壁193の脱抜方向52の端は、IC基板64及び基板支持台130の挿入方向51の端と脱抜方向52の端との間に位置する。以上より、左壁193は、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるときに、IC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部と、左方向56に視て重なっている。
【0094】
なお、奥壁191が設けられる位置は、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるときに、IC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部と、挿入方向51に視て重なる位置にあるならば、上述したような位置に限らない。例えば、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるとき、奥壁191の右端は、IC基板64及び基板支持台130の右端よりも右方に位置し、奥壁191の左端は、IC基板64及び基板支持台130の左端よりも左方に位置していてもよい。
【0095】
また、右壁192及び左壁193が設けられる位置は、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるときに、IC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部と、右方向55及び左方向56に視て重なる位置にあるならば、上述したような位置に限らない。例えば、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるとき、右壁192及び左壁193の挿入方向51の端は、IC基板64及び基板支持台130の挿入方向51の端と脱抜方向52の端との間に位置し、右壁192及び左壁193の脱抜方向52の端は、IC基板64及び基板支持台130の脱抜方向52の端よりも脱抜方向52に位置していてもよい。
【0096】
なお、本実施形態において、「IC基板64及び基板支持台130の右端」は、IC基板64の右端及び基板支持台130の右端の意味であり、「IC基板64及び基板支持台130の左端」は、IC基板64の左端及び基板支持台130の左端の意味であり、「IC基板64及び基板支持台130の挿入方向51の端」は、IC基板64の挿入方向51の端及び基板支持台130の挿入方向51の端の意味であり、「IC基板64及び基板支持台130の脱抜方向52の端」は、IC基板64の脱抜方向52の端及び基板支持台130の脱抜方向52の端の意味である。
【0097】
[移動部材165]
図2に示されるように、移動部材165が、接点ユニット160よりも脱抜方向52に配置されている。本実施形態において、移動部材165は、接点ユニット160に近接する位置に配置されている。
【0098】
図6(A)に示されるように、移動部材165は、本体部166と、第1凸部167(第2壁の一例)と、第2凸部168と、一対の第3凸部169と、一対の第4凸部170とを備えている。本体部166は、概ね直方体形状である。
【0099】
第1凸部167は、本体部166の挿入方向51の端部から下方へ突出している。移動部材165が接点ユニット160よりも脱抜方向52に配置されているため、第1凸部167は、接点106よりも脱抜方向52に配置されている。本実施形態において、インクカートリッジ30の前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であるときに、第1凸部167は、基板支持台130及びIC基板64に近接する位置に設けられている(
図8及び
図9参照)。
【0100】
第2凸部168は、本体部166の脱抜方向52の端部から下方へ突出している。第2凸部168は、挿入方向51及び脱抜方向52並びに上方向54及び下方向53に拡がった板部168Aと、板部168Aの下部から右方へ延びた被操作部168Bとを備えている。被操作部168Bは、脱抜方向52を向いた面168C(被接触面の一例)を備えている。面168Cは、挿入方向51へ向かって上方向54へ傾斜している。後述するように、面168Cは、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される過程において、挿入方向51へ移動するインクカートリッジ30の操作部49の端面49Aと接触する(
図8参照)。
【0101】
図2及び
図7に示されるように、移動部材165は、ケース101の天面115の裏面118に、コイルバネ119(第2付勢部材の一例)を介して支持されている。これにより、移動部材165は、コイルバネ119が伸縮することによって、
図9に示される下位置(第3位置の一例)と、
図7及び
図8に示されており下位置よりも上方の上位置(第4位置の一例)との間を、上方向54及び下方向53に沿って移動可能である。
【0102】
ここで、
図2に示されるように、一対の第3凸部169は、裏面118から上方へ延びたリブ171を挟んでいる。また、図示されていないが、一対の第4凸部170は、裏面118から上方へ延びたリブを挟んでいる。これにより、移動部材165は、リブ171及び不図示のリブにガイドされ、安定して上下動可能である。
【0103】
図7に示されるように、コイルバネ119の一端は、本体部166の下面166Aに当接されている。コイルバネ119の他端は、裏面118に当接されている。
【0104】
