特許第6604654号(P6604654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日インテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6604654-カテーテル 図000002
  • 特許6604654-カテーテル 図000003
  • 特許6604654-カテーテル 図000004
  • 特許6604654-カテーテル 図000005
  • 特許6604654-カテーテル 図000006
  • 特許6604654-カテーテル 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604654
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   A61M25/00 620
   A61M25/00 530
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-125660(P2016-125660)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-225737(P2017-225737A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111523
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 良文
(72)【発明者】
【氏名】中山 則幸
(72)【発明者】
【氏名】二本松 昌明
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−518368(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0041881(US,A1)
【文献】 特表2002−532164(JP,A)
【文献】 特開2006−051080(JP,A)
【文献】 米国特許第04817613(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第104707235(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82− 2/97
A61M 25/00−29/04
A61M 35/00−36/08
A61M 37/00
A61M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の中空管状体である内層と、
その内層の外周を、一端から他端に向ってメッシュ状に覆うブレードと、
そのブレードの外周を覆う外層と
を有するカテーテル本体を備えたカテーテルにおいて、
前記ブレードは、前記一端及び/または前記他端において折り返されており、前記ブレードの端部は、前記内層に接触し、折り返し部の最下層に配置されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記ブレードの端部は、前記折り返し部の両端以外の領域に位置していることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテル本体の先端に接続された先端チップを備え、
前記内層と前記ブレードの前記折り返し部とは、前記先端チップまで延びて配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記ブレードは、金属材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管、尿管等の体内管腔へ挿入されるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管、尿管等の体内管腔へ挿入されるカテーテルは、一般に、長尺の中空管状体である内層と、その内層の外周を覆う補強体と、その補強体の外周を覆う外層とを備えている。
【0003】
例えば、引用文献1には、内層(inner tubular member)30と、内層30の外周を覆う補強体(filament)100等と、その補強体の外周を覆う外層(outer layer)190とを備えたカテーテル(catheter)10において、補強体100等が内層30の外周に折り返して2層及び3層に形成されている点が記載されていると認められる(Fig.2〜Fig.6等参照)。
【0004】
引用文献1において、補強体100等の端部は、内層30と放射線不透過性のリング70とによって挟まれている(第8欄第26行〜第31行参照)。ここで、放射線不透過性のリング70が使用されているのは、カテーテルの使用者が手技中にカテーテルの位置を視認する為であり、放射線不透過性のリング70は、ここではいわゆるマーカとして機能している。
【0005】
引用文献1に記載のカテーテルでは、補強体が、カテーテルの中間部において、内層の外周に折り返して複数層に巻回されているが、その折り返し部分を補強体の端部に移動させようとすると、補強体が解れてしまうという問題があった。
したがって、補強体の折り返し部分を補強体の端部に移動させようとした場合には、引用文献1に記載されているように、補強体の端部をリング等の固定具によって内層に固定する必要があった。
