(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の画素が配列された表示パネルと、この表示パネルの表示面側に設けられ前記各画素の配列方向に応じた複数のN視点(Nは2以上の自然数)に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段と、を有して成る立体画像表示パネルと、
前記表示面に対向する観察者の観察位置を計測する観察者位置計測部と、
この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネルに対する前記観察者の相対位置を算出する相対位置算出部と、
予め設定されたJ視点分(J>N)の視点画像を生成する機能を有すると共に、前記N視点を構成する各視点に応じた1つ以上の視点画像を前記相対位置に対応づけて生成し前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像生成処理部と、を有し、
前記画像生成処理部は、前記視点数Nが3以上である場合に、前記観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域への視点画像を当該観察者の移動方向に基づいて選定すると共に、この選定した視点画像を前記立体画像表示パネルに向けて出力することを特徴とした立体画像表示装置。
複数の画素が配列された表示パネルと、この表示パネルの表示面側に設けられ前記各画素の配列方向に応じた複数のN視点(Nは2以上の自然数)に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段と、を有して成る立体画像表示パネルと、
前記表示面に対向する観察者の観察位置を計測する観察者位置計測部と、
この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネルに対する前記観察者の相対位置を算出する相対位置算出部と、
予め設定されたJ視点分(J>N)の視点画像を生成する機能を有すると共に、前記N視点を構成する各視点に応じた1つ以上の視点画像を前記相対位置に対応づけて生成し前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像生成処理部と、を有し、
前記画像生成処理部は、前記視点数Nが4以上である場合に、前記観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域への視点画像を当該観察者の移動方向及び移動速度に基づいて選定すると共に、これを前記立体画像表示パネルに向けて出力することを特徴とした立体画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
本発明にかかる立体画像表示装置の第1実施形態を、
図1乃至
図20に基づいて説明する。
【0023】
(全体的構成)
図2に例示するように、複数の視点各々に応じた画像を表示する立体画像表示装置1は、可視光及び赤外線を撮像可能なカメラが設けられ観察者100の位置を計測する観察者位置計測部45と、この観察者位置計測部45から取得した計測結果に基づいて3Dデータを生成する表示コントローラ(図示せず)と、この表示コントローラから出力される3Dデータ及び制御信号に基づいて画像を分離し出射する立体画像表示パネル10と、を有している。
【0024】
立体画像表示パネル10は、少なくとも第1視点用の画像を表示するサブ画素と第2視点用の画像を表示するサブ画素とを含む画素がマトリクス状に配列された表示パネル11と、この表示パネル11の表示面側に設けられ上記画素からの視差画像を各視点に向けて分離する光線分離手段12と、を有している。
光線分離手段12は、表示パネル11上に配置された各画素に対応するレンズ15がアレイ状に配列された構成を採っているため、各視点用の画像を所定の異なる方向に分離することができる。
【0025】
かかる構成により、立体画像表示パネル10は、少なくとも2つの視点に向けての異なる画像の投影、すなわち光線分離を行うことができる。
この光線分離の方向に関しては、
図2に示すように、レンズ15の配列方向(第1の画素配列方向)をx軸、x軸に直交し表示パネル11から観察者100に延伸する方向をz軸、x軸とz軸の双方に直交する方向(第2の画素配列方向)をy軸と定義する。また、これら各軸の交点(原点)は、立体画像表示パネル10の中心に位置するものとし、以下では、立体画像表示パネル10の原点(表示面中心)とも指称する。この場合、観察者100の左眼101と右眼102とを結ぶ直線は、上記x軸と略平行の状態にある。
【0026】
観察者位置計測部45は、自身に設けられたカメラによって観察者100を撮影し、これをもとに観察者100の左眼101及び右眼102の位置を計測するように構成されている。
【0027】
観察者位置計測部45が両眼(左眼101及び右眼102)の位置を計測するに際しては、様々な方法を用いることができる。
例えば、可視光によって撮影した画像からパターンマッチングを用いて顔や眼の位置を検出することによりx,y軸方向の位置を計測し、この計測結果から導出した眼間距離をもとにz軸位置を計測する方法や、赤外線の正弦波光を観察者100に照射してその反射光である正弦波光がカメラに到着するまでの光飛行の時間差(位相差)からz軸方向の位置を計測するTOF方式と呼ばれる方法等を採用することができる。
【0028】
表示パネル11としては、液晶表示素子,有機エレクトロルミネッセンス表示素子,または電気泳動素子やエレクトロクロミック素子など、さまざまな電気光学素子を用いることが可能である。
光線分離手段12としては、レンチキュラレンズ,フライアイレンズ,またはパララックスバリア等の光学素子のほか、屈折率制御機能を備えた液晶レンズや、遮光制御機能を備えた液晶バリア等の電気光学素子を用いることができる。透過率の観点からすると、レンチキュラレンズ,フライアイレンズ,及び液晶レンズが好適である。
【0029】
まず、説明を簡便化するために、立体画像表示パネル10として2視点の立体画像表示パネルを採用した例について説明する。ここで、N視点の立体画像表示パネル(Nは2以上の自然数)とは、立体表示用の視差を有する2次元画像データをN視点に向けて分離し出射する立体画像表示パネルをいう。
【0030】
図3に、立体画像表示パネル10の各視点用画素に入力する2視点用の画像情報を例示する。
図3(a)は第1視点用画像60aであり、
図3(b)は第2視点用画像60bである。
この各視点用画像間では、サイコロの“5”の面の大きさと“3”の面の大きさとがそれぞれ異なっている。すなわち、各視点用画像間には、
図3に示すように、第1視点用画像60aに相当する(a)では相対的に“5”の面が大きく、第2視点用画像60bに相当する(b)では相対的に“3”の面が大きいという構成を採っている。
【0031】
次いで、
図4に、上記
図3で示した第1視点用及び第2視点用画像の生成方法の一例を示す。この
図4は、交差法と呼ばれる撮影法にかかる説明図であり、ここでは、第1視点用カメラ65aと第2視点用カメラ65bの各光軸の交点66が、通常の画面上、すなわちスクリーン面の再生位置に設定される。また、このスクリーン面の水平方向をx軸、このx軸と直交する方向をy軸(図示せず)、xy平面と直交する方向をz軸、上記交点66をこれら各軸が交わる原点とし、x軸,z軸における正負の方向は
図4に示す通りとする。
ここで、第1視点用カメラ65aと第2視点用カメラ65bの配置位置は、y軸上で同一値となるように(y座標値が等しくなるように:水平状態)設定されている。
【0032】
かかる状態において、xyz値の3次元情報を有するサイコロの3Dオブジェクト64を第1視点用及び第2視点用カメラ(65a,65b)で撮像することにより、
図3(a)と
図3(b)に示すような画像を生成する。
【0033】
このようにして撮像・生成された各画像間では、
図3に示す通り、相互に対応する点(対応点)の位置が異なっている。すなわち、
図3(a)と
図3(b)との対応点(例えば、サイコロの各頂点)が両者画像において異なり、この異なる大きさが視差量となる。視差量の大きさは、カメラ位置(x,z値)、カメラ画角、カメラ間隔や3Dオブジェクト位置(z値)などにより決定される。
【0034】
続いて、
図5に、立体画像表示パネル10の光線分離の状態を示す。これは、y軸の正方向から見た場合のzx平面の断面図である。この
図5では、観察者100の左眼を「L」,右眼を「R」と表記し、以下の各図においても同様とする。
上述した各視点用の画素と光線分離手段12との組合せにより、第1視点領域50a,51a,52a,・・・と、第2視点領域50b,51b,52b,・・・とが、x軸方向に沿って交互に繰り返すように画像が分離されている。
【0035】
各第1視点領域(50a,51a,52a)を左眼用領域,各第2視点領域(50b,51b,52b)を右眼用領域とした場合に、例えば各第1視点領域には第1視点用画像60a(
図3),各第2視点領域には第2視点用画像60b(
図3)をそれぞれ投影させることを想定すると、立体画像表示パネル10は、左眼用領域50aに左眼101が,右眼用領域50bに右眼102がそれぞれ配置されたときに(
図5)、観察者100が立体画像を知覚できる立体視域80を形成するように構成されている。
【0036】
ここでの観察者100は、立体視域が最大となる最適観察距離(最適視認距離)ODの分だけ立体画像表示パネル10から離れた状態にある。
符号eは、最適視認距離における各視点領域間の視点ピッチを示し、この
図5においては、視点ピッチeが両眼間隔dと等しい場合を示している。また、符号「1」,「2」はそれぞれ、第1視点用画像60a,第2視点用画像60bに対応する。
【0037】
同様に、立体画像表示パネル10は表示コントローラからの信号等に基づいて、観察者100の両眼が左眼用領域51aと右眼用領域51bとに対応した場合に立体視域81を形成し、観察者100の両眼が左眼用領域52aと右眼用領域52bとに対応した場合に立体視域82を形成するという構成を採っている。
【0038】
ここで、立体画像表示パネル10の表示面中心(画像表示中心)から垂直に延伸されるz軸を含む立体視域80をメインローブとし、このメインローブから観察者100がx軸におけるプラス側とマイナス側の各方向に移動した際に出現する立体視域81,82をサイドローブとする。
【0039】
また、上記2つの立体視域以外にも、立体視域81のx軸におけるマイナス方向側,立体視域82のx軸におけるプラス方向側のそれぞれに、観察者100の位置に対応した1つ又は複数のサイドローブが出現するように立体画像表示パネル10を構成してもよい。
【0040】
観察者100がメインローブからサイドローブに移動する途中の領域では、
図6に示すように、観察者100の左眼101に右眼用領域が、右眼102に左眼用領域がそれぞれ対応する逆視状態となり、ここには立体画像表示パネル10によって、逆視領域85が形成される。このときの観察者100は、左眼101に第2視点用画像60b(2)を知覚し、右眼102に第1視点用画像60a(1)を知覚するという状態にある。
【0041】
次いで、
図1に、本第1実施形態における立体画像表示装置1の各機能構成を示す。このブロック図に示すように、立体画像表示装置1は、前述した表示パネル11,光線分離手段12,観察者位置計測部45と共に、表示パネル11を駆動する機能と光線分離手段12を制御する機能とを有する表示コントローラ24を備えている。
【0042】
表示コントローラ24は、観察者位置計測部45による計測結果(計測情報)に基づいて立体画像表示パネル10に対する観察者100の左眼101及び右眼102の相対位置を算出する相対位置算出部40と、この相対位置算出部40からの位置情報(相対位置情報)に基づいて3Dデータ(視差画像)及び制御信号の生成を行う画像生成処理部30と、この画像生成処理部30からの3Dデータに基づいて表示パネル11を駆動する表示パネル駆動回路(表示パネル駆動部)21と、同じく画像生成処理部30からの制御信号に基づいて光線分離手段12の動作を制御する画像振分制御回路(画像振分制御部)22と、を有している。
【0043】
より具体的に相対位置算出部40は、観察者位置計測部45からの計測情報に基づいて、立体画像表示パネル10の原点に対する観察者100の左眼101の相対位置を示す座標値(x1,y1,z1)、及び該原点に対する右眼102の相対位置を示す座標値(x2,y2,z2)を算出する機能を有している(
図2参照)。また、これらの算出値から、例えば左眼101の視野角θ1(=atan(x1/z1))を算出するための機能構成を、相対位置算出部40に設けてもよい。
【0044】
画像生成処理部30は、画像処理を実行する演算器31と、表示パネル11に表示するための表示対象データを格納するデータ蓄積部32と、演算器31の動作制御プログラム等を格納するメモリ33と、外部との情報のやり取りを仲介する外部IF(Interface:インターフェイス)34と、により構成される。これらの各構成部材が有効に機能するため、画像生成処理部30は、相対位置算出部40から受信した信号に応じて、各視点に対応する有意な画像データ(3Dデータ)を生成することができる。
【0045】
メモリ33には、演算器31の動作制御プログラムの他に、相対位置算出部40から得られた左眼101及び右眼102の相対位置に関する情報や、立体画像表示パネル10の立体視域に関する情報等が記憶され、演算器31は、このメモリ33に蓄えられた情報と観察者位置計測部45のセンサ(図示せず)から適宜得られる情報とに基づいて、観察者100の左右の眼がどの視点領域に位置しているかを判定する機能(観察者の左右の眼が位置する視点領域を特定する機能)を有している。
【0046】
画像生成処理部30における画像データの生成は、データ蓄積部32に格納された表示対象データを読み出した演算器31が、これに対して画像処理を施すことにより実現される。表示対象データが奥行き情報を含む3次元データであれば、この3次元データに対して演算器31がレンダリング処理を施すことにより、視差を有する各視点用の2次元画像データ(立体表示に用いる3Dデータ)を生成する、という好適な方法を採っている。
【0047】
すなわち、立体表示に用いる3Dデータを生成するに際して演算器31は、3次元データに対して所定の視点数の仮想カメラを設定すると共に、これら各々についてレンダリング処理を施すように構成されている。例えば、
図3に示すような視差を有する各視点用の2次元画像データは、3次元データに対して所定の視点数(ここでは2視点)の仮想カメラを設定した演算器31が、各々についてレンダリング処理を施して生成するという構成を採っている。
【0048】
ここで、画像生成処理部30による画像データの生成には、奥行き情報を含む3次元データをもとにした生成方法を用いることが好ましい。しかし、データ蓄積部32に予めレンダリング処理を施した表示対象データを蓄積しておき、これを選択的に読み出すという構成を採ってもよい。
【0049】
すなわち、あらかじめ
