(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記イジェクト部の前記押出部材は棒状材であり、一端部が前記プラテン支持部材に押圧されて、前記プラテンローラーが前記挟持可能な位置に位置した際に、他端部の移動により、前記プラテンローラーが前記挟持可能な位置に位置することを検知するセンサを有する、
請求項3記載の医療用測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る一実施の形態の医療用測定装置を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す医療用測定装置においてライティングテーブル部を開いた状態の内部をライティングテーブル部側から見た斜視図であり、
図3は、
図1に示す医療用測定装置においてライティングテーブル部を開いた状態の内部を装置本体側から見た斜視図である。また、
図4は、本発明に係る一実施の形態の医療用測定装置を示す平面図である。
【0014】
本実施の形態の医療用測定装置は、トレッドミル或いはエルゴメーター等の負荷装置を用いて運動負荷心電図検査を実施する心電図解析装置に適用した例である。
【0015】
図1〜
図3に示す医療用測定装置10は、トレッドミル或いはエルゴメーター等の負荷装置に専用ケーブルを介してオンラインで接続される。医療用測定装置10には、負荷装置を介して、被検者の心電図波形や血圧値等の測定した生体情報が入力され、これら生体情報、主に心電図波形をディスプレイに表示するとともに、記録紙(ここでは「連続紙」)に印刷する。
【0016】
医療用測定装置10は、装置本体20と、ライティングテーブル部(移動体)40と、LCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ50と、操作キー等からなる操作部60と、記録紙を収容する用紙収容部70と、ロック機構部90(
図8参照)とを備える。なお、医療用測定装置10は、レコーダー機能を備えるPC(Personal Computer)端末装置であり、典型的には、例えばデスクトップ型PC等のような汎用コンピュータにおいても実現可能である。
【0017】
ディスプレイ50は、心電図波形、血圧値、心拍数(Heart Rate)及びSTレベルトレンド等の生体情報を画面表示する。ディスプレイ50は、装置本体20の上部20aにアーム21(
図4参照)を介して、医療用測定装置10の天面12(本体上面22を含む、「装置天面」とも称する)上で可動自在となるように取りつけられている。
図5は、ディスプレイ50を装置天面12上に重なる位置に位置させた状態を示す医療用測定装置の平面図である。
図5に示すように、ディスプレイ50は、医療用測定装置10を患者の近傍まで移動させた後、装置本体20の装置天面の上方まで張り出して、当該天面の上方で、操作者、特に、医療従事者が確認し易い位置に表示画面の向きを変更できる。
図5では、ディスプレイ50は、
図1の位置から前方(操作部60側)に移動して、表示画面装置天面12の一部を構成するライティングテーブル(天面)42の真上に位置している。
【0018】
図1〜
図3に示す操作部60は、医師等が操作キーにより運動負荷心電図検査の実施のための入力・設定を行う。例えば、医師等の操作者は、操作キー等を用いて、特に、印刷に関する設定として、取得した生体情報、特に心電図波形を連続紙に印刷するための指示、連続紙における印刷レイアウト、及び、連続紙の出力スピード等を設定する。医療従事者等の操作者によって操作キーにより印刷操作が行われると、医療用測定装置10は、連続紙(所定の記録紙)に、生体情報(具体的には心電図波形)を印刷する。
【0019】
装置本体20の上部20aには、ライティングテーブル部40が、装置本体20の上部20aに対して、装置本体20の側方に移動自在に取りつけられている。本実施の形態では、ライティングテーブル部40は、装置本体20の上部20aに、水平方向に(装置天面12と平行に、と言って良い)にスライド移動自在に取り付けられている(
図2及び
図3参照)。本実施の形態のライティングテーブル部40は、箱状(中空の直方体状)に形成され、スライド移動方向に延在する両側壁の摺動部で、装置本体20の上部20aに配置されたレール部25(
図7及び
