(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、中点端子を介して直列接続される2つのコイルによって送電側一次コイルが形成され、さらに帰還巻線としての送電側二次コイルを有することから、送電コイル部の構成が複雑になり、コストアップとなってしまうという課題があった。加えて、2つのコイルで形成されている送電側一次コイルは、同一のインダクタンス値で結合係数が1となるのが理想であるが、実際には構造上、それぞれのコイルのインダクタンス値は異なり、さらに結合係数も理想より小さくなる。従って、自励発振している第1、第2のスイッチング素子の電流波形は非対称となり、スイッチング損失が増え、効率が低下する課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された技術は、帰還巻線を用いないものの、中点接続点を介して直列接続される2つのコイルによって励磁コイルL0が形成されており、送電コイル部の構成が複雑となり、コストアップとなってしまうという課題があった。加えて、2つのコイルで形成されている励磁コイルL0は、同一のインダクタンス値で結合係数が1となるのが理想であるが、実際には構造上、2つのコイルのインダクタンス値が異なり、さらに結合係数も理想よりも小さくなる。従って、自励発振している2つのトランジスタQ1,Q2の電流波形は非対称となり、スイッチング損失が増え、効率が低下する課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡素な回路構成であって、低コスト、高品質、且つ高効率な自励発振回路を備えたワイヤレス送電装置およびワイヤレス電力伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明によるワイヤレス送電装置は、電力伝送を行う送電コイルを含み、一対の直流入力端子間に印加される直流電圧を交流電圧に変換して前記送電コイルに供給する自励発振回路を備え、前記送電コイルが単一のコイルで構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、帰還巻線や中間タップを介して接続される2つのコイルからなる送電コイルを使用しなくてよいので、高品質且つ高効率な自励発振回路を備えたワイヤレス送電装置を低コストで実現することができる。
【0012】
本発明において、前記自励発振回路は、前記送電コイルと共に共振回路を構成する共振コンデンサと、前記送電コイルの一端に接続される第1のスイッチ素子と、前記送電コイルの他端に接続される第2のスイッチ素子と、前記送電コイルの一端と前記一対の直流入力端子の一方との間に接続される第1のインダクタと、前記送電コイルの他端と前記一対の直流入力端子の一方との間に接続される第2のインダクタとを含むことが好ましい。この構成によれば、高品質且つ高効率な自励発振回路を備えたワイヤレス送電装置を低コストで実現することができる。なお、第1および第2のスイッチ素子は、送電コイルの一端および他端にそれぞれ直接接続されてもよく、共振回路を構成する素子等を介して間接的に接続されてもよい。
【0013】
本発明において、前記自励発振回路は、前記第1のスイッチ素子の制御電極と前記送電コイルの他端との間に接続される第1のインピーダンス素子と、前記第2のスイッチ素子の制御電極と前記送電コイルの一端との間に接続される第2のインピーダンス素子とをさらに含むことが好ましい。この場合において、前記第1のインピーダンス素子は、第1の抵抗および第1のコンデンサの少なくとも一方を有し、前記第2のインピーダンス素子は、第2の抵抗および第2のコンデンサの少なくとも一方を有することが好ましい。さらに、前記第1のインピーダンス素子は、前記送電コイルの他端にカソードが接続される第1のダイオードをさらに有し、前記第2のインピーダンス素子は、前記送電コイルの一端にカソードが接続される第2のダイオードをさらに有することが好ましい。これにより、スイッチ素子の損失の低減が可能となるため、一層高効率の自励発振回路を実現できる。なお、第1および第2のインピーダンス素子は、送電コイルの他端および一端にそれぞれ直接接続されてもよく、共振回路を構成する素子等を介して間接的に接続されてもよい。
【0014】
本発明において、前記送電コイルの巻数は1ターンであることが好ましい。これにより、送電コイルの構成の一層の簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明において、前記送電コイルは、磁性体と、前記磁性体の主面に渦巻き状に巻回された導線とを有することが好ましい。これにより、高効率且つ低ノイズの送電が可能となる。
【0016】