移動部材165は、コイルバネ119が自然長の状態において、上位置に位置している。移動部材165は、コイルバネ119が自然長よりも収縮した状態において、下位置に位置している。つまり、移動部材165は、コイルバネ119以外によって外部から力を付与されていない状態において、コイルバネ119に上方向54へ付勢されることによって、上位置に位置されている。
【0105】
図9に示されるように、移動部材165が下位置のとき、第2凸部168の下部は、裏面118に形成された開口176を通じて、天面115よりも下方に突出している。
【0106】
また、移動部材165が下位置のとき、第1凸部167の下部は、裏面118に形成された開口175を通じて、天面115よりも下方に突出している。このとき、第1凸部167の下端は、カートリッジ装着部110へ挿入される過程、及び装着完了時におけるインクカートリッジ30の基板支持台130の上端よりも下方に位置する。また、第1凸部167の右端は、IC基板64及び基板支持台130の右端及び左端の間に位置しており、第1凸部167の左端は、IC基板64及び基板支持台130の右端及び左端の間に位置している。以上より、移動部材165が下位置のとき、第1凸部167は、カートリッジ装着部110に対して挿抜されるインクカートリッジ30のIC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部の移動軌跡と、挿入方向51及び脱抜方向52に視て重なる部分を有している。
【0107】
なお、第1凸部167の位置は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるときに上記重なる部分を有しているならば、上述したような位置に限らない。例えば、カートリッジ装着部110へ挿入される過程、及び装着完了時におけるインクカートリッジ30のIC基板64及び基板支持台130と、第1凸部167との位置関係は、以下のようであってよい。すなわち、第1凸部167の右端がIC基板64及び基板支持台130よりも右方に位置しており、第1凸部167の左端がIC基板64及び基板支持台130の右端及び左端の間に位置していてもよい。また、第1凸部167の左端がIC基板64及び基板支持台130よりも左方に位置しており、第1凸部167の右端がIC基板64及び基板支持台130の右端及び左端の間に位置していてもよい。また、第1凸部167の右端がIC基板64及び基板支持台130の右端よりも右方に位置しており、第1凸部167の左端がIC基板64及び基板支持台130の左端よりも左方に位置していてもよい。
【0108】
図7及び
図8に示されるように、移動部材165が上位置のとき、第1凸部167及び第2凸部168は、裏面118よりも上方に位置している。このとき、第1凸部167の下端は、カートリッジ装着部110へ挿入される過程、及び装着完了時におけるインクカートリッジ30の基板支持台130の上端よりも上方に位置する。つまり、移動部材165が上位置のとき、第1凸部167は、カートリッジ装着部110に対して挿抜されるインクカートリッジ30のIC基板64及び基板支持台130の移動軌跡よりも上方に位置している。
【0109】
[センサ120]
図2及び
図7に示されるように、センサ120(位置検出器の一例)が、移動部材165の第2凸部168の板部168Aの上方に配置されている。図示されていないが、センサ120は、基板などを介して或いは直接、ケース101に取り付けられている。センサ120は、電気回路を介して制御部1に電気的に接続されている。センサ120は、発光部120A及び受光部(不図示)を備える。発光部120Aは、受光部の右方向55に受光部と間隔を空けて設けられている。本実施形態において、発光部から出力される光の光路は、右方向55及び左方向56に一致する。
【0110】
移動部材165が
図7及び
図8に示される上位置のとき、
図7及び
図8に破線で示される板部168Aは、発光部120A及び受光部の間に配置される。換言すれば、発光部120A及び受光部は、板部168Aを挟んで対向配置されている。一方、移動部材165が
図9に示される下位置のとき、
図9に破線で示される板部168Aは、発光部120A及び受光部よりも下方に配置される。
【0111】
センサ120は、発光部120Aから出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を制御部1へ出力する。
【0112】
例えば、センサ120は、発光部120Aから照射された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号(「信号レベルが閾値レベル未満の信号」を指す。)を制御部1へ出力する。本実施形態において、移動部材165が上位置のとき、板部168Aが発光部120A及び受光部の間に配置されており、発光部120Aから照射された光が受光部で受光できないため、センサ120はローレベル信号を制御部1へ出力する。
【0113】
一方、センサ120は、発光部120Aから照射された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値レベル以上の信号」を指す。)を制御部1へ出力する。本実施形態において、移動部材165が下位置のとき、板部168Aが発光部120A及び受光部より下方に配置されており、発光部120Aから照射された光が受光部で受光できるため、センサ120はハイレベル信号を制御部1へ出力する。
【0114】
つまり、センサ120は、移動部材165が上位置にあるときと下位置にあるときとで異なる信号を出力する。
