特許第6604148号(P6604148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6604148前後輪駆動車両の駆動制御システムおよびその駆動制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604148
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】前後輪駆動車両の駆動制御システムおよびその駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/045 20120101AFI20191031BHJP
   B60W 10/00 20060101ALI20191031BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20191031BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20191031BHJP
   B60W 10/119 20120101ALI20191031BHJP
   B60K 6/52 20071001ALI20191031BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20191031BHJP
   B62M 23/02 20100101ALI20191031BHJP
   B62M 17/00 20060101ALI20191031BHJP
   B62J 27/00 20060101ALI20191031BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20191031BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20191031BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20191031BHJP
   B62M 7/12 20060101ALI20191031BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20191031BHJP
【FI】
   B60W30/045
   B60W10/00 150
   B60W10/06
   B60W10/08
   B60W10/119
   B60K6/52
   B62J99/00 KZHV
   B62M23/02 150
   B62M17/00 B
   B62J27/00 B
   B60L50/16
   B60L15/20 J
   F02D45/00 312Z
   B62M7/12
   B60W10/06 900
   B60W10/08 900
   B60W20/15
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-217242(P2015-217242)
(22)【出願日】2015年11月5日
(65)【公開番号】特開2017-87827(P2017-87827A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年5月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 哲平
【審査官】 鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−66668(JP,A)
【文献】 特開2012−148656(JP,A)
【文献】 特開2006−273311(JP,A)
【文献】 特開平5−16872(JP,A)
【文献】 特開2003−94971(JP,A)
【文献】 特開2005−312190(JP,A)
【文献】 特開2009−196545(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0089671(US,A1)
【文献】 特開2015−77824(JP,A)
【文献】 特開2011−213336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−50/16
B60K 6/20− 6/547
B60L 1/00−15/42
B62M 7/12
B62M 17/00
B62M 23/02
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と後輪とに駆動輪を備え、一方の駆動輪が操舵輪であり、前輪と後輪の二輪のみで走行する前後輪駆動車両で、車両の旋回時に車体が左右何れかに傾斜した際にタイヤ接地点をステアリング軸中心よりも旋回方向内側に移して走行する二輪車に設けられる駆動制御システムであって、
前記駆動制御システムは、車両ジャイロセンサ、車両加速度センサの各センサ情報に基づいて前記二輪車のバンク角度を推定し、前記車両がバンク状態にある場合では、車両が直立走行状態にある場合に較べて、運転員の加速操作時のアクセル操作量に対する前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させる制御が行なわれることを特徴とする前後輪駆動車両の駆動制御システム。
【請求項2】
前記駆動制御システムは、車両のバンク角度が大きくなるに従って、前記操舵輪の目標駆動トルクの低減幅を大きくする制御が行なわれる請求項1に記載の前後輪駆動車両の駆動制御システム。
【請求項3】
前記駆動制御システムは、前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させた場合に、非操舵輪の目標駆動トルクを増加させる制御が行なわれる請求項1または2に記載の前後輪駆動車両の駆動制御システム。
【請求項4】
前記駆動制御システムは、前記操舵輪の目標駆動トルクの低減分に基いて前記非操舵輪の目標駆動トルクを増加させる制御が行なわれる請求項3に記載の前後輪駆動車両の駆動制御システム。
【請求項5】
前記駆動制御システムは、運転員の加速操作による前記非操舵輪の目標駆動トルクを推定して、その前記非操舵輪の目標駆動トルクの増加分に対して小さい所定の範囲内に収まる様に前記操舵輪の目標駆動トルクの低減制御が行なわれる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の前後輪駆動車両の駆動制御システム。
【請求項6】
前記前後輪駆動車両は、前記操舵輪に駆動力を与えるモータと、非操舵輪に駆動力を与えるエンジンとを有し、
前記駆動制御システムは、前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させた場合に、前記非操舵輪の目標駆動トルクを増加させる制御が行なわれる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前後輪駆動車両の駆動制御システム。
【請求項7】
