特許第6604324号(P6604324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三洋電機株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6604324-非水電解液二次電池及びその製造方法 図000006
  • 特許6604324-非水電解液二次電池及びその製造方法 図000007
  • 特許6604324-非水電解液二次電池及びその製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604324
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】非水電解液二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20191031BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20191031BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M10/0566
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-509992(P2016-509992)
(86)(22)【出願日】2015年3月18日
(86)【国際出願番号】JP2015001505
(87)【国際公開番号】WO2015146076
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年2月27日
(31)【優先権主張番号】特願2014-65182(P2014-65182)
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】上田 敦史
【審査官】 青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−243336(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/077293(WO,A1)
【文献】 特開2006−302801(JP,A)
【文献】 特開2010−212227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0587
H01M 10/0566
H01M 10/04
H01M 4/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体上に形成された正極活物質層を有する正極板と負極集電体上に形成された負極活物質層を有する負極板がセパレータを介して巻回され、巻回終端部を覆うように長方形又は正方形の巻き止めテープが貼り付けられた電極体と、前記電極体を収納する電池ケースとを備える円筒形非水電解液二次電池であって、
前記巻き止めテープが、電極体への貼り付け面に粘着剤が設けられた粘着部と粘着剤が設けられていない非粘着部とを有し、
前記電極体の巻回軸方向を前記電極体の高さ方向及び前記巻き止めテープの幅方向とし、
前記巻き止めテープの幅方向に沿った前記非粘着部の両端に前記粘着部が配置され、
前記電極体の高さWa、前記巻き止めテープの幅Wb及び前記非粘着部の幅Wcが0.9≦Wb/Wa≦1.05かつ0.35≦Wc/Wa≦0.85を満たすことを特徴とする、
円筒形非水電解液二次電池。
【請求項2】
前記電極体の最外周部は前記正極板及び前記負極板のいずれか一方の極板が配置され、前記一方の極板のうち前記電池ケースの内面と対向する部分には活物質層が形成されていない集電体露出部が設けられている請求項1に記載の円筒形非水電解液二次電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の円筒形非水電解液二次電池の製造方法であって、
非水電解液を注液する前に、前記電極体を収納した電池ケース内部を大気圧以上に加圧し、大気圧に開放する工程を少なくとも1回行うことを特徴とする、
円筒形非水電解液二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極体を電池ケースへ挿入する際の電極体の損傷が防止され、電解液の電極体への含浸性が改善された非水電解液二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解液二次電池は、その電池ケースの形状によって円筒形、角形及びパウチ型の電池に分類される。電池ケースに収納される電極体としては、巻回型及び積層型が存在する。巻回型の電極体は、正極板及び負極板がセパレータを介して巻回され、巻回終端部を巻き止めテープによって電極体に固定して作製される。その電極体を電池ケースに収納し、電解液を注液した後、電池ケースの開口部を封止することで非水電解液二次電池が作製される。非水電解液二次電池は、電極体の構成によって電解液が浸透するのに要する時間が変動する。そのため、電極体への電解液の含浸性は非水電解液二次電池の生産性に大きな影響を与える因子と考えられている。
【0003】
近年、非水電解液二次電池の高容量化の要求の高まりに伴い、電極体には活物質やセパレータといった部材が高密度に充填されている。そのため、電解液が電極体に速やかに含浸することが困難になりつつある。また、充電時の極板の膨張によってセパレータが極板に圧迫されて充電後に電圧が低下する電圧不良が発生することがある。