図8参照)を摺動する。レール部25は、ライティングテーブル部40の摺動部に対応して水平に延在するように配設されている。装置本体20の本体上面22は、ライティングテーブル部40の上面(天面)であるライティングテーブル42とともに装置天面12を構成する。本体上面22は、ライティングテーブル42と面一で構成されていることが好ましい。
【0020】
ライティングテーブル部40は、装置本体20の上部20aを上面側から切り欠くように形成されて開口する凹状部23(凹状に切り欠かれた部分)に配置される。
【0021】
ライティングテーブル部40は、装置本体20内に配置される用紙収容部70の上方に位置し、用紙収容部70のカバーとしても機能し、用紙収容部70を上方で覆うように配置される。例えば、
図3に示すように、ライティングテーブル部40をスライド移動させると、凹状部23内において用紙収容部70が外部に露出し、用紙収容部70に連続紙(ここでは折畳紙とする)LPが収容されていれば、連続紙(折畳紙)LPが露出する。ライティングテーブル部40は装置本体20に対して移動することにより、装置本体20を開閉可能、つまり、装置本体20の凹状部23を開閉可能となっている。
【0022】
ライティングテーブル42における装置本体20側の一辺部42aと、これに対向する装置本体20の上部の対向辺部との間に、記録部により印刷された連続紙LPを排出するスリット状の排紙口14が形成される。なお、ライティングテーブル42の一辺部42aは、連続紙LPをライティングテーブル42上に好適に案内するために下方に傾斜している。
【0023】
ライティングテーブル42は、印刷時において、排紙口14に隣接して配置されたフラット面であり、連続紙LP(
図3参照)は、ライティングテーブル42上を通過するように排紙口14から排出される。ライティングテーブル42は、上面で連続紙LP等の記録紙に筆記しやすいような硬質の材料であり、且つ、摺動する連続紙LPにより静電気が発生しにくい材料、例えば、ステンレス等の金属材料により構成される。操作者は、連続紙LPがライティングテーブル42上を通過する際に、ライティングテーブル42上の連続紙に記録された生体情報(特に、心電図波形)を確認しつつ、ライティングテーブル42上で連続紙LPに、必要に応じて手書き記入できる。
【0024】
なお、装置天面12において形成されるスリット状の排紙口14の長手方向の長さ、つまり、排紙方向と直交する方向の長さを、ここでは、用紙幅297mmに対応させた長さにしている。また、排紙口14は、アタッチメントの使用により用紙幅297mmまでの連続紙を排出可能に形成されている。よって、医療用測定装置10は、ディスプレイ50に表示される心電図波形、血圧値等の生体情報を、幅297mmの連続紙、つまり、A4縦の連続紙に印刷(記録)して、排紙口14から出力できる。なお、連続紙に記録される生体情報は、心電図波形、血圧値に加えて、心拍数(Heart Rate)、STレベルトレンド等を含めてもよい。
【0025】
ライティングテーブル部40の一方の側部40a(
図6参照)側(サーマルヘッド34側)には回転するプラテンローラー32と、テンション用ガイド部材82とが取り付けられている。なお、ライティングテーブル部40の他側部側(側方への移動方向側)の側面には、ライティングテーブル部40を移動方向に引き出して移動させ易くするための取っ手口45(
図2および
図6参照)が形成されている。
【0026】
プラテンローラー32は、連続紙LPの幅方向(サーマルヘッド34の長手方向と言ってもよい)に延在した部材である。プラテンローラー32の長さは、例えば、用紙幅297mmに対応させた長さであり、用紙幅297mmよりも長い。プラテンローラー32は、サーマルヘッド34に対して接触離間自在に配置されており、サーマルヘッド34との間に連続紙(記録紙)を挟んだ状態で回転駆動する。プラテンローラー32は、例えば、ライティングテーブル部40に配設されたモータ46(
図6参照)等の駆動部により回転駆動するように構成される。プラテンローラー32は、ライティングテーブル部40においてサーマルヘッド34側に突出し、且つ、凹状部23内に移動可能な両側壁間に回動自在に配置されている。プラテンローラー32は、後述するプラテン支持部材91(
図7及び
図8参照)によりライティングテーブル部40の両側壁に取り付けられている。
【0027】
一方、装置本体20の上部20aには、プラテンローラー32と対向する位置には、サーマルヘッド(印刷ヘッド)34が取り付けられ、テンション用ガイド部材82と対向する位置に搬送ガイド部84とが取り付けられている。これらプラテンローラー32とサーマルヘッド34とにより記録部(印刷部)を構成する。また、テンション用ガイド部材82と搬送ガイド部84とにより、下方から給紙される記録紙(ここでは、連続紙LP)を記録部に好適に案内する案内搬送経路を構成する。
