特許第6604705号(P6604705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社瑞光の特許一覧

<>
  • 特許6604705-使い捨て着用物品の折り装置 図000002
  • 特許6604705-使い捨て着用物品の折り装置 図000003
  • 特許6604705-使い捨て着用物品の折り装置 図000004
  • 特許6604705-使い捨て着用物品の折り装置 図000005
  • 特許6604705-使い捨て着用物品の折り装置 図000006
  • 特許6604705-使い捨て着用物品の折り装置 図000007
  • 特許6604705-使い捨て着用物品の折り装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604705
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】使い捨て着用物品の折り装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20191031BHJP
   B65H 45/04 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   A61F13/15 356
   B65H45/04
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-195819(P2018-195819)
(22)【出願日】2018年10月17日
(62)【分割の表示】特願2014-234274(P2014-234274)の分割
【原出願日】2014年11月19日
(65)【公開番号】特開2019-5632(P2019-5632A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/152346(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/119884(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/089964(WO,A1)
【文献】 特開2014−030568(JP,A)
【文献】 特開2007−175298(JP,A)
【文献】 特開2004−290400(JP,A)
【文献】 特開2012−179327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の胴の一部を覆う第1胴部、着用者の胴の他の一部を覆う第2胴部および着用者の股を覆う股部が縦方向に連なる本体と、前記第1胴部の前記縦方向に延びる縁部に連なり前記縁部から前記縦方向に交差する胴回り方向に延び出し前記第2胴部の接合部分に接合されるフラップとを有する使い捨て着用物品の折り装置であって、
前記第1胴部を保持する主保持面を有する主パッドと、
前記フラップを保持するサブ保持面を有するサイドパッドと、
前記サイドパッドが前記主パッドに対して開いた開位置から前記サブ保持面が前記主保持面に対面して閉じた閉位置まで前記サイドパッドを前記主パッドに対して回転させることで前記フラップが前記第2胴部の接合部分に重なるように前記フラップを折る折り機構と、
前記主パッドが取り付けられたベースと、
前記サイドパッドが取り付けられた調整台と、
前記調整台を前記ベースに対し前記ベースの拡がる平面に沿って回転可能に固定する固定手段とを備え、
前記ベースの表面には前記調整台が配置され、
前記ベースには回転位置が調整できるような状態で、前記調整台が取り付けられ、
ここにおいて、
前記主パッドの前記縦方向に延びるパッド中心線に対し、前記サイドパッドの回転中心の軸線が平行な第1の姿勢と、前記主パッドのパッド中心線に対し、前記サイドパッドの回転中心の軸線が前記縦方向の端部に向かって延びるに従い前記主パッドに近づくように傾斜した第2の姿勢とが選択的に設定できるように構成されている、使い捨て着用物品の折り装置。
【請求項2】
着用者の胴の一部を覆う第1胴部、着用者の胴の他の一部を覆う第2胴部および着用者の股を覆う股部が縦方向に連なる本体と、前記第1胴部の前記縦方向に延びる縁部に連なり前記縁部から前記縦方向に交差する胴回り方向に延び出し前記第2胴部の接合部分に接合されるフラップとを有する使い捨て着用物品の折り装置であって、