【0115】
なお、本実施形態において、センサ120は光学式であったが、センサ120は機械式などの光学式以外のものであってもよい。
【0116】
[インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される動作]
以下、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程が説明される。
【0117】
図5に示されるように、カートリッジ装着部110に挿入される前のインクカートリッジ30において、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置は、遠離位置である。また、弁体77は、シール部材76のインク供給口71を閉じている。これにより、貯留室36からインクカートリッジ30の外部へのインクの流通は遮断されている。
【0118】
図2に示されるように、インクカートリッジ30が挿入される前のカートリッジ装着部110において、移動部材165は、コイルバネ119に付勢されることによって上位置に位置している。これにより、センサ120はローレベル信号を制御部1へ出力している。これにより、制御部1は移動部材165が上位置に位置することを認識する。
【0119】
カートリッジ装着部110の開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿入される。ユーザは、後部カバー31の後面41を押しつつインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に対して挿入方向51へ挿入する。インクカートリッジ30の下部、すなわち前部カバー32及び後部カバー31のそれぞれ下部は、ケース101の下方のガイド溝109に進入した状態となる。
【0120】
カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入方向51へ更に挿入されると、
図7に示されるように、前部カバー32の凹部96が凸部125と対向して、凸部125が凹部96に進入し始める。
【0121】
図7に示される状態において、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入方向51へ更に挿入されると、
図8に示されるように、インク供給部34のキャップ79がガイド部105に進入し始める。
【0122】
図8に示される状態のとき、インクカートリッジ30の基板支持台130の端面130Aが本体部163の奥壁191に当接する。これにより、前部カバー32のこれ以上の挿入方向51への移動が不可能となる。よって、
図8に示される状態からインクカートリッジ30が更に挿入方向51へ挿入されると、前部カバー32は移動せずに、内部フレーム35及び後部カバー31のみがコイルバネ47の付勢力に抗して挿入方向51へ移動する。
【0123】
また、
図8に示される状態のとき、カートリッジ装着部110内において基板支持台130及びIC基板64は、接点ユニット160の奥壁191に当接している。このとき、IC基板64は、接点106の下方に到達している。IC基板64が接点106の下方に到達するまでは、接点106の下端は、電極65の上面よりも下方に位置する。よって、IC基板64が接点106の下方に到達すると、IC基板64は、接点106を押して上方へ弾性変形させる。これにより、各電極65が対応する接点106と接触される。つまり、
図8に示される状態のとき、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置は、接触位置である。各電極65が対応する接点106と接触されることにより、IC基板64のICとプリンタ10の制御部1との電気的な接続が確立される。そして、制御部1がICへアクセスすることが可能となる。なお、移動部材165が上位置に位置しているため、IC基板64の挿入方向51への移動は、第1凸部167及び第2凸部168によって阻まれない。
【0124】
また、
図7に示される状態において、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入方向51へ更に挿入されると、接点ユニット160の右壁192(
図6(B)及び(C)参照)が第1空間181(
図4参照)へ進入し、接点ユニット160の左壁193(
図6(B)及び(C)参照)が第2空間182(
図4参照)へ進入する。つまり、第1空間181は右壁192を受容する空間であり、第2空間182は左壁193を受容する空間である。
【0125】
また、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される前から
図8に示される状態となるまでの間、遠離位置を維持している。
【0126】
上述したように、
図8に示される状態は、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であり、且つ、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置が遠離位置である状態である。当該状態からインクカートリッジ30が更に挿入方向51へ挿入されると、前部カバー32は移動せずに、内部フレーム35及び後部カバー31のみが前部カバー32に対して挿入方向51へ相対移動する。換言すると、前部カバー32は、内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置が遠離位置から近接位置となるように、内部フレーム35及び後部カバー31に対して脱抜方向52へ相対移動する。
