特許第6604221号(P6604221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604221
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】駆動装置、定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/22 20060101AFI20191031BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20191031BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20191031BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20191031BHJP
   F16D 3/04 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   F16H1/22
   G03G21/16 147
   G03G15/20 535
   B65H5/06 J
   F16D3/04 A
   F16D3/04 Z
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-18816(P2016-18816)
(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公開番号】特開2017-137927(P2017-137927A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】高野 正人
(72)【発明者】
【氏名】大西 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇史
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−102129(JP,A)
【文献】 米国特許第2920497(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/22
B65H 5/06
F16D 3/04
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動源と、
第2駆動源と、
前記第1駆動源から駆動力が伝達される第1ギヤーと、
前記第2駆動源から駆動力が伝達される第2ギヤーと、
前記第1ギヤーおよび前記第2ギヤーと噛み合う第3ギヤーと、
前記第3ギヤーを軸支し、中心が前記第1ギヤーの回転中心および前記第2ギヤーの回転中心と一直線上に配置された固定軸と、を備え、
前記第3ギヤーには、前記固定軸が通され、かつ、前記第1ギヤー、前記第2ギヤーおよび前記第3ギヤーの偏心を吸収する径の孔が形成されている、
駆動装置。
【請求項2】
前記孔の径は、前記第1ギヤー、前記第2ギヤーおよび前記第3ギヤーの偏心量に基づいて設定される、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第3ギヤーは、前記第3ギヤーが駆動力を伝達する負荷から受けるトルクの方向が、前記第3ギヤーが前記第1ギヤーおよび前記第2ギヤーから受けるトルクの方向のそれぞれに直交するように配置されている、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第3ギヤーは、カップリング部材を介して負荷に駆動力を伝達する、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1および第2駆動源は、DCモーターである、
請求項1〜4の何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1および第2駆動源の一方は、DCモーターであり、
前記第1および第2駆動源の他方は、ステッピングモーターである、
請求項1〜4の何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
第1駆動源と、
第2駆動源と、
前記第1駆動源から駆動力が伝達される第1ギヤーと、
前記第2駆動源から駆動力が伝達される第2ギヤーと、
前記第1ギヤーおよび前記第2ギヤーと噛み合う第3ギヤーと、
前記第3ギヤーを軸支し、中心が前記第1ギヤーの回転中心および前記第2ギヤーの回転中心と一直線上に配置された固定軸と、を備え、
前記第3ギヤーには、前記固定軸が通され、かつ、前記第1ギヤー、前記第2ギヤーおよび前記第3ギヤーの偏心を吸収する径の孔が形成されている、
定着装置。
【請求項8】
第1駆動源と、
第2駆動源と、
前記第1駆動源から駆動力が伝達される第1ギヤーと、
前記第2駆動源から駆動力が伝達される第2ギヤーと、
前記第1ギヤーおよび前記第2ギヤーと噛み合う第3ギヤーと、
前記第3ギヤーを軸支し、中心が前記第1ギヤーの回転中心および前記第2ギヤーの回転中心と一直線上に配置された固定軸と、を備え、