図3に相当する2次元画像データの形式による表示対象データをデータ蓄積部32に蓄積しておき、ここから演算器31が、立体表示又は平面表示に応じた画像データを選択して読み出すという方法を採ってもよい。かかる方法を採用すれば、レンダリング処理が不要となるため、前述したレンダリング処理を要する生成方法よりも処理能力や演算速度が低い演算器31を採用することができ、これにより、画像生成処理部30を安価に構成できるという利点が得られる。
【0050】
また、画像生成処理部30は、相対位置算出部40から受け取った位置情報に応じて3Dデータを生成し、これを表示パネル駆動回路21に出力するという構成を採り、さらに、この3Dデータを出力するに際しては、これと同時に生成した制御信号(液晶レンズを有効にする信号等)を画像振分制御回路22に出力するという機能を有している。
【0051】
表示パネル駆動回路21は、表示パネル11を駆動するために必要な信号(同期信号等)を生成する機能を有し、画像振分制御回路22は、光線分離手段12を駆動するための信号を生成する機能を有している。
【0052】
光線分離手段12としては、液晶レンズ以外にも、液晶バリア素子等の電気信号によって制御できるアクティブ素子を用いることができる。
また、光線分離手段12としてレンチキュラレンズやフライアイレンズ,パララックスバリア,ポンホールなどの電気信号により制御できないスタティック素子を用いるようにしてもよい。このようにすれば、表示コントローラ24に画像振分制御回路22を設ける必要がなくなるため、かかる構成の簡素化により、コストの低下等を図ることが可能となる。
【0053】
ところで、上述したような構成を採った画像生成処理部30は、データ蓄積部32内の表示対象データをもとに、予め設定されたJ視点分(J>N)の画像を生成する機能を有している。
【0054】
そこで、これまでの内容をまとめると、複数の視点各々に応じた画像を表示する立体画像表示装置1は、複数の画素が配列された表示パネル11,及びその表示面側に設けられ上記各画素の配列方向(x軸方向)に応じた複数のN視点に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段12を含む立体画像表示パネル10と、上記表示面に対向する観察者の観察位置を計測する観察者位置計測部45と、この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネル10に対する前記観察者の相対位置を算出する相対位置算出部40と、予め設定されたJ視点分(J>N)の視点画像を生成する機能を有すると共に、上記相対位置に対応づけた視点画像を生成して前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像生成処理部30と、を有するという構成を採っている。
【0055】
したがって、画像生成処理部30は、2視点より大きい、例えば6視点分の画像を生成することが可能である。
【0056】
ここで、
図7に、本第1実施形態にかかる2視点の立体画像表示パネル10に入力する画像情報の一例として、6視点分の画像を示す。
図7(a)は第1視点用画像61a,(b)は第2視点用画像61b,(c)は第3視点用画像61c,(d)は第4視点用画像61d,(e)は第5視点用画像61e,(f)は第6視点用画像61fである。
【0057】
この
図7に示す通り、各視点用画像間では、サイコロの“5”の面の大きさと“3”の面の大きさとがそれぞれ異なっている。すなわち、第1視点用画像61aでは“5”の面が一番大きく、第6視点用画像61fでは“3”の面が一番大きいという特徴がある。また、(a)から(f)に向けて“5”の面が徐々に小さくなっていき、“3”の面が徐々に大きくなっているという構成を採っている。
【0058】
次いで、
図8に、上記
図7で示した第1視点用画像から第6視点用画像までの生成方法の一例を示す。
基本的には、
図4に示した構成内容と同様に、第1視点用カメラ65aと第2視点用カメラ65bと第3視点用カメラ65cと第4視点用カメラ65dと第5視点用カメラ65eと第6視点用カメラ65fとを配置した上で、これら第1乃至第6視点用カメラ(65a〜65f)にてxyz値の3次元情報を有するサイコロの3Dオブジェクト64を撮像することにより、
図7(a)乃至(f)に示すような画像を生成する。
また、
図7(a)乃至(f)における各対応点相互間の位置の違いの大きさが、各画像間における視差量となる。
【0059】
立体画像表示パネル10のメインローブの外側に観察者100が移動した場合に画像生成処理部30は、観察方向に応じた視点に対応した新規画像の生成等を行うように構成されている。すなわち、
図7に例示したような6視点分の画像を生成する場合には、画像生成処理部30が、あらかじめ6視点分全ての画像を生成すると共にこれを記憶処理しておき、ここから観察者の移動に対応して適宜選定するようにしてもよいし、観察者位置近傍の視点用画像のみを適宜生成するように構成してもよい。
【0060】
このようにして、6視点分の画像を画像生成処理部30が生成する場合の、立体画像表示パネル10による光線分離の状態を、
図9に示す。これも前述した
図5と同様、y軸の正方向から見た場合のzx平面の断面図である(
図2参照)。
【0061】
図9(a)は、相対位置算出部40による算出結果(位置情報)から、観察者100の左眼101が第1視点領域50a,右眼102が第2視点領域50bに存在すると画像生成処理部30が判断するような場面を例示した図である。
この場合は、画像生成処理部30において、第1視点領域50a用に第3視点用画像61c(
図7)の画像データを、第2視点領域50b用に第4視点用画像61d(
図7)の画像データをそれぞれ生成し、これを3Dデータとして表示パネル駆動回路21へ出力するように構成されている。すなわち、ここに付した「3」,「4」は、それぞれ第3視点用画像60c,第4視点用画像60dに対応する。
これにより、観察者100が立体画像を知覚できる立体視域90が形成される。ここでのメインローブである立体視域90は、
図9に示す通り、
図5を参照して説明したメインローブとしての立体視域80と概ね一致した位置に形成されている。
【0062】
図9(b)も同様に、相対位置算出部40による算出結果から、観察者100の左眼101が第2視点領域51b,右眼102が第1視点領域50aに存在すると画像生成処理部30が判断するような場面を例示したものである。
この場合は、画像生成処理部30において、第1視点領域51b用に第2視点用画像61b(
図7)の画像データを、第2視点領域50a用に第3視点用画像61c(
図7)の画像データをそれぞれ生成し、これを3Dデータとして表示パネル駆動回路21へ出力するように構成されている。すなわち、ここに付した「2」,「3」は、それぞれ第2視点用画像60b,第3視点用画像60cに対応する。
これにより、観察者100が立体画像を知覚できる立体視域91が形成され、この立体視域91の位置は、上記同様、
図6にて説明した逆視領域85の位置と概ね一致している。
【0063】
図9(c)も同様に、相対位置算出部40による算出結果から、観察者100の左眼101が第1視点領域51a、右眼が第2視点領域51bに存在すると画像生成処理部30が判断するような場面を例示したものである。
この場合は、画像生成処理部30において、第1視点領域51a用に第1視点用画像61a(
図7)の画像データを、第2視点領域51b用に第2視点用画像61b(
図7)の画像データをそれぞれ生成し、これを3Dデータとして表示パネル駆動回路21へ出力するように構成されている。すなわち、ここに付した「1」,「2」は、それぞれ第1視点用画像60a,第2視点用画像60bに対応する。
これにより、観察者100が立体画像を知覚できる立体視域92が形成され、この立体視域92の位置は、上記同様、
図5にて説明したサイドローブ81の位置と概ね一致している。
【0064】
ここで、立体視域92,91,90,及びこれと同様の規則性によりx軸のプラス方向側に生成される2つの立体視域(
図9参照)をそれぞれ立体視域A〜Eとして、
図11に、観察者100の左右の眼が位置する視点領域と、第1視点領域及び第2視点領域に表示させるべき画像データとの対応関係をまとめた表を示す。
この
図11における備考欄には、各立体視域A〜Eの位置と、
図5及び
図6に示した立体視域(メインローブとサイドローブ)及び逆視領域の位置との対応関係を示す。
【0065】
上述した2視点の立体画像表示パネル10と2視点分の画像データとに基づく画像表示では、観察者100が、メインローブとサイドローブとで同一映像の知覚しかできない上に、メインローブとサイドローブとの間の領域では逆視の状態が発生する。
これに対し、6視点分の画像を生成する機能を有すると共に、これらの各画像をもとに適宜観察者100に対応した立体視域を形成するという前述の構成を採用すれば、2視点の立体表示においても観測者100は、立体視域A〜Eのそれぞれにおいて異なる映像を知覚することができ、すなわち運動視差が付与されることとなるため、これにより、立体画質の臨場感向上に寄与することが可能となる。
【0066】
一般に、運動視差を付与するための構成を採った立体画像表示装置としては、6視点の立体画像表示パネルを用いて
図12に示すような立体視域を形成するものが知られている。この
図12における立体視域92a〜92eは、
図11に示す立体視域A〜Eに相当する位置に形成されている。また、ここに付した「1」,「2」,「3」,「4」,「5」,「6」は、それぞれ第1視点用画像60a,第2視点用画像60b,第3視点用画像60c,第4視点用画像60d,第5視点用画像60e,第6視点用画像60fに対応する。
【0067】
かかる一般的な6視点の立体画像表示パネルは、多人数で観察する際に有効な場合もあるが、常に6視点分の空間に光線分離されるように構成する必要があるため、2視点の立体画像表示パネルと比較すると、3D解像度が、横方向において1/3にまで低下し、この横方向の解像度低下に合わせて縦方向を調整した場合には、全体として1/9にまで低下するため、立体画質を大きく損ねるという不都合がある。
【0068】
その点、
図7乃至
図11を参照して説明した本第1実施形態における立体画像表示装置1は、6視点分の画像を生成する機能を有すると共に、これらの各画像を用いて観察者100の位置に応じた立体視域を適宜形成するという構成を採用したため、上記のように解像度を低下させることなく、有効に運動視差を付与することができる。
【0069】
これまで2視点の立体画像表示パネルと6視点分の画像データとを用いた立体画像表示の例を示したが、本第1実施形態にかかる構成はこれに限定されるものではない。すなわち、2視点の立体画像表示パネルと10視点分の画像データとの組合せや、4視点の立体画像表示パネルと12視点分の画像データとの組合せ等を用いた構成を採用するようにしてもよく、かかる構成の場合においても、上記同様の効果を得ることができる。
【0070】
したがって、こうした立体画像表示パネルと画像データとの組合せを考慮し、立体画像表示パネルの視点数をN(Nは2以上の自然数)として、本第1実施形態にかかる構成内容を一般的に表記すると、以下のようになる。
表示面に向かって正面にメインローブが存在するように構成された立体画像表示パネルにおいて、立体画像表示パネルに入力する各視点画像データの数をJとした場合に、「J>N」の関係を満たし、これに加えて、「J=s×N(sは2以上の整数)」の関係を満たすように構成することがより望ましい。
ここで、表示面に向かって正面というのは、画像表示中心を始点とする表示面からの法線(以下、表示法線とする)上に観察者100が位置した場合における観測者100の方向を示す。
【0071】
メインローブの中心線と表示法線とがほぼ一致している状態を例示する
図5のように、偶数視点(N=2,4,6,・・・)では、ほとんどの場合、これらが概ね一致するように設計されている。
【0072】
これに対して、奇数視点(第1隣接視点領域:N=3,5,7,・・・)では、メインローブの中心線と表示法線とが一致する場合もあれば、視点ピッチに対応した角度以下の大きさで表示法線とずらしている場合もある。
後者のような場合、概ねメインローブの中心線と表示法線との成す角が、所定の角度以内(最適観察距離ODにおける視点ピッチをeとした場合にatan(e/OD)の角度以内)であれば、メインローブとサイドローブとの対称性の観点から、上記係数sの値は3以上の奇数に設定することが望ましい。このようにすれば、サイドローブをほぼ左右対称に出現させることが可能となる。
一方で、メインローブの中心線と表示法線との成す角が上記所定の角度以上であれば、係数sの値は単に2以上として設定すればよく、特に限定を加える必要はない。
【0073】
この係数sの値は、
図1に示すメモリ33に予め記憶させておくように構成してもよいし、外部IF34を介して所定の値を係数sとして読み込むようにしてもよい。
いずれにせよ、立体画像表示パネル10の視点数Nに応じて、この係数sの値をもとに画像生成処理部30は、J(=s×N)視点分の画像を生成するように構成される。
【0074】
また、相対位置算出部40又は画像生成処理部30に、位置情報に基づいてメインローブの中心線と表示法線との成す角を計測する角度計測機能を設け、さらに画像生成処理部30に、該成す角とatan(e/OD)とを比較した上でこれがatan(e/OD)以下であれば上記係数sを3以上の奇数に設定する比較設定機能を設けるようにしてもよい。このようにすれば、一定条件下において、サイドローブをほぼ左右対称に出現させることができる。
【0075】
画像の生成については、データ蓄積部32にある3次元のポリゴンデータから仮想的に視点数分のカメラを配置して演算器31でリアルタイムレンダリングする方法や、CZデータから視点数分の画像を生成する方法など、様々な方法が存在する。
画像生成に際しては、画像生成処理部30が、これら各種方法の内から予め設定された方法を用いるようにしてもよいし、使用環境や外部信号に応じて適宜選択して用いるように構成してもよい。また、画像生成処理部30において、あらかじめJ視点分の画像を生成しておき、これをデータ蓄積部32に保管しておくという構成を採ってもよい。
これにより、少ない視点数で高解像度を維持したまま、多視点として運動視差を付与することが可能となる。
【0076】
さらに、視点数Nが3以上の場合は、観察者100の移動方向に応じて、対象となる視点領域に出力する画像データの更新を行うことも可能である。
【0077】
ここで、
図13に、立体画像表示パネル10として3視点(視点数N=3)の立体画像表示パネルを採用した場合における光線分離状態と観察者の位置との関係を例示する。この
図13では、観察者の位置に対応して形成される視点領域として、第1視点領域である視点領域50a,51a,52a、第2視点領域である視点領域50b,51b,52b、及び第3視点領域である視点領域50c,51c,52cを示し、観察者の位置としては、位置110aと位置110bとを示す。
【0078】
また、
図13における3視点の立体画像表示パネル10を介して各視点領域へと入力される画像データの一例を、
図14に示す。この
図14には、各視点領域用の画像データとして、B1,B2,B3,B4,B5,B6,B7,B8,B9,‥を示し、前述した
