【実施例1】
【0037】
本発明の実施例1に係る医療用診療装置1について、
図1乃至
図10を参照して説明する。
【0038】
本実施例1に係る医療用診療装置1は、医療用診療ユニットの一例である歯科診療用ユニット11に適用したものである。
【0039】
本実施例1に係る歯科診療用ユニット11は、
図1に示すように、基台12と、前記基台12の上に設置された患者用のチェア13と、このチェア13の
図1において右側に設けられたドクターが使用するドクターテーブル14と、前記チェア13の左側に設けられたユニット本体部15と、前記ユニット本体部15の後部に設けられたアシスタントハンガー16と、を備えている。
【0040】
前記ドクターテーブル14は、前記ユニット本体部15により基端側が支持されたアーム17により位置変更可能に支持されるとともに、タッチパネル式に構成した表示手段(表示装置)18を含むコントロールパネル部19.各種ハンドピース、シリンジ等の種々のインスツルメント類20aを保持したインスツルメントハンガー20、テーブル21等を配置している。
【0041】
また、前記アシスタントハンガー16には、ドクターの補助者であるアシスタントが使用するバキュームユニット等を配置している。
【0042】
前記ユニット本体部15又は基台12の近傍には、詳細は後述するが端末装置の一つとしてドクターが足踏みで前記チェア13の上下動操作や術具であるインスツルメント類20aの駆動等を行うための無線フットコントローラ22を配置している。
【0043】
また、前記無線フットコントローラ22は、前記ユニット本体部15と間の相互無線通信を、例えば、Bluetooth(登録商標)規格:Class2(通信距離10m)の仕様からなる無線通信形式の基に行う仕様としている。
【0044】
本実施例1においては、この相互無線通信の通信エリアを、第1の近距離無線通信エリアと定義する。
【0045】
さらに、前記無線フットコントローラ22には、やはり詳細は後述するが前記無線フットコントローラ22自体を個々に識別するための無線通信装置を構成する無線識別素子である無線タグ(RFID(Radio Frequency Identification)タグ)22を配置している。
【0046】
前記無線タグ2は、例えばマイクロ波帯(2.4GHz)で到達距離を半径2m以内とした識別用無線信号である無線タグID情報を発信するパッシブ型の仕様を採用した例を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
尚、
図1には前記無線タグ2を無線フットコントローラ22に外付けした例を示しているが、無線タグ2を無線フットコントローラ22に内蔵する構成とすることももちろん可能である。
【0048】
前記ユニット本体部15の上部には、給水ノズル25、コップ受26、排水鉢27を備えるスピットン部24を配置している。
【0049】
前記ユニット本体部15には、前記無線タグ2を活性化するとともに無線タグ2からの無線タグID情報を読み取る(受信する)読取装置である無線タグリーダ3を配置している。
【0050】
本実施例1においては、前記無線タグ2の無線タグID情報の到達距離に対応する無線タグリーダ3の通信エリアEを、前記第1の近距離無線通信エリアより短距離の第2の近距離無線通信エリアと定義する。
【0051】
この他、前記歯科診療用ユニット11には、歯科診療時に患者の口腔内の照明を行うための無影灯29を位置変更可能に配置している。
【0052】
さらに、図示しないが、前記ユニット本体部15は、前記歯科診療用ユニット11の各種動作に必要な電力を供給する電力ケーブル、動作に必要な水、エアーを供給する給水パイプ、エアーパイプ等を接続する構成としている。
【0053】
次に、本実施例1に係る医療用診療装置1における前記歯科診療用ユニット11、無線タグ2、無線タグリーダ3、無線フットコントローラ22に関する駆動系、制御系について
図2乃至
図5を参照して説明する。
【0054】
前記歯科診療用ユニット11は、
図2に示すように、医療用診療装置1全体の動作制御を行う制御部31と、医療用診療装置1の動作プログラム、無線フットコントローラ22との無線通信を行うための無線通信プログラム等を記憶したプログラムメモリ32と、を有している。
【0055】
また、前記歯科診療用ユニット11は、各種情報を記憶する記憶部33と、歯科診療用ユニット11の各要素の駆動や操作を行う操作機能系34と、医療用診療装置1の各要素のエラー情報を含む動作監視、各要素の動作状況の監視を行う監視系35と、前記無線フットコントローラ22との間で無線にて各種情報の相互無線通信を行う既述したようなブルートゥース規格の通信手段を構成するユニット通信部36と、後述する無線タグリーダ3からの判定情報を基に前記ユニット通信部36を相互無線通信有効状態、相互無線通信不可状態(相互無線通信無効状態)に切り換える無線通信状態切替部37とを有し、前記無線タグリーダ3を制御部31に接続した構成としている。
【0056】