【0004】
特許文献1には、電解液を注液する前に、電極体を収納した電池ケース内を所定の圧力で加圧し、その後に大気開放する電池の製造方法を開示されている。注液前にこのような加圧と減圧を行うことで、電解液が電極体に速やかに含浸することが示されている。
【0005】
特許文献2には、基材の一部に粘着剤が存在しない粘着テープで巻回終端部を電極体に固定した巻回型二次電池が開示されている。この粘着テープは、粘着剤が存在しない部分が巻回終端部に配置されるように電極体に貼り付けられている。これにより電解液が電極体の巻回終端部から含浸することが示されている。
【0006】
特許文献3には、電極体の巻き止めテープとして、テープの基材上に粘着剤が島状に点在しているものを用いた非水電解液電池が開示されている。この非水電解液電池においては、電解液が巻き止めテープの粘着剤が存在しない部分に短時間で含浸し、電極体から巻き止めテープが剥がれて電極体が緩められる。このような作用により、電極体が高密度に充填された場合でも電圧不良の発生が抑制されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−212227号公報
【特許文献2】特開2006−302801号公報
【特許文献3】特開平9−161814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された電池の製造方法は、電解液を電極体に速やかに含浸させる方法としては有効であると考えられる。しかし、巻回終端部が巻き止めテープで固定された電極体を有する電池にその製造方法を適用する場合は、その製造方法の効果が十分に発揮されない場合がある。
【0009】
特許文献2に記載された巻回型二次電池は、電極体の巻回終端部上に粘着剤を有する部分が重ならないように粘着テープを貼り付けている。そのような構成の場合、巻回終端部を電極体に確実に固定するために、電極体の巻回方向に沿って粘着テープの貼り付け量を増加させる必要がある。粘着テープの貼り付け量を増加させると、電極体の外径が大きくなるため電極体の電池ケースへの挿入が困難になる場合がある。
【0010】
特許文献3に記載された非水電解液電池に用いられた巻き止めテープは、粘着剤が配置されていない領域に電解液が含浸することが記載されているものの、電極体への電解液の含浸性については考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、正極集電体上に形成された正極活物質層を有する正極板と負極集電体上に形
成された負極活物質層を有する負極板がセパレータを介して巻回され、巻回終端部を覆うように長方形又は正方形の巻き止めテープが貼り付けられた電極体と、電極体を収納する電池ケースとを備える円筒形非水電解液二次電池であって、巻き止めテープが、電極体への貼り付け面に粘着剤が設けられた粘着部と、粘着剤が設けられていない非粘着部とを有し、電極体の巻回軸方向を電極体の高さ方向及び巻き止めテープの幅方向とし、巻き止めテープの幅方向に沿って粘着部が非粘着部の両端に配置され、電極体の高さWa、巻き止めテープの幅Wb、非粘着部の幅Wcが0.9≦Wb/Wa≦1.05かつ0.35≦Wc/Wa≦0.85を満たすことを特徴とする円筒形非水電解液二次電池に関する。
【0012】
本発明においては、電極体の最外周部には正極板及び負極板のいずれか一方の極板が配置され、その一方の極板の電池ケースの内面と対向する部分には活物質層が形成されていない集電体露出部が設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る非水電解液二次電池の製造方法においては、非水電解液を注液する前に、電極体収納した電池ケース内部を大気圧以上に加圧し、大気圧に開放する工程を少なくとも1回行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電極体を電池ケースへ挿入する際の電極体の損傷が防止され、電解液の電極体への含浸性が改善されるため、非水電解液二次電池の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実験群で用いた非水電解液二次電池の断面図である。
図2図2は、非粘着部を有する巻き止めテープを用いた電極体の平面図である。
図3図3は、非粘着部を有しない巻き止めテープを用いた電極体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図1に示された円筒形非水電解液二次電池に基づいて詳細に説明する。本発明は、以下に説明する実施形態に限定されない。
【0017】
正極板は正極集電体上に正極活物質層を形成することで作製される。正極活物質層は、正極活物質、結着剤、導電剤及び分散媒を混練して調製したスラリー状の合剤を正極集電体上に塗布、乾燥、圧縮して形成することができる。
【0018】
正極集電体の材料として、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン及びチタン合金などが例示される。中でも、アルミニウム及びアルミニウム合金は電解液へ溶出しにくいため正極集電体の材料として好ましい。
【0019】
正極活物質としては、例えばコバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄及びバナジウムから選ばれる少なくとも一種とリチウムとを含むリチウム遷移金属複合酸化物を使用することができる。
【0020】