図3及び
図7と同様に、各視点用画像間では、サイコロの“5”の面の大きさと“3”の面の大きさとがそれぞれ異なっている。すなわち、
図14に示す通り、B1からB9に向けて“5”の面が徐々に小さくなっていき、“3”の面が徐々に大きくなっていくという構成を採っている。
【0079】
図14で示した画像の生成方法は、
図8を参照して説明した方法と基本的に同様である。すなわち、画像データの数に応じた各視点用カメラをx軸と略平行に配置し、これによって3Dオブジェクトを撮像することにより画像生成を行う。
【0080】
さらに、観察者が、位置110aから位置110dに移動するケース(
図13:←)と、位置110dから位置110aに移動するケース(
図13:→)と、の2つのケースについて、観察者の左右の眼が位置する視点領域と第1,第2,第3視点領域に入力する視差画像データとの関係を、
図15及び
図16に示す。
【0081】
図15は、観察者が位置110aからx軸方向のマイナス側(左側)に移動するケースについて示した表である。
まず、観察者が位置110aに在る状態を(A)とすると、この(A)の状態では、観察者の左眼が位置する視点領域は50bであり、右眼が位置する視点領域は50cである。画像データは、視点領域50bに画像データB6が、視点領域50cに画像データB7が入力されている。左右の眼のいずれも位置しない視点領域50aは画像データB5もしくはB8のいずれかが入力されている。
【0082】
次に、観察者の左眼が視点領域50aに,右目が視点領域50bにそれぞれ位置する状態を(B)とし、観察者が(A)の状態から(B)の状態に移動したことを想定する。この(B)の状態では、視点領域50aに画像データB5が入力され、視点領域50bに画像データB6が入力される。
ちなみに、
図15には記載していないが、もし観察者が(A)の状態から、x軸方向のプラス側(右側)に移動して、観察者の右眼が位置する視点領域が52aとなる場合は、この視点領域52aに画像データB8が入力される。
【0083】
(B)の状態において、左右の眼のいずれも位置しない視点領域51cには、本来画像データB7の入力が維持されても差支えないように思われる。
しかし、本第1実施形態では、表示コントローラ24が、(A)から(B)への移動方向(左側)を考慮して、続く同方向への移動により観察者の左眼が位置し得る視点領域51cへの画像データを、予め(C)の状態に応じた画像データB4に切り替えておくという構成を採っている。
【0084】
より具体的に、画像生成処理部30は、経時的な相対位置算出部40からの位置情報又は観察者位置計測部45内のセンサ(図示せず)からの情報に示された観察者の移動方向に基づいて、該観察者の次の移動位置を推定すると共に、この推定位置に対応した画像データ(視点画像)を表示パネル駆動回路21に出力する画像データ切替処理機能(図示せず)を有している。
【0085】
すなわち、立体画像表示パネル10が3以上の視点(N≧3)に向けて視差画像を分離する場合に、画像生成処理部30が画像データ切替処理機能にて、観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域への視点画像を、当該観察者の移動方向に応じて選定すると共に、これを立体画像表示パネル10に向けて出力する、という構成を採っている。
ここで、例えば、(B)の状態において、視点領域50aから見た場合の視点領域51cのような関係の視点領域を、隣接視点領域と指称する。
【0086】
上記同様に、(B)の状態から(C)の状態(観察者の左眼が視点領域51cに,右目が視点領域50aにそれぞれ位置する状態)に移動した際に、この(C)の状態では、
図15に示す通り、観察者の左眼が位置する視点領域51cに画像データB4が入力されるという状態が維持されている。
また、表示コントローラ24では、(B)から(C)への移動方向を考慮して、続く同方向への移動により観察者の左眼が位置し得る視点領域51bへの画像データを、予め(D)の状態に応じた画像データB3に切り替えておくという構成を採っている。
【0087】
これらの処理動作を、続く(D),(E)の状態においても、表示コントローラ24が同様に繰り返すという構成を採っている。かかる構成を採用したことにより、観察者の移動速度が大きい場合においても、違和感の極めて少ない立体画像の提示が可能となる。
なお、
図15において、下線を引いた各画像データは、観察者の移動位置の推定結果に基づいた上記切替処理後の画像データである。
【0088】
図16は、観察者が位置110dからx軸方向にプラス側(右側)に移動するケースについて示したものである。また、観察者が位置110dに在る(E)の状態では、観察者の右眼が位置する視点領域51bに画像データB3が入力されている。
【0089】
ここで、(E)から(D)への移動方向(右側)を考慮すると、続く同方向への移動により観察者の右眼が第1視点領域に位置するのは(c)の状態のときである。したがって、本第1実施形態では、(E)の状態から(D)の状態に移動した際に、第1視点領域(視点領域52a等)への画像データを、予め(C)の状態に応じた画像データB5に切り替えておくように構成されている。
【0090】
そして、(D)の状態から(C)の状態に移動するに際しては、観察者の右眼が位置する視点領域50aへの画像データB5の入力が維持され、(C)の状態においてもこの状態が保たれる。
【0091】
また、(D)から(C)への移動方向(右側)を考慮すると、続く同方向への移動により観察者の右眼が第2視点領域に位置するのは(B)の状態のときである。したがって、上記同様、(C)の状態において、第2視点領域(視点領域50b等)への画像データを、事前に(B)の状態に応じた画像データB6に切り替えるという構成を採っている。
【0092】
(B)の状態においても同様に、(C)から(B)への移動方向(右側)を考慮して、続く同方向への移動により観察者の右眼が位置し得る視点領域50cへの画像データを、予め(A)の状態に応じた画像データB7に切り替えておくように構成されている。
【0093】
すなわち、続く(B),(A)の状態においても表示コントローラ24が、こうした処理動作を上記同様に繰り返すという構成を採っている。かかる処理動作を採用したことにより、観察者の移動速度が大きい場合においても、違和感の極めて少ない立体画像の提示が可能となる。
なお、
図16においても、下線を引いた各画像データは、観察者の移動位置の推定結果に基づいた上記切替処理後の画像データである。
【0094】
ところで、
図1等を参照して説明した観察者位置計測部45から相対位置算出部40にかけての処理に要する時間は、理想的には0に限りなく近いことが望ましい。しかしながら、実際には、データ転送や演算などにより0.1秒以上かかる場合が多い。
このような場合、相対位置算出部40からの信号(位置情報)に基づく画像生成処理部30からの画像データを出力する際には、観察者が、計測された位置に留まっていないという事態が発生し得る。特に観察者の移動速度が大きい場合は、観察者の左右の眼が想定された視点領域外となり、最悪の場合、所定の立体画像が知覚されない状況となり得る。
【0095】
かかる問題点を踏まえ、本第1実施形態では上述の通り、観察者の移動する方向を考慮して予め選定した画像データを、対象視点領域に向けて事前に入力しておくという構成を採用したため、大きな速度で移動する観察者に対しても、立体視認性を損なうことなく滑らかな運動視差を付与することが可能となる。
【0096】
すなわち、
図15及び
図16における画像データに下線を引いて明示した通り、観察者が移動する方向に応じた有意な画像データを、観察者の移動に先立って入力するという構成を採用したため、これにより、観察者の移動速度が大きい場合においても、違和感のない立体画像の提示が可能となる。
【0097】
次いで、
図17に、立体画像表示パネル10として4視点(視点数N=4)の立体画像表示パネルを採用した場合における光線分離状態と観察者との関係を例示する。この
図17では、観察者の位置に対応して形成される視点領域として、第1視点領域である視点領域50a,51a,52a、第2視点領域である視点領域50b,51b,52b、第3視点領域である視点領域50c,51c,52c、第4視点領域である視点領域50d,51d,52d、を示し、観察者の位置としては、位置111aと位置111bとを示す。
【0098】
また、立体画像表示パネル10を介して各視点領域へと入力される視差画像データとしては、
図13の場合と同様に、
図14を用いて説明する。
【0099】
さらに、観察者が、位置111aから位置111dに移動するケース(
図17:←)と、位置111dから位置111aに移動するケース(
図17:→)と、の2つのケースについて、観察者の左右の眼が位置する視点領域と第1,第2,第3,第4視点領域に入力する視差画像データとの関係を、
図18及び
図19に示す。
【0100】
図18は、観察者が
図17に示す位置111aからx軸方向のマイナス側(左側)に移動するケースについて示した表である。
まず、観察者が位置111aに在る状態を(A)とすると、この(A)の状態では、観察者の左眼が位置する視点領域は50bであり、右眼が位置する視点領域は50cである。画像データは、視点領域50bに画像データB6が、視点領域50cに画像データB7が入力されている。左右の眼のいずれも位置しない視点領域50aには画像データB5、視点領域50dにはB8がそれぞれ入力されている。
【0101】
観測者が(A)から(B)の状態に移動した場合でも、視点領域50aには、画像データB5が継続して入力されている。すなわち、(B)の状態において観察者の左眼が位置する視点領域50aには、(A)の状態と同じく画像データB5が入力されている。
【0102】
また、観測者が(A)から(B)の状態に移動した際に、左右の眼のいずれも位置しない視点領域51dと51cには画像データB8とB7の入力が維持されても差支えないように思えるが、ここでも前述した3視点の立体画像表示パネル(
図13)の場合と同様に、(A)から(B)への移動方向(左側)を考慮して、続く同方向への移動により観察者の左眼が位置し得る視点領域51dへの画像データを、予め(C)の状態に応じた画像データB4に切り替えておくという構成を採っている。
【0103】
加えて、4視点の立体画像表示パネルを採用した本第1実施形態の立体画像表示装置1では、表示コントローラ24が、上記切替処理と同時に、さらに続く同方向への移動により観察者の左眼が位置し得る視点領域51cへの画像データを、(A)から(B)への移動速度v1の大きさに応じて選定し切り替えるという構成を採っている。
ここで、例えば、(B)の状態において、視点領域50aから見た場合の視点領域51d,51cのような関係の視点領域を、それぞれ第1隣接視点領域,第2隣接視点領域と指称する。
【0104】
より具体的に、画像生成処理部30は、経時的な相対位置算出部40からの位置情報又は観察者位置計測部45内のセンサ(図示せず)からの観察者の移動速度にかかる情報に基づいて、さらに続く移動により観察者の眼が位置し得る視点領域への画像データを予め生成して表示パネル駆動回路21に出力する画像データ選定処理機能(図示せず)を有している。
【0105】
すなわち、立体画像表示パネル10が4以上の視点(N≧4)に向けて視差画像を分離する場合に、画像生成処理部30が画像データ選定処理機能にて、観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域への視点画像を、当該観察者の移動方向及び移動速度に応じて選定すると共に、これを予め立体画像表示パネル10に向けて出力する、という構成を採っている。
【0106】
この画像データ選定処理機能は、移動速度v1と予め設定された閾値vthとの比較により上記画像データの選定を実行する機能であり、より具体的には、移動速度v1が閾値vth以下の場合(v1≦vth)に画像データB7を選定し、移動速度v1が閾値vthよりも大きい場合(v1>vth)に画像データB3を選定するように構成されている。
すなわち、移動速度v1が閾値vth以下の場合は、画像データB7がそのまま維持され、移動速度v1が閾値vthよりも大きい場合は、画像データをB3に切り替えるという構成を採っている。
【0107】
図18にて下線を引いて示した通り、(B)から(C)の状態に移動した際や、更に(D),(E)の状態に移動した場合においても、表示コントローラ24内の各構成部材が有効に機能し、同様の処理動作を実行するように構成されているため、これにより、移動速度が大きい観察者に対応した違和感のない立体画像を提示することができる。
【0108】
図19は、観察者が
図17に示す位置111dからx軸方向にプラス側(右側)に移動するケースの例示である。まず、観察者が位置111dに在る状態を(E)とすると、この(E)の状態では、観察者の左眼が位置する視点領域が51bであり,右眼が位置する視点領域は51cである。画像データについては、視点領域51bに画像データB2が,視点領域51cに画像データB3が入力されている。左右の眼のいずれも位置しない視点領域51a,51dには、それぞれ画像データB1,B4が入力されている。
【0109】
観測者が(E)から(D)の状態に移動した際に、その右眼が位置する視点領域51dには、(E)の状態から継続して画像データB5が入力されている。
【0110】
この移動に際しては、
図18を参照しての説明と同様に、(E)から(D)への移動方向(右側)を考慮して、続く同方向への移動により観察者の左眼が位置し得る視点領域50aへの画像データを、予め(C)の状態に応じた画像データB5に切り替えると同時に、さらに続く同方向への移動により観察者の左眼が位置し得る視点領域51bへの画像データを、(E)から(D)への移動速度v2の大きさに応じて選定し切り替えるという構成を採っている(画像データ選定処理機能)。
【0111】
すなわち、上記同様に表示コントローラ24は、画像生成処理部30内に有する画像データ選定処理機能(図示せず)にて移動速度v2が閾値vth以下の場合(v2≦vth)に画像データB2をそのまま維持し、移動速度v2が閾値vthよりも大きい場合(v2>vth)に画像データB6を選定して切り替えるように構成されている。
【0112】
また、
図19にて下線を引いて示した通り、(D)の状態から(C)の状態に移動した際や、更に(B),(A)の状態に移動した場合においても、表示コントローラ24内の各構成部材が有効に機能し、同様の処理動作を実行するという構成を採っているため、これにより、移動速度が大きい観察者に対応した違和感のない立体画像を提示することができる。
【0113】
ここで、
図18と
図19とを照らすと、観察者が移動する方向に応じて、下線の引いてある画像データ(下線を引いた画像データにかかる視点領域)が異なっていることが読み取れ、このことは、本第1実施形態における立体画像表示装置1が、観察者の移動方向及び移動速度に応じた柔軟な画像データの提示を実現することを示している。
【0114】