【0006】
また、引用文献1に記載のカテーテルでは、カテーテルの使用者が手技中にカテーテルの位置を視認する為にマーカとしての放射線不透過性のリング70が別途必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許6,508,804号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、補強体の端部を内層に固定する為の固定具、及び/または、カテーテルの使用者が手技中にカテーテルの位置を視認する為の別個のマーカを必要としないカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の態様は、長尺の中空管状体である内層と、その内層の外周を、一端から他端に向ってメッシュ状に覆うブレードと、そのブレードの外周を覆う外層とを有するカテーテル本体を備えたカテーテルにおいて、前記ブレードは、前記一端及び/または前記他端において折り返されており、前記ブレードの端部は、前記内層に接触し、折り返し部の最下層に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の発明において、前記ブレードの端部は、前記折り返し部の両端以外の領域に位置していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様の発明または第2の態様の発明において、前記カテーテル本体の先端に接続された先端チップを備え、前記内層と前記ブレードの前記折り返し部とは、前記先端チップまで延びて配置されていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の第4の態様は、第1の態様の発明乃至第3の態様の発明の何れかにおいて、前記ブレードは、金属材料からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の態様のカテーテルによれば、長尺の中空管状体である内層と、その内層の外周を、一端から他端に向ってメッシュ状に覆うブレードと、そのブレードの外周を覆う外層とを有するカテーテル本体を備えたものと対象として、特に、ブレードは、一端及び/または他端において折り返されており、ブレードの端部は、内層に接触し、折り返し部の最下層に配置されているので、ブレードの端部を内層に固定する為の固定具を要することなく、ブレードを内層に固定することができる。
【0014】
また、第1の態様のカテーテルによれば、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、ブレードの端部が固定されることとなるので、ブレードの端部の固定が容易となる効果も奏する。
【0015】
また、本発明の第2の態様のカテーテルによれば、第1の態様の発明のカテーテルにおいて、ブレードの端部は、折り返し部の両端以外の領域に位置しているので、第1の態様の発明の効果に加え、ブレードの端部が折り返し部の端部に突出することはなく、外層の表面に影響を与えることがなくなる。
【0016】
また、第2の態様のカテーテルにおいても、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、ブレードの端部が固定されることとなるので、ブレードの端部の固定が容易となる効果も奏する。
【0017】
また、第3の態様のカテーテルによれば、第1の態様のカテーテルまたは第2の態様のカテーテルにおいて、カテーテル本体の先端に接続された先端チップを備え、内層とブレードの折り返し部とは、先端チップまで延びて配置されているので、ブレードの端部を固定する為の固定具を要することなく、ブレードを内層に固定することができる。
【0018】
また、第3の態様のカテーテルにおいても、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、ブレードの端部が固定されることとなるので、ブレードの端部の固定が容易となる効果も奏する。
【0019】
また、第4の態様のカテーテルによれば、第1の態様のカテーテル乃至第3の態様のカテーテルのいずれかにおいて、ブレードは金属材料からなるので、第1の態様のカテーテル乃至第3の態様のカテーテルの何れかの効果に加え、ブレードの折り返し部をカテーテルの位置を視認する為のマーカとして機能させることができる。したがって、従来のように、別個マーカを設ける必要がない。
【0020】
さらに、第4の態様のカテーテルによれば、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、ブレードの端部が固定され、かつマーカが形成されることとなるので、ブレードの端部の固定及びマーカの形成が容易となる効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態のカテーテルの概略側面図である。
図2】第1実施形態のカテーテルの先端の構造を説明する為の説明図である。
図3】第1実施形態のカテーテルの先端断面図である。
図4】第2実施形態のカテーテルの先端断面図である。
図5】第3実施形態のカテーテルの概略側面図である。