本発明において、リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いることが特に好ましい。リチウムニッケル複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物に比べて高容量で、安価であるため、高エネルギー密度の非水電解液二次電池を作製するためには好適である。しかし、リチウムニッケル複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物に比べて高密度に活物質層を形成する必要がある。そのため、リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いた電極体は電解液の含浸性が十分ではない場合が多い。本発明によれば、電解液の電極体への含浸性を改善することができるため、高容量の非水電解液二次電池を高い生産性で製造することが可能になる。
【0021】
負極板は負極集電体上に負極活物質層を形成することで作製される。負極活物質層は、負極活物質、結着剤及び分散媒を混練して調製したスラリー状の合剤を負極集電体上に塗布、乾燥、圧縮して形成することができる。なお、上記の合剤には必要により導電剤を添加してもよい。
【0022】
負極集電体の材料として、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼、アルミニウム及びアルミニウム合金などが例示される。中でも、銅、銅合金、ニッケル及びニッケル合金は電解液へ溶出しにくいため負極集電体の材料として好ましい。
【0023】
負極活物質として、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛材料、難黒鉛化炭素や易黒鉛化炭素などの炭素材料、ケイ素やスズなどの金属材料、及び酸化ケイ素や酸化スズなどの金属酸化物材料などを使用することができる。
【0024】
セパレータとして、ポリオレフィン材料を用いた微多孔膜を使用することができ、ポリオレフィン材料と耐熱性材料を組み合わせた微多孔膜も使用することができる。ポリオレフィン微多孔膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレンン及びエチレン−プロピレン共重合体の少なくとも一種を含む単層又は複層の微多孔膜を使用することができる。耐熱性材料としては、アラミド、ポリイミド及びポリアミドイミドなどの耐熱性樹脂や無機酸化物などの無機フィラーが例示される。
【0025】
非水電解液は、非水溶媒に電解液塩としてのリチウム塩を溶解して調製される。非水溶媒には、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒を用いることが好ましい。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートなどが例示される。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートなどが例示される。リチウム塩には、LiPF6、LiBF4及びLiClO4の少なくとも一種を用いることができる。
【0026】
巻き止めテープは、基材と粘着剤からなるものを用いることができる。基材の材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルや、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ四フッ化エチレンなどが挙げられる。また、例示されたこれらの材料から二種以上を用いて複合体としたものも基材として用いることができる。
【0027】
巻き止めテープの粘着剤の材料としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。
【0028】
本発明において、注液前に電極体を収納した電池ケースの内部を一旦大気圧から所定圧力まで加圧する場合の上限圧力は特に制限はないが、0.2〜2MPaの範囲であることが好ましい。加圧後に大気圧に開放する工程には、電池ケースの内部を加圧した後、大気圧以下になるまで減圧してから大気圧に開放する手段を採ることもできる。前述の加圧及び減圧を行う方法は、電極体を収納した注液前の仕掛品を密閉可能なボックスの内部に入れて、ボックス内部の圧力を増減させて行うことが好ましい。このような方法であれば、電池ケースを変形させることなく電極体に圧力を印加することができる。
【0029】
次に、以下に示す実施例を用いてより具体的に本発明の実施態様を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
(第1実験群)
(実施例1−1〜1−5)
(正極板の作製)
正極活物質としてのLiNi0.8Co0.15Al0.052が100質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンが1.7質量部、導電剤としてのアセチレンブラックが2.5質量部となるように分散媒としてのN−メチルピロリドンへ投入し、これらが均一に分散するように混練してスラリー状の正極合剤を調製した。この正極合剤を、厚みが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布、乾燥、圧縮し、所定寸法に裁断した。この正極板11の寸法は長さが573mm、幅が57mm、厚みが163μmである。なお、正極板11の一部に正極合剤が塗布されていない集電体露出部を設け、その集電体露出部にアルミニウム製の正極リード15を接続して正極板11を作製した。