前記第1胴部を保持する主保持面を有する主パッドと、
前記フラップを保持するサブ保持面を有するサイドパッドと、
前記サイドパッドが前記主パッドに対して開いた開位置から前記サブ保持面が前記主保持面に対面して閉じた閉位置まで前記サイドパッドを前記主パッドに対して回転させることで前記フラップが前記第2胴部の接合部分に重なるように前記フラップを折る折り機構と、
前記主パッドが取り付けられたベースと、
アームおよびリストを介して前記サイドパッドが取り付けられた調整台と、
前記調整台を前記ベースに対し前記ベースの拡がる平面に沿って回転可能に固定する固定手段とを備え、
前記ベースの表面には回転位置が調整できるような状態で、前記調整台が取り付けられており、
1つの軸線のまわりに回転するアームの先端部において前記1つの軸線に平行な別の軸線のまわりに回転するリストを介して、前記サイドパッドが前記主パッドに対して回転するように前記調整台に対し回転自在に支持され、
前記主パッドの前記縦方向に延びるパッド中心線に対する前記サイドパッドの前記別の軸線の傾斜の角度を調整できるように、
前記ベースには雌ネジからなる位置決め部が設けられ、前記調整台には円弧状の長孔からなる被位置決め部が設けられ、
前記雌ネジには前記円弧状の長孔からなる前記被位置決め部を貫通する前記固定手段としてのボルトがねじ込まれ、前記ボルトおよび雌ネジは前記調整台を前記ベースに対し前記ベースの拡がる平面に沿って回転可能に固定する、使い捨て着用物品の折り装置。
【請求項3】
着用者の胴の一部を覆う第1胴部、着用者の胴の他の一部を覆う第2胴部および着用者の股を覆う股部が縦方向に連なる本体と、前記第1胴部の前記縦方向に延びる縁部に連なり前記縁部から前記縦方向に交差する胴回り方向に延び出し前記第2胴部の接合部分に接合されるフラップとを有する使い捨て着用物品の折り装置であって、
前記第1胴部を保持する主保持面を有する主パッドと、
前記フラップを保持するサブ保持面を有するサイドパッドと、
前記サイドパッドが前記主パッドに対して開いた開位置から前記サブ保持面が前記主保持面に対面して閉じた閉位置まで前記サイドパッドを前記主パッドに対して回転させることで前記フラップが前記第2胴部の接合部分に重なるように前記フラップを折る折り機構と、
前記主パッドが取り付けられたベースと、
前記サイドパッドが前記主パッドに対して回転する回転中心の軸線のまわりに前記サイドパッドが回転自在に取り付けられた調整台と、
前記調整台を前記ベースに対し前記ベースの拡がる平面に沿って回転可能に固定する固定手段とを備え、
前記ベースの表面には回転位置が調整できるような状態で、前記調整台が取り付けられ、
ここにおいて、
前記主パッドの前記縦方向に延びるパッド中心線に対する前記サイドパッドの前記軸線の傾斜の角度を調整できるように、
前記ベースには位置決め部が設けられ、前記調整台には円弧状の長孔からなる被位置決め部が設けられ、
前記固定手段が前記円弧状の長孔からなる前記被位置決め部を貫通し、前記調整台を前記ベースに対し前記ベースの拡がる平面に沿って回転可能に固定する、使い捨て着用物品の折り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て着用物品の折り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、オムツのような使い捨て着用物品のフラップを折る装置や方法が提供されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2010/089964 A
【特許文献2】WO 2011/152346 A
【発明の概要】
【0004】
図6は前記オムツの一例を示す。
オムツのバック部21には胴回り方向Xに伸縮する弾性部材Fが設けられている。そのため、この図に示すように、オムツ本体2から胴回り方向Xに突出するフラップ3はオムツ本体2の本体中心線2Cに対し傾いた状態となる。
【0005】
前記オムツの製造工程においては、前記オムツ本体2等を吸着して保存しており、そのため、前記弾性部材Fの収縮量は図6のフリーの状態に比べ小さい。しかし、オムツ本体2を吸着して保存していても、前記弾性部材Fが胴回り方向Xに収縮するのは避けられない。この収縮は以下に説明するような不具合を招く。