図6】第3実施形態のカテーテルの先端断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、上述した本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のカテーテルの概略側面図であり、図2は、第1実施形態のカテーテルの先端の構造を説明する為の説明図であり、図3は、第1実施形態のカテーテルの先端断面図である。
【0023】
図1図3において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。なお、各図は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0024】
図1において、カテーテル1は、全長が約1200mmの管状の医療用機器である。カテーテル1は、可撓性を有するカテーテル本体3と、カテーテル本体3の基端に接合されたコネクタ5とからなる。
【0025】
カテーテル本体3は、図2に示すように、半径方向内側に位置する内層9と、その内層9の外周を被覆するメッシュ状のブレード11と、そのブレード11の外周を被覆する外層19とからなる3層構造をなす。
【0026】
内層9は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、ガイドワイヤや他のカテーテルを挿入するためのルーメン15を内部に形成する。内層9を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロチレン)が使用されている。
【0027】
ブレード11は、8本の第一素線26a及び8本の第二素線26bの合計16本(8本×8本)の素線が交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。本実施形態では、図2に示すように、8本の第一素線26aが先端に向って左周りに巻回されており、8本の第二素線26bが先端に向って右周りに巻回されている。
【0028】
ブレード11の素線の組み合わせは、本実施形態のように8本×8本に限られるものではなく、例えば、4本×4本、2本×2本等の対称の組み合わせであっても良く、4本×8本、2本×4本等の非対称の組み合わせであっても良い。
【0029】
また、第一素線26aの素線幅と第二素線26bの素線幅は、同一幅であっても良く、一方の素線の幅を他方の素線の幅より大きくしても良い。
【0030】
また、本実施形態のブレード11は、第一素線26a及び第二素線26bを2本おきに交互に編み込む方法で形成されているが、これに限定されず、1本ずつ交互に編み込む方法で形成しても良い。
【0031】
また、本実施形態の第一素線26a及び第二素線26bは、ステンレス鋼(SUS304またはSUS316)を使用しているが、ステンレス鋼以外の金属(例えば、プラチナ、タングステン等)を使用しても良く、金属以外の材料(例えば、強化プラスチック)を使用してもよい。
【0032】
また、第一素線26a及び第二素線26bの材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料を使用してもよい。
【0033】
なお、第一素線26a及び/または第二素線26bを金属素線で構成した場合には、後述するように、カテーテルの位置を視認する為のマーカとして機能させることができる為、別個マーカを設ける必要がない。
【0034】
また、本実施形態では、第一素線26aを断面丸形の丸線、第二素線26bを断面矩形状のいわゆる平線を使用したが、その他の断面形状、例えば、第一素線26a及び第二素線26bを断面丸形の丸線、又は断面矩形状の平線としても良い。
【0035】
ブレード11は、図2及び図3に示すように、先端部2の基端側においては、内層9の外周を被覆しているが、先端部2においては、折り返して編まれ、長さL1の折り返し部10を構成している。
【0036】
また、本実施形態のブレード11の端部17は、内層9に接触し、折り返し部の最下層に配置され、折り返し部10の基端に位置している。
【0037】
ブレード11の折り返し回数は偶数回であれば特に限定されないが、本実施形態の折り返し回数は4回である。
【0038】
折り返し部10が形成される順序は、先ず、ブレード11を端部17から先端に向って内層9に接触しながら1層目を編み、その後、先端部で折り返して、基端に向って2層目を編み、その後、基端部で折り返して、先端に向って3層目を編み、最後に、先端部で折り返して、基端に向って4層目を編んで、折り返し部10の形成を終了する。その後、ブレード11は、内層9を被覆するように、基端側に向って編まれる。
【0039】
なお、本実施形態のブレード11は、その端部17が折り返し部10の基端に位置しているが、折り返し部10の先端に位置するようにしても良い。その場合には、折り返し回数が奇数回(例えば、3回)となる。
【0040】
外層19は樹脂からなり、内層9及びブレード11を被覆している。外層19を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、ポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン等が使用可能であるが、本実施形態では、ポリアミドが使用されている。
【0041】
カテーテル本体3の基端部は、内層9の基端部、ブレード11の基端部及び外層19の基端部がコネクタ5によって固着されている。
