(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検知部により検知された前記他車両を、前記自車両の走行中および停車中における対象車両として設定する設定部により、当該他車両が前記対象車両として設定されている場合において、
前記制御部は、
前記検知時間が前記所定期間以上である場合には、当該別の車両を、新たな前記対象車両として設定しなおす、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る車両用表示装置10は、
図1(a)に示すように、車両1のインストルメンタルパネル2(計器板類の設けられたダッシュボード)に設置される表示装置である。また、車両用表示装置10は、液晶表示器からなる表示部400を有する表示装置であって、
図1(b)に示すように、例えば、スピードメーター3およびタコメーター4の間に設けられている。そして、車両用表示装置10は、運転開始〜運転中〜運転終了までにおける各種の報知を、運転者に向けて、行うことができるものとなっている。この各種の報知には、自車両(自車)が危険な状態になりそうな事態であることを知らせる警報も含まれている。さらに、この警報には、車両1(以下、「自車両1」という)と他車両との車間距離が一定間隔未満となったことを知らせる車間距離警報や、自車両1の前に割込み車両が入り込んできたことを知らせる割込み警報(
図1(b))などが含まれている。
【0015】
なお、車両用表示装置10の設置される場所は、運転者の視界に入る範囲内(自車両1の走行中に運転者が見やすい位置)であれば、インストルメンタルパネル2に限られるものではない。
【0016】
図2は、自車両1の一構成例を示すブロック図である。この
図2に示すように、自車両1の前部には、レーザレーダ、ミリ波レーダ等であって車幅方向にも解像度を有するレーダからなる前方センサ200(検知部)が備えられ、前方センサ200は、パルス波の送受信により自車両1から先行車120などの前方障害物までの距離を検出し、前方センサ200からのパルス波の送受信に応じた出力信号が制御部100に送信される。
【0017】
制御部100は、マイクロコントローラやマイクロプロセッサ等を含み各種プログラムを実行することでブレーキアクチュエータ300や表示部400、その他を制御する制御基板で構成されている。
【0018】
そして、前方センサ200から自車両1の前方に向けて車幅方向に渡って複数本のパルス波が送信され、前方センサにより先行車120(以下、「先行車両120」という)からの反射波が受信されることにより、先行車両120が検知される。さらに、前方センサ200からの出力信号に基づき、制御部100によりパルス波の送信から反射波の受信までの時間から、自車両1と先行車両120との距離D(車間距離D)が算出される。また、算出した距離Dの時間変化から、制御部100により自車両1と先行車両120との相対速度を検出することもできる。
【0019】
例えば、自車両1と先行車両120との車間距離Dが、設定された所定間隔よりも短くなるような場合には、制御部100は、ブレーキアクチュエータ300に作動制御信号を出力するとともに、表示部400に警報信号を出力する。そして、ブレーキアクチュエータ300に作動制御信号が入力されると、自動ブレーキ制御が作動して自車両1が減速等(停止も含む)することになる。また、表示部400に警報信号が入力されると、車間距離警報が表示され、運転者に自動ブレーキ制御が作動したことが報知されることとなる。
【0020】
そして、本実施例における自車両1は、制御部100に設けられた記憶領域(例えば、RAMなどで構成されている)である設定部101に、先行車両120との車間距離Dを所定間隔にする設定を記憶させておくことが可能となっている。この車間距離Dは、例えば、走行中や徐行中、停止中などの状況に応じて設定することが可能となっている。また、走行する道路が高速道路であるか一般道路であるかなど、走行する道路の速度制限にも合わせて適正な車間距離Dを設定することが可能となっている。このように構成されていることにより、本実施例の自車両1は、前方センサ200の検知可能な範囲内に先行車両120が存在すると判定された場合には、上述した予め設定した所定間隔になるように、自車両1と先行車両120との車間距離を維持することが可能となっている。
【0021】
さらに、制御部100にはタイマカウンタ102(計測部102)が設けられており、後述する割込み車両が検知されたことに基づいて、所定時間の計測が可能となっている。