さらに、前記制御部31に前記表示手段18、コントロールパネル部19を接続している。
【0057】
前記記憶部33に記憶する記憶情報には、「登録済の無線フットコントローラと、登録外の無線フットコントローラとが通信エリアE内に混在するため相互無線通信を無効としました」、「登録外の無線フットコントローラが通信エリアE内に混在するため相互無線通信を無効としました」等というような警告情報が含まれている。
【0058】
次に、前記無線フットコントローラ22は、
図2に示すように、前記チェア13の上下動操作や術具であるインスツルメント類20aの駆動等を行うためのスイッチ信号を個別に出力する所要数のスイッチ群61と、スイッチ群61からのスイッチ信号を切替出力するスイッチコントローラ62と、スイッチコントローラ62からのスイッチ信号を取り込み前記ユニット通信部36との間で無線にて相互無線通信を行い、当該スイッチ信号を前記ユニット通信部36に送信するブルートゥース規格の通信手段を構成するフットコントローラ通信部63と、この無線フットコントローラ22自体の動作に必要な電力供給を行う電源部64と、を有し、さらに、前記無線タグ2を付加した構成としている。
【0059】
前記操作機能系34は、
図3に示すように、前記インスツルメント類20aを駆動するインスツルメント類駆動部41と、前記チェア13を駆動するチェア駆動部42と、前記無影灯29に対する点灯駆動等を行う無影灯駆動部43と、を具備し、前記ユニット通信部36にて受信した前記無線フットコントローラ22からのスイッチ信号に基づく制御部31の制御の基にインスツルメント類駆動部41によりインスツルメント類20aのいずれかを駆動したり、チェア駆動部42により前記チェア12を昇降駆動したりするように構成している。
【0060】
前記監視系35は、
図4に示すように、各種インスツルメント類20aのうちの切削系のインスツルメントのエラーを監視しエラー情報を出力する切削系を含むドクターテーブルエラー監視部51と、前記チェア12のエラーを監視しエラー情報を出力するチェアエラー監視部52と、無線フットコントローラ22のエラーを監視しエラー情報を出力する無線フットコントローラエラー監視部53と、各種インスツルメント類20aその他各要素の電圧、電流、部品温度のエラーを監視しエラー情報を出力する電圧・電流・部品温度エラー監視部54と、各種インスツルメント類20a等の空気圧、水圧、気温等のエラーを監視しエラー情報を出力する空気圧・水圧・気温等のエラー監視部55と、を具備している。
【0061】
次に、前記無線タグ2及び無線タグリーダ3について
図5を参照して説明する。
【0062】
前記無線タグ2は、
図5に示すように、無線タグ制御部81を具備し、この無線タグ制御部81に、送受信回路83を介して無線タグリーダ3からの無線による読み取り信号を受信する無線タグアンテナ84を接続し、また、無線タグ制御部81に、無線タグ2自体の固有の無線タグID情報を記憶した無線タグ記憶部82と、前記読み取り信号に基づき電磁誘導により無線タグ2を活性化する電力を生成する無線タグ電力生成部85と、を接続することにより構成している。
【0063】
そして、活性化された無線タグ2の無線タグアンテナ84から前記無線タグID情報を無線にて発信するように構成している。
【0064】
前記無線タグリーダ3は、この無線タグリーダ3の動作制御を行う無線タグリーダ制御部91と、この無線タグリーダ3の動作プログラム、無線タグ2の登録判定プログラムを格納した無線タグリーダプログラムメモリ92と、を有するとともに、前記無線タグリーダ制御部91に送受信回路93を介して無線タグリーダアンテナ94を接続し、無線タグリーダ制御部91の制御の基に無線による読み取り信号を送受信回路93を介して無線タグリーダアンテナ94から前記無線タグ2に向けて送信し、前記通信エリアE内に無線タグ2が存在する場合にはこの無線タグ2を活性化し、また、前記通信エリアE内に存在する無線フットコントローラ22に取り付けた無線タグ2からの無線タグID情報を無線タグリーダアンテナ94にて受信し送受信回路93を経て無線タグリーダ制御部91に伝送する構成としている。
【0065】
さらに、前記無線タグリーダ3は、予め前記歯科診療用ユニット11に対応付ける無線タグ2の無線タグIDを登録(記憶)する無線タグID情報記憶部95と、歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22との間の相互無線通信の許可又は不許可(無効)のための判定を行う無線タグ情報判定部96と、無線タグリーダ電源部97と、を具備している。
【0066】
前記無線タグ情報判定部96は、無線タグリーダ制御部91から前記無線タグ2の無線タグID情報が伝送されたとき、前記無線タグID情報記憶部95を参照して当該無線タグID情報が登録済であると判定したときには相互無線通信許可情報を無線タグリーダ制御部91の制御の基に前記歯科診療用ユニット11の制御部31に伝送し、また、無線タグID情報が登録外であると判定したとき、若しくは、登録済である無線タグID情報と、登録外の無線タグID情報とがあると判定したときには相互無線通信不許可情報、及び、警告表示要求情報を無線タグリーダ制御部91の制御の基に前記歯科診療用ユニット11の制御部31に伝送するように構成している。