このように、観察者の移動速度が大きい場合においては、観察者の左眼が移動する次視点領域(第1隣接視点領域)だけでなく、更なる移動により観測者が位置し得る次々視点領域(第2隣接視点領域)に対しても、相応する画像データを事前に入力しておくという構成を採ることで、より違和感のない立体画像を提示することが可能となる。
【0115】
図17等を参照して説明した通り、観察者の移動方向や移動速度に応じて画像データを選択するという処理動作は、視点数Nが4以上の場合に適用される構成内容であり、画像データ選定処理機能(図示せず)にて画像データを選択して入力する際の対象視点領域(選択入力対象領域)は、移動する方向となる左右の眼のいずれかの視点領域を起点とした、第1隣接,第2隣接,・・・,第(N−2)隣接視点である。
【0116】
すなわち、上記視点数Nが4以上(N≧4)である場合に画像生成処理部30は、観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域として、当該観察者が移動直前に位置する視点領域を起点とした第1番目乃至第(N−2)番目の隣接視点領域を、画像データ選定処理機能にて選択するという構成を採っている。
【0117】
また、これまでの説明では、各視点領域に対して1つの画像データを用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、各視点領域に対して2つ以上の画像データを用いることも可能である。
そこで、一例として、2視点の立体画像表示パネルに対して、各視点領域に4つの画像データを用いた場合を説明する。
【0118】
ここでは、
図6,
図9,
図14,及び
図9(c)を拡大した図である
図10を参照し、まず、観察者100の位置が
図9(c)の場合について説明する。
【0119】
図9(c)の拡大図である
図10には、左眼が位置する第1視点領域51aをx方向に4分割し、第1視点領域サブ領域として51aa,51ab,51ac,51adを設けた状態を示す。
−xから+xの方向(x軸のプラス方向)に向けて観察者100の左眼が移動する位置に応じて、
図14に示す画像データB1,B2,B3,B4の中から1つの画像データを上記各第1視点領域サブ領域に表示させる。
具体的には、観察者100の左眼が、51aaに位置する場合は画像データB1を、51abに位置する場合は画像データB2を、51acに位置する場合は画像データB3を、51adに位置する場合は画像データB4を表示させる。
【0120】
同様に、右眼が位置する第2視点用画像をx方向に4分割し(図示せず)、−xから+xの方向に向けて観察者100の右眼が移動する位置に応じて、
図14に示す画像データB5,B6,B7,B8の中から1つの画像データを各第2視点領域サブ領域(図示せず)に表示させる。
【0121】
これらの画像データB1〜B8は、
図1に示す画像生成部30で生成されると共に、3Dデータとして画像生成部30が表示パネル駆動回路21へと出力するように構成されている。
【0122】
次に、観察者100の位置が
図9(b)に移動した場合では、上記した
図9(c)の場合と同様に、左眼が位置する第2視点用領域51bの各サブ領域(図示せず)に対して
図14に示す画像データB5,B6,B7,B8が、右眼が位置する第1視点用領域50aの各サブ領域(図示せず)に対して
図14に示す画像データB9,B10,B11,B12(B10以降は図示せず)が、それぞれ表示されるという構成を採る。
【0123】
更に、観察者100の位置が
図9(a)に移動した場合では、上記した
図9(b)の場合と同様に、左眼が位置する第1視点用領域50aの各サブ領域(図示せず)に対して
図14に示す画像データB9,B10,B11,B12(B10以降は図示せず)が、右眼が位置する第2視点用領域50bの各サブ領域(図示せず)に対して
図14に示す画像データB13,B14,B15,B16(図示せず)が、それぞれ表示されるという構成を採る。
【0124】
このように、各視点領域に4つの画像データを用いる場合は、この4つの画像データを1つの画像データ群(例えば、
図14において破線で囲んだ画像データ)として扱うことで、上述した視点数Nが3視点の場合には観察者100の移動方向に応じて画像データ群の切り替えを行い、視点数Nが4視点以上の場合には観察者100の移動方向と移動速度に対応づけて画像データ群の切り替えを行う、という処理内容が実現でき、観察者100の動きに起因して生じる違和感が大きく緩和された立体画像の提示が可能となる。
【0125】
また、ここでは、4つの画像データを1つの画像データ群として扱う例を示したが、本第1実施形態にかかる立体画像表示装置1はこれに限定されず、すなわち、第1視点から第4視点領域の各視点領域を4分割したものを見かけ上の視点領域とし、この見かけ上の視点領域に適宜表示する画像データを、観察者100の移動方向と移動速度に対応づけて選定すると共に切り替えるといった構成を採ってもよい。このようにすれば、観察者の動きに対して、更に違和感を大きく緩和する立体画像の提示が可能となる。
【0126】
各視点領域に対する画像データ数を大きくすればするほど、非常に滑らかな運動視差を得ることができる。画像データ数を大きくした場合は、これに応じて、表示コントローラ24内のデータ蓄積部32とメモリ33の容量を大きくし、演算器31の処理能力を高速化することが望ましい。
【0127】
例えば2視点の立体画像表示パネルで各視点領域に20の画像データを用いた場合は、メインローブとその両側のみのサイドローブを考慮したとしても、120視点の立体画像表示パネルに相当する運動視差を得ることができる。
【0128】
ここで、120視点の立体画像表示パネルでは、2視点の立体画像表示パネルに対して一般的に3D解像度が1/60となるため、3D画質が極めて低下する。
しかしながら、本第1実施形態にかかる上記構成を採れば、上述した通り、高い3D解像度と滑らかな運動視差との両立が可能となる。
【0129】
(動作説明)
次に、
図1乃至
図19を参照して説明した立体画像表示装置1の動作内容を、
図20に示すフローチャートに基づいて簡潔に説明する。
【0130】
まず、観察者位置計測部45が、自身に設けられたカメラを用いて観察者100の位置を計測すると共に、この計測結果を出力する(
図20:S101)。
次いで、観察者位置計測部45から取得した計測結果に基づいて相対位置算出部40が、立体画像表示パネル10上に予め設定された基準点(ここでは画像表示中心)に対する左眼101及び右眼102との相対位置を算出すると共に、この算出結果(位置情報)を出力する(
図20:S102)。
【0131】
次に、相対位置算出部40から取得した位置情報に基づいて画像生成処理部30が、3Dデータ及び制御信号を生成し出力する(
図20:S103)。
ここで、3視点の立体画像表示パネルを採用した場合の画像生成処理部30は、観察者の移動方向にかかる情報に基づいて、該観察者の次の移動位置を推測すると共に、観察者の両眼の何れもが位置しない視点領域の画像データを、この推測位置に対応づけて生成し表示パネル駆動回路21に出力する(画像データ切替処理機能)(
図20:S103)。
また、4視点以上の立体画像表示パネルを採用した場合の画像生成処理部30は、観察者の移動速度にかかる情報に基づいて、観察者の両眼の何れもが位置しない視点領域の画像データを予め生成し表示パネル駆動回路21に出力する(画像データ選定処理機能)(
図20:S103)。
【0132】
続いて、画像生成処理部30から取得した3Dデータに基づいて表示パネル駆動回路21が表示パネルを駆動させ、画像生成処理部30からの制御信号に従って画像振分制御回路22が光線分離手段12の動作を制御する(
図20:S104)。
【0133】
上記各ステップS101〜S104(
図20)における各工程の実行内容をプログラム化すると共に、この一連の各制御プログラムをコンピュータによって実現するように構成してもよい。
【0134】
(第1実施形態の効果等)
本第1実施形態では、デバイス構成で決定される視点数を拡張するための構成を採用したため、これにより、解像度を低下させることなく運動視差を付与することができる。
また、観察者の移動方向や移動速度に応じた画像制御を行う立体画像表示装置によれば、より違和感のない立体画像を提供することが可能となる。
さらに、少ない視点数の立体画像表示パネルを採用した場合でも、上述した通り、複数の視点用画像を用いた画像切替処理を適宜行うことができるため、高解像度で滑らかな運動視差をもつ立体画像を投影することが可能となる。
【0135】
また、観察者位置計測部45からの計測結果をもとに相対位置算出部40が観察者の両眼各々の相対位置を算出し、この算出結果に基づいて画像生成処理部30が有意な画像及び制御信号を生成し出力するという構成を採ったことから、本第1実施形態における立体画像表示装置は、観察者の位置に対応した有意な視差画像を生成して表示することができる。
【0136】
〔第2実施形態〕
本発明にかかる画像表示装置の第2実施形態を、
図21乃至
図26に基づいて説明する。前述した第1実施形態と同等の構成部材等については、同一の符号を用いるものとする。
【0137】
まず、
図21に、本第2実施形態における2視点の立体画像表示パネル10による光線分離の状態を示す。これも前述した
図5等と同様に、y軸の正方向から見た場合のzx平面の断面図である(
図1参照)。
【0138】
ここで、観察者の両眼間隔をdとし(一般的にはd=65mm)、第1視点領域とこれに隣接する第2視点領域との視点ピッチをeとした場合、一般的に、2視点の立体画像表示パネルにて所定の立体視域を確保するためには、「d≦e」の関係が必要であるとされ、かかる前提のもとに各部材が構成されている。
【0139】
しかし、ここでの2視点の立体画像表示パネル10は、
図21に示す通り、観察者の両眼間隔をdと、第1視点領域50aとこれに隣接する第2視点領域50b又は51bとの視点ピッチeとの関係が、「d>e」となるように構成した点に特徴を有する。他の構成内容については、前述の第1実施形態における
図9(a)の状態と同様である。
【0140】
視点ピッチを3Dクロストークの観点から説明するため、
図22に、表示面の中心部分の3Dクロストーク特性を示す。ここでは、横軸が最適視認距離(OD:
図5参照)におけるx軸方向、縦軸が3Dクロストークの値(3Dクロストーク値)である。
本第2実施形態では、横軸をx軸の大きさ(x軸方向の距離)としているが、この3Dクロストーク特性にかかる横軸は、最適視認距離に対するx軸の大きさの正接で算出した視野角角度として示すように構成してもよい。
【0141】
3Dクロストークは、左右各眼に対する反対の眼の画像の漏れ込み量として定義される。したがって、3Dクロストークが100%の状態とは、左眼用画像と右眼用画像が、ちょうど1:1の比率で混入した状態のことである。また、視点ピッチと、3Dクロストークが100%となる地点間のx軸範囲とは等価であるため、
図22においては同一の符号「e」を用いて示した。
【0142】
この3Dクロストークの値が大きくなると、立体感が失われ、観察者に対しては、目の疲労やその他の好ましくない影響を与えるおそれがあるため、クロストークの値(クロストーク量)を予め設定された基準値CT1以下とすることが望ましい。この基準値CT1は、一般的に10%以下に設定され、更に5%以下に設定すると、より有効に上記問題を軽減し得る。
【0143】
また、
図22では、基準値CT1で規定される視野範囲のうち、低3Dクロストーク範囲をf,高3Dクロストーク範囲をcとして、その一部を示した。
観察者の左右の眼が低3Dクロストーク範囲fに入っていれば、観察者100は良好な立体画像を視認することができる。
【0144】
実線で示した70aと72aは、
図21で示した第1視点領域50aと52aにそれぞれ相当し、破線で示した70bと71bは、
図21で示した第2視点領域50bと51bにそれぞれ相当する。
【0145】
両眼間隔dの大きさが視点ピッチ(e+f)の大きさを越えるような場合には、観察者100は立体画像を視認することができず、いわゆる立体視域は存在しないことになる。したがって、本第2実施形態では「(e+f)>d>e」の関係を満たすように構成されている。
【0146】
図23では、観察者が、
図22に示す状態にある(A)の状態からx軸方向のマイナス側に移動した場合、すなわち、(A)の状態から(B),(C),(D)に示す各状態の順に移動した場合において、該観察者の左右の眼が位置する視点領域(クロストーク領域も含む)を示す。
また、
図24は、観察者の左右の眼が位置する視点領域と、第1視点領域及び第2視点領域の画像データとの対応関係を示す。ここでは、
図7に示した画像データを使用した例を示す。
【0147】
さらに、比較例として、「d<e」の関係を有する立体画像表示パネルを用いた場合における、上記同様の対応関係等を、
図25及び
図26に示す。
【0148】
図21、又は
図24及び
図26の画像データの欄(括弧内)に示した「2」,「3」,「4」は、それぞれ第2視点用画像60b,第3視点用画像60c,第4視点用画像60dに対応する。また、
図24及び
図26の視点領域の欄(括弧内)には、観察者の両眼それぞれが位置する範囲を示す(低3Dクロストーク範囲:f,高3Dクロストーク範囲:c)。
【0149】
ここで、
図23と
図25とを比較すると、観察者の位置が(A)又は(D)の場合では、その左右の眼の両方が低3Dクロストーク領域に入る状態にあり、観察者の位置が(B)又は(C)の場合では、その左右の眼の一方が低3Dクロストーク領域に入り、他方が高3Dクロストーク領域に入る状態にあるという点で一致する。
【0150】
しかし、観察者が(A)から(B)に移動するときに、本第2実施形態のような「d>e」の場合(
図23)は、高3Dクロストーク領域が左眼から発生するのに対し、比較例のような「d<e」の場合(
図25)は、高3Dクロストーク領域が右眼から発生するという点が異なっている。
これは、観察者が(B)から(C)に移動する場合についても同様である。
【0151】
(B)又は(C)の場合において、第1視点領域及び第2視点領域に投影される画像データは、観察者の移動前の状態をベースに、移動後における観察者の左右の眼のどちらが低3Dクロストーク領域fに存在するかによって決定される。すなわち、こうした状態において表示コントローラ24は、低3Dクロストーク領域fに位置する方の眼の知覚を優先して画像データを選定するように構成されている(画像データ優先選定機能)。
【0152】
例えば、
図24に示すように、(A)の場合は、左眼が第1視点領域である70aに存在し、右眼が第2視点領域である70bに存在し、画像データとしては、第1視点領域には第3視点用画像である60c、第2視点領域には第4視点用画像である60dが投影されている。
【0153】
この状態から観察者が(B)の状態に移動すると、左眼が第1視点領域70aと第2視点領域71bとが混在した高3Dクロストーク領域cに存在し、右眼が第2視点領域である70bに存在することとなる。この場合、上述の通り右眼の知覚が優先されるため、表示コントローラ24は、第2視点領域には(A)の状態と同じ第4視点用画像である60dを用い、第1視点用領域にも(A)の状態と同じ第3視点用画像60cを用いるという構成を採る。