【0022】
本実施例において、自車両1における車両用表示装置10は、制御部100と、制御部100から出力された警報信号に基づいて警報を表示する表示部400と、から構成される。なお、本実施例では、制御部100と表示部400とを別々の構成として示しているが、これらを一体化させて形成した表示装置(制御部100および表示部400を備える表示装置)であってもよい。
【0023】
以上のように構成された本実施例の自車両1における車両用表示装置10では、例えば、
図3に示すように、店舗に出入りする車両が自車両1と先行車両120との間に割り込んでくることがある。また、
図3では、自車両1は少なくとも停車しており、先行車両120との車間距離Dが十分な間隔である場合を例にとって説明する。なお、割り込んでくる車両は図示のような右折車500に限られず、店舗に出入りする左折車や直進車の場合もある。
【0024】
この
図3に示すような場合には、前方センサ200が検知していた先行車両120よりも手前に右折車500が位置することとなるため、前方センサ200により検知される対象となる車両が、この右折車500に変わることとなる。
【0025】
前方センサ200により右折車500が検知されると、制御部100は、自車両1と先行車両120との所定間隔の車間距離Dの間に別の車両が割り込んできたと判定し、表示部400に割込み警報信号を出力する。そして、この割込み警報信号が表示部400に入力されると、表示部400では、
図1(b)に示すような「割込み警報」が表示されることとなる。
【0026】
なお、以下では、必要に応じて、前方センサ200により検知されているとともに、自車両1の直前に位置する先行車両120のことをターゲット車両120と呼び、自車両1とターゲット車両120との間に割り込んできた車両(上記でいう右折車500)のことを割込み車両(上記右折車であれば、割込み車両500)と呼ぶ。
【0027】
そして、
図3の例では、右折車500が1台だけであるため、割込み警報が表示されたとしても、この右折車500が、自車両1の手前を通過し終えると、再びターゲット車両120が前方センサ200により検知されることとなるため、割込み警報が表示されなくなる。しかしながら、従来技術では、割込み車両が複数台あるようなケース(割込み車両が次々と続くようなケース)においては、割込み車両が検知される都度、割込み警報が表示されることとなってしまい、運転者にとっては非常に煩わしいという問題が発生している。
【0028】
そこで、本実施例における車両用表示装置10では、自車両1が少なくとも停車しており、先行車両120との車間距離Dが十分な間隔であることを条件として、前方センサ200が自車両1と先行車両120との間に別の車両(割込み車両)を検知した場合に、制御部100が、
図4に示すような処理を実行するように構成した。
【0029】
以下では、制御部100の実行する処理の内容について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
(ステップS1)
まず、制御部100は、レーダ機能が作動中(レーダ作動中)であるか否かを判定する。具体的には、現時点において前方センサ200により他車両(ターゲット車両120または割込み車両を含む)が検知されているか否か(他車両の検知中であるか否か)が判定される。すなわち、ターゲット車両120または割込み車両が検知されているか否かが判定される。
このとき、レーダ作動中ではない場合には、処理を終了し、レーダ作動中である場合には、ステップS2に処理を移す。
【0031】
(ステップS2)
次に、制御部100は、割込み時間の計測中であるか否かを判定する。この「割込み時間」とは、自車両1とターゲット車両120との間に割込み車両が検知された場合に計測が開始される所定時間のことである。
このとき、割込み時間の計測中であると判定された場合には、ステップS5に処理を移し、割込み時間の計測中ではないと判定された場合には、ステップS3に処理を移す。
【0032】
(ステップS3)
次に、制御部100は、前方センサ200により割込み車両が検知されたか否かを判定する。具体的には、自車両1とターゲット車両120との車間距離D内に別の車両が入ってきた場合に、この別の車両を割込み車両(少なくともターゲット車両120とは異なる別の車両)であると判別するものとしている。
このとき、割込み車両を検知していない場合には、処理を終了し、割込み車両を検知した場合には、ステップS4に処理を移す。