【0067】
すなわち、前記無線タグリーダ3は、通信エリアE内に存在する無線フットコントローラ22が前記歯科診療用ユニット11に対応付けたものである場合にのみ相互無線通信許可情報を前記歯科診療用ユニット11に伝送し、また、対応付けた無線フットコントローラ22と対応付けていない無線フットコントローラ22とが混在する場合には、相互無線通信不許可情報、及び、警告表示要求情報を前記歯科診療用ユニット11に伝送するように構成している。
【0068】
さらに、通信エリアE外に対応付けた無線フットコントローラ22が存在する場合には、前記無線タグリーダ3は、この無線フットコントローラ22に設けた無線タグ2を活性化できないため、無線タグID情報を取得できないことから、この場合も相互無線通信不許可情報を前記歯科診療用ユニット11に伝送するように構成している。
【0069】
次に、本実施例1に係る医療用診療装置1の作用、効果について、前記歯科診療用ユニット11に設けた無線タグリーダ3と、無線フットコントローラ22に設けた無線タグ2との間の無線通信態様と、前記歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22との相互無線通信可否の関係を主とし、かつ、
図6乃至
図10を参照して説明する。
【0070】
(無線タグリーダ3に対する無線フットコントローラ22に設けた無線タグ2の登録)
図6に示すように、無線フットコントローラ22に設けた無線タグ2の無線タグID情報を、特定の歯科診療用ユニット11に設けた無線タグリーダ3に登録する場合には、
図6に示すように、前記無線フットコントローラ22を無線タグリーダ3の通信エリアE内に配置した状態で、無線タグリーダ3から読み取り信号を前記無線タグ2に向けて無線送信する。
【0071】
これにより、無線タグ2は活性化され、無線タグID情報を無線タグリーダ3に無線送信する。
【0072】
無線タグリーダ3は、無線タグID情報を受信すると、無線タグリーダ制御部91の制御の基に無線タグID情報記憶部95に登録(記憶)する。
【0073】
これにより、前記歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22とが、登録された無線タグID情報を介して一対一の関係に対応付けられることになる。
【0074】
(対応付けられた歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22との相互無線通信)
図7に示すように、対応付けられた無線フットコントローラ22が特定の歯科診療用ユニット11に設けた無線タグリーダ3の通信エリアE内に存在すると、上述した場合と同様、無線タグリーダ3は読み取り信号を前記無線タグ2に向けて無線送信し、これにより、無線タグ2は活性化され、無線タグID情報を無線タグリーダ3に無線送信する。
【0075】
前記無線タグリーダ3においては、前記無線タグID情報を受信すると、無線タグリーダ制御部91の制御の基に前記無線タグ情報判定部96は前記無線タグID情報と、無線タグID情報記憶部95に登録済の無線タグID情報とを照合し、この場合には両者が合致するので、相互無線通信許可情報を歯科診療用ユニット11に伝送する。
【0076】
前記歯科診療用ユニット11の制御部31は、相互無線通信許可情報が伝送されてくると前記無線通信状態切替部37を動作させ、ユニット通信部36を相互無線通信可能な状態に切り換える。
【0077】
これにより、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、前記無線フットコントローラ22のフットコントローラ通信部63との間の相互無線通信が可能となる。
【0078】
この状態では、例えばドクター等が前記無線フットコントローラ22のスイッチ群61のうちの所望するスイッチを足踏み操作することで、前記チェア13の上下動操作信号や、術具であるインスツルメント類20aのうちのいずれかのインスツルメントの駆動信号をフットコントローラ通信部63からユニット通信部36へ相互無線通信の態様で送信することができる。
【0079】
この結果、前記歯科診療用ユニット11においてドクター等足踏み操作に応じた前記チェア13の上下動やいずれかのインスツルメントによる歯科治療が実行されることになる。
【0080】
(対応付けた無線フットコントローラ22と対応付けていない無線フットコントローラ22とが通信エリアE内に混在する場合の相互無線通信無効)
図8に示すように、登録済の無線タグID情報を介して対応付けられた無線フットコントローラ22と、対応付けていない(登録外の)無線フットコントローラ22とが特定の歯科診療用ユニット11に設けた無線タグリーダ3の通信エリアE内に混在する場合には、前記無線タグリーダ3は、前記各無線フットコントローラ22における各無線タグ2からの無線タグID情報を読み取る。