また、本発明によるワイヤレス電力伝送システムは、上記特徴を有する本発明によるワイヤレス送電装置と、前記ワイヤレス送電装置から送電される電力をワイヤレスにて受電するワイヤレス受電装置と、を備え、前記ワイヤレス受電装置は、前記送電コイルと磁気結合する受電コイルと、前記受電コイルに発生した交流電圧を直流電圧に変換する整流回路とを含むことを特徴とする。本発明によれば、簡素な回路構成であって、低コスト、高品質、且つ高効率な自励発振回路を用いたワイヤレス送電装置を備えたワイヤレス電力伝送システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡素な回路構成であって、低コスト、高品質、且つ高効率な自励発振回路を備えたワイヤレス送電装置およびワイヤレス電力伝送システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるワイヤレス電力伝送システムの構成を示す回路図である。
【0021】
図1に示すように、ワイヤレス電力伝送システム1は、ワイヤレス送電装置10とワイヤレス受電装置20とを組み合わせてなり、ワイヤレス送電装置10からワイヤレス受電装置20に電力をワイヤレス伝送するものである。
【0022】
ワイヤレス送電装置10は、電力伝送を行う送電コイルL
TXを含み、一対の直流入力端子12a,12b間に印加される直流電圧を交流電圧に変換して送電コイルL
TXに供給する自励発振回路15と、一対の直流入力端子12a,12b間に接続される入力コンデンサC
inとを備えている。
【0023】
送電コイルL
TXは、単一のコイルで構成されている。なお、単一のコイルとは、端子が2つであり、中間タップを有しないことを意味している。
図2に示すように、本実施形態による送電コイルL
TXは、平板状の磁性体13の主面に一本の導線11が渦巻き状に巻回されてなるスパイラルコイルであることが好ましい。この構成より、高効率且つ低ノイズの送電が可能となる。送電コイルL
TXのターン数は特に限定されず、約1ターンであってもよい。送電コイルL
TXを1ターンとする場合には、送電コイルの構成の一層の簡素化を図ることができる。
【0024】
自励発振回路15は、送電コイルL
TXに並列接続される共振コンデンサC
p1と、送電コイルL
TXの一端11aと一対の直流入力端子のプラス端子12aとの間に接続される第1のインダクタL
1と、送電コイルL
TXの他端11bと一対の直流入力端子のプラス端子12aとの間に接続される第2のインダクタL
2と、送電コイルL
TXの一端11aに接続される第1のスイッチ素子Q
1と、送電コイルL
TXの他端11bに接続される第2のスイッチ素子Q
2と、第1のスイッチ素子Q
1のゲートと送電コイルL
TXの他端11bとの間に接続される第1のインピーダンス素子Z
1と、第2のスイッチ素子Q
2のゲートと送電コイルL
TXの一端11aとの間に接続される第2のインピーダンス素子Z
2とを備えている。
【0025】
共振コンデンサC
p1は、送電コイルL
TXおよび第1および第2のインダクタL
1,L
2と共に共振回路を構成している。また詳細は後述するが、共振コンデンサC
p1は送電コイルL
TXに直列接続されるものであってもよく、2つ以上のコンデンサが直並列接続されるものであってもよい。
【0026】
本実施形態において第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2はNMOSトランジスタである。第1のスイッチ素子Q
1のドレインは第1のインダクタL
1を介して一対の直流入力端子の一方であるプラス端子12aに接続されており、第2のスイッチ素子Q
2のドレインは第2のインダクタL
2を介して一対の直流入力端子のプラス端子12aに接続されている。また第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2のソースは一対の直流入力端子の他方であるマイナス端子12bに接続されている。さらに第1のスイッチ素子Q
1のゲート(制御電極)は第2のインダクタL
2を介して一対の直流入力端子のプラス端子12aに接続されており、第2のスイッチ素子Q
2のゲートは第1のインダクタL
1を介して一対の直流入力端子のプラス端子12aに接続されている。
【0027】
第1および第2のインピーダンス素子Z
1,Z
2の構成は特に限定されないが、例えば図示のように、ダイオード、キャパシタおよび抵抗の並列回路を用いることができる。このように、第1のインピーダンス素子Z
1は、抵抗またはコンデンサを有することが好ましく、送電コイルL
TXの他端11b側にカソード(第1のスイッチ素子Q
1のゲート側にアノード)が接続されるダイオードを有することがさらに好ましい。第2のインピーダンス素子Z
2もまた、抵抗またはコンデンサを有することが好ましく、送電コイルL
TXの一端11a側にカソード(第2のスイッチ素子Q
2のゲート側にアノード)が接続されるダイオードを有することがさらに好ましい。
【0028】
ワイヤレス受電装置20の構成は特に限定されないが、例えば、電力伝送時に送電コイルL