【0028】
印刷時には、プラテンローラー32とサーマルヘッド34との間に、用紙収容部70から案内搬送経路を介して案内される記録紙(連続紙LP)が挟持される。その状態でプラテンローラー32が回転しかつサーマルヘッド34が動作することにより、記録紙(連続紙LP)に心電図波形等が印刷され、排紙口14からライティングテーブル42上に排出される。なお、プラテンローラー32及びテンション用ガイド部材82は、ライティングテーブル部40に取り付けられているので、ライティングテーブル部40が装置本体20に対してスライド移動する、つまり、ライティングテーブル部40を開いた状態にすると、ライティングテーブル部40の移動に伴い、サーマルヘッド34、搬送ガイド部84から水平に離れる方向に移動する。
【0029】
図6は、本発明に係る一実施の形態の医療用測定装置の要部構成を示す
図4のA−A線断面図である。なお、
図6では、医療用測定装置10に記録可能にセットした状態の連続紙LPも図示する。
【0030】
図6に示すように、装置本体20の上部20aにおいて、サーマルヘッド34は、ライティングテーブル部40の一方の側部に対向する内壁部分の上方に配置されている。なお、サーマルヘッド34が配置される上部20aにおける内壁部分は、凹状部23の一側部を規定している。
【0031】
サーマルヘッド34は、プラテンローラー32とともに挟持する連続紙LPの幅方向に沿って、延在する。サーマルヘッド34は、バネ等の付勢部材36を介して、プラテンローラー32側に付勢されている。これにより、サーマルヘッド34は、プラテンローラー32と互いに押圧しつつ接触している。
【0032】
上部20aにおいて、サーマルヘッド34の上部には、サーマルヘッド34側から排出される連続紙LPを、ライティングテーブル42側に排出するように規制してガイドする規制部材37が設けられている。
【0033】
規制部材37の先端は、サーマルヘッド34に接触するプラテンローラー32の上方に配置され、連続紙LPの排出方向を規制するために湾曲した下面を、プラテンローラー32とサーマルヘッド34のニップ部N1の上方に位置させている。これにより、プラテンローラー32とサーマルヘッド34との間から排出される連続紙LPは、規制部材37の下面に沿ってライティングテーブル42側に案内される。
【0034】
プラテンローラー32及びサーマルヘッド34から構成される記録部の下方位置には、搬送ガイド部84が設けられている。
【0035】
搬送ガイド部84は、記録部の真下に設けられる第1ガイド部842と、第1ガイド部842の下方に、第1ガイド部842から離間して設けられる第2ガイド部844と、を有する。
【0036】
第1ガイド部842及び第2ガイド部844は、それぞれ連続紙の幅方向(プラテンローラー32の軸方向、或いはサーマルヘッド34の長手方向と言ってもよい)に延在した部材であり、連続紙LPを記録部の方向に搬送するようにガイドする。
【0037】
第1ガイド部842は、連続紙LPとの当接面がプラテンローラー32を挟んで記録部のニップ部N1とは逆側になるような位置に配置されている。
図6の例の場合には、ニップ部N1がプラテンローラー32の右側となっているので、第1ガイド部842は、連続紙との当接面がプラテンローラー32よりも左側となる位置に配置されている。
【0038】
第2ガイド部844は、連続紙LPとの当接面がプラテンローラー32を挟んで記録部のニップ部N1とは逆側の位置で、更に、第1ガイド部842の連続紙LPとの当接面よりもニップ部N1とは更に離れるような位置に配置されている。
図6の例の場合には、第2ガイド部844は、連続紙LPとの当接面が、第1ガイド部842の当接面よりも左側となる位置に配置されている。
【0039】
搬送ガイド部84の両端位置(連続紙LPの幅方向で離間する両側壁)、つまり、第1ガイド部842と第2ガイド部844の両端位置には、案内する連続紙LPの位置ずれを防ぐガイドリブ86が設けられている(
図2及び
図6参照)。
【0040】
また、ライティングテーブル部40が、凹状部23に位置した記録可能な状態において、第1ガイド部842と第2ガイド部844との間には、テンション用ガイド部材82が配置される。
【0041】
