特許第6604868号(P6604868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6604868-インクジェットプリンター 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604868
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   B41J2/01 125
   B41J2/01 303
   B41J2/01 305
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-23861(P2016-23861)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-140774(P2017-140774A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】松屋 直樹
【審査官】 高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−024647(JP,A)
【文献】 特開2012−179802(JP,A)
【文献】 特開2012−206303(JP,A)
【文献】 特開2003−307996(JP,A)
【文献】 特開2013−166271(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0321542(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101439620(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第105939865(CN,A)
【文献】 特開2016−215428(JP,A)
【文献】 特開2017−140773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有し、該ノズルから記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載し、前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジの下面側に対向して配置され、前記記録媒体を保持するプラテンと、
前記プラテンに設けられた前記記録媒体を加熱するヒーターと、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記プラテンの前記搬送方向の下流側に配置され、前記記録媒体を加熱するヒーターを有するペーパーガイドと、
前記キャリッジを少なくとも格納する筐体と、
を備え、前記記録媒体を間欠搬送しながら前記記録媒体に前記記録ヘッドから前記インクを吐出し、前記記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、
前記筐体内の背面に配置され、前記筐体の外部の空気を吸引する筐体ファンと、
前記ペーパーガイドに対向すると共に、前記ペーパーガイドに対して離間して設けられたカバーと、
前記筐体内に吸引された前記空気を前記ペーパーガイドと前記カバーの間に案内する風向制御板と、
を有し、
前記カバーに、複数の排気孔が設けられ、
前記風向制御板によって案内された前記筐体内に吸引された前記空気を、前記ペーパーガイドと前記カバーの間を通して排気すると共に、前記排気孔から前記筐体内に吸引された前記空気を排気することを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記記録媒体を給紙する、前記筐体に設けられた給紙口と、
前記記録媒体を排紙する、前記筐体に設けられた排紙口と、を有し、
前記排紙口の開口部は、前記記録媒体の厚さ方向において、前記給紙口の開口部より広いことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記筐体内に吸引した前記空気を、筐体外に排出する排気ファンをさらに有し、
前記風向制御板は、前記筐体内に吸引した前記空気を、前記排気ファンの方向と、前記ペーパーガイドと前記カバーの間の空間の方向とに分けて案内することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記キャリッジは、前記筐体ファンに対向する位置に、前記筐体内に吸引された前記空気を前記キャリッジ内に取り込むキャリッジファンと、前記キャリッジ内に取り込んだ前記空気を、前記ペーパーガイドと前記カバーの間の方向に向けて排出する排気口と、を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙、樹脂フィルムなどの記録媒体にインクを吐出して画像を記録するインクジェットプリンターが広く普及している。インクジェットプリンターは、家庭用やオフィス用として書類作成のために用いられるもの、1mを超える幅広の記録媒体に記録するための大型のものなど、記録紙のサイズも様々である。
