(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記架橋樹脂は、100質量部の前記モノマーに由来する繰返し単位に対し、50質量部以上の前記架橋剤に由来する繰返し単位を含む、請求項2に記載の2成分現像剤の製造方法。
前記架橋樹脂は、100質量部の前記アクリル酸系モノマーに由来する繰返し単位に対し、50質量部以下の前記スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含む、請求項2又は3に記載の2成分現像剤の製造方法。
前記架橋樹脂は、テトラメチロールプロパントリアクリレートと、トリメチロールプロパントリアクレートと、エチレングリコールジメタクリレートとの共重合体である、請求項1に記載の2成分現像剤の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、トナー粒子、トナー母粒子、トナーコア、又は外添剤に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。
【0009】
また、粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された一次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の体積中位径(D
50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定した値である。
【0010】
また、酸価及び水酸基価の各々の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従って測定した値である。また、融点(Mp)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定した値である。
【0011】
また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
【0012】
[本実施形態に係る2成分現像剤の製造]
本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法は、静電潜像現像用トナー(以下、トナーと記載することがある)を準備する準備工程と、静電潜像現像用トナーと静電潜像現像用キャリア(以下、キャリアと記載することがある)とを混合する混合工程とを含む。トナーの準備工程は、架橋樹脂を含有する樹脂粒子(以下、第1樹脂粒子と記載することがある)を複数含む外添剤を、トナー母粒子に外添する外添工程を含む。トナーとキャリアとを混合する工程(以下、単に混合工程と記載することがある)は、静電潜像現像用トナーと静電潜像現像用キャリアとを30℃以上45℃以下で混合する工程を含む。以下では、「トナーとキャリアとをX℃で混合すること」を「X℃で混合工程を行う」と記載することがある。
【0013】
本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法によれば、トナーの現像性に優れ、且つ、かぶりの発生を防止可能な2成分現像剤を製造できる。以下では、従来の2成分現像剤が有する課題を解決するために本発明者が検討した事項を説明した後に、本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法を詳しく説明する。
【0014】
従来、トナー母粒子の表面からの樹脂粒子(外添剤としての樹脂粒子)の離脱は連続印刷を行う場合に顕著となる、と考えられていた。しかし、今般、印刷初期においても、画像濃度が低く、且つ、かぶりが発生する場合があることが分かった(後述の比較例2参照)。この結果から、本発明者は、トナー母粒子の表面からの樹脂粒子の離脱は2成分現像剤の製造中においても無視できない程度に発生していると考えた。
【0015】
また、外添剤粒子として架橋樹脂粒子を使用した場合には、外添剤粒子として非架橋樹脂粒子を使用した場合に比べ、印刷初期における画像濃度の低下が顕著であり、印刷初期におけるかぶりの発生が顕著であった。
【0016】
上記考察及び結果を踏まえ、本発明者は、2成分現像剤の製造方法を鋭意検討した。その結果、2成分現像剤の製造中に、詳しくは混合工程において、トナー母粒子の表面から離脱してキャリアへ移動した第1樹脂粒子(以下、離脱粒子と記載する)をキャリアの表面に固定できれば、外添剤粒子として第1樹脂粒子(架橋樹脂を含有する樹脂粒子)を使用した場合であっても、トナーの現像性に優れ、且つ、かぶりの発生を防止可能な2成分現像剤を製造できることが分かった。
【0017】
詳しくは、本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法では、樹脂を含有する外添剤粒子として第1樹脂粒子を使用し、30℃以上45℃以下で混合工程を行う。第1樹脂粒子は架橋樹脂を含有するため、離脱粒子も架橋樹脂を含有する。ここで、架橋樹脂の硬度は、非架橋樹脂の硬度よりも高い。そのため、第1樹脂粒子の硬度は比較的高く、離脱粒子の硬度も比較的高い。しかし、30℃以上45℃以下で混合工程を行うと、30℃未満で混合工程を行った場合に比べ、離脱粒子の含有する架橋樹脂が軟化し易いため、離脱粒子の硬度が低下し易い。これにより、離脱粒子は、キャリアの表面上において、キャリアの表面に沿って変形し易くなる。よって、離脱粒子は、キャリアの表面に対して面接触し易くなるため、キャリアの表面に固定され易くなる。
【0018】
このような2成分現像剤を用いて画像形成を行えば、トナーとキャリアとが効果的に帯電摩擦を起こすため、トナーの帯電量の低下を防止できる。一般的に、2成分現像剤を用いて画像形成を行う場合には、2成分現像剤を画像形成装置の現像装置の収容部に供給する。この収容部内では、2成分現像剤が攪拌される、又は、2成分現像剤と補給されたトナーとが攪拌される。この攪拌により、トナーとキャリアとが擦り合わされ、トナーとキャリアとが摩擦帯電を起こす。そのため、離脱粒子が2成分現像剤においてトナー粒子又はキャリアに拘束されない場合には、離脱粒子がキャリアの表面上及びトナー母粒子の表面上で回転することがある。しかし、本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法により得られた2成分現像剤では、離脱粒子はキャリアの表面に固定されている。そのため、収容部内において、得られた2成分現像剤が攪拌されても、又は、得られた2成分現像剤と補給されたトナーとが攪拌されても、キャリアの表面上及びトナー母粒子の表面上における離脱粒子の回転を防止できる。よって、収容部内ではトナーとキャリアとが効果的に擦り合わされるため、トナーを所定の帯電量に帯電させることができる。
【0019】
