特許第6604756号(P6604756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604756
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】スイッチ構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   H01H13/14 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-131141(P2015-131141)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-16837(P2017-16837A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(72)【発明者】
【氏名】生沼 貴久
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宏
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−047916(JP,A)
【文献】 特開2006−134658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板に搭載されたスイッチと、前記スイッチを押し込み操作するキーと、前記キーが嵌合する孔部を有するパネルとを備えたスイッチ構造において、
前記キーは、前記孔部に嵌合する円形状のキートップと、前記パネルに当接するキー台部とで構成され、前記キートップの前記孔部との嵌合面から前記キー台部の前記パネルとの当接面にかけて、前記キートップの円周方向に連続しない突部を有し、
前記パネルの孔部は、内壁に前記突部の外周面に当接し、前記キートップの回転を抑制する当接を有し、
前記キー台部を前記パネル側に付勢する弾性部材を備え
前記キー台部は、楕円形状を有し、当該楕円形状の長軸方向に前記パネルとの当接面を有し、
前記弾性部材は、前記キー台部の前記楕円形状の長軸方向の前記当接面を前記パネル側に付勢することを特徴とするスイッチ構造。
【請求項2】
前記キーの突部は、前記キートップの前記嵌合面から、前記キー台部の前記当接面の外周に向けて広がる勾配を有し、
前記孔部の当接は、前記キーの突部の勾配に当接する逆勾配を有することを特徴とする請求項1記載のスイッチ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機器の操作パネルやコントローラに設けられた操作キーなどの操作スイッチに適用されるスイッチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の操作パネルやコントローラにはキースイッチが多く用いられ、当該キースイッチを操作することにより、電子機器の各種設定を行っている。キースイッチは、例えば複数のキーを並列配置させ、当該キーの操作面であるキートップを操作パネルなどの筐体に形成された孔部に嵌め込んで構成する。各キーに割り当てられた操作内容がキートップに記載されている場合、キートップが円形状であると、キースイッチの選択操作を繰り返すうちにキートップが回転し、キートップの配置方向がずれ、誤操作につながるという問題があった。また、操作パネルの配置方向によっては、キートップの外周方向に重力が加わり、キートップの中心位置と嵌め込んだ孔部の中心位置がずれるという問題があった。
【0003】
この問題に対して、特許文献1に開示されたスイッチ装置では、キートップにリブ状の突起を設け、筐体に当該リブ状の突起に係合する凹部を形成し、突起と凹部の係合によってキートップの回転を阻止している。また、キートップの中心位置と筐体に設けた孔部の中心位置とのずれを防止する構成としてキートップの下方に配置するスイッチ本体に弾性体を設け、当該弾性体によりキートップの筒部を筐体に弾設させてキートップを初期位置に規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−38686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に開示された技術では、キートップの回転を防止する構成として、キートップにリブ状の突起を複数形成し、筐体側にも凹部を複数形成する必要があり、スイッチ構造が複雑になり製造手順および製造コストが増大するという課題があった。また、キートップを初期位置に規制する構成では、スイッチ本体が付勢力を有している必要があり、スイッチの種類によっては適用することができないという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、容易な構成でキートップの回転を防止し、且つキートップの中心位置とキートップを嵌合させる筐体の孔部の中心位置とのずれを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るスイッチ構造は、キーが、孔部に嵌合する円形状のキートップとパネルに当接するキー台部とで構成され、キートップの孔部との嵌合面からキー台部のパネルとの当接面にかけて、前記キートップの円周方向に連続しない突部を有し、パネルの孔部が、内壁に突部の外周面に当接し、キートップの回転を抑制する当接を有し、キー台部をパネル側に付勢する弾性部材を備えるものである。キー台部は、楕円形状を有し、当該楕円形状の長軸方向にパネルとの当接面を有し、弾性部材は、キー台部の楕円形状の長軸方向の当接面をパネル側に付勢する
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、容易な構成でキートップの回転を防止し、キートップの中心位置とキートップを嵌合させる筐体の孔部の中心位置とのずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの一部を示す分解斜視図である。