前記駆動制御システムは、モータの駆動源となるバッテリ残量を検出し、バッテリ残量が所定値を下回るとき、モータ駆動の前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させる制御が行なわれる請求項6に記載の前後輪駆動車両の駆動制御システム。
【請求項8】
前輪と後輪とに駆動輪を有し、一方の駆動輪が操舵輪であり、前輪と後輪の二輪のみで走行する前後輪駆動車両で、車両の旋回時に車両が左右何れかに傾斜した際にタイヤの接地点をステアリング軸中心よりも旋回方向内側に移して走行する鞍乗型車両に設けられる前後輪駆動車両の駆動制御方法であって、
前記前後輪駆動車両は、車両ジャイロセンサ、車両加速度センサの各センサ情報に基づいて車両のバンク角度を推定し、
前記車両がバンク状態にある場合では、車両が直立走行状態にある場合に較べて、運転員の加速操作時のアクセル操作量に対する前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させる制御を行なうことを特徴とする前後輪駆動車両の駆動制御方法。
【請求項9】
前記前後輪駆動車両は、車両のバンク角度が大きくなるに従って、前記操舵輪の目標駆動トルクの低減幅を大きくする制御を行なう請求項8に記載の前後輪駆動車両の駆動制御方法。
【請求項10】
前記前後輪駆動車両は、前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させた場合に、非操舵輪の目標駆動トルクを増加させる制御を行なう請求項8または9に記載の前後輪駆動車両の駆動制御方法。
【請求項11】
前記前後輪駆動車両は、前記操舵輪の目標駆動トルクの低減分に基いて前記非操舵輪の目標駆動トルクを増加させる制御を行なう請求項10に記載の前後輪駆動車両の駆動制御方法。
【請求項12】
前記前後輪駆動車両は、運転員の加速操作による非操舵輪の目標駆動トルクを推定して、その前記非操舵輪の目標駆動トルクの増加分に対して小さい所定の範囲内に収まる様に前記操舵輪の目標駆動トルクの低減制御を行なう請求項8ないし11のいずれか1項に記載の前後輪駆動車両の駆動制御方法。
【請求項13】
前記前後輪駆動車両は、前記操舵輪に駆動力を与えるモータと、非操舵輪に駆動力を与えるエンジンとを有し、
前記駆動制御システムは、前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させた場合に、前記非操舵輪の目標駆動トルクを増加させる制御を行なう請求項8ないし12のいずれか1項に記載の前後輪駆動車両の駆動制御方法。
【請求項14】
前記駆動制御システムは、モータの駆動源となるバッテリ残量を検出し、
前記駆動制御システムは、バッテリ残量が所定値を下回るとき、モータ駆動の前記操舵輪の駆動力を低下させる制御を行なう請求項13に記載の前後輪駆動車両の駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の旋回性能を向上させつつ充分な駆動力を付与し、スムーズな操作を可能とする前後輪駆動車両の駆動制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
後輪の駆動源と前輪のモータ駆動源とを個別に駆動制御し、モータをステアリング系に装着した前後輪駆動二輪車が特許文献1に記載されている。この前後輪駆動二輪車では、モータをステアリング系に装着することで、前輪の操舵に及ぼす影響を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−16872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の前後輪駆動二輪車では、車両の旋回時に車体が左右何れかに傾斜(以下、バンク)した際にタイヤ接地点がステアリング軸中心よりも旋回方向内側に移ることに起因して、運転員がアクセルを開ける(加速)操作によるモータの駆動力増加がステアリング系のアライニングトルクに影響を及ぼす場合が有る。
【0005】
通常の後輪駆動車では、車両の旋回時にタイヤ接地点がステアリング軸中心より旋回方向内側に移るため、タイヤ接地面に掛かる走行抵抗によりステアリングの回転軸中心周りに発生するモーメントが働き、ステアリングを内側(旋回方向)に切る方向に作用する。この場合、運転員がアクセルOFFからアクセルを開けていっても前輪が受ける力の方向は変化しない。
【0006】
一方、特許文献1の様な前後輪駆動二輪車では、運転員がアクセルを開けて前輪の駆動力を与え、その駆動力が走行抵抗に打ち勝った際に、ステアリングの回転軸中心周りのモーメントが反対方向に働き、ステアリングを外側(旋回方向とは反対側)に切る方向に作用する。これにより操縦に必要な操舵力の方向や大きさが変化することになり、運転員に違和感を与える場合がある。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、操舵輪に加わる駆動力が操舵に及ぼす影響を小さくして、スムーズで安定した操作を可能とする前後輪駆動車両の駆動制御技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る前後輪駆動車両の駆動制御システムは、上述した課題を解決するために、前輪と後輪とに駆動輪を有し、一方の駆動輪が操舵輪であり、前輪と後輪の二輪のみで走行する前後輪駆動車両で、車両の旋回時に車体が左右何れかに傾斜した際にタイヤ接地点をステアリング軸中心よりも旋回方向内側に移して走行する二輪車に設けられるシステムであって、
前記駆動制御システムは、車両ジャイロセンサ、車両加速度センサの各センサ情報に基づいて前記二輪車のバンク角度を推定し、前記車両がバンク状態にある場合では、車両が直立走行状態にある場合に較べて、運転員の加速操作時のアクセル操作量に対する前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させる制御が行なわれることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る前後輪駆動車両の駆動制御方法は、上述した課題を解決するために、前輪と後輪とに駆動輪を有し、一方の駆動輪が操舵輪であり、前輪と後輪の二輪のみで走行する前後輪駆動車両で、車両の旋回時に車体が左右何れかに傾斜した際にタイヤの接地点をステアリング軸中心よりも旋回方向内側に移して走行する鞍乗型車両に設けられる前後輪駆動車両の駆動制御方法であって、前記前後輪駆動車両は、車両ジャイロセンサ、車両加速度センサの各センサ情報に基づいて車両のバンク角度を推定し、前記車両がバンク状態にある場合では、車両が直立走行状態にある場合に較べて、運転員の加速操作時のアクセル操作量に対する前記操舵輪の目標駆動トルクを低減させる制御を行なうことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、前後輪駆動車両がバンク状態にある場合では、車両が直立走行状態にある場合に較べて、運転員の加速操作に伴う操舵輪の目標駆動トルクを低減させることで、操舵輪に加わる駆動力の変化がステアリングの挙動に及ぼす影響を軽減し、より車体の安定性が向上するようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態を示すもので、前後輪駆動車両の全体の外観形状を示す左側面図。
