特許第6604690号(P6604690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6604690
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】意思決定支援装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20191031BHJP
【FI】
   G06Q10/06 302
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-141335(P2018-141335)
(22)【出願日】2018年7月27日
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】河田 薫
(72)【発明者】
【氏名】岩城 聡
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−088829(JP,A)
【文献】 特開平11−288435(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0236081(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の意思決定者のそれぞれに、通知送信先を関連付けて記憶する機能と、
1つ以上の第1割当指示の入力を受け付ける機能と、
前記第1割当指示を管理中割当指示として記憶する機能と、
前記第1割当指示が第1意思決定者を表す情報を含む場合に、
‐前記第1意思決定者の通知送信先に、割当通知を送信する機能と、
‐前記第1意思決定者から、前記第1割当指示に係る1つ以上の第2割当指示の入力を受け付ける機能と、
‐前記第2割当指示を管理中割当指示として記憶する機能と、
‐各前記第2割当指示に対する第2完了情報の入力または生成に応じ、対応する第2割当指示の管理中割当指示としての前記記憶を解除する機能と、
‐各前記第1割当指示について、当該第1割当指示に係るすべての第2割当指示に対する前記第2完了情報の入力または生成に応じ、当該第1割当指示の管理中割当指示としての前記記憶を解除する機能と、
を備える、意思決定支援装置。
【請求項2】
前記第1割当指示および前記第2割当指示はさらに、業務目標と、制約条件とを表す情報を含む、請求項1に記載の意思決定支援装置。
【請求項3】
前記業務目標は、生成される人材の能力と人数と、生成される設備の能力と台数と、生成される材料の種別と数量と、生成されるルールあるいは設計値と、生成される資金と、生成される時間と、に係る情報のうち少なくとも1つを含む、請求項2に記載の意思決定支援装置。
【請求項4】
前記制約条件は、利用可能な人材と、利用可能な設備と、利用可能な材料と、利用可能なルールあるいは設計値と、利用可能な資金と、利用可能な時間と、に係る情報とのうち少なくとも1つを含む、請求項2または3に記載の意思決定支援装置。
【請求項5】
前記意思決定支援装置は、各第1意思決定者および各第2意思決定者を関連付けて階層的に表示する階層表示機能をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の意思決定支援装置。
【請求項6】
前記階層表示機能において、制約条件に抵触していない第1割当指示および第2割当指示と、制約条件に抵触している第1割当指示および第2割当指示とは、異なる態様で表示される、請求項5に記載の意思決定支援装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1〜6のいずれか一項に記載の意思決定支援装置として機能させる、意思決定支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意思決定支援装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、企業活動における、経営管理、事業計画立案、資金調達、ブランド形成、市場調査、顧客探索、商品企画、製品設計、部材調達、物品製造、設備状態監視、設備保全、部材状態監視、作業者状態監視、人材教育、物流、販売、利益管理など、何らかの目的および役割の遂行にあたり、その遂行を管理する者が意思決定を行う際に、これを支援するシステムが公知である。このようなシステムの例は、特許文献1〜3に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−194730号公報
【特許文献2】特開2004−110469号公報