【0081】
そして、前記無線タグ情報判定部96は登録済の無線タグID情報と登録外の無線タグID情報とが存在すると判定し、この場合には、相互無線通信不許可情報及び警告情報表示要求を歯科診療用ユニット11に伝送する。
【0082】
前記歯科診療用ユニット11の制御部31は、相互無線通信不許可情報が伝送されてくると前記無線通信状態切替部37を動作させ、ユニット通信部36を相互無線通信不可(無効)状態に切り換える。
【0083】
これにより、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、前記無線フットコントローラ22のフットコントローラ通信部63との間の相互無線通信は実行不可となる。
【0084】
同時に前記制御部31は、警告情報表示要求が伝送されてくると前記記憶部33に記憶している警告情報を読み出し、
図10に示すように、前記表示手段18に「登録済の無線フットコントローラと、登録外の無線フットコントローラとが通信エリアE内に混在するため相互無線通信を無効としました」旨の警告情報を表示させる。
【0085】
尚、図示しないが、登録外の無線フットコントローラのみが通信エリアE内に存在する場合も上述した場合と同様な処理が行われ、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、登録外の無線フットコントローラ22のフットコントローラ通信部63との間の相互無線通信は実行不可となる。
【0086】
(対応付けた無線フットコントローラ22が通信エリアE外に存在する場合)
図9に示すように、通信エリアE外に対応付けた無線フットコントローラ22が存在する場合には、前記無線タグリーダ3は、この無線フットコントローラ22に設けた無線タグ2を活性化できず、無線タグID情報を取得できないことから、この場合も相互無線通信不許可情報を前記歯科診療用ユニット11に伝送する。
【0087】
前記歯科診療用ユニット11の制御部31は、相互無線通信不許可情報が伝送されてくると、上述した場合と同様に前記無線通信状態切替部37を動作させ、ユニット通信部36を相互無線通信不可(無効)状態に切り換える。
【0088】
これにより、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、前記無線フットコントローラ22のフットコントローラ通信部63との間の相互無線通信は実行不可となる。
【0089】
尚、対応付けていない無線フットコントローラ22が通信エリアE外に存在する場合においては、当然に前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、当該無線フットコントローラ22のフットコントローラ通信部63との間の相互無線通信は実行不可となる。
【0090】
以上説明したように、本実施例1に係る医療用診療装置1によれば、前記歯科診療用ユニット11に一対一で対応させるべき端末装置である無線フットコントローラ22が通信エリアE内に存在するときのみ、歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、前記無線フットコントローラ22のフットコントローラ通信部63との間の相互無線通信を可能とし、前記無線フットコントローラ22による歯科診療用ユニット11の操作を実行できる状態とし、それ以外の場合は相互無線通信を不可とするものである。
【0091】
したがって、前記無線フットコントローラ22による歯科診療用ユニット11の操作は、この歯科診療用ユニット11に対応付けた無線フットコントローラ22のみで実効し得ることになる。
【0092】
一方、それ以外の場合、すなわち、登録外の無線フットコントローラ22のみが通信エリアE内に存在する場合や、対応付けた無線フットコントローラ22と登録外の無線フットコントローラ22のみが通信エリアE内に混在する場合には、無線フットコントローラ22による歯科診療用ユニット11の操作を実行できないことになる。
【0093】
この結果、見た目だけでは判別できない無線フットコントローラ22の取り違えによる歯科診療用ユニット11の誤動作という不都合な事態を確実に回避することができる。
【0094】
また、無線フットコントローラ22の移動時に、この無線フットコントローラ22を誤って操作してしまう事態が生じた場合でも、当該無線フットコントローラ22の移動領域が通信エリアE外であれば、仮に第1の近距離無線通信エリア内であったとしても、上述した場合と同様にして当該無線フットコントローラ22に対応付けた歯科診療用ユニット11が動作し、想定外の事故が発生するという危険性は無くなる。
【0095】
さらに、歯科診療室の清掃作業等を行う際に、床に置いてある複数台の無線フットコントローラ22をまとめて一か所に移動したような場合に無線フットコントローラ22同士が接触して誤って入力操作が行われてしまったという事態が生じても、仮にその移動した領域が通信エリアE内であって、第1の近距離無線通信エリア内であったとしても、ユニット通信部36を相互無線通信不可(無効)状態に切り換えて、当該無線フットコントローラ22に対応付けた歯科診療用ユニット11が動作し想定外の事故が発生するという危険性は無くなる。