【0006】
7Aはオムツを展開し、弾性部材による収縮を取り除いた状態のオムツを示し、図7Bは製造中にフロント部を折り畳んだ状態のオムツを示す。
前述のように、図7Bの前記製造中においてはフラップ3が延び出すバック部21の縁部E1はオムツ本体2の端部E2側においてオムツ本体2の胴回り方向Xの中央側に引き寄せられ、オムツ本体2の本体中心線2Cに対し傾いた状態となっている。
【0007】
この状態で、オムツ本体2の本体中心線2Cに平行な折りラインCLで折り曲げると、斜めになったフラップ3は、図7Cのように、折り曲げにより反転した部分の一部が、オムツ本体2の端部E2から外側へ張り出した状態となる。
【0008】
この結果、見栄えが悪くなるだけでなく、フラップ3の雄面ファスナ4の結合力が不十分となったり、あるいは、張り出した部分が搬送装置などに引っ掛かるおそれもある。
【0009】
本発明の目的は、上記のような不具合が生じることなくフラップを所期の状態に折ることができる使い捨て着用物品の折り装置を提供することである。
【0010】
本折り方法は着用者の胴の一部を覆う第1胴部、着用者の胴の他の一部を覆う第2胴部および着用者の股を覆う股部が縦方向に連なる本体と、前記第1胴部の前記縦方向に延びる縁部に連なり前記縁部から前記縦方向に交差する胴回り方向に延び出し前記第2胴部の接合部分に接合されるフラップと、前記第1胴部を着用者の胴にフィットさせるための弾性部材とを有する使い捨て着用物品の折り方法であって、
前記本体の前記第1胴部の前記縦方向の端部が前記弾性部材の張力により前記股部よりも前記胴回り方向に縮んだ状態で、かつ、前記第1胴部の前記縁部が前記縦方向に延びる前記本体の仮想の本体中心線に対し傾斜した状態で、前記第1胴部を主パッドに保持すると共に、前記フラップをサイドパッドに保持する保持工程と、
前記サイドパッドが前記主パッドに対面するように前記サイドパッドを回転させることで、前記第1胴部の前記端部に延びるに従い前記中心線に近づくように傾斜した仮想の折りラインを中心に前記フラップが前記第1胴部に重なるように前記フラップを折り畳む折り工程とを備える。
【0011】
バック部の側縁は、オムツ本体の端部側が前記本体の胴回り方向の中央側に引き寄せられ、前記本体中心線に対し傾斜した状態となっている。このような状態でフラップが傾斜した折りラインに沿って折り畳まれるので、折り畳まれたフラップの少なくとも大部分は前記本体に重なり、前記本体から大きく張り出すことが無い。また、フラップを正しい姿勢で折り曲げるので、面ファスナなどの止着部材に確実に係止される。すなわち、フラップを所期の状態に折ることができる。
【0012】
本折り方法において、好ましくは、前記主パッドの前記縦方向に延びるパッド中心線に対し、前記サイドパッドの回転中心の軸線が前記端部に向かって延びるに従い前記主パッドに近づくように傾斜した姿勢となるように調整する調整工程を更に備える。
【0013】
前記本体中心線に対する前記フラップの傾きは、オムツの種類やサイズによって種々異なる。ここで、サイドパッドの回転中心の軸線の傾きをパッド中心線に対して予め調整することにより、前記オムツの種類等によって異なるフラップの傾きに応じた折りラインの設定が可能となる。したがって、オムツの種類等に拘わらず、フラップを所期の状態に折ることができる。
【0014】
本発明装置は1つの局面において、着用者の胴の一部を覆う第1胴部、着用者の胴の他の一部を覆う第2胴部および着用者の股を覆う股部が縦方向に連なる本体と、前記第1胴部の前記縦方向に延びる縁部に連なり前記縁部から前記縦方向に交差する胴回り方向に延び出し前記第2胴部の接合部分に接合されるフラップとを有する使い捨て着用物品の折り装置であって、
前記第1胴部を保持する主保持面を有する主パッドと、
前記フラップを保持するサブ保持面を有するサイドパッドと、
前記サイドパッドが前記主パッドに対して開いた開位置から前記サブ保持面が前記主保持面に対面して閉じた閉位置まで前記サイドパッドを前記主パッドに対して回転させることで前記フラップが前記第2胴部の接合部分に重なるように前記フラップを折る折り機構と、
