特許第6604373号(P6604373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GSユアサの特許一覧

特許6604373情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム
<>
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000002
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000003
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000004
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000005
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000006
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000007
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000008
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000009
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000010
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000011
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000012
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000013
  • 特許6604373-情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604373
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20191031BHJP
   G01R 31/36 20190101ALI20191031BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20191031BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   H02J13/00 301J
   G01R31/36
   H02J13/00 301A
   H02J7/00 U
   H01M10/48 P
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-248236(P2017-248236)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2019-115215(P2019-115215A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2018年12月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】松島 均
(72)【発明者】
【氏名】内堀 富勝
(72)【発明者】
【氏名】今泉 博文
(72)【発明者】
【氏名】中井 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲郎
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−009531(JP,A)
【文献】 特開2015−181327(JP,A)
【文献】 特開2013−070534(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/115070(WO,A1)
【文献】 特開2017−163708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
H01M 10/42−10/48
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子の情報と、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報とを、外部からの要求に応じて、又はイベントとして、送信する情報処理装置であって、
前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含む情報を、各々から通信により取得する取得部と、
取得した情報を、前記蓄電素子及び前記電源関連装置を夫々識別する情報と対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、
前記記憶媒体に記憶してある前記蓄電素子及び前記電源関連装置の情報を、前記蓄電素子及び前記電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び前記電源関連装置が設置されている場所毎に、一括して表示させるための表示情報を送信する送信処理部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記蓄電素子が、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数接続して構成され、前記表示情報は、前記蓄電素子の接続の構成に基づき階層状に情報を対応付けて表示させる情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記蓄電素子が、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数直列に接続したバンクを並列に接続して構成される
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記蓄電素子について、モジュール、蓄電セルの順に、選択に応じて情報を表示させる
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示情報には、前記蓄電素子及び前記電源関連装置に設けられている通信機器への接続情報が含まれている
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
蓄電素子、並びに、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置に設けられている複数の通信デバイスと、該複数の通信デバイスと通信接続が可能な情報処理装置とを含み、
該情報処理装置は、
前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を、各々から前記複数の通信デバイス夫々を介して取得する取得部と、