このテンション用ガイド部材82は、連続紙LPの幅方向(プラテンローラー32の軸方向、或いはサーマルヘッド34の長手方向と言ってもよい)に延在した部材であり、例えばアルミニウム等により構成される。テンション用ガイド部材82は、第1ガイド部842の下方でかつ第2ガイド部844の上方でガイドリブ86間に位置するように、ライティングテーブル部40に取り付けられている。テンション用ガイド部材82は、第2ガイド部844から第1ガイド部842の方向に搬送される連続紙LPをガイドする。
【0042】
テンション用ガイド部材82は、
図6で見た場合に、連続紙との当接面(つまり曲面82aの連続紙LPとの当接面)が第1ガイド部842及び第2ガイド部844の連続紙LPとの当接面よりも右側となるような位置に配置されている。これにより、
図6に示す用紙収容部70から上方に導出される連続紙LPからも分かるように、用紙収容部70に収容されて記録部に案内される連続紙LPは、先ず第2ガイド部844によって左方向に付勢される。次に、テンション用ガイド部材82によって、右側に付勢され、次いで、第1ガイド部842によって左方向に付勢された後に、プラテンローラー32とサーマルヘッド34との間のニップ部N1に到達するようになる。
【0043】
図7は、本発明に係る一実施の形態の医療用測定装置の要部構成を示す
図4のB−B線断面図である。
図8は、
図7のロック機構部を示す斜視図である。
【0044】
図7に示すように、医療用測定装置10は、装置本体20に対しスライド移動することで開閉するライティングテーブル部40をロックするロック機構部90を有する。
【0045】
ロック機構部90は、ライティングテーブル部40に設けられるプラテン支持部材91と、装置本体20に設けられたラッチ部92と、装置本体20に設けられるイジェクト部93と、開閉検知スイッチ(センサー)98と、を有する。
【0046】
プラテン支持部材91は、プラテンローラー32を両端側から回動自在に支持する支持板912と、イジェクト部93に当接可能な当接部914と、ラッチ部92に係合する係合爪916とを有する。プラテン支持部材91は、支持板912、当接部914及び係合爪916を一体に形成した一つの部品として構成されている。これにより、プラテン支持部材91では、支持板912が回転自在に支持するプラテンローラー32の位置と、ラッチ部92に係合する係合爪916の位置と、さらには、当接部914の位置とを予め規定できる。
【0047】
支持板912は、ライティングテーブル部40の両側壁におけるサーマルヘッド34側の端部で、両側壁間に介設されるプラテンローラー32の軸を回動自在に支持するように固定されている。なお、
図8では、支持板912が支持するプラテンローラーの軸の位置を符号32で示している。
【0048】
支持板912に連続して当接部914が、イジェクト部93に対向する位置に、当接部914の面状部分を対向させて設けられている。
【0049】
係合爪916は、当接部914の下部に下方に突設されており、ライティングテーブル部40を閉じた位置で、ラッチ部92と係合し、イジェクト部93によりライティングテーブル部40が開く方向へのスライド移動を規制する。係合爪916において閉方向側の外面はテーパ面916aとなっている。
【0050】
ラッチ部92は、装置本体20側に、プラテンローラー32の軸方向、或いはサーマルヘッド34の長手方向に延在する軸部922を中心に回動自在に取りつけられている。ラッチ部92は、係合爪916との係合位置に付勢された状態で配置されている。ラッチ部92の先端側の外面は湾曲面92aとなっている。軸部922は、
図4に示す解除スイッチ99の操作によって回動自在に設けられる。この軸部922の回動に伴い、ラッチ部92は軸部922を中心に下方に変位して、係合爪916との係合位置から、係合解除位置に移動する。例えば、解除スイッチ99のスライドに連動して上下動する棒材を上下方向に延在するように配置し、その棒材の先端部に、軸部922を、棒材の上下動に連動して回転するように取り付けた構成にしてもよい。
【0051】
イジェクト部93は、装置本体20側から、プラテン支持部材91の当接部914に向かって進退動自在に設けられるプランジャ部932と、プランジャ部932を、当接部914に向かって突出するように付勢する付勢部材934とを有する。
【0052】