前記第3ギヤーには、前記固定軸が通され、かつ、前記第1ギヤー、前記第2ギヤーおよび前記第3ギヤーの偏心を吸収する径の孔が形成されている、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体ドラム(像担持体)に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムへ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を直接または間接的に用紙に転写させた後、定着ニップで加熱、加圧して定着させることにより用紙にトナー像を形成する。
【0003】
ところで、例えばプロダクションプリント市場向けの画像形成装置では、高速化が進められており、特に定着部における定着ローラーを駆動するための駆動源(例えばDC(Direct Current)モーター)においては、高出力化が必要とされている。このような駆動源は、その必要となる出力に応じて都度設計されているのが一般的であり、専用品となることが多い。そのため、駆動源の金型費を含めた設計コストとそれに見合う生産台数に乖離がでてきており、駆動源の生産コストを削減することが急務となっている。
【0004】
また、用紙の搬送駆動に用いられる駆動源としては、高精度な位置決めを行うステッピングモーターが用いられる。しかし、厚紙印刷や用紙の高速搬送を実現するためにさらなる高出力化をする場合、ステッピングモーターの出力を高くすると、ステッピングモーターにおけるイナーシャーが大きくなるので、精度の高い位置決めが困難になる。このような駆動源において、高出力化に対応するためにDCモーターを用いると、ステッピングモーターと同等の位置決め精度を達成するための手法の確立が必要になるので、駆動源の高出力化の実現には課題がある。
【0005】
駆動源における高出力化を実現するために、例えば特許文献1には、複数の駆動源を用いて高出力化を可能にした駆動装置が開示されている。図1は、2つの駆動源M1,M2を用いた駆動装置におけるギヤー機構を示す図である。
【0006】
例えば、図1に示すように、2つの駆動源M1,M2を用いて高出力化をする構成の場合、2つの駆動源M1,M2の軸X1,X2に接続された第1駆動ギヤーG1および第2駆動ギヤーG2がアイドルギヤーG3に噛み合うことで、アイドルギヤーG3に2つの駆動源M1,M2からの駆動力が伝達される。これにより、アイドルギヤーG3は、2つの駆動源M1,M2の駆動力が合算された駆動力を出力することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−41747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ギヤーは、その外形が正円軌道を描かずに楕円軌道を描く偏心運動をする場合がある。ギヤーにおける偏心は、例えば、駆動源の駆動軸と駆動源の回転中心位置のずれ、駆動源の駆動軸の倒れ、ギヤーを軸支する軸の固定位置とギヤーの回転中心のずれ、ギヤーを軸支する軸の倒れ、ギヤーの軸穴の中心位置とギヤーの回転中心のずれ、およびギヤーの軸穴の倒れ等により発生する。
【0009】
特許文献1に記載の構成では、各ギヤーに偏心がない場合、各ギヤーが噛み合う位置が変動しないので、各駆動ギヤーとアイドルギヤーとが噛み合う部分において発生するトルクが一定となる。それに対し、各ギヤーのうち少なくとも一つのギヤーに偏心があると、各駆動ギヤーとアイドルギヤーの噛み合う位置が変動して、各駆動ギヤーとアイドルギヤーとが噛み合う部分において発生するトルクが一定とならない。
【0010】
例えば、図1の構成において、第2駆動ギヤーG2のみが偏心したものである場合、第2駆動ギヤーG2の偏心の影響により、第2駆動ギヤーG2とアイドルギヤーG3とが噛み合う位置が上下に変動する。当該位置が変動することで、第2駆動ギヤーG2とアイドルギヤーG3とが噛み合う部分で発生するトルクBが、第2駆動ギヤーG2の位置によって異なってしまう。
【0011】
また、各駆動源は、回転速度を一定に保とうとするため、図1のような複数の駆動ギヤーをアイドルギヤーに噛ませる構成だと、各ギヤーが噛み合う部分で発生する総トルクを一定に保とうとする。そのため、トルクBが変動してしまうと、第1駆動ギヤーG1とアイドルギヤーG3が噛み合う部分で発生するトルクAも変動してしまう。図1では、トルクBがトルクAよりも大きくなる位置に第2駆動ギヤーG2が位置する例を示しいている。
【0012】
このように特許文献1に記載された構成は、各ギヤーの偏心に対する感度が高く、各ギヤーに偏心があると、各ギヤーが噛み合う部分でのトルクのバランスが悪くなり、アイドルギヤーにおける出力が変動してしまうおそれがあった。
【0013】
具体的には、例えば、図1の構成において2つの駆動源を同じ種類のもの(例えば、DCモーター)とする場合、偏心したギヤーの位置によっては、アイドルギヤーG3における出力が不足してしまうおそれがあった。また、一方の駆動源をステッピングモーターとし、他方の駆動源を例えばDCモーターとする場合、偏心したギヤーの位置によってはステッピングモーター側に過度の負荷がかかってしまい、ステッピングモーターが脱調してしまうおそれがあった。
【0014】
本発明の目的は、ギヤーに偏心があっても出力が変動するのを抑制することで、高出力を実現することが可能な駆動装置、当該駆動装置を備えた定着装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る駆動装置は、
第1駆動源と、
第2駆動源と、
前記第1駆動源から駆動力が伝達される第1ギヤーと、
前記第2駆動源から駆動力が伝達される第2ギヤーと、
