(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直流電流を交流電流に変換するパワー半導体モジュールと、前記直流電流を平滑化するコンデンサモジュールと、前記パワー半導体モジュール及び前記コンデンサモジュールを収容する筐体と、を備え、
前記コンデンサモジュールは、
コンデンサケースの内部に封止された樹脂部と、
前記樹脂部に埋設されたコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子とともに前記樹脂部に埋設され、冷却媒体が内部を循環するコンデンサ用冷却管と、を備えていることを特徴とする電力変換装置。
前記コンデンサ用冷却管は、U字形状に形成され、前記冷却媒体が流入する流入口と、前記冷却媒体が排出される排出口とが同一方向で開口していることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第6実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す第1〜第6実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
[第1実施形態の電力変換装置]
以下、本発明の一態様に係る第1実施形態の電力変換装置について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の電力変換装置1は、筐体2と、筐体2の底面に着脱自在に固定された冷却器3とを備えている。
筐体2の内部には、
図2から
図4で示すように、冷却器3に接合された3つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)モジュール10U、10V、10Wと、これらIGBTモジュール10U、10V、10Wを駆動する駆動回路等が実装された制御回路基板11と、コンデンサモジュール12と、直流入力コネクタ13と、交流出力コネクタ14とが収納されている。
【0010】
[筐体]
筐体2は、
図1に示すように、筐体ケース4、カバー5、ガスケット6で構成されている。
筐体ケース4は、アルミニウム、又はアルミニウム合金を射出成形することで形成されている。この筐体ケース4は、
図3に示すように、底部4aと、底部4aの全周から立ち上がる側壁部4bと、側壁部4bの上端で開口する多角形状の上部開口部4c、とを備えている。この筐体ケース4は、
図3において左右方向に長尺な部材であり、上部開口部4cをガスケット6を介してカバー5で閉塞すると、長尺方向中央に平面視長方形状の収納空間S1が形成され、長手方向の両端に、収納空間S1より狭い収納空間S2,S3が形成される。
【0011】
図2に示すように、筐体ケース4の側壁部4bの上端には、取付けフランジ7が外側に突出して形成されており、取付けフランジ7の所定箇所に、ねじ部材35が螺合するねじ孔(不図示)が形成されている。
図3に示すように、筐体ケース4の底部4aには、収納空間S1で開口する長方形状のIGBTモジュール用開口部8が形成されている。このIGBTモジュール用開口部8の長尺方向は、底部4aの短尺方向(
図3の奥行き方向)に延在して形成され、IGBTモジュール用開口部8の長尺方向の両端部は、側壁部4bの下端まで開口している。
【0012】
また、IGBTモジュール用開口部8の一方の長辺側縁部に沿う底部4aに所定間隔をあけて複数の第1雌ねじ部25が形成されているとともに、IGBTモジュール用開口部8の他方の長辺側縁部に沿う底部4aに所定間隔をあけて複数の第2雌ねじ部26が形成されている。
カバー5は、
図1に示すように、アルミニウム、又はアルミニウム合金を材料とし、筐体ケース4の取付けフランジ7の外周形状と同一形状で形成された板状部材であり、筐体ケース4の取付けフランジ7に形成したねじ孔に対応する位置に、ねじ挿通孔(不図示)が形成されている。
ガスケット6は、
図4に示すように、取付けフランジ7と同一形状に形成され、取付けフランジ7のねじ孔に対応する位置にねじ挿通孔(不図示)が形成されている。
【0013】
[冷却器]
冷却器3は、アルミニウム、又はアルミニウム合金を材料として形成した部材であり、
図1及び
図4に示すように、冷却水供給口15a及び冷却水排出口15bを備えて内部を冷却水が循環し、平坦面で長方形状の接合面15cを設けたブロック状の冷却器本体15と、接合面15cの一対の長辺から外方に突出し、所定間隔のねじ挿通孔を設けた板状の一対の固定部(不図示)とで構成されている。