【特許文献3】特開2018−63656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、システムごとに目的および役割が限定されるという問題があった。異なる目的および役割の意思決定作業に対応するためには、目的および役割ごとにシステムを別個に構築しなければならない。
【0005】
規模の大小にかかわらず、組織あるいは社会は、多数の目的および役割の繋がりと、それぞれの目的および役割を実行する系、そして、それぞれの目的および役割の遂行を管理する意思決定者の集合体として構成される。したがって、目的および役割ごとに個別に必要となる従来の意思決定支援システムでは、例えば、市況変動に応じた目的および役割の変更に伴う、範囲もしくは規模の拡大などに対応することが困難である。それに加え、ある時点での組織あるいは社会の構造を反映した固定的なシステム構造の一部とならざるを得ず、企業活動など、常時、生成と消滅を繰り返す、組織あるいは社会における目的および役割の遂行状態を動的に反映し、個々の目的および役割が、それぞれの意思決定作業を求められる時点で、相互に及ぼし合う影響を把握するシステム構造を形成することが困難である。このことから、特定の目的領域だけの意思決定を支援しても、限られた情報範囲での支援となり、組織あるいは社会全体に与えられる効果が制限される問題がある。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、組織あるいは社会全体に存在する様々な目的および役割を俯瞰し、組織あるいは社会全体における目的および役割の繋がりの観点から、それぞれの目的および役割ごとの遂行に必要な情報を収集する。そして、個々の目的および役割の遂行を管理する意思決定者それぞれに、それぞれが必要とする意思決定支援情報を提供し、組織あるいは社会全体に対して効果的な意思決定作業を支援する意思決定支援装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するため、この発明に係る意思決定支援装置は、
複数の意思決定者のそれぞれに、通知送信先を関連付けて記憶する機能と、
1つ以上の第1割当指示の入力を受け付ける機能と、
前記第1割当指示を管理中割当指示として記憶する機能と、
前記第1割当指示が第1意思決定者を表す情報を含む場合に、
‐前記第1意思決定者の通知送信先に、割当通知を送信する機能と、
‐前記第1意思決定者から、前記第1割当指示に係る1つ以上の第2割当指示の入力を受け付ける機能と、
‐前記第2割当指示を管理中割当指示として記憶する機能と、
‐各前記第2割当指示に対する第2完了情報の入力または生成に応じ、対応する第2割当指示の管理中割当指示としての前記記憶を解除する機能と、
‐各前記第1割当指示について、当該第1割当指示に係るすべての第2割当指示に対する前記第2完了情報の入力または生成に応じ、当該第1割当指示の管理中割当指示としての前記記憶を解除する機能と、
を備える。
特定の態様によれば、前記第1割当指示および前記第2割当指示はさらに、業務目標と、制約条件とを表す情報を含む。
特定の態様によれば、前記業務目標は、生成される人材の能力と人数と、生成される設備の能力と台数と、生成される材料の種別と数量と、生成されるルールあるいは設計値と、生成される資金と、生成される時間と、に係る情報のうち少なくとも1つを含む。
特定の態様によれば、前記制約条件は、利用可能な人材と、利用可能な設備と、利用可能な材料と、利用可能なルールあるいは設計値と、利用可能な資金と、利用可能な時間と、に係る情報とのうち少なくとも1つを含む。
特定の態様によれば、前記意思決定支援装置は、各第1意思決定者および各第2意思決定者を関連付けて階層的に表示する階層表示機能をさらに備える。
特定の態様によれば、前記階層表示機能において、制約条件に抵触していない第1割当指示および第2割当指示と、制約条件に抵触している第1割当指示および第2割当指示とは、異なる態様で表示される。
また、この発明に係るプログラムは、コンピュータに上述の意思決定支援装置として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る意思決定支援装置およびプログラムによれば、単一のシステムで様々な目的および役割に対し、それぞれの意思決定作業を支援するとともに、組織あるいは社会全体に対して効果的な意思決定作業を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る意思決定支援装置の例を示す図である。
図2図1の意思決定支援装置が、割当指示が入力された場合に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