【0154】
次に、観察者が(B)から(C)に移動すると、左眼が第2視点領域である71bに存在し、右眼が第1視点領域70aと第2視点領域70bとが混在した高3Dクロストーク領域cに存在することとなる。この場合、上記同様に左眼の知覚が優先されるため、表示コントローラ24にて、第2視点領域に用いる画像は(B)の状態とは異なる第2視点用画像60bに切り替えられ、第1視点領域にはそのまま第3視点用画像60cが用いられるという構成となる。
ここでの第2視点用画像の切替処理は、観察者のx軸マイナス方向への移動を考慮したものであり、すなわち、観察者が(D)の状態に至った場合に、第1視点領域にて維持された第3視点用画像60cとの間で立体視域を形成するため(逆視状態とならないため)の処理である。
【0155】
これにより、観察者が(C)から(D)に移動して、左眼が第2視点領域である71bに,右眼が第1視点領域70aに存在するという状態となった場合に、(C)の状態と同じ視点用画像を第1視点領域及び第2視点領域の双方においてそのまま用いることができる。
すなわち、本第2実施形態では、観察者が(A)から(D)へと移動する間に、画像データの切り替えを、第2視点領域において1回だけ行うように構成されている。
【0156】
図26に示す場合も同様であり、すなわち、観察者が(A)から(B)に移動すると、左眼が第1視点領域である70aに,右眼が第1視点領域70aと第2視点領域71bとが混在した高3Dクロストーク領域cに存在することから、左眼の知覚が優先され、第1視点領域には(A)の状態と同じ第3視点用画像60cを用い、第2視点用領域にも(A)の状態と同じ第4視点用画像60dを用いるという構成を採る。
【0157】
次に、観察者が(B)から(C)に移動すると、左眼が第1視点領域70aと第2視点領域71bが混在した高3Dクロストーク領域cに,右眼が第1視点領域である70aに存在することから、右眼の知覚が優先されるため、第2視点領域に用いる画像が第2視点用画像60bに切り替えられ、第1視点領域にはそのまま第3視点用画像60cが用いられるという、観察者のx軸マイナス方向への移動を考慮した切替処理が実行される。
【0158】
このように、「d>e」(本第2実施形態),「d<e」(比較例)の双方において、観察者が(B)から(C)に移動する際に、何れかの視点領域にて画像データの切り替えが発生するという構成となっている。
【0159】
ちなみに、「d=e」の場合は、
図26における(B)と(C)の状態が混在することとなる。したがって、観察者が(A)の状態からこの状態に移動すると、その左右の眼が何れも高3Dクロストーク領域に存在することとなり、そこから更に移動すると、(D)の状態に直接遷移する。
すなわち、この(B)+(C)の状態においては、左右の眼のいずれもが低3Dクロストーク領域に入らないことから、一瞬違和感のある画像が入力されることになるため、「d=e」の関係となる構成を採った立体画像表示パネルを採用することは好適とは言えない。
【0160】
このように本第2実施形態の構成を採用すれば、「d>e」の状態においても、「d<e」の場合と同じように画像切替処理を行うことが可能となり、その結果、x軸の視認範囲の大きさが一定の場合、より多くの視点用領域を設けることができ、滑らかな運動視差を提示することが可能となる。
【0161】
(第2実施形態の効果等)
本第2実施形態では、低3Dクロストーク範囲f及び高3Dクロストーク範囲cの存在を踏まえた上で、隣接する視点領域間における視点ピッチeが観察者の両眼間隔dよりも小さくなるように立体画像表示パネルを構成した。すなわち、ここでは、小さな視点ピッチを用いての有意な画像分離が実現できたため、これにより、2視点でありながらも滑らかな運動視差を提示することが可能となった。
その他の構成及び動作については、前述した第1実施形態と同様であり、他に生じる作用効果も同様である。特に、各視点領域に対して2つ以上の画像データを用いる場合は、より滑らかな運動視差を可能とする。
【0162】
〔第3実施形態〕
本発明にかかる画像表示装置の第3実施形態を、
図27及び
図29に基づいて説明する。本第3実施形態では、3視点以上の立体画像表示パネルに対して、視点数をN(Nは2以上の自然数)、各視点ピッチをe、観察者の両眼間隔をdとした場合に、「e×(N−2)≦d≦e×(N−1)」の関係が成立するという構成を採った点に特徴を有する。ここで、前述した第1実施形態と同等の構成部材等については、同一の符号を用いるものとする。
【0163】
まず、
図27に、本発明の第3実施形態にかかる一例として、4視点の立体画像表示パネル10による光線分離の状態を示す。
【0164】
この
図27に示すように、立体画像表示パネル10の表示面側には、第1視点領域50a,51a,52a,・・、第2視点領域50b,51b,52b,・・、第3視点領域50c,51c,52c,・・、及び第4視点領域50d,51d,52d,・・から成る4視点分の画像データを出力する領域が存在している。
また、メインローブ90は50a,50b,50c,50dから構成され、サイドローブ91は51a,51b,51c,51dから、サイドローブ92は52a,52b,52c,52dからそれぞれ構成されている。
観察者の左眼がサイドローブ91に存在し、かつ右眼がメインローブ90に存在する場合は、第1実施形態における説明と同様に逆視領域となる。
【0165】
上記「e×(N−2)≦d≦e×(N−1)」の関係を、この
図27に例示する4視点(N=4)の場合でいえば、「2e≦d≦3e」の関係が成り立つこととなる。
【0166】
次いで、
図28に、観察者の位置と各視点領域の関係を示し、ここでは観察者が位置112aから位置112dへと移動する場合について説明する。
まず、観察者が位置112aに在る場合は、観察者の左眼は第1視点領域50aに存在し、観察者の右眼は、上述した「e×(N−2)≦d≦e×(N−1)」の関係により、第3視点領域50cもしくは第4視点領域50dに存在している。
ここでの各視点に入力される画像データとしては、前述した第1実施形態にて参照した
図14に示す画像データを採用する。
【0167】
図29は、観察者が位置112aから位置112dに向けて順次移動した場合における、観察者の左右の眼が位置する視点領域と、各視点領域に用いる画像データとの対応関係について示した表である。
【0168】
この
図29に示すように、観測者が位置112aに在る(A)の状態では、第1視点領域50aには画像B5が、第2視点領域50bには画像B6が、第3視点領域50cには画像B7が、第4視点領域には画像B8が、それぞれ用いられる。
したがって、この状態においては良好な立体画像が視認可能となっている。
【0169】
次に、観察者の左眼がサイドローブ91の第4視点領域51dに移動した場合(
図29に示す(B)の状態)について考察すると、観察者の右眼は、上記同様、第2視点領域50bもしくは第3視点領域50cに存在している。これは、上述した逆視領域に該当するため、本第3実施形態では、観察者の位置計測情報に基づいて表示コントローラ24が、第4視点領域51dに用いている画像をB8からB4に切り替えるという構成を採っている。かかる切替処理を採用したことで、この場所に位置する観察者に対しても良好な立体画像を提供することができる。
【0170】
同様に、観察者の左眼がサイドローブ91の第3視点領域51cに移動した場合(
図29に示す(C)の状態)について考察すると、観察者の右眼は、第1視点領域50aもしくは第2視点領域50bに存在し、逆視領域に該当する。このため、観察者の位置計測情報に基づいて表示コントローラ24が、第3視点領域51cに用いている画像をB7からB3に切り替えるという構成を採っている。これにより、当該位置に存在する観察者に対しても、良好な立体画像を提供することができる。
【0171】
観察者の左眼がサイドローブ91の第2視点領域51bに移動した場合(
図29に示す(D)の状態)についても同様に考察すると、観察者の右眼は、第4視点領域51d又は第1視点領域50aに存在し、この領域はサイドローブ91又は逆視領域に該当する。かかる場合においても、観察者に良好な立体画像を視認させるために表示コントローラ24が、位置計測情報をもとに第2視点領域51bに用いている画像をB6からB2に切り替えるように構成する。
【0172】
このように、観察者の位置計測情報に基づいた画像切替処理を行う構成を採用すれば、少ない視点数の多視点型立体画像表示装置においても、解像度低下を抑制し、滑らかな運動視差を得ることができる。
【0173】
(第3実施形態の効果等)
本第3実施形態における立体画像表示装置によれば、上述の通り、少ない視点数の多視点型立体画像表示装置においても、解像度低下を抑制することができ、滑らかな運動視差を提示することが可能となる。
その他の構成及び動作については、第1実施形態で示したものと同様であり、他に生じる作用効果も同様である。特に、各視点領域に対して2つ以上の画像データを用いる場合は、より滑らかな運動視差を可能とする。
【0174】
〔第4実施形態〕
本発明における立体画像表示装置の第4実施形態を、
図30乃至
図43に基づいて説明する。前述した第1乃至第3実施形態では、1方向の観察方向に対して光学的に画像を分離して観察者に視差画像を投影するという例を示したが、本第4実施形態では、2方向の観察方向に対して光学的に画像を分離して視差画像を観察者に投影するという構成を採用した。
ここで、前述した第1実施形態と同等の構成部材等については、同一の符号を用いるものとする。
【0175】
(全体的構成)
図30に、本第4実施形態における立体画像表示パネル210の構成図を例示する。
この立体画像表示パネル210は、画素(図示せず)がマトリクス状に配列された表示パネル211と、この表示パネル211の表示面側に設けられ且つ各画素に対応づけられた光線分離手段250と、を有している。
【0176】
立体画像表示パネル210は、x軸方向を水平方向にした第1配置状態と、y軸方向を水平方向にした第2配置状態との2つの状態各々において立体画像表示が可能である。また、ここでの水平方向を、観察者の左眼と右眼とを結ぶ直線に略平行な方向として定義し、以下においても同様とする。
なお、後述する
図42に示す表示コントローラ25,立体画像表示パネル210,表示パネル211,及び光線分離手段250の具体例については、前述した第1実施形態において説明した構成内容(表示コントローラ24,立体画像表示パネル10,表示パネル11,及び光線分離手段12)と同様である。
【0177】
図31に、表示パネルに設けられた画素221と光線分離手段(レンズアレイ)250を構成するレンズアレイ素子251との配置関係を例示する。
【0178】
図31(a)に示す通り、4×4のサブ画素から成る画素221は、赤のサブ画素234,青のサブ画素235,緑のサブ画素236,及び白のサブ画素237の4原色により構成されている。
また、1つの画素221の中に具備された4×4のサブ画素においては、x軸方向とy軸方向の双方において各原色が重ならないように配列されている。
【0179】
ここでは、赤のサブ画素234としてのR1,R2,R3,R4、青のサブ画素235としてのB1,B2,B3,B4、緑のサブ画素236としてのG1,G2,G3,G4、白のサブ画素237としてのW1,W2,W3,W4を、
図31(a)のように配列することで、各原色が重ならないように構成している。
【0180】
図31(b)では、
図31(a)に示した画素221をマトリクス状に配列した状態を示し、レンズアレイ250を構成する各レンズアレイ素子251は、各画素221に対応する位置に配置されている。このため、立体画像表示パネル210は、x軸方向とy軸方向の双方について4視点の方向に光を振り分けることができる。
各画素221及びレンズアレイ素子251は、x軸方向とy軸方向に対してそれぞれ平行かつ同一ピッチで配列された構成となっている。
【0181】
ここで、
図31に示した本第4実施形態にかかるサブ画素と画素との構成を、自然数M及びこのMの倍数であるN(2以上の自然数)を用いて一般的に表記すると、以下のようになる。
M原色からなるサブ画素を用いた場合に、各画素を構成するサブ画素数はNの二乗(N視点×N視点)であり、かつNをMで除した余りは0となる。また、各画素内では、2つの光線分離方向に対する隣接サブ画素は同色でない。さらに、各画素内において、2つの光線分離方向に対する同色サブ画素の存在確率は、M原色間でいずれも同じである。
加えて、サブ画素の2つの光線分離方向に対する配列ピッチは等しい。
【0182】
図31では、1つの画素を4×4のサブ画素にて構成した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば3×3のサブ画素にて構成した画素をマトリクス状に配列した表示パネル等も、同様に適用することができる。
また、4×4のサブ画素については、RGBW(赤・緑・青・白)の原色を用いて説明したが、これらに限定されるものではなく、例えば、RGBWに代えて(赤・緑・青・黄)やCMYW(シアン・マゼンタ・イエロー・ホワイト)等を採用するようにしてもよい。他に、蛍光色やパール色や干渉色を、原色として用いることも可能である。
【0183】
図31(a)で示した4原色からなる4×4サブ画素構成においては、前述の第1実施形態にて参照した
図14に示す画像データを用いることができる。
【0184】
次いで、第1配置状態におけるサブ画素構成を示す
図32を参照して、入力画像とサブ画素との関係を説明する。
ここでは、
図31で示した画素221を、サブ画素W4,G4,B4,R4を配置したサブ画素群241と、サブ画素B3,R3,G3,W3を配置したサブ画素群242と、サブ画素G2,W2,R2,B2を配置したサブ画素群243と、サブ画素R1,B1,W1,G1を配置したサブ画素群244とから成る構成として機能させる。
【0185】
すなわち、
図14に示すような入力画像を用いる場合、最初に、サブ画素群241には第5視点用画像B5,サブ画素群242には第6視点用画像B6,サブ画素群243には第7視点用画像B7,サブ画素群244には第8視点用画像B8にそれぞれ対応した信号が入力される。
その際、サブ画素群241乃至244は何れも4原色から構成されているため、画素内における各視点用画像間の表示色数差が生じないという効果を得ることができる。
【0186】
続いて、
図32に示す第1配置状態から90°右回転させた第2配置状態におけるサブ画素構成にかかる
図33を参照して、各視点用画像とサブ画素との関係を説明する。
この
図33においても、
図32の場合と同様、サブ画素群245には第5視点用画像B5,サブ画素群246には第6視点用画像B6,サブ画素群247には第7視点用画像B7,サブ画素群248には第8視点用画像B8にそれぞれ対応した信号が入力される。
【0187】
このように、各画素内ではx軸方向とy軸方向とに同数の視差画像(視点用画像)が生成され、各視点用画像内では配色の異なるサブ画素の数が等しいといった特徴を有するため、これにより、第1配置状態と第2配置状態の何れの状態においても、同等に且つ有意な立体視を実現することができる。