TXと磁気結合する受電コイルL
RXと、受電コイルL
RXに直列接続される共振コンデンサC
s1と、受電コイルL
RXに発生した交流電圧を直流電圧に変換して負荷22に出力する整流回路21と、整流回路21の一対の出力端子間に接続される平滑コンデンサC
outとを備えている。また詳細は後述するが、共振コンデンサC
s1は、受電コイルL
RXに並列接続されるものであってもよく、2つ以上のコンデンサが直並列接続されるものであってもよい。
【0029】
次に、
図3および
図4を参照しながらワイヤレス送電装置10の動作について説明する。
【0030】
まず一対の直流入力端子12a,12b間に直流電圧が印加されると、第1のインダクタL
1および第2のインピーダンス素子Z
2を介して第2のスイッチ素子Q
2がオンになるか、第2のインダクタL
2および第1のインピーダンス素子Z
1を介して第1のスイッチ素子Q
1がオンになる。通常、電子部品の特性のばらつきにより回路の対称性が崩れているため、スイッチ素子Q
1,Q
2のどちらか一方が先にオンになる。回路の非対称性を確保するため、意図的に第1のインピーダンス素子Z
1のインピーダンスを第2のインピーダンス素子Z
2よりも小さく設定し、スイッチ素子Q
1を先にオンさせてもよい。
【0031】
図3(a)に示すように、例えば第1のスイッチ素子Q
1がオンになると、第1のインダクタL
1から第1のスイッチ素子Q
1に電流I
1が流れる。また、第2のインダクタL
2から送電コイルL
TXおよび共振コンデンサC
p1の並列回路を通って第1のスイッチ素子Q
1に電流I
2が流れる。さらに第1のスイッチ素子Q
1がオンになると、第1のスイッチ素子Q
1のドレイン電圧V
ds1と共に第2のスイッチ素子Q
2のゲート電圧V
gs2がほぼゼロ[V]になるので、第2のスイッチ素子Q
2のオフ状態が維持される。
【0032】
電流I
2が流れることによって第2のスイッチ素子Q
2のドレイン電圧V
ds2は上昇していくが、送電コイルL
TXおよび共振コンデンサC
p1を含む共振回路の動作により、ある電圧レベルまで達すると、降下していく。そして第2のスイッチ素子Q
2のドレイン電圧V
ds2がゼロ[V]付近まで降下すると、第1のスイッチ素子Q
1のゲート電圧V
gs1もほぼゼロ[V]となり、第1のスイッチ素子Q
1がオフになる。
【0033】
こうして
図3(b)に示すように第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2は共にオフになるが、第1のインダクタL
1が電流I
1を流し続けようとし、また送電コイルL
TXも電流I
2を流し続けようとするので、第1のスイッチ素子Q
1のドレイン電圧V
ds1および第2のスイッチ素子Q
2のゲート電圧V
gs2が上昇し、これにより第2のスイッチ素子Q
2がオンになる。
【0034】
図4(a)に示すように、第2のスイッチ素子Q
2がオンになると、第2のインダクタL
2から第2のスイッチ素子Q
2に電流I
2が流れる。また、第1のインダクタL
1から送電コイルL
TXおよび共振コンデンサC
p1の並列回路を通って第2のスイッチ素子Q
2に電流I
1が流れる。さらに第2のスイッチ素子Q
2がオンになると、第2のスイッチ素子Q
2のドレイン電圧V
ds2と共に第1のスイッチ素子Q
1のゲート電圧V
gs1がほぼゼロ[V]になるので、第1のスイッチ素子Q
1のオフ状態が維持される。
【0035】
電流I
1が流れることによって第1のスイッチ素子Q
1のドレイン電圧V
ds1は上昇していくが、送電コイルL
TXおよび共振コンデンサC
p1を含む共振回路の動作により、ある電圧レベルまで達すると、降下していく。そして第1のスイッチ素子Q
1のドレイン電圧V
ds1がゼロ[V]付近まで降下すると、第2のスイッチ素子Q
2のゲート電圧V
gs2もほぼゼロ[V]となり、第2のスイッチ素子Q
2がオフになる。
【0036】
こうして
図4(b)に示すように第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2は共にオフになるが、第2のインダクタL
2が電流I
2を流し続けようとし、また送電コイルL
TXが電流I
1を流し続けようとするので、第2のスイッチ素子Q
2のドレイン電圧V
ds2および第1のスイッチ素子Q
1のゲート電圧V
gs1が上昇し、これにより第1のスイッチ素子Q
1が再びオンになる(
図2(a)参照)。
【0037】
第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2は以上のオンオフ動作を繰り返しながら定常状態となり、送電コイルL
TXには互いに逆向きで同じ大きさの電流I
1、I
2が交互に流れ、送電コイルL
TXの両端には所定の発振周波数の交流電圧が発生する。
【0038】
図5は、自励発振回路15の動作を説明するための電圧波形図である。
【0039】