【0014】
[IGBTモジュール]
図5で示すIGBTモジュール10Uは、外観が直方体形状の樹脂パッケージ17に、図示しない上アーム半導体チップ、上アーム用配線パターン部、上アーム配線用導体板、下アーム半導体チップ、下アーム用配線パターン部、下アーム配線用導体板及び接地用配線パターン部などが埋め込まれている。
樹脂パッケージ17の第1の側面17aには、上アーム用配線パターン部を介して上アーム半導体チップのコレクタに接続した正極側接続端子18と、接地用配線パターン部と下アーム配線用導体板を介して下アーム半導体チップのエミッタに接続した負極側接続端子19とが外方に突出し、第1の側面17aに対して裏面の第2の側面17bには、下アーム用配線パターン部と上アーム配線用導体板を介して上アーム半導体チップのエミッタ及び下アーム半導体チップのコレクタに接続した出力端子20が外方に突出している。
また、樹脂パッケージ17の上面には、上アーム用の複数の制御電極(後述するゲート電極、エミッタ電流センス電極や温度検出用電極など)に接続する複数本の上アーム用リードフレーム21と、下アーム用の複数の制御電極に接続する複数本の下アーム用リードフレーム22が上方に突出して設けられている。
他の2つのIGBTモジュール10V、10Wも、IGBTモジュール10Uと同一構成を有している。
【0015】
図6は、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wの等価回路を示すものであり、正極側接続端子18と負極側接続端子19との間に、上アームを構成する逆導通IGBTモジュールQUと、下アームを構成する逆導通IGBTモジュールQLとが直列に接続され、逆導通IGBTモジュールQUと逆導通IGBTモジュールQLとの間に出力端子20が設けられている。ここで、符号21gが逆導通IGBTモジュールQUのゲート電極であり、符号21esが逆導通IGBTモジュールQUのエミッタ電流センス電極であり、符号22gが逆導通IGBTモジュールQUのゲート電極であり、符号22esが逆導通IGBTモジュールQLのエミッタ電流センス電極である。
【0016】
[コンデンサモジュール]
コンデンサモジュール12は、
図3に示すように、筐体2の筐体ケース4の底部4aのIGBTモジュール用開口部8に隣接し、底部4aの短尺方向(
図3の奥行き方向)に延在して配置される装置であり、
図7に示すように、直方体形状の装置である。
このコンデンサモジュール12は、
図7及び
図8で示すように、上面が開口した直方体箱形状のコンデンサケース40と、コンデンサケース40の内部に封止された樹脂部41と、樹脂部41に埋設されたコンデンサ素子42と、を備えた装置であり、このコンデンサモジュール12の樹脂部41に、銅、銅合金、或いはステンレス合金からなる直線状の冷却管43が1本埋設されている。
【0017】
コンデンサケース40は、ポリフェニレン・サルファイト(PPS)樹脂を材料として形成された上面が開口した直方体形状の箱体である。
コンデンサケース40の長辺側壁40aには、2箇所のスリット40a1,40a2が形成されている。これらスリット40a1,40a2に、コンデンサ素子42に一体化されたブスバー44a,44bが、コンデンサケース40の内部から挿通され、外部に突出している。
コンデンサケース40の一対の短辺側壁40b,40cの各々には、管挿通穴40b1が形成されている(短辺側壁40cに形成されている管挿通穴は図示していない)。これら一対の短辺側壁40b,40cの管挿通穴40b1に冷却管43が挿通されているとともに、この冷却管43の両端部は一対の短辺側壁40b,40cから突出している。
【0018】
コンデンサモジュール12の製造方法は、コンデンサケース40の内部にコンデンサ素子42を収容し(スリット40a1,40a2にブスバー44a,44bを内部から挿通する)、一対の短辺側壁40b,40cの管挿通穴40b1に冷却管43を挿通した後、液状のPPS樹脂をコンデンサケース40の上面の開口部から流し込む。そして、PPS樹脂が固化することで、コンデンサケース40に封止された樹脂部41がコンデンサ素子42及び冷却管43を埋設した状態でコンデンサモジュール12が製造される。
冷却管43は、符号43aが冷却水供給口、符号43bが冷却水排出口であり、冷却水供給口43aから供給された冷却水が冷却水排出口43bに向けて流れる。
【0019】
[第1実施形態の電力変換装置の組み立て]
