(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
以下の(A)〜(C)成分を含み、(B)成分全体に対してトリメチロールプロパントリメタクリレートを40〜70質量%含み、(C)成分全体に対して可視光型光重合開始剤を0〜30質量%含む、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物:
(A)成分:ウレタン結合を有する(メタ)アクリルオリゴマー
(B)成分:(A)成分100質量部に対して50〜100質量部含まれる3官能(メタ)アクリルモノマー
(C)成分:(A)成分100質量部に対して1〜20質量部含まれる光重合開始剤。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、除去しやすいトップコートは必然的に表面の硬化が悪くなり、トップコートとしての役割を果たすことができない。また、トップコートは下地の装飾を美しく見せるため、光沢と共に透明無色な外観が最も重要とされる。しかし、光硬化性組成物に用いられるアクリル化合物やメタクリル化合物は酸素阻害を引き起こすため、トップコートの空気に触れている最表面は硬化しにくくベタ付きが残り、外観が劣化する。そのため、ジェルネイルの分野においては、トップコートを光照射で硬化させた後に、溶剤を染みこませたウェスで最表面の未硬化部分を拭き取るという作業を行っている。
【0004】
爪または人工爪のトップコートに用いられる光硬化性組成物において、硬化後に酸素阻害が発生することを前提として、トップコートの未硬化部分を溶剤で拭き取るという作業を行うと、トップコートの光沢および無色透明な外観を維持することが困難であった。
【0005】
以上から、本発明は、硬化後にかような拭き取り作業を行っても、優れた光沢および無色透明な外観を発現することができる、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者らは、上記課題を達成するべく鋭意検討した結果、以下の構成を有する爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物により達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
1.以下の(A)〜(C)成分を含み、(B)成分全体に対してトリメチロールプロパントリメタクリレートを40〜70質量%含み、800μm厚の硬化物における波長400nmの透過率が10.0%以上である、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物:
(A)成分:(メタ)アクリルオリゴマー
(B)成分:(A)成分100質量部に対して50〜100質量部含まれる3官能(メタ)アクリルモノマー
(C)成分:(A)成分100質量部に対して1〜20質量部含まれる光重合開始剤。
【0008】
2.以下の(A)〜(C)成分を含み、(B)成分全体に対してトリメチロールプロパントリメタクリレートを40〜70質量%含み、(C)成分全体に対して可視光型光重合開始剤を0〜30質量%含む、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物:
(A)成分:(メタ)アクリルオリゴマー
(B)成分:(A)成分100質量部に対して50〜100質量部含まれる3官能(メタ)アクリルモノマー
(C)成分:(A)成分100質量部に対して1〜20質量部含まれる光重合開始剤。
【0009】
3.800μm厚の硬化物における波長400nmの透過率が10.0%以上である、上記2.に記載の爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物。
【0010】
4.さらに、(D)成分として可塑剤を含む、上記1.〜3.のいずれかに記載の爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物。
【0011】
5.上記1.〜4.のいずれかに記載の爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物を光照射により硬化させて、溶剤を染みこませたウェスにより硬化物表面を拭き取ることにより得られる塗膜。
【0012】
6.上記1.〜4.のいずれかに記載の爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物を光照射により硬化させて、溶剤を染みこませたウェスにより硬化物表面を拭き取って光沢を出す方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態は、(A)成分:(メタ)アクリルオリゴマー、(B)成分:(A)成分100質量部に対して50〜100質量部含まれる3官能(メタ)アクリルモノマー、および(C)成分:(A)成分100質量部に対して1〜20質量部含まれる光重合開始剤を含み、かつ(B)成分全体に対してトリメチロールプロパントリメタクリレートを40〜70質量%含み、さらに下記(i)または(ii)の少なくとも一方を満たす、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物である:
(i)800μm厚の硬化物における波長400nmの透過率が10.0%以上である;
(ii)(C)成分全体に対して可視光型光重合開始剤を0〜30質量%含む。
【0014】
かような構成を有する爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物は、低粘度であるとともに、爪に塗布した後に紫外光や可視光等の光を照射して硬化する際に低発熱であることから、作業性に優れる。さらに、当該組成物を硬化して得られる塗膜は、その最表面の未硬化部分を溶剤で拭き取る作業を行っても、優れた光沢および無色透明な外観を発現することができる。
【0015】