トナーを所定の帯電量に帯電させることができれば、トナーの現像性が向上し、かぶりの発生を防止できる。よって、本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法では、トナーの現像性に優れ、且つ、かぶりの発生を防止可能な2成分現像剤を製造できる。
【0020】
一方、30℃未満の温度で混合工程を行うと、離脱粒子の含有する架橋樹脂が軟化し難いため、離脱粒子の硬度の高い状態が維持され易い。これにより、離脱粒子は、キャリアの表面上においてキャリアの表面に沿って変形し難く、キャリアの表面に固定され難い。
【0021】
このように、30℃未満の温度で混合工程を行うことにより得られた2成分現像剤(以下、比較の2成分現像剤と記載する)では、離脱粒子は、キャリアの表面に固定され難い。そのため、画像形成装置の現像装置の収容部内において、比較の2成分現像剤が攪拌されると、又は、比較の2成分現像剤と補給されたトナーとが攪拌されると、キャリアの表面上及びトナー母粒子の表面上における離脱粒子の回転を引き起こす。よって、トナーとキャリアとの擦り合わせが妨害され、トナーとキャリアとの摩擦帯電が阻害される。したがって、トナーを所定の帯電量に帯電させることが難しくなる。その結果、比較の2成分現像剤では、トナーの現像性が低下し易く、また、かぶりが発生し易い。
【0022】
なお、本発明者は、外添剤粒子として非架橋樹脂粒子を使用した場合には、30℃未満の温度で混合工程を行っても、トナーの現像性に優れ、かぶりの発生を防止できることを確認している。その理由として、本発明者は、次に示すことを考えている。非架橋樹脂の硬度は、架橋樹脂の硬度よりも低い。そのため、外添剤粒子が非架橋樹脂粒子である場合には、30℃未満の温度で混合工程を行っても、トナー母粒子の表面から離脱してキャリアへ移動した外添剤粒子が、キャリアの表面に沿って変形し易いため、キャリアの表面に固定され易い。よって、収容部内ではトナーとキャリアとが効果的に擦り合わされるため、トナーを所定の帯電量に帯電させることができる。したがって、上記結果が得られる。
【0023】
45℃よりも高い温度で混合工程を行った場合には、トナー母粒子に含まれる低融点成分(例えば、結着樹脂又はワックス)がトナー母粒子から溶出されてキャリアの表面に付着することがある。これにより、トナーとキャリアとの擦り合わせが妨害され、トナーとキャリアとの摩擦帯電が阻害される。よって、トナーを所定の帯電量に帯電させることが難しくなる。したがって、製造された2成分現像剤では、トナーの現像性が低下し易く、また、かぶりが発生し易い。
【0024】
本実施形態では、樹脂を含有する外添剤粒子として円形度の高い第1樹脂粒子を使用した場合であっても、離脱粒子に起因するトナーの帯電量の低下を防止できる。詳しくは、トナー粒子の流動性の向上という目的から、樹脂を含有する外添剤粒子として、円形度の高い樹脂粒子を使用することが好まれている。しかし、上述したように、30℃未満の温度で混合工程を行うと、離脱粒子の硬度の高い状態が維持され易いため、離脱粒子の円形度の高い状態が維持され易い。よって、離脱粒子は、キャリアの表面に対して点接触し易く、したがって、キャリアの表面に固定され難い。
【0025】
一方、樹脂を含有する外添剤粒子として円形度の高い第1樹脂粒子を使用した場合に30℃以上45℃以下で混合工程を行うと、離脱粒子の硬度が低下し易いため、離脱粒子の円形度が低下し易い。これにより、離脱粒子は、キャリアの表面に対して面接触し易くなるため、キャリアの表面に固定され易くなる。よって、離脱粒子に起因するトナーの帯電量の低下が防止され易くなる。したがって、樹脂を含有する外添剤粒子として円形度の高い第1樹脂粒子を使用した場合であっても、本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法を用いて2成分現像剤を製造すれば、トナーの現像性に優れ、且つ、かぶりの発生を防止可能な2成分現像剤を提供できる。
【0026】
以下、本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法を工程ごとに説明する。本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法は、トナーの準備工程と混合工程とを含み、好ましくはキャリアの準備工程をさらに含む。
【0027】
(トナーの準備工程)
トナーの準備工程は、外添工程を含み、好ましくはトナー母粒子の準備工程と外添剤の準備工程とをさらに含む。
【0028】
(トナーの準備工程:トナー母粒子の準備工程)
準備するトナー母粒子の構成は特に限定されない。カプセルトナーを準備しても良いし、非カプセルトナーを準備しても良い。カプセルトナーとは、トナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層とを有するトナー母粒子を意味する。非カプセルトナーとは、シェル層を有さないトナー母粒子を意味する。トナー母粒子が非カプセルトナーである場合には、トナー母粒子はトナーコアに相当する。
【0029】
トナー母粒子としてカプセルトナーを準備する場合には、次に示す方法によりカプセルトナーを製造することが好ましい。まず、公知の凝集法又は公知の粉砕法によりトナーコアを製造する。次に、例えばin−situ重合法、液中硬化被膜法、又はコアセルベーション法により、トナーコアの表面にシェル層を形成する。このようにして、カプセルトナーを製造できる。
【0030】
トナー母粒子として非カプセルトナーを準備する場合には、公知の凝集法又は公知の粉砕法により非カプセルトナーを製造することが好ましい。
【0031】
(トナーの準備工程:外添剤の準備工程)
外添剤の準備工程では、第1樹脂粒子を複数含む外添剤を、準備する。第1樹脂粒子の作製方法としては、例えば、次に示す方法が挙げられる。まず、架橋剤の存在下でモノマーを重合させて、架橋樹脂を合成する。次に、合成された架橋樹脂を、所望の粒子径を有する粒子に成形する。重合と成形とを同時に行っても良い。こうして、第1樹脂粒子を多数含む外添剤が得られる。
【0032】
個数平均粒子径が50nm以上200nm以下である第1樹脂粒子を製造することが好ましい。得られた第1樹脂粒子の個数平均粒子径が50nm以上であれば、流動性に優れたトナー粒子を含むトナーを製造できる。また、得られた第1樹脂粒子の個数平均粒子径が200nm以下であれば、キャリアとの摩擦帯電が所望する程度に起こり易いトナーを製造できる。これにより、帯電量を適正な範囲内に維持可能なトナーを製造できる。
【0033】
(トナーの準備工程:外添工程)
外添工程では、第1樹脂粒子を複数含む外添剤を、トナー母粒子に外添する。詳しくは、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する。100質量部のトナー母粒子に対し、好ましくは0.5質量部以上10質量部以下の外添剤を混合し、より好ましくは1質量部以上5質量部以下の外添剤を混合する。
【0034】
(キャリアの準備工程)