3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wは、冷却器3の接合面15cに、焼結処理による金属焼結材やはんだにより接合される。
冷却器3に一体化された3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wは、筐体ケース4のIGBTモジュール用開口部8に底部4a側から挿入され、筐体ケース4の収納空間S1にIGBTモジュール10U、10V、10Wを配置する。そして、IGBTモジュール用開口部8の一対の長辺側縁部に沿う底部4aに冷却器3の固定部を当接し、底部4aの第1雌ねじ部25及び第2雌ねじ部26に、冷却器3の一対の固定部のねじ挿通孔を対応させ、ねじ挿通孔を通過させたねじ部材30(
図3参照)を、第1雌ねじ部25及び第2雌ねじ部26に螺合する。
【0020】
これにより、冷却器3は、筐体ケース4の収納空間S1にIGBTモジュール10U、10V、10Wを配置した状態で筐体ケース4の底部4aに着脱自在に外付けされる。
そして、
図3及び
図4に示すように、筐体ケース4の収納空間S1を横切るように、交流出力端子台29,31、基板保持板32が固定され、交流出力端子台31及び基板保持板32の上部に制御回路基板11が支持される。これにより、制御回路基板11は、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wの上方位置で収納空間S1に配置される。
図4に示すように、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wの上面から突出している上アーム用リードフレーム21、下アーム用リードフレーム22は、基板保持板32を通過して制御回路基板11のランドを有するスルーホール(不図示)に挿通され、上アーム用リードフレーム21、下アーム用リードフレーム22とスルーホールの間が半田付けされる。
【0021】
また、
図3に示すように、筐体ケース4の収納空間S1に、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wに隣接してコンデンサモジュール12が配置され、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wの正極側接続端子18及び負極側接続端子19とコンデンサモジュール12の正負の電極が接続される。
また、筐体ケース4の収納空間S2に交流出力コネクタ14が配置され、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wの出力端子20と交流出力コネクタ14とが、ブスバー33を介して接続されている。なお、ブスバー33は、筐体ケース4の収納空間S1に配置した交流出力端子台29,31で支持されている。
【0022】
さらに、筐体ケース4の収納空間S3に、直流入力端子台28及び直流入力コネクタ13が配置され、この直流入力コネクタ13とコンデンサモジュール12とがブスバー44a,44bを介して接続されている。なお、ブスバー44a,44bは、直流入力端子台28の上部で支持されている。
ここで、コンデンサモジュール12に一体化されている冷却管43の一端側は、
図1及び
図2に示すように、筐体ケース4の側壁部4bに形成した溝部45を通過して筐体ケース4の外部に突出している。
すなわち、
図9(a)に示すように、筐体ケース4には、取付けフランジ7及び側壁部4bを切り欠くことで、冷却管43の外径より大きな幅を有する溝部45が形成されている。また、冷却管43の外周には弾性ブッシュ46が装着されており、この弾性ブッシュ46が溝部45に嵌まり込んだ状態で、冷却管43が筐体ケース4の外部に突出している。なお、
図1及び
図2では図示していないが、冷却管43の他端側も同一の構造とされている。
【0023】
そして、
図4に示すように、筐体ケース4の取付けフランジ7にガスケット6を載せ、ガスケット6上にカバー5の外周縁部を載せ、カバー5のねじ挿通孔及びガスケット6のねじ挿通孔に挿通したねじ部材35を、取付けフランジ7のねじ孔に螺合することで、筐体ケース4の上部開口部が閉塞される。
ここで、9(b)に示すように、筐体ケース4の溝部45に嵌まり込んでいる弾性ブッシュ46は、筐体ケース4の取付けフランジ7にガスケット6を介してカバー5の外周縁部が当接することで、溝部45の内部で圧縮された状態となる。
