(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の凸部のうち、前記外周壁の周方向で隣り合う前記凸部どうしは、相互間の領域で、前記外周壁と前記包装体との間に前記毛細管現象を生じさせることのない間隔で設けられている、請求項3に記載の包装体付き容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、飲料用ボトルとは違って、洗剤等を収容する容器は、浴室や洗面所などの水回りで長期間保管されることが多い。そのため、湿度、温度条件や水等の浸入の影響により、シュリンクフィルムによって覆われていた容器の一部分にカビ等が発生することがあった。特に容器の底部側は、容器とシュリンクフィルムとの間に形成される隙間において毛細管現象が生じてしまい、載置面に溜まっていた水を吸い上げてしまうなどの問題があった。
そこで、一般的にはシュリンクフィルムの下端を載置面から一定距離はなして、毛細管現象を起こさないようにしている。そのため、表示面積や、外観(デザイン)が不利になる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、容器の底部側からの水の浸入を阻止してカビ等の発生を抑制することのできる、包装体付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の包装体付き容器は、包装体によって外周壁が包まれた包装体付き容器において、
平滑な外周壁の底部側に
のみ周方向に亘って凹凸構造を有し、前記包装体は、前記外周壁のうち少なくとも前記凹凸構造を含む領域を被覆するように設けられ、前記外周壁と前記包装体との間に毛細管現象を生じない隙間が形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様の包装体付き容器において、少なくとも前記包装体と前記外周壁との間に前記隙間が形成される、構成としてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記凹凸構造が、前記外周壁から外側に向かって突出する少なくとも1つの凸部を有しており、周方向に亘って形成されている構成としてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記凹凸構造が、前記外周壁から外側に向かって突出する複数の凸部を有しており、周方向に亘って配置されている構成としてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記複数の凸部のうち、前記外周壁の周方向で隣り合う前記凸部どうしは、相互間の領域で、前記外表面と前記包装体との間に前記毛細管現象を生じさせることのない間隔で設けられている構成としてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記凹凸構造が、前記外周壁から内側に凹む溝を有しており、周方向に亘って形成されている構成としてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記溝内に複数の凸部が設けられている構成としてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記複数の凸部は、前記外周壁よりも外側へ突出しない高さを有している構成としてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記溝に連通し、前記溝内の液体を排出する排出路を有している構成としてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様の包装体付き容器前記凹凸構造において、前記溝に傾斜領域を設け、前記傾斜領域の下端側に前記排出路が連通している構成としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の包装体付き容器によれば、容器の底部側からの水の浸入を阻止してカビ等の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の包装体付き容器の概略構成を示す図である。
図1に示すように、包装体付き容器10は、ボトル(容器)11と、ボトル11の外表面(外周壁)11aに設けられたシュリンクフィルム(包装体)12と、を備えている。ボトル11に胴巻きされたシュリンクフィルム12を熱収縮させることでボトル11の外表面11aに密着させることにより、ボトル形状の一部としたものである。
【0022】