準備するキャリアの構成は特に限定されない。キャリアコアと、キャリアコアの表面を被覆するキャリアコート層とを備えるキャリアを、準備しても良い。キャリアコアの製造方法として公知の方法により製造されたキャリアコアを使用できる。また、公知の浸漬法又は公知の塗布法により、キャリアコアの表面にキャリアコート層を形成できる。
【0035】
キャリアとして、磁性粒子が樹脂中に分散されて構成された樹脂キャリアを準備しても良い。樹脂キャリアの製造方法として公知の方法により製造された樹脂キャリアを使用できる。
【0036】
(混合工程)
混合工程は、トナーとキャリアとを30℃以上45℃以下で混合する工程を含む。詳しくは、粉体混合機(例えば、ロッキングミキサー)を用い、室温を30℃以上45℃以下に設定して、トナーとキャリアとを混合する。このように、室温を30℃以上45℃以下に設定してトナーとキャリアとを混合するため、加熱装置が付帯されていない粉体混合機を用いてトナーとキャリアとを混合できる。そのため、特殊な粉体混合機を使用しなくても、トナーとキャリアとを混合できる。よって、トナーとキャリアとの混合に要するコストを低く抑えることができるため、低コストで2成分現像剤を製造できる。こうして、2成分現像剤が得られる。
【0037】
好ましくは、混合工程では、室温を30℃以上45℃以下に24時間以上保った後に、トナーとキャリアとを混合する。これにより、トナーとキャリアとの混合時には、トナー、離脱粒子及びキャリアの各々の温度を室温程度とすることができる。よって、トナーとキャリアとの混合時には、離脱粒子の軟化がさらに容易となるため、離脱粒子がキャリアの表面に沿って変形することがさらに容易となる。したがって、キャリアの表面への離脱粒子の固定がさらに容易となる。室温を30℃以上45℃以下に保つ時間が48時間以下であれば、混合工程の長期化を防止できるため、2成分現像剤の製造効率を高く維持できる。そのため、混合工程では、室温を30℃以上45℃以下に24時間以上48時間以下保った後に、トナーとキャリアとを混合することがより好ましい。
【0038】
好ましくは、混合工程では、トナーとキャリアとを混合した後、室温を30℃以上45℃以下に6時間以上18時間以下保ち、その後、室温を混合工程以前の温度(例えば15〜25℃)に下げる。これにより、軟化した離脱粒子がキャリアの表面に沿って変形する時間を確保できる。よって、キャリアの表面への離脱粒子の固定がより一層容易となる。
【0039】
[本実施形態に係る2成分現像剤の構成]
本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法により得られた2成分現像剤は、トナーと、摩擦によりトナーを帯電させるキャリアとを備える。トナーは、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを有する。外添剤は、第1樹脂粒子(架橋樹脂を含有する樹脂粒子)を複数含む。
【0040】
本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法により得られた2成分現像剤では、第1樹脂粒子は、トナー母粒子の表面に付着しているだけでなく、キャリアの表面に固定されている。本発明者は、本実施形態の2成分現像剤の製造方法により得られた2成分現像剤の顕微鏡画像を観察することにより、キャリアの表面に第1樹脂粒子が固定されていることを確認している。詳しくは、まず、吸引装置を用いて、本実施形態の2成分現像剤の製造方法により得られた2成分現像剤を吸引する。ここで、吸引装置としては、所定の目開きを有する篩が吸引口に設けられた吸引装置を使用することが好ましい。これにより、比較的小径な粒子は、篩の網目を通過できるため、吸引装置に吸引される。一方、比較的大径な粒子は、篩の網目を通過できないため、吸引装置に吸引されない。そのため、トナーは優先的に吸引される。また、離脱粒子のうち、キャリアの表面に固定されていない離脱粒子は、吸引される。次に、顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡、又は透過型電子顕微鏡)を用いて、吸引装置に吸引されなかった粉末の表面画像又は断面画像を観察する。吸引装置に吸引されなかった粉末としては、キャリアが考えられる。そして、観察された表面画像又は断面画像において、キャリアの表面に樹脂粒子が付着していれば、離脱粒子がキャリアの表面に固定されていると推定できる。
【0041】
[トナー母粒子、外添剤、及びキャリアの各材料の例示]
以下、トナー母粒子、外添剤、及びキャリアの各材料を説明する。トナー母粒子がカプセルトナーである場合には、トナー母粒子は下記トナーコアと下記シェル層とを備える。トナー母粒子が非カプセルトナーである場合には、トナー母粒子は下記トナーコアに相当する。
【0042】
(トナーコア)
トナーコアは、結着樹脂を含有する。トナーコアは、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のうちの少なくとも1つをさらに含有しても良い。
【0043】
(トナーコア:結着樹脂)
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。
【0044】
また、結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(具体的には、水酸基価、酸価、ガラス転移点、又は軟化点)を調整できる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなる。また、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の酸価及び水酸基価の少なくとも一方が10mgKOH/g以上であることが好ましい。
【0045】
トナーコアは、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂も、トナーコアを構成する熱可塑性樹脂として使用できる。
【0046】
ポリエステル樹脂は、1種以上のアルコールと1種以上のカルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示す2価アルコール又は3価以上のアルコールを使用できる。2価アルコールとしては、例えば、ジオール類又はビスフェノール類を使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示す2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を使用できる。
【0047】
ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0048】
ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0049】