図5に示すように、第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2は交互にオンオフ動作を繰り返すが、第1のスイッチ素子Q
1のドレイン電圧V
ds1は、第1のスイッチ素子Q
1がオンのときにはゼロ[V]となり、オフのときに半周期の正弦波となる。第2のスイッチ素子Q
2のドレイン電圧V
ds2もまた、第2のスイッチ素子Q
2がオンのときにはゼロ[V]となり、オフのときには半周期の正弦波となる。
【0040】
また、第1のスイッチ素子Q
1のゲート電圧V
gs1は、第1のスイッチ素子Q
1がオンのときには半周期の正弦波となり、特に第1のインピーダンス素子Z
1の電圧降下分だけ第2のスイッチ素子Q
2のドレイン電圧V
ds2よりも小さいピークレベルとなる。第1のスイッチ素子Q
1がオフのときにはほぼゼロ[V]となる。同様に、第2のスイッチ素子Q
2のゲート電圧V
gs2は、第2のスイッチ素子Q
2がオンのときには半周期の正弦波となり、特に第2のインピーダンス素子Z
2の電圧降下分だけ第1のスイッチ素子Q
1のドレイン電圧V
ds1よりも小さいピークレベルとなる。第2のスイッチ素子Q
2がオフのときにはほぼゼロ[V]となる。
【0041】
したがって、送電コイルL
TXの両端の電圧V
outは、第1のスイッチ素子Q
1のドレイン電圧V
ds1と第2のスイッチ素子Q
2のドレイン電圧V
ds2とが合成された交流出力電圧となり、V
out=V
ds1−V
ds2として示すことができる。
【0042】
送電コイルの中間タップ(中点端子)から取り出した出力電圧を帰還させることによって発振動作を行う従来の自励発振回路においては、中間タップを介して接続される2つのコイルの非対称性によってスイッチ素子Q
1,Q
2の電流波形も非対称となり、スイッチング損失が増えることにより効率が低下していた。しかし本実施形態においては、送電コイルL
TXが単一のコイルで構成されており、自励発振回路15が中間タップから取り出した出力電圧を用いることなく発振動作を行うので、スイッチ素子Q
1,Q
2の電流波形の対称性を高めることができ、スイッチング損失を低減して電力変換効率を高めることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によるワイヤレス電力伝送システム1は、ワイヤレス送電装置10とワイヤレス受電装置20とを備え、ワイヤレス送電装置10は、送電コイルL
TXと、送電コイルL
TXに交流電圧を供給する自励発振回路15とを備え、送電コイルL
TXは中間タップを有しない単一のコイルで構成されているので、自励発振回路15を構成する第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2の電流波形が非対称となることによるスイッチング損失を低減して電力変換効率を高めることができる。また、本実施形態による自励発振回路15は、送電コイルL
TXが単一のコイルで構成されており、帰還巻線などを有しない簡素な回路構成であるため、高品質且つ高効率なワイヤレス送電装置10およびワイヤレス電力伝送システム1を低コストで実現することができる。
【0044】
図6は、本発明の第2の実施の形態によるワイヤレス電力伝送システムの構成を示す回路図である。
【0045】
図6に示すように、このワイヤレス電力伝送システム2の特徴は、自励発振回路15を構成する第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2としてNMOSトランジスタではなくPMOSトランジスタを用いた点にある。そのため、送電コイルL
TXの一端11aは、第1のインダクタL
1を介して一対の直流入力端子の一方であるマイナス端子12bに接続されており、送電コイルL
TXの他端11bは、第2のインダクタL
2を介して一対の直流入力端子のマイナス端子12bに接続されている。
【0046】
本実施形態において、第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2のドレインは一対の直流入力端子の他方であるプラス端子12aに接続されており、第1のスイッチ素子Q
1のソースは第1のインダクタL
1を介して一対の直流入力端子のマイナス端子12bに接続されており、第2のスイッチ素子Q
2のソースは第2のインダクタL
2を介して一対の直流入力端子のマイナス端子12bに接続されている。さらに第1のスイッチ素子Q
1のゲートは第1のインピーダンス素子Z
1および第2のインダクタL
2を介してマイナス端子12bに接続されており、第2のスイッチ素子Q
2のゲートは第2のインピーダンス素子Z
2および第1のインダクタL
2を介してマイナス端子12bに接続されている。
【0047】
以上の構成を有するワイヤレス電力伝送システム2は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、本実施形態による自励発振回路15は、送電コイルL