図3】管理中割当指示のツリー構造の例である。
図4図1の意思決定支援装置が、完了情報が入力された場合に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
図5】管理中割当指示のツリー構造の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1に係る意思決定支援装置10の構成の例を示す。意思決定支援装置10は、意思決定者による意思決定作業を支援するための装置である。また、意思決定支援装置10は、組織によるプロジェクトの計画構築または計画実行を管理するための装置としても機能する。
【0011】
図1に示すように、意思決定支援装置10は公知のコンピュータとしての構成を有し、演算を行う演算手段11と、情報を格納する記憶手段12とを備える。演算手段11はたとえばCPU(中央処理装置)を含み、記憶手段12はたとえば半導体メモリおよびHDD(ハードディスクドライブ)を含む。
【0012】
記憶手段12は、ワークスペース20と、運用リソース管理部21と、プロジェクト情報リソース管理部22と、ジョブ実行情報管理部23と、実行・材料リソース管理部24とを備える。また、記憶手段12は図示しない意思決定支援プログラムを格納しており、演算手段11がこの意思決定支援プログラムを実行することによって、意思決定支援装置10は本明細書に記載される機能を実現する。すなわち、この意思決定支援プログラムは、コンピュータを意思決定支援装置10として機能させるものである。
【0013】
意思決定支援装置10は、複数の意思決定者のそれぞれに、通知送信先を関連付けて記憶手段12に記憶することができる。これはたとえば運用リソース管理部21において行われる。意思決定者はたとえば一意の識別情報(意思決定者ID等)によって表される。通知送信先の表現形式は任意であるが、たとえばメールアドレス、ログインID、公知のメッセージ送信サービスのアカウント、等であってもよい。
【0014】
意思決定支援装置10は、公知のコンピュータが通常備える他の構成要素を備えてもよい。たとえば、出力装置であるディスプレイおよびプリンタ、入力装置であるキーボードおよびマウス、通信ネットワークに対する入力装置と出力装置とを兼ねるネットワークインタフェース、等を備えてもよい。
【0015】
以上のような構成を備える意思決定支援装置10の動作を、図2〜4を用いて以下に説明する。
図2は、割当指示が入力された場合の意思決定支援装置10の処理の流れを説明するフローチャートである。まず意思決定支援装置10は、割当指示(第1割当指示)の入力を受け付ける(ステップS1)。割当指示とは、たとえば、ある意思決定者(たとえば上司)が、別の意思決定者(たとえば部下、あるいは外注先)または作業実行者に、業務を割り当てるための指示を表す情報である。割当指示は、この別の意思決定者(第1意思決定者)を表す情報を含む場合がある。
【0016】
割当指示を入力する意思決定者と、その割当指示によって業務が割り当てられる意思決定者は、一般的には異なる人物であるが、これらは同一人物であってもよい。役職者が業務の一部を自ら実行する場合等には、これらは同一人物となる。また、例えば、ある製品の生産を目的とする場合など、作業員管理、製造指示、部材配送、設備保全など、複数の業務が存在する場合、割当指示は複数入力されてもよく、その場合には図2の処理が逐次にまたは並列的に複数回実行されてもよい。
【0017】
割当指示は、さらに業務目標を表す情報を含んでもよい。業務目標は、たとえば、ある業務によって生成され、他の業務により利用されるリソースのレベルならびに大きさ(数量あるいは長さ等)などを表す。より具体的には、業務が教育である場合には、業務目標は、生成される人材の能力および人数(すなわち生成される人材が運用リソースの場合、教育によって、ある目的および役割の遂行を管理することができる意思決定者となり得るだけの知識のレベル、ならびに獲得を目指す人数など、もしくは生成される人材が実行リソースの場合、教育によって、ある目的および役割の実行を可能とする知識ならびに技量のレベル、ならびに獲得を目指す人数など)を表す情報を含んでもよい。業務が設備の生産である場合には、業務目標は生成される設備の能力(または性能)ならびに台数などを表す情報を含んでもよく、業務が材料の生産である場合には、業務目標は生成される材料の種別、仕様、数量などを表す情報を含んでもよい。また、業務目標は、生成されるルールあるいは設計値を表す情報を含んでもよく、生成される資金を表す情報を含んでもよく、生成される時間を表す情報を含んでもよい。
