(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604541
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20191031BHJP
B62D 21/17 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B62D21/17
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-229043(P2015-229043)
(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公開番号】特開2017-94931(P2017-94931A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年10月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)車両のデモ走行 開催日:平成27年7月31日〜同年8月2日 開催者:いすゞ自動車株式会社及び、いすゞ自動車販売株式会社 場所:株式会社ワーカム北海道 試験場内 (2)カタログの発行 カタログ名:ERGA 大型 路線バス LV ノンステップ 発行日:平成27年8月18日 発行者:いすゞ自動車株式会社及び、いすゞ自動車販売株式会社 (3)自社ウェブサイトへの掲載 掲載日:平成27年8月18日 掲載者:いすゞ自動車株式会社 ウェブサイトのアドレス: http://www.isuzu.co.jp/press/2015/8_18erga.html http://www.isuzu.co.jp/product/bus/erga_rt/index.html (4)販売 販売日:平成27年10月21日 販売者:いすゞ自動車株式会社 購入者: 国際興業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】張 文儒
(72)【発明者】
【氏名】高木 正一
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−115830(JP,A)
【文献】
特開2004−058724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に沿って起立するクロスメンバ縦板部の上端縁及び下端縁からクロスメンバ上板部及びクロスメンバ下板部が車両前方へ曲折して相対向するU状断面のクロスメンバによって車体フレームが構成される車両の前記クロスメンバの車両前方に配置され、車体下部で線状部材と接続される接続機器を保護するために前記車体フレームに対して固定されるプロテクタであって、
前記接続機器に鉛直下方から対向する後側領域と該後側領域の前端縁から前方へ延びる前側領域とを有し、略水平に配置されて前記接続機器と該接続機器から前方へ延びる前記線状部材とを下方から覆う板状の平坦面部と、
前記平坦面部の前記前側領域の前端縁から前斜め上方へ傾斜して延び、前記線状部材を下方から覆う板状の傾斜面部と、
前記傾斜面部から上方へ起立し、前記平坦面部及び前記傾斜面部とともに前記接続機器を囲う縦面部と、
前記平坦面部の前端縁よりも前側上方で前記縦面部に形成され、前記線状部材が挿通する挿通部と、
前記平坦面部の前記前側領域に形成され、上下方向に貫通する排出孔と、を備え、
前記平坦面部は、前記クロスメンバ下板部の下面よりも下方に突出しない高さ位置で、前記後側領域の後端縁が前記クロスメンバ下板部の前端縁に近接又は接触した状態で、前記平坦面部及び前記クロスメンバ下板部の上方に配置されるブラケットを介して前記クロスメンバ下板部に固定される
ことを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記縦面部は、前記傾斜面部の前端縁から上方へ起立する前縦面部と、前記傾斜面部の側端縁から上方へ起立する側縦面部とを含み、
前記挿通部は、前記前縦面部と前記側縦面部とに形成される