【0096】
次に、
図11乃至
図13を参照して本実施例1に係る医療用診療装置1の変形例について説明する。
【0097】
図11は、本実施例1に係る医療用診療装置1の変形例に係る医療用診療装置1Aを示すものであり、この医療用診療装置1Aは、基本的構成は前記医療用診療装置1の場合と同様であるが、前記ドクターテーブル14の後部に歯科診療用ユニット11の付属装置として、前記歯科診療用ユニット11と相互無線通信可能な付属装置であるタブレット型端末(タブレット型コンピュータ)101を設けたこと、及び前記アシスタントハンガー16の上部に同じく付属装置であるタブレット型端末(タブレット型コンピュータ)201を設けたことが特徴である。
【0098】
尚、
図11に示す変形例に係る医療用診療装置1Aにおいて、既述した実施例1に係る医療用診療装置1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示し、その詳細説明は省略する。
【0099】
図12は、変形例に係る医療用診療装置1Aの全体構成を示すブロック図であり、前記歯科診療用ユニット11は、実施例1に係る歯科診療用ユニット11と同一の構成であり、また、実施例1の場合と同様無線タグリーダ3を接続した構成としている。
【0100】
前記タブレット型端末101は、このタブレット型端末101の動作を制御する端末制御部102と、タブレット型端末101の動作プログラム。無線通信プログラムを格納した端末プログラムメモリ103と、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と相互無線通信を行うために既述した場合と同様なブルートゥース規格:Class2により構成した端末通信部104と、例えば10インチ、15インチ等の大きな表示サイズの液晶ディスプレイ等からなる端末表示部105と、各種の情報を記憶する端末記憶部106と、を有している。
【0101】
前記タブレット型端末201は、前記タブレット型端末101の場合と同様に、このタブレット型端末201の動作を制御する端末制御部202と、タブレット型端末201の動作プログラム。無線通信プログラムを格納した端末プログラムメモリ203と、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と相互無線通信を行うために既述した場合と同様なブルートゥース規格:Class2により構成した端末通信部204と、例えば10インチ、15インチ等の大きな表示サイズの液晶ディスプレイ等からなる端末表示部205と、各種の情報を記憶する端末記憶部206と、を有している。
【0102】
尚、変形例に係る医療用診療装置1Aにおいては、付属装置として前記タブレット型端末101及びタブレット型端末201からなる2台を配置した構成としたが、これらのうちいずれか一方のみを使用した構成とすることももちろん可能である。
【0103】
上述した構成からなる変形例に係る医療用診療装置1Aによれば、前記タブレット型端末101及びタブレット型端末201を使用しない状態の基では、既述した実施例1に係る医療用診療装置1の場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0104】
さらに、変形例に係る医療用診療装置1Aにおいて、前記タブレット型端末101及びタブレット型端末201を動作状態とすることによって、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と前記タブレット型端末101の端末通信部104との間、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と前記タブレット型端末201の端末通信部204との間の相互無線通信が各々実行される。
【0105】
これにより、前記歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22との相互無線通信が不可の状態が発生したとき、例えば既述した「登録済の無線フットコントローラと、登録外の無線フットコントローラとが通信エリアE内に混在するため相互無線通信を無効としました」旨の警告情報を前記端末表示部105に表示したり、前記端末表示部205に表示したりすることができ、歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22との対応関係が明確化し、ドクターやアシスタントが無線フットコントローラ22を取り違えて誤操作してしまうという不都合な事態発生をより的確に防止することができる。
【0106】
図13は、別の変形例に係る医療用診療装置1Bを概略的に示すものであり、既述した実施例1に係る医療用診療装置1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示し、その詳細説明は省略する。