前記主パッドが取り付けられたベースと、
前記サイドパッドが取り付けられた調整台と、
前記調整台を前記ベースに対し前記ベースの拡がる平面に沿って回転可能に固定する固定手段とを備える。
【0015】
この局面においては、予め、調整台をベースに対して回転させることで、前記主パッドの前記縦方向に延びるパッド中心線に対し、前記サイドパッドの回転中心の軸線が前記端部に向かって延びるに従い前記主パッドに近づくように傾斜した姿勢となるように調整する。このように調整することにより、前述のように、オムツの種類等によって異なるフラップの傾きに応じた折りラインの設定が可能となる。
【0016】
好ましくは、前記サイドパッドは前記主パッドの前記縦方向の端部側に配置され、前記主パッドの前記縦方向に延びるパッド中心線に対し、前記サイドパッドの回転中心の軸線が前記端部に向かって延びるに従い前記主パッドに近づくように傾斜している。
【0017】
この場合、前述と同様に、フラップが本体から大きく張り出すことなく、フラップを所期の状態に折ることができる。
【0018】
本発明装置は別の局面において、着用者の胴の一部を覆う第1胴部、着用者の胴の他の一部を覆う第2胴部および着用者の股を覆う股部が縦方向に連なる本体と、前記第1胴部の前記縦方向に延びる縁部に連なり前記縁部から前記縦方向に交差する胴回り方向に延び出し前記第2胴部の接合部分に接合されるフラップとを有する使い捨て着用物品の折り装置であって、
前記第1胴部を保持する主保持面を有する主パッドと、
前記フラップを保持するサブ保持面を有するサイドパッドと、
前記サイドパッドが前記主パッドに対して開いた開位置から前記サブ保持面が前記主保持面に対面して閉じた閉位置まで前記サイドパッドを前記主パッドに対して回転させることで前記フラップが前記第2胴部の接合部分に重なるように前記フラップを折る折り機構と、を備え、
前記サイドパッドは前記主パッドの前記縦方向の端部側に配置され、
前記主パッドの前記縦方向に延びるパッド中心線に対し、前記サイドパッドの回転中心の軸線が前記端部に向かって延びるに従い前記主パッドに近づくように傾斜している。
【0019】
この別の局面においても、前述と同様に、フラップが本体から大きく張り出すことなく、フラップを所期の状態に折ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の折り方法が適用されるオムツの一例を示す平面図であり、図1Aは折り畳んで、かつ、弾性部材を伸張させた状態のオムツを示し、図1Bは主パッドおよびサイドパッドに吸着されフラップを折り畳む前の同オムツの平面図、図1Cは同フラップを折り畳んだ後の同オムツの平面図である。
図2】本発明の折り装置の一例を開状態で示す断面図である。
図3】同折り装置を閉状態で示す断面図である。
図4】同折り装置を開状態と閉状態との中間の状態で示す側面図である。
図5】同折り装置を閉状態で示す平面図である。
図6】オムツの一例を外力を負荷していない状態で示す展開図である。
図7】従来のオムツの折り方法を示しており、図7Aは弾性部材を伸張させた状態で示す展開図、図7Bは主パッドおよびサイドパッドに吸着されフラップ折り畳む前の同オムツの平面図、図7Cは同フラップを折り畳んだ後の同オムツの平面図である。
【実施例】
【0021】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0022】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0023】
以下、本発明の折り方法および装置の一実施例の説明に先立って、着用物品の一例であるオムツの構造が図1A図1Cにしたがって説明される。
【0024】
オムツ1:
図1Aに示すように、本実施例のオムツ1は、オムツ本体2と一対のフラップ3とを備えている。前記オムツ本体2は、着用者の前胴を覆うフロント部(第2胴部)20、着用者の後胴を覆うバック部(第1胴部)21、ならびに、前記フロント部20とバック部21との間の股間を覆う股部22を有している(図6参照)。
【0025】
図1Bに示すように、前記各フラップ3はオムツ本体2の縦方向Yの縁部E1から胴回り方向Xに延び出している。前記各フラップ3の胴回り方向Xの端部E2の肌面3aには、雄面ファスナ4からなる第1ファスナ部材がそれぞれ固定されている。