3価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
【0050】
2価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
【0051】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
【0052】
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。結着樹脂の一例であるスチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すスチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを使用できる。アクリル酸系モノマーを用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、水酸基を有するモノマーを用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。水酸基を有するモノマーとしては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを使用できる。
【0053】
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。アルキルスチレンとしては、例えば、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレンが挙げられる。
【0054】
アクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
【0055】
結着樹脂の一例であるアクリル酸系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体を使用できる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を使用できる。ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂を使用できる。
【0056】
(トナーコア:着色剤)
着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1.00質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
【0057】
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
【0058】
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
【0059】
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを使用できる。
【0060】
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を使用できる。
【0061】
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを使用できる。
【0062】
(トナーコア:離型剤)
離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1.00質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
【0063】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
【0064】
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
【0065】
(トナーコア:電荷制御剤)
電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
【0066】
トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。また、トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナーコアに電荷制御剤を含有させる必要はない。
【0067】
(トナーコア:磁性粉)
磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属もしくはその合金、強磁性金属酸化物、又は強磁性化処理が施された材料を使用できる。強磁性金属としては、例えば、鉄、コバルト、又はニッケルを使用できる。強磁性金属酸化物としては、例えば、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロムを使用できる。強磁性化処理としては、例えば、熱処理が挙げられる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
【0068】
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコア同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコア同士の固着を抑制できると考えられる。
【0069】
(シェル層)
シェル層は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。シェル層が含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、上記(トナーコア:結着樹脂)に記載の熱可塑性樹脂を使用できる。好ましくは、シェル層が、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体を含有する。これにより、トナーの帯電安定性をより一層向上させることができる。スチレン系モノマーとしては、例えばスチレンを使用できる。アクリル酸系モノマーとしては、例えばアクリル酸エステルを使用できる。
【0070】
シェル層は、熱硬化性樹脂をさらに含有しても良い。シェル層が含有する熱硬化性樹脂としては、例えば、アミノアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂、又はキシレン系樹脂が挙げられる。アミノアルデヒド樹脂は、アミノ基を有する化合物とアルデヒドとの縮重合によって生成する樹脂である。ここで、アルデヒドとしては例えばホルムアルデヒドを使用できる。アミノアルデヒド樹脂の例としては、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、又はアニリン系樹脂が挙げられる。ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイミド重合体又はビスマレイミド重合体を使用できる。