取得した情報を、前記蓄電素子及び電源関連装置を夫々識別する情報と対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、
通信端末装置からの要求に応じて、又はイベントとして、前記記憶媒体に記憶してある前記蓄電素子及び前記電源関連装置の情報を、前記蓄電素子及び前記電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び前記電源関連装置が設置されている場所毎に、一括して表示させるための表示情報を前記通信端末装置へ送信する送信処理部と
を備える情報処理システム。
【請求項7】
蓄電素子の情報と、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報とを、情報処理装置が通信端末装置からの要求に応じて、又はイベントとして、送信する情報処理方法であって、
前記蓄電素子又は前記電源関連装置に設けられている複数の通信デバイスを用いて、前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含む情報を、各々から通信により取得し、
取得した情報を、前記蓄電素子及び前記電源関連装置を夫々識別する情報と対応付けて記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶してある前記蓄電素子及び前記電源関連装置の情報を、前記蓄電素子及び前記電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び前記電源関連装置が設置されている場所毎に、一括して表示させるための表示情報を前記通信端末装置へ送信する
情報処理方法。
【請求項8】
表示部を備え、情報処理装置との通信接続が可能な通信部を備えるコンピュータに、蓄電素子の情報と、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報とを表示させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記蓄電素子及び電源関連装置から各々通信によって取得された情報を、該蓄電素子及び前記電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び前記電源関連装置が設置されている場所毎に、前記情報処理装置へ要求するステップ、及び
要求に応じて前記情報処理装置から送信された情報を、前記システム毎、又は場所毎に、一括して表示するステップ
を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及び電源関連装置の情報を提示する情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子は、無停電電源装置、安定化電源に含まれる直流又は交流電源装置等に広く使用されている。また、再生可能エネルギー又は既存の発電システムにて発電された電力を蓄電しておく大規模なシステムでの蓄電素子の利用が拡大している。
【0003】
無停電電源装置、安定化電源、又は発電システムにおいては、蓄電素子の保守活動が重要になる。これらのシステムに含まれる蓄電素子の充電状態(SOC:State Of Charge )、又は寿命予測の情報について、サーバ装置経由で、蓄電素子のユーザ又は保守担当者が遠隔から取得することを可能とする技術が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、蓄電素子の劣化率の予測値をサーバ装置及びネットワークを経由してオペレータが遠隔からその情報を視認することを実現するシステムが提案されている。
【0005】
特許文献2には、無停電電源装置における蓄電素子の交換を確実に実行するために、サービスセンタ及びネットワークを経由してモニタリングプログラムに基づきバッテリ交換の時期を予告し、ユーザとオペレータがメール等を用いて情報を交換するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−121520号公報
【特許文献2】特開2002−287857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に開示されているように、蓄電素子自体又は蓄電素子を用いる装置について、ユーザ又は保守担当者が状態を遠隔から把握するためのシステムが提案され、実現している。しかしながら、蓄電素子及び電源関連装置における各種情報を一括して提示できるシステムについては、これまで実現されてこなかった。
【0008】
鉛蓄電池又はリチウムイオン電池のような蓄電素子は、車載用途(自動車用途、自動二輪車用途)以外の産業用途に適用される場面が増加している。例えば、太陽光発電システムに蓄電素子が並設されることがある。この場合、蓄電素子はパワーコンディショナと接続される。メガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電システムでは、非常に多くの蓄電素子及びパワーコンディショナが設置されて利用される。工場又は大規模施設における電力ピークカットを実現する場合にも、非常に多くの蓄電素子及びパワーコンディショナが設置されて利用される。鉄道用途においても、非常に多くの蓄電素子と、直流又は交流電源装置である整流器とが設置されて利用される。従来の保守支援システムでは、分散電源システム又は事業主体にこのように多くの蓄電素子と電源関連装置が設置されるケースを想定していない。
【0009】
IoT(Internet of Things)の社会への浸透と平行して、蓄電素子及び電源関連装置の遠隔監視の実現とそれによる付加価値サービスの実現に対する期待が高まっている。
【0010】
本発明は、蓄電素子及び電源関連装置の情報を総合的に提示することを可能とする情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る情報処理装置は、蓄電素子及び電源関連装置の情報を送信する。情報の送信は、外部からの要求に応じて、又はイベントとして実行される。情報処理装置は、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を通信により取得する取得部と、取得した情報を、前記蓄電素子及び電源関連装置を夫々識別する情報と対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、前記記憶媒体に記憶してある情報を、前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置が設置されている場所毎に一括して表示させるための表示情報を送信する送信処理部とを備える。
【0012】
どのような範囲の蓄電素子及び電源関連装置の情報を一括表示させるか(例えば、工場エリア毎、オフィス毎、事業拠点毎、又は事業主体毎など)は、オペレータなど人手によって設定可能であってもよく、自動的に設定されてもよい。