ことを特徴とするプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状部材と接続される接続機器を保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サイドレールに沿って配策される空気圧系統のバルブを凍結や錆から保護するために、サイドレール下にバルブ収容ボックスを装備し、バルブ収容ボックス内にバルブを集めて収容するようにしたバルブ保護構造が記載されている。バルブに接続されるエアチューブは、蛇腹ブーツを介してバルブ収容ボックス内に水密に引き込まれる。また、上部カバーと下部カバーとを組合せた矩形箱体状のバルブ収容ボックスが図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−58723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバルブ保護構造は、上部カバーや下部カバーや蛇腹ブーツ等の複数の部品から構成されるため、構造が複雑であり、工数の増加及びコストの増大を招く。
【0005】
また、バルブ収容ボックスが矩形箱型形状であるため、路面や路面上の障害物と接触した場合、バルブ収容ボックスの破損が過大となり、バルブ(接続機器)やエアチューブ(線状部材)が損傷する可能性が高まる。
【0006】
そこで、本発明は、車体下部に配置される線状部材の接続機器を簡易な構造によって保護することができ、且つ路面側との接触による破損を抑制することが可能なプロテクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、
車幅方向に沿って起立するクロスメンバ縦板部の上端縁及び下端縁からクロスメンバ上板部及びクロスメンバ下板部が車両前方へ曲折して相対向するU状断面のクロスメンバによって車体フレームが構成される車両のクロスメンバの車両前方に配置され、車体下部で線状部材と接続される接続機器を保護するために車体フレームに対して固定されるプロテクタであって、板状の平坦面部と、板状の傾斜面部と、縦面部と、挿通部と、排出孔とを備える。
【0008】
平坦面部は、接続機器に鉛直下方から対向する後側領域と、後側領域の前端縁から前方へ延びる前側領域とを有し、略水平に配置されて接続機器と接続機器から前方へ延びる線状部材とを下方から覆う。傾斜面部は、平坦面部の前側領域の前端縁から前斜め上方へ傾斜して延び、線状部材を下方から覆う。縦面部は
、傾斜面
部から上方へ
起立し、平坦面部及び傾斜面部とともに接続機器を囲う。挿通部は、平坦面部の前端縁よりも前側上方
で縦面
部に形成され、線状部材が挿通する。排出孔は、平坦面部の前側領域に形成され、上下方向に貫通する。
平坦面部は、クロスメンバ下板部の下面よりも下方に突出しない高さ位置で、後側領域の後端縁がクロスメンバ下板部の前端縁に近接又は接触した状態で、平坦面部及びクロスメンバ下板部の上方に配置されるブラケットを介してクロスメンバ下板部に固定される。
【0009】
上記構成では、平坦面部と傾斜面部と縦面部とを一体化することにより、プロテクタを簡易な構造の単一の部品として車体フレームに固定することができる。
【0010】
平坦面部と傾斜面部とが接続機器とその近傍の線状部材とを下方から覆い、縦面部が平坦面部及び傾斜面部とともに接続機器を囲うので、雪等の付着による接続機器の凍結や、路面から跳ね上げられた小石等(チッピング)との衝突による接続機器の損傷を防止することができる。
【0011】
挿通部からプロテクタ内に侵入した雪やチッピング等の侵入物は、傾斜面部の上面を平坦面部に向かって後斜め下方へ移動して、平坦面部の排出孔からプロテクタ外へ排出される。排出孔は、接続機器の鉛直下方の後側領域の前方の前側領域に形成されているので、後側領域に達する前に侵入物を排出孔から排出させて、侵入物と接続機器との接触を防止することができる。
【0012】
従って、車体下部に配置される線状部材の接続機器を簡易な構造のプロテクタによって保護することができる。
【0013】
また、傾斜面部が前斜め上方へ傾斜しているので、車両走行中に路面や路面上の障害物がプロテクタに前方から接触した場合に、プロテクタが受ける衝撃を傾斜面部の傾斜によって緩和することができ、プロテクタや接続機器の破損を抑制することができる。
また、車両走行中に路面や路面上の障害物がプロテクタと接触し難くなるので、プロテクタや接続機器の破損の抑制効果を高めることができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様のプロテクタであって、縦面部は、傾斜面部の前端縁から上方へ