【0018】
また、割当指示は、さらに制約条件を表す情報を含んでもよい。制約条件とは、たとえばその業務を実行する際に守らなければならない条件を表す。より具体的には、制約条件は、その業務の遂行に際して利用可能な人材(運用者もしくは実行者)ならびに個々の人材ごとの利用可能な用役、利用可能な期間などの情報を含んでもよく、同様に、その業務の実行において利用可能な設備を含んでもよく、その業務の実行において利用可能な材料を含んでもよく、その業務を運用もしくは実行する際に利用可能なルールあるいは設計値(すなわち作業手順、作業の管理値、設計図、社内規則、法令など)を含んでもよく、その業務の運用もしくは実行において利用可能な予算、資金を含んでもよく、その業務に利用可能な時間(すなわち完了すべき期限)を含んでもよい。すべての割当指示を通して利用可能な運用者もしくは実行者、設備、材料、ルールあるいは設計値、資金、期限等に関する情報(人あるいは設備の識別ID、所属情報、性能あるいは能力レベル、総量、設置場所、納期等)に関する情報は、運用者すなわち後の意思決定者として利用するリソースに関する情報については運用リソース管理部21、それ以外の作業実行に係わる情報については、実行・材料リソース管理部24に格納されていてもよい。
【0019】
意思決定支援装置10は、入力された制約条件を、当該割当指示に関連付けてプロジェクト情報リソース管理部22に格納してもよい。
【0020】
また、割当指示は、さらに実作業(ジョブ)に関する情報を含んでもよい。たとえば、特定の実作業を実行するための実行者、設備、材料、プログラム等の情報を含んでもよい。これらの情報は、ジョブ実行情報管理部23に格納されてもよい。また、これらの情報を決定するために必要な選択肢に関する情報(たとえば、実行者、設備、材料、プログラム等のリスト)は、実行・材料リソース管理部24に格納されていてもよい。
【0021】
意思決定支援装置10は、入力された割当指示を、管理中割当指示として記憶する(ステップS2)。これはたとえばワークスペース20において行われる。「管理中」とは、業務が仕掛り中となっている状態を意味する。すなわち、ある割当指示に対し、業務が割り当てられた後にその業務がまだ完了していない状態となっていることを意味する。たとえば、後述の完了情報(図4に関連して説明する)が入力されていない状態の割当指示がこれに該当する。
【0022】
次に、意思決定支援装置10は、第1割当指示が第1意思決定者を表す情報を含むか否かを判定する(ステップS3)。第1割当指示が第1意思決定者を含まない場合には、意思決定支援装置10は図2の処理を終了する。
【0023】
第1割当指示が第1意思決定者を含む場合には、意思決定支援装置10は、第1意思決定者の通知送信先に割当通知を送信する(ステップS4)。割当通知は、割当指示を第1意思決定者に通知する情報である。割当通知の形式は任意に設計可能であるが、たとえば業務が割り当てられたことを表す文章を含む電子メールまたはその他の電子的メッセージを用いることができる。
【0024】
意思決定支援装置10は、第1割当指示に関する業務目標および制約条件を第1意思決定者が認識できるようにするための構成を備える。たとえば、割当通知が、第1割当指示に係る業務目標および制約条件を表す情報を含んでもよい。または、第1意思決定者が、意思決定支援装置10にアクセスする(たとえばログイン操作を行う)ことにより、第1割当指示に係る業務目標および制約条件を表す情報を閲覧することができるよう、意思決定支援装置10が構成されてもよい。このような情報伝達方法は、公知の構成を用いて適宜設計および実施可能である。
【0025】
次に、意思決定支援装置10は、第1意思決定者から、再帰的に、第1割当指示に係る別の割当指示(第2割当指示)の入力を受け付けることができる(ステップS5)。このステップS5は、別途実行される図2の処理におけるステップS1に該当する。第2割当指示は複数入力されてもよい。
【0026】
ここで、意思決定支援装置10は、第1割当指示と第2割当指示との関連を示す情報を記憶する。たとえば、第1割当指示と第2割当指示とは親子関係または階層的上下関係にあるということができる。このような情報は、プロジェクト情報リソース管理部22に格納されてもよい。たとえば、この情報は、下位の割当指示(第2割当指示)から上位の割当指示(第1割当指示)へのポインタとして表現することができる。
【0027】
第2割当指示が入力された場合には、図2の処理が繰り返されることになる。すなわち、意思決定支援装置10は、第2割当指示を管理中割当指示として記憶し(ステップS2)、第2割当指示が第2意思決定者を表す情報を含む場合に、第2意思決定者の通知送信先に、割当通知を送信する(ステップS4)。さらに再帰的に、第2割当指示に係る別の割当指示(第3割当指示)の入力を受け付けることができる(ステップS5)。