【0107】
図13に示す別の変形例に係る医療用診療装置1Bは、
図11に示す変形例に係る医療用診療装置1Aと略同様な構成であるが、前記タブレット型端末101、タブレット型端末201に替えて、相互無線通信機能(ブルートゥース規格:Class2)を含め前記タブレット型端末101等と略同様な機能を有し、より小型の付属装置であるスマートフォン301を採用したことが特徴である。
【0108】
この場合、付属装置であるスマートフォン301は、携帯可能で配置の自由度が極めて大きいことから、
図13に示すように、ドクターテーブル14の上、チェア13の任意の位置、アシスタントハンガー16の近傍というような任意の位置を選択して配置することができる。
【0109】
このような付属装置であるスマートフォン301を含む構成とすることにより、前記スマートフォン301を動作状態とすることによって、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、前記スマートフォン301の相互無線通信機能とにより、これらの間の相互無線通信が実行される。
【0110】
これにより、前記歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22との相互無線通信が不可の状態が発生したとき、例えば既述した「登録済の無線フットコントローラと、登録外の無線フットコントローラとが通信エリアE内に混在するため相互無線通信を無効としました」旨の警告情報を前記スマートフォン301の画面に表示することができ、歯科診療用ユニット11と無線フットコントローラ22との対応関係が明確化し、ドクターやアシスタントが無線フットコントローラ22を取り違えて誤操作してしまうという不都合な事態発生をより的確に防止することができる。
【実施例2】
【0111】
次に、本発明の実施例2に係る医療用診療装置1Cについて、
図14乃至
図19を参照して説明する。
【0112】
尚、本実施例2に係る医療用診療装置1Cにおいて、既述した実施例1の医療用診療装置1の場合と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0113】
本実施例2に係る医療用診療装置1Cは、
図14に示すように、基本的構成は実施例1の医療用診療装置1の場合と略同様であるが、端末装置として無線識別素子である無線タグ2を設けた治療装置である根管拡大形成器151、及び、無線タグ2を設けた測定装置である根管長測定器251を付加し、前記根管拡大形成器151を例えば通信エリアE内であるドクターテーブル14のテーブル21上に、前記根管長測定器251を例えば通信エリアE内であるアシスタントハンガー16の近傍に配置する構成としたことが特徴である。
【0114】
本実施例2に係る医療用診療装置1Cにおいて、前記歯科診療用ユニット11における無線タグリーダ3の配置は、実施例1の場合と同様に前記ユニット本体部15に配置するが、この他、前記根管拡大形成器151用の別の無線タグリーダ3をドクターテーブル14に配置し、前記根管長測定器251用のさらに別の無線タグリーダ3を前記アシスタントハンガー16の近傍に配置する構成とすることも可能である。
【0115】
前記根管拡大形成器151は、既に公知ではあるが
図15に概略的に示すように、既述したような歯科診療用ユニット11との相互無線通信機能、後述するファイル154の回転数や正転逆転情報等の治療情報生成機能を搭載した根管拡大形成器本体152と、この根管拡大形成器本体152に駆動ケーブル153を介して接続されるとともに、根管の中に回転させながら入れて根管を拡大させるファイル(根管を拡大・清掃するドリル状の器具)154を回転駆動する駆動モータ内蔵のハンドピース155と、前記根管拡大形成器本体152に電気ケーブル156により接続されるとともに歯茎等に接触させる接触電極157とを具備している。
【0116】
また、前記根管拡大形成器本体152は、前記ファイル154の回転数や正転逆転情報を表示する表示部158と、操作ボタン等を配置した操作部159とを設けている。
【0117】
さらに、前記根管拡大形成器本体152には、既述した場合と同様な無線タグ2を例えば外付けにより設けている。
【0118】
前記根管長測定器251は、既に公知ではあるが
図16に概略的に示すように、既述したような歯科診療用ユニット11との相互無線通信機能、根管内のファイル254の位置情報(根先までの距離情報)のような測定情報に関する例えばスケール形態の画像生成機能を搭載した根管長測定器本体252と、この根管長測定器本体252に接続ケーブル253を介して接続されるとともに、根管の中に挿入されるファイル254と、前記根管長測定器本体252に電気ケーブル255により接続されるとともに歯茎等に接触させる接触電極256とを具備している。
【0119】
また、前記根管長測定器本体252は、根管内のファイル254の位置情報(根先までの距離情報)を画像情報として表示する表示部257と、操作ボタン等を配置した操作部258とを設けている。