【0042】
本実施形態のカテーテル1によれば、長尺の中空管状体である内層9と、その内層9の外周を、先端から基端に向ってメッシュ状に覆うブレード11と、そのブレード11の外周を覆う外層19とを有するカテーテル本体3を備え、ブレード11は、先端部2において折り返されており、ブレード11の端部17は、内層9に接触し、折り返し部10の最下層に配置されているので、ブレード11の端部17を内層9に固定する為の固定具を要することなく、ブレード11を内層9に固定することができる。
【0043】
また、本実施形態のカテーテル1によれば、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、ブレード11の端部17が固定されることとなるので、ブレード11の端部17の固定が容易となる効果も奏する。
【0044】
また、本実施形態のカテーテル1のブレード11を安価なステンレス鋼(SUS304またはSUS316)で形成した場合においても、折り返し部10をカテーテルの位置を視認する為のマーカとして機能させることができる。したがって、従来のように、別個マーカを設ける必要がない。
【0045】
さらに、本実施形態のカテーテル1のブレード11を安価なステンレス鋼(SUS304またはSUS316)で形成した場合においても、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、マーカが形成されることとなる為、マーカの形成が容易となる効果も奏する。
【0046】
出願人が、ブレード11をステンレス鋼(SUS304及びSUS316)で構成し、折り返し回数を2回〜4回とした場合の視認性について確認したところ、折り返し回数が2回よりも3回、3回よりも4回の方が視認性が向上することを確認した。しかしながら、折り返し回数が2回であっても、カテーテルの位置を視認可能であり、マーカとしての機能を果たすことが確認された。
【0047】
なお、本実施形態では、ブレード11の折り返し部10を、カテーテル本体3の先端部2に設けるようにしたが、折り返し部10を、カテーテル本体3の基端部に設けるようにしても良い。その場合においても、ブレード11の端部17は、折り返し部10の先端又は基端に設けるようにすれば良い。
【0048】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、第1実施形態と共通する部分については説明を省略し、図中では同じ符号を付することとする。図4は、第2実施形態のカテーテルの先端断面図である。
【0049】
図4において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。なお、図4は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0050】
図4において、カテーテル本体13は、半径方向内側に位置する内層9と、その内層9の外周を被覆するメッシュ状のブレード21と、ブレード21の外周を被覆する外層29とからなる3層構造をなす。
【0051】
ブレード21は、図4に示すように、先端部12より基端側においては、内層29の外周を被覆しているが、先端部12においては、折り返して編まれ、長さL2の折り返し部20を構成している。
【0052】
また、本実施形態のブレード21の端部27は、内層9に接触し、折り返し部の最下層に配置され、折り返し部20の中間位置に位置している。
【0053】
ブレード21は、第1実施形態のブレード11と同様に、8本の第一素線26a及び8本の第二素線26bの合計16本(8本×8本)の素線が交互にメッシュ状に編み込まれて形成されており、8本の第一素線26aが先端に向って左周りに巻回されており、8本の第二素線26bが先端に向って右周りに巻回されている。
【0054】
ブレード21の素線の組み合わせは、本実施形態のように8本×8本に限られるものではなく、例えば、4本×4本、2本×2本等の対称の組み合わせであっても良く、4本×8本、2本×4本等の非対称の組み合わせであっても良い。
【0055】
また、第一素線26aの素線幅と第二素線26bの素線幅は、同一幅であっても良く、一方の素線の幅を他方の素線の幅より大きくしても良い。
【0056】
また、本実施形態のブレード21は、第一素線26a及び第二素線26bを2本おきに交互に編み込む方法で形成されているが、これに限定されず、1本ずつ交互に編み込む方法で形成しても良い。
【0057】
また、本実施形態の第一素線26a及び第二素線26bは、ステンレス鋼(SUS304またはSUS316)を使用しているが、ステンレス鋼以外の金属(例えば、プラチナ、タングステン等)を使用しても良く、金属以外の材料(例えば、強化プラスチック)を使用してもよい。
【0058】
また、第一素線26a及び第二素線26bの材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料を使用してもよい。
【0059】
なお、第一素線26a及び/または第二素線26bを金属素線で構成した場合には、カテーテルの位置を視認する為のマーカとして機能させることができる為、別個マーカを設ける必要がない。
【0060】