図2図1に示す前後輪駆動車両を車両前方から見た正面図。
図3図1に示す前後輪駆動車両の車両前半部を示す右側面図。
図4】前後輪駆動車両の車両前半部の車体フレーム構造を示す左側面図。
図5】前後輪駆動車両の車両前半部の車体フレーム構造を示す右側面図。
図6】前後輪駆動車両の車体フレーム構造を車両前方から見た正面図。
図7】前後輪駆動車両の車両前半部の車体フレーム構造を車両左側前方から見た斜視図。
図8】前後輪駆動車両の車両前半部の車体フレーム構造を車両右側前方から見た斜視図。
図9】前後輪駆動車両の車両前半部の車体フレーム構造を車両上方から見た平面図。
図10】前後輪駆動車両の操舵輪である前輪とモータとの支持構造を示す断面図。
図11図10のモータ断面構造を示す拡大断面図。
図12】前後輪駆動車両に備えられる駆動制御システムを示すブロック図。
図13】(A)は前後輪駆動車両のコーナリング走行状態を前方正面から見た正面図、(B)は前後輪駆動車両を、図13(A)のA方向から撮影したフロントタイヤの旋回時の力の作用状態を示す図。
図14】(A)は、前後輪駆動車両のアクセル開度と信号出力電圧の関係を示すマップ、(B)は、操舵輪を駆動するモータへの駆動トルク指令信号例を示すもので、アクセル開度とモータ目標駆動トルク値との関係を示すマップ。
図15】前後輪駆動車両の駆動制御システムによるコーナリング走行時の駆動制御の流れを示すフロー図。
図16】前後輪駆動車両の駆動制御システムにおいて、モータ駆動用のバッテリ残量が所定値以下になった場合の駆動制御の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る前後輪駆動車両を示すもので、前後輪駆動車両の外観形状を示す車両全体の左側面図、図2図1に示す前後輪駆動車両を車両前方から見た正面図、図3図1の前後輪駆動車両の車両前半部を示す右側面図である。これらの図において、前後輪駆動車両10は、車両前方側を符号Fwで、車両後方側を符号Bwで示し、前後輪駆動車両10に乗車した運転員が見て左側を符号Lで、同じく右側を符号Rでそれぞれ表す。
【0013】
[前後輪駆動車両]
図1ないし図3に示す前後輪駆動車両10は、例えばスクータ型の自動二輪車両で構成され、車体の前方下部に前輪11が、その後方下部に後輪12がそれぞれ設けられる。前輪11はハンドル13の回動操作によりステアリング機構14およびリンク式懸架装置15(あるいはボトムアーム式懸架装置)を介して操舵される操舵輪として機能する。リンク式懸架装置15には駆動輪を駆動させるモータ16が設けられ、前輪11は駆動輪としても機能する。
【0014】
一方、後輪12は非操舵輪であり、前後輪駆動車両10の車体に搭載された図示しないエンジンにより駆動される。よって、後輪12も駆動輪として機能する。
【0015】
したがって、本実施形態の前後輪駆動車両10は、操舵輪はモータ駆動の前輪11であり、非操舵輪はエンジン駆動の後輪12であって、モータ駆動の前輪11によってエンジン駆動の後輪12をアシストする前後輪駆動の二輪車である。車両の駆動部品はエンジンやモータ16で構成され、車両の懸架部品はリンク式懸架装置15、18およびショックアブソーバ55で構成される。
【0016】
この様な前後輪駆動車両10は、前後を駆動輪としたことによる優れたトラクション性能により、雪道や濡れた路面などでも安定した走行性能が得られ、また悪路走破性の向上を図ることができる。さらに、モータ16とエンジンのハイブリッド駆動により優れた加速性能と燃費の両立を図ることができる。
【0017】
図1に示す前後輪駆動車両10の車体には、図示しないエンジンが搭載され、このエンジンの駆動力は、同じく図示を省略した動力伝達機構を介して後輪12の車軸に伝達される。
【0018】
前後輪駆動車両10の車体中央下部に位置する図示しないフレームピボットにスイングアーム17が揺動可能に支持される。また、スイングアーム17は、後輪12をその後端部にて回転自在に支持するリンク式懸架装置18(あるいはボトムアーム式懸架装置)を構成している。なお、スイングアーム17は、アーム前側上部にエンジンを設置し、エンジンと動力伝達機構とを一体的に備えたユニットスイング型エンジンで構成してもよい。
【0019】
また、前後輪駆動車両10の車両前部には、フロントカバーとしてのカウリング20が設けられ、カウリング20の上部にウインドスクリーン21が後上方に延びるように設置される。カウリング20の後方側は、レッグシールド22、ボディサイドカバー23およびリアカバー24で車体が順次覆われ、車体全体を覆う車体カバーが構成される。ボディサイドカバー23およびリアカバー24の上方にシート25が設置される。
【0020】
さらに、操舵輪である前輪11の上部はフロントフェンダ27で覆われ、フロントフェンダ27の上方にヘッドランプ28が設けられる。ヘッドランプ28の両側の下部に左右のウインカ29が設けられる。
【0021】
非操舵輪である後輪12の上部はリアフェンダ31で覆われ、リアフェンダ31の上方にテールランプ32が設けられる。
【0022】
なお、図1において、符号35はセンタースタンドであり、符号36はサイドスタンドである。符号37は運転者用ステップであり、符号38は同伴者用ステップである。
【0023】
[車両前部構造]
一方、前後輪駆動車両10の車両前部は、図4ないし図5に示すように構成される。前後輪駆動車両10ではダウンフレーム構造の車体フレーム40の前端部にヘッドパイプ41が設けられる。ヘッドパイプ41にはステアリング機構14を構成するステアリングシャフト43が回転自在に設けられ、ステアリングシャフト43の頂部はハンドル13に連結される。ステアリング機構14はヘッドパイプ41内でステアリングシャフト43を回転自在に支持している。ステアリングシャフト43の下部にはヘッドパイプ41の下方でフロントフォーク44が連結される。
【0024】
フロントフォーク44は、左右に分岐されたフォーク部45a,45bが前輪11の後部側を跨ぐように下方に延びる。フロントフォーク44の左右のフォーク部45a,45bは、棒状部材で構成され、テレスコピック状のサスペンション機構は設けられていない。左右のフォーク部45a,45bの下部が車両前方に屈曲しており、左右のフォーク部45a,45bの下端部にピボット47が設けられ、左右対をなすピボット47にスイングアーム50の左右のアーム部51a,51bが揺動自在に支持される。そしてこの各アーム部51a,51bに操舵輪である前輪11が支持される。この様にリンク式懸架装置15は、前輪11のボトムリンク式あるいはボトムアーム式支持機構を構成している。
【0025】
[前輪のリンク式懸架装置]
前輪11のリンク式懸架装置15は、フロントフォーク44が前後輪駆動車両10のステアリング機構14の下部に固定され、車体側に設けられる。
【0026】