プランジャ部932は、装置本体20のフランジ部26に貫通した状態で、軸方向、つまり、進退方向に移動自在に取りつけられている。なお、プランジャ部932は、その外周に、フランジ部26を挟む位置に、プランジャ部932自体の進退方向(軸方向)の移動範囲を規制するフランジ状の規制ストッパーが張り出して設けられている。この規制ストッパーにより、プランジャ部932は装置本体20のフランジ部26から抜けないようになっている。プランジャ部932には、当接部914に当接する一端部932a側とフランジ部との間にコイルばねである付勢部材934が外挿されており、当接部914により一端部932aが後退側(フランジ部26側)に移動されるロック状態では、フランジ部26から逆方向(後退側)に他端部932bが突出する。
【0053】
プランジャ部932自体の移動によってフランジ部26から逆方向に突出する他端部932bは、ライティングテーブル部40の開閉を検知する開閉検知スイッチ98の可動端子982をスイッチ本体側の接触端子に押圧して接触させる。これにより、両端子が導通(スイッチオン状態)することにより、開閉検知スイッチ98は、ライティングテーブル部40が閉じている状態であることを検出する。なお、ロックが解除されれば、プランジャ部932の一端部932aは、付勢部材934によりライティングテーブル部40側に移動して、これに伴い他端部932bも移動して開閉検知スイッチ98から離れる。これにより、可動端子982への押圧が開放されて可動端子982は、スイッチ本体側の接触端子から離間して導通状態が解除(スイッチオフ)される。
【0054】
次に、医療用測定装置10への連続紙LPのセットについて説明する。
図9は、
図6においてライティングテーブル部を開いた状態を示す断面図であり、
図10は、
図7においてライティングテーブル部を開いた状態を示す断面図である。
【0055】
図1に示す状態で用紙収容部70内に連続紙(ここでは折畳紙)LPが無い場合、或いは、ライティングテーブル部40が閉状態のときに記録部に連続紙LPをセットする場合、解除スイッチ99(
図4参照)を操作する。すると、軸部922の回動に伴い、ラッチ部92が係合爪916との係合位置から後退し、係合爪916との係合状態が、つまりライティングテーブル部40の閉状態のロックが解除される(
図7及び
図10参照)。この係合状態の解除により、ラッチ部92と係合爪916との係合によって、付勢部材934の付勢力に抗して後退位置に配置されていたプランジャ部932は、付勢部材934の付勢力により、後退位置からライティングテーブル部40側に移動する。これにより、プランジャ部932の一端部932aは、当接部914を押圧し、この押圧により、
図9に示すように、ライティングテーブル部40は、装置本体20の他側方(各図面では左側)に平行移動し、凹状部23内を外部に露出させる。このとき、プラテンローラー32は、ライティングテーブル部40の移動方向(一側方)に移動して、サーマルヘッド34から離間する。また、テンション用ガイド部材82は、搬送ガイド部84から離間する。なお、ライティングテーブル部40の移動が足りないときは、操作者がライティングテーブル部40を他側方に移動する。
【0056】
このようにライティングテーブル部40が開いた状態では凹状部23が外部に露出するため、連続紙LPを、装置天面12側から凹状部23の底部に配置される用紙収容部70内に容易に供給できる。また、ライティングテーブル部40が開いた状態で、連続紙LPの一端を上方に引いて、搬送ガイド部84の表面、具体的には、第1及び第2ガイド部842、844の湾曲する表面上を通り、且つ、ガイドリブ86間に位置させる。続いて、一端を上方に引き上げて、装置天面12を超える位置まで、或いは、装置天面12近傍まで位置させる。
【0057】
そして、ライティングテーブル部40を閉状態になるように移動させる。すなわち、ライティングテーブル部40の一端面を、装置本体20の上部20aにおけるサーマルヘッド34側に移動させる。すると、プラテンローラー32は、互いに押圧しつつ接触するように構成されたサーマルヘッド34とで連続紙LPを挟む(
図6参照)。これと同じくして、テンション用ガイド部材82は、第1ガイド部842及び第2ガイド部844とに架け渡されるように配置された連続紙LPを押圧しつつ、第1ガイド部842及び第2ガイド部844の間に配置される。これにより、テンション用ガイド部材82は、搬送ガイド部84とともに、記録部下方であって搬送経路上で連続紙LPを当該連続紙LPにテンションをかけた状態で位置させる。これと同時に、プラテン支持部材91もライティングテーブル部40とともに移動し、係合爪916のテーパ面916aが、ラッチ部92の湾曲面92aに摺動する。また、当接部914がプランジャ部932を、付勢部材934の付勢力に抗してフランジ部26側に後退させて、プランジャ部932の他端部932bは、開閉検知スイッチ98の可動端子982を押圧する(