また、かかる構成によれば、視点数に関わらず、第1配置状態と第2配置状態の3D解像度を同一にすることが可能となる。
【0188】
さらに、上述した一般的表記のように、視点数NがM色の倍数であるため、色モアレの発生を抑止することができる。ここで「色モアレ」とは、その配置方向では観察者が視野角を振った時に各色のムラが知覚されることであり、「色モアレ」が発生すると表示品位が大きく低下する。
【0189】
光線分離手段250としては、スタティックな光学素子やアクティブな光学素子のいずれも用いることができるが、x軸とy軸の方向に光線分離が可能な液晶レンズ素子や液晶バリア素子などのアクティブな光学素子が好適である。
【0190】
ところで、
図34に示すように、
図32に示したサブ画素群の構成例に対して、各レンズアレイ素子251が、光線分離方向であるx軸方向(zx平面における各方向)のみを光線分離し、これに直交する方向であるy軸方向(yz平面における各方向)を光線分離しないという構成を採ることにより、分離角に依存することなく色ワレを回避することができる。なお、この
図34に示す状態は、前述の第1配置状態に相当する。
【0191】
ここで、x軸方向に光線分離された各領域は次の通りである。すなわち、50a,51a(図示せず),52aはサブ画素群241に対応した第1視点領域、50b,51b(図示せず),52bはサブ画素群242に対応した第2視点領域、50c,51c,52c(図示せず)はサブ画素群243に対応した第3視点領域、50d,51d,52d(図示せず)はサブ画素群244に対応した第4視点領域となっている。
【0192】
加えて、メインローブは50a,50b,50c,50dで構成され、51a,51b,51c,51dの組合せもしくは52a,52b,52c,52dの組合せはサイドローブに相当する。y軸方向に示された光線59a,59b,59c,59dは、図示の通り分離されていない。
【0193】
また、y軸方向を水平方向にした第2配置状態(
図33に示すサブ画素群の構成例に対応)においても同様に、y軸方向のみを光線分離し、x軸方向を光線分離しない状態とするように、各レンズアレイ素子251が構成されている。
【0194】
したがって、本第4実施形態における上記構成によれば、いずれの配置状態においても、分離角に依存することなく色ワレを回避することが可能となり、更に分離角が大きくなるにつれて色モアレが顕在化しやすくなるという不都合を抑制することができる。すなわち、該構成は視認性向上を図るための有効な手段となる。
【0195】
次に、観察者が
図34の位置113aに在る状態からx軸方向に沿って移動した場合の様子として、
図35に、立体画像表示パネル210の表示面の中心部分における3Dクロストーク特性を示す。
【0196】
3Dクロストーク特性にかかる詳細は、前述した第2実施形態における
図23等を参照しての説明内容と同様である。また、70aと72aは、
図34で示した第1視点領域50aと52aにそれぞれ相当し、70bは
図34で示した第2視点領域50bに相当し、70cと71cは、
図34で示した第3視点領域50cと51cにそれぞれ相当し、70dと71dは
図34で示した第4視点領域50dと51dにそれぞれ相当する。
【0197】
この
図35では、前述の
図23と同様、横軸に最適視認距離におけるx軸方向をとり、縦軸に3Dクロストークの値をとっている。また、同様に、3Dクロストーク特性にかかる横軸を、最適視認距離に対するx軸の大きさの正接で算出した視野角角度として示すようにしてもよい。
【0198】
ここで、
図35の(A)〜(D)に示すように、観察者がx軸のマイナス方向へと順次移動した場合における、観察者の左右の眼の位置する視点領域と、第1視点領域から第4視点領域の画像データとの対応関係を、
図36に示す。使用する画像データとしては、前述の第1実施形態における
図14を採用する。
【0199】
図36で示すように、観察者が位置113bから位置113cに移動する際に、すなわち観察者がメインローブから逆視領域に入るところで、その際の観察者位置を検出した観測者位置計測部45からの計測結果を受けて、表示コントローラ24が画像データを入れ替えるという構成を採っている。
本第4実施形態では、観察者が(C)の状態に至った際に、4つの視点領域すべての画像データを入れ替えるという処理を採用したため、観察者が(D)の状態を超えて更にx軸のマイナス方向へと移動するような場合でも、次に逆視領域に入るまでは画像データの入れ替えを行う必要がない。
【0200】
なお、観察者が位置113aから位置113b又は位置113cから位置113dへと移動する際には、
図36に示す通り、画像データの入れ替えは行わない構成となっている。
【0201】
さらに、表示パネルに配列された各画素を、
図37に示すようなサブ画素群によって構成すると共に、これを用いて観察者に立体視を知覚させることも可能である。
【0202】
図37(a)では、
図31に示した画素221が、サブ画素W4,B3,G4,R3を配置したサブ画素群241’と、サブ画素G2,R1,W2,B1を配置したサブ画素群242’と、サブ画素B4,G3,R4,W3を配置したサブ画素群243’と、サブ画素R2,W1,B2,G1を配置したサブ画素群244’とから成り、同様に
図37(b)では、サブ画素G2,R1,W2,B1を配置したサブ画素群245’と、サブ画素R2,W1,B2,G1を配置したサブ画素群246’と、サブ画素W4,B3,G4,R3を配置したサブ画素群247’と、サブ画素B4,G3,R4,W3を配置したサブ画素群248’とから成る。
【0203】
すなわち、
図37(a)では、第1配置状態における画素221内のサブ画素及びこれに対応するレンズ素子251を示し、
図37(b)では、この第1配置状態から90°右回転させてy軸方向を水平方向にした第2配置状態における各構成を示す。
【0204】
また、本第4実施形態にて採用した各サブ画素に入力する画像情報の一例を、
図38に示す。
この
図38において、A1〜A9,B1〜B9,C1〜C9,D1〜D9(横に並んだ各画像)はそれぞれ水平視差の異なる画像であり、例えばA1,B1,C1,D1のように縦に並んだ各画像(ここではアルファベットが異なり数字が同じ符号が付された画像)はそれぞれ垂直視差の異なる画像である。
図38に示す画像データの大きな特徴は、縦に並んだ4つの各視点用画像間(A〜D)におけるサイコロの”1”の面の大きさの違いにある。もっとも、番号1〜9が付された各視点用画像間では、前述の
図14等と同様に、サイコロの“5”の面の大きさと“3”の面の大きさとがそれぞれ異なるという構成を採っている。
【0205】
図38で示した画像の生成方法は、
図8を参照して説明した方法と基本的に同様である。すなわち、画像データの数に応じた各視点用カメラをx軸及びy軸と略平行に配置し、これによって3Dオブジェクトを撮像することで画像生成を行う。
【0206】
ここで、
図37(a)及び
図38を参照して、第1配置状態での各視点用画像とサブ画素との関係を説明する。
図38に示したような入力画像を採用した場合、例えば、
図37(a)のサブ画素群241’には画像B5,サブ画素群242’には画像B6,サブ画素群243’には画像C5,サブ画素群244’には画像C6に対応した信号がそれぞれ入力される。すなわち、サブ画素群241’,サブ画素群242’,サブ画素群243’,サブ画素群244’の各々に、
図38の破線で囲んだ各画像に対応した信号が入力される。
これにより、水平2視差と垂直2視差の計4視差の画像表示が可能となる。その際、サブ画素群241’〜244 ’は何れも、4原色から構成されているため、画素内における各視点用画像間の表示色数差は生じない。
【0207】
次に、
図37(b)及び
図38を参照して、第2配置状態での各視点画像とサブ画素との関係を示す。
図37(a)の場合と同様に、サブ画素群245’には画像B5,サブ画素群246’には画像B6,サブ画素群247’には画像C5,サブ画素群248’には画像C6に対応した信号がそれぞれ入力される。
【0208】
かかる構成によれば、視点数に関わらず第1配置状態と第2配置状態における3D解像度を同一にすることができる。すなわち、一の画素内でのサブ画素群の規則性により、第1配置状態と第2配置状態での視点数が同一となるため、これにより、各配置状態において同様な立体視を実現することが可能となる。
【0209】
上記説明内容に基づいて、原色数をM,水平視差表示における視点数をN(Nは2以上の自然数),水平垂直視差表示における水平視点数及び垂直視点数をLとし、水平垂直視差のトータル視点数をJ(=L×L)、水平垂直視差表示におけるサブ画素群の1方向あたりのサブ画素数をKとした場合のこれらの関係性を、一般的に以下に記す。
ここで、視点数Nは水平視差表示のみの場合における視点数であり、画素内の1方向あたりのサブ画素数に相当する。
【0210】
まず、原色数Mの平方根である√Mが整数となる場合はK=√M、√Mが整数とならない場合はK=Mとなる。例えば、M=1,4,9の場合は、√Mが整数となるためK=1,2,3となり、M=2,3の場合は、√Mが整数とならないためK=2,3となる。
【0211】
次に、1方向あたりの水平視点数及び垂直視点数Lは、「L=N/K(但し、Lは2以上の自然数)」で表される。例えば、
図31に示す画素221の場合では「L=4/2=2」となる。このように、水平垂直視差表示において、1方向あたりの水平視点数及び垂直視点数Lが、水平垂直視差表示におけるサブ画素群の1方向あたりのサブ画素数Kの倍数となるような構成を採っているため、これにより、表示画像に色モアレが発生しないという効果を得ることができる。
【0212】
次いで、
図39に、
図37(a)に示した第1配置状態におけるx軸方向及びy軸方向の光線分離の様子を示す。この
図39においては、x軸方向が水平方向であり、y軸方向が垂直方向である。
また、ここでは、第1方向と第2方向の双方向に対して同時に光線分離する光線分離手段250を採用したため、これにより、水平方向と垂直方向の両方に視差が付与される。
【0213】
図39には、水平方向と垂直方向の両方に視差が付与されるという構成について、観察者が水平方向(x軸方向)における位置114a,位置114b,位置114c,・・・に移動した場合、及び垂直方向(y軸方向)における位置115a,位置115b,位置115c,位置115d,・・・に移動した場合の様子を示す。
第1視点領域は、サブ画素群241’からの出射光である水平方向50aと垂直方向55aとから成り、第2視点領域は、サブ画素群242’からの出射光である水平方向50bと垂直方向55aとから成り、第3視点領域は、サブ画素群243’からの出射光である水平方向50aと垂直方向55bとから成り、第4視点領域は、サブ画素群244’からの出射光である水平方向50bと垂直方向55bとから成る。
【0214】
水平方向でのメインローブは、観察者の左眼が50a,右眼が50bに位置した領域1箇所であるのに対し、垂直方向のメインローブは、観察者の両眼が55a又は55bに位置した領域2箇所に存在する。ここで、55aにかかる領域をメインローブ1,55bにかかる領域をメインローブ2,56bにかかる領域をサイドローブ1,54aにかかる領域をサイドローブ2とする。
【0215】
図40は、それぞれの観察者位置(
図39参照)に関して、観察者の左右の眼がどの視点領域に位置したときに、どのような画像データ(
図38参照)を各視点領域(各サブ画素群)に対して入力するか、という対応関係を示している。
【0216】
一般に、2×2視点の立体画像表示パネルに対して4視点分の画像データを用いる場合にあっては、水平方向におけるメインローブとサイドローブとで同一映像の知覚しかできない上に、メインローブとサイドローブとの間では逆視が発生する。同じくこの場合、垂直方向における逆視は発生しないものの、メインローブ1とサイドローブ1、又はメインローブ2とサイドローブ2では、それぞれにおいて同一映像の知覚しかできない。
【0217】
これに対し、本第4実施形態における構成を用いることで、
図40に示す通り、2×2視点の立体表示においても、立体視域A1,A2,A3・・・、B1,B2,B3・・・、C1,C2,C3・・・、D1,D2,D3・・・にて観察者に異なる映像を知覚させることができ、すなわち水平・垂直方向の双方共に運動視差が付与されることとなり、このため、立体画質の臨場感向上に寄与することが可能となる。
ここで、垂直方向については両眼視差を伴わないため、垂直方向の分離角(視点ピッチ)が、水平方向の分離角(視点ピッチ)の大きさに対して小さくなるような構成を採ってもよい。
【0218】
以上のように、アクティブな光線分離手段250を用いる場合、本第4実施形態では、例えば、
図34に示す場合のように、第1配置状態についてはx軸方向のみを光線分離し,y軸方向については光線分離しないという状態にする構成と、
図39に示す場合のように、水平方向と垂直方向の両方に視差を付与し、x軸方向とy軸方向の双方向に対して同時に光線分離させるという構成と、を採用することができる。
【0219】
上述のように、垂直方向の分離角を水平方向の分離角よりも小さくするという構成を採った場合は、垂直方向に光線を分離させる状態を示すレンズ253(
図39)のレンズパワー(屈折力)を、水平方向に光線を分離させる状態を示すレンズ252(
図39)のレンズパワーよりも小さくするように構成する。
【0220】
図41に、上述した本第4実施形態にかかる立体画像表示装置1を装備した端末装置300の一例を示す。すなわち、この端末装置300は、立体画像表示装置1と、これを内包する筺体310と、から成り、立体画像表示装置1は、上述したように光線分離手段250としてx軸方向とy軸方向に応じた方向に光線分離が可能である液晶レンズ素子(図示せず)を具備している。
【0221】
そこで、本第4実施形態での立体画像表示装置1を搭載した端末装置300の構成を、
図42に基づいて説明する。
ここでの立体画像表示装置1には、前述した第1実施形態にて説明した構成に対し、端末装置300が動いた結果生じる変位を検出する検出部150が付加されている。すなわち、検出部150は、端末装置300が観察者にとって水平もしくは垂直に位置することを同定するため構成である。
【0222】
検出部150は、端末装置300が動いた結果生じる変位を検出するセンサにより構成されている。ここで、検出部150が検出する端末装置300の変位とは、傾き角の変化や移動量のことである。例えば、検出部150として加速度センサや地磁気センサ等のセンサを用いた場合には、重力加速度や地磁気を基準として、傾き角の変化や移動量を算出することが可能となる。すなわち、検出部150は、傾き角の変化や移動量を検出する傾き角検出手段151を有し、立体画像表示パネル10と観察者との位置関係を検出するように構成されている。
【0223】
また、検出部150は、傾き角検出手段151による検出結果としての傾き角に関する情報(変位情報)を画像生成処理部30に送付するという構成を採っている。
【0224】