【0013】
上記構成により、蓄電素子及び電源関連装置夫々の状態を含む情報が、情報処理装置によって収集され、前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置が設置されている場所毎に、一括して表示させるための表示情報として他装置へ送信される。蓄電素子及び電源関連装置が相互に関連して動作しているシステムでは、一括して表示されることで、蓄電素子及び電源関連装置の状態把握がより効率的になる。また、電力に関する異なる監視対象の状態を一括表示させることで、システム全体の保守(計画的な保守、予防保守を含む)が行ない易くなる。
【0014】
前記蓄電素子は、鉛蓄電池及びリチウムイオン電池のような二次電池や、キャパシタのような、再充電可能なものであることが好ましい。監視対象の蓄電素子の一部が、再充電不可能な一次電池であってもよい。鉛蓄電池とリチウムイオン電池のように、異なる種類の蓄電素子の情報を一括して表示させるための表示情報が要求元へ送信されてもよい。前記蓄電素子は、蓄電セルを複数接続した蓄電モジュール、又は該蓄電モジュールを複数接続した蓄電モジュール群であってもよい。
【0015】
前記蓄電素子が、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数接続して構成されている場合、前記表示情報は、前記蓄電素子の接続の構成に基づき階層状に情報を対応付けて表示させる情報であってもよい。
【0016】
大規模な蓄電システムであれば、複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールを複数直列に接続したもの(バンク)を更に複数並列に接続して蓄電素子が構成される。蓄電素子の状態を含む各種情報がその接続構成に従って表示されることで、どのバンク、どのモジュール、どのセルについて保守が必要かを把握することがより効率的になる。
【0017】
前記表示情報には、前記蓄電素子又は電源関連装置に設けられている通信機器への接続情報が含まれていてもよい。
【0018】
上記構成により、蓄電素子及び電源関連装置に設けられた通信機器との接続を、情報処理装置経由で提供することもでき、遠隔からシステム全体での状態把握と各機器の個別の状態把握とを適切に選択させることが可能である。
【0019】
本開示に係る情報処理システムは、蓄電素子及び電源関連装置に設けられている複数の通信デバイスと、該複数の通信デバイスと通信接続が可能な情報処理装置とを含む。該情報処理装置は、前記通信デバイスが設けられている蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を、前記通信デバイスを介して取得する取得部と、取得した情報を、前記蓄電素子及び電源関連装置を夫々識別する情報と対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、要求に応じて、又はイベントとして、前記記憶媒体に記憶してある情報を、前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置が設置されている場所毎に一括して表示させるための表示情報を送信する送信処理部とを備える。
【0020】
本開示に係る情報処理方法は、蓄電素子及び電源関連装置の情報を、情報処理装置が要求に応じて、又はイベントとして、送信する。具体的には、前記蓄電素子又は電源関連装置に設けられている複数の通信デバイスを用いて、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を通信により取得し、取得した情報を、前記蓄電素子及び電源関連装置を夫々識別する情報と対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してある情報を、前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置が設置されている場所毎に一括して表示させるための表示情報を送信する。
【0021】
本開示に係るコンピュータプログラムは、表示部を備えるコンピュータに、蓄電素子及び電源関連装置の情報を表示させる。コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、前記蓄電素子及び電源関連装置の情報を、該蓄電素子及び/若しくは電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子及び/若しくは電源関連装置が設置されている場所毎に、要求するステップを実行させ、要求に応じて送信された情報を、前記システム毎、又は場所毎に一括して表示するステップを実行させる。
【0022】
電源関連装置は、無停電電源装置、直流を交流へ変換(又は逆変換)する等の所謂パワーコンディショナ(インバータ)、交流を直流へ又は異なる特徴の交流へ変換する等の整流器のいずれか1つ又は複数であってもよい。電源関連装置は、蓄電素子と電気的に接続されていることが好ましい。大規模な蓄電システムでは複数の蓄電素子とパワーコンディショナを含み、更に整流器を含む。そのシステム毎、又は装置が設置されている場所(建物、管理者等)毎に、それら蓄電素子と電源関連装置の情報が一括して表示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る監視システムの概要を示す図である。
図2】監視システムの構成を示すブロック図である。
図3】通信デバイスの接続形態の一例を示す図である。
図4】サーバ装置における情報提示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】ログイン後に表示される画面例を示す図である。
図6】システム毎に一括して表示される画面例を示す図である。
図7】システム毎に一括して表示される他の画面例を示す図である。
図8】詳細情報の表示例を示す図である。
図9】詳細情報の表示例を示す図である。
図10】詳細情報の表示例を示す図である。
図11】詳細情報の表示例を示す図である。
図12】寿命予測の依頼を受け付ける画面の例を示す図である。
図13】寿命予測により得られるデータの内容例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1及び図2は、本実施形態に係る監視システム100の概要を示す図である。監視システム100は、監視対象のシステム又は装置夫々に搭載/接続されている通信デバイス1と、通信デバイス1から情報を収集するサーバ装置2(情報処理装置)と、収集された情報を取得するクライアント装置3とを含む。サーバ装置2はWebサーバ機能を含み、各装置に搭載/接続された通信デバイス1によって得られる情報を、クライアント装置3からのアクセスに応じて提示する。
【0026】