【0026】
一方、図1Aのフロント部20の非肌面2bには、雌面ファスナ5からなる第2ファスナ部材が設けられている。この図に示すように、前記雄面ファスナ4は雌面ファスナ5に係合する。前記雌面ファスナ5の一部はフラップ3が接合される接合部分5aを構成する。
【0027】
なお、オムツ本体2の非肌面2bが不織布で形成されている場合には、当該不織布により第2ファスナ部材が構成されてもよい。
本明細書において、「肌面」とはオムツ1の着用時において着用者の肌面に直接的または間接的に対面する面をいい、「非肌面」とは前記肌面とは反対の面をいう。
【0028】
前記オムツ本体2には図示しない吸収体が設けられている。
オムツ本体2には立体ギャザーが設けられてもよい。
また、オムツ本体2には、着用者の脚部に沿ってカットされた脚回り部が設けられていてもよい。前記脚回り部や、前記フラップ3の脚回り部に連なる部位には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなる弾性部材が設けられていてもよい。
【0029】
オムツ本体2のフロント部20およびバック部21の胴回りとなる部分や前記フラップ3には、オムツ1を着用者にフィットさせるための弾性部材が設けられていてもよい。この弾性部材としては、たとえば、複数本の糸ゴムや平ゴム、フィルムまたは熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。
【0030】
図1Bに示すように、前記オムツ1は、股部22が2つに折り畳まれ、バック部21の肌面2a(図6参照)とフロント部20の肌面2a(図6参照)とが互いに重なるように折り畳まれる。フラップ3の肌面3aが図1Aのオムツ本体2のフロント部20の雌面ファスナ5に向って折られ、前記一組のファスナ4,5が互いに係合して、オムツ本体2に一対のフラップ3が結合された状態でオムツ1が出荷される。
【0031】
つぎに、本発明の折り装置の一例について説明する。
図2は折りドラム9の横断面の一部を示す。
【0032】
折りドラム9は、複数組の折りユニット(折り装置)10を備える。周知のように、前記折りドラム9は、固定フレームに固定された固定部15と、前記固定部15のまわりに回転可能に支持された回転部16とを備える。
【0033】
図3に示すように、前記各折りユニット10は、それぞれ、主パッド11、一対のサイドパッド12および折り機構50を備えている。
【0034】
主パッド11、サイドパッド12および折り機構50を含む前記各折りユニット10は、図2の回転部16に取り付けられており、回転部16と共に図示しない軸線のまわりを回転する。
【0035】
図5Aにおいて前記サイドパッド12のサブ保持面12sは前記主パッド11から前記胴回り方向Xに離れて一対設けられている。前記サブ保持面12sは図1Cのフラップ3の非肌面3bの雄面ファスナ4に対応する部位の少なくとも一部を保持していればよい。
【0036】
図2の折り機構50は前記サイドパッド12が前記主パッド11の前記胴回り方向Xに隣接して開いた開位置Poから図3の前記サブ保持面12sが前記主保持面11sに対面して閉じた閉位置Psまで前記サイドパッド12を前記主パッド11に対して回転させることで、図1Bの前記フラップ3の肌面3aが前記フロント部20の前記非肌面2bの接合部分5a(図1A)に重なるように前記フラップ3を折る。
【0037】
以下、この折り機構50について説明する。
【0038】
図2および図3に示すように、図3の前記折り機構50は、前記サブ保持面12sが前記主保持面11sに対面し、かつ、前記サブ保持面12sが前記主保持面11sに対し平行となる位置まで、前記一対のサイドパッド12を前記主パッド11に対して回転させる。各折り機構50は、それぞれ、アーム63、リスト64および駆動機構51を有する。
【0039】
図3の前記各アーム63はドラム9(図2)の接線方向に延びる軸線L1のまわりに各々回転する。前記各リスト64は前記各アーム63の先端部において軸線L2の周りに前記サイドパッド12を回転自在に支持する。前記軸線L2は前記軸線L1に対し平行である。駆動機構51は前記フラップ3を折り畳むために前記アーム63およびリスト64を所定の回転方向に回転させる。