前記第1ギヤーおよび前記第2ギヤーと噛み合う第3ギヤーと、
前記第3ギヤーを軸支し、中心が前記第1ギヤーの回転中心および前記第2ギヤーの回転中心と一直線上に配置された固定軸と、を備え、
前記第3ギヤーには、前記固定軸が通され、かつ、前記第1ギヤー、前記第2ギヤーおよび前記第3ギヤーの偏心を吸収する径の孔が形成されている。
【0016】
本発明に係る定着装置は、
第1駆動源と、
第2駆動源と、
前記第1駆動源から駆動力が伝達される第1ギヤーと、
前記第2駆動源から駆動力が伝達される第2ギヤーと、
前記第1ギヤーおよび前記第2ギヤーと噛み合う第3ギヤーと、
前記第3ギヤーを軸支し、中心が前記第1ギヤーの回転中心および前記第2ギヤーの回転中心と一直線上に配置された固定軸と、を備え、
前記第3ギヤーには、前記固定軸が通され、かつ、前記第1ギヤー、前記第2ギヤーおよび前記第3ギヤーの偏心を吸収する径の孔が形成されている。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、
第1駆動源と、
第2駆動源と、
前記第1駆動源から駆動力が伝達される第1ギヤーと、
前記第2駆動源から駆動力が伝達される第2ギヤーと、
前記第1ギヤーおよび前記第2ギヤーと噛み合う第3ギヤーと、
前記第3ギヤーを軸支し、中心が前記第1ギヤーの回転中心および前記第2ギヤーの回転中心と一直線上に配置された固定軸と、を備え、
前記第3ギヤーには、前記固定軸が通され、かつ、前記第1ギヤー、前記第2ギヤーおよび前記第3ギヤーの偏心を吸収する径の孔が形成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ギヤーに偏心があっても出力が変動するのを抑制することで、高出力を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】2つの駆動源を用いた駆動装置におけるギヤー機構を示す図である。
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図3】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
図4】駆動部を簡略的に示す図である。
図5】各ギヤーを駆動源側から見た図である。
図6】時間に対する各駆動源のPWM出力の時間変化を示す図である。
図7】第1ギヤーを第3ギヤーの真上に配置した構成を示す図である。
図8図7の構成における各駆動源のPWM出力の時間変化を示す図である。
図9】第1ギヤー、第2ギヤー、第3ギヤーおよび定着ギヤーを駆動源側から見た図である。
図10】変形例1に係る駆動部を簡略的に示す図である。
図11】変形例2に係る駆動部を簡略的に示す図である。
図12】カップリング部材の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図3は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0021】
図2、3に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0022】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0023】
画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、駆動部90および制御部100を備える。
【0024】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0025】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0026】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0027】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0028】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0029】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0030】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0031】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0032】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、またはKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0033】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
【0034】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0035】
帯電装置414は、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0036】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0037】