【0071】
(外添剤)
外添剤は、第1樹脂粒子を複数含む。第1樹脂粒子は、架橋樹脂を含有する。架橋樹脂が含有する樹脂成分としては、例えば、スチレン類、化学構造中にビニル基を有するエステル類、化学構造中にビニル基を有するニトリル類、化学構造中にビニル基を有するエーテル類、化学構造中にビニル基を有するケトン類、及びオレフィン類のうちの少なくとも1つを含む重合体が挙げられ、これらの重合体を2種以上含む混合物であっても良い。また、架橋樹脂が含有する樹脂成分は、これらの重合体の1種以上と、非ビニル樹脂の1種以上との混合物であっても良い。また、架橋樹脂が含有する樹脂成分は、化学構造中にビニル基を有するモノマーを非ビニル樹脂の存在下で重合させることにより得られるグラフト共重合体であっても良い。非ビニル樹脂とは、化学構造中にビニル基を有するモノマーに由来する繰返し単位を有さない樹脂を意味する。
【0072】
スチレン類としては、例えば、スチレン、p−クロロスチレン、又はα−メチルスチレンが挙げられる。化学構造中にビニル基を有するエステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。化学構造中にビニル基を有するニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、又はメタクリロニトリルが挙げられる。化学構造中にビニル基を有するエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、又はビニルイソブチルエーテルが挙げられる。化学構造中にビニル基を有するケトン類としては、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、又はビニルイソプロペニルケトンが挙げられる。オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、又はブタジエンが挙げられる。非ビニル樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、又はポリエーテル樹脂が挙げられる。
【0073】
好ましくは、架橋樹脂は、スチレン系モノマーと、アクリル酸系モノマーと、架橋剤との共重合体である。アクリル酸系モノマーは、化学構造中にビニル基を1つ有することが好ましい。架橋剤は、化学構造中にビニル基を2つ以上有することが好ましい。このように、架橋樹脂の好ましい一例として、架橋スチレン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。
【0074】
架橋スチレン−アクリル酸系樹脂は、100質量部のアクリル酸系モノマーに由来する繰返し単位に対し、より好ましくは50質量部以下のスチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含み、さらに好ましくは10質量部以上40質量部以下のスチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含む。
【0075】
好ましくは、架橋樹脂は、アクリル酸系モノマーと、架橋剤との共重合体である。アクリル酸系モノマーは、化学構造中にビニル基を1つ有することが好ましく、架橋剤は、化学構造中にビニル基を2つ以上有することが好ましい。このように、架橋樹脂の好ましい別の一例として、架橋アクリル酸系樹脂が挙げられる。
【0076】
より好ましくは、架橋樹脂は、100質量部のモノマーに由来する繰返し単位に対し、50質量部以上の架橋剤に由来する繰返し単位を含む。詳しくは、架橋樹脂が架橋スチレン−アクリル酸系樹脂である場合には、スチレン系モノマーに由来する繰返し単位とアクリル酸系モノマーに由来する繰返し単位との合計含有量を100質量部としたときに、架橋剤に由来する繰返し単位の含有量が50質量部以上であることが好ましい。架橋樹脂が架橋アクリル酸系樹脂である場合には、上記「モノマーに由来する繰返し単位」は、アクリル酸系モノマーに由来する繰返し単位を意味する。そして、架橋樹脂が100質量部のモノマーに由来する繰返し単位に対し50質量部以上の架橋剤に由来する繰返し単位を含む場合であっても、本実施形態に係る2成分現像剤の製造方法を用いて2成分現像剤を製造すれば、トナーの現像性に優れ、且つ、かぶりの発生を防止可能な2成分現像剤を提供できる。
【0077】
詳しくは、架橋樹脂が100質量部のモノマーに由来する繰返し単位に対し50質量部以上の架橋剤に由来する繰返し単位を含むことにより、架橋樹脂の硬度が高くなる。架橋樹脂の硬度が高いほど、架橋樹脂を含有する離脱粒子の硬度が高くなるため、離脱粒子はキャリアの表面に固定され難くなる。しかし、架橋樹脂が100質量部のモノマーに由来する繰返し単位に対し50質量部以上の架橋剤に由来する繰返し単位を含む場合であっても、30℃以上45℃以下で混合工程を行えば、離脱粒子の硬度が低下し易くなるため、離脱粒子はキャリアの表面に固定され易くなる。よって、この場合であっても、離脱粒子に起因するトナーの帯電量の低下を防止できる。したがって、トナーの現像性に優れ、且つ、かぶりの発生を防止可能な2成分現像剤を製造できる。さらに好ましくは、架橋樹脂は、100質量部のモノマーに由来する繰返し単位に対し、50質量部以上80質量部以下の架橋剤に由来する繰返し単位を含む。
【0078】
架橋アクリル酸系樹脂は、化学構造中にビニル基を2つ以上有するアクリレートの単重合体又は共重合体であっても良い。
【0079】
架橋樹脂におけるスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、又はp−ニトロスチレンを使用でき、これらの誘導体を使用しても良い。より好ましくは、架橋樹脂におけるスチレン系モノマーはスチレンである。
【0080】
架橋樹脂におけるアクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、又はメタクリル酸ジエチルアミノエチルを使用でき、これらのエステル類を使用しても良い。架橋スチレン−アクリル酸系樹脂におけるアクリル酸系モノマーは、(メタ)アクリル酸n−ブチルであることが好ましい。
【0081】
架橋剤は、化学構造中にビニル基を2つ有する化合物(以下、ジビニル化合物と記載する)と、化学構造中にビニル基を3つ以上有する化合物とを含む。
【0082】
ジビニル化合物は、例えば、芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、アリルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、又はジビニルスルホンであることが好ましい。芳香族ジビニル化合物は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体であることが好ましい。ジビニル化合物としては、これらの1種以上を使用できる。