以下、本発明に係る爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物(以下、「光硬化性組成物」または単に「組成物」とも称する)および当該組成物から形成される硬化物について、詳細に説明する。なお、本明細書において、「X〜Y」は、その前後に記載される数値(XおよびY)を下限値および上限値として含む意味で使用する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
【0016】
<光硬化性組成物>
以下、本発明の組成物の各構成成分について説明する。
【0017】
[(A)成分]
本発明の組成物には、(A)成分として、アクリル基および/またはメタクリル基を有する(メタ)アクリルオリゴマーが含まれる。以下、アクリル基とメタクリル基を合わせて(メタ)アクリル基と呼ぶ。(メタ)アクリル基の結合位置は、特に制限されず、分子の末端でも主骨格中でもよい。25℃雰囲気下で液状であり、下記の(B)成分〜(D)成分との相溶性が良好な(A)成分を使用することが好ましい。
【0018】
(メタ)アクリルオリゴマーの具体例としては、エステル結合を有する(メタ)アクリルオリゴマー、エーテル結合を有する(メタ)アクリルオリゴマー、ウレタン結合を有する(メタ)アクリルオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリルオリゴマーなどが挙げられ、その主骨格はビスフェノールA、ノボラックフェノール、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の(A)成分として、1分子中に1以上のエポキシ基および1以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を使用してもよい。
【0019】
エステル結合を有する(メタ)アクリルオリゴマーとしては、ポリオールと多価カルボン酸との合成によりエステル結合を形成して、未反応の水酸基にアクリル酸を付加させる合成が知られているが、この合成方法に限定されるものではない。具体的には東亜合成株式会社製のアロニックスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−7300K、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050などが、日本合成化学工業株式会社製のUV−3500BA、UV−3520TL、UV−3200B、UV−3000Bなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
エーテル結合を有する(メタ)アクリルオリゴマーとしては、ポリエーテルポリオールの水酸基や、ビスフェノールなどの芳香族系水酸基にアクリル酸を付加させる合成方法が知られているが、この合成方法に限定されるものではない。具体例としては、日本合成化学工業製のUV−6640B、UV−6100B、UV−3700Bなどが、共栄社化学株式会社製のライト(メタ)アクリレート3EG−A、4EG−A、9EG−A、14EG−A、PTMGA−250、BP−4EA、BP−4PA、BP−10EAなどが、ダイセル・サイテック株式会社製のEBECRYL3700などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
ウレタン結合を有する(メタ)アクリルオリゴマーとしては、ポリオールとポリイソシアネートによりウレタン結合を形成して、未反応の水酸基にアクリル酸を付加させて合成されたものが知られている。具体例としては、共栄社化学株式会社製のAH−600、AT−600、UA−306H、UF−8001Gなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、(A)成分は、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
[(B)成分]
本発明の組成物には、(B)成分として、3官能(メタ)アクリルモノマーが含まれる。具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ECH変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。この中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレートが好ましい。(B)成分としては、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用することもできるが、これらのうち、組成物から形成される硬化物の光沢の観点から、トリメチロールプロパントリメタクリレートを必須に含む(下記実施例3および比較例5参照)。
【0023】
本発明において、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、50〜100質量部であり、より好ましくは53〜95質量部であり、組成物から形成される硬化物の硬度の観点から、さらにより好ましくは57〜90質量部である。(B)成分が50質量部以上の場合は、組成物の光硬化性を維持することができる。一方、(B)が100質量部以下の場合は、組成物が保存時に増粘すること無く保存安定性を維持することができる。なお、(B)成分が50質量未満の場合、組成物から形成される硬化物の表面をウェスで拭き取った後に、光沢が発現しない(下記比較例11参照)。
【0024】
また、本発明において、トリメチロールプロパントリメタクリレートの含有量は、(B)成分全体に対して40〜70質量%である。かような含有量であれば、組成物を硬化した後に溶剤を染みこませたウェスで拭き取ることで、硬化物表面に光沢を発現することができる。さらに、組成物から形成される硬化物の硬度の観点から、トリメチロールプロパントリメタクリレートの含有量は、(B)成分全体に対して、40〜63質量%が好ましく、45〜63質量%がより好ましい。なお、トリメチロールプロパントリメタクリレートの含有量が、(B)成分全体に対して40質量%未満であるまたは70質量%を超える場合、組成物から形成される硬化物の表面をウェスで拭き取った後に、光沢が発現しない(下限を下回る形態については、下記比較例7、10および12参照;上限を超える形態については、下記比較例13参照)。