起立する前縦面部
と、傾斜面部の側端縁から上方へ起立する側縦面部とを含み、挿通部は、前縦面部
と側縦面部とに形成される。
【0015】
上記構成では、上下方向に沿って起立する前縦面部
及び側縦面部に挿通部が形成されているので、傾斜面部に挿通部が形成される場合に比べて、跳ね上げられたチッピングや雪等が挿通部から侵入し難く、接続機器の凍結や損傷の防止効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車体下部に配置される線状部材の接続機器を簡易な構造のプロテクタによって保護するとともに、路面側との接触によるプロテクタや接続機器の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプロテクタを車体フレームに固定した状態を前斜め下方から視た斜視図である。
【
図3】
図1のプロテクタを矢印III方向から視た底面図である。
【
図5】
図1のプロテクタの平坦面部と車体フレームとの取付状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るプロテクタについて図面を参照して詳細に説明する。なお、図中の矢印FRは車両の前方を、矢印UPは上方をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両の前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0021】
本実施形態に係る車両1は。低床型の路線バスであり、
図1に示すように、車両1の車体フレーム2は、前後方向に延びる左右のサイドメンバ3,4と、車両1の前側下部で車幅方向に延びて左右のサイドメンバ3,4を連結するクロスメンバ(横根太)5とを備える。
【0022】
サイドメンバ3,4は、サイドメンバ縦板部3a,4aとサイドメンバ上板部3b(右のサイドメンバ上板部は図示省略)とサイドメンバ下板部3c,4cとを一体的に有するU状断面のチャンネル材である。サイドメンバ縦板部3a,4aは、前後方向に沿って起立し、サイドメンバ上板部3bは、サイドメンバ縦板部3a,4aの上端縁から車幅方向内側へ曲折し、サイドメンバ下板部3c,4cは、サイドメンバ縦板部3a,4aの下端縁から車幅方向内側へ曲折してサイドメンバ上板部3bに下方から対向する。
【0023】
クロスメンバ5は、クロスメンバ縦板部5aとクロスメンバ上板部5bとクロスメンバ下板部5cとを一体的に有するU状断面のチャンネル材である。クロスメンバ縦板部5aは、車幅方向に沿って起立し、クロスメンバ上板部5bは、クロスメンバ縦板部5aの上端縁から前方へ曲折し、クロスメンバ下板部5cは、クロスメンバ縦板部5aの下端縁から前方へ曲折してクロスメンバ上板部5bに下方から対向する。
【0024】
左のサイドメンバ3は、クロスメンバ5と交叉する高さに配置され、クロスメンバ5と左のサイドメンバ3とは、直接連結される。右のサイドメンバ4は、左のサイドメンバ3よりも高く配置され、クロスメンバ5の右側と右のサイドメンバ4とは、連結部材(図示省略)を介して連結される。
【0025】
左右のサイドメンバ3,4の間で車体フレーム2に対して固定される車体側部材には、第1サブプレート6と第2サブプレート7とクロスバー8とが含まれる。第1サブプレート6は、右のサイドメンバ4の車幅方向内側近傍に配置されて車幅方向と交叉する平板状であり、第2サブプレート7は、第1サブプレート6の車幅方向内側近傍に配置されて車幅方向と交叉する平板状である。第1サブプレート6は、右のサイドメンバ4及びクロスメンバ5に対して固定され、第2サブプレート7は、第1サブプレート6及びクロスメンバ5に対して固定される。クロスバー8は、クロスメンバ5から前方に離間した位置で車幅方向に沿って略水平に延び、クロスバー8の左端部と右端部とは、左のサイドメンバ上板部3bと第2サブプレート7の下端部とにそれぞれ固定される。
【0026】
クロスメンバ5の前上方の車体下部には、リレーバルブやモジュレータなどの接続機器10が配置され、接続機器10には、可撓性の配管やハーネス(電線)などの線状部材11の後端部が接続される。接続機器10は、直接又はブラケット(図示省略)を介して車体フレーム2側に固定され、線状部材11は、接続機器10から前方へ延びて配策される。クロスメンバ5の前方には、接続機器10を保護するためのプロテクタ12が配置される。プロテクタ12は、金属板材によって形成され、所定の取付位置で車体フレーム2に対して固定される。