ボトル11は、液体洗剤、液体柔軟剤、液体漂白剤等の液状物を収容する容器であって、胴部11Aの上端の上方部を細く形成してその先端の口部11Bが胴部11Aよりもかなり細く筒状に開口形成されている。口部11Bには、螺合によって着脱自在にキャップ(不図示)を設けて使用時あるいは不使用時に口部11Bの開口を開閉可能にしている。
【0023】
胴部11Aは、上下方向に交差する横断面形状が、円形形状あるいは楕円形形状のものであって、側面視で上下肩部がやや窄まっている形状とされている。本実施形態の胴部11Aには、底部側に周方向に亘って環状凸部(凹凸構造)11Cが設けられている。
【0024】
環状凸部11Cは、胴部11Aの外表面11aから外方へ向かって所定の高さで突出しており、周方向に交差する断面形状が半円形状とされている。このため、環状凸部11Cを被覆するシュリンクフィルム12が破れにくい。環状凸部11Cの外表面11aからの高さやその大きさは、適宜設定される。
【0025】
ボトル11は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(PET)等から構成されている。
【0026】
シュリンクフィルム12は、熱収縮性を有する樹脂フィルムであって、例えば、延伸ポリスチレンフィルム(OPS)、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸PET等から構成されている。このシュリンクフィルム12には、模様などの加飾や製品名や製品情報等の文字が記載されて、意匠用シュリンクフィルムとされている。
【0027】
シュリンクフィルム12は、ボトル11における外表面11aを被覆(包装)している。本実施形態におけるシュリンクフィルム12は、環状凸部11Cを含むボトル11の胴部11Aと、当該胴部11Aに連続する首部11Dの一部とを被覆し、その上端12aが首部11Dの途中に位置する。一方、シュリンクフィルム12の下端12bは、ボトル11の底面11dを覆うことなく曲面部11Eの途中に位置し、使用時にシュリンクフィルム12が載置面からわずかに離れるように設けられている。
【0028】
シュリンクフィルム12によってボトル11を包装する際には、ボトル11の胴部11Aの周囲を加熱前の熱収縮性フィルムで覆った状態で加熱することによって熱収縮させ、胴部11Aの外形状に倣うように変形させることで行う。
【0029】
この際、ボトル11(胴部11A)の底部側では、周方向に亘って設けられた環状凸部11Cによって、シュリンクフィルム12とボトル11との間に、毛細管現象を生じさせない隙間Wが形成される。具体的に、隙間Wは、少なくとも環状凸部11C周辺の外表面11aとシュリンクフィルム12との間に形成され、1mm以上あることが好ましい。
【0030】
本実施形態の包装体付き容器10によれば、ボトル11の底部側に環状凸部11Cを設けたことにより、ボトル11の外表面11aと、外表面11aを被覆するシュリンクフィルム12との間に毛細管現象で水分の浸入が起きたとしても、隙間Wによって毛細管現象が無くなり、それ以上の浸入を防止することができる。本実施形態では、環状凸部11Cがボトル11の周方向に連続して存在するため、ボトル11の周方向全体で底部側からの水分の浸入を防ぐことができる。
【0031】
これにより、包装体付き容器10が浴槽や洗面所などの水回りで長期間保管された場合であっても、ボトル11とシュリンクフィルム12との間に水分が入り込むことを防ぐことができる。その結果、カビが発生するのを効果的に抑制でき、衛生面を良好に保つことができる。
【0032】
また、従来においては、ボトルにシュリンクフィルムを設ける際、シュリンクフィルムの下端を載置面から一定距離はなして設けるようにし、毛細管現象が生じないようにしていたが、本実施形態では、シュリンクフィルム12の下端が載置面に近い位置であっても、上述した隙間Wによって、毛細管現象による水分の浸入を抑制できる。そのため、シュリンクフィルム12による表示面積の拡大やデザイン性を向上でき、広告や外観の面で有利になる。
【0033】
本実施形態においては、ボトル11の底部側に周方向に亘って所定の高さを有する環状凸部11Cを設けたが、ボトル11に設ける凹凸構造については上述した構造に限られず、適宜変更が可能である。すなわち、ボトル11の底部側に、外表面11aとシュリンクフィルム12との間に毛細管現象を生じさせない隙間Wを形成することができればよい。この隙間Wがボトル11の周方向に亘って形成されることで、より高い防カビ効果を得ることができる。
【0034】
なお、本実施形態では、環状凸部11Cを一つだけ設けた構造となっているが、複数設けてもよい。また、シュリンクフィルム12は、ボトル11の胴部11Aのうち、少なくとも凹凸構造の環状凸部11Cを含む領域を被覆するように設けられる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の包装体付き容器について説明する。