【0033】
(ステップS4)
次に、制御部100は、割込み時間の計測を開始する。本実施例では、この割込み時間を「2秒間」としている。なお、この割込み時間は、例えば、1秒間〜5秒間くらいの間で適宜設定可能な構成としてもよい。
そして、割込み時間の計測は、制御部100に設けられたタイマカウンタ102により計測される。具体的には、制御部100は、上記ステップS3における判定が肯定されたこと(割込み車両を検知したこと)に基づいて、所定時間(本実施例では「2秒間」)をカウントダウンさせるようにタイマカウンタをスタートさせる。
【0034】
(ステップS5)
次に、制御部100は、割込み時間が経過したか否かを判定する。
このとき、割込み時間が経過していないと判定された場合には、ステップS8に処理を移し、割込み時間が経過していると判定された場合には、ステップS6に処理を移す。
【0035】
(ステップS6)
次に、制御部100は、ターゲット車両120を割込み車両に変更する。すなわち、現在の割込み車両を新しいターゲット車両120に設定しなおす。
【0036】
(ステップS7)
次に、制御部100は、割込み警報信号を表示部400に出力する。これにより、表示部400では、
図1(b)に示すように、割込み車両を検知したことを運転者に知らせる割込み警報が表示されることとなる。
【0037】
(ステップS8)
次に、制御部100は、前方センサ200により割込み車両が検知されたか否かを判定する。なお、本ステップS8における処理は、上記ステップS3で説明した処理と同じであるため、詳細な説明は省略する。
このとき、割込み車両を検知していない場合には、処理を終了し、割込み車両を検知した場合には、ステップS9に処理を移す。
【0038】
(ステップS9)
次に、制御部100は、現在計測中である割込み時間の計測を途中で終了させるとともに、再度、割込み時間の計測を開始する。すなわち、計測中の割込み時間は一度リセットされ、改めて割込み時間が計測しなおされることとなる。このとき、再度計測(再計測)される割込み時間も、上記ステップS4と同様に、「2秒間」としている。なお、この割込み時間についても、例えば、1秒間〜5秒間くらいの間で適宜設定可能な構成としてもよい。
そして、割込み時間が再計測される場合にも、上述したように、制御部100は、所定時間(本実施例では「2秒間」)をカウントダウンさせるようにタイマカウンタをスタートさせる。
【0039】
以上のように構成された本実施例の自車両1における車両用表示装置10によれば、
図5〜
図9に示すような場合において、割込み警報が表示されないようにしたり、あるいは割込み警報を表示させたり、することができる。
【0040】
図5〜
図8は、自車両1とターゲット車両120との間に割込み車両が検知される場合であっても、割込み警報が表示されない場合の一例について説明する図である。また、
図5〜
図8についても、
図3と同様に、自車両1は少なくとも停車しており、ターゲット車両120(先行車両120)との車間距離Dが十分な間隔である場合を例にとって説明する。
【0041】
例えば、
図5では、自車両1とターゲット車両120との間を、右折車500が割り込んできた場合の一例を示している。このとき、前方センサ200では、自車両1とターゲット車両120との車間距離D内に右折車500が割り込んできたため、この右折車500を割込み車両と判定する。
そして、この場合において、右折車500が2秒間以内に自車両1の手前を通過し終えたときには、割込み警報は表示されない。さらに、右折車501、右折車502、・・・、というように、右折車が複数台続くような場合であっても、それぞれの右折車が自車両1の手前に位置している時間が2秒間以内であれば、割込み警報は表示されない。
【0042】
また、
図6は、店舗から出てきた右折車500が、自車両1の手前を横切って対向車線に移動する場合の一例を示している。このとき、前方センサ200では、自車両1とターゲット車両120との車間距離D内に右折車500が割り込んできたため、この右折車500を割込み車両と判定する。
そして、この場合において、右折車500が2秒間以内に自車両1の手前を通過し終えたときには、割込み警報は表示されない。さらに、右折車501、右折車502、・・・、というように、右折車が複数台続くような場合であっても、それぞれの右折車が自車両1の手前に位置している時間が2秒間以内であれば、割込み警報は表示されない。
【0043】
また、