図7及び
図8参照)。
【0058】
係合爪916がラッチ部92に係合することによって、ライティングテーブル部40は閉じ状態でロックされ、これと同時に、開閉検知スイッチ98の端子同士が導通して、閉じ状態である旨を制御部に出力し、医療用測定装置10自体でもライティングテーブル部40が閉じた状態を検知できる。
【0059】
このように、医療用測定装置10は、プラテンローラー32の両端部を支持するとともにライティングテーブル部40に固定してプラテンローラー32をライティングテーブル部40に取り付けるプラテン支持部材91と、装置本体20側に設けられ、プラテンローラー32がニップ部(「ニップ位置」とも称し、「挟持可能な位置」に相当する)N1に位置した際にプラテン支持部材91に係合可能なラッチ部92と、ラッチ部92とプラテン支持部材91との係合の解除によりロックが解除された際に、プラテンローラー側に移動するプランジャ部(押出部材)932によりプラテン支持部材91を押圧してニップ部(挟持可能な位置)から一側方側に移動させるイジェクト部93と、を有する。ロック機構部90は、プラテンローラー32がサーマルヘッド34と記録紙LPをニップ部(挟持可能な位置)でプラテンローラー32を装置本体20にロックする。
すなわち、プラテン支持部材91が、プラテンローラー32を支持する支持板912と、ラッチ部92に係合してロックする係合爪916とを一体に有した構成であるので、プラテンローラー32をサーマルヘッド34に接触する所望の印刷位置(ニップ部N1でありニップ部)で好適にロックして保持できる。よって、生体情報の記録位置、つまり、印刷位置を安定させることができる。
【0060】
また、イジェクト部93のプランジャ部932は棒状材であり、一端部932aがプラテン支持部材91に押圧されて、プラテンローラー32がニップ部N1に位置した際に、他端部932bの移動により、プラテンローラー32がニップ部N1に位置することを検知する開閉検知スイッチ(センサー)98を有する。すなわち、イジェクト部93のプランジャ部932の移動により、開閉検知スイッチ98の可動端子982が可動して、開閉検知スイッチ98のオンオフを行うので、イジェクト部93と、開閉検知スイッチ98により開閉を検知する機構とを別に備える構成と比較して、部品点数を減少して簡易な構成にすることができる。
【0061】
また、プラテンローラー32をサーマルヘッド34から離間させるとともに、記録時(印刷時)に連続紙LPにテンションを付与するテンション用ガイド部材82は、ライティングテーブル部40側に取り付けることにより、搬送ガイド部84と分離されている。これにより、記録部(プラテンローラー32とサーマルヘッド34との間)及び、搬送経路(テンション用ガイド部材82と搬送ガイド部84との間)に手を入れやすくなり、用紙のセット、或いは、記録部及び搬送経路への給紙を行いやすい。
【0062】
本実施の形態の医療用測定装置10は、測定した心電図等の生体情報を心電図波形として記録紙LPに印刷する医療用測定装置である。医療用測定装置10は、装置本体20に、下方から導入される記録LPの幅方向に沿って配置されたサーマルヘッド(印刷ヘッド)34と、サーマルヘッド34に対して装置本体20の一側方で対向するとともにサーマルヘッド34に接触離間自在に配置されたプラテンローラー32と、を有する。プラテンローラー32は、サーマルヘッド34との間に記録紙LPを挟んだ状態で回転することで、サーマルヘッド34により生体情報が印刷された記録紙LPを送り出す。更に、生体情報が印刷された記録紙LPが排出されるライティングテーブル(天面)42を有し、装置本体20に対して一側方に移動自在に設けられたライティングテーブル部(移動体)40を備える。プラテンローラー32は、ライティングテーブル部40に設けられ、ライティングテーブル部40の一側方への移動により、ライティングテーブル(天面)42とともにサーマルヘッド34から一側方に離間する。また、ライティングテーブル42は、フラットであることが好ましい。また、ライティングテーブル部40は、装置本体20に対して水平に延在するレール部25を介して、スライド移動自在に設けられていてもよい。
【0063】