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412は、現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム413に供給することによって感光体ドラム413の表面にトナー像を形成する。
【0038】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0039】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
【0040】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421はA方向に一定速度で走行する。中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
【0041】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0042】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0043】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0044】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり、一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0045】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、バックアップローラー423Bに二次転写バイアスを印加し、用紙Sの表面側、つまり、中間転写ベルト421と当接する側にトナーと同極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。
【0046】
定着部60は、用紙Sの定着面であるトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面である定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。定着部60は、本発明の「定着装置」に対応する。
【0047】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0048】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
【0049】
加熱ローラー62は、加熱源(ハロゲンヒーター)を内蔵し、定着ベルト61を加熱する。加熱源によって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。
【0050】
定着ローラー63は、制御部100によって駆動部90が制御されることで時計回り方向に回転する。定着ローラー63が回転することにより、定着ベルト61および加熱ローラー62は、時計回り方向に従動回転する。駆動部90については後述する。
【0051】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。加圧ローラー64は、制御部100によって駆動制御されることで反時計回り方向に回転する。
【0052】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
【0053】
搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対等を有する。給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0054】
次に、駆動部90の詳細について説明する。
図4は、駆動部90を簡略的に示す図であり、図5は、各ギヤーを各駆動源側から見た図である。
【0055】
図4および図5に示すように、駆動部90は、定着ローラー63を駆動するためのものであり、基板91と、第1駆動源92と、第2駆動源93と、第1ギヤー94と、第2ギヤー95と、第3ギヤー96とを備えている。基板91には、第3ギヤー96を軸支するための固定軸91Aが設けられている。
【0056】
第1駆動源92および第2駆動源93は、例えば、汎用のDCモーターであり、基板91に固定されている。第1駆動源92、固定軸91Aおよび第2駆動源93は、図示左側からこの順に並んでいる。
【0057】
第1駆動源92の駆動軸92Aには、第1ギヤー94が接続されており、第2駆動源93の駆動軸93Aには、第2ギヤー95が接続されている。各駆動軸92A,93Aおよび固定軸91Aの各中心は、図示左右方向に平行な線H上に位置している(図5を参照)。言い換えると、第1ギヤー94の回転中心、第2ギヤー95の回転中心および固定軸91Aの中心は、一直線上に配置されている。
【0058】
第3ギヤー96は、第1駆動源92および第2駆動源93からの駆動力を定着ローラー63に伝達するためのギヤーであり、第1ギヤー94、第2ギヤー95および定着ローラー63の軸63Aに接続された定着ギヤー63Bと噛み合っている。定着ギヤー63Bは、本発明の「負荷」に対応し、駆動部90および定着ギヤー63Bは、本発明の「駆動装置」に対応する。
【0059】