【0031】
(負極板の作製)
負極活物質としての易黒鉛化炭素が100質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンが0.6質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースが1質量部となるように分散媒としての水へ投入し、これらが均一に分散するように混練してスラリー状の負極合剤を調製した。この負極合剤を厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布、乾燥、圧縮し、所定寸法に裁断した。この負極板12の寸法は長さが658mm、幅が58.5mm、厚みが164μmである。なお、負極板12の一部に負極合剤が塗布されていない集電体露出部を設け、その集電体露出部にニッケル製の負極リード16を接続して負極板12を作製した。
【0032】
(電極体の作製)
上記のようにして作製した正極板11及び負極板12を、厚みが20μmのポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータ13を介して巻回し、巻回終端部に巻き止めテープ22を貼り付けて電極体14を作製した。電極体14の最外周部にはセパレータ13を配置した。
【0033】
巻き止めテープ22は、図2に示すように、電極体14との貼り付け面に粘着剤が設けられた粘着部23と粘着剤が設けられていない非粘着部24を有する。粘着部23は非粘着部24の幅方向の両端に配置されている。実施例1−1〜1−5においては、それぞれWb/Wa及びWc/Waが表1に示す値となる巻き止めテープ22を用いた。ここで、Waは電極体14の高さ、Wbは巻き止めテープ22の幅、Wcは非粘着部24の幅である。なお、電極体14の高さWaは実施例1−1〜1−5において共通である。なお、電極体14の高さは電極体14の巻回軸方向の長さに対応する。
【0034】
(注液前の仕掛品の作製)
電極体14と負極リード16の間にポリプロピレンからなる円形の下部絶縁板18を配置し、自動装置を用いて電極体14を電池ケース19へ挿入した後に負極リード16を電池ケース19の底部に接続した。次に、ポリプロピレンからなる円形の上部絶縁板17を電極体14上に配置した後に正極リード15を封口体20に接続して注液前の仕掛品を作製した。
【0035】
(非水電解液の調製)
エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートの混合溶媒に、電解液塩としてのLiPF6が1.0mol/Lになるように溶解して、非水電解液を調製した。
【0036】
(非水電解液の注液)
電解液の注液条件は次の通りである。まず、大気圧下で注液前の仕掛品に2mlの電解液を注液し、真空になるまで減圧して仕掛品の電極体内部の空気を抜き出した。この操作を3回繰り返して、合計6mlの電解液を注液した。
【0037】
(封口体のかしめ固定)
注液された電解液が完全に電極体14の内部に含浸した後、封口体20を電池ケース19の開口部へガスケット21を介してかしめ固定して実施例1−1〜1−5に係る円筒形の非水電解液二次電池10を作製した。この電池寸法は、直径が18mm、高さが65mmである。
【0038】
(比較例1−1〜1−3)
実施例1−1の巻き止めテープ22に代えて、Wb/Wa及びWc/Waが表1に示す値となるものを用いて、比較例1−1〜1−3に係る非水電解液二次電池10を作製した。なお、Waは実施例1−1と共通である。
【0039】
(比較例1−4〜1−6)
実施例1−1の巻き止めテープ22に代えて、片面の全てに粘着部が設けられたものを用いて、比較例1−4〜1−6に係る非水電解液二次電池10を作製した。比較例1−4、1−5及び1−6においては、それぞれ図3(a)、(b)及び(c)に示すように電極体14の巻回終端部上に巻き止めテープ22を貼り付けた。比較例1−4のテープ幅は実施例1−1と同一であり、比較例1−5及び1−6のテープ幅はそれぞれ比較例1−4のテープ幅の30%及び40%である。
【0040】
【表1】
【0041】
(電極体の損傷評価)
電極体14を自動装置により電池ケース19へ挿入する際に発生する電極体14の損傷について次のように評価した。注液前の仕掛品から電極体14を取り出し、電極体14の最外周部の損傷の有無を目視で確認した。電極体の最外周部に破れが発生しているものを電極体14の損傷有と判断した。電極体14の損傷評価は、各実施例及び比較例とも100個の仕掛品の損傷の有無を目視で確認した。各実施例及び比較例の電極体損傷の発生数を表2にまとめて示す。
【0042】
(電解液の含浸性評価)