このように、医療用測定装置10によれば、装置構成を複雑化することなく、ライティングテーブル部40を水平方向で一側方に移動することにより、記録紙を容易に且つ良好にセットして安定して印刷できる。よって、使用時において頻繁に装置天面12上にディスプレイ50が配置される医療用測定装置10であっても、装置本体20の用紙収容部70に、連続紙LPをセットする際に、装置天面12上のディスプレイ50に干渉することなく
、ライティングテーブル部40を側方にスライド移動するだけで、記録部及び搬送経路に連続紙LPをセットできるとともに、凹状部23内に連続紙をセットできる。また、使用時において、装置天面12の排紙口14から、生体情報が記録された連続紙LPが、ライティングテーブル42上に排紙され、ここで、必要に応じて手書き記入される。
【0064】
また、本実施の形態においては、サーマルヘッド34及びプラテンローラー32のニップ部(挟持可能な位置)N1までの記録紙LPの搬送経路において、記録紙LPの第1面に当接して記録紙LPをガイドする第1ガイド部842と、第1ガイド部842の下方に設けられ、搬送経路において記録紙LPの第2面に当接して記録紙LPをガイドするテンション用ガイド部材82を有する。また、第1ガイド部842及びテンション用ガイド部材82は、記録紙LPがテンション用ガイド部材82との当接によって第1面側に張り出しかつ第1ガイド部との当接によって第2面側に張り出すように、装置本体20及びライティングテーブル部(移動体)40に配置されるようにした。テンション用ガイド部材82の下方に、装置本体20に配置され、且つ、印刷ヘッド及びプラテンローラーの挟持可能な位置までの記録紙LPの搬送経路において記録紙LPの第1面に当接して記録紙LPをガイドする第2ガイド部を更に有するようにした。テンション用ガイド部材82は、第1ガイド部842及び第2ガイド部844の間に配置され、記録紙LPがテンション用ガイド部材82との当接によって第1面側に張り出しかつ第1ガイド部842及び第2ガイド部844との当接によって第2面側に張り出している。
【0065】
すなわち、用紙収容部70から記録部までの搬送経路において連続紙LPの第1面に当接して連続紙LPをガイドする第1ガイド部842と、第2ガイド部842の下方の第2ガイド部844とを設けて、これら第1ガイド部842及び第2ガイド部844の間に、テンション用ガイド部材82を配置して、搬送経路において記録紙の第2面に当接させて記録紙をガイドするようにした。そして、連続紙がテンション用ガイド部材82との当接によって第1面側に張り出しかつ、第1及び第2ガイド部842、844との当接によって第2面側に張り出すように、第1及び第2ガイド部842、844及びテンション用ガイド部材82を配置した。
【0066】
これにより、ライティングテーブル部40が閉じた状態では、第1及び第2ガイド部842、844と、第1及び第2ガイド部842,844の間に位置するテンション用ガイド部材82とによってジグザグ(または蛇行形状と言ってもよい)の搬送経路(所謂、3点ローラー方式の経路)を形成するようにした。このようにしたことで、プラテンローラー32によって引っ張られた連続紙LPが搬送経路全体において張力を得ることができ、搬送経路での連続紙LPの撓みを低減できる。
【0067】
また、連続紙LPは、搬送ガイド部84に形成されたガイドリブ86の内側に当接し、これにより幅方向への蛇行が防止される。特に、本実施の形態では、記録紙は張力がかかった状態でガイドリブ86に当接するので、ガイドリブ86による蛇行の抑制効果を高めることができる。
【0068】
また、本実施の形態の医療用測定装置10では、レール部25を介してライティングテーブル部40を装置本体20の上部20aにスライド自在に設けた構成としたが、これに限らず、ライティングテーブル部40を回転させることにより、装置本体20の上部20aに対して側方に移動するように構成してもよい。この場合、ライティングテーブル部40の回転中心は、医療用測定装置のかなり下方に位置させた構成となり、ライティングテーブル部40の移動動線も、水平に延びる直線に近似した円弧状に構成することが好ましい。
【0069】
なお、本実施の形態の医療用測定装置は、運動負荷心電図検査を実施する心電図解析装置を例に説明したが、これに限らず、心電図等の生体情報を用紙に記録し、記録した用紙が排出される排出面を有する医療用測定装置であれば、どのような装置に適用してもよい。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。