また、本実施形態では、第一素線26aを断面丸形の丸線、第二素線26bを断面矩形状のいわゆる平線を使用したが、その他の断面形状、例えば、第一素線26a及び第二素線26bを断面丸形の丸線、又は断面矩形状の平線としても良い。
【0061】
ブレード21の折り返し回数は偶数回であれば特に限定されないが、本実施形態の折り返し回数は4回である。
【0062】
また、折り返し部20が形成される順序は、先ず、ブレード21を端部27から先端に向って内層9に接触しながら1層目を編み、その後、先端部で折り返して、基端に向って2層目を編み、その後、基端部で折り返して、先端に向って3層目を編み、最後に、先端部で折り返して、基端に向って4層目を編んで、折り返し部20の形成を終了する。その後、内層9を被覆するように、基端側に向って編まれる。
【0063】
なお、本実施形態のブレード21は、その端部27から先端に向って編まれているが、端部27から基端に向って編むようにしても良い。その場合には、折り返し回数が奇数回(例えば、3回)となる。
【0064】
外層29は樹脂からなり、内層9及びブレード21を被覆している。外層29を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、ポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン等が使用可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンが使用されている。
【0065】
本実施形態のカテーテルによれば、ブレード21の端部27は、折り返し部20の中間位置に位置しているので、ブレード21の端部27が折り返し部20の端部に突出することはなく、外層29の表面に影響を与えることがなくなる。
【0066】
また、本実施形態のカテーテルにおいても、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、ブレード21の端部27が固定されることとなるので、ブレード21の端部27の固定が容易となる効果も奏する。
【0067】
また、本実施形態のカテーテルのブレード21を安価なステンレス鋼(SUS304またはSUS316)で形成した場合においても、折り返し部20をカテーテルの位置を視認する為のマーカとして機能させることができる。したがって、従来のように、別個マーカを設ける必要がない。
【0068】
さらに、本実施形態のカテーテルのブレード21を安価なステンレス鋼(SUS304またはSUS316)で形成した場合においても、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、マーカが形成されることとなる為、マーカの形成が容易となる効果も奏する。
【0069】
なお、本実施形態では、ブレード21の端部27を折り返し部20の中間位置に配置したが、それに限らず、ブレード21の端部27を折り返し部20の両端以外の領域に配置すれば同様の効果を得ることができる。
【0070】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、第1実施形態と共通する部分については説明を省略し、図中では同じ符号を付することとする。
【0071】
図5は、本発明の第3実施形態のカテーテルの概略側面図であり、図6は、第3実施形態のカテーテルの先端断面図である。
【0072】
図5及び図6においても、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。なお、各図は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0073】
図5において、カテーテル6は、全長が約1200mmの管状の医療用機器である。カテーテル6は、可撓性を有するカテーテル本体23と、カテーテル本体23の先端に接合された先端チップ18と、カテーテル本体23の基端に接合されたコネクタ5とからなる。
【0074】
先端チップ18は、ルーメン15に連通する開口部16を有する円筒状の部材である。この先端チップ18を形成する樹脂は、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ等からなる。
【0075】
また、先端チップ18には、放射線不透過性の粉末を含有させてもよい。例えば、先端チップ18が約65w%〜約90w%の範囲で放射線不透過性の粉末(例えば、タングステン粉末)を含有することで、冠動脈造影時に医師等の手技者がカテーテルの位置を正確に把握することができる。
【0076】
カテーテル本体23は、図6に示すように、半径方向内側に位置する内層9と、その内層9の外周を被覆するメッシュ状のブレード31と、ブレード31の外周を被覆する外層39とからなる3層構造をなす。
【0077】
ブレード31は、図6に示すように、先端部22より基端側においては、内層9の外周を被覆しているが、先端部22においては、折り返して編まれ、長さL3の折り返し部30を構成している。
【0078】
また、本実施形態のブレード31の端部37は、内層9に接触し、折り返し部の最下層に配置され、折り返し部30の中間位置に位置している。
【0079】
ブレード31は、第1実施形態のブレード11と同様に、8本の第一素線26a及び8本の第二素線26bの合計16本(8本×8本)の素線が交互にメッシュ状に編み込まれて形成されており、8本の第一素線26aが先端に向って左周りに巻回されており、8本の第二素線26bが先端に向って右周りに巻回されている。
