(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604702
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造
(51)【国際特許分類】
B61D 17/00 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
B61D17/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-121794(P2015-121794)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-7384(P2017-7384A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】新川 明宏
(72)【発明者】
【氏名】中尾 稔
(72)【発明者】
【氏名】井上 十一
(72)【発明者】
【氏名】小泉 智也
(72)【発明者】
【氏名】奥村 将也
(72)【発明者】
【氏名】坂上 啓
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−168941(JP,A)
【文献】
特許第3029785(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車外側から挿入して前記下面開口受部の端縁部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記端縁部に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記車両用下部ふさぎ板は、長手方向で分割し、分割境界にて上方へ折り曲げ可能に連結したこと、
前記下面開口受部には、前記車両用下部ふさぎ板の折り曲げ状態における長手方向端部を挿入でき、伸長状態における前記長手方向端部を覆う止め部を前記端縁部の基端補強リブに形成したことを特徴とする車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造。
【請求項2】
略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車外側から挿入して前記下面開口受部の端縁部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記端縁部に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記車両用下部ふさぎ板は、長手方向で分割し、分割境界にて長手方向へ伸縮可能に連結したこと、
前記分割境界には、長手方向へ互いに摺接する摺接面を形成したこと、
前記下面開口受部には、前記車両用下部ふさぎ板の収縮状態における長手方向端部を挿入でき、伸長状態における前記長手方向端部を覆う止め部を前記端縁部の基端補強リブに形成したことを特徴とする車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記車両用下部ふさぎ板の分割境界には、伸長状態に復帰したとき、自動でラッチが係止する係止機構を設けたことを特徴とする車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造。
【請求項4】
請求項3に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記係止機構には、前記ラッチが係止したとき前記車両用下部ふさぎ板の下方へ突出するラッチ操作部を備えたことを特徴とする車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄道車両の車体下面を車両走行時における整流等の観点でふさぐ車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、新幹線などの高速で走行する鉄道車両では、車両走行時における空気抵抗を低減する整流等の観点から、車体下面の開口受部に車両用下部ふさぎ板が装着されている。また、車両用下部ふさぎ板は、床と車体下面との間に収納された各種電気機器や空調機器などを保守点検するため、上記開口受部の端縁部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結することによって固定する構造を採用している。そのため、ボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合、車両用下部ふさぎ板が、車体下面の開口受部から脱落する恐れがあった。
この問題に対応するため、例えば、特許文献1には、以下の構造の車両用下部ふさぎ板の脱落防止装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止装置は、対向する二辺の端縁に切り込みが設けられ車体下面を覆う略四角形の下部ふさぎ板が下部ふさぎ板受にて支持され、その下部ふさぎ板受が上向きボルトにて車両の外部から内部に貫通され、その上向きボルトに押さえ金が螺合されると共に前記下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺が係合されており、前記上向きボルトを車両外部から回すことにより、前記押さえ金が上下移動する車両用下部ふさぎ板の脱落防止装置であって、前記下部ふさぎ板受に設けられた穴と、前記穴を通じて車両の外部から内部に挿脱可能に設けられ前記下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に係合可能である係合体と、この係合体を車両の内部へ挿入する方向に押圧する押圧体とを設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3029785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止装置は、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に、係合体を車両の外部から内部へ挿入する方向に押圧する押圧体によって係合させる構造であるので、車両用下部ふさぎ板が適正な位置にセットされていないと、係合体が切り込みを設けた辺以外の箇所に当接して、切り込みを設けた辺に係合できない恐れがあった。