【0025】
また、本発明の(B)成分として、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。これにより、組成物から形成される硬化物の硬度を向上させることができる。イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレートの含有量は、(B)成分全体に対して、好ましくは0〜60質量%であり、より好ましくは15〜50質量%であり、さらにより好ましくは25〜50質量%であり、特に好ましくは40〜45質量%である。かような含有量であれば、組成物から形成される硬化物の硬度をさらに向上させることができる。
【0026】
[(C)成分]
本発明の組成物には、(C)成分として、光重合開始剤が含まれる。
【0027】
(C)成分としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線によりラジカル種を発生するラジカル系光重合開始剤であれば、特に限定されない。ラジカル系光重合開始剤の具体例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類などが挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが特に好ましい。なお、上記ラジカル系光重合開始剤は、1種単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明の(C)成分としては、上記ラジカル系光重合開始剤の代わりに、またはこれと組み合わせて、カチオン系光重合開始剤を使用することもできる。前記カチオン系光重合開始剤の具体例としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられるが、具体的にはベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、4,4’−ビス[ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)スルフォニオ]フェニルスルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。上記カチオン系光重合開始剤は、1種単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
また、本発明においては、組成物を硬化させる際の黄変を抑制する観点から、(C)成分として可視光型光重合開始剤を含有することが好ましい。可視光型光重合開始剤は、可視光領域で光の極大吸収を示す光重合開始剤であり、主にリン原子を有するアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を表す。可視光型光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドやビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられ、中でも光硬化性の向上の観点から2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが特に好ましい。
【0030】
本発明において、(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部である。(C)成分が1質量部以上の場合は、組成物の光硬化性を維持することができる。一方、(C)成分が20質量部以下の場合は、組成物が保存時に増粘すること無く保存安定性を維持することができる。
【0031】
また、(C)成分として上記可視光型光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、(C)成分全体に対して、0〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。かような含有量であれば、組成物を硬化させる際に黄変が発生しない。なお、(C)成分全体に対する可視光型光重合開始剤の含有量が30質量%を超えると、組成物から形成される硬化物の表面をウェスで拭き取った後に光沢が発現しない上に、硬化物に着色が認められ、外観を損なってしまう(下記比較例6、7参照)。
【0032】
[(D)成分]
本発明の組成物は、(A)〜(C)成分以外に(D)成分として可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤の具体例としては、ポリカルボン酸エステル系可塑剤として、芳香族ポリカルボン酸エステル、フタル酸エステルとしてジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)など、トリメリット酸エステルとしてトリメリット酸トリオクチル(TOTM)、トリメリット酸トリイソデシル(TITM)など、ピロメリット酸エステルとしてピロメリット酸テトラオクチルなど、脂肪族ポリカルボン酸エステルとしてアジピン酸ジ2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸イソデシル(DIDA)、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(DOS)、セバシン酸ジブチル(DBS)、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル(DOM)、フマル酸ジブチル(DBF)、アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル(DOZ)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシル、クエン酸トリオクチル、グリセロールトリアセテートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、リン酸エステル系可塑剤として、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ(クロロエチル)ホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルフェニルホスフェートなどが挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(DOS)が好ましい。上記可塑剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0033】