TXが単一のコイルで構成されており、帰還巻線などを有しない簡素な回路構成であるため、高品質且つ高効率なワイヤレス送電装置10およびワイヤレス電力伝送システム2を低コストで実現することができる。
【0048】
図7および
図8は、ワイヤレス送電装置10の変形例を示す回路図である。なお、
図7および
図8では、第1の実施の形態によるワイヤレス電力伝送システム1におけるワイヤレス送電装置10の変形例を示しているが、第2の実施の形態によるワイヤレス電力伝送システム2におけるワイヤレス送電装置10にも適用可能である。
【0049】
図7(a)に示すワイヤレス送電装置10の特徴は、送電コイルL
TXおよび第1および第2のインダクタL
1,L
2と共に共振回路を構成する共振コンデンサC
p1が送電コイルL
TXと直列接続されている点にある。また
図7(b)に示すワイヤレス送電装置10の特徴は、送電コイルL
TXおよび第1および第2のインダクタL
1,L
2と共に共振回路を構成する2つの共振コンデンサC
p1,C
p2を備え、第1の共振コンデンサC
p1が送電コイルL
TXの一端11a側に直列接続されており、第2の共振コンデンサC
p2が送電コイルL
TXの他端11b側に直列接続されている点にある。
【0050】
図8(a)および(b)に示すワイヤレス送電装置10の特徴は、送電コイルL
TXおよび第1および第2のインダクタL
1,L
2と共に共振回路を構成する3つの共振コンデンサC
p1,C
p2,C
p3を備え、第1の共振コンデンサC
p1が送電コイルL
TXに並列接続されており、第2の共振コンデンサC
p2が送電コイルL
TXの一端11a側に直列接続されており、第3の共振コンデンサC
p3が送電コイルL
TXの他端11b側に直列接続されている点にある。
【0051】
このうち、
図8(a)に示すワイヤレス送電装置10における第2および第3の共振コンデンサC
p2,C
p3は、第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2それぞれの接続点よりも送電コイルL
TX寄りに設けられている。そのため、第1のスイッチ素子Q
1のドレインは、第2の共振コンデンサC
p2を介して送電コイルL
TXの一端11aに接続されており、第2のスイッチ素子Q
2のドレインは、第3の共振コンデンサC
p3を介して送電コイルL
TXの他端11bに接続されている。このように、第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2は、共振回路の構成素子等を介して送電コイルL
TXの一端11aおよび他端11bに間接的に接続されていてもよい。
【0052】
また、
図8(b)に示すワイヤレス送電装置10における第2および第3の共振コンデンサC
p2,C
p3は、第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2それぞれの接続点よりも直流入力端子寄り(第1および第2のインダクタL
1,L
2寄り)に設けられている。そのため、第1のスイッチ素子Q
1のドレインは、送電コイルL
TXの一端11aに直接接続されており、第2のスイッチ素子Q
2のドレインは、送電コイルL
TXの他端11bに直接接続されている。このように、第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2は、送電コイルL
TXの一端11aおよび他端11bに直接接続されていてもよい。さらに、第1および第2のスイッチ素子Q
1,Q
2は、共振回路の構成素子等を介して第1および第2のインダクタL
1,L
2に間接的に接続されていてもよい。
【0053】
図9は、ワイヤレス受電装置20の変形例を示す回路図である。
【0054】
図9(a)に示すワイヤレス受電装置20の特徴は、受電コイルL
RXと共に共振回路を構成する共振コンデンサC
s1が受電コイルL
RXに並列接続されている点にある。また
図9(b)に示すワイヤレス受電装置20の特徴は、受電コイルL
RXと共に共振回路を構成する2つの共振コンデンサC
s1,C
s2を備え、第1の共振コンデンサC
s1は受電コイルL
RXに直列接続されており、第2の共振コンデンサC
s2は受電コイルL
RXに並列接続されている点にある。さらに
図9(c)に示すワイヤレス受電装置20の特徴は、共振コンデンサを省略した点にある。このように、ワイヤレス受電装置20には様々な構成の共振回路を採用することができる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0056】
例えば、上記実施形態においては、一対の直流入力端子12a,12b間の直流電圧が自励発振回路15に直接供給されているが、自励発振回路15の前段に昇圧コンバータや降圧コンバータなどの電源回路を設けてもよい。