そのため、上記脱落防止装置を確実に機能させるためには、車両用下部ふさぎ板を適正な位置にセットさせ、かつ、押圧体によって係合体を車両の外部から内部に挿入させるという新たな操作が必要であり、その新たな操作を人為的ミス等で忘れた場合、結局、車両用下部ふさぎ板が車体下面の開口受部から脱落する恐れは解消されない問題があった。
また、上記係合体は、下部ふさぎ板受に設けられた穴を通じて車両の外部から内部に挿脱可能に設けられているので、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に係合体が確実に係合していることの確認行為は、必ずしも容易ではなかった。そのため、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に係合体が確実に係合していないにもかかわらず、係合していると思い違いをする人為的ミスも生じる問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、以下の構成を備えている。
(1)略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車外側から挿入して前記下面開口受部の端縁部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記端縁部に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記車両用下部ふさぎ板は、長手方向で分割し、分割境界にて上方へ折り曲げ可能に又は長手方向へ伸縮可能に連結したこと、
前記下面開口受部には、前記車両用下部ふさぎ板の折り曲げ状態又は収縮状態における長手方向端部を挿入でき、伸長状態における前記長手方向端部を覆う止め部を前記端縁部の基端補強リブに形成したことを特徴とする。
ここで、「長手方向」とは、略矩形状の車両用下部ふさぎ板における長辺に沿う方向又は短辺に沿う方向を意味する。
【0008】
本発明においては、車両用下部ふさぎ板は、長手方向で分割し、分割境界にて上方へ折り曲げ可能に又は長手方向へ伸縮可能に連結したので、車両用下部ふさぎ板の長手方向端部同士の距離を、折り曲げ状態又は収縮状態で短縮させ、伸長状態で拡張させることができる。
また、下面開口受部には、車両用下部ふさぎ板の折り曲げ状態又は収縮状態における長手方向端部を挿入でき、伸長状態における長手方向端部を覆う止め部を端縁部の基端補強リブに形成したので、下面開口受部の端縁部と基端補強リブと止め部とで形成される空間に、車両用下部ふさぎ板を折り曲げ状態又は収縮状態にして長手方向端部を挿入し、挿入後に車両用下部ふさぎ板を伸長状態に復帰して、長手方向端部を止め部に拘束させることができる。そのため、その後のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板は、長手方向端部が止め部に拘束されて下面開口受部から脱落するのを防止することができる。
よって、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる。
なお、分割境界にて折り曲げ可能な車両用下部ふさぎ板は、分割境界を上方へ持ち上げた折り曲げ状態から、自重で伸長状態に復帰できるが、分割境界に戻しばね(図示せず)を設けて、ばねの付勢力で伸長状態に復帰させることもできる。
また、分割境界にて伸縮可能な車両用下部ふさぎ板は、分割境界に戻しばねを設けて、ばねの付勢力で伸長状態に復帰させることができる。
【0009】
(2)(1)に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記車両用下部ふさぎ板の分割境界には、伸長状態に復帰したとき、自動でラッチが係止する係止機構を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明においては、車両用下部ふさぎ板の分割境界には、伸長状態に復帰したとき、自動でラッチが係止する係止機構を設けたので、車両走行時における不測の外力(例えば、橋梁通過時の強風等)によって車両用下部ふさぎ板が伸長状態から折り曲げ状態又は収縮状態に戻ることがない。そのため、車両用下部ふさぎ板は、長手方向端部が止め部により一層拘束されて、車体の下面開口受部から脱落する恐れを更に低減できる。
【0011】
(3)(2)に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記係止機構には、前記ラッチが係止したとき前記車両用下部ふさぎ板の下方へ突出するラッチ操作部を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、係止機構には、前記ラッチが係止したとき車両用下部ふさぎ板の下方へ突出するラッチ操作部を備えたので、係止機構のラッチが係止したか否かを、車両用下部ふさぎ板の下方へ突出したラッチ操作部を目視等で確認することができる。
よって、係止機構のラッチが係止していないにもかかわらず、係止していると思い違いをする人為的ミスを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図である。
【
図3】