本発明において、(D)成分の含有量は、(A)成分が100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。(D)成分が0.1質量部以上の場合、組成物から形成される硬化物の表面を溶剤を染みこませたウェスでふき取る際に、傷が付きにくくかつ光沢が発現する。一方、10質量部以下の場合、組成物から形成される硬化物は経時で傷が付きにくく光沢を維持することができる。すなわち、本発明の好ましい形態としては、さらに、(D)成分として可塑剤を含む、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物である。
【0034】
[その他のモノマー]
本発明の組成物には、(A)〜(D)成分以外に、その他のモノマーを含有することができる。その他のモノマーとしては、特に制限されないが、(A)成分や(B)成分と共重合させる観点から、単官能および/または2官能(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましい。
【0035】
単官能(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(ECH)変性ブチル(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の硬度向上の観点から、脂環式構造を有する(メタ)アクリルモノマーが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。あるいは、水酸基を有する単官能モノマーが好ましい。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の化合物は、1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
なお、脂環式構造とは、不飽和結合を有しない炭化水素の環状構造のことを表し、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、ブチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基、ヒドロナフチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基などが挙げられる。
【0037】
単官能(メタ)アクリルモノマーの含有量は、特に制限されないが、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0〜50質量部である。また、作業性の観点から、より好ましくは10〜45質量部であり、さらにより好ましくは25〜40質量部である。
【0038】
2官能(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ECH変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、EO変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の硬度向上の観点から、脂環式構造を有する2官能(メタ)アクリルモノマーが好ましく、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、上記の化合物は、1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
2官能(メタ)アクリルモノマーの含有量は、特に制限されないが、(A)成分100質量部に対して、好ましくは2〜30質量部である。また、組成物から形成される硬化物の硬度の観点から、より好ましくは10〜25質量部であり、特に好ましくは15〜20質量部である。
【0040】
本発明において、その他のモノマーの含有量は、(A)成分100質量部に対して、5〜60質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。その他のモノマーが5質量部以上の場合は、組成物の光硬化性を維持することができる。一方、その他のモノマーが60質量部以下の場合は、組成物が保存時に増粘すること無く保存安定性を維持することができる。
【0041】
[その他の添加剤]
本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において、顔料、染料などの着色剤、金属粉、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、難燃剤、有機充填剤、酸化防止剤、重合禁止剤、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、樹脂強度・接着強さ・作業性・保存性等に優れた組成物またはその硬化物が得られる。
【0042】
作業性の観点から、本発明に係る組成物の粘度は、温度25℃において30Pa・s以下であることが好ましい。このとき、粘度は、下記実施例の[粘度測定]に記載の方法に従って測定した粘度を表す。また、本発明の組成物は、無溶剤型、溶剤型のいずれでもよい。
【0043】
<硬化物の作製>