【0028】
図3に、図2の処理が再帰的に繰り返されて生成される、管理中割当指示のツリー構造の例を示す。最上階層の割当指示A1(第1割当指示)には、意思決定者D1が含まれる。すなわち、割当指示A1は意思決定者D1に対して発せられたものである。意思決定者D1は、2つの割当指示(第2割当指示)を入力しており、これが第2階層の割当指示A2およびA3となる。意思決定者D1は、割当指示A2において意思決定者D2を指定し、割当指示A3において意思決定者D3を指定している。
【0029】
意思決定者D2およびD3はそれぞれ割当通知を受信し、さらに割当指示を入力する。意思決定者D2は、割当指示(第3割当指示)を入力し、これが第3階層の割当指示A4となる。意思決定者D2は、割当指示A4において意思決定者D4を指定する。
【0030】
意思決定者D4は、さらに割当指示を入力するが、この割当指示には意思決定者が含まれず、実作業の実行者および設備のみが割り当てられる。このようにして、割当指示のツリー構造が形成される。このようなツリー構造を表す情報は、プロジェクト情報リソース管理部22に格納されてもよい。
【0031】
図4は、完了情報が入力された場合の意思決定支援装置10の処理の流れを説明するフローチャートである。まず意思決定支援装置10は、完了情報の入力を受け付ける(ステップS11)。完了情報とは、ある割当指示に係る業務の実行が完了したことを表す情報である。完了情報の具体的な表現形式および入力方法は任意に設計可能であるが、たとえば業務の実行責任者が、意思決定支援装置10にアクセスする(たとえばログイン操作を行う)ことにより、個別の完了情報を入力するためのインタフェース画面が表示されてもよい。
【0032】
以下では、図2に関連して説明した第2割当指示に対する完了情報(第2完了情報)が入力された場合を例にとって説明する。
【0033】
意思決定支援装置10は、第2完了情報の入力に応じ、対応する割当指示(第2割当指示)の管理中割当指示としての記憶を解除する(ステップS12)。たとえば、ワークスペース20から第2割当指示に係る情報を消去してもよい。または、ワークスペース20において、第2割当指示が管理中であることを示すフラグをリセットしてもよい。
【0034】
次に、意思決定支援装置10は、第2割当指示の親に相当する第1割当指示について、当該第2割当指示と同階層の割当指示が管理中となっているか否かを判定する(ステップS13)。言い換えると、第1割当指示について、関連するすべての第2割当指示が管理中でなくなったか否かを判定する。意思決定支援装置10は、ある第1割当指示について、管理中である第2割当指示が存在しない場合(すなわち、ある第1割当指示に係るすべての第2割当指示に対する第2完了情報の入力または生成に応じて)、当該第1割当指示の管理中割当指示としての記憶を再帰的に解除する(ステップS14)。このステップS14は、別途実行される図4の処理におけるステップS11(第1完了情報の入力)またはS12に該当する。
【0035】
なお、上記の例では、第2完了情報は業務の実行責任者によって入力されたが、意思決定支援装置10自身によって再帰的に入力、生成または取得されたものであっても同様である。たとえば、第2割当指示に係る管理中の第3割当指示が存在しなくなることに応じて、意思決定支援装置10は当該第2割当指示に係る完了情報を生成し、これが入力されたものとしてステップS12以降を実行してもよい。
【0036】
完了情報は、割当指示の実行結果を表す情報を含んでもよい。その場合には、意思決定支援装置10は、実行結果を表す情報を、プロジェクト情報リソース管理部22またはジョブ実行情報管理部23に格納してもよい。
また、割当指示の実行結果は、実行後の実行・材料リソースの状態すなわち作業実行者の能力、設備能力、材料使用料、ルール適用実績、予算消費額などの状態を表す情報を含んでもよい。その場合には、意思決定支援装置10は、利用された実行・材料リソースの状態情報を、実行・材料リソース管理部24に格納してもよい。
【0037】