図2】実施の形態1に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの側方断面図である。
図3】実施の形態1に係るスイッチ構造の弾性片を備えた内部パネルの上面図である。
図4】実施の形態1に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの上面図である。
図5】実施の形態1に係るスイッチ構造のキーおよびパネルの孔部の形状を示す斜視図である。
図6】実施の形態1に係るスイッチ構造のキーおよびパネルの孔部のその他の構成例を示す図である。
図7】実施の形態1に係るスイッチ構造のキーのその他の構成例を示す図である。
図8】実施の形態2に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの一部を示す分解斜視図である。
図9】キートップの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
まず、本発明に係るスイッチ構造について図1から図4を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの一部を示す分解斜視図である。図2は、実施の形態1に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの側方断面図であり、X−X線断面図である。
スイッチ構造は、配線基板1に搭載されたスイッチ2と、スイッチ2を押し込み操作するためのキー3と、キー3を後述するパネル7側に付勢する弾性片4を備えて配線基板1を覆う内部パネル5と、各スイッチ2および各キー3の配置位置に相当する箇所に孔部6を備えて当該孔部6にキートップ3aが嵌合されるパネル7で構成される。キー3は孔部6に嵌合されるキートップ3aと、パネル7に当接するキー台部3bで構成される。
【0011】
図3は、実施の形態1に係るスイッチ構造の弾性片を備えた内部パネルの上面図である。
内部パネル5は、例えば樹脂材料により形成され、キー3のキー台部の底面に当接してキー3をパネル7側に付勢する弾性片4を有する。対向配置された2つの弾性片4の各端部4aがキー3のキー台部の外周位置に当接し、キー3をパネル7側に付勢する。当該付勢により、キートップ3aの中心位置と、パネル7の孔部6の中心位置とを一致させた状態で固定される。
【0012】
図4は、実施の形態1に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの上面図である。弾性片4の付勢により、キートップ3aの中心位置と孔部6の中心位置が点Aで一致して固定された状態で、パネル7にキー3が組み付けられる。図2で示したように、キートップ3aの外周と、パネル7の孔部6の内壁との間にはクリアランスYが存在するが、キートップ3aの中心位置と孔部6の中心位置を点Aで一致させて弾性片4で付勢すると、キートップ3aの外周と、パネル7の孔部6の内壁との間のクリアランスYの量が均一となった状態でキー3を固定することができる。
【0013】
例えば、電子機器の配置方向により、キー3に矢印B方向の重力が加わった場合にも、キートップ3aの中心位置が矢印B方向にずれ、矢印B方向に位置するクリアランスYの量が減少し、矢印B方向と反対方向に位置するクリアランスYの量が増加するのを抑制することができる。このように、常にキートップ3aの中心位置とパネル7の孔部6の中心位置が点Aで一致した状態でキー3を保持することができる。
なお、図3で示した弾性片4b,4cのように、キー3のキー台部に当接可能であり、キー3をパネル7側に付勢可能な形状であれば、弾性片4の形状は限定されない。
【0014】
図1および図2に戻り、スイッチ操作について説明する。対向する一対の弾性片4の間に形成される開口領域にスイッチ2を位置させて組み付ける。キー3が押されていない状態では、図2に示すようにスイッチ2の上面2aとキー3のキー台部3bとの間にはクリアランスZが存在する。この状態でキートップ3aが押されると、キー3のキー台部3bがスイッチ2の方向に移動してスイッチ2の上面2aに当接し、さらにスイッチ2を配線基板1方向に押し下げる。スイッチ2の配線基板1方向への押し下げによりスイッチ機構(不図示)のオン・オフが操作される。
【0015】
次に、図5を参照しながら、キー3とパネル7の孔部6に設けられた回転防止構造について説明する。
図5は、実施の形態1に係るスイッチ構造のキー3およびパネル7の孔部6の形状を示す斜視図である。図5(a)はキー3の形状を示す斜視図、図5(b)はキー3およびパネル7を上面から見た図、図5(c)はキー3およびパネル7を下方から見た図である。
図5(a)に示すように、キー3は円形状のキートップ3aと、楕円形状のキー台部3bで構成される。キートップ3aの側面のある点から、キー台部3bがパネル7と当接する当接領域3cに向けて勾配を有する勾配部3dが形成される。当該勾配部3dは、キートップ3aの周方向に連続しない突部である。図5の例では、キー台部3bの楕円形状の短軸の長さは、円形状のキートップ3aの直径とほぼ同一である。
【0016】
図5(c)に示すように、パネル7に形成された孔部6の内壁には、キー3に形成された勾配部3dの勾配形状に合わせた当接面6aを形成している。キー3を孔部6に嵌合させる際に、勾配部3dを当接面6aに当接させて嵌め合せることにより、キー3の矢印C方向への回転を防止することができる。
【0017】
キー3とパネル7の孔部6による回転防止構造の形状は種々変形可能である。例えば、図6に示すように、キー3のキー台部3bのパネル7との当接領域に、キートップ3aの側面に沿って回転防止片3eを立設し、パネル7の孔部6の内壁に回転防止片3eが嵌合する凹部6bを形成する。回転防止片3eが凹部6bに差し込まれるようにキー3を孔部6に嵌め合せることにより、キー3の矢印C方向への回転を防止することができる。
このように、キー3に形成した回転防止構造と、パネル7の孔部6に設けた回転防止構造とが嵌合して、キー3の矢印C方向への回転を抑制する構造であればよい。