爪または人工爪の上に、本発明に係るトップコート用光硬化性組成物を塗布し、光照射により硬化させることで、硬化物(塗膜)を得ることができる。この際、照射する光は、紫外線、可視光のいずれでもよい。用いる光源は特に制限されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LED、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等を用いることができる。光照射の積算光量は、皮膚への影響の観点から、30kJ/m
2以下であることが好ましく、硬化効率の観点から、5kJ/cm
2以上であることが好ましい。
【0044】
組成物から形成される硬化物は、黄変を生じず、無色透明な外観を有することが好ましい。具体的には、硬化物の厚さが800μmの場合、波長400nmにおける透過率が10.0%以上であることが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態は、800μm厚の硬化物における波長400nmの透過率が10.0%以上である、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物である。なお、本明細書において、「800μm厚の硬化物における波長400nmの透過率」とは、下記実施例の[透過率測定]に記載の方法に従って測定した、波長400nmにおける透過率である。
【0045】
本発明に係る組成物を硬化して得られる塗膜は、酸素阻害を受けた表面の未硬化部分を溶剤を染みこませたウェスにより拭き取って光沢を発現することができる。用いる溶剤としては、硬化物表面の未硬化のモノマーやオリゴマーを除去できる溶剤であれば特に制限されず、例えばエタノール、イソプロパノール等が挙げられる。また、拭き取りに使用するウェスとしては、例えばコットン等が挙げられる。
【0046】
すなわち、本発明の好ましい形態としては、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物を光照射により硬化させて、溶剤を染みこませたウェスにより硬化物表面を拭き取ることにより得られる塗膜である。かようにして得られる塗膜は、溶剤を染みこませたウェスにより塗膜表面を拭き取った後であっても、光沢を発現することができる。すなわち、本発明は、本発明の爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物を光照射により硬化させて、溶剤を染みこませたウェスにより硬化物表面を拭き取って光沢を出した塗膜をも提供する。したがって、本発明の他の好ましい形態としては、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物を光照射により硬化させて、溶剤を染みこませたウェスにより硬化物表面を拭き取って光沢を出す方法である。
【実施例】
【0047】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
【0048】
[実施例1〜12、比較例1〜13]
組成物を調製するために下記成分を準備した:
[(A)成分:(メタ)アクリルオリゴマー]
・ウレタンアクリルオリゴマー(2官能、重量平均分子量:4500)(UF−8001G、共栄社化学株式会社製)(下記表1において、「UF−8001G」と称する)
[(B)成分:3官能(メタ)アクリルモノマー]
・トリメチロールプロパントリメタクリレート(NKエステルTMPT、新中村化学工業株式会社製)(下記表1において、「TMPT」と称する)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(NKエステルA−TMPT、新中村化学工業株式会社製)(下記表1において、「A−TMPT」と称する)
・エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマーSR502、サートマー社製)(下記表1において、「SR502」と称する)
・イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(3官能:65質量%、2官能:35質量%)(アロニックスM−313、東亞合成株式会社製)(下記表1において、当該化合物の3官能成分は「M−313(3官能)」と、2官能成分は「M−313(2官能)」と、それぞれ称する)
[その他のモノマー]
・ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学株式会社製)(下記表1において、「DCP−A」と称する)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(NKエステルA−DPH、新中村化学工業株式会社製)(下記表1において、「A−DPH」と称する)
・イソボルニルメタクリレート(ライトエステルIB−X、共栄社化学株式会社製)(下記表1において、「IB−X」と称する)
・イソボルニルアクリレート(ライトアクリレートIB−XA、共栄社化学株式会社製)(下記表1において、「IB−XA」と称する)
[(C)成分:光重合開始剤]
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(可視光型光重合開始剤)(LUCIRIN TPO、BASFジャパン株式会社製)(下記表1において、「TPO」と称する)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(非可視光型光重合開始剤)(Suncure84、Chemark社製)(下記表1において、「84」と称する)
・2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(非可視光型光重合開始剤)(IRGACURE 127、BASFジャパン株式会社製)(下記表1において、「127」と称する)
・メチルベンゾイルホルメート(非可視光型光重合開始剤)(Vicure55、アクゾノーベル株式会社製)(下記表1において、「55」と称する)