図5に示すように、第3ギヤー96の中心には、固定軸91Aが通される孔96Aが形成されている。孔96Aの径は、第1ギヤー94、第2ギヤー95および第3ギヤー96の偏心を吸収する大きさとなっている。孔96Aの径は、例えば、固定軸91Aの径に固定軸91Aに対する公差を加えた値よりも大きくなっている。すなわち、孔96Aは、固定軸91Aに対してはめあいガタを有して第3ギヤー96に形成されている。
【0060】
また、孔96Aの径は、第1ギヤー94、第2ギヤー95および第3ギヤー96の偏心量に基づいて設定される。具体的には、孔96Aの径は、予め測定した第1ギヤー94、第2ギヤー95および第3ギヤー96の偏心量を吸収するような大きさに設定される。例えば、孔96Aの径は、第1ギヤー94、第2ギヤー95および第3ギヤー96における偏心最大を許容できる程度に設定されており、固定軸91Aに対する公差の2〜3倍程度にするのが望ましい。例えば、孔96Aの径は、固定軸91Aに対する公差が10〜20μmである場合、30〜40μmに設定される。
【0061】
なお、図5以降の図面において、孔96Aの径は、図面の見やすさを考慮して、誇張した大きさで図示しており、固定軸91Aは、図面上では孔96Aの縁に接触していないが、後述する第3ギヤー96の移動した位置に伴い、孔96Aの縁の対応した部分に接触するものとする。
【0062】
また、本実施の形態では、第1ギヤー94および第2ギヤー95が互いに同じ大きさとなっている。そのため、第1駆動源92および第2駆動源93が同じ駆動力で動作する場合、第1ギヤー94から第3ギヤー96に伝達される駆動力と、第2ギヤー95から第3ギヤー96に伝達される駆動力が同じ駆動力となる。
【0063】
ここで、各ギヤーに偏心がない場合、第1ギヤー94が第3ギヤー96に噛み合う第1部分94Aで発生するトルクと、第2ギヤー95が第3ギヤー96に噛み合う第2部分95Aで発生するトルクは、各ギヤーが移動しないことから変動せず、ひいては第3ギヤー96における出力が変動しない。
【0064】
また、第1ギヤー94の回転中心、第2ギヤー95の回転中心および固定軸91Aの中心が、一直線上に配置されているので、第1部分94Aでは、トルクA1は、第1ギヤー94の回転方向(図5の第1ギヤー94の矢印参照)に沿った上向きとなり、第2部分95Aでは、トルクB1は、第2ギヤー95の回転方向(図5の第2ギヤー95の矢印参照)に沿った下向きとなる。
【0065】
そのため、各駆動源92,93が同じ駆動力で動作する場合、トルクA1とトルクB1は、同じ大きさとなり、互いに反対方向を向いているので、互いに打ち消し合う。これにより、トルクA1およびトルクB1が生じることによる反力が第3ギヤー96に対して発生せず、また、固定軸91Aに対する第3ギヤー96の相対位置が固定されない。
【0066】
これにより、第3ギヤー96において、第1ギヤー94により伝達される駆動力および第2ギヤー95により伝達される駆動力を合算した駆動力、つまり、駆動源1つの駆動力に対して約2倍の駆動力を出力することが可能となる。
【0067】
また、例えば第2ギヤー95が偏心している場合、第2ギヤー95の第3ギヤー96と噛み合う位置が上下に変動する。当該位置が変動すると、第1部分94Aと、第2部分95Aとで発生するトルクが、第2ギヤー95の位置によって変わってしまい、第3ギヤー96における出力が変動してしまうおそれがある。
【0068】
しかし、本実施の形態では、孔96Aの径が固定軸91Aの径に固定軸91Aに対する公差を加えた値よりも大きいので、第2ギヤー95が偏心の影響により移動しても、その移動に追従して第3ギヤー96が移動する。図5における例では、第2ギヤー95が実線で示す位置のときは、第3ギヤー96は実線で示す位置に移動し、第2ギヤー95が二点鎖線で示す位置のときは、第3ギヤー96は二点鎖線で示す位置に移動する。
【0069】
孔96Aの径は、各ギヤーの偏心最大を許容できる程度に設定されているので、第2ギヤー95が実線位置のときに第2部分95Aで発生するトルクB1と、第2ギヤー95が二点鎖線位置のときに第2部分95Aで発生するトルクB2とが一定となる。
【0070】
複数のギヤーを1つのギヤーに噛ませる構成の場合、各ギヤーが噛み合う部分で発生する総トルクが一定となるので、トルクB1とトルクB2が一定であることから、第2ギヤー95が実線位置のときに第1部分94Aで発生するトルクA1と、第2ギヤー95が二点鎖線位置のときに第1部分94Aで発生するトルクA2とも一定となる。そのため、第2ギヤー95に偏心があって位置変動しても、各部分94A,95Aで発生するトルクが変動しないので、第3ギヤー96の出力に変動が生じない。
【0071】
図6は、各駆動源92,93のPWM(Pulse Width Modulation)出力の時間変化を示す図である。図6に示すように、第3ギヤー96が移動した位置におけるトルクが変動しないことで、第1駆動源92のPWM出力L1と、第2駆動源93のPWM出力L2が駆動動作中において変動せず、略100%の出力となる。そのため、各ギヤーに偏心があっても、第3ギヤー96において、第1駆動源92の駆動力と、第2駆動源93の駆動力とを合算した駆動力を出力することが可能となる。
【0072】
ここで、図7に示すように、第1ギヤー94が第3ギヤー96の真上に配置された構成について検討する。この構成では、第1部分94Aで発生するトルクが、第2部分95Aで発生するトルクに対して直交するような位置に第1ギヤー94が配置されている。例えば、各ギヤーに偏心がない場合(第2ギヤー95および第3ギヤー96が二点鎖線位置のとき)、第1部分94Aで発生するトルクA3と、第2部分95Aで発生するトルクB3は、第1駆動源92および第2駆動源93が等速のとき、同じトルクとなる。