【0083】
化学構造中にビニル基を3つ以上有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート又はテトラメチロールプロパントリアクリレートを使用できる。
【0084】
外添剤は、さらに、無機材料を含有する無機粒子を複数含んでも良い。無機材料としては、外添剤の無機材料として従来公知の無機材料であれば特に限定されず、例えば、金属酸化物、炭化珪素、又はシリカが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウムが挙げられる。
【0085】
(キャリア)
上述したように、キャリアは、キャリアコアとキャリアコート層とを備えても良いし、磁性粒子が樹脂中に分散されて構成された樹脂キャリアであっても良い。
【0086】
キャリアコアは、磁性粒子からなることが好ましい。キャリアコアを構成する磁性粒子、及び樹脂キャリアが有する磁性粒子としては、例えば、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、又はコバルトからなる粒子;これらの材料とマンガン、亜鉛又はアルミニウムとの合金からなる粒子;鉄とニッケル又はコバルトとの合金からなる粒子;セラミックスからなる粒子;又は高誘電率物質からなる粒子が挙げられる。セラミックスからなる粒子が含有するセラミックスとしては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウムが挙げられる。高誘電率物質からなる粒子が含有する高誘電率物質としては、例えば、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩が挙げられる。
【0087】
キャリアコート層が含有する樹脂、及び樹脂キャリアが含有する樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、オレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂の1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、オレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、又はポリプロピレン樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂が含まれる。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0088】
キャリアの粒子径は、好ましくは20μm以上120μm以下であり、より好ましくは25μm以上80μm以下である。キャリアの粒子径は、例えば、電子顕微鏡により測定される。
【0089】
2成分現像剤におけるトナーの含有量は、キャリア100質量部に対し、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。これにより、高画質な画像を形成できる。
【実施例】
【0090】
実施例では、2成分現像剤D−1〜D−8を製造し、製造された2成分現像剤D−1〜D−8を評価した。表1には、2成分現像剤D−1〜D−8の各々の構成を主に記す。表1において、混合温度とは、混合工程が行われたときの室温を意味する。表2には、2成分現像剤D−1〜D−8の各々が含む樹脂粒子の構成を記す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
以下、樹脂粒子R−1〜R−2の製造方法、及び平均円形度の測定方法を順に説明した後、トナーT−A〜T−Bの製造方法を説明し、その後、2成分現像剤D−1〜D−8の製造方法、評価方法、及び評価結果を順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。また、粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定された一次粒子の円相当径の個数平均値である。
【0094】
[樹脂粒子R−1の製造]
以下に示す方法により、樹脂粒子R−1(架橋スチレン−アクリル酸系樹脂からなる粒子)を製造した。
【0095】
攪拌機、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた四つ口フラスコ(容量:1L)に、600質量部のイオン交換水と、6.00質量部のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS、乳化剤)と、100質量部のブチルメタクリレート(BMA、メタクリル酸n−ブチル、モノマー)と、20.0質量部のスチレン(モノマー)と、80.0質量部のジビニルベンゼン(DVB、架橋剤)と、15.0質量部のベンゾイルパーオキサイド(BPO、開始剤)とを、かき混ぜながら入れた。四つ口フラスコに窒素を導入しながら、四つ口フラスコ内の温度を90℃に上昇させた。その後、3時間にわたって、四つ口フラスコの内容物を攪拌しながら(回転速度50rpm)、四つ口フラスコ内の温度を90℃に保った。四つ口フラスコ内の温度を90℃に保っている間に、四つ口フラスコの内容物が重合した。四つ口フラスコの内容物(反応生成物)を、冷却し、イオン交換水で洗浄した後、脱水した。このようにして、樹脂粒子R−1(材料:架橋スチレン−アクリル酸系樹脂、個数平均粒子径:80nm)が得られた。
【0096】
なお、架橋剤として使用したジビニルベンゼンについては、市販のジビニルベンゼン(Sigma−Aldrich社製、CAS番号:105−06−6)に対して蒸留による高純度化処理を行ったものを使用した。このような高純度化処理を行ったジビニルベンゼンを架橋剤として使用することにより、架橋度の高いスチレン−アクリル酸系樹脂が得られ易くなると考えられる。
【0097】
[樹脂粒子R−2の製造]
以下に示す方法により、樹脂粒子R−2(架橋アクリル酸系樹脂からなる粒子)を製造した。
【0098】
攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び還流冷却器を備えたセパラブルフラスコ(容量:2L)に、820質量部のイオン交換水を入れた。セパラブルフラスコに窒素を導入しながら、且つ、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながら、セパラブルフラスコ内の温度を80℃に上昇させた。30分経過後、0.700質量部の過硫酸アンモニウム(重合開始剤)をセパラブルフラスコに入れた。
【0099】