通信デバイス1は、メガソーラー発電システムS及び火力発電システムFに夫々併設されている蓄電システム101に搭載される。詳細には通信デバイス1は、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System )P及び蓄電モジュール群L夫々に搭載/接続されている。蓄電モジュール群Lは例えば、夫々が複数のリチウムイオン電池のセルを含んだ蓄電モジュールを直列に接続したバンクと、複数のバンクを並列に接続したドメインとの階層構造にて構成されている。そのバンク及びドメイン毎に管理装置M(図3参照)が設けられ、ドメインの管理装置Mに通信デバイス1が設けられている。蓄電システム101は、蓄電モジュール群Lを収容したコンテナCを複数並設して構成されている。
【0027】
通信デバイス1は、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)U、鉄道用の安定化電源システム等に配設される整流器(直流電源装置、又は交流電源装置)D等の装置夫々にも搭載されている。
【0028】
従来、発電システムS,Fの発電量、蓄電システム101における蓄電素子の状態(SOC、SOH(State Of Health ))、UPSの状態等について、各装置が自己診断機能を備え、異常が発生した場合に報知するようにしていた。各自己診断機能は、遠隔からの通信接続を可能とする接続部を介してサーバ装置、又はユーザ若しくはオペレータ(保守担当者)へメール等を用いて通知するケースもあった。しかしながらそれらは装置夫々独立に行なわれるものであった。他方、本実施形態の監視システム100では、各装置に搭載
又は接続した通信デバイス1を利用し、蓄電システム101におけるSOC等の状態、検知された異常といった情報に加え、電源関連装置の状態を含む様々な情報を総合的に、ユーザ又はオペレータ(保守担当者)が確認できるように提示する。
【0029】
図2に示す通信デバイス1は、蓄電素子に備えられる電池管理装置(BMU:Battery Management Unit )と通信して蓄電素子の情報を受信する端末装置(計測モニタ)であってもよいし、電源関連装置に接続可能なネットワークカード型の通信デバイスであってもよい。通信デバイス1は、制御部10、記憶部11、第1通信部12及び第2通信部13を備える。制御部10はCPU(Central Processing Unit )を用いたプロセッサであり、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0030】
記憶部11は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部11には、制御部10が読み出して実行するデバイスプログラム1Pが記憶されている。デバイスプログラム1Pには、Linux (登録商標)等を用いた組み込み系OS(Operating System)、OS上で動作するWebサーバ、SSH(Secure Shell)、SNMP(Simple Network Management Protocol)等に準じた通信用プログラムが含まれる。デバイスプログラム1Pにはメーラプログラムが含まれてもよく、異常が発生した場合に、予め設定されてあるメールアドレスへ向けて電子メールが自動的に送信されてもよい。これらのプログラムは、制御部10内蔵のメモリ(ROM)に記憶されていてもよい。記憶部11には、制御部10の処理によって収集された情報、イベントログ等の情報が記憶される。記憶部11に記憶された情報は、通信デバイス1の筐体に端子が露出するUSB等の通信インタフェースを介して読み出すことも可能である。
【0031】
第1通信部12は、通信デバイス1が搭載されている装置(監視対象装置)との通信を実現する通信インタフェースであり、例えばRS−232C又はRS−485等のシリアル通信インタフェースを用いる。例えば蓄電モジュール群Lに含まれる各蓄電モジュールは、RS−232Cに準拠した通信機能を有する制御基板を内蔵し、第1通信部12は複数の蓄電モジュールと通信してもよい。
【0032】
第2通信部13は、ネットワークNを介した通信を実現するインタフェースであり、例えばEthernet(登録商標)、又は無線通信用アンテナ等の通信インタフェースを用いる。制御部10は、第2通信部13を介してサーバ装置2と通信接続が可能である。
【0033】
このように構成される通信デバイス1では、制御部10が第1通信部12を介して、通信デバイス1が搭載又は接続されている装置にて得られる情報を取得する。制御部10は、Webサーバ用プログラムを読み出して実行して、Webサーバとしてサーバ装置2又はクライアント装置3からの接続を受け、情報を提示することも可能である。制御部10は、SSHにより遠隔からシャットダウンの機能を受けることが可能である。制御部10は、SNMP用プログラムを読み出して実行することにより、SNMPエージェントとして機能し、サーバ装置2からの情報要求に対して応答することも可能である。
【0034】
図3は、通信デバイス1の接続形態の一例を示す図である。図3では、通信デバイス1と蓄電モジュール群Lの管理装置Mとの接続例を示す。管理装置Mは、番号(#)1からNのバンク夫々と、バンクを並列に接続したドメインとに1つずつ設けられている。バンク毎に設けられている管理装置Mは、蓄電モジュールの内部に夫々内蔵されている通信機能付きの制御基板(CMU:Cell Monitoring Unit)とシリアル通信によって通信し、蓄電モジュール及び内部のセルの状態(電流、電圧、温度)の取得、各々の状態に応じたバンク毎のバランス調整、通信状態の異常の検知等の管理処理を実行する。バンクの管理装置Mは夫々、ドメイン単位で設けられている管理装置Mへ各々のバンクの蓄電モジュールの情報を送信する。ドメインの管理装置Mは、そのドメインに所属するバンクの管理装置Mから得られる情報を集約する。通信デバイス1はドメイン毎の管理装置Mからそれらの情報を収集し、サーバ装置2又はクライアント装置3へ提供することが可能である。
【0035】
図2に示すサーバ装置2はサーバコンピュータを用い、制御部20、記憶部21、及び通信部22を備える。本実施の形態においてサーバ装置2は、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで処理を分散させた構成としてもよい。
【0036】
制御部20は、CPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。制御部20は、記憶部21に記憶されているサーバプログラム2Pに基づく情報処理を実行する。サーバプログラム2PにはWebサーバプログラムが含まれ、制御部20は、クライアント装置3へのWebページの提供、Webサービスへのログインの受け付け等を実行するWebサーバとして機能する。制御部20は、サーバプログラム2Pに基づき、http/https通信により通信デバイス1から情報の収集を行なう。
【0037】