以下に示す本実施形態の包装体付き容器の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、凹凸構造(複数の凸条部)において異なる。よって、以下の説明では、凹凸構造について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0036】
図2は、第2実施形態の包装体付き容器の全体構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態における包装体付き容器20は、胴部21Aの底部側に、凹凸構造として複数の凸条部(凸部)21Cを備えたボトル21を備えている。
【0037】
複数の凸条部21Cは、胴部21Aの周方向に亘って等間隔で配置されている。このとき、各凸条部21Cは、周方向で隣り合う一対の凸条部21C,21Cとの間の領域で、ボトル21の外表面(外周壁)21aとシュリンクフィルム12との間に毛細管現象を生じさせることのない間隔で配置されていることが好ましい。
【0038】
これら各凸条部21Cは、外表面21aに沿って一方向に直線状に延在しているとともに、ボトル21の上下方向に対して所定の角度θで傾斜している。このように、各凸条部21Cを傾斜させて設けることにより、上下方向(例えば、口部21B側)から見てボトル21の周方向に、凸条部21Cをほぼ途切れることなく存在させることが可能になる。
【0039】
本実施形態の包装体付き容器20では、上述したように、ボトル21の上下方向に対して傾斜する凸条部21Cを、ボトル21の周方向に所定の間隔で複数配置した構成となっている。これら複数の凸条部21Cにより、ボトル21の外表面21aとシュリンクフィルム12との間には毛細管現象を生じない隙間Wが形成される。本実施形態では、複数の凸条部21Cを同一方向へ傾斜させているため、ボトル21の周方向に隙間Wが連続するように形成されることになる。
このような構成によれば、先の実施形態と同様に、ボトル21の底部側からの毛細管現象による水分の浸入を周方向において効果的に防ぐことが可能である。
【0040】
なお、ボトル21の上下方向において、複数の凸条部21Cを、隣り合う一方の凸条部21Cの上端側と他方の凸条部21Cの下端側とが部分的に重なり合うように設けてもよい(
図3の斜線のハッチングで示す重なり領域R)。この場合、上下方向から見て、ボトル21の周方向に凸条部21Cが連続して存在する状態と同じような機能が得られ、ボトル21の周方向に亘って隙間Wを形成することができる。
この構成によれば、ボトル21の底部側からの毛細管現象による水分の浸入を周方向全体において、より効果的に防ぐことができる。
【0041】
図4は、第2実施形態の包装体付き容器の変形例を示す。
図4に示す包装体付き容器25のように、ボトル26(胴部26A)の底部側に凹凸構造として、半球形状の凸条部26Cを複数備えた構成としてもよい。ここでは、複数の凸条部26Cを、ボトル26の周方向において上下方向で互いに違いになるように配置させている。
この構成においても、凸条部26C周辺の外表面(外周壁)26aとシュリンクフィルム12との間に、毛細管現象を生じさせない隙間Wを形成することができる。
【0042】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態の包装体付き容器について説明する。
以下に示す本実施形態の包装体付き容器の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、凹凸構造(溝と複数の凸部)において異なる。よって、以下の説明では、凹凸構造について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0043】
図5は、第3実施形態の包装体付き容器の概略構成を示す。
図6は、凹凸構造の一部を示す断面図である。
図5に示す包装体付き容器30は、胴部31Aの底部側に、溝31Dと、溝31D内に配置された複数の凸部31Cと、からなる凹凸構造を有するボトル31を備えている。
【0044】
溝31Dは、ボトル31の周方向に亘って環状に形成され、外表面(外周壁)31aから内側へ所定の深さで凹むように形成されている。溝31Dの深さは、包装工程において、加熱した樹脂フィルムが溝31D内に入り込み、内面(外周壁)31dに沿って追従してしまうのを阻止することのできる深さに設定する。ここで、溝31Dの深さFとは、内面31dにおける最深部Pから外表面31aまでの距離のことである。
【0045】