フロントフォーク44は左右2又に分岐され、左右の分岐部にて左右一対のフォーク部45a,45bが固定される。フォーク部45a,45bの下部は前輪11の後部を跨ぐように迂回する略U字状のブリッジフレーム46で互いに連結されて一体化され、機械的・物理的強度を向上させ、充分な剛性が保持される。
【0027】
さらに操舵輪のリンク式懸架装置15は、スイングアーム50の各アーム部51a,51bが揺動支点であるピボット47から前輪11の両側方を車両前方側に延び、各アーム部51a,51bの前端部に前輪11が支持される。
【0028】
また、スイングアーム50の左右のアーム部51a,51bは、後端部が前輪11の後方を跨ぐように迂回する略U字状のブリッジフレーム52で一体に連結され、補強される。左右いずれか一方のアーム部、例えば左側アーム部51aの前端部に、図4に示すようにモータ16が設けられる。スイングアーム50の他方の右側アーム部51bは、図5に示すように前輪11の車輪軸を支持している。
【0029】
ここで、フロントフォーク44の左右一対のフォーク部45a,45bは棒状部材で構成され、車体側方視において、図4および図7に示すように、モータ16に対して車両後方側(Bw側)であってモータ外縁より外側に配置される。フロントフォーク44には大きな剛性が求められるが、左右のフォーク部45a,45bをモータ16の外縁に対して外側に設けることで、モータ16の大きさ、形状やレイアウトの影響を受けることなく、左右のフォーク部45a,45bを太くできて剛性の向上が容易になる。また、左右のフォーク部45a,45bの車幅方向の幅を、従来のテレスコピック状のフロントフォークの車幅方向幅より狭くすることによって、フロントフォーク44の幅をコンパクトに保ちつつ、同時に操作性を向上させることができる。
【0030】
また、スイングアーム50は図3図5および図7図9に示すように、左右のアーム部51a,51bのフロントフォーク44側支持点、すなわちピボット47が、モータ16の車両後方側(Bw側)であってモータ外縁に対して外側に設けられる。この様にフロントフォーク44が前輪11の車輪軸を直接支持するのではなく、前輪11の回転軸に対して車両後方側にオフセットして配置され、さらにスイングアーム50の揺動軸であるピボット47を、モータ16から離して位置させている。したがって、従来のようにテレスコピック式フロントフォークの下部に前輪11を直接支持させることがなく、モータ16が大型化しても、前輪11の車輪軸の幅の拡大を抑えることができる。
【0031】
さらに、スイングアーム50は、車体側方視において、ピボット47が前輪11の外縁に対して前輪半径方向で内側となるように配置される。これによりフロントフォーク44のフォーク部45a,45bはモータ16を避けつつも、ピボット47は前輪11の車輪軸に近付くように配置されることになり、フロントショックアブソーバ55をモータ16の反対側であって前輪11の右側(左右一側)にのみオフセットさせて配置した場合でも、スイングアーム50の捩れを極力抑制し、前輪11の支持安定性を向上させることができる。
【0032】
さらに、フロントフォーク44は、車体側方視において、前輪車輪軸に対して車両後方側(Bw側)に離間して上下方向に延びるように配設したので、剛性が要求されるフロントフォーク44の重量を車体前後方向の中央側に近付けることができ、操作性を向上させることができる。
【0033】
[フロントショックアブソーバと制動装置]
スイングアーム50の左右一方のアーム部、例えば右側アーム部51bの車輪軸近くの先端上部に取付ブラケットが設けられ、この取付ブラケットとフロントフォーク44の右側フォーク部45bの上部前側の取付ブラケットとの間に、フロントショックアブソーバ55が取り付けられる。
【0034】
さらに、前輪11の左側にモータ16が設けられ、右側には制動装置56が設けられる。制動装置56はスイングアーム50の右側アーム部51bに取り付けられたブレーキキャリパ57と前輪11の右側ホイールハブに取り付けられたブレーキディスク58と、ブレーキキャリパ57に設けられたブレーキパット59とから構成される。制動装置56は、ブレーキパット59がブレーキディスク58を挟持することで制動を行う。
【0035】
ここで、本実施形態の前後輪駆動車両10では、操舵輪である前輪11の懸架にリンク式懸架装置15を用いている。この構造を採用することにより、従来のテレスコピック式フロントフォークのように左右両側に緩衝機構を備えたテレスコピック状フォーク部を設ける必要がなく、フロントショックアブソーバ55をスイングアーム50の、例えば右側アーム部51bだけに配置するサスペンション構造とすることができる。図6ないし図9に示すように、左右いずれか一方、例えばステアリングシャフト43のステアリング中心軸Scを挟んで、前輪11の左側(L側)に重量物のモータ16が、反対側の前輪11の右側(R側)に(モータ16より重量の小さい)フロントショックアブソーバ55および制動装置56がそれぞれ設けられる。この様にモータ16と、フロントショックアブソーバ55および制動装置56とを、スイングアーム50の左右アーム部51a,51bに夫々振り分けて取り付けることにより、車両のステアリングシャフト43廻りの左右の重量バランスを良好に保つことが容易になる。
【0036】
また、フロントフォーク44は、モータ16およびフロントショックアブソーバ55の車両後方側に設けられ、フロントフォーク44の左右対のフォーク部45a,45bがモータ16やフロントショックアブソーバ55を跨ぐことがない。したがって、従来のテレスコピック式フロントフォークに較べてフロントフォーク44の車両幅方向の幅を狭くコンパクトにすることができる。
【0037】
さらに、フロントショックアブソーバ55をスイングアーム50の片側、例えば右側アーム部51bだけに配置可能にする構造のため、図6ないし図9に示すように、左側アーム部51aにモータ16を設けても、フロントショックアブソーバ55をモータ16と干渉することなく右側アーム部51bに容易に配置できる。
【0038】
その上、左側のアーム部51aにフロントショックアブソーバを設けないことで、モータ16にとってはレイアウトやサイズ上の制約が少なくなり、モータ16の配置やモータ部品の設計上の自由度を一層向上させることができる。
【0039】
また、従来のテレスコピック式フロントフォークのように左右両側のサスペンション機構でモータを挟む構造に対して、幅が狭いスイングアーム50の左右のアーム部51a,51bで前輪11を支持することで、リンク式懸架装置15の車幅方向幅を狭くすることができる。この結果、ハンドル13の操舵時のステアリング中心軸Sc周りの慣性を小さく抑えることができ、操作性が向上する。
【0040】
このように、単一のフロントショックアブソーバ55の前輪車輪軸側取付位置をスイングアーム50の右側アーム部51bに取り付けることで、取付自由度を向上させ、前輪車輪軸周りのレイアウトの最適配置を容易に行なうことができる。
【0041】