【0018】
キー3のキー台部3bの形状は楕円形状に限定されることはなく、図7に示す円形状や図示しない矩形形状などどのような形状であってもよい。図7では、キートップ3aよりも大きい直径を有する円形状をキー台部3fとしている。キートップ3aの側面のある点から、キー台部3fのパネル7との当接領域3gの一部領域に向けて勾配を有する勾配部3dが形成される。図7では2つの勾配部3dは互いに対向する位置に形成する場合を示したが、キー3のキー台部3bを円形状で構成する場合には、勾配部3dの形成位置は適宜設定可能である。また、勾配部3dの配置数も2つに限定されるものではない。ただし、勾配部3dをキートップ3aの周方向に連続して形成し、キートップ3aが孔部6内を回転可能とする構成は除く。
【0019】
キー3のキー台部3bを楕円形状とし、楕円形状の短径方向に複数のキー3を配列させることにより、限られた領域内に多くのキー3を配列することができる。すなわち、図3で示した内部パネル5の上面図において、一対の弾性片4bと一対の弾性片4cの間の距離を狭めて配置することができる。また、楕円形状の長軸方向の端部に弾性片4の端部4aが当接する領域を確保することができる。
【0020】
以上のように、この実施の形態1によれば、スイッチ構造において、キー3をパネル7側に付勢する弾性片4を備えるように構成したので、弾性片4の付勢力によりキートップ3aの中心位置と、キートップ3aが嵌合する孔部6の中心位置とを一致させた状態で保持することができる。これにより、電子機器の配置方向によって、キートップ3aの外周と孔部6の内壁とのクリアランス量が、キートップ3aの各外周位置で不均一となり、意匠性が低下するのを抑制することができる。
【0021】
また、この実施の形態1によれば、スイッチ構造において、キートップ3aの側面のある点から、キー台部3bがパネル7と当接する領域に向けて勾配を有し、キートップ3aの周方向に連続しない勾配部3dを形成し、パネル7の孔部6の内壁に勾配部3dと当接する当接面6aを形成するように構成したので、キー3が孔部6内を回転するのを防止することができる。これにより、キーの操作性を向上させ、誤操作を防止することができる。また、キートップに操作内容が示されている場合であっても、正しい配置方向で設置された状態を維持することができる。
【0022】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、キー3をパネル7側に付勢する弾性片4を設ける構成を示したが、この実施の形態2では、弾性片4に換えて板バネを設ける構成を示す。
図8は、実施の形態2に係るスイッチ構造を備えた操作パネルの一部を示した分解斜視図である。なお、以下では、実施の形態1に係るスイッチ構造の構成要素と同一または相当する部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
スイッチ構造は、配線基板1に搭載されたスイッチ2と、スイッチ2を押し込み操作するためのキー3と、配線基板1を覆う内部パネル5と、各キー3をパネル7側に付勢する板バネ8と、各スイッチ2および各キー3の配置位置に相当する箇所に孔部6を備えて当該孔部6にキートップ3aが嵌合されるパネル7で構成される。
【0023】
図8の例では、板バネ8は矩形で形成されている。板バネ8の矩形の短辺に形成された切欠き8aは、内部パネル5の係合部5aに係合させて固定する。なお、板バネ8の固定方法は図8の例に限定されるものではなく、種々適用可能である。板バネ8は、各キー3の底面に当接して、弾性力により各キー3を常にパネル7側に付勢する。板バネ8の付勢により、キートップ3aの中心位置と孔部6の中心位置が一致した状態で固定される。実施の形態1と同様に、キートップ3aの外周と、パネル7の孔部6の内壁との間にはクリアランスが存在するが、キートップ3aの中心位置と孔部6の中心位置を一致させて板バネ8の付勢力で保持することにより、キートップ3aの各外周位置のクリアランス量が均一となる。
【0024】
なお、実施の形態1と同様に、キー3は勾配部3dを有し、孔部6の内壁に当接面6aを形成し、キー3の矢印C方向への回転を防止する。
【0025】
以上のように、この実施の形態2によれば、キー3をパネル7側に付勢する板バネ8を備えるように構成したので、板バネ8の付勢力によりキートップ3aの中心位置と、パネル7の孔部6の中心位置とを一致させた状態で保持することができる。これにより、電子機器の配置方向によって、キートップ3aの外周と孔部6の内壁とのクリアランス量が、キートップ3aの各外周位置で不均一となり、意匠性が低下するのを抑制することができる。
【0026】
なお、上述した実施の形態2では、矩形の板バネを例に説明を行ったが、矩形に限定されることなく、キー3をパネル7側に付勢可能であればどのような形状で構成してもよい。
【0027】
また、上述した実施の形態1および実施の形態2では、図4に示したようにキー3のキートップ3aの表面が、パネル7の表面とほぼ同一の高さとなるように構成したが、図9に示すように、キートップ3aの表面をパネル7の表面よりも突出させて構成してもよい。図9(a)では、キートップ3aの表面をパネル7の表面よりも数ミリ程度突出させている。また、図9(b)では、キートップ3aの表面を半球状とし、パネル7の表面から突出させている。これにより、ユーザのキー操作の誤操作を低減することができる。
【0028】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 配線基板
2 スイッチ
2a 上面
3 キー
3a キートップ
3b,3f キー台部
3c 長軸方向の端部
3d 勾配部
3e 回転防止片
3g 端部
4,4b,4c 弾性片
4a 端部
5 内部パネル
5a 係合部
6 孔部
6a 当接面
6b 凹部
7 パネル
8 板バネ
8a 切り欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9