【0040】
図2図3の前記駆動機構51は、それぞれ、アーム回転機構52およびリスト回転機構53を備える。前記各駆動機構51は左右対称の構造を有している。以下、一方のアーム回転機構52およびリスト回転機構53について説明する。
【0041】
前記アーム回転機構52は図示しない主軸の回転で前記各主パッド11が搬送円上を回転するのに伴って、図2の前記主パッド11に隣り合う開位置Poから図3の前記主パッド11の外周側の閉位置Psまで前記サイドパッド12が移動するように前記アーム63を前記軸線L1のまわりに回転させる。
【0042】
一方、前記リスト回転機構53は、前記アーム回転機構52によるアーム63の回転に伴って、前記サイドパッド12を前記リスト64において前記軸線L2の回りに回転させる。このリスト64の回転と前記アーム63の回転により、図2図3のように、前記サイドパッド12が閉位置Psまで回転移動すると共に、前記サブ保持面12sが前記主保持面11sに対面するまで回転してフラップ3が折り畳まれる。
【0043】
つぎに、前記アーム回転機構52の構造の詳細について説明する。
図2に示すように、前記固定部15の外周面には円周状のカム溝67が形成されている。一方、前記回転部16には各アーム回転機構52ごとに前記カム溝67に案内されるカムフォロア68が設けられている。前記カムフォロア68はスライダ69に取り付けられており、前記スライダ69はレール61(図4)に沿って前記ドラム9の軸に平行な方向に往復移動する。
【0044】
前記アーム63は軸線L1のまわりに回転可能に支持されている。図3に示すように、前記アーム63には前記軸線L1を中心に固定プーリP31が設けられ、前記軸線L2に回転プーリP32が設けられている。前記固定プーリP31および回転プーリP32にはベルトB3が巻回されている。なお、P33は前記ベルトB3に歯合するプーリである。
【0045】
今、図2の回転部16が前記主軸の回りを回転すると、カム溝67に案内されて図2図3のように、一対のスライダ69がレール61(図4)に沿って閉方向R2に移動する。これによりリンク65が閉方向R2に移動し、図4のボールジョイント62を介して図2のアーム63が軸線L1のまわりに閉方向R2に回転する。
【0046】
一方、図3のプーリP31は回転しないので、前記アーム63の回転でベルトB3が回転し、プーリP32が閉方向R2に回転する。これにより、サイドパッド12はリスト64と共に閉方向R2に回転する。
【0047】
したがって、図2のアーム63が閉方向R2に回転するのに伴ってリスト64が閉方向R2に回転する。こうして、図2図3のように、アーム63が閉方向R2に回転すると、サイドパッド12が軸線L1のまわりに回転すると共に、軸線L2のまわりに回転する。サイドパッド12はサブ保持面12sが主保持面11sに平行となる姿勢まで回転して、サブ保持面12sが主保持面11s1に対面する。
【0048】
このように、回転することで、図1Bのオムツ1のフラップ3が折り畳まれる。
【0049】
なお、図3のサイドパッド12が閉位置Psから図2のように元の開位置Poに戻る動作(開動作)は前記閉方向R2に回転する動作と逆であり、その詳しい説明を省略する。
【0050】
実施例において、図4の前記主パッド11およびサイドパッド12は前記オムツを折り畳む位置よりも上流の受取位置においてオムツを受け取る。前記主パッド11は前記折り畳む位置よりも下流の渡し位置において前記オムツを下流の図示しない搬送装置に渡す。こうしたドラムの構造につい説明する。
【0051】
図5Aの前記主パッド11は、前記主保持面11sで前記本体2のバック部21(図1)を受け取る。前記主パッド11は前記本体2を前記保持面上11sに保持しながら前記ドラム9の回転に伴って所定の搬送円に沿って移動する。前記主保持面上11sには前記図1Bの状態の本体2をたとえば負圧で吸着して保持するための多数の空気孔h1(図5)が開口している。
【0052】
なお、図示しない別の主パッドが設けられ、この別の主パッドが前記フロント部20(図1B)の一部を保持する別の主保持面を有していてもよい。
【0053】
図3の前記主パッド11の保持面11sにはオムツ本体2の厚さに応じた凹凸が形成されていてもよい。
【0054】