図2に示す車両用下部ふさぎ板の折り曲げ状態における断面図である。
【
図6】
図1に示す車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における変形例のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について、
図1〜
図5を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図を示す。
図2は、
図1に示すB−B断面図を示す。
図3は、
図2に示す車両用下部ふさぎ板の折り曲げ状態における断面図を示す。
図4は、
図1に示すA部詳細平面図を示す。
図5は、
図1に示すA部詳細側面図を示す。
【0016】
図1〜
図3に示すように、本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、略矩形状の車両用下部ふさぎ板2、2を車体10の下面開口受部1に車外側から挿入して下面開口受部1の端縁部11、16に車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して端縁部11、16に固定する構造である。
車両用下部ふさぎ板2、2は、上面に補強リブ22が形成された略矩形状の板体であって、長手方向の中央部で2分割されている。補強リブ22は、長手方向に沿って複数個形成され、各補強リブ22は等間隔で配置されている。補強リブ22間の板体には、把持用の長孔25が複数個穿設されている。
また、車両用下部ふさぎ板2、2の分割境界23、23には、境界線に沿って複数個の蝶番24、24が取り付けられている。分割された車両用下部ふさぎ板2、2は、蝶番24、24を軸にして、伸長状態から上方へ折り曲げ可能に連結されている。なお、車両用下部ふさぎ板2、2は、伸長状態で補強リブ22、22の端縁同士が当接するので、蝶番24、24を軸にして、伸長状態から下方へ折り曲げることはできない。
また、車両用下部ふさぎ板2、2の長手方向端部21、21には、下面開口受部1の端縁部11、16にボルト締結されるナット31が固定されている。ナット31は、長手方向の対向する位置に、複数個(例えば、片方に3個)配置されている。
なお、車体10の下面開口受部1、1には、同構造の車両用下部ふさぎ板2、2が互いに隣接して配設されている。
【0017】
車体10の下面開口受部1、1は、車両用下部ふさぎ板2、2の長手方向端部21、21が車内側から当接する端縁部11、16と、端縁部11、16の基端部から上方へ立設する基端補強リブ12、15とを備えている。
下面開口受部1、1には、車両用下部ふさぎ板2、2の折り曲げ状態における長手方向端部21、21を挿入でき、伸長状態における長手方向端部21、21を覆う止め部13、14が基端補強リブ12、15に固着されている。止め部13、14は、所定の曲げ強度を備えた金属体であるが、所定の付勢力を備えたばね体でもよい。また、止め部13、14の下端と長手方向端部21、21の上端との間には、一定の隙間が形成されているが、止め部13、14の先端を上向き傾斜面に形成してもよい。
なお、端縁部11、16と止め部13、14とで形成される上下隙間は、車両用下部ふさぎ板2、2を上方へ折り曲げて挿入するとき、車体10の床面に装着した各種電気機器や空調機器等との干渉を回避できる大きさに設定する。
【0018】
そのため、端縁部11、16と基端補強リブ12、15と止め部13、14とで形成される空間には、車両用下部ふさぎ板2、2を折り曲げ状態にして長手方向端部21、21を挿入することができる。また、同空間に長手方向端部21、21を挿入後に、車両用下部ふさぎ板2、2を伸長状態に復帰して、長手方向端部21、21を止め部13、14に拘束させることができる。
車両用下部ふさぎ板2、2が伸長状態に復帰した段階で、下面開口受部1、1と長手方向端部21、21とを車外側からボルト締結する。ボルト3には、廻り止め32が装着されている。仮に、ボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、長手方向端部21、21が止め部13、14に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2、2が下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
【0019】
図4、
図5に示すように、車両用下部ふさぎ板2、2の分割境界23、23には、伸長状態に復帰したとき、分割された車両用下部ふさぎ板2、2同士を自動でラッチが係止する係止機構4が設けられている。係止機構4は、ラッチ41と被係合体42とラッチ操作部43と装置本体44とを備えている。ラッチ41及びラッチ操作部43を収納する装置本体44が一方の車両用下部ふさぎ板2に装着され、ラッチ41の先端側が係合する被係合体42が他方の車両用下部ふさぎ板2に装着されている。
ラッチ41は、略矩形状の板状体であって、先端側上端412が略水平面に形成され、先端側下端411が先端に向けて先細る傾斜面に形成されている。ラッチ41の基端部側壁には、水平状に進退するラック413が形成されている。ラッチ41の後端には、押出しばね416が取り付けられている。
被係合体42は、断面略ハット形状の板状体であって、頂部にラッチ41の先端側上端412が当接可能に形成されている。
【0020】
装置本体44は、略角筒体であって、ラッチ41の基端部及び押出しばね416を収納し、ラック413と噛合うピニオン414及びピニオン414と噛合う円弧状ラック417を軸支している。
ラッチ操作部43は、円弧状ラック417と連結されたレバー部材であって、ラッチ41が被係合体42に係合されているとき、車両用下部ふさぎ板2の下端から斜め下方に突出している。ラッチ操作部43を手動で傾斜状態から水平状態に操作すると、ラッチ41が後退し、先端側上端412が被係合体42から離脱する。ラッチ操作部43を手から離すと、押出しばね416に押されてラッチ41が前進し、先端側上端412が被係合体42に係合する。したがって、ラッチ41は、常時係合方向に付勢されている。