【0127】
上述したような相対移動が実行されると、内部フレーム35に設けられた操作部49の端面49Aが、移動部材165の被操作部168Bの面168Cと接触して面168Cを押す。これにより、面168Cは、傾斜面である端面49Aに沿って案内され、第2凸部168は下方向53へ移動する。その結果、移動部材165は、コイルバネ119の付勢力に抗して下方向53へ移動する。つまり、移動部材165は、上位置から下位置へ移動する(
図9参照)。よって、移動部材165の第1凸部167も下方向53へ移動する。
図9に示されるように、移動部材165が下位置に位置すると、センサ120はハイレベル信号を制御部1へ出力する。これにより、制御部1は移動部材165が下位置に位置することを認識する。
【0128】
図9に示される状態のとき、移動部材165が下位置に位置するため、第1凸部167の下部は、天面115よりも下方へ突出している。このとき、天面115よりも下方へ突出した第1凸部167の下部は、上方から凹部172へ進入しており、基板支持台130の少なくとも一部よりも下方に位置している。つまり、凹部172内の第3空間は、第1凸部167を受容する空間である。
【0129】
以上より、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であり、且つ、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置が遠離位置である状態から、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置が近接位置となるように内部フレーム35及び後部カバー31が前部カバー32に対して挿入方向51へ相対移動すると、操作部49は、被操作部168Bと接触することによって移動部材165を下方向53へ移動させて下位置に位置させて、第1凸部167を、IC基板64及び基板支持台130より脱抜方向52に形成された凹部172内の第3空間に位置させる。
【0130】
図9に示される状態のとき、IC基板64及び基板支持台130の少なくとも一部は、挿入方向51及び脱抜方向52において、奥壁191及び第1凸部167に挟まれた位置にある。また、IC基板64及び基板支持台130の少なくとも一部は、右方向55及び左方向56において、右壁192及び左壁139に挟まれた位置にある。
【0131】
また、上述したような相対移動が実行されると、
図9に示されるように、インク供給部34のキャップ79がガイド部105に進入し、かつインクニードル102がインク供給口71へ進入して、弁体77をコイルバネ78の付勢力に抗してシール部材76から離間させる。インクカートリッジ30には、コイルバネ78の付勢力が脱抜方向52へ付与される。
【0132】
また、上述したような相対移動が実行されると、後部カバー31の凸部43がロック部145へ到達し、傾斜面155がロック部145に対して摺動する。内部フレーム35及び後部カバー31が、コイルバネ47、78の付勢力に抗して、挿入方向51へ更に挿入されると、後部カバー31の凸部43の傾斜面155がロック部145よりケース101の終面117に近い位置となる。
【0133】
このとき、ロック面151は、脱抜方向52へ向かってロック部145と向かい合う。ユーザが内部フレーム35及び後部カバー31を挿入方向51へ押し込むことを止めると、内部フレーム35及び後部カバー31は、コイルバネ47、78の付勢力によって脱抜方向52へ移動する。ロック面151は脱抜方向52へ向かってロック部145と向かい合っているので、内部フレーム35及び後部カバー31が脱抜方向52へ若干移動すると、ロック面151がロック部145と当接する(
図9参照)。これにより、内部フレーム35及び後部カバー31は、脱抜方向52へ移動することが規制される。すなわち、インクカートリッジ30はカートリッジ装着部110内に位置決めされて装着が完了した状態となる。以上より、ロック部145は、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置であり、且つ、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置が近接位置である状態で、内部フレーム35及び後部カバー31をロックする。
【0134】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜されるときには、ユーザは、操作面92を下方へ押す。これにより、ロック面151がロック部145よりも下方に位置するようになる。その結果、コイルバネ47、78の付勢力によって、内部フレーム35及び後部カバー31は、前部カバー32に対して脱抜方向52へ移動する。これにより、少なくともインクカートリッジ30の後部カバー31が、カートリッジ装着部110のケース101の開口112より外方に位置する。その結果、ユーザは後部カバー31を挟み持ってインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110から取り出すことができる。
【0135】
[本実施形態の作用効果]