これにより、筐体2に収納されたIGBTモジュール10U、10V、10W、制御回路基板11、コンデンサモジュール12、直流入力コネクタ13及び交流出力コネクタ14に対して、外気との液密封止が施される。
【0024】
[第1実施形態の電力変換装置の動作]
この状態で、外部のコンバータ(図示せず)から直流入力コネクタ13を介して直流電力が供給され、コンデンサモジュール12で直流電流の平滑化が行われる。そして、制御回路基板11から例えばパルス幅変調信号でなるゲート信号をIGBTモジュール10U、10V、10Wに供給する。すなわち、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wに対して120度ずれたゲート信号でオン・オフ制御することにより、U相、V相及びW相の3相交流が交流出力コネクタ14を介して負荷に出力される。
【0025】
このように、3つのIGBTモジュール10U、10V、10Wが動作状態となると、各IGBTモジュール10U、10V、10Wの樹脂パッケージ17に埋め込まれている上アーム半導体チップ、下アーム半導体チップが発熱状態となる。
また、直流電流の平滑動作を行っているコンデンサモジュール12は、樹脂部41に埋設されているコンデンサ素子42が発熱状態となる。
上アーム半導体チップ、下アーム半導体チップの発熱は、IGBTモジュール10U、10V、10Wが冷却器3の冷却器本体15の接合面15cに接合されているので、冷却器本体15に熱伝導される。そして、冷却器本体15に伝熱された熱は、冷却器3の冷却水供給口15aから供給され、内部を循環して冷却水排出口15bから排出される冷却水により冷却される。
【0026】
コンデンサ素子42の発熱は、コンデンサ素子42を埋設している樹脂部41に熱電導される。そして、樹脂部41に熱電導された熱は、コンデンサ素子42とともに樹脂部41に埋設されている冷却管43の冷却水供給口43aから供給され、冷却水排出口43bから排出される冷却水により冷却される。このように、樹脂部41に冷却管43とともに埋設されているコンデンサ素子42は、効率良く冷却される。
ここで、本発明に係るパワー半導体モジュールがIGBTモジュール10U、10V、10Wに対応し、本発明に係る筐体が筐体ケース4に対応し、本発明に係るコンデンサ用冷却管が冷却管43に対応し、本発明に係る流入口が冷却水供給口43aに対応し、本発明に係る排出口が冷却水排出口43bに対応している。
【0027】
[第1実施形態の電力変換装置の効果]
次に、第1実施形態の電力変換装置1の効果について説明する。
コンデンサ素子42の発熱は、コンデンサ素子42を埋設している樹脂部41に熱電導され、コンデンサ素子42とともに樹脂部41に埋設されている冷却管43内部を流れる冷却水で冷却されるので、コンデンサ素子42を効率良く冷却することができる。
また、冷却管43は、コンデンサ素子42とともに樹脂部41に埋設されているので、樹脂部41を封止するコンデンサケース40を小型の容器として形成することができ、電力変換装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0028】
[第2実施形態の電力変換装置]
次に、本発明の一態様に係る第2実施形態のコンデンサモジュール50について、
図10及び
図11を参照して説明する。なお、
図1から
図9で示した第1実施形態の電力変換装置と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
第2実施形態のコンデンサモジュール50は、樹脂部41に、U字形状の冷却管51が1本埋設されている。
この冷却管51は、銅、銅合金、或いはステンレス合金で形成され、曲がり部52と、この曲がり部52に接続している一対の平行部53,54とを備えた管である。
この冷却管51の一対の平行部53,54は、一方の短辺側壁40bに形成した管挿通穴40b1,40b2から外部に突出している。
また、この冷却管51の曲がり部52は、他方の短辺側壁40cの外側に突出して配置されている。
【0029】
コンデンサモジュール50の製造方法は、コンデンサケース40の内部にコンデンサ素子42を配置し、コンデンサ素子42の上部に冷却管51を配置し、液状のPPS樹脂をコンデンサケース40の上面の開口部から流し込む。そして、PPS樹脂が固化することで、コンデンサケース40に封止された樹脂部41がコンデンサ素子42及び冷却管51を埋設した状態でコンデンサモジュール12が製造される。
冷却管51は、符号53aが冷却水供給口、符号54aが冷却水排出口であり、冷却水供給口53aから供給された冷却水が冷却水排出口54aに向けて流れる。