【0080】
ブレード31の素線の組み合わせは、本実施形態のように8本×8本に限られるものではなく、例えば、4本×4本、2本×2本等の対称の組み合わせであっても良く、4本×8本、2本×4本等の非対称の組み合わせであっても良い。
【0081】
また、第一素線26aの素線幅と第二素線26bの素線幅は、同一幅であっても良く、一方の素線の幅を他方の素線の幅より大きくしても良い。
【0082】
また、本実施形態のブレード31は、第一素線26a及び第二素線26bを2本おきに交互に編み込む方法で形成されているが、これに限定されず、1本ずつ交互に編み込む方法で形成しても良い。
【0083】
また、本実施形態の第一素線26a及び第二素線26bは、ステンレス鋼(SUS304またはSUS316)を使用しているが、ステンレス鋼以外の金属(例えば、プラチナ、タングステン等)を使用しても良く、金属以外の材料(例えば、強化プラスチック)を使用してもよい。
【0084】
また、第一素線26a及び第二素線26bの材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料を使用してもよい。
【0085】
なお、第一素線26a及び/または第二素線26bを金属素線で構成した場合には、カテーテルの位置を視認する為のマーカとして機能させることができる為、別個マーカを設ける必要がない。
【0086】
また、本実施形態では、第一素線26aを断面丸形の丸線、第二素線26bを断面矩形状のいわゆる平線を使用したが、その他の断面形状、例えば、第一素線26a及び第二素線26bを断面丸形の丸線、又は断面矩形状の平線としても良い。
【0087】
ブレード31の折り返し回数は偶数回であれば特に限定されないが、本実施形態の折り返し回数は4回である。
【0088】
また、折り返し部30が形成される順序は、先ず、ブレード31を端部37から先端に向って内層9に接触しながら1層目を編み、その後、先端部で折り返して、基端に向って2層目を編み、その後、基端部で折り返して、先端に向って3層目を編み、最後に、先端部で折り返して、基端に向って4層目を編んで、折り返し部30の形成を終了する。その後、内層9を被覆するように、基端側に向って編まれる。
【0089】
なお、本実施形態のブレード31は、その端部37から先端に向って編まれているが、端部37から基端に向って編むようにしても良い。その場合には、折り返し回数が奇数回(例えば、3回)となる。
【0090】
外層39は樹脂からなり、内層9及びブレード31を被覆している。外層39を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、ポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン等が使用可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンが使用されている。
【0091】
本実施形態のカテーテル6によれば、カテーテル本体23の先端に接続された先端チップ18を備え、内層9及びブレード31の折り返し部30は、先端チップ18まで延びて配置されているので、ブレード31の端部37を固定する為の固定具を要することなく、ブレード31を内層9に固定することができる。
【0092】
また、本実施形態のカテーテル6においても、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、ブレード31の端部37が固定されることとなるので、ブレード31の端部37の固定が容易となる効果も奏する。
【0093】
また、本実施形態のカテーテル6によれば、ブレード31の端部37は、折り返し部30の中間位置に位置しているので、ブレード31の端部37が折り返し部30の端部に突出することはなく、外層39の表面に影響を与えることがなくなる。
【0094】
また、本実施形態のカテーテル6のブレード31を安価なステンレス鋼(SUS304またはSUS316)で形成した場合においても、折り返し部30をカテーテルの位置を視認する為のマーカとして機能させることができる。したがって、従来のように、別個マーカを設ける必要がない。
【0095】
さらに、本実施形態のカテーテル6のブレード31を安価なステンレス鋼(SUS304またはSUS316)で形成した場合においても、いわゆるブレーダーによる一連の動作の中で、マーカが形成されることとなる為、マーカの形成が容易となる効果も奏する。
【0096】
なお、本実施形態では、ブレード31の端部37を折り返し部30の中間位置に配置したが、それに限らず、ブレード31の端部37を折り返し部30の両端以外の領域に配置すれば同様の効果を得ることができる。
【0097】
カテーテル本体23の基端部は、内層9の基端部、ブレード31の基端部及び外層39の基端部がコネクタ5によって固着されている。
【符号の説明】
【0098】
1,6・・・カテーテル
9・・・内層
10,20,30・・・折り返し部
11,21,31・・・ブレード
15・・・ルーメン
17,27,37・・・ブレード端部
18・・・先端チップ
19,29,39・・・外層
26a・・・第一素線
26b・・・第二素線
図1
図2
図3
図4
図5
図6