上記実施形態において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して挿入方向51へ挿入されると、まず、前部カバー32のカートリッジ装着部110に対する位置が接触位置となる。つまり、インクカートリッジ30の電極65が、カートリッジ装着部110の接点106と接触する。このとき、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置は、コイルバネ47によって遠離位置に保持されている。この状態から、内部フレーム35及び後部カバー31がコイルバネ47の付勢力に抗して挿入方向51へ移動されると、前部カバー32の内部フレーム35及び後部カバー31に対する位置が近接位置となり、内部フレーム35及び後部カバー31がロック部145にロックされる。これにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了される。
【0136】
前部カバー32が内部フレーム35及び後部カバー31に対して遠離位置から近接位置へ移動するように内部フレーム35及び後部カバー31が挿入方向51へ移動する過程において、操作部49が被操作部168Bと接触する。これにより、被操作部168Bを備える移動部材165は、上方向54への付勢力に抗って、上位置から下方向53へ移動して下位置に位置する。このとき、奥壁191は、接点106の一部、より詳細には、接点106におけるIC基板64と接触している部分より挿入方向51に配置されており、且つ、IC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部と挿入方向51に視て重なる位置である。また、移動部材165が下位置にあるとき、第1凸部167は、接点106より脱抜方向52に配置されており、且つ、IC基板64、及び、基板支持台130の少なくとも一部と挿入方向51に視て重なる位置である。換言すれば、装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板64は、挿入方向51及び脱抜方向52において、奥壁191及び第1凸部167の間に配置される。
【0137】
一方、
図10(A)に示されるように、IC基板64が前部カバー32に対して正しい位置から挿入方向51にずれて配置されると、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程において、IC基板64が奥壁191に接触し、基板支持台130が本来凹部172内の空間が位置すべき位置にはみ出る可能性がある。これにより、移動部材165が上位置から下位置へ移動するときに、第1凸部167の凹部172への移動が、はみ出た基板支持台130によって阻害される可能性がある。その結果、移動部材165が下位置へ移動できないおそれがある。
【0138】
なお、上記実施形態では、IC基板64は、基板支持台110に設けられた位置決め面130B(
図4参照)によって脱抜方向52に位置決めされるため、前部カバー32に対して正しい位置から脱抜方向52にずれて配置されることはない。しかし、仮に、基板支持台130に位置決め面130Bが設けられていない場合、IC基板64は、前部カバー32に対して正しい位置から脱抜方向52にずれて配置されるおそれがある。その場合、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程において、IC基板64が本来凹部172内の空間が位置すべき位置にはみ出る可能性がある。
【0139】
これにより、移動部材165が上位置から下位置へ移動するときに、第1凸部167の凹部172への移動が、はみ出たIC基板64によって阻害される可能性がある。その結果、移動部材165が下位置へ移動できないおそれがある。
【0140】
以上より、IC基板64が前部カバー32に対して正しい位置に配置されている場合にのみ、移動部材165は下位置に移動可能となる。つまり、移動部材165が下位置に移動されたか否かによって、IC基板64が前部カバー32に対して正しい位置に配置されているか否かを判断することができる。そして、移動部材165が下位置へ移動されない場合のインクカートリッジ30の使用を抑制することにより、前部カバー32に対して正しい位置に配置されたIC基板64を有するインクカートリッジ30の使用が促進され、電極65と接点106とを安定して接触させることができる。
【0141】
また、上記実施形態によれば、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された状態で、前部カバー32がコイルバネ47によって挿入方向51へ付勢されている。そのため、内部フレーム35及び後部カバー31がロック部145の経年劣化等によって脱抜方向52へ移動したとしても、コイルバネ47によって挿入方向51へ付勢されている前部カバー32の位置は変化しない。その結果、電極65と接点106とを電気的に安定して接触させることができる。
【0142】
なお、インクカートリッジ30が「カートリッジ装着部110に装着完了された」とは、例えば、インクカートリッジ30に保持されたインクを記録ヘッド21が消費可能な状態を指す。
【0143】
また、上記実施形態によれば、センサ120が出力した信号に基づいて、制御部1は移動部材165の位置を容易に認識することができる。
【0144】
また、上記実施形態によれば、カートリッジ装着部110がコイルバネ119を備えている。そのため、移動部材165の自重に抗して、移動部材165を上方向54に付勢して上位置に位置させることができる。
【0145】
また、上記実施形態によれば、操作部49が端面49Aを備え、移動部材165が面168Cを備えているため、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において、移動部材165を上位置から下位置へスムーズに移動させることができる。