例えば図4および図5に示すように、車体側方視で、単一のフロントショックアブソーバ55はスイングアーム50の他方側アーム部、例えば右側アーム部51bとの取付部が、モータ16の外縁よりも内側に設けられる。このように取付位置をモータ16と重ねて配置することで、前輪車輪軸付近に重量物であるモータ16やショックアブソーバ55等が集結して配置され、操舵時の慣性を抑えて操作性を向上させることができる。
【0042】
加えて取付位置を前輪車輪軸に対して若干離間させて配置することで、モータ16の車幅方向の占有領域を避けつつ、容易に配置することができ、車両幅方向、ひいては前輪車輪軸方向の幅を抑制することができる。さらに車輪軸側取付位置を下方に配置することでストローク長を充分に確保することが可能になり、衝撃吸収性に優れ、車体安定性や快適性を向上させることができる。
【0043】
また、制動装置56は単一のショックアブソーバ55とともに、モータ16の反対側、すなわち前輪11の右側に配置される。このため、図6に示すように、ステアリング中心軸Scに対して、モータ16およびモータ支持構造を前輪11の左側に、単一のショックアブソーバ55を前輪11の右側に振り分けて配置したのに加えて、制動装置56も右側に配置することで、重量物のモータ16に対して、車両の左右重量バランスを良好に保つことができる。
【0044】
加えて、モータ16と制動装置56とを前輪11の左右両側に振り分けて配置したので、モータ16の外径を大径化しても、制動装置56の取付上の制約が少なく、双方の取付自由度を向上させることができる。
【0045】
なお、制動装置56はブレーキキャリパ57、ブレーキディスク58およびブレーキパット59から構成した例を示したが、制動装置をブレーキドラムとブレーキシュー等から構成してもよい。
【0046】
[モータの取付構造]
前輪11を駆動するモータ16は、図7ないし図9に示すように、ステアリング機構14の下部に設けられたリンク式懸架装置15のスイングアーム50に設置される。モータ16はスイングアーム50の左右いずれか一方のアーム部、例えば左側アーム部51aに取り付けられる。左側アーム部51aに取り付けられたモータ16は、車両側面視でモータ本体60がモータカバー61で車両外側から覆われる。モータカバー61はリンク式懸架装置15の左側アーム部51aの先端部に一体に固定され、スイングアーム50およびフロントフォーク44を介して車体側に固定される。
【0047】
モータ16は、モータ本体60とモータカバー61およびインナカバー62で構成され、インナカバー62はモータ本体60を中にしてモータカバー61に複数のモータ取付ボルト63で締め付けられ、一体化される。モータ16は操舵輪である前輪11の左右一方、例えば左側に設置される。
【0048】
[モータ構造]
操舵輪のリンク式懸架装置15の下部にスイングアーム50が揺動自在に支持され、このスイングアーム50の片方のアーム部、例えば左側アーム部51aに設けられるモータ16は、図10および図11に示すように構成される。モータカバー61内に収められるモータ本体60は、モータ本体60に固定されたステータ65と、このステータ65に対向して相対回転可能にモータ本体60に支持されるロータ66とを有し、ロータ66はモータ(内部)軸67に回転一体に設けられる。モータ軸67は、前輪11の車輪軸68と共通軸をなすように、軸方向に並んで設けられる。
【0049】
ロータ66と回転一体のモータ軸67は、軸方向両側をベアリング69a,69bにより回転自在に支持される。モータ16のモータ軸67はサンギア部を有して遊星ギア70に噛合している。遊星ギア70はその外側に設けられて回転しないリングギア79と噛合している。遊星ギアキャリア71は車輪軸68のモータ側端部に一体に設けられて遊星ギア70を回転可能に保持し、遊星ギア70のモータ軸67廻りの回転運動によってモータ軸67と同軸に回転する。車輪軸68も軸方向両側がベアリング72a,72bで回転自在に支持され、車輪軸68とモータ軸67はベアリング69bで相対的に回転可能に設けられる。
【0050】
そして、モータ16の駆動によりロータ66の回転駆動力は、モータ軸67から遊星ギア70で減速されて車輪軸68に伝達され、さらに、動力伝達部材73を介してホイールハブ74に伝達され、前輪11を駆動させる。ここでモータ66は、例えばエンジンをアシストするように駆動される。
【0051】
前輪11のホイールリム75とホイールハブ74を繋ぐホイールスポーク76は、図10および図11に示すように、例えば全体として円弧状に湾曲しており、ホイールスポーク76の湾曲凹部にモータ16が設置される。このホイールスポーク76あるいはホイールハブ74に前輪11の外側方側に突出するボス77が形成され、突出したボス77にブレーキディスク58が取り付けられ、固定される。なお、符号78はオイルシールである。
【0052】
[後輪のリンク式懸架装置]
ところで、本実施形態の前後輪駆動車両10は、図1に示すように、非操舵輪である後輪12が、エンジン駆動される駆動輪として機能する。後輪12は、ボトムアーム式懸架装置あるいはリンク式懸架装置18により揺動自在に懸架支持される。リンク式懸架装置18は、前後輪駆動車両10の車体中央下部のフレームピボット(図示省略)廻りに揺動自在に支持されるスイングアーム17を有する。スイングアーム17は車両後方側に延び、途中からアーム部が左右に分岐され、左右のアーム部の後端部にて後輪12を支持している。
【0053】
前後輪駆動車両10は、シート25下方の車体フレームに図示しないエンジンが懸架され、このエンジンの駆動力は、チェーン機構やベルト機構等の動力伝達機構を介して後輪12に伝達され、後輪12を駆動させる。なお、エンジンはスイングアーム17の前側上部に設けてもよい。スイングアーム17にエンジンを設けた場合、エンジンの駆動力は無段変更機構や減速機構の動力伝達機構を介して後輪12に伝達される。スイングアーム17はユニットスイング型エンジンとして構成される。
【0054】
また、スイングアーム17の左右一方のアーム部と車体フレーム40との間に単一のリヤショックアブソーバ(図示省略)が設けられる。
【0055】
さらに、本実施形態の前後輪駆動車両10は、後輪12をエンジン駆動に代えてモータ駆動としてもよい。後輪12をモータ駆動とした場合、例えばスイングアーム17の一方のアーム部にモータが設けられ、他方のアーム部と車体側との間に設けられる単一のリヤショックアブソーバが設けられる。モータは図9に示すように、車体中心線BCLに対してモータ重心が車幅方向左右のいずれか一方、例えば左側に設けられ、その反対側の右側に単一のリヤショックアブソーバおよび制動装置が設けられる。
【0056】
[前後輪駆動車両の駆動制御システム]
前後輪駆動車両10において、前輪11の駆動源はモータ16であり、後輪12の駆動源はエンジンである。前後輪駆動車両10では、例えば図1に示すようにシート25下方あるいは車体のシートレール後端部下方に搭載された駆動制御システム80によりモータ出力およびエンジン出力が制御される。
【0057】