【0027】
図1〜
図4に示すように、プロテクタ12は、平坦面部13と傾斜面部14と前縦面部15と左右1対の側縦面部16,17とを一体的に有する。平坦面部13と傾斜面部14と前縦面部15と左右の側縦面部16,17とは、何れも平板状である。
【0028】
平坦面部13は、前端縁と後端縁とが略同じ長さの矩形平坦面状であり、接続機器10に鉛直下方から対向する後側領域20と、後側領域20の前端縁から前方へ連続して延びる前側領域21とを有する。平坦面部13は、クロスメンバ下板部5cの下面よりも下方へ突出しない高さ位置で、後側領域20の後端縁がクロスメンバ下板部5cの前端縁に近接又は接触した状態で略水平に配置されて、接続機器10と線状部材11の後端側とを下方から覆う。
【0029】
傾斜面部14は、前端縁が後端縁よりも短い台形平坦面状であり、前側領域21の前端縁から前斜め上方へ傾斜して延びて、線状部材11を下方から覆う。
【0030】
左の側縦面部16は、平坦面部13の左端縁から上方へ延びて起立する矩形状である。右の側縦板部17は、平坦面部13の右端縁から上方へ延びる矩形状の右後縦面部22と、傾斜面部14の右端縁から上方へ延びる矩形状の右前縦面部23とを有し、右前縦面部23の後端縁は、右後縦面部22の前端縁に接合されている。
【0031】
前縦面部15は、傾斜面部14の前端縁から上方へ延びる矩形状であり、前縦面部15の左端縁と右端縁とは、左の側縦面部16の前端縁と右の側縦面部17の前端縁(右前縦面部23の前端縁)とにそれぞれ接合されている。
【0032】
前縦面部15と左右の側縦面部16,17とは、平坦面部13及び傾斜面部14とともに接続機器10を、前方、左右の側方及び下方から囲う。なお、接続機器10の後方では、クロスメンバ縦板部5aが車幅方向に沿って起立し、接続機器10の左側では、左のサイドメンバ縦板部3aが前後方向に沿って起立しているため、接続機器10は、上方を除く略全方向(前後、左右及び下方)から囲まれた状態となる。
【0033】
前縦面部15と右前縦面部23とには、線状部材10が挿通する切欠き状の挿通部18が形成されている。挿通部18は、平坦面部13の前端縁(前側領域21の前端縁)よりも前側上方に位置し、挿通部18の端縁には、線状部材10を保護するための樹脂製の縁カバー24が装着されている。なお、挿通部を、孔形状としてもよく、傾斜面部14に形成してもよい。
【0034】
平坦面部13の前側領域21には、上下に貫通する排出孔19が形成されている。本実施形態では、左右方向に長い長円形状の3つの排出孔19が左右方向に一列に並んで配置されている。なお、排出孔19の形状及び数は、任意に設定可能である。
【0035】
前縦面部15の左上端と右上端とには、前方へ曲折して延びる左右1対の前取付部25が形成されている。左右の前取付部25をクロスバー8の下面にボルト26及びナット27で締結することによって、プロテクタ12の前側が車体側に固定される。
【0036】
図2、
図3及び
図5に示すように、プロテクタ12の後側は、1つの第1ブラケット30と左右1対の第2ブラケット31,32とを介して車体側に固定される。
【0037】
第1ブラケット30は、クロスメンバ下板部5cの上面に面接触した状態で溶着等によって固定される平板状の第1固定部33と、第1固定部33の前端縁から曲折して斜め前上方へ延びる平板状の第1中間部34と、第1中間部34の前端縁から曲折して前方へ延びる平板状の左右の第1連結部36,37とを一体的に有する。左右の第1連結部36,37は、取付位置に設定されたプロテクタ12の平坦面部13の後側領域20の上面に上方から対向し、左右の第1連結部36,37には、第1ボルト挿通孔38,39がそれぞれ形成されている。
【0038】
左右の第2ブラケット31,32の各々は、プロテクタ12の平坦面部13の上面に面接触した状態で溶着等によって固定される平板状の第2固定部40,41と、第2固定部40,41の後端縁から曲折して斜め後上方へ延びる平板状の第2中間部42,43と、第2中間部42,43の後端縁から曲折して後方へ延びる平板状の第2連結部44,45とを一体的に有する。左右の第2連結部44,45は、平坦面部13の後側領域20の上面に上方から対向し、左右の第2連結部44,45には、第1ボルト挿通孔38,39に対応する第2ボルト挿通孔46,47がそれぞれ形成されている。