【0120】
さらに、前記根管長測定器本体252には、既述した場合と同様な無線タグ2を例えば外付けにより設けている。
【0121】
図17は、本実施例2に係る医療用診療装置1Cの全体構成を示すブロック図である。
【0122】
次に、本実施例2に係る医療用診療装置1Cの作用、効果を、前記根管拡大形成器151による治療情報、前記根管長測定器251による測定情報を相互無線通信により前記歯科診療用ユニット11の表示手段18に表示する場合を主にし、かつ、
図18、
図19をも参照して説明する。
【0123】
尚、前記根管拡大形成器151に設けた無線タグ2、前記根管長測定器251に設けた無線タグ2の各無線タグID情報は、前記歯科診療用ユニット11の記憶部33に登録済みであるものとする。
【0124】
例えば、ドクターが前記根管拡大形成器151の根管拡大形成器本体152を通信エリアE内であるドクターテーブル14のテーブル21上に配置し、この状態で患者に対する根管拡大形成治療を実行すると、根管拡大形成器本体152は前記ファイル154の回転数や正転逆転情報等の治療情報を生成し、さらに、根管拡大形成器本体152は生成した治療情報を相互無線通信機能により前記歯科診療用ユニット11に送信する。
【0125】
前記歯科診療用ユニット11は、実施例1の場合と同様に処理し、前記表示手段18の画面にファイル154の回転数や正転逆転情報等の治療情報を表示する。
【0126】
図18にこの場合の表示手段18における治療情報の表示状態を示す。
【0127】
一方、例えばアシスタントが前記根管長測定器251の根管長測定器本体252を通信エリアE内であるアシスタントハンガー16の近傍に配置し、この状態で患者に対する根管長測定を実行すると、根管長測定器本体252は根管内のファイル254の位置情報(根先までの距離情報)に関する例えばスケール形態の画像情報(測定情報)を生成し、さらに、根管長測定器本体252は生成した測定情報を相互無線通信機能により前記歯科診療用ユニット11に送信する。
【0128】
前記歯科診療用ユニット11は、実施例1の場合と同様に処理し、前記表示手段18の画面に測定情報を表示する。
【0129】
図19にこの場合のこの場合の表示手段18における測定情報の表示状態を示す。
【0130】
上述した場合とは異なり、前記根管拡大形成器151の根管拡大形成器本体152や、前記根管長測定器251の根管長測定器本体252が、通信エリアE内に存在しない場合には、実施例1で説明した場合と同様な処理の基に前記根管拡大形成器151の根管拡大形成器本体152や、前記根管長測定器251の根管長測定器本体252と前記歯科診療用ユニット11との間の相互無線通信が不可となる。
【0131】
また、仮に前記歯科診療用ユニット11の隣の歯科診療用ユニット11において根管拡大形成器151による根管拡大形成治療が行われその根管拡大形成器本体152が万が一前記通信エリアE内に存在するような場合も、実施例1で説明した場合と同様な処理の基に、この根管拡大形成器本体152に設けた無線タグ2の無線タグID情報は前記歯科診療用ユニット11に登録されていないため、やはり当該根管拡大形成器本体152と前記歯科診療用ユニット11との間の相互無線通信が不可となる。前記根管長測定器251の場合についても事情は同様である。
【0132】
このようにして、本実施例2に係る医療用診療装置1Cによれば、前記歯科診療用ユニット11に一対一で対応させるべき端末装置である根管拡大形成器151や根管長測定器251が通信エリアE内に存在するときのみ、当該根管拡大形成器151の治療情報や根管長測定器251の測定情報を歯科診療用ユニット11の表示手段18に表示させることができ、歯科診療室内の他の歯科診療用ユニット11に送信、表示されるような不都合な事態は皆無となり、根管拡大形成器151による根管拡大治療作業や、根管長測定器251による根管測定作業の正確性、安全性向上に大いに寄与することができる。
【0133】
また、既述した実施例1の無線フットコントローラ22の場合と同様に、歯科診療室内の清掃作業に伴う根管拡大形成器151や根管長測定器251の誤作動の問題も回避することができる。
【0134】
次に、
図20乃至
図23を参照して本実施例2に係る医療用診療装置1Cの変形例である医療用診療装置1Dについて説明する。
【0135】
図20に示す医療用診療装置1Dは、基本的構成は前記医療用診療装置1Bの場合と同様であるが、実施例1の変形例の場合と同様に、前記ドクターテーブル14の後部に歯科診療用ユニット11の付属装置として、前記歯科診療用ユニット11と相互無線通信可能な付属装置である既述した場合と同様なタブレット型端末101を設けたこと、及び前記アシスタントハンガー16の上部に同じく付属装置であるタブレット型端末201を設けたことが特徴である。
【0136】
また、根管拡大形成器151や根管長測定器251の配置については実施例2の場合と同一である。
【0137】
図21は変形例に係る医療用診療装置1Dの全体構成を示すブロック図である。