【0030】
ここで、第2実施形態のコンデンサモジュール50に一体化された冷却管51の平行部53,54の冷却水供給口53a側及び冷却水排出口54a側の端部は、図示しないが、
図9で示した弾性ブッシュ46を装着した状態で、筐体ケース4の側壁部4bに形成した溝部45に嵌め込む。そして、筐体ケース4にカバー5を装着し、溝部45内部の弾性ブッシュ46が圧縮されることで、平行部53,54の端部が固定される。
なお、本発明に係るコンデンサ用冷却管がU字形状の冷却管51に対応し、本発明に係る流入口が冷却水供給口53aに対応し、本発明に係る排出口が冷却水排出口54aに対応している。
【0031】
第2実施形態のコンデンサモジュール50によると、第1実施形態の冷却管43と比較して約2倍の冷却路(冷却管51を構成する平行部53,54)が樹脂部41に埋設されているので、樹脂部41に熱電導されたコンデンサ素子42の発熱は、平行部53,54内部を流れる冷却水で冷却され、さらにコンデンサ素子42の冷却を効率良く行うことができる。
また、冷却管51は、コンデンサ素子42とともに樹脂部41に埋設されているので、樹脂部41を封止するコンデンサケース40を小型の容器として形成することができ、電力変換装置の小型化、軽量化を図ることができる。
さらに、冷却管51の冷却水供給口53a及び冷却水排出口54aが同一方向で開口しているので、冷却水供給口53a及び冷却水排出口54aと冷却水を循環する装置(不図示)との接続を、部品点数を削減しながら容易に行うことができる。
【0032】
[第3実施形態の電力変換装置]
次に、本発明の一態様に係る第3実施形態のコンデンサモジュール60について、
図12及び
図13を参照して説明する。
第3実施形態のコンデンサモジュール60は、樹脂部41に、U字形状の冷却管61が1本埋設されている。
この冷却管61は銅、銅合金、或いはステンレス合金で形成され、曲がり部62と、この曲がり部62に接続している一対の平行部63,64とを備えた管であり、曲がり部62は、樹脂部41に埋設されている。
また、冷却管61の一対の平行部63,64は、一方の短辺側壁40bに形成した管挿通穴40b1,40b2から外部に突出している。
【0033】
コンデンサモジュール50の製造方法は、コンデンサケース40の内部にコンデンサ素子42を配置し、コンデンサ素子42の上部に冷却管51を配置し、液状のPPS樹脂をコンデンサケース40の上面の開口部から流し込む。そして、PPS樹脂が固化することで、コンデンサケース40に封止された樹脂部41がコンデンサ素子42及び冷却管51を埋設した状態でコンデンサモジュール12が製造される。
冷却管61は、符号63aが冷却水供給口、符号64aが冷却水排出口であり、冷却水供給口63aから供給された冷却水が冷却水排出口64aに向けて流れる。
【0034】
第3実施形態のコンデンサモジュール60に一体化された冷却管61の平行部63,64の冷却水供給口63a側及び冷却水排出口64a側の端部も、図示しないが、
図9で示した弾性ブッシュ46を装着した状態で、筐体ケース4の側壁部4bに形成した溝部45に嵌め込む。そして、筐体ケース4にカバー5を装着し、溝部45内部の弾性ブッシュ46が圧縮されることで、平行部53,54の端部が固定される。
なお、本発明に係るコンデンサ用冷却管がU字形状の冷却管61に対応し、本発明に係る流入口が冷却水供給口63aに対応し、本発明に係る排出口が冷却水排出口64aに対応し、本発明に係る曲げられている部位が曲がり部62に対応している。
【0035】
第3実施形態のコンデンサモジュール60によると、第2実施形態の冷却管51と比較して曲がり部62が樹脂部41に埋設されているので、樹脂部41に熱電導されたコンデンサ素子42の発熱は、平行部63、曲がり部62及び平行部64内部を流れる冷却水で冷却され、さらにコンデンサ素子42の冷却を効率良く行うことができる。
また、冷却管61の曲がり部62、平行部63、64が樹脂部41に埋設されているので、コンデンサケース40をさらに小型の容器として形成することができ、電力変換装置の小型化、軽量化を図ることができる。
さらに、冷却管61の冷却水供給口63a及び冷却水排出口64aが同一方向で開口しているので、冷却水供給口63a及び冷却水排出口64aと冷却水を循環する装置との接続を、部品点数を削減しながら容易に行うことができる。
【0036】
[第4実施形態の電力変換装置]
次に、本発明の一態様に係る第4実施形態のコンデンサモジュール70について、