すなわち、画像生成処理部30は、前述の第1実施形態でも示した相対位置算出部40からの計測結果と検出部150からの信号(変位情報)に応じて、端末装置300の水平方向と観察者位置に応じた画像データを表示パネル駆動回路21に出力するように構成されている。
【0225】
ここで、3Dデータを出力する場合には、上述した
図32及び
図33に基づく説明の通り、第1配置状態と第2配置状態とでは各視点に対応するサブ画素が変わるため、画像生成処理部30は、この変化に対応した画像データを表示パネル駆動回路21に出力するという構成を採っている。
【0226】
また、この表示パネル駆動回路21への出力と同時に画像生成処理部30は、端末装置300が
図32に示す第1配置状態又は
図33に示す第2配置状態にある場合に、これら各配置状態に応じて画像振分制御回路22に、x軸方向とy軸方向に光線分離手段250(液晶レンズ)を有効にする旨の指令信号を送信するように構成されている。
【0227】
さらに、第1実施形態で示した水平方向のみにN視点展開する場合(以下、水平N視点展開とする)と、本第4実施形態で示した水平方向と垂直方向にそれぞれL視点(L=N/K)ずつ(トータルでJ視点)展開する場合(以下、水平垂直J視点展開とする)と、の選択に際しては、画像生成処理部30内の外部IF34が有効に機能するように構成されている。例えば、観察者からの指示等により外部から出力された選択信号を外部IF34が受信し、この選択信号が内包する情報に基づいて画像生成処理部30が画像データの生成を行うといった構成を採用することができる。
【0228】
したがって、本実施形態での画像生成処理部30による画像データ生成方法は、第1実施形態において説明した生成方法に、外部から受信した選択信号に応じて仮想カメラの位置を変更するという方法を加えた構成となっている。
すなわち、演算器31が、水平N視点展開の場合には、仮想カメラを水平方向のみにN視点分設定し、水平垂直J視点展開の場合には、仮想カメラを水平方向と垂直方向にそれぞれL視点分(合計L×L視点分:J視点分)設定し、これと共に演算器31は、それぞれの場合においてレンダリング処理を施して画像データを生成するように構成されている。
【0229】
また、水平N視点展開の場合において、N=2のときは、第2実施形態で述べた(e+f)>d>eの関係を用いることができ、N≧3のときは、第3実施形態で述べた「e×(N−2)≦d≦e×(N−1)」の関係を用いることができる。
これら各実施形態で述べた内容と同様に、この関係を満たす場合には、本第4実施形態にかかる構成によっても、所定の立体視認性を確保しつつ、運動視差に優れた立体画像表示装置を提供することができる。
【0230】
また、
図37で示した水平垂直J視点展開の場合において、J=2(2×2視点)のときは、水平視差方向には、第2実施形態で述べた「(e+f)>d>e」の関係を用いることができ、J≧3のときは、第3実施形態で述べた「e×(J−2)≦d≦e×(J−1)」の関係を用いることができる。これにより所定の立体視認性を確保しつつ、水平垂直方向に対して運動視差に優れる立体画像表示装置を提供することができる。
【0231】
垂直視差方向には、水平視差方向よりも小さい視点ピッチを用いることができる。これにより、更なる色モワレの低減と滑らかな運動視差の付与が可能となる。
それ以外の動作については、第1の実施形態と同様である。
【0232】
(動作説明)
次に、本第4実施形態における立体画像表示装置1及び端末装置300の動作内容を、
図43に示すフローチャートに基づいて簡潔に説明する。
【0233】
端末装置300の変位を検出した検出部150が、この検出結果である変位情報を画像生成処理部30に出力する(
図43:S201)。
【0234】
また、内包するカメラを用いて観察者位置計測部45が、観察者100の位置を計測すると共に、この計測結果を相対位置算出部に出力する(
図43:S202)。
次いで、観察者位置計測部45から取得した計測結果に基づいて相対位置算出部40が、立体画像表示パネル10上に予め設定された基準点(ここでは画像表示中心)に対する左眼101及び右眼102との相対位置を算出すると共に、この算出結果(位置情報)を出力する(
図43:S203)。
【0235】
次に、検出部150からの変位情報と相対位置算出部40からの位置情報とに基づいて画像生成処理部30が、3Dデータ及び制御信号を生成し出力する(
図43:S204)。
【0236】
続いて、画像生成処理部30から取得した3Dデータに基づいて表示パネル駆動回路21が表示パネルを駆動させ、画像生成処理部30からの制御信号に従って画像振分制御回路22が光線分離手段12の動作を制御する(
図43:S205)。
【0237】
上記の動作説明は、便宜上、
図43に付した番号の順(S201〜S205)に行ったが、本第4実施形態にかかる立体画像表示装置1の動作内容は、当該順序に限定されるものではない。また、各ステップS201〜S205(
図43)における各工程の実行内容をプログラム化すると共に、この一連の各制御プログラムをコンピュータによって実現するように構成してもよい。
【0238】
(第4実施形態の効果等)
本第4実施形態における立体画像表示装置では、各画素内ではx軸方向とy軸方向とに同数の視差画像を生成し、各視点用画像内では配色の異なるサブ画素の数が等しいといった構成を採用したため、アクティブな光線分離手段によって、水平,垂直方向の何れか1方向に視差を付与する場合、又は水平方向と垂直方向の2方向に対して同時に視差を付与する場合、の双方において、第1及び第2配置状態における3D解像度を同一にすることができる。
【0239】
また、本第4実施形態における各画素においては、視点数Nが原色数Mの倍数となるように構成したため、色モアレの発生を抑制することができる。加えて、本第4実施形態では、第1配置状態から90°右回転させてy軸方向を水平方向にした状態を第2配置状態として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば第1配置状態から90°左回転させてy軸方向を水平方向にした状態においても、上記各構成部材が有効に機能するため、ここでの第2配置状態の場合と同等の作用効果を得ることができる。
その他の構成及び動作については、第1実施形態で示したものと同様であり、他に生じる作用効果も同様である。特に、各視点領域に対して2つ以上の画像データを用いる場合は、より滑らかな運動視差を水平視差,垂直視差ともに可能とする。
【0240】
〔第5実施形態〕
前述した本第4実施形態では、2方向の観察方向に対して光学的に画像を分離して視差画像を観察者に投影するという構成例を示したが、かかる構成内容は、上述した第1乃至第3実施形態における構成にも適用することができる。
そこで、本第5実施形態では、2方向の観察方向に対して光学的に画像を分離するという構成内容を第1実施形態の構成に適用した立体画像表示装置について、
図44乃至
図45をもとに説明する。
【0241】
本第5実施形態における立体画像表示装置の全体構成は、
図1及び
図2に示す立体画像表示装置1の構成内容と同様であるため、以下の説明では、これら各図を便宜的に参照する。このため、第1実施形態と同等の構成部材等については同一の符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0242】
立体画像表示装置1が内包する立体画像表示パネル10は、少なくとも第1視点用の画像を表示するサブ画素と第2視点用の画像を表示するサブ画素とを含む画素がマトリクス状に配列された表示パネル11と、この表示パネル11の表示面側に設けられ上記画素からの視差画像を各視点に向けて分離する光線分離手段12と、を有している。
【0243】
光線分離手段12は、
図2に示すように、表示パネル11上に配置された各画素に対応するレンズ15がアレイ状に配列された構成であり、すなわち、上記各画素の配列方向のうちの一の方向(光線分離方向:
図44のx方向)に光線を分離する構造を有している。
【0244】
ここでも、観察者の左目と右目とを結ぶ直線に平行な方向を水平方向と定義し、以下においては、光線分離方向(x方向)が該水平方向と略平行である場合を想定する。このため、光線分離方向を水平方向とも称する。併せて、表示パネル11の表示面内(該表示面と平行な平面内)において水平方向(x方向)に垂直な方向を垂直方向(
図44のy方向)と定義する。この垂直方向は、上記各画素の配列方向のうちの他の方向である。
【0245】
立体画像表示パネル10には、第1視点用サブ画素261及び第2視点用サブ画素262からなる画素263と、この画素263に対応する位置に設けられた、光線分離手段12を構成するレンズ15との組合せがマトリクス状に複数配置されており、各々が光線分離可能な構成となっている。
【0246】
図44は、2視点分のサブ画素を含む画素の近傍を、
図2に示す構成から抽出したものであり、具体的には、前述した画素263とレンズ15との組合せの1つを示す。また、一方向の光線分離手段12を用いて、観察者の位置に応じた二方向それぞれに対応する画像を提示する様子が例示されている。
【0247】
上記組合せにより、サブ画素群261からの出射光が広がる第1視点領域50a,51a(図示せず),52a,・・・と、サブ画素群262からの出射光が広がる第2視点領域50b,51b,52b(図示せず),・・・とが、x軸方向に沿って交互に繰り返されるように画像が分離される。
【0248】
また、
図44には、このような画像分離空間において、観察者が水平方向(x軸方向)における位置114a,位置114b,位置114c,・・・に移動した場合、及び垂直方向(y軸方向)における位置115a,位置115b,位置115c,位置115d,・・・に移動した場合の様子が例示されている。
【0249】
ここでは、水平方向でのメインローブが、観察者の左眼が50a,右眼が50bに位置した領域1箇所であるのに対し、垂直方向にはレンズ効果が無いため、メインローブやサイドローブなどの画像分離空間は存在しない。
【0250】
次いで、
図45に、それぞれの観察者位置(
図44参照)に関して、観察者の左右の眼がどの視点領域に位置した際に、どのような画像データ(
図38参照)を各視点領域(各サブ画素群)に対して入力するか、という対応関係を示す。
【0251】
このように、2視点の水平方向にのみ画像を分離する立体画像表示パネル(垂直方向に画像分離しない立体画像表示パネル)であっても、観察者の垂直方向の位置に応じたカメラ撮像画像を適宜切り替えて表示することで、観察者の水平・垂直方向の移動に対応した有意な画像を提供することができる。
【0252】
具体的には、
図45に示す通り、垂直位置115aでは画像データA1,A2,A3・・・、垂直位置115bではB1,B2,B3・・・、垂直位置115cではC1,C2,C3・・・、垂直位置115dではD1,D2,D3・・・、を適用することで、観察者が垂直方向に移動した場合にも、該観察者に対して適時に異なる映像を知覚させることができ、その結果、水平・垂直方向の双方に運動視差が付与されることとなり、立体画質の臨場感向上に寄与することが可能となる。
【0253】
ところで、本第5実施形態における立体画像表示装置1は、
図1に示すように、観察者の位置を計測する観察者位置計測部45と、この計測結果に基づいて立体画像表示パネル10に対する観察者の相対位置を算出する相対位置算出部40と、ここで算出した相対位置情報に基づいて視差画像の生成等を行う画像生成処理部30と、を有している。
【0254】
ここで、相対位置算出部40にて算出した相対位置情報には、観察者の水平及び垂直方向の位置情報が含まれているため、画像生成処理部30は、相対位置情報に基づいて観察者の垂直方向の移動をも考慮した画像を生成することができる。すなわち、この生成した画像を画像生成処理部30が表示パネル駆動回路21を介して表示パネル11に出力することで、上記画像の切り替え処理が実現される。
【0255】
水平方向の画像切り替え角度(例えば、
図38におけるA1,A2,A3・・・間の画像切り替え角度)は、水平方向のカメラ撮像位置間隔をもとに決定され、垂直方向の画像切り替え角度(例えば、
図38におけるA1,B1,C1,D1・・・間の画像切り替え角度)も同様に、垂直方向のカメラ撮像位置間隔をもとに決定される。
画像切り替え角度を視点ピッチに比べて十分小さくすることにより、非常に滑らかな運動視差を得ることが可能となる。このようにした場合には、特に、該画像切り替え角度に応じて表示コントローラ24内のデータ蓄積部32とメモリ33の容量を大きくし、演算器31の処理能力を高速化することが望ましい。
【0256】
ここでは、水平・垂直の双方向に対する運動視差の付与に関して第1実施形態の構成内容をもとに説明したが、上述した通り、第2実施形態や第3実施形態における構成内容によっても同様の手法により、水平・垂直方向の双方に運動視差を付与する構成を実現することができる。
【0257】
(第5実施形態の効果等)
上記の通り、本第5実施形態では、光線分離手段12が、前記各画素の配列方向のうちの一の方向(X方向)に光線を分離する構造を有すると共に、画像生成処理部30が、立体画像表示パネル10の表示面内にて上記一の方向に垂直な方向(y方向)にかかる観察者の位置に応じた画像を生成し、これを立体画像表示パネル10に向けて出力する、という構成を採っている。このため、観察者の垂直方向の位置に応じたカメラ撮像画像を観察者に提示することが可能となる。
【0258】
すなわち、2視点の水平方向のみ画像分離する立体表示パネルにおいても、本第5実施形態にかかる構成を採れば、観察者の垂直方向の位置に応じたカメラ撮像画像を提示することができるため、水平・垂直方向の双方共に運動視差が付与され、これにより立体画像の臨場感の向上を図ることが可能となる。
【0259】
また、観察者の位置計測情報に基づいて視点ピッチよりも十分小さい画像切り替え角度の画像データを用いることにより、少ない視点数の多視点型立体画像表示装置においても、解像度低下を抑制し、滑らかな運動視差を得ることができる。
他の構成及び動作については、上述した各実施形態と同様であり、他に生じる作用効果も同様である。
【0260】
なお、上述した各実施形態は、立体画像表示装置、端末装置、立体画像表示方法、及びそのプログラムにおける好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もある。しかし、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0261】
以下は、上述した実施形態についての新規な技術的内容の要点をまとめたものであるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0262】
(付記1):第1実施形態(J=s×N)
複数の画素が配列された表示パネルと、この表示パネルの表示面側に設けられ前記各画素の配列方向に応じた複数のN視点(Nは2以上の自然数)に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段と、を有して成る立体画像表示パネルと、
前記表示面に対向する観察者の観察位置を計測する観察者位置計測部と、