セパラブルフラスコに、55.0質量部のイオン交換水と、36.0質量部のテトラメチロールプロパントリアクリレート(架橋剤、水に対する25℃での溶解度:1質量%以下)と、108質量部の第1乳化分散剤とを入れた。第1乳化分散剤としては、20.0質量部のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(濃度:15質量%)をホモジナイザー(IKA社製「ウルトラタラックスT50」)により乳化して得られた乳化分散液を使用した。その後、3時間にわたって、セパラブルフラスコ内の温度を70℃に保った。セパラブルフラスコ内の温度を70℃に保っている間に、セパラブルフラスコの内容物が重合した。
【0100】
滴下ロートを用いて、126質量部のイオン交換水と、69.0質量部のトリメチロールプロパントリアクレート(架橋剤、水に対する25℃での溶解度:1質量%以下)と、30.0質量部のエチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)と、240質量部の第2乳化分散液とを、セパラブルフラスコに滴下した。第2乳化分散剤としては、15.0質量部のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(濃度:8質量%)をホモジナイザー(IKA社製「ウルトラタラックスT50」)により乳化して得られた乳化分散液を使用した。滴下速度は1g/分であり、約4時間後に滴下を終了した。その後、2時間にわたって、セパラブルフラスコ内の温度を70℃に保った。セパラブルフラスコ内の温度を70℃に保っている間にセパラブルフラスコの内容物が重合して、樹脂粒子のエマルションが得られた。凍結乾燥機を用いて、得られた樹脂粒子のエマルションを凍結乾燥させた。このようにして、樹脂粒子R−2(材料:架橋アクリル酸系樹脂、個数平均粒子径:102nm)が得られた。
【0101】
[トナーT−Aの製造]
以下に示す方法により、樹脂粒子R−1を外添剤として含むトナーT−Aを製造した。
【0102】
まず、ポリエステル樹脂粒子を合成した。詳しくは、温度計(熱電対)、窒素導入管、攪拌装置、及び熱交換器(コンデンサー)を備えたフラスコ(容量:3L)に、1000質量部のイオン交換水(約30℃)と、4.000質量部のカチオン界面活性剤(日本乳化剤株式会社製「テクスノール(登録商標)R5」、成分:アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩)とを入れた。フラスコの内容物を攪拌しながら、フラスコに窒素を導入しつつ窒素置換を30分間行った。フラスコに2.000質量部の過硫酸カリウムを入れ、フラスコの内容物を攪拌して過硫酸カリウムを溶解させた。その後、フラスコに窒素を導入しながらフラスコ内の温度を80℃に上昇させた。フラスコ内の温度が80℃に到達した時点から2時間かけて、250.0質量部のメタクリル酸メチルと4.000質量部のジメタクリル酸1,4−ブタンジオールとの混合液をフラスコに滴下した。混合液の滴下中、温度80℃かつ回転速度300rpmの条件でフラスコの内容物を攪拌し続けた。混合液の滴下が終了した後、さらに8時間、フラスコ内の温度を80℃に保った。フラスコ内の温度を80℃に保っている間にフラスコの内容物が重合し、樹脂粒子のサスペンションが得られた。得られたサスペンションをろ過した後、乾燥させた。このようにして、ポリエステル樹脂粒子(個数平均粒子径:84nm)が得られた。得られた粒子が含有するポリエステル樹脂では、酸価が5.6mgKOH/gであり、融点が100℃であった。
【0103】
次に、得られたポリエステル樹脂粒子を用いて、トナー母粒子を作製した。詳しくは、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10C/I」、容量:10L)を用いて、100質量部のポリエステル樹脂粒子と、4.00質量部の着色剤(DIC株式会社製「KET Blue 111」、フタロシアニンブルー)と、5.00質量部のカルナバワックス(東亜化成株式会社製)と、1.00質量部の4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)とを回転速度2400rpmで混合した。二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、得られた混合物を材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲(シリンダー温度範囲)80℃以上130℃以下の条件で、混合溶融した。得られた溶融混練物を冷却した。機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルT250」)を用いて、冷却された溶融混練物を粉砕した。分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて、得られた粉砕物を分級した。その結果、体積中位径(D
50)6.8μmのトナー母粒子が得られた。
【0104】
続いて、得られたトナー母粒子に対し外添処理を行った。詳しくは、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」、容量:5L)を用いて、100質量部のトナー母粒子と、1.00質量部の正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA200」)と、0.500質量部の樹脂粒子R−1とを5分間、混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(正帯電性シリカ粒子、及び樹脂粒子R−1)を付着させた。その後、得られたトナーを、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーT−A)が得られた。
【0105】
[トナーT−Bの製造]
樹脂粒子R−1の代わりに樹脂粒子R−2をトナー母粒子に外添させたことを除いてはトナーT−Aの製造方法に従って、トナーT−Bを製造した。
【0106】
[2成分現像剤D−1の製造]
以下に示す方法により製造されたキャリアとトナーT−Aとを用いて、2成分現像剤D−1を製造した。
【0107】
(キャリアの製造)
まず、キャリアコアを製造した。詳しくは、湿式ボールミルを用いて、Fe
2O
3とCuOとZnOとを含む混合物を粒子径が1μm以下になるように粉砕した。得られた粉砕物にポリビニルアルコールを添加し、スプレードライヤーを用いて粉砕物の造粒処理を行った。得られた造粒物を電気炉に入れて焼成した後、解砕工程及び分級工程を経て、キャリアコアを得た。
【0108】
次に、キャリアコート液を調製した。詳しくは、トルエンにメチルシリコーン樹脂を入れて溶かして、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液に硬化触媒(オクチル酸)を添加して、キャリアコート液を得た。
【0109】