記憶部21は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部21には、上述したサーバプログラム2Pが記憶されているほか、制御部20の処理によって収集される監視対象となるパワーコンディショナP、蓄電モジュール群L、無停電電源装置U及び整流器Dの状態を含むデータを記憶する。
【0038】
通信部22は、ネットワークNを介した通信接続及びデータの送受信を実現する通信デバイスである。具体的には通信部22は専用線及び一般光回線に対応した通信機器である。
【0039】
クライアント装置3は、発電システムS,Fの蓄電システム101の管理者、安定化電源システムの管理者、又は無停電電源装置Uの保守担当者等のオペレータが使用するコンピュータである。クライアント装置3は、デスクトップ型若しくはラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、所謂スマートフォン又はタブレット型の通信端末であってもよい。クライアント装置3は、制御部30、記憶部31、通信部32、表示部33、及び操作部34を備える。
【0040】
制御部30は、CPUを用いたプロセッサである。制御部30は、記憶部31に記憶されているWebブラウザプログラムに基づき、サーバ装置2又は通信デバイス1により提供されるWebページを表示部33に表示させる。
【0041】
記憶部31は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部31には、Webブラウザプログラムを含む各種プログラムが記憶されている。
【0042】
通信部32は、有線通信用のネットワークカード等の通信デバイス、基地局BS(図1参照)に接続する移動通信用の無線通信デバイス、又はアクセスポイントAPへの接続に対応する無線通信デバイスを用いる。制御部30は通信部32により、ネットワークNを介してサーバ装置2又は通信デバイス1との間で通信接続又は情報の送受信が可能である。
【0043】
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを用いる。表示部33は制御部30のWebブラウザプログラムに基づく処理により、サーバ装置2で提供されるWebページのイメージを表示する。表示部33は、好ましくはタッチパネル内蔵型ディスプレイであるが、タッチパネル非内蔵型ディスプレイであってもよい。
【0044】
操作部34は、制御部30との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイス、若しくは音声入力部等のユーザインタフェースである。操作部34は、表示部33のタッチパネル、又は筐体に設けられた物理ボタンを用いてもよい。操作部34は、ユーザによる操作情報を制御部20へ通知する。
【0045】
図1に示すようにネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2とを含む。公衆通信網N1は、一般光回線を含み、またネットワークNは、サーバ装置2が接続する専用線を含む。キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれ、クライアント装置3は基地局BSからネットワークNを介したサーバ装置2との通信を可能とする。公衆通信網N1にはアクセスポイントAPが接続されており、クライアント装置3はアクセスポイントAPからネットワークNを介してサーバ装置2との間で情報を送受信することも可能である。
【0046】
このように構成される監視システム100は、サーバ装置2にて、パワーコンディショナP、蓄電モジュール群L、無停電電源装置U、及び整流器Dの状態を含む様々な情報を定期的に、又はクライアント装置3からの要求に応じて取得し、記憶部21に記憶する。記憶部21には、情報の取得先の装置(P,M,U,D)を識別する情報及び取得した時間情報が対応付けて記憶される。記憶部21に記憶してある最新のデータ及びその履歴は、クライアント装置3からWebページ又はデータ(ダウンロード)として取得できるようにサーバ装置2が処理する。このためサーバ装置2は、通信デバイス1を用いて蓄電素子若しくは各電源関連装置から取得した情報を総合的に、クライアント装置3へ提示することができる。
【0047】
図4は、サーバ装置2における情報提示の処理手順の一例を示すフローチャートである。サーバ装置2は、所定の周期で接続可能な通信デバイス1を介して蓄電モジュール群Lに配設されている管理装置M、パワーコンディショナP、無停電電源装置U及び整流器D夫々の制御部から、異常が検知された場合の情報及び各時点での状態の情報を取得し、逐次記憶部21にデータとして記憶する。そしてサーバ装置2の制御部20は、クライアント装置3からログイン要求を受けると、以下の処理を開始する。制御部20は、要求に対してのみならず、イベントとして以下の処理を実行してもよい。
【0048】
制御部20は、Webサーバとしてクライアント装置3にてログイン情報を受け付けるためのログインページの情報をクライアント装置3へ送信する(ステップS201)。クライアント装置3の表示部33に表示されたログイン画面にて操作部34での操作に基づき、制御部20はログイン情報を受信する(ステップS202)。
【0049】
制御部20は、受信したログイン情報に基づき、該ログイン情報に対応付けて記憶されているアクセス権限を有するシステム又は単体装置の識別情報を抽出する(ステップS203)。制御部20は、抽出された識別情報に対応するシステム又は装置夫々の情報を表示するための他のWebページへのリンク情報を一括で含むWebページの情報を、クライアント装置3へ送信する(ステップS204)。このとき送信されるWebページに含まれるリンク情報の一覧は、蓄電モジュール群L、パワーコンディショナP、無停電電源装置U、及び整流器Dを区別なく、それらを使用しているシステム(ロケーション)単位で示すものである。これにより、蓄電モジュール群Lの状態、無停電電源装置U等の状態を総合的に、クライアント装置3を使用するオペレータ(保守担当者)が一括に確認することが可能になる。ログイン情報に対応付けられているアクセス権限を有するシステム又は単体装置が単一である場合、ステップS204では、その単一のシステム又は単体装置についてのWebページを表示するための情報がクライアント装置3へ送信される(S206又はS211)。
【0050】
制御部20は、ステップS204で送信した情報に基づきクライアント装置3で表示されているWebページにて、蓄電モジュール群Lを含むシステムへのリンクが選択されたか否かを判断する(ステップS205)。蓄電モジュール群Lを含むシステムへのリンクが選択されたと判断された場合(S205:YES)、制御部20は、該システムの情報を階層化したWebページをクライアント装置3へ送信する(ステップS206)。階層化されたWebページは、蓄電モジュール群Lの階層構造に合わせたページであって、例えばドメイン、バンク及び蓄電モジュールの順に選択が可能であり、選択に応じて下層が選択可能となるようにしてある。各システムの階層構造は、通信デバイス1が設けられている装置の接続態様によって決まる。これらの表示例については後述の画面例にて詳細に説明する。