折り装置は図5Aの前記主パッド11と前記別の主パッドとが前記縦方向Yに互いに隣り合って開いた状態から前記主保持面が互いに対面して閉じた状態に遷移するように前記主パッドに対し前記別の主パッドを回転させることで、前記オムツ本体2を前記股部22で2つに折り畳む機構を有していてもよい。
【0055】
図5Aに示すように、前記サイドパッド12は前記主パッド11の前記縦方向Yの端部YE側に配置され、前記主パッド11に対し一対配置されている。このサイドパッド12はサブ保持面上12sに図1Bの前記フラップ3の少なくとも胴回り方向Xの端部E2を受け取る。前記サブ保持面12s(図5A)は前記フラップ3の端部E2を吸着保持する。前記サブ保持面12s(図5A)には前記フラップ3をたとえば負圧で吸着して保持するための図5Aの複数の空気孔h2が開口している。
なお、前記空気孔h1、h2は図5においてのみ図示しており、その他の図においては図示していない。
【0056】
以上のような折り装置の構造の詳細はWO 2011/152346 A1に開示されており、ここにその記述の全てが組み込まれる。
【0057】
つぎに、本折り装置の構造の特徴について説明する。
図4の前記回転部16には、ベース17およびポール18を介して前記主パッド11が固定した状態で取り付けられている。
【0058】
前記ベース17の表面には調整台13が配置されている。前記調整台13には軸受台14およびアーム63、リスト64などを介してサイドパッド12が取り付けられている。
【0059】
図5Aおよび図5Bに示すように、前記ベース17には回転位置が調整できるような状態で、調整台13が取り付けられている。すなわち、図4の前記ベース17には例えば孔からなる位置決め中心17Cが設けられ、一方、前記調整台13には例えばピンからなる被位置決め中心13Cが設けられている。前記ベース17には例えば雌ネジからなる位置決め部17Pが設けられ、一方、図5Aの前記調整台13には円弧状の長孔からなる被位置決め部13Pが設けられている。
【0060】
図4に示すように、前記雌ネジには前記被位置決め部13Pを貫通するボルト(固定手段)70がねじ込まれている。こうして、ボルト70および雌ネジは前記調整台13を前記ベース17に対し前記ベース17の拡がる平面に沿って回転可能に固定する。
【0061】
図5Aの前記ベース17には前記スライダ69の往復移動を可能にするための貫通孔17Hが形成されている。一方、前記調整台13には前記スライダ69の往復移動を可能にするためのV字状の切欠13Hが形成されている。また、図4のように、前記スライダ69は前記アーム63に対し前記ボールジョイント62を介して連結されている。したがって、図5Aおよび図5Bのいずれの状態においても、スライダ69が円滑に往復移動できる。
【0062】
こうして、本折り装置は、図5Aのように、前記主パッド11の前記縦方向Yに延びるパッド中心線Lに対し、前記サイドパッド12の回転中心の軸線L2が平行な第1の姿勢と、図5Bのように、前記主パッド11のパッド中心線Lに対し、前記サイドパッド12の回転中心の軸線L2が前記端部YEに向かって延びるに従い前記主パッド11に近づくように傾斜した第2の姿勢とが選択的に設定できるように構成されている。
【0063】
つぎに、オムツのフラップを折り畳む方法について説明する。
まず、図5Bの前記主パッド11の前記縦方向Yに延びるパッド中心線Lに対し、前記サイドパッド12の回転中心の軸線L2が前記端部YEに向かって延びるに従い前記主パッド11に近づくように傾斜した姿勢となるように予め調整する。すなわち、図5Aのボルト70を緩め、一対の調整台13を図5Bのように回転した姿勢に設定し、前記ボルト70を締め付けて、前記姿勢を予め調整する。前記調整を予め行った後に、以下の保持工程および折り工程が次々に実行される。
【0064】
前記保持工程においては、図1Bの前記オムツ本体2の前記バック部21の前記縦方向Yの端部E2が前記弾性部材Fの張力により前記股部22よりも前記胴回り方向Xに縮んだ状態で、かつ、前記フロント部20の前記縁部E1が前記オムツ本体2の仮想の本体中心線2Cに対し傾斜した状態で、前記バック部21が図5Bの主パッド11に保持されると共に、前記フラップ3(図1B)がサイドパッド12に保持される。
【0065】