完了情報の入力またはその他の情報の入力により、新たな運用リソースもしくは実行リソースが生成される場合がある。たとえば、業務が人材の教育である場合(すなわち業務目標が意思決定者としてのスキルに相当する知識と技量を有する人材、もしくは特定の作業を実行するための知識と技量を有する人材の生成である場合)には、意思決定支援装置10は、生成された意思決定者としてのスキルに相当する知識と技量を有する人材に関する情報(通知送信先を含む)を、運用リソース管理部21に格納してもよい。また、特定の作業を実行するための知識と技量を有する人材に関する情報を、実行・材料リソース管理部24に格納してもよい。同様に、業務目標が設備または材料の生成・生産である場合には、意思決定支援装置10は、生成された新たな設備または材料に関する情報を、実行・材料リソース管理部24に格納してもよい。
【0038】
このように、本発明の実施の形態1に係る意思決定支援装置10によれば、ワークスペース20が白紙の状態から新たな業務に係る割当指示を受け付けることができ、また、業務が完了すると割当指示をクリアする。このため、進行中の業務体系に係る割当指示を動的に管理することができ、特定業務の形式に縛られることがないことに加え、ワークスペース上には、企業活動など、常時、生成と消滅を繰り返す、組織あるいは社会における個々の目的および役割遂行の全体像が表現されることから、様々な目的の業務に対する意思決定を、他の業務との関連性を加味しながら動的に支援することができる。
【0039】
また、意思決定支援装置10は、管理中割当指示のツリー構造を表示する機能を有してもよい。この機能は、図2および図4の処理とは独立に実行可能であってもよい。この機能は、各第1意思決定者および各第2意思決定者を関連付けて階層的に表示する階層表示機能であるということができる。意思決定支援装置10は、たとえば所定の俯瞰表示指令が入力されることに応じて、このような階層表示を行う。
【0040】
図5に、このような表示の具体例を示す。最上階層に1つの管理中割当指示が存在し、この割当指示に対応するアイコン(考える人物すなわち個々の業務の遂行を管理する意思決定者を模したもの)が表示されている。同様に、第2階層に3つのアイコン、第3階層に9つのアイコンというように、第5階層までの構造が表示されている。
【0041】
意思決定支援装置10は、割当指示に係る業務の状態に応じて、アイコンの表示態様を変更してもよい。たとえば、制約条件に抵触していない割当指示(第1割当指示および第2割当指示を含む)と、制約条件に抵触している割当指示(第1割当指示および第2割当指示を含む)とを、異なる態様で表示してもよい。
【0042】
より具体的な例としては、制約条件に指定された期限を超過しているものと、そうでないものとで色を変更してもよい。図5の例では、期限そのものは表示されていないが、期限内のものは黒塗りのアイコンが、制約条件に指定された期限を超過している場合には白抜きのアイコンが、それぞれ表示されている。また、期限超過の度合いに応じて、アイコンの表示色を3色以上に異ならせてもよい。
【0043】
このように、割当指示のツリーを俯瞰表示することにより、各意思決定者は、プロジェクト全体の構造を迅速かつ容易に把握することができる。また、アイコンの表示態様を変更することにより、プロジェクト内における各作業の進捗状況等を迅速かつ容易に把握することができる。
【0044】
実施の形態1では意思決定支援装置10は単一のコンピュータによって構成されるが、変形例として複数のコンピュータによって構成されてもよい。その場合には、図2および図4の各ステップはそれぞれ異なるコンピュータによって実行されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 意思決定支援装置(コンピュータ)、A1 割当指示(第1割当指示)、A2,A3 割当指示(第2割当指示)、A4 割当指示、D1 意思決定者(第1意思決定者)、D2,D3 意思決定者(第2意思決定者)、D4 意思決定者。
【要約】
【課題】様々な目的に対応する意思決定作業を支援できる意思決定支援装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】意思決定支援装置10は、第1割当指示A1の入力を受け付け、管理中割当指示として記憶する。意思決定支援装置10は、第1意思決定者D1から、第1割当指示A1に係る1つ以上の第2割当指示A2,A3の入力を受け付ける。意思決定支援装置10は、第2割当指示A2,A3を管理中割当指示として記憶する。意思決定支援装置10は、第2割当指示A2,A3に対する第2完了情報の入力または生成に応じ、対応する第2割当指示A2,A3の管理中割当指示としての記憶を解除する。意思決定支援装置10は、第1割当指示A1について、すべての第2割当指示A2,A3に対する第2完了情報の入力または生成に応じ、第1割当指示A1の管理中割当指示としての前記記憶を解除する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5