【0051】
制御部20は、蓄電モジュール群Lを含むシステムの情報のWebページ内で、該システムに含まれる蓄電モジュール単体、又は管理装置Mに対応する階層の詳細情報の選択を受け付ける(ステップS207)。詳細情報が選択されると制御部20は、詳細情報としてその階層における状態(構成、総電圧、SOC、温度等)を示すWebページをクライアント装置3へ送信する(ステップS208)。ステップS208では他の詳細情報として、対応する階層の通信デバイス1のWebサーバへのリンク情報をクライアント装置3へ送信してもよい(S208)。通信デバイス1のWebサーバからは前述したように、通信デバイス1が搭載/接続されている装置にて取得できる情報を提示するWebページを取得することが可能である。
【0052】
制御部20は、その後、クライアント装置3にてログアウト又はWebブラウザの終了操作がされたか否かを判断し(ステップS209)、操作がされたと判断された場合(S209:YES)、処理を終了する。
【0053】
ログアウト又はWebブラウザの終了操作がされていないと判断された場合(S209:NO)、制御部20は、他のページへの遷移の指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS210)。他のページへの遷移の指示を受け付けたと判断された場合(S210:YES)、制御部20は処理をステップS205へ戻し、Webブラウザからの操作に応じて他のシステムのページ等を送信する。他のページへの遷移の指示を受け付けていないと判断された場合(S210:NO)、制御部20は処理をステップS207へ戻す。詳細情報の選択が受け付けられない間は、蓄電モジュール群Lを含むシステムの情報のWebページの表示状態のままとなる。
【0054】
このとき遷移先の他のページには、各システムに対応付けて処理され、記憶されているログ情報、統計情報、システムに含まれる蓄電モジュールの寿命予測を出力するWebページへのリンクが含まれていてもよい。その他、ログイン情報の編集、システムに含まれる機器の編集等の管理用ページが含まれていてもよい。
【0055】
ステップS205にて蓄電モジュール群Lを含むシステムへのリンクが選択されていないと判断された場合(S205:NO)、制御部20は、パワーコンディショナP、無停電電源装置U、又は整流器Dの内のいずれか1つ又は複数を使用したシステムの情報を表示するためのWebページの情報をクライアント装置3へ送信する(ステップS211)。
【0056】
制御部20は、選択されたシステムに含まれるパワーコンディショナP、無停電電源装置U、又は整流器Dの内のいずれか1つ又は複数夫々について詳細情報の選択を受け付ける(ステップS212)。制御部20は、選択された装置における状態(構成、電流値、電圧値等のパラメータ)を示すWebページをクライアント装置3へ送信し(ステップS213)、処理をステップS209へ進める。ステップS213においても、他の詳細情報として選択されたシステム又は装置に対応する通信デバイス1のWebサーバへのリンク情報をクライアント装置3へ送信してもよい(S213)。ステップS213の処理後、ステップS210で他のページへの遷移の指示を受け付けていないと判断された場合(S210:NO)、制御部20は処理をステップS212へ戻す。ステップS212にて詳細情報の選択が受け付けられない間は、選択されたシステムの情報のWebページの表示状態のままとなる。
【0057】
図5図10に示す画面例を用い、図4の表示処理について具体的に説明する。図5は、ログイン後に表示される画面例を示す図である。図5は、ステップS204において、ログイン情報により抽出されたシステム又は装置の名称の一覧を含むWeb画面330(クライアント装置3の表示部33に表示される画面)を示す。図5の例であれば、図1に示したメガソーラー発電システムSの名称「XY市メガソーラーシステム」、火力発電システムFの名称「WZ発電所システム」、「K鉄道システム」、「X工場UPS」等が夫々、識別情報と共にリンクとして表示されている。一覧のWeb画面には、各システムのその時点における状態(正常/異常)、各システムにおける測定パラメータのグラフ、システムに使用される蓄電モジュールの寿命予測を各出力するためのアイコンが現状把握/情報分析のために含まれている。
【0058】
サーバ装置2から提供されるWebページに基づき表示されるWeb画面330には、「システム検索」、「寿命予測」、「ダウンロード」、「レポート」等のメニュー331が含まれる。メニュー331の内、「システム検索」が選択された場合、アクセス権限を有するシステム又は単体装置の各情報へのリンク情報の一覧を含むページ(図5)が表示される。「寿命予測」がクライアント装置3の操作部34の操作により選択された場合、選択されるシステムにおける蓄電素子の寿命予測の実行を受け付けるページが表示される。「ダウンロード」が選択された場合、選択されるシステムに含まれる各機器、蓄電モジュール群Lの状態を所定の形式にてファイルとして一括取得するためのページが表示される。「レポート」が選択された場合、サーバ装置2自身の情報、サーバ装置2で取得される情報を文書形式にて取得するためのページが表示される。「新規登録」が選択された場合、ログイン情報の新規登録、蓄電モジュール群Lを含むシステム又は電源関連装置の新規登録を受け付けるためのページが表示される。「編集」が選択された場合、既に登録されているログイン情報の編集、又は、既に登録されているシステム若しくは装置の情報についての編集を受け付けるためのページが表示される。
【0059】
更にWeb画面330には、ログアウト又は終了操作のためのボタン332が含まれている。
【0060】
次に、システムが選択された場合の画面例について説明する。図6は、システム毎に一括して表示される画面例を示す図である。図6は、ステップS206により表示される画面例を示している。具体的には、図5に表示されたWeb画面330で例えば、多数の蓄電モジュール群Lと、パワーコンディショナPとが使用されている「XY市メガソーラーシステム」がクライアント装置3の操作部34の操作により選択された場合に表示部33に表示される。図6の画面例では、「XY市メガソーラーシステム」が用いている蓄電システム101のシステム構成に合わせて、2つのパワーコンディショナP、及び、複数のバンクに構成された蓄電モジュール群L夫々の名称が示されている。蓄電モジュール群Lについてはその階層構造を展開するための「+」アイコン333と、各々の詳細情報を表示するためのアイコン334と、詳細情報(リアルタイム)を表示させるためのアイコン335とが配置されている。アイコン335は、通信デバイス1が搭載されている装置について、デバイスの識別情報と共に配置されている。
【0061】