前記折り工程においては、前述のように、サイドパッド12が主パッド11に対し回転することで、前記サイドパッド12が前記主パッド11に対面するように前記サイドパッド12を回転させる。これにより、図1Bの前記フロント部20の前記端部E2に延びるに従い前記中心線2Cに近づくように傾斜した仮想の折りラインCLを中心に前記フラップ3が前記フロント部20に重なるように前記フラップ3が折り畳まれる。
【0066】
すなわち、前記オムツ本体2が股部22において折られた状態において、前記フラップ3を保持した図2−3の前記サイドパッド12が前記主パッド11に対して回転することで、図1Bの前記フラップ3の肌面を前記接合部分5a(図1A)に重ねて折る。このとき、図3のサブ保持面12sと主保持面11sとが正対することで、両面ファスナ4、5が互いに正対して係合されるので、両面ファスナ4、5の係合が確実に行われる。
【0067】
こうして、図1のオムツ本体2およびフラップ3が折り畳まれると共に、折られたフラップ3が雄面ファスナ4および雌面ファスナ5を介してオムツ本体2に固定され、フラップ3を折り畳んだ状態で吸着保持することが可能となる。
【0068】
ところで、図1Bの折りラインCLは傾いた縁部E1に対し平行であってもよいし、パッド中心線2Cに対する縁部E1の傾きよりも小さい傾きに設定されてもよい。例えば、バック部21だけでなくフロント部20も弾性部材Fにより収縮している場合、本実施例のように折りラインCLは縁部E1に平行に設定するのが好ましい。一方、バック部21が収縮しフロント部20が収縮していない場合、折りラインCLの傾き角は縁部E1のそれの半分程度が好ましい。
【0069】
図5A−5Bの調整台13の角度の調整装置としては、長孔およびピボットピンを用いてもよく、あるいは、Rガイドなどを用いてもよい。
【0070】
また、前記調整台13の角度の調整角度としては、一般に40度以下であり、好ましくは20度以下、更に好ましくは10度以下、0度以上であり、最も好ましくは、3〜5度程度の範囲で調整される。
【0071】
ところで、図5Bの調整台13を設けずに、常時(固定的に)、軸線L2が中心線Lに対し傾いた状態であってもよい。この場合においても図1Cのフラップ3がオムツ本体2の端部E2から張り出すのを、ある程度防止し得る。
【0072】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、フラップはフロント部の縁から胴周り方向に延び出していてもよい。また、オムツは第1および第2ファスナ部材を有していなくてもよく、ホットメルト接着剤によりフラップが本体に仮止めされてもよい。
各パッドは負圧により吸着される必要はなく、複数の針をウエブに刺すことによりパッドにウエブを保持してもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は使い捨てオムツのような着用物品のフラップを折る技術に適用される。
【符号の説明】
【0074】
1:オムツ(使い捨て着用物品の一例)
2:オムツ本体 2a:肌面 2b:非肌面 2C:本体中心線
3:フラップ 3a:肌面 3b:非肌面
4:雄面ファスナ 5:雌面ファスナ 5a:接合部分
9:折りドラム 10:折りユニット
11:主パッド 11C:パッド中心線 11s:主保持面
12:サイドパッド 12s:サブ保持面
13:調整台 13C:被位置決め中心 13P:被位置決め部 14:軸受台
15:固定部 16:回転部 17:ベース 17C:位置決め中心 17P:位置決め部 18:ポール
20:フロント部(第2胴部) 21:バック部(第1胴部) 22:股部
CL:折りライン
E1:縁部 E2:端部
F:弾性部材
L:パッド中心線 L1:軸線 L2:軸線
50:折り機構 51:駆動機構 52:アーム回転機構 53:リスト回転機構
61:レール 62:ボールジョイント 63:アーム 63p:ピニオン 64:リスト 65:リンク
67:カム溝 68:カムフォロア 69:スライダ
70:ボルト
P31:固定プーリ P32:回転プーリ P33:プーリ B3:ベルト
R1:開方向 R2:閉方向
X:胴回り方向 Y:縦方向 YE:端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7