【0003】
また、記録物を屋外で使用する目的で、風雨や日光の影響により色が褪せたり、落ちたりすることを防ぐために、顔料を溶媒に分散させた顔料インクを利用するものがある。
【0004】
また、記録後の次工程への移行時間を短くしたい要望があり、例えば、紫外線によって硬化する紫外線硬化型インク、熱によって硬化する熱硬化型インクなど、用途に応じていろいろな種類のインクが用いられている。
【0005】
一方では、インクの乾燥性を良くするために、記録媒体を適度に加熱し、記録後に溶媒を素早く乾燥させる方法も実施されている。加熱によりインクや、記録ヘッドも温度上昇し、吐出性能や画質に影響を及ぼす恐れがあるので、適度に冷却する必要もある。
【0006】
例えば、プリンター内の送風、冷却に関するものとして、特開2012−179802号公報に記載のものがある。この従来技術には、熱によって定着を促進させる熱硬化型インクを用いたインクジェットプリンターが開示されている。この装置は、ヒーターをキャリッジの上方に、キャリッジの走査方向に沿って配置した構成となっている。そのため、筐体内およびキャリッジ内がかなり加熱され、それを冷やす必要があり、プリンターの背面から空気を取り込み、前面から吐き出し、風の流れを強制的に作り出して冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−179802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術では、筐体内の空気を外部に排気させる構成が記載されている。しかし、プラテン上だけでインクを完全に乾燥させることは困難であり、プラテン上から搬送された後に、ペーパーガイドなどによって加熱する必要がある。しかし、単に記録媒体を加熱するだけであれば、記録媒体の近辺にインクから蒸発した気体が滞留してしまい、インクの乾燥を阻害する問題があり、非効率的な乾燥方法となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決する本発明のインクジェットプリンターは、複数のノズルを有し、該ノズルから記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載し、前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に往復移動するキャリッジと、前記キャリッジの下面側に対向して配置され、前記記録媒体を保持するプラテンと、前記プラテンに設けられた前記記録媒体を加熱するヒーターと、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記プラテンの前記搬送方向の下流側に配置され、前記記録媒体を加熱するヒーターを有するペーパーガイドと、前記キャリッジを少なくとも格納する筐体と、を備え、前記記録媒体を間欠搬送しながら前記記録媒体に前記記録ヘッドから前記インクを吐出し、前記記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、前記筐体内の背面に配置され、前記筐体の外部の空気を吸引する筐体ファンと、前記ペーパーガイドに対向すると共に、前記ペーパーガイドに対して離間して設けられたカバーと、前記筐体内に吸引された前記空気を前記ペーパーガイドと前記カバーの間に案内する風向制御板と、を有し、前記カバーに、複数の排気孔設けられ、前記風向制御板によって案内された前記筐体内に吸引された前記空気を、前記ペーパーガイドと前記カバーの間を通して排気すると共に、前記排気孔から前記筐体内に吸引された前記空気を排気することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置内を効率的に冷却すると共に、取り込んだ空気によりインクの乾燥、定着を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、インクジェットプリンターの断面図である。
図2図2は、インクジェットプリンターの内部を示す斜視図である。
図3図3は、インクジェットプリンターの全体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。図1は、インクジェットプリンターの断面図である。図2は、インクジェットプリンターの内部を示す斜視図である。図3は、インクジェットプリンターの全体を示す概略図である。これらの図を用いて、インクジェットプリンターを説明する。
【0013】
インクジェットプリンター1の筐体の背面には、吸気ファン14が複数配置されている。この吸気ファン14によって、外気を筐体内に取り込む。また、図中では、空気の主な流れを、点線の矢印で示している。