【0146】
また、上記実施形態によれば、
図10(B)に示されるように、IC基板64が前部カバー32に対して正しい位置から右方向55にずれて配置されると、IC基板64が右壁192に接触することによって、カートリッジ装着部110に対するインクカートリッジ30の挿入が阻害される。
【0147】
なお、上記実施形態では、IC基板64は、基板支持台110に設けられた位置決め面130C(
図4参照)によって左方向56に位置決めされるため、前部カバー32に対して正しい位置から左方向56にずれて配置されることはない。しかし、仮に、基板支持台130に位置決め面130Cが設けられていない場合、IC基板64は、前部カバー32に対して正しい位置から左方向56にずれて配置されるおそれがある。その場合、IC基板64が左壁193に接触することによって、カートリッジ装着部110に対するインクカートリッジ30の挿入が阻害される。
【0148】
これにより、正しい位置で前部カバー32に支持されたIC基板64の電極65のみが接点106に接触可能となり、右方向55或いは左方向56にずれて前部カバー32に支持されたIC基板64の電極65が接点106に接触できなくなる。その結果、電極65と接点106とを電気的に安定して接触させることができる。
【0149】
また、上記実施形態によれば、例えば、カートリッジ装着部110に対してインクカートリッジ30が勢いよく挿入された場合、IC基板64よりも挿入方向51に延出された端面130Aが奥壁191と衝突することはあっても、IC基板64が奥壁191と衝突することはない。その結果、IC基板64が基板支持台130から剥離することが抑制される。なお、基板支持台130の端面130Aと奥壁191とが接触したことによってインクカートリッジ30の勢いが減殺されるので、その後にIC基板64と奥壁191とが接触してもよい。
【0150】
また、上記実施形態に係る制御部1は、安定的に接触された電極65及び接点106を通じて、インクカートリッジ30のICにアクセスすることができる。なお、「アクセス」とは、例えば、ICから情報を読み出すこと、及びICに情報を書き込むことの一方或いは両方を含む。
【0151】
[変形例]
上記実施形態では、接点ユニット160は、奥壁191、右壁192、及び左壁193を備えていた。しかし、
図6(D)及び(E)に示されるように、接点ユニット160は、右壁192及び左壁193を備えず、奥壁191のみを備えていてもよい。
【0152】
また、上記実施形態では、インクカートリッジ30は基板支持台130を備えていたが、インクカートリッジ30は基板支持台130を備えていなくてもよい。この場合、IC基板85は、例えば上面141に支持される。
【0153】
また、上記実施形態では、操作部49の端面49A、及び移動部材165の被操作部168Bの面168Cは、何れも傾斜面であったが、端面49Aまたは面168Cのいずれか一方が傾斜面であってもよい。
【0154】
また、上記実施形態では、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入において、インクカートリッジ30の基板支持台130の端面130Aが本体部163の奥壁191に当接することによって、前部カバー32の更なる挿入方向51への移動が不可能となった。しかし、端面130Aと奥壁191との当接以外によって、前部カバー32の更なる挿入方向51への移動が不可能となってもよい。例えば、インクカートリッジ30の前部カバー32の前面140が、カートリッジ装着部110の終面117と当接することによって、前部カバー32の更なる挿入方向51への移動が不可能となってもよい。
【0155】
また、上記実施形態では、上方向54が第3方向の一例であり、下方向53が第4方向の一例であった。しかし、上記実施形態とは逆に、下方向53が第3方向の一例であり、上方向54が第4方向の一例であってもよい。
【0156】
この場合、例えば、移動部材165は、操作部49と接触していない状態において自重によって下位置に位置していてもよい。そして、移動部材165は、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入過程において操作部49と接触して押されることで下位置から上位置に自重に抗して移動され、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への装着完了時に操作部49から離間することで再び自重によって下位置に移動されてもよい。
【0157】
また、上記実施形態では、移動部材165の位置は、センサ120から制御部1へ出力された信号に基づいて判断されたが、移動部材165の位置は、他の手段、例えば目視によって判断されてもよい。
【0158】
また、上記実施形態では、インクジェット記録方式で記録用紙に画像を記録するプリンタ10をシステムの一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリンタ10が、電子写真方式などの他の方式で記録用紙に画像を記録するものであってもよいし、熱転写方式でラベルに画像を記録するラベルプリンタなどであってもよい。
【0159】
また、上記実施形態では、インクを消費材の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクなどの液体に代えて、トナーなどの粉体を消費材としてもよいし、ラベルプリンタなどに用いられるテープを消費材としてもよい。