電解液の電極体14への含浸性を次のように評価した。上記の注液を行う際の3回目の真空減圧後に仕掛品を大気圧下に開放した時点から、電極体14の上面に残っている電解液の液面が目視で確認できなくなるまでの時間を測定した。このようにして測定した時間を電解液の含浸時間とし、これを電解液の電極体への含浸性の指標として用いた。各実施例及び比較例について50個の仕掛品の含浸時間を測定した。測定結果から算出した平均値を表2にまとめて示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示された結果から、実施例1−1〜1−5はいずれも比較例1−4に比べると電解液の含浸時間が大幅に短縮されていることがわかる。これは、非粘着部24を一部に有する巻き止めテープ22を用いることによって、電解液の含浸性が改善されることを示している。比較例1−5及び1−6は、比較例1−4と同様に非粘着部24を有しない巻き止めテープ22を用いているが、それらの電解液の含浸時間は実施例1−1〜1−5と差はみられない。単に巻き止めテープ幅を小さくするだけでは、電解液の含浸性を改善できても、電極体14の損傷を防止することはできない。比較例1−1〜1−3はいずれも非粘着部24を有する巻き止めテープ22を用いているが、比較例1−1及び1−2は電極体14の損傷が発生し、比較例1−3は電解液の含浸性が十分ではない。以上より、電極体14の損傷の防止にはWb/Waは0.9以上であることが好ましく、電解液の含浸性の改善にはWc/Waは0.35以上であることが好ましいことがわかる。巻き止めテープ22は電極体14の高さを過剰に超えないことが好ましいため、Wb/Waは1.05以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。巻回終端部を電極体に確実に固定するためにWc/Waは0.85以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。
【0045】
(第2実験群)
(実施例2−1〜2−5、比較例2−1〜2−6)
電極体の最外周部に、外周側に活物質層が形成されていない負極板12を配置したことを除いては第1実験群と同様にして実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−6に係る非水電解液二次電池を作製した。実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−6はそれぞれ実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−6に対応している。
【0046】
実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−6についても、第1実験群と同様にして電極体の損傷評価と電解液の含浸性を評価した。それらの結果を表3にまとめて示す。
【0047】
【表3】
【0048】
表3と表2の電極体損傷の発生数を比較すると、電極体の最外周部をセパレータに変えて外周側に集電体露出部を設けた負極板に変えた第2実験群では、電極体損傷の発生数が多く発生していることがわかる。これはセパレータに比べて負極集電体のほうが電池ケースとの接触によって損傷を受けやすいためだと考えられる。ところが、実施例1−1〜1−5においては電極体の損傷が発生しておらず、本発明は電極体の最外周部の外周側に集電体露出部を設けた負極板を配置した場合において顕著な効果を発揮することがわかる。なお、電極体の最外周部を正極板とした場合であっても同様な効果が発揮されると考えられる。表3と表2の電解液の含浸時間を比較すると、第2実験群では全体的に含浸時間が長くなっていることがわかる。第1実験群において実施例1−1が比較例1−4に比べて含浸時間が約34%短縮されているのに対して、この第2実験群においては実施例2−1が比較例2−4に比べて含浸時間が約38%短縮されている。電解液の含浸性についても、電極体の最外周部に外周側に集電体露出部を設けた負極板を配置した場合において有利な効果が発揮されている。
【0049】
(第3実験群)
(実施例3−1〜3−5及び比較例3−1〜3−6)
注液前に、電極体を収納した電池ケースの内部を0.8MPaに加圧し、その後大気開放する工程を3回繰り返したことを除いては第2実験群と同様にして実施例3−1〜3−5及び比較例3−1〜3−6に係る非水電解液二次電池を作製した。実施例3−1〜3−5及び比較例3−1〜3−6はそれぞれ実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−6に対応している。
【0050】
実施例3−1〜3−5及び比較例3−1〜3−6について、第2実験群と同様にして電解液の含浸性を評価した。その結果を表4にまとめて示す。
【0051】
【表4】
【0052】
表4と表3の電解液の含浸時間を比較すると、注液前に電極体を収納した電池ケースの内部を大気圧から0.8MPaまで加圧し、その後大気開放する工程を3回行った第3実験群においては電解液の含浸性が大幅に向上していることがわかる。特に、実施例1−1〜1−5のように本発明の巻き止めテープを用いたものは、電池ケースの内部を加圧及び減圧することの効果が顕著である。これは、本発明の巻き止めテープを用いたことによって、高密度に巻回されていた電極体が緩みやすくなっていることが原因と考えられる。
【0053】
以上の実施例においては円筒形の非水電解液二次電池を用いて本発明の実施形態を詳細に説明したが、巻回電極体を備える非水電解液電池であれば円筒形電池に限定されることなく本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、携帯電話やノートパソコンといったモバイル機器の駆動電源だけでなく、電動工具、電気自動車(EV)や蓄電システムなどの電源にも適用することが可能であり、産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0055】
10 非水電解液二次電池
11 正極板
12 負極板
13 セパレータ
14 電極体
19 電池ケース
22 巻き止めテープ
23 粘着部
24 非粘着部
図1
図2
図3