図12に示すように、駆動制御システム80は、エンジンの点火タイミング、燃料噴射量、噴射時間等をコントロールしてエンジン出力を制御するエンジンコントロールユニット(以下、ECUという。)81とモータ出力を制御するモータコントロールユニット(以下、MCUという。)82とを備える。前後輪駆動車両10は、電動スロットルバルブおよび燃料噴射(FI)システムを備え、ECU81によりエンジンやモータ等の制御が行われている。駆動制御システム80は、核となるECU81およびMCU82がコンピュータで構成され、内部にある基盤を樹脂で覆い、前後輪駆動車両10の使用に耐えられるように、振動や水に強く、耐候性が高められている。
【0058】
前後輪駆動車両10には車体の各部に、燃料噴射システム各種センサ88としてスロットルバルブ開度を計測するスロットルポジションセンサ85、吸入空気量を計測する吸気圧センサ86、排気ガス中のO濃度を計測するOセンサ87等のセンサを備え、さらにミッション機構を備える車両ではギア係数を計測するギアポジションセンサ90を備え、運転員のアクセル操作量を計測するアクセルポジションセンサ92が設けられる他、モータのロータ位置を検出するモータホールセンサ94、車体の角速度センサである車両ジャイロセンサ95、車体の加速度を計測する車両加速度センサ96およびバッテリ残量を計測するバッテリ状態センサ97等が設けられる。
【0059】
このうち、燃料噴射システム各種センサ88、ギアポジションセンサ90、およびアクセルポジションセンサ92の各センサ信号は、ECU81に入力される。ECU81は各センサ情報に基づいてエンジンの出力状態を推定し、アクセルポジションセンサ出力に対する目標駆動トルクを得るために最適なスロットルバルブ開度や点火タイミング、燃料吐出量等のエンジン出力制御を行なう。これにより後輪12の目標駆動トルクが制御される。
【0060】
また、アクセルポジションセンサ92、モータホールセンサ94、車両ジャイロセンサ95、車両加速度センサ96およびバッテリ状態センサ97の各センサ情報はMCU82に入力される。MCU82は各センサ情報を基にモータの出力状態、バッテリ残量を推定し、さらに車両の傾斜角(バンク角度)を含めた車両運動状態を推定する。そしてアクセルポジションセンサ出力とこの車両運動状態の推定結果を用いて車両運動状態に応じたモータ16の目標駆動トルクを決定し、このモータ目標駆動トルクに基づいてインバータやバッテリ(ともに図示せず)の制御を行なう。これにより前輪11の目標駆動トルクが制御される。
【0061】
一方、MCU82と、ECU81とは、相互に連係して作動制御される。MCU82はモータ目標駆動トルクを基にエンジンへの要求駆動トルクを決定し、ECU81に送る。ECU81はこのエンジンへの要求駆動トルクを用いてエンジンの目標駆動トルクを修正し、エンジン出力の制御を行なう。
【0062】
また、ECU81で設定されるエンジン目標駆動トルクの増加分を基に、MCU82にてモータ目標駆動トルクの範囲を定めることもできる。この場合、ECU81はアクセル開度に対するエンジン目標駆動トルクを決定し、このときの後輪目標駆動トルクの増加分を推定してMCU82に送る。MCU82は得られた後輪目標駆動トルクの増加分を基に、その増加分に較べて例えば充分小さい範囲に前輪目標駆動トルクが収まるようにモータ目標駆動トルクの制御を行なう。
【0063】
[車両の駆動制御の概要]
さきに述べたように、前後輪駆動車両10において、車体を傾斜させて旋回(以下、コーナリング走行)している最中に運転員が加速操作を行なうと、増加する前輪11の駆動力によって操舵方向と逆向きのモーメントが作用し、運転員に違和感を与える場合があるが、本実施形態の駆動制御システム80は、運転員の加速操作時における前輪11(および後輪12)の目標駆動トルク調節制御を適宜行なうことで、この問題を解決する。
【0064】
本実施形態の前後輪駆動車両10では、駆動制御システム80のMCU82において、車両ジャイロセンサ95、車両加速度センサ96の各センサ情報に基づいて車両のバンク角度αを推定し、コーナリング走行時における運転員のスロットル開操作などによる加速操作が有った場合は、直立走行時に同様の加速操作が有った場合に較べて前輪11の目標駆動トルクを低減するように制御を行なう。
【0065】
また、本実施形態の前後輪駆動車両10では、駆動制御システム80のMCU82において、車両のバンク角度が大きくなるに従って、運転員の加速操作に対する目標駆動トルクの低減幅を大きくするように制御を行なう。
【0066】
この様な駆動制御システム80のMCU82によるモータ目標駆動トルク制御によって、コーナリング走行時の運転員の加速操作による前輪11の駆動力増加がステアリングの挙動に及ぼす影響を低減し、運転員の違和感を解消して通常の後輪駆動二輪車に近い感覚で操縦することができる。
【0067】
また、車両のバンク状態と直立走行状態とで加速操作に対するモータ目標駆動トルクを変えることで、直立走行状態では、モータ16のレスポンスの良さ、低速トルクの制御性を活かした加速力を発揮させながら、コーナリング走行時のハンドル13の挙動変化を抑制でき、安定した走行が得られる。
【0068】
さらに駆動制御システム80では、前後輪の駆動力を相互に連係させ、前輪11の駆動力増加を制限しても後輪12から充分な駆動力が得られるように制御を行なう。駆動制御システム80のMCU82によってモータ目標駆動トルクを制御し、前輪目標駆動トルクを低減する際に、ECU81によりエンジン目標駆動トルクを増加し、後輪目標駆動トルクを増加させる。このときECU81は、MCU82の制御による前輪目標駆動トルクの制限分に基いて後輪目標駆動トルクを増加させるように制御を行なう。例えば前輪目標駆動トルク制限分を上限として後輪目標駆動トルクを増加させる。
【0069】
これにより、車両のバンク時に前輪11の駆動力増加を制限した分だけ後輪12の駆動力が増加するように駆動制御されるので、直立走行状態と同様に十分な加速力を得ることができる。
【0070】
また、駆動制御システム80では、車両のバンク時の加速操作に対してECU81がアクセル開度に対するエンジン目標駆動トルクを決定して後輪目標駆動トルクを制御する一方、後輪目標駆動トルクの増加に基づいて、MCU82により後輪目標駆動トルクの増加分に較べて充分小さい範囲に前輪目標駆動トルクが収まるようにモータ目標駆動トルクの低減制御が行なわれる。これにより、前後輪の駆動力配分制御の精度を、エンジン側に追加センサを設けることなく高めることができ、モータによる前輪アシスト量を大きくとることができる。
【0071】
他方、本実施形態の前後輪駆動車両10の駆動制御システム80では、直立状態の走行中であっても、モータ駆動用のバッテリ残量が一定値より少ない場合に消費電力を抑えてバッテリ充電を実施するために、MCU82にて前輪目標駆動トルクを低減する制御を行なう。一方、ECU81は、MCU82からモータ出力の制限分を取得し、これを上限に後輪目標駆動トルクを増加させる制御を行なう。
【0072】
この様に駆動制御システム80では、バッテリ残量が少ない時にモータ16の出力を低下させて電力消費を抑え、その代わりにエンジン回転数を上げて出力を向上させることで、バッテリを充電状態に移行させつつ、車両全体の駆動力を所望の駆動力に保つことが容易になる。