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(非可視光型光重合開始剤)(DAROCUR 1173、BASFジャパン株式会社製)(下記表1において、「1173」と称する)
[(D)成分:可塑剤]
・セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(サンソサイザーDOS、新日本理化株式会社製)(下記表1において、「DOS」と称する)。
【0049】
上記(A)成分、(B)成分、その他モノマーおよび(D)成分を攪拌釜に秤量した後、温度25℃で30分間真空脱泡しながら攪拌を行う。その後、(C)成分を秤量して、さらに温度25℃で30分間真空脱泡しながら攪拌を行う。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。ここで、M−313は3官能成分と2官能成分とを含むため、それぞれ「M−313(3官能)」と「M−313(2官能)」とに分けて記載する。また、「(B)成分合計に対するTMPT含有率(%)」とは、(B)成分合計中におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの質量割合を示し、「(C)成分合計に対するTPO含有率(%)」とは(C)成分合計中における可視光型光重合開始剤の質量割合を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例1〜12および比較例1〜13で調製される組成物および当該組成物を硬化して得られる硬化物について、下記の方法により、組成物の粘度および硬化時発熱、ならびに硬化物の透過率、外観および表面処理後光沢を評価した。その結果を表2に示す。
【0052】
[組成物の粘度測定]
0.5mlの組成物を採取して、測定用カップに吐出し、以下の条件でEHD型粘度計(東機産業株式会社製)にて粘度測定を行う。その結果を「粘度(Pa・s)」とする。作業性の観点から、組成物の粘度は30Pa・s以下が好ましい。
【0053】
〔測定条件〕
コーンローター:3°×R14
回転速度:10rpm
測定時間:3分
測定温度:25℃(恒温槽により温度制御する)。
【0054】
[硬化物の透過率測定]
得られる硬化物の厚さが800μmとなるよう、800μmの金属スペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に組成物を流し込み、高圧水銀灯を搭載したベルトコンベアー式紫外線照射装置を用いて積算光量30kJ/m
2で照射して硬化物を作製する。可視紫外分光法により、波長が450nm、410nmおよび400nmにおける、硬化物の透過前後の光量を百分率で示した値である「透過率(%)」を測定する。硬化物が黄変せず無色透明な外観を示すには、波長400nmにおける透過率が10%以上であることが好ましい。
【0055】
[硬化物の外観確認]
上記の透過率測定の際に作製した硬化物を、白色の紙の上に載せて、下記の評価基準に従って目視で着色の有無を確認して、「硬化物外観」とする。トップコートに用いられる場合には、硬化物は無色である必要があることから、「○」であることが好ましい。
【0056】
〔評価基準〕
○:着色無し
×:着色有り。
【0057】
[硬化物の表面処理後光沢確認]
SPCC−SDを黒色化成処理後に電着塗装したテストピース(詳細はJIS G 3141(2011)を参照)の上に、上記で調製した組成物をドライ状態で厚さ100μmになる様に塗布した後、ネイル用LEDランプ(定格電圧:240V 50−60Hz、消費電力:30W、波長:400〜410nm)を用いて10秒照射して組成物を硬化させる。その後、得られた硬化物の表面をエタノールを染みこませたコットンにより3回拭き取る。エタノールを乾燥により除去した後、以下の評価基準で目視により光沢を確認した結果を「表面処理後光沢」とする。トップコートに用いられる場合には、外観上の観点から「○」であることが好ましい。
【0058】
〔評価基準〕
○:光沢有り
×:光沢無し。
【0059】
[組成物の硬化時発熱確認]
人体の手の爪に、組成物をドライ状態で厚さ100μmになる様に塗布した後、上記ネイル用LEDランプにて10秒照射して組成物を硬化させる。硬化の際に以下の評価基準で「硬化時発熱」を確認する。作業性の観点から、「○」であることが好ましい。
【0060】
〔評価基準〕
○:爪に熱さを感じない
×:爪に熱さを感じる。
【0061】
[硬化物の硬度測定]
組成物をドライ状態で厚さ1mmとなる様に塗布した後、高圧水銀灯を搭載したコンベア型照射器で積算光量30kJ/m
2の照射を2回行いシート状の硬化物を作成する。硬化物が25℃になった時点で、当該硬化物を3層に重ねたものを、試料として用いる。D型デュロメータ(硬度計)の加圧面を試料に対して平行に保ちながら、衝撃を伴うことなく速やかに10Nの力で押しつけ、加圧面と試料とを密着させる。測定時に最大値を読み取り、最大値を「硬度(単位無し)」とする。詳細はJIS K 6253−3(2012)に従う。当該試料の硬度がD50以上であれば、トップコートに使用できる硬さを確保していると言える。
【0062】
【表2】
【0063】
実施例1〜12と比較例1、3、4、6、8、9、11および13とを比較すると、(A)成分100質量部に対して(B)成分を50〜100質量部含まない比較例において、拭き取った後の硬化物表面に光沢が発現しない。さらに、実施例1〜12と比較例2、5、7、10および12とを比較すると、(A)成分100質量部に対して(B)成分を50〜100質量部含んでいても、(B)成分全体に対してトリメチロールプロパントリメタクリレートを40〜70質量%含まない比較例は、同様に硬化物表面に光沢が発現しない。また、比較例9では(B)成分の一部を6官能(メタ)アクリルモノマーに置き換えているが、硬化時に発熱があり実用に耐えない。また、比較例6および7は、(C)成分全体に対して可視光型光重合開始剤が30質量%より多く、硬化物外観が透明にならない。当該傾向は、800μm厚の硬化物における波長400nmの透過率が10.0%未満であることに相関すると考えられる。