図14を参照して説明する。
第4実施形態のコンデンサモジュール70は、
図1から
図9で示した第1実施形態のコンデンサモジュール12を構成している直線状の冷却管43を2本使用し、これらを樹脂部41に埋設したものである。
第4実施形態のコンデンサモジュール70を使用すると、コンデンサ素子42の発熱は、コンデンサ素子42を埋設している樹脂部41に熱電導され、コンデンサ素子42とともに樹脂部41に埋設されている2本の冷却管43内部を流れる冷却水で冷却されるので、コンデンサ素子42をさらに効率良く冷却することができるとともに、2本の冷却管43は、コンデンサ素子42とともに樹脂部41に埋設されているので、樹脂部41を封止するコンデンサケース40を小型の容器として形成することができ、電力変換装置の小型化、軽量化を図ることができる。
なお、
図14では、2本の冷却管43を樹脂部41に埋設した構造としたが、3本以上の冷却管43を樹脂部41に埋設してもよい。
【0037】
[第5実施形態の電力変換装置]
また、本発明の一態様に係る第5実施形態のコンデンサモジュール80について、
図15及び
図16を参照して説明する。
第5実施形態のコンデンサモジュール80は、
図12及び
図13で示した第3実施形態のコンデンサモジュール60を構成しているU字形状の冷却管61を2本使用し、これらを樹脂部41に埋設したものである。
第5実施形態のコンデンサモジュール80を使用すると、第3実施形態のコンデンサモジュール60と比較して、さらにコンデンサ素子42の冷却を効率良く行うことができとともに、電力変換装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0038】
ここで、コンデンサモジュール80に一体化されている2本のU字形状の冷却管61は、
図16に示すように、筐体ケース4の側壁部4bに形成した溝部81を通過して筐体ケース4の外部に突出している。
すなわち、
図9(a)に示すように、筐体ケース4には、取付けフランジ7及び側壁部4bを切り欠くことで、冷却管61の外径より大きな幅を有する溝部81が形成されている。また、コンデンサモジュール80の上部の冷却管61の平行部63と、下部の冷却管61の平行部63との外周には弾性ブッシュ82が装着されており、この弾性ブッシュ82が溝部81に嵌まり込んだ状態で、2本の平行部63が筐体ケース4の外部に突出している。なお、図示していないが、コンデンサモジュール80の上部の冷却管61の他方の平行部64と、下部の冷却管61の他方の平行部64も同一の構造とされている。
【0039】
そして、筐体ケース4の取付けフランジ7にガスケット6を載せ、ガスケット6上にカバー5の外周縁部を載せ、カバー5のねじ挿通孔及びガスケット6のねじ挿通孔に挿通したねじ部材35を、取付けフランジ7のねじ孔に螺合することで、筐体ケース4の上部開口部を閉塞すると、
図16(b)に示すように、筐体ケース4の溝部81に嵌まり込んでいる弾性ブッシュ82は、筐体ケース4の取付けフランジ7にガスケット6を介してカバー5の外周縁部が当接することで、溝部81の内部で圧縮された状態となる。
これにより、コンデンサモジュール80に一体化されている2本のU字形状の冷却管61は、外気との液密封止が施された状態で筐体ケース4の側壁部4bに固定される。
なお、
図15及び
図16では、2本の冷却管61を樹脂部41に埋設した構造としたが、3本以上の冷却管61を樹脂部41に埋設してもよい。
【0040】
[第6実施形態の電力変換装置]
さらに、本発明の一態様に係る第6実施形態の電力変換装置90について、
図17を参照して説明する。
第6実施形態の電力変換装置90は、冷却器3の冷却水排出口15bと、冷却管43の冷却口供給口43aとが接続管91を介して接続されている。
この電力変換装置90は、冷却器3の冷却水供給口15aから供給された冷却水は、冷却器3の内部を循環して冷却水排出口15bから一端排出された後、接続管91を介して冷却水供給口43aから冷却管43の内部に流れ込み、冷却水排出口43bから排出される。
このように、第6実施形態の電力変換装置90は、冷却器3の冷却水供給口15aから冷却管43の冷却水排出口43bまで冷却水が連続して流れることで、IGBTモジュール10U、10V、10Wの樹脂パッケージ17に埋め込まれている上アーム半導体チップ、下アーム半導体チップの冷却、コンデンサモジュール12のコンデンサ素子42の冷却を行っているので、冷却水を循環させる装置の簡素化を図ることができる。