【0073】
[前輪駆動時の操縦特性]
ここからは、上述の制御がどのような効果をもたらすか、具体的にどう行なわれるかを説明する。前後輪駆動車両10では、図13(A)に示すようにコーナリング走行時のバンク状態においては、操舵輪である前輪11のタイヤ接地面Tdはステアリング軸中心Scより旋回方向内側(IN側)に移るため、通常の後輪駆動車両では、スロットルを開けると、タイヤ接地面Tdにて進行方向とは逆方向に作用する走行抵抗Rrにより、ステアリングにはステアリング軸中心Sc周りのモーメントがMi方向に働いて、旋回方向内側に回転する力が生じる。
【0074】
しかし、前輪に駆動力Dを与え、その駆動力Dが走行抵抗Rrに打ち勝った際にはステアリング軸中心Sc周りのモーメントMが反対方向(Mo方向)に働き、ステアリングには旋回方向外側(OUT側)に回転する力が生じる。なお、Gは前後輪駆動車両のフロント重心であり、符号Tは、ステアリング軸中心Scのトレール点である。符号lは、ステアリング軸中心Scとフロントタイヤ接地面Tdとの間の幅方向距離である。
【0075】
通常の後輪駆動車の場合、バンク状態で運転員がアクセルを開けて加速しても力の方向は変化せず、走行抵抗の増減だけが作用する。前輪駆動にすると、バンク状態で運転員がアクセルを開けて加速していくと、図13(B)に示すようにタイヤ接地面Tdに掛かる走行抵抗Rrに打ち勝つ駆動力Dが発生する際に、操縦に必要な操舵トルクの方向が変わることになり、操舵輪に駆動力Dが付加された車両は、ステアリング軸中心Sc周りにモーメントM={距離l×(駆動力D−走行抵抗力Rr)}が図13(B)においてMo方向に作用するために、ステアリングは旋回方向外側に回転する力を受けて挙動が変化する。
【0076】
このため、前輪11に駆動力Dが付加された車両は、バンク状態では走行抵抗力Rrに対する駆動力Dの変化の大きさ如何でステアリングの挙動変化が発生するが、本実施形態の前後輪駆動車両10では、上述のとおり駆動制御システム80のMCU82の制御により、車両がバンク状態にある場合には、直立走行状態に較べて前輪目標駆動トルクを低減させることで、ステアリング軸中心Scに対して駆動力Dが及ぼすMo方向のモーメントMを抑制する。したがって、ステアリングの挙動への影響は緩和され、従来の後輪駆動車両に近い感覚で良好な旋回性能が得られる。
【0077】
[車両の駆動制御の流れ]
図14は、前輪11をモータ駆動するときの、モータ16への目標駆動トルク指令制御を行なう出力マップを例示するものである。図14(A)は、アクセルポジションセンサ92によって検知されるアクセル開度と、目標駆動トルク指令信号としての出力電圧との関係を示すマップである。図14(B)は所定範囲でのアクセル開度とモータ目標駆動トルク値との関係を示すマップである。
【0078】
図14(B)において、実線Pは直立走行状態におけるアクセル開度に対するモータ目標駆動トルク値との関係を示す。一方点線Qは所定のバンク角度におけるアクセル開度に対するモータ目標駆動トルク値の関係を示す。直立走行時のモータ16の目標駆動トルク値は、実線Pに示すようにアクセル開度が大きくなるに従って直線的に増加し、アクセル開度が所定位置Sを超えると一定となるように設定されるが、バンク状態における目標駆動トルク値は、点線Qで示すように同じアクセル開度における直立走行状態時の目標駆動トルク値よりも低く設定され、アクセル開度が大きくなるにつれ低減幅が大きくなる。しかも、アクセル開度が所定位置R(Sよりも小さい)を超えると、目標駆動トルク値は一定となる。ちなみにバンク状態における目標駆動トルク値は、任意のバンク角度αに対して上述の点線Qと類似の設定がなされているが、バンク角度αが大きくなるほど直立走行状態における目標駆動トルク値(実線P)に対する低減幅が拡大する。
【0079】
このように車両のバンク状態における運転員のアクセル操作に対するモータ目標駆動トルク値を、直立走行状態時に対して小さく抑えて前輪目標駆動トルクを低減することで、ステアリングの挙動変化を抑制し、車体の安定性を向上させることができる。
【0080】
本発明の実施形態において、駆動制御システム80による前輪11及び後輪12の駆動制御のフローは、図15に示すように、初めにステップ1(S1)にて、運転員の加速操作によるアクセル開度が所定閾値以上か否かが判定される。ここでアクセル開度が所定閾値未満(No)の場合はステップ1(S1)に戻る。
【0081】
アクセル開度が所定閾値以上(Yes)の場合はステップ2(S2)に進む。ここでは車両ジャイロセンサ95及び車両加速度センサ96からのセンサ信号に基づき、MCU82にて車両のバンク角度αが推定される。
【0082】
次にステップ3(S3)では、この推定された車両のバンク角度αが所定角度を超えるか否かが判断される。車両のバンク角度αが所定角度を超える(Yes)場合は、車両がバンク状態に有ると見做し、ステップ4(S4)に移行する。
【0083】
ステップ4(S4)では、アクセル開度に対するモータ目標駆動トルク値を、直立走行状態の値に較べて低減(図14(B)のグラフにおける実線Pの状態から点線Qの状態へと移行)させ、前輪目標駆動トルクを低減する制御を行なう。ここで、モータ目標駆動トルク値の低減幅は、車両のバンク角度αが増加するにつれて拡大するように制御される。
【0084】
ステップ5(S5)では、MCU82で設定されたモータ目標駆動トルク低減量を基に、エンジンへの要求駆動トルクを決定し、ECU81に送る。そしてECU81にてこのエンジンへの要求駆動トルクを用いて、アクセル開度に対するエンジン目標駆動トルクを増加する方向に修正し、後輪目標駆動トルクを増加する制御を行なう。ここでMCU82によるエンジンへの要求駆動トルクの決定は、後輪目標駆動トルクの増加分が前輪目標駆動トルク低減量を上限とした範囲内に収まるように行なわれる。
【0085】
一方、ステップ3(S3)にて車両のバンク角度αが所定角度を超えない(No)場合は、車両が直立走行状態に有ると見做し、ステップ7(S7)に移行する。
【0086】
ステップ6(S6)では、ステップ4(S4)とは反対に、アクセル開度に対するモータ目標駆動トルク値を、直立走行状態の値(図14(B)のグラフにおける実線Pの状態)に戻し(または維持し)、前輪目標駆動トルクを制御する。
【0087】
ステップ7(S7)では、アクセル開度に対するエンジン目標駆動トルク値の増加制御を終了し、後輪目標駆動トルクの増加を終了する。
【0088】
このように駆動制御システム80は、車両がバンク状態に有る場合にそのバンク角度αの大きさに応じて、アクセル開度に対する前輪目標駆動トルクを低減させる制御を行なう。これにより運転員がバンク状態で加速操作を行なった場合でも、前輪11の駆動力によるステアリングに作用する旋回方向と逆方向のモーメントの働きを低減することができ、ステアリングの挙動変化が生ずる等の影響が緩和され、良好な旋回性能が得られる。
【0089】