図6に示すように、選択されたシステム毎に一括表示するWeb画面330には、選択されたシステムに対するメニューアイコン338が含まれる。メニューアイコン338は例えば、「異常履歴」、「統計情報」、「寿命予測」、及び「装置一覧」のメニューを含む。「異常履歴」のメニューアイコンがクライアント装置3の操作部34の操作により選択された場合、対象のシステム全体に含まれる蓄電モジュール群L及び電源関連装置にて検知された異常又は注意(警告)ログが一括して表示される。「統計情報」が選択された場合は、対象のシステム全体についての統計情報(電圧、電流、温度等の推移)のグラフが一括して表示される。「寿命予測」が選択された場合、システム全体又はシステムに含まれる各蓄電モジュール群Lに対する寿命予測の結果を得るためのインタフェースが表示される。「寿命予測」については詳細を後述する。「装置一覧」が選択された場合、システムに含まれているパワーコンディショナP、蓄電モジュール群L、及び該蓄電モジュール群Lに搭載されている管理装置M等について装置の一覧が表示される。装置の一覧には、品名、型番等の詳細情報が含まれていてもよい。
【0062】
このように、「XY市メガソーラーシステム」に含まれている蓄電モジュール群L及び蓄電モジュール群Lに関連する電源関連装置の情報を一括して表示し、図6に示したページから、その構成を把握させながら各機器の状態(詳細情報)を表示させることが可能になる。
【0063】
図7は、システム毎に一括して表示される他の画面例を示す図である。図7の画面例は、図6中の蓄電モジュール群Lについての詳細情報を表示するためのアイコン333が選択された場合に表示される。「XY市メガソーラーシステム」の蓄電システム101は、各々n個(nは自然数。本実施形態では12個)のセルを含むモジュールを複数直列させたバンクを、複数並列に持つドメインを複数有する構成の蓄電モジュール群Lを持っている。これに応じて図7に示すように、ドメインの1つが選択されると、該ドメインに所属するバンクに対応するリストが展開され、1つのバンクが選択されると、該バンクに所属する蓄電モジュールのリストが展開される。蓄電モジュールは各々n個のセルを含んでおり、クライアント装置3の操作部34の操作により、画面330上で蓄電モジュールの1つが選択されると該モジュールに含まれるセルのリスト(イメージ)が展開される。
【0064】
図7の蓄電モジュール群Lの階層構造の展開を表示させた例では、アイコン335は、通信デバイス1が搭載/接続されている管理装置Mに対応する階層(図7では、ドメイン)のみに配置されている。アイコン335の配置例は、図7には限らない。通信デバイス1がバンク毎に階層構造で接続されている場合、各バンクに対応させてアイコン335が配置されてもよい。
【0065】
図8は、詳細情報の表示例を示す図である。図8は、図7中の蓄電モジュール群Lのドメインに対応する階層のアイコン334が選択された場合に表示されるページの一例である。図8では「ドメイン情報」として、ドメインの状態(正常/異常)、ドメインに含まれるバンクの数(総バンク数)、全バンク中で稼働しているバンクの数(稼働バンク数)、そのドメインの総電圧、電流、セル電圧、SOC、温度の分布(最高値、平均値、及び最低値)を表示している。サーバ装置2によって、通信デバイス1を介して「ドメイン情報」が取得された「データ日時」も表示部33におけるWeb画面330に表示されている。「ドメイン情報」には、そのドメインに含まれるバンクの詳細情報へのリンクがバンクの数分、含まれている。
【0066】
図9は、詳細情報の表示例を示す図である。図9は、図7中のバンクに対応する階層のアイコン334が選択された場合に表示されるページの一例である。図8中でバンクの詳細情報へのリンクが選択された場合にもこのページが表示される。図9では「バンク情報」として、バンクの状態(正常/異常)、バンクに含まれるモジュールの数(モジュール数)、そのバンクの総電圧、電流値及びSOC、バンクに含まれる電圧及び温度の分布を表示している。サーバ装置2によって、通信デバイス1を介して「バンク情報」が取得された「データ日時」も表示部33におけるWeb画面330に表示されている。「バンク情報」には、そのバンクに含まれる蓄電モジュールの詳細情報へのリンクが、モジュールの数分、含まれている。
【0067】
図10は、詳細情報の表示例を示す図である。図10は、図7中のモジュールに対応する階層のアイコン33が選択された場合に表示されるページの一例である。図9中でモジュールの詳細情報へのリンクがクライアント装置3の操作部34の操作により選択された場合にもこのページが表示される。図10では「モジュール情報」として、蓄電モジュールに含まれる各セルの電圧、及び2つのセル群に設けられている温度センサの出力が表示されている。
【0068】
図7から図10に表示された蓄電モジュール群Lの階層毎のページの画面は例示であって、例えばドメイン情報が存在せず、蓄電モジュール群Lが複数の並列のバンクで構成されているといった場合は、再上位層はバンクとして表示される。蓄電モジュール群Lが、1つのバンク即ち、直列に例えば16個接続された蓄電モジュールで構成されているのみであれば、対応する通信デバイス1から得られるモジュール情報(図10)のみが表示される。
【0069】
図11は、詳細情報の表示例を示す図である。図11は、図6中のドメインに対応する階層のアイコン335が選択された場合に表示される画面であって、図3に示した管理装置Mに搭載/接続されている通信デバイス1のWebサーバにより提供される新たなWeb画面336の例を示している。図11に示すWeb画面336を表示するためには、Webサーバへログインすることが必要になる。このときのログイン情報は図5のサーバ装置2で提供されるWebサーバへのログインと共通としてあり、これにより改めてログイン情報を入力する操作を行なうことなしに自動的にログインして図11のページが表示されることが好ましい。
【0070】
図11に示す例において通信デバイス1は、ドメインに所属するバンク夫々に設けられている管理装置Mを介して各蓄電モジュールに搭載されている制御基板から得られる情報を、Web画面336を通じて直接的にクライアント装置3へ提供する。例えば異常が検知されている場合にその異常の内容若しくは異常個所を、文字情報(エラーコード)、又は、色、アニメーション、模式図などのイメージによって表示する。通信デバイス1からWeb画面336により提供される情報は基本的に、その時点における最新の情報としてあり、サーバ装置2の記憶部21に記憶してあるデータと区別されている。
【0071】
通信デバイス1のWebサーバの機能により表示されるWeb画面336は、通信デバイス1を介して管理装置M、又は制御基板への処理を実行するためのメニューアイコン337を複数含んでいることが好ましい。複数のメニューアイコン337は例えば夫々、通信デバイス1を介して得られる上述したような異常の情報を含む各種情報を表示するためのメニュー、通信デバイス1への時刻、通知用のメールアドレス等の設定、又は再起動(シャットダウン)のためのメニューを含む。メニューアイコン337は、保守担当者権限を有するものに限られる遠隔操作のための設定、ログの間隔等の設定メニューが含まれてもよい。