【0014】
記録媒体は、リアエッジガイド21、リアペーパーガイド2、プラテン3、フロントペーパーガイド4、フロントエッジガイド20の経路の順に、支持されながら搬送される。リアペーパーガイド2とプラテン3の間には、搬送ローラー5、ピンチユニット6が備えられている。搬送ローラー5と、ピンチユニット6の先端に配置されたピンチローラーとによって記録媒体を挟み、搬送ローラー5の回転によって記録媒体が搬送される。ピンチローラーは、搬送ローラー5方向に向って押されて回動可能に軸支され、搬送ローラー5の回転に連動して連れ回る。
【0015】
キャリッジ7はプラテン3の長手方向に沿って移動する。すなわち、キャリッジ7の移動方向に対して交差する方向に記録媒体が搬送される。この例では直行する方向に移動している。
【0016】
リアペーパーガイド2の裏面にはリアヒーター30が備わり、リアペーパーガイド2を加熱する。リアエッジガイド21とリアペーパーガイド2の間に隙間があり、リアペーパーガイド2の熱をリアエッジガイド21に伝え難くしてある。フロントペーパーガイド4の裏面にはフロントヒーター29が備わり、フロントペーパーガイド4を加熱する。フロントペーパーガイド4とフロントエッジガイド20の間に隙間があり、フロントペーパーガイド4の熱をフロントエッジガイド20に伝え難くしてある。ユーザーが触れる恐れのあるリアエッジガイド21とフロントエッジガイド20が熱くならないようにしている。
【0017】
キャリッジ7には、インクジェット式の記録ヘッド8が搭載されている。記録ヘッド8はカラー記録を行うために、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクに対応した4台の記録ヘッド8が搭載されている。
【0018】
キャリッジ7はインクジェットプリンター1の長手方向に配置されたレール26に沿って移動する。レール26はプラテン3の長手方向に沿って配置されている。無端ベルト34は、両端をプーリーに掛け回されている。プーリーをモーターで駆動することで、無端ベルト34を駆動できる。無端ベルト34にキャリッジ7が固定され、無端ベルト34の回転に連動してキャリッジ7が移動する。ベアリング27とベアリング28がキャリッジ7に備わっている。レール26の上下端の夫々の位置にベアリング27とベアリング28が回動可能に接続されている。キャリッジ7はレール26に対して、ベアリング27とベアリング28によって接続され、レール26に沿って移動可能となっている。
【0019】
キャリッジ7の背面方向には、キャリッジファン25が備わる。キャリッジファン25は、吸気ファン14に対向した位置に配置されている。吸気ファン14は、レール26に沿って列状に配置されている。吸気ファン14によって取り込まれた外気を、キャリッジファン25が吸い込み、キャリッジ7内を通り、排気口35から排出する。排気口35はキャリッジ7の下部に配置されている。キャリッジ7から吸気ファン14の方向にダクトが伸び、その先端にキャリッジファン25が設けられている。キャリッジファン25を吸気ファン14の近くに対向するように配置できるようにしてある。吸い込んだ外気をすぐに吸うことができ、キャリッジ内に冷たい空気を送り込める。
【0020】
プラテン3の下部には、吸引室22が備わる。吸引室22は吸引ファン24によって、空気が吸われ、ダクト23から外部に排気する。プラテン3に設けられた無数の吸引孔から空気を吸って、吸引室22、ダクト23を介して外部へ排気する。これにより、プラテン3上に搬送された記録媒体を吸着することができる。プラテン3上の記録媒体は、プラテン3の表面に沿って平坦に支持される。
【0021】
リアペーパーガイド2よって好適な温度に加熱された記録媒体に、プラテン3上でインクを吐出して画像を記録する。プラテン3の裏面にはヒーターが備わり、記録媒体を加熱する。プラテン3では、記録媒体を好適な温度に維持し、着弾したインクの乾燥、定着を促進する。さらにフロントペーパーガイド4によって記録媒体を加熱し、インクの乾燥、定着を促進する。筐体内には、記録媒体に付着したインクから蒸発した溶媒の気体が充満することになる。この溶媒の気体の濃度が高くなると、インクの乾燥性が悪くなるので、排出し、濃度を低下させることが好ましい。
【0022】
外装ケース31の背面に吸気ファン14が備わる。外装ケース31の背面部は、曲げ部18が設けられている。曲げ部18の先端は、リアエッジガイド21に対向するように設けられている。曲げ部18とリアエッジガイド21の間に給紙口32があり、記録媒体がプラテン3方向へ案内される。曲げ部18とリアエッジガイド21の間は、中に指などを入れられないように、狭くなっている。これにより、熱せられたリアペーパーガイド2を手で触れられないようにしている。また、狭くなっているので、吸気ファン14によって吸気された空気が、この給紙口32から排気され難くなっている。他の開口部の方が、開口面積が大きいので、給紙口32の空気抵抗が大きくなる。言い換えれば、筐体内の気体がここから出難くなる。