また、前輪目標駆動トルクを低減させた場合、その低減分を補うように後輪目標駆動トルクを増加させる制御が実施される。これによりコーナリング走行時の旋回性を良好としつつも、車両はより力強い駆動力を得ることができる。また、前後輪全体の駆動力の増減が抑えられ、違和感のないスムーズな加速が可能となる。
【0090】
さらにECU81の演算処理手段101は、前輪駆動力の調節量を超えない範囲で、後輪駆動力を調節する。これによりコーナリング走行時にも、直立走行状態のような本来の車両駆動力に近く、過不足のない駆動力を得ることができる。
【0091】
さらに駆動制御システム80では、図に示してはいないが、車両のバンク状態での運転員の加速操作が有った場合にエンジン目標駆動トルクの増加分を基にモータ目標駆動トルクの範囲を定めることもできる。この場合、ECU81はアクセル開度に対するエンジン目標駆動トルクを決定し、このときの後輪目標駆動トルクの増加分を推定してMCU82に送り、MCU82は得られた後輪目標駆動トルクの増加分を基に、その増加分に対して充分小さい所定の範囲に前輪目標駆動トルクが収まるようにモータ目標駆動トルクの低減制御を行なう。この制御ステップを、例えば図15の駆動制御フローのステップ3(S3)とステップ4(S4)との中間に設けることで、モータ目標駆動トルクの低減制御を効果的に行うことができる。
【0092】
このようにECU81にてエンジン目標駆動トルクを決定し、後輪目標駆動トルクを制御する一方、得られた後輪目標駆動トルクの増加分の情報をMCU82でも活用し、モータ目標駆動トルクの低減制御を行なうようにすることで、エンジン側に追加センサを設けることなく前後輪の駆動力配分制御の精度を高めることができ、モータによる前輪アシスト量を大きくとることができる。
【0093】
また、本実施形態の前後輪駆動車両10では、前輪11を駆動するモータ16はバッテリを動力源としている。バッテリはその残量状態がバッテリ状態センサ97で測定される。測定されたバッテリ残量情報は駆動制御システム80のMCU82に送られる。
【0094】
駆動制御システム80では、バッテリ残量に応じて前輪11および後輪12の駆動制御が実施される。この駆動制御のフロー(2)は図16に示すように、先ずステップ8(S8)では測定されたバッテリ残量情報を基にMCU82にてバッテリ残量Cが所定値を下回るか否かの判定を行なう。
【0095】
バッテリ残量Cが所定値を下回る(Yes)場合は、ステップ9(S9)に移行し、前輪目標駆動トルクを低減させる制御を行なう。このときMCU82にてモータ目標駆動トルクを所定量低減させ、前輪目標駆動トルクを低減する制御を行なう。
【0096】
次にステップ10(S10)では、MCU82で設定されたモータ目標駆動トルク低減量を基に、エンジンへの要求駆動トルクを決定し、ECU81に送る。そしてECU81にてこのエンジンへの要求駆動トルクを用いて、エンジン目標駆動トルクを増加する方向に修正し、後輪目標駆動トルクを増加する制御を行なう。ここでMCU82によるエンジンへの要求駆動トルクの決定は、後輪目標駆動トルクの増加分が前輪目標駆動トルク低減量を上限とした範囲内に収まるように行なわれる。
【0097】
一方、ステップ8(S8)にてバッテリ残量Cが所定値を下回らない(No)場合はステップ11(S11)に移行し、ステップ9(S9)とは反対に、モータ目標駆動トルク値の低減制御を終了し、前輪目標駆動トルクの低減を終了する。
【0098】
ステップ12(S12)では、エンジン目標駆動トルク値の増加制御を終了し、後輪目標駆動トルクの増加を終了する。
【0099】
このように、駆動制御システム80では、モータ駆動用のバッテリ残量Cが所定値より少ない時は、消費電力を抑えて充電させるためにモータ目標駆動トルクを低減させて前輪11の駆動力を制限しながら、その制限分を上限に後輪12の駆動力を増加させるように、エンジン目標駆動トルクを増加させる制御を行なっている。これにより、バッテリを充電しつつ、車両全体の駆動力を一定に維持することができる。なお、上述のバッテリ残量状態に基づく駆動制御は、車両がバンク状態であっても直立走行状態であっても、実施可能である。
【0100】
本発明の実施形態では、前後輪駆動車両は、前後一輪ずつの自動二輪車の例を示したが、コーナリング時に車両がバンクして、操舵輪が傾斜状態となる構造の車両であれば、前一輪、後二輪で構成される自動三輪車両など、他のタイプの鞍乗型車両に適用することもできる。
【0101】
また、本発明の実施形態では、操舵輪の駆動源がモータで、非操舵輪の駆動源がエンジンで構成される前後輪駆動車両の例を示したが、非操舵輪の駆動源もまたモータであってもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば駆動制御システムの構成について、本発明の実施形態ではECU、MCUを一体とし、システム内部で機能分担させた例を示したが、ECU、MCUが別体に構成されていてもよい。このように駆動制御システムの内部構成や夫々の機能分担については、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0103】
10…前後輪駆動車両(自動二輪車)、11…前輪(操舵輪、駆動輪)、12…後輪(非操舵輪、駆動輪)、13…ハンドル、14…ステアリング機構、15…リンク式懸架装置(ボトムアーム式懸架装置)、16…モータ、17…スイングアーム、18…リンク式懸架装置(ボトムアーム式懸架装置)、20…カウリング、21…ウインドスクリーン、22…レッグシールド、23…ボディサイドカバー、24…リアカバー、25…シート、27…フロントフェンダ、28…ヘッドランプ、29…ウインカ、31…リアフェンダ、32…テールランプ、35…センタースタンド、36…サイドスタンド、37…運転者用ステップ、38…同伴者用ステップ、40…車体フレーム、41…ヘッドパイプ、43…ステアリングシャフト、44…フロントフォーク、45a,45b…フォーク部、46…ブリッジフレーム、47…ピボット、50…スイングアーム、51a,51b…アーム部、52…ブリッジフレーム、55…フロントショックアブソーバ、56…制動装置、57…ブレーキキャリパ、58…ブレーキディスク、59…ブレーキパット、60…モータ本体、61…モータカバー、62…インナカバー、63…モータ取付ボルト、65…ステータ、66…ロータ、67…モータ(内部)軸、67b…サンギア部、68…車輪軸、69a,69b…ベアリング、70…遊星ギア、71…遊星ギアキャリア、72a,72b…ベアリング、73…動力伝達部材、74…ホイールハブ、75…ホイールリム、76…ホイールスポーク、78…オイルシール、80…駆動制御システム、81…エンジンコントロールユニット(ECU)、82…モータコントロールユニット(MCU)、85…スロットルポジションセンサ、86…吸気圧センサ、87…Oセンサ、88…燃料噴射(FI)システム各種センサ、90…ギアポジションセンサ、92…アクセルポジションセンサ、94…モータホールセンサ、95…車両ジャイロセンサ、96…車両加速度センサ、97…バッテリ状態センサ。
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