この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネルに対する前記観察者の相対位置を算出する相対位置算出部と、
予め設定されたJ視点分(J>N)の視点画像を生成する機能を有すると共に、前記N視点を構成する各視点に応じた1つ以上の視点画像を前記相対位置に対応づけて生成し前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像生成処理部と、を有することを特徴とした立体画像表示装置。
【0263】
(付記2):第1実施形態(J=s×N)
前記付記1に記載の立体画像表示装置において、
前記視点数Nと視点数Jとが、J=s×N(係数sは2以上の自然数)なる関係を満たす(前記N視点とJ視点との間には、J=s×N(係数sは2以上の自然数)の関係が在る)ことを特徴とした立体画像表示装置。
【0264】
(付記3):第1実施形態(サイドローブがほぼ左右対称;sは3以上の奇数)
前記付記2に記載の立体画像表示装置において、
前記立体画像表示パネルは、その画像表示中心を始点とした前記表示面からの法線である表示法線を含んだ立体視域をメインローブとして形成し、このメインローブに隣接する立体視域をサイドローブとして形成するローブ形成機能を有し、
立体視認範囲が最大となる最適観察距離をOD,このODでの各視点領域間の視点ピッチをeとしたときに、前記メインローブの中心線と前記表示法線との成す角がatan(e/OD)以下である場合には、前記係数sが予め3以上の奇数に設定され、
前記画像生成処理部は、この設定された係数sに基づいて前記J視点分の視点画像を生成することを特徴とした立体画像表示装置。
【0265】
(付記4):第1実施形態(サイドローブがほぼ左右対称;sは3以上の奇数)
前記付記2に記載の立体画像表示装置において、
前記立体画像表示パネルは、その画像表示中心を始点とした前記表示面からの法線である表示法線を含んだ立体視域をメインローブとして形成し、このメインローブに隣接する立体視域をサイドローブとして形成するローブ形成機能を有し、
前記画像生成処理部は、前記位置情報に基づいて前記メインローブの中心線と前記表示法線との成す角を算定する機能を有すると共に、立体視認範囲が最大となる最適観察距離をOD,このODでの各視点領域間の視点ピッチをeとすると、前記算定した成す角が「atan(e/OD)」以下である場合に前記係数sを3以上の奇数に設定することを特徴とした立体画像表示装置。
【0266】
(付記5)第1実施形態(移動方向に応じた画像データの選定;N≧3)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の立体画像表示装置において、
前記画像生成処理部は、前記視点数Nが3以上(N≧3)である場合に、前記観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域への視点画像を当該観察者の移動方向に基づいて選定すると共に、この選定した視点画像を前記立体画像表示パネルに向けて出力することを特徴とした立体画像表示装置。
【0267】
(付記6)実施形態1(移動方向に応じた画像データの選定;N≧3)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の立体画像表示装置において、
前記画像生成処理部は、前記視点数Nが3以上(N≧3)である場合に、経時的な相対位置算出部からの位置情報に示された前記観察者の移動方向に基づいて当該観察者の次の移動位置を推定すると共に、この推定位置に対応する視点画像を前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像データ切替処理機能を有することを特徴とした立体画像表示装置。
【0268】
(付記7):第1実施形態(移動方向と移動速度に応じた画像データの選定;N≧4)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の立体画像表示装置において、
前記画像生成処理部は、前記視点数Nが4以上(N≧4)である場合に、前記観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域への視点画像を当該観察者の移動方向及び移動速度に基づいて選定すると共に、これを前記立体画像表示パネルに向けて出力することを特徴とした立体画像表示装置。
【0269】
(付記8):第1実施形態(移動方向と移動速度に応じた画像データの選定;N≧4)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の立体画像表示装置において、
前記画像生成処理部は、前記視点数Nが4以上(N≧4)である場合に、経時的な相対位置算出部からの位置情報に示された観察者の移動方向及び移動速度に基づいて当該観察者の移動位置を推定すると共に、この推定位置に対応する視点画像を前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像データ選定処理機能を有することを特徴とした立体画像表示装置。
【0270】
(付記9):第1実施形態(移動方向と移動速度に応じた画像データの選択;N≧4)
前記付記7又は8に記載の立体画像表示装置において、
前記画像生成処理部は、前記観察者の左右の眼の何れもが位置していない視点領域として、当該観察者が移動前に位置する視点領域を起点とした第1乃至第(N−2)番目の隣接視点領域を選択することを特徴とした立体画像表示装置。
【0271】
(付記10):第2実施形態(2視点の場合における視点ピッチ)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の立体画像表示装置において、
前記立体画像表示パネルを、前記視点数Nが2(N=2)である場合に、立体視認範囲が最大となる最適観察距離での各視点領域間の視点ピッチが前記観察者の両眼間隔(=65mm)よりも小さくなるように構成したことを特徴とする立体画像表示装置。
【0272】
(付記11):第2実施形態(クロストーク領域を考慮)
前記付記10に記載の立体画像表示装置において、
前記立体画像表示パネルを、前記視点ピッチをe,前記両眼間隔をd,予め設定された3Dクロストーク値以下である視点領域の範囲をfとした場合に、「(e+f)>d>e」の関係を満たすように構成したことを特徴とする立体画像表示装置。
【0273】
(付記12):第2実施形態(クロストーク領域を考慮)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の立体画像表示装置において、
前記立体画像表示パネルを、立体視認範囲が最大となる最適観察距離での各視点領域間の視点ピッチをe,前記観察者の両眼間隔をd,予め設定された3Dクロストーク値以下である視点領域の範囲をfとした場合に、「(e+f)>d>e」の関係を満たすように構成したことを特徴とする立体画像表示装置。
【0274】
(付記13):第3実施形態(多視点における視点ピッチ)
前記付記1乃至9に記載の立体画像表示装置において、
前記視点数Nが3以上であり、立体視認範囲が最大となる最適観察距離での各視点領域間の視点ピッチをe,前記観察者の両眼間隔をdとした場合に、
前記立体画像表示パネルを、「e×(N−2)≦d≦e×(N−1)」の関係を満たすように構成したことを特徴とする立体画像表示装置。
【0275】
(付記14):第4実施形態(縦横3D)
前記付記1乃至13の何れか1つの立体画像表示装置において、
前記各画素は、M色(Mは1以上の自然数)の原色に色分けされたN×N個(Nは2以上の自然数)のサブ画素を有し、かつ前記表示パネル上にてマトリクス状に配置され、
前記光線分離手段は、前記視差画像に応じた前記各画素からの出射光を前記画素の配置に沿った第1方向及び第2方向に振り分ける光学素子を有し、
この光学素子は、前記各画素に対応づけられてマトリクス状に配置され、
前記各画素内で隣接する前記サブ画素は、相互に異なる配色であり、
前記サブ画素の配列ピッチは、前記第1及び第2方向にて均一であり、
前記各画素内では、前記第1方向と第2方向に対する同数の前記視差画像が表示され、
配色の異なる前記サブ画素の数が、前記視差画像内で等しいことを特徴とした立体画像表示装置。
【0276】
(付記15):第4実施形態(検出部)
前記付記14に記載の立体画像表示装置において、
前記表示パネルを含む装置本体の変位を検出する検出部をさらに有し、
前記画像生成処理部は、前記相対位置と前記検出部からの変位情報とに基づいて前記視点画像を生成する機能を有することを特徴とした立体画像表示装置。
【0277】
(付記16):第4実施形態(水平垂直2方向表示)
前記付記15に記載の立体画像表示装置において、
前記検出部は、観察者の左目と右目とを結ぶ直線と平行な方向である水平方向と前記第1方向とが平行である第1配置状態にあるか、この水平方向と前記第2方向とが平行である第2配置状態にあるか、を判別する機能を有し、
前記画像生成処理部は、
原色数である前記Mの平方根√Mが整数となる場合には、前記Nを前記√Mで除した商(L)を前記水平方向及びこれと直交関係にある垂直方向の視点数とした上で、前記第1及び第2方向のそれぞれに応じた当該視点数分の視差を有する画像を生成し、
前記Mの平方根√Mが整数とならない場合には、前記Nを前記Mで除した商(L)を前記水平方向及び垂直方向の視点数とした上で、前記第1及び第2方向のそれぞれに応じた当該視点数分の視差を有する画像を生成することを特徴とした立体画像表示装置。
【0278】
(付記17):第4実施形態(水平方向視点ピッチ>垂直方向視点ピッチ)
前記付記14乃至16に記載の立体画像表示装置において、
前記第1方向もしくは前記第2方向の何れか一方が、前記観察者の左目と右目とを結ぶ直線と平行な方向である水平方向に沿った状態にあり、他方が、前記水平方向と垂直な垂直方向に沿った状態にあるときに、
前記立体画像表示パネルは、前記水平方向の視差ピッチが前記垂直方向の視差ピッチよりも大きくなるように構成されたこと特徴とする立体画像表示装置。
【0279】
(付記18):第5実施形態等
前記付記1乃至13の何れか1つに記載の立体画像表示装置において、
前記光線分離手段は、前記各画素の配列方向のうちの一の方向(x方向:光線分離方向)に光線を分離する構造を有し、
前記画像生成処理部は、前記各画素の配列方向のうちの他の方向(前記表示面内にて前記一の方向に垂直な方向:y方向)にかかる前記観察者の位置に応じた画像を生成し前記立体画像表示パネルに向けて出力することを特徴とした立体画像表示装置。
【0280】
(付記19)第1乃至第4実施形態
前記付記1乃至18の何れか1つに記載の立体画像表示装置と、
この立体画像表示装置を内包する筺体と、を有することを特徴とした端末装置。
【0281】
(付記20)
複数の画素が配列された表示パネル及びこの表示パネルの表示面側に設けられ前記各画素の配列方向に応じた複数のN視点(Nは2以上の自然数)に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段を含む立体画像表示パネルと、前記表示面に対向する観察者の位置を計測する観察者位置計測部と、この計測結果に応じて前記視差画像を生成する表示コントローラと、を有する立体画像表示装置にあって、
前記観察者の観察位置を前記観察者位置計測部が計測し、
この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネルに対する前記観察者の相対位置を前記表示コントローラが算出し、
予め設定されたJ視点分(J>N)の視点画像を前記表示コントローラが生成し、
この生成した視点画像の中から前記相対位置に応じた複数の視点画像を前記表示コントローラが特定し、
この特定した前記複数の視点画像を前記表示コントローラが前記立体画像表示パネルに向けて出力することを特徴とした立体画像表示方法。
【0282】
(付記21)
複数の画素が配列された表示パネル及びこの表示パネルの表示面側に設けられ前記各画素の配列方向に応じた複数のN視点(Nは2以上の自然数)に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段を含む立体画像表示パネルと、前記表示面に対向する観察者の位置を計測する観察者位置計測部と、この計測結果に応じて前記視差画像を生成する表示コントローラと、を有する立体画像表示装置にあって、
前記観察者の観察位置を前記観察者位置計測部が計測し、
この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネルに対する前記観察者の相対位置を前記表示コントローラが算出し、
予め設定されたJ視点(J>N)の中から前記相対位置に基づいて画像出射用の複数の視点を前記表示コントローラが特定し、
この特定した複数の視点に応じた視点画像を前記表示コントローラが生成してこれを前記立体画像表示パネルに向けて出力することを特徴とした立体画像表示方法。
【0283】
(付記22)
複数の画素が配列された表示パネル及びこの表示パネルの表示面側に設けられ前記各画素の配列方向に応じた複数のN視点(Nは2以上の自然数)に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段を含む立体画像表示パネルと、前記表示面に対向する観察者の位置を計測する観察者位置計測部と、この計測結果に応じて前記視差画像を生成する表示コントローラと、を有する立体画像表示装置にあって、
前記観察者の観察位置を計測する観察者計測手段、
この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネルに対する前記観察者の相対位置を算出する観察者位置算出手段、
予め設定されたJ視点分(J>N)の視点画像を生成した上で、この生成した視点画像の中から前記相対位置に応じた複数の視点画像を特定すると共に、この特定した複数の視点画像を前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像生成処理手段、
として、前記表示コントローラに予め設けられたコンピュータを機能させることを特徴とした立体画像表示プログラム。
【0284】
(付記23)
複数の画素が配列された表示パネル及びこの表示パネルの表示面側に設けられ前記各画素の配列方向に応じた複数のN視点(Nは2以上の自然数)に向けて当該各画素からの視差画像を分離する光線分離手段を含む立体画像表示パネルと、前記表示面に対向する観察者の位置を計測する観察者位置計測部と、この計測結果に応じて前記視差画像を生成する表示コントローラと、を有する立体画像表示装置にあって、
前記観察者の観察位置を計測する観察者計測手段、
この計測結果に基づいて前記立体画像表示パネルに対する前記観察者の相対位置を算出する観察者位置算出手段、
予め設定されたJ視点(J>N)の中から前記相対位置に基づいて画像出射用の複数の視点を特定すると共に、この特定した複数の視点に応じた視点画像を生成してこれを前記立体画像表示パネルに向けて出力する画像生成処理手段、
として、前記表示コントローラに予め設けられたコンピュータを機能させることを特徴とした立体画像表示プログラム。