【0073】
また、この構成の場合、第1部分94Aでは、トルクA3は、第1ギヤー94の回転方向(図7の第1ギヤー94の矢印参照)に沿った右向きとなり、第2部分95Aでは、トルクB3は、第2ギヤー95の回転方向(図7の第2ギヤー95の矢印参照)に沿った下向きとなる。このようにトルクA3とトルクB3が互いに打ち消し合わない方向を向いているので、トルクA3およびトルクB3により、第3ギヤー96において反力C1が、図7の向き(略45°)に発生する。
【0074】
各ギヤーに偏心がない場合には、反力C1が発生しても、第3ギヤー96の出力は変動しないが、例えば第2ギヤー95に偏心がある場合、第2ギヤー95の二点鎖線位置から実線位置への移動に追従して第3ギヤー96は、二点鎖線位置から実線位置へ移動する。このように第3ギヤー96が移動することで、固定軸91Aと孔96Aの縁との接触位置が変わることから二点鎖線位置で発生する反力C2が反力C1とは異なる方向を向く。
【0075】
反力C2が反力C1と異なる方向を向くことで、第2ギヤー95が実線位置のときに第2部分95Aで発生するトルクB4が、第2ギヤー95が二点鎖線位置のときに第2部分95Aで発生するトルクB3よりも大きくなる。
【0076】
複数のギヤーを1つのギヤーに噛ませる構成の場合、各ギヤーが噛み合う部分で発生する総トルクが一定となるので、トルクB4の変動に伴い、第1部分94Aで発生するトルクA4が、第2ギヤー95が二点鎖線位置のときに第1部分94Aで発生するトルクA3よりも小さくなる。そのため、第1部分94Aおよび第2部分95Aで発生するトルクの変動により、第3ギヤー96における出力が変動してしまう。
【0077】
このような第1部分94Aおよび第2部分95Aで発生するトルクが変動することで、第1駆動源92における駆動力と、第2駆動源93における駆動力が波状に変動する。図8は、図7の構成における各駆動源92,93のPWM出力の時間変化を示す図である。
【0078】
例えば、図8に示すように、第1駆動源92のPWM出力L3および第2駆動源93のPWM出力L4が、一方のPWM出力が最大となるときに他方のPWM出力が最小となるようなPWM出力となる場合、第3ギヤー96における出力は、図5の構成に対して、平均して50%程度となってしまう。そのため、第1ギヤー94の回転中心、第2ギヤー95の回転中心および固定軸91Aの中心を、一直線上に配置するのが望ましい。
【0079】
また、図9に示すように、第3ギヤー96に噛み合う定着ギヤー63Bは、第3ギヤー96の真上に配置されている。より詳細には、定着ギヤー63Bは、第3ギヤー96に噛み合う第3部分63Cで発生するトルクDの向きが、第1部分94Aで発生するトルクAおよび第2部分95Aで発生するトルクBの向きに対して直交する位置に配置されている。
【0080】
定着ギヤー63Bと第3ギヤー96が噛み合うことで、第3部分63Cで図示左向きのトルクDが発生するが、このトルクDにより、トルクDとは逆向きの反力Eが第3ギヤー96の、固定軸91Aが孔96Aの縁に接触する部分に発生する。しかし、トルクDや反力Eは、トルクAやトルクBとは直交する向きであるため、トルクAやトルクBの向きに影響を与えないので、定着ギヤー63Bが第3ギヤー96による偏心を吸収する動作を阻害するのを抑制することができる。
【0081】
また、定着ギヤー63Bは、ギヤー歯におけるバックラッシュにより、第3ギヤー96の偏心を吸収する動作を打ち消すので、当該動作による影響を受けない。
【0082】
第3部分63Cで発生するトルクDが第1部分94Aおよび第2部分95Aで発生するトルクA,Bに直交しない、つまり、図9のトルクDに対して傾斜するような位置に、定着ギヤー63Bを配置すると、トルクA,Bに平行な上下方向に反力Eが発生してしまう。そのため、第3ギヤー96による偏心を吸収する動作を阻害してしまう。そのため、トルクDがトルクA,Bに対して直交するような位置に定着ギヤー63Bを配置するのが望ましい。
【0083】
以上、詳しく説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、第1駆動源92と、第2駆動源93と、第1駆動源92から駆動力が伝達される第1ギヤー94と、第2駆動源93から駆動力が伝達される第2ギヤー95と、第1ギヤー94および第2ギヤー95と噛み合う第3ギヤー96と、第3ギヤー96を軸支し、中心が第1ギヤー94の回転中心および第2ギヤー95の回転中心と一直線上に配置された固定軸91Aと、を備え、第3ギヤー96には、固定軸91Aが通され、かつ、第1ギヤー94、第2ギヤー95および第3ギヤー96の偏心を吸収する径の孔96Aが形成されている。
【0084】
このように構成した本実施の形態によれば、第3ギヤー96が移動することで各ギヤーの偏心を吸収することができるので、各ギヤーに偏心があっても出力が変動するのを抑制しつつ、高出力を実現することができる。
【0085】
また、第1ギヤー94の回転中心、第2ギヤー95の回転中心および固定軸91Aの中心が、一直線上に配置されているので、各駆動源の駆動力が等しい場合、第1部分94Aで発生するトルクと、第2部分95Aで発生するトルクとが互いに打ち消し合う。そのため、各駆動源の駆動力を合算した出力、つまり、1つの駆動源の駆動力の2倍の出力とすることができる。