【0138】
尚、
図20、
図21に示す変形例に係る医療用診療装置1Dにおいて、既述した実施例2に係る医療用診療装置1Bの場合と同一の要素には同一の符号を付して示し、その詳細説明は省略する。
【0139】
また、
図20、
図21に示す変形例に係る医療用診療装置1Dにおいては、付属装置として前記タブレット型端末101及びタブレット型端末201からなる2台を配置した構成としたが、これらのうちいずれか一方のみを使用した構成とすることももちろん可能である。
【0140】
上述した構成からなる変形例に係る医療用診療装置1Dにおいては、前記タブレット型端末101及びタブレット型端末201を使用しない状態の基では、既述した実施例2に係る医療用診療装置1Bの場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0141】
さらに、変形例に係る医療用診療装置1Dにおいて、前記タブレット型端末101及びタブレット型端末201を動作状態とすることによって、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と前記タブレット型端末101の端末通信部104との間、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と前記タブレット型端末201の端末通信部204との間の相互無線通信が各々実行される。
【0142】
これにより、実施例2の医療用診療装置1Cの場合と同様な作用、効果を発揮させることができることに加えて、前記タブレット型端末101、タブレット型端末201と、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36との相互無線通信によって、前記タブレット型端末101、タブレット型端末201の画面にも根管拡大形成器151による治療情報、根管長測定器251による測定情報を表示させることもできる。
【0143】
図22に根管拡大形成器151による治療情報を前記タブレット型端末101に表示した例を、
図23に根管長測定器251による測定情報をタブレット型端末201の画面に表示した例を各々示す。
【0144】
上述した実施例2の変形例に係る医療用診療装置1Dによれば、前記歯科診療用ユニット11に一対一で対応させるべき端末装置である根管拡大形成器151、根管長測定器251が通信エリアE内に存在するときのみ、当該根管拡大形成器151の治療情報や根管長測定器251の測定情報を前記タブレット型端末101、タブレット型端末201の画面にも表示させることができ、また、上述した実施例2の変形例に係る医療用診療装置1Cにおいても、既述した実施例1の場合と同様にして「相互無線通信を無効としました」旨の警告情報を前記タブレット型端末101、タブレット型端末201の画面に表示するようにすることもできる。
【0145】
従って、前記タブレット型端末101、タブレット型端末201を含む構成として、ドクターやアシスタントが根管拡大形成器151、根管長測定器251を取り違えて誤操作してしまうという不都合な事態発生を的確に防止でき、ドクターやアシスタントによる根管拡大形成器151による根管拡大治療作業や、根管長測定器251による根管測定作業の利便性向上、正確性、安全性向上に大いに寄与することができる。
【0146】
さらには、図示しないが、実施例2の変形例に係る医療用診療装置1Cにおいても、前記実施例1の別の変形例に係る医療用診療装置1Bの場合と同様に、前記タブレット型端末101、タブレット型端末201に替えて、相互無線通信機能(ブルートゥース規格:Class2)を含め前記タブレット型端末101等と略同様な機能を有し、より小型の付属装置であるスマートフォン301を採用した構成とすることもできる。
【0147】
このような付属装置であるスマートフォン301を含む構成とすることにより、前記スマートフォン301を動作状態とすることによって、前記歯科診療用ユニット11のユニット通信部36と、前記スマートフォン301の相互無線通信機能とにより、これらの間の相互無線通信が実行される。
【0148】
これにより、前記歯科診療用ユニット11に一対一で対応させるべき端末装置である根管拡大形成器151、根管長測定器251が通信エリアE内に存在するときのみ、当該根管拡大形成器151の治療情報や根管長測定器251の測定情報を前記スマートフォン301の画面に表示したり、相互無線通信不可の場合に既述した実施例1の場合と同様にして「相互無線通信を無効としました」旨の警告情報を前記スマートフォン301の画面に表示させることもできる。
【0149】
この場合も、スマートフォン301を含む構成としてドクターやアシスタントが根管拡大形成器151、根管長測定器251を取り違えて誤操作してしまうという不都合な事態発生を的確に防止でき、ドクターやアシスタントによる根管拡大形成器151による根管拡大治療作業や、根管長測定器251による根管測定作業の利便性向上、正確性、安全性向上に大いに寄与することができる。