続いて、キャリアコート液をキャリアコアの表面に塗布して、キャリアコート層をキャリアコアの表面に形成した。詳しくは、流動層コーティング装置(フロイント産業株式会社製「スパイラフロー(登録商標)SFC−5」)に、100質量部のキャリアコアと、3.00質量部のキャリアコート液とを入れた。このコ−ティング装置を用いて、キャリアコアの表面をメチルシリコーン樹脂の膜(キャリアコート層)で被覆した。その後、箱型棚式乾燥機を用いて、得られた樹脂被覆粒子(粉体)を260℃で3時間加熱した。このようにして、キャリア(体積中位径(D
50):35μm)が得られた。
【0110】
(混合)
ロッキングミキサー(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」、混合方式:容器回転揺動方式)を用いて、8.00質量部のトナーT−Aと100質量部のキャリアとを30分間混合した。このとき、まず、室温を30℃に設定し、24時間にわたって室温を30℃に保った。次に、トナーT−Aとキャリアとを混合した。その後、12時間にわたって室温を30℃に保った後、室温を25℃に下げた。このようにして、2成分現像剤D−1が得られた。
【0111】
[2成分現像剤D−2〜D−8の製造]
トナーとして、表1に示すトナーを使用した。また、混合工程が行われたときの室温を表1に示す混合温度に変更した。これらを除いては2成分現像剤D−1の製造方法に従って、2成分現像剤D−2〜D−8を、各々、製造した。
【0112】
[評価方法]
製造された2成分現像剤D−1〜D−8の各々に関し、以下に示す評価を行った。
【0113】
(画像濃度の測定)
まず、評価装置を準備した。レーザープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)FS−8000C」を2成分現像剤の使用態様に改造したもの)の現像装置の収容部に、2成分現像剤D−1〜D−8の各々を入れた。上記レーザープリンターのトナーコンテナに、収容部に入れられた2成分現像剤に含まれるトナーに対応するトナーを入れた。詳しくは、収容部に2成分現像剤D−1〜D−4及びD−7〜D−8の各々を入れたときには、トナーコンテナにはトナーT−Aを入れた。収容部に2成分現像剤D−5〜D−6の各々を入れたときには、トナーコンテナにはトナーT−Bを入れた。
【0114】
次に、温度32.5℃かつ湿度85%RHの環境下で、評価装置を用いて、印字率4%のサンプル画像を印刷用紙(1枚)に印刷した。その後、第1評価用サンプル画像(第1評価用サンプル画像は、ベタ画像部と、非印字部とを含む)を印刷用紙に印刷し、印刷された第1評価用サンプル画像を用いて、初期の画像濃度(ID)を測定した。
【0115】
続いて、温度32.5℃かつ湿度85%RHの環境下で、評価装置を用いて、印字率4%のサンプル画像を印刷用紙に5万枚連続で印刷した。その後、第2評価用サンプル画像(第2評価用サンプル画像は、ベタ画像部と、非印字部とを含む)を印刷用紙に印刷し、印刷された第2評価用サンプル画像を用いて、耐刷後の画像濃度(ID)を測定した。
【0116】
初期の画像濃度(ID)の測定では、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、印刷後の印刷用紙のベタ画像部(第1評価用サンプル画像のベタ画像部)の反射濃度(ID:画像濃度)を測定した。また、耐刷後の画像濃度(ID)の測定では、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye」)を用いて、印刷後の印刷用紙のベタ画像部(第2評価用サンプル画像のベタ画像部)の反射濃度(ID:画像濃度)を測定した。初期の画像濃度(ID)及び耐刷後の画像濃度(ID)の各々が1.30以上であれば、良いと評価した。初期の画像濃度(ID)及び耐刷後の画像濃度(ID)の各々が1.30未満であれば、悪いと評価した。また、初期の画像濃度(ID)と耐刷後の画像濃度(ID)との差が0.1以下であれば、良いと評価した。結果を表3に示す。
【0117】
なお、表3の評価の欄には、下記評価基準A〜Cの何れも満たす場合には○と記し、下記評価基準A〜Cのうちの少なくとも1つでも満たされない場合には×と記している。
評価基準A:初期の画像濃度(ID)が1.30以上である
評価基準B:耐刷後の画像濃度(ID)が1.30以上である
評価基準C:初期の画像濃度(ID)と耐刷後の画像濃度(ID)との差が0.1以下である
【0118】
(かぶり濃度の測定)
上記(画像濃度の測定)で形成された第1及び第2評価用サンプル画像の各々を用いて、かぶり濃度を測定した。詳しくは、初期のかぶり濃度(FD)の測定では、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye」)を用いて、印刷後の印刷用紙の非印字部(第1評価用サンプル画像の非印字部)のかぶり濃度(FD)を測定した。また、耐刷後のかぶり濃度(FD)の測定では、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye」)を用いて、印刷後の印刷用紙の非印字部(第2評価用サンプル画像の非印字部)のかぶり濃度(FD)を測定した。
【0119】
初期のかぶり濃度(FD)及び耐刷後のかぶり濃度(FD)の各々が0.0050以下であれば、良い(○)と評価した。初期のかぶり濃度(FD)及び耐刷後のかぶり濃度(FD)の各々が0.0050超であれば、悪い(×)と評価した。結果を表3に示す。
【0120】
【表3】
【0121】
2成分現像剤D−1〜D−6(実施例1〜6に係る2成分現像剤)は、各々、以下に示す方法に従って製造された。2成分現像剤D−1〜D−6の各々を製造する方法は、トナーを準備する準備工程と、トナーとキャリアとを混合する混合工程とを含んでいた。準備工程は、架橋樹脂を含有する樹脂粒子を複数含む外添剤を、トナー母粒子に外添する外添工程を含んでいた。混合工程は、トナーとキャリアとを30℃以上45℃以下で混合する工程を含んでいた。
【0122】
表3に示されるように、2成分現像剤D−1〜D−6では、各々、初期の画像濃度(ID)及び耐刷後の画像濃度(ID)が高く、初期の画像濃度(ID)と耐刷後の画像濃度(ID)との差が小さかった。また、初期のかぶり濃度(FD)及び耐刷後のかぶり濃度(FD)が低かった。
【0123】
2成分現像剤D−7(比較例1に係る2成分現像剤)では、2成分現像剤D−1〜D−6と比較して、耐刷後の画像濃度(ID)が低く、初期の画像濃度(ID)と耐刷後の画像濃度(ID)との差が大きかった。また、初期のかぶり濃度(FD)及び耐刷後のかぶり濃度(FD)が高かった。このような結果が得られた理由としては、室温25℃でトナーとキャリアとを混合したことが考えられる。
【0124】
2成分現像剤D−8(比較例2に係る2成分現像剤)では、2成分現像剤D−1〜D−6と比較して、初期の画像濃度(ID)及び耐刷後の画像濃度(ID)が低かった。また、初期のかぶり濃度(FD)及び耐刷後のかぶり濃度(FD)が高かった。このような結果が得られた理由としては、室温50℃でトナーとキャリアとを混合したことが考えられる。