【0023】
また、給紙口32から搬送ローラー5に至るまでの間に、リアペーパーガイド2に対向する位置に、筐体内の気流が、給紙口32方向に向うのを防ぐ、第1の風向制御板17が備わる。第1の風向制御板17は筐体の前方方向に凹部の開口が向き、先端がリアペーパーガイド2に向かい合い、風が給紙口32方向に向うのを抑制している。
【0024】
外装ケース31の前方側には、風防カバー9が備わる。風防カバー9は、開閉可能に取り付けられている。風防カバー9は透明であり、内部を見ることができる。更に前方側には、排気ファン15が備わる。排気ファン15は、筐体内の空気を外部へ排出する。筐体内のキャリッジ7の上部に対向する部分に、第2の風向制御板16が備わり、吸気ファン14によって取り込んだ空気の流れを、前方に向うように制御している。第2の風向制御板16は、インクジェットプリンター1の長手方向に沿って配置されている。吸気ファン14により、筐体内に取り入れた空気を筐体の前方に向うように配置してある。これにより、上方に流れ難くして、気流を乱さずに前方の風防カバー9の方向に向ける。取り入れた空気は、主に、風防カバー9に沿って斜め下方に進み、排気ファン15から排出される。
【0025】
フロントペーパーガイド4は、斜め下方に向かい湾曲した板である。風防カバー9も斜め下方に先端方向が向くように配置されている。吸引した空気を、斜め下方に向かい流れるようにしている。
【0026】
キャリッジ7の排気口35に対向する位置に開口が配置されるように、第3の風向制御板19を配置する。第3の風向制御板19は、筐体内の空気を、フロントペーパーガイド4の方向に案内するように配置してある。第3の風向制御板19は、フロントペーパーガイド4と対向するように配置され、その間を空気が流れるようになっている。また、第3の風向制御板19のフロントペーパーガイド4とは逆側は、風防カバー9と対向するように配置され、その間に空気が流れるようになっている。また、第3の風向制御板19と風防カバー9の間を流れる空気は、排気ファン15から外部に排出される。第3の風向制御板19は、排出される空気の流れを2方向に分けている。
【0027】
フロントペーパーガイド4に沿って、第3の風向制御板19、第1カバー10、第2カバー11が配置されている。フロントペーパーガイド4の記録媒体の搬送方向の下流側には、フロントエッジガイド20が配置されている。フロントエッジガイド20と、第2カバー11は離間して配置され、記録媒体の排紙口33を形成する。フロントエッジガイド20にはヒーターが配置されていない。第3の風向制御板19、第1カバー10、第2カバー11により、高温に加熱されたフロントペーパーガイド4にユーザーが触れることが無いようにしている。
【0028】
記録媒体は、給紙口32から入り、リアエッジガイド21、リアペーパーガイド2、プラテン3、フロントペーパーガイド4、フロントエッジガイド20に支持、案内されながら、排紙口33から排出される。また、リアペーパーガイド2、プラテン3、フロントペーパーガイド4により、加熱される。
【0029】
複数の細孔である第1排気孔12が第1カバー10に配置されている。複数の細孔である第2排気孔13が第2カバー11に配置されている。第1排気孔12、第2排気孔13は、第3の風向制御板19と第1カバー10及び第2カバー11の間を流れる空気を外部に排出するために配置されている。また、この第1排気孔12と第2排気孔13があるので、第1カバー10、第2カバー11が曇ることを防止できる。第1カバー10、第2カバー11は透明な板であることが好ましい。透明なら、記録媒体に記録された画像を確認できる。排気ファン15により、第1カバー10と第2カバー11の上空に気流を作り、第1排気孔12と第2排気孔13の外側の上空の気圧を多少下げることができ、第1排気孔12と第2排気孔13からの排気を促進することができる。
【0030】
また、第1カバー10と第2カバー11は蝶番により接続され、フロントペーパーガイド4の湾曲した表面に沿って配置できるようにしている。第1カバー10と第2カバー11は、所定の角度で止められ、フロントペーパーガイド4に沿った形状となる。第1カバー10と第2カバー11は、フロントペーパーガイド4に対して開閉でき、開けたときにコンパクトに収納できるように2つに分けられている。
【0031】
ここで、主な空気の流れについて説明する。筐体内は、吸気ファン14によって内部に空気が吸引され、排気ファン15、吸引ファン24によって空気が排出される。吸気ファン14の吸気能力は、排気ファン13、吸引ファン24の排気能力より高く設定されている。そのため、第1排気孔12、第2排気孔13、給紙口32、排紙口33やその他の隙間などからも空気が排出される。第1の風向制御板17、曲げ部18などにより、後方に空気が流れ難くしてある。すなわち前方に流れやすくなるように、後方への流れの空気抵抗を高くしてある。例えば、給紙口32より排紙口33の方が、ギャップを広くしてある。すなわち、曲げ部18とリアエッジガイド21のギャップより、第2カバー11とフロントエッジガイド11のギャップの方が大きい。そのため、排紙口33からのほうが空気を排気し易くなっている。このようにすることで、筐体内の空気を、フロントペーパーガイド4と第3の風向制御板19の間を通し、外部に排気させ易くすることができる。