【0072】
図11は蓄電モジュール群Lに設けられた管理装置Mに搭載されている通信デバイス1から提供されるWeb画面336を例としたが、パワーコンディショナP、無停電電源装置U、及び整流器Dに搭載されている通信デバイス1からも同様のWeb画面が提供される。
【0073】
このように、ネットワークカード型として蓄電モジュールのみならず、パワーコンディショナP、無停電電源装置U、及び整流器Dへも汎用的に搭載可能な通信デバイス1を用いて各装置の情報をサーバ装置2に収集する。これにより、個別の装置へ通信デバイス1を介して接続することができるのみならず、サーバ装置2から各蓄電モジュール及び電源関連装置の情報を、それらを含むシステム又はロケーション単位にて一括でクライアント装置3から取得することが可能である。
【0074】
蓄電システム101に対する寿命予測のメニューが選択された場合の処理について説明する。図12は、寿命予測の依頼を受け付ける画面の例を示す図である。図12は、図6中のメニューアイコン338の内の「寿命予測」が選択された場合に表示される画面である。図12の画面330では、再度寿命予測の依頼を受け付けるアイコン339、負荷パターンの抽出依頼を受け付けるアイコン340及び依頼を受け付けた日にち及び状況を示す表示ボックス341を表示する。サーバ装置2では上述したように蓄電モジュール群Lから定期的に情報(電圧、電流、及び温度)を収集している。サーバ装置2は収集した情報に基づきシステムとしての寿命予測・推定を行なう機能を有する。寿命予測の依頼を受け付けるアイコン339が選択された場合、サーバ装置2の制御部20は選択を検知し、寿命予測の演算(シミュレーション)を実行する。演算自体はサーバ装置2内で実行されてもよいが、サーバ装置2とは異なる専用装置、若しくは専用装置群で分散的に実行されるとよい。寿命予測の演算(シミュレーション)に要する時間は、収集されてある情報の量が多い程長く、例えば1から2時間を要する可能性がある。図12に示す画面330は、寿命予測の演算が開始された場合、表示ボックス341に依頼を受け付けた日時及び演算状況を示すテキストを表示し、他のページへ遷移することができる。上述のように演算には時間を要するので、実行中に寿命予測の受け付け画面で画面330が固定されてしまう他の機能がその間使用できなくなることを回避するためである。サーバ装置2は、寿命予測の演算が完了すると、メニューアイコン338の内の「寿命予測」が選択された場合に表示される画面の表示ボックス341に、演算が終了した日時及び状況を示すテキスト「完了」を表示させ、演算結果のファイルをダウンロードするためのアイコンを表示させる。このアイコンがクライアント装置3の操作部34により選択されると、クライアント装置3へ演算結果のファイルがWebブラウザ経由で送信される。サーバ装置2は寿命予測の演算が完了すると、予め記憶してあるメールアドレスに向けて演算が完了したことを通知する。途中経過をメールにて通知するようにしてもよい。メールには寿命予測の演算結果のファイルが添付されているとよい。
【0075】
図13は、寿命予測により得られるデータの内容例を示す図である。寿命予測により得られるデータは、図13に示すように例えば使用開始から所定の期間(例えば10年間)後までの蓄電素子の劣化挙動をグラフ化したもの、所定の期間中における充放電の挙動(電力、温度、電圧、電流)のシミュレーション結果をグラフ化したものを含む。その他寿命予測により得られるデータは、シミュレーション結果である関連するパラメータについての期間中の数値の推移、及び詳細な分析結果を含む。このように、総合的に表示されるWeb画面から、サーバ装置2にて収集される情報に基づくシステム毎の寿命予測の結果を得ることができる。寿命予測演算中は他の機能を停止することもなく、長期間の実績データの演算により精度のよい結果を得ることも可能である。
【0076】
蓄電モジュール及び蓄電モジュール群Lが、複数のリチウムイオン電池セルから構成される例を説明した。代替的に、蓄電モジュール及び蓄電モジュール群Lが(或いはその一部が)複数の鉛蓄電池又はキャパシタから構成されてもよい。
【0077】
パワーコンディショナPは、通信デバイス1に加え、蓄電素子(リチウムイオン電池又は鉛蓄電池)と管理装置Mを搭載し、パワーコンディショナPの情報と蓄電素子の情報を一括して表示させるための表示情報を送信してもよい。
【0078】
無停電電源装置Uは、通信デバイス1に加え、蓄電素子(リチウムイオン電池又は鉛蓄電池)と管理装置Mを搭載し、無停電電源装置Uの情報と蓄電素子の情報を一括して表示させるための表示情報を送信してもよい。
【0079】
整流器Dは、通信デバイス1に加え、蓄電素子(リチウムイオン電池又は鉛蓄電池)と管理装置Mを搭載し、整流器Dの情報と蓄電素子の情報を一括して表示させるための表示情報を送信してもよい。
【0080】
他の実施形態として、以下の構成も実現可能である。表示部を備えるコンピュータに、蓄電素子の情報を表示させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータに、前記蓄電素子の情報を要求するステップ、及び要求に応じて送信された、蓄電素子の接続の構成に基づき階層状に情報を対応付けて情報を表示させるステップ、を実行させるコンピュータプログラム。この構成により、コンピュータの表示部に、図6に示す表示から、図7に示す表示に遷移させることができる。コンピュータプログラムは、コンピュータの表示部に、図7に示す表示から、図8図9、又は図10に示す表示に遷移させるように構成されてもよい。このコンピュータプログラムは、サーバ装置2が実行してもよいし、クライアント装置3が実行してもよい。非常に多くの蓄電セルを含む大規模な蓄電システムにおける、全体(ドメインレベル)の状態把握に加え、バンクレベル、モジュールレベル、セルレベルの状態把握を容易に行なうことができる。
【0081】
蓄電素子、パワーコンディショナP、無停電電源装置U、整流器Dはいずれも、監視システム100における監視対象である。蓄電素子の蓄電セルは、電源関連装置に比べて、数が非常に多い。そのため蓄電素子は、ドメインレベル、バンクレベル、モジュールレベル、セルレベルのように、階層状に(ブレークダウンして)情報が表示されることが好ましい。蓄電素子の上位の階層(例えばドメインレベル)では、図6に示すように蓄電素子と電源関連装置が同じレイヤーで情報表示されることが好ましい。これにより、蓄電素子と電源関連装置とを含むシステム全体の状態を直感的に把握できる。
【0082】
上述の実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 通信デバイス
10 制御部
12 第1通信部
13 第2通信部
2 サーバ装置
20 制御部
21 記憶部
22 通信部
3 クライアント装置
30 制御部
32 通信部
33 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13