【0039】
プロテクタ12を取付位置に設定した状態で、左右の第1連結部36,37と左右の第2連結部44,45とはそれぞれ上下に重なって面接触し(本実施形態では第2連結部44,45の上に第1連結部36,37が重なり)、係る締結前状態で、左右の第1ボルト挿通孔38,39と左右の第2ボルト挿通孔46,47とがそれぞれ連通する。左右の第1連結部36,37の上面には、第1ボルト挿通孔38,39を挿通したボルト(締結部材)50が螺合可能なナット51が溶着等によって固定されている。上記締結前状態でボルト50を下方から第2ボルト挿通孔46,47へ挿入してナット51と螺合して締付けることによって、左右の第2連結部44,45が左右の第1連結部36,37にそれぞれ締結固定され、プロテクタ12の後側が車体側に固定される。
【0040】
左右の第2ボルト挿通孔46,47の真下の後側領域20には、ボルト50(ボルト頭部50a)が挿通可能な大きさ(ボルト頭部50aよりも大きい外径)の円形状の開口孔48,49が左右にそれぞれ形成されている。開口孔48,49は、ボルト50を締付けるためのレンチなどの工具(図示省略)の挿通を許容し、ボルト50による第1連結部36,37と第2連結部44,45との締結を平坦面部13の下方から可能とする。
【0041】
本実施形態によれば、平坦面部13と傾斜面部14と前縦面部15と側縦面部16,17とが一体化されたプロテクタ12を用いるので、プロテクタ12を簡易な構造の単一の部品として車体フレーム2に固定することができる。
【0042】
平坦面部13と傾斜面部14とが接続機器10とその近傍の線状部材11とを下方から覆い、前縦面部15及び側縦面部16,17が平坦面部13及び傾斜面部14とともに接続機器10を囲うので、雪等の付着による接続機器10の凍結や、路面から跳ね上げられた小石等(チッピング)との衝突による接続機器10の損傷を防止することができる。
【0043】
挿通部18からプロテクタ12内に侵入した雪やチッピング等の侵入物は、傾斜面部14の上面を平坦面部13に向かって後斜め下方へ移動して、平坦面部13の排出孔19からプロテクタ12外へ排出されて落下する。排出孔19は、接続機器10の鉛直下方の後側領域20の前方の前側領域21に形成されているので、後側領域20に達する前に侵入物を排出孔19から排出させて、侵入物と接続機器10との接触を防止することができる。
【0044】
従って、車体下部に配置される線状部材11の接続機器10を簡易な構造のプロテクタ12によって保護することができる。
【0045】
また、傾斜面部14が前斜め上方へ傾斜しているので、車両走行中に路面や路面上の障害物がプロテクタ12に前方から接触した場合に、プロテクタ12が受ける衝撃を傾斜面部14の傾斜によって緩和することができ、プロテクタ12や接続機器10の破損を抑制することができる。
【0046】
また、平坦面部13が車体フレーム2の下面よりも下方へ突出しない高さ位置に設定され、車両走行中に路面や路面上の障害物がプロテクタ12と接触し難くなるので、プロテクタ12や接続機器10の破損の抑制効果を高めることができる。
【0047】
さらに、上下方向に沿って起立する前縦面部15や側縦面部17に挿通部18が形成されているので、傾斜面部14に挿通部が形成される場合に比べて、跳ね上げられたチッピングや雪等が挿通部18から侵入し難く、接続機器10の凍結や損傷の防止効果を高めることができる。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0049】
車体下部で線状部材と接続される接続機器を保護するために車体フレームに対して固定されるプロテクタとして有用である。
【符号の説明】
【0050】
1:車両
2:車体フレーム
3,4:サイドメンバ
5:クロスメンバ
10:接続機器
11:線状部材
12:プロテクタ
13:平坦面部
14:傾斜面部
15:前縦面部
16,17:側縦面部
18:挿通部
19:排出孔
20:後側領域
21:前側領域
30:第1ブラケット
31,32:第2ブラケット
33:第1固定部
36,37:第1連結部
38,39:第1ボルト挿通孔
40,41:第2固定部
44,45:第2連結部
46,47:第2ボルト挿通孔
48,49:開口孔
50:ボルト(締結部材)
51:ナット