【0032】
吸気ファン14は、筐体の背面にインクジェットプリンター1の長手方向に沿って複数配置され、外部の空気を取り込む。吸気ファン14によって、外部の空気は、点線の矢印40で示された方向に流れ、筐体に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、キャリッジファン25によってキャリッジ7内に入るものと、点線の矢印41で示された空気の流れのように、風防カバー9方向に流れるものに分かれる。また、前方に流れた空気は、第3の風向制御板19とフロントペーパーガイド4との間を通って外部へ排出されるもの、排気ファン15によって排出されるもの、その他の隙間から排気されるものに分かれる。また、キャリッジ7内の空気を、フロントペーパーガイド4と第3の風向制御板19の間に吹きつけ、主に外部へ排出する。
【0033】
吸気ファン14によって取り込まれた空気を、対向する位置にあるキャリッジファン25によってキャリッジ7内に取り込むので、キャリッジ7の排気口35から排出される空気は、溶媒の蒸気をあまり含まない。その空気を、フロントペーパーガイド4と第3の風向制御板19の間を通して、外部へ排出する。筐体内は、ヒーターによって加熱されたインクの蒸気が充満している。その蒸気を排気ファン15によって排出する。また、フロントペーパーガイド4によって加熱された記録媒体からのインクの蒸気は狭い空間で充満し、インクが乾燥しにくい環境となってしまう。そこで、排気口35からの排出する空気を流すことにより、インクの蒸気の密度を下げることができ、乾燥性を向上できる。
【0034】
また、排紙口33からだけで排気するのではなく、第1排気孔12、第2排気孔13を設けることで、フロントペーパーガイド4上のインクの蒸気を含む空気を、効率的に排出することができる。
【0035】
筐体内の気体がフロントペーパーガイド4の表面に沿って流れやすくしている。フロントペーパーガイド4には、フロントヒーター29が備わり、それによって加熱することで、記録媒体に付着したインクの乾燥を即す。その場合に記録媒体の表面付近に蒸発した溶媒の気体が滞留すると、インクの乾燥を阻害する。そのため、気体を流し、滞留を防止する。フロントペーパーガイド4に沿って気流を作るように、フロントペーパーガイド4に対向して第3の風向制御板19を設け、その間に、排気口35から空気を吹き出し気流を作るようにしている。また、キャリッジ7の外側を流れる気体と混ざり合いながら外に排出されることになる。排気口35からの気流に連動し、周囲の気体の流れも速くなり、スムーズにフロントペーパーガイド4と第3の風向制御板19の間を通り、外部へ排出できる。さらに、排気口35からの気体は、インクの蒸発した気体をほとんど含まないため、乾燥性を増すことができる。
【0036】
排気ファン15によって、効率的にインクの蒸気を含む空気を排出するとともに、フレッシュな外気を効率的に吸引することができる。また、ヒーターなどによって、温度が高くなりすぎることを抑制することができる。
【0037】
上述のように、筐体内に滞留するインクから蒸発して気体となった溶媒の排出を進めることができるので、インクの乾燥性を向上できる。また、フロントペーパーガイド4の表面付近の滞留するインクから蒸発して気体となった溶媒を排除できるので、インクの乾燥を早められる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明はインクジェットプリンターに利用できる。特に大型のインクジェットプリンターに利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 インクジェットプリンター
2 リアペーパーガイド
3 プラテン
4 フロントペーパーガイド
5 搬送ローラー
6 ピンチユニット
7 キャリッジ
8 記録ヘッド
9 風防カバー
10 第1カバー
11 第2カバー
12 第1排気孔
13 第2排気孔
14 吸気ファン
15 排気ファン
16 第2の風向制御板
17 第1の風向制御板
18 曲げ部
19 第3の風向制御板
20 フロントエッジガイド
21 リアエッジガイド
22 吸引室
23 ダクト
24 吸引ファン
25 キャリッジファン
26 レール
27 ベアリング
28 ベアリング
29 フロントヒーター
30 リアヒーター
31 外装ケース
32 給紙口
33 排紙口
34 無端ベルト
35 排気口
図1
図2
図3