複数の凸部31Cは、上下方向における溝31Dの中央に設けられ、周方向へ所定の間隔をおいて配置されている。凸部31Cは、
図6に示すように、溝31Dの内面(外周壁)31dから所定の高さで突出している。
【0046】
本実施形態の包装体付き容器30では、上述したように、ボトル31の周方向に亘って形成された溝31D内に複数の凸部31Cを配置した構成となっている。これにより、溝31D内にシュリンクフィルム12が入り込んで密着するのを効果的に防ぐことができるので、少なくとも、溝31Dの内面31dとシュリンクフィルム12との間に毛細管現象を生じさせない隙間Wが形成される。この隙間Wが存在することにより、これ以上上方へ水分が浸入するのを阻止することが可能となる。
【0047】
このように、溝31D内に配置した複数の凸部31Cによってシュリンクフィルムの密着性を低下させることができるため、シュリンクフィルム12が溝31D内に入り込んで破けてしまうのを防ぐことができる。
【0048】
ここで、凸部31Cの高さは適宜設定されるが、本実施形態では、外表面31aよりも外側へ突出しない高さに設定されている。これにより、溝31Dとの寸法の関係で先端が細くなりやすい凸部31Cによって、シュリンクフィルム12が裂けてしまうのを防ぐことができる。
【0049】
なお、凸部31Cを、外表面31aよりも外側へ突出するような高さで形成してもよいが、シュリンクフィルム12が裂けるのを防ぐことのできる寸法形状にする必要がある。
【0050】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態の包装体付き容器について説明する。
以下に示す本実施形態の包装体付き容器の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、凹凸構造(溝と排出路)において異なる。よって、以下に説明では、凹凸構造について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0051】
図7は、第4実施形態の包装体付き容器の概略構成を示す。
図7に示す包装体付き容器40は、胴部41Aの底部側に、波形形状をなす溝41Dと、溝41Dに連通する複数の排出路41Eと、からなる凹凸構造を有するボトル41を備えている。
【0052】
溝41Dは、ボトル41の周方向全体に亘って形成されており、上下方向に蛇行して波形に形成されている。溝41Dの幅は全体的に一定であるが、部分的に異なっていてもよい。
【0053】
複数の排出路41Eは、上下方向に沿って直線状に延在し、ボトル41の周方向に所定の間隔をおいて配置されている。各排出路41Eは、一端側が溝41Dの谷部42に連通し、他端側が底面41dに達している。排出路41Eは、シュリンクフィルム12との間で毛細管現象を生じさせない幅で形成されている。なお、排出路41Eにおいても、延在方向で部分的に幅が異なっていてもいいし、あるいは漸次幅が広くなっていてもよい。
【0054】
本実施形態の凹凸構造には、排水機能が付加されており、仮に、シャワー等で大量の水が包装体付き容器40にかかった場合や、シュリンクフィルム下端から溝41D内に浸入した水が排出路41Eを介して外部に排出されるようになっている。すなわち、溝41Dは水平の部分がなく波形形状に湾曲されているため、溝41D内に浸入した水が傾斜部分を流れて谷部42へ向かい、排出路41Eから外部へ自然に流れ出ることになる。溝41Dにおける全ての谷部42に排出路41Eを連通させておくことにより、溝41D内に水を留めることなく速やかに排出させることが可能である。これにより、衛生な状態を長期的に保つことができる。
【0055】
なお、凹凸構造(例えば、溝形状等)は上述したものに限られず、溝41D内に溜まった水を自重で排水させることのできる構造であれば、他の形状としてもよい。ボトル41の周方向に形成する溝に傾斜領域を設け、この傾斜領域の下端側に排出路を連通させることにより、凹凸構造に排水機能を付加することが可能である。
【0056】
また、溝41D及び排出路41Eの深さは、包装工程において、加熱した樹脂フィルムが溝41D及び排出路41Eの内面(外周壁)に沿って追従してしまうのを阻止することのできる深さに設定されている。そのため、溝41D及び排出路41Eとシュリンクフィルム12との間に、毛細管現象を生じさせない隙間Wが形成されるので、ボトル41の底部側から毛細管現象による水分の浸入を最低限に防止することができる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
上述した各実施形態において、ボトルの包装工程時にシュリンクフィルムが裂けることのない寸法に適宜設定する。これにより、歩留まりを向上させることができる。