なお、車両用下部ふさぎ板2、2が折り曲げ状態から伸長状態に復帰するときには、ラッチ41は前進端に押出されている。前進端に押出されたラッチ41は、傾斜面に形成された先端側下端411が、被係合体42の頂部に当接して押し戻され、その後、再度前進して被係合体42に係合される。
【0021】
<作用効果>
本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造によれば、車両用下部ふさぎ板2、2は、長手方向で分割し、分割境界23、23にて上方へ折り曲げ可能に連結したので、車両用下部ふさぎ板2、2の長手方向端部21同士の距離を、折り曲げ状態で短縮させ、伸長状態で拡張させることができる。
また、下面開口受部1、1には、車両用下部ふさぎ板2、2の折り曲げ状態における長手方向端部21、21を挿入でき、伸長状態における長手方向端部21、21を覆う止め部13、14を端縁部11、16の基端補強リブ12、15に形成したので、端縁部11、16と基端補強リブ12、15と止め部13、14とで形成される空間に、車両用下部ふさぎ板2、2を折り曲げ状態にして長手方向端部21、21を挿入し、挿入後に車両用下部ふさぎ板2、2を伸長状態に復帰して、長手方向端部21、21を止め部13、14に拘束させることができる。そのため、その後のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板2、2は、長手方向端部21、21が止め部13、14に拘束されて下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
よって、車両用下部ふさぎ板2、2を車体10の下面開口受部1、1に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部1、1から車両用下部ふさぎ板2、2が脱落するのを防止できる。
なお、分割境界23、23にて折り曲げ可能な車両用下部ふさぎ板2、2は、分割境界23、23を上方へ持ち上げた折り曲げ状態から、自重で伸長状態に復帰できるが、分割境界23、23に戻しばね(図示せず)を設けて、ばねの付勢力で伸長状態に復帰させることもできる。
【0022】
また、本実施形態によれば、車両用下部ふさぎ板2、2の分割境界23、23には、伸長状態に復帰したとき、自動でラッチ41が係止する係止機構4を設けたので、車両走行時における不測の外力(例えば、橋梁通過時の強風等)によって車両用下部ふさぎ板2、2が伸長状態から折り曲げ状態に戻ることがない。そのため、車両用下部ふさぎ板2、2は、長手方向端部21、21が止め部13、14により一層拘束されて、車体10の下面開口受部1、1から脱落する恐れを更に低減できる。
【0023】
また、本実施形態によれば、係止機構4には、ラッチ41が係止したとき車両用下部ふさぎ板2、2の下方へ突出するラッチ操作部43を備えたので、係止機構4のラッチ41が係止したか否かを、車両用下部ふさぎ板2、2の下方へ突出したラッチ操作部43を目視等で確認することができる。
よって、係止機構4のラッチ41が係止していないにもかかわらず、係止していると思い違いをする人為的ミスを防止することができる。
【0024】
以上、本発明の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態では、車両用下部ふさぎ板2、2は、長手方向で分割し、分割境界23、23にて上方へ折り曲げ可能に連結したが、
図6に示すように、車両用下部ふさぎ板2B、2Cは、長手方向で分割し、分割境界23B、23Cにて長手方向へ伸縮可能に連結することも可能である。
具体的には、分割境界23B、23Cには、長手方向へ互いに摺接する摺接面を形成する。また、一方の車両用下部ふさぎ板2Cの補強リブ22Cに係止ピン23C3を突設し、他方の車両用下部ふさぎ板2Bの補強リブ22Bに上記係止ピン23C3が嵌合され、所定の長さ移動可能な長孔23B2を形成する。また、一方の車両用下部ふさぎ板2Cには、ばね座23C1を固着し、ばね座23C1に他方の車両用下部ふさぎ板2Bを押し戻す戻しばね23C2を装着する。他方の車両用下部ふさぎ板2Bの分割境界の先端部23B1には、上記戻しばね23C2の当接面を形成する。
上記構造に形成した車両用下部ふさぎ板2B、2Cによれば、下面開口受部1、1の端縁部11、16と基端補強リブ12、15と止め部13、14とで形成される空間に、車両用下部ふさぎ板2B、2Cを長手方向へ収縮して長手方向端部21B、21Cを挿入し、挿入後に車両用下部ふさぎ板2B、2Cを伸長状態に復帰して、長手方向端部21B、21Cを止め部13、14に拘束させることができる。そのため、その後のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板2B、2Cは、長手方向端部21B、21Cが止め部13、14に拘束されて下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
また、本変形例によれば、分割境界を上方へ突出させることがないので、車体10の床面に装着した各種電気機器や空調機器等との干渉を容易に回避することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 下面開口受部
2 車両用下部ふさぎ板
3 ボルト
4 係止機構
10 車体
11 端縁部
12 基端補強リブ
13 止め部
14 止め部
15 基端補強リブ
16 端縁部
21 長手方向端部
22 補強リブ
23 分割境界
24 蝶番
41 ラッチ
42 被係合体
43 ラッチ操作部