【0086】
また、各駆動源の駆動力を合算した出力とすることができるので、比較的安価で生産量の多い汎用のDCモーターを駆動源として用いることができる。そのため、専用品となりやすい高出力の駆動源を都度生産する必要がなくなり、駆動源の生産コストを削減することができる。
【0087】
また、トルクDがトルクA,Bに対して直交するような位置に定着ギヤー63Bが配置されているので、定着ギヤー63Bが第3ギヤー96による偏心を吸収する動作を阻害するのを抑制することができる。
【0088】
なお、上記実施の形態では、第3ギヤー96が定着ギヤー63Bと噛み合うことで直接定着ローラー63に駆動力を伝達していたが、本発明はこれに限定されず、別のギヤーを介して定着ローラー63に駆動力を伝達しても良い。
【0089】
例えば、図10に示すように、駆動部90は、上記した各ギヤーの他に、第3ギヤー96の基板91側とは反対側の面から延びる軸96Bと、軸96Bの先端部に接続された第4ギヤー96Cとを有している。第4ギヤー96Cは、定着ギヤー63Bと噛み合っている。
【0090】
この構成では、駆動力が伝達された第3ギヤー96の回転により、軸96Bおよび第4ギヤー96Cが回転することで、第4ギヤー96Cから定着ローラー63に駆動力が伝達される。このような構成であっても、各ギヤーに偏心があっても出力が変動するのを抑制しつつ、高出力を実現することができる。
【0091】
また、図11および図12に示すように、カップリング部材200により、第3ギヤー96と定着ローラー63をカップリングすることで、定着ローラー63に駆動力を伝達する構成であっても良い。
【0092】
カップリング部材200は、例えばディスク型カップリングであり、第1軸201と、第1ハブ202と、第1ディスク203と、第2軸204と、第2ハブ205と、第2ディスク206と、第3ハブ207とを有している。
【0093】
第1軸201は、第3ギヤー96の基板91とは反対側の面から延びている。第1ハブ202は、第1軸201の先端部に接続されている。第1ディスク203は、弾性変形可能な薄板状の部材であり、第1ハブ202の第1軸201とは反対側に設けられている。
【0094】
第2軸204は、定着ローラー63の軸である。第2ハブ205は、第2軸204の先端部に接続されている。第2ディスク206は、弾性変形可能な薄板状の部材であり、第2ハブ205の第2軸204とは反対側に設けられている。
【0095】
第3ハブ207は、第1ディスク203と第2ディスク206の間に配置されており、第1ディスク203と第2ディスク206の間をカップリングする第3軸207Aを有している。
【0096】
このカップリング部材200により、例えば、第3ギヤー96と定着ローラー63の図示左右方向の位置がずれても、第1ディスク203および第2ディスク205が弾性変形することで、第3ギヤー96と定着ローラー63の位置ずれを吸収することができる。この構成では、第3ギヤー96からの駆動力がカップリング部材200を介して定着ローラー63に伝達される。このような構成であっても、各ギヤーに偏心があっても出力が変動するのを抑制し、高出力を実現することができる。
【0097】
なお、カップリング部材200は、ディスクカップリングに限定されず、オルダムカップリング、ボールカップリング、ベローズタイプのカップリング、およびギヤーカップリングの何れかであっても良い。
【0098】
また、上記実施の形態では、第1駆動源92および第2駆動源93を、ともにDCモーターとしたが、本発明はこれに限定されず、第1駆動源92および第2駆動源93の何れか一方を例えば、ステッピングモーターとしても良い。
【0099】
ステッピングモーターの出力を高くすると、モーターのイナーシャーの影響により、位置決めの精度が低下するが、このような構成によれば、ステッピングモーターによる高精度の位置決めを行いつつ、駆動部90における出力を、DCモーターによりアシストすることで高くすることができる。また、各ギヤーの偏心の影響を受けないので、偏心したギヤーの位置によりステッピングモーター側に過度の負荷がかかるのが抑制され、ひいてはステッピングモーターが脱調するのを抑制することができる。
【0100】
また、上記実施の形態では、駆動部90が定着ローラー63を駆動するのに用いられたが、本発明はこれに限定されず、例えば用紙搬送部50等、画像形成装置1における様々な部分に用いられても良い。
【0101】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0102】
本発明は、画像形成装置を含む複数のユニットで構成される画像形成システムに適用できる。特に、高生産性が要求されるプロダクションプリント分野における画像形成システムに適用することができる。当該分野に適用することで、高出力となる駆動源の調達コストを抑制できるとともに、厚紙印刷や高速搬送に対応した高出力搬送駆動を実現することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 画像形成装置
60 定着部
90 駆動部
91A 固定軸
92 第1駆動源
93 第2駆動源
94 第1ギヤー
95 第2ギヤー
96 第3ギヤー
96A 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12