図7は、店舗から出てきた左折車600が、自車両1の手前を横切って隣車線(片側2車線の隣車線)に移動する場合の一例を示している。このとき、前方センサ200では、自車両1とターゲット車両120との車間距離D内に左折車600が割り込んできたため、この左折車600を割込み車両と判定する。
そして、この場合において、左折車600が2秒間以内に自車両1の手前を通過し終えたときには、割込み警報は表示されない。さらに、左折車601、左折車602、・・・、というように、左折車が複数台続くような場合であっても、それぞれの左折車が自車両1の手前に位置している時間が2秒間以内であれば、割込み警報は表示されない。
【0044】
また、
図8は、店舗から出てきた直進車700が、自車両1の手前を横切って直進する場合の一例を示している。このとき、前方センサ200では、自車両1とターゲット車両120との車間距離D内に直進車700が割り込んできたため、この直進車700を割込み車両と判定する。
そして、この場合において、直進車700が2秒間以内に自車両1の手前を通過し終えたときには、割込み警報は表示されない。さらに、直進車701、直進車702、・・・、というように、直進車が複数台続くような場合であっても、それぞれの直進車が自車両1の手前に位置している時間が2秒間以内であれば、割込み警報は表示されない。
なお、
図8において、直進車700が店舗に入る場合でも上記と同様のことがいえる。
【0045】
このように、
図5〜
図8に示すような場合では、割込み車両(右折車500、左折車600、直進車700)が、自車両1の手前を横切って通過し終えるまでの所要時間は、僅か数秒程度であることが一般的である。したがって、このような場合には、上記ステップS5で説明したように、割込み時間が経過するよりも前に、割込み車両が前方センサ200の検知可能な範囲外に移動しているため、ターゲット車両120が変更されない。これにより、割込み警報は表示されないこととなる。
【0046】
これに対して、
図9は、自車両1とターゲット車両120との間に割込み車両が検知される場合であって、割込み警報が表示される場合の一例について説明する図である。また、
図9についても、
図5〜
図8と同様に、自車両1は少なくとも停車しており、ターゲット車両120(先行車両120)との車間距離Dが十分な間隔である場合を例にとって説明する。
【0047】
図9では、店舗から出てきた左折車600が、自車両1とターゲット車両1との間に割り込んでくるとともに、自車両1の走行車線(自車線)に割り込んでくる場合の一例を示している。このとき、前方センサ200では、自車両1とターゲット車両120との車間距離D内に左折車600が割り込んできたため、この左折車600を割込み車両と判定する。
そして、この場合には、割込み車両(左折車600)が自車両1の走行する自車線にそのまま残ることとなるため、上記ステップS5で説明したように、割込み時間が経過するよりも前に割込み車両が前方センサ200の検知可能な範囲外に移動することがない。このため、ターゲット車両120が、この割込み車両(左折車600)に変更される。そして、表示部400において割込み警報が表示されることとなる。
【0048】
以上のように、本実施例の車両用表示装置10によれば、自車両1がターゲット車両120を検知している状況において、割込み車両を検知した場合には、この割込み車両が所定期間以上、自車両1の手前に位置していると判定された場合にのみ、割込み警報が表示されるように構成されている。したがって、本実施例の車両用表示装置10によれば、自車両1とターゲット車両120との車間距離Dがだいぶ開いているようなケースにおいて、複数台の割込み車両が、次々と通り過ぎていくような場合において、割込み車両を検知するごとに、割込み警報が表示されるといった運転者にとって煩わしい事態の発生を抑制することができる。
【0049】
(その他の実施形態についての言及)
上記実施形態は、本発明を限定するものではなく、要旨を変更しない範囲で様々な形態に変更することができる。
【0050】
なお、上記実施例では、
図3、
図5〜
図9において、自車両1が少なくとも停車している場合において割込み車両が入り込んでくるケースを例にとって説明したが、これに限られない。例えば、自車両1が店舗等の付近を徐行中において同様に割込み車両が入り込んでくるケースにおいても上述したような上記実施例と同様の効果を奏することが可能である。
【0051】
なお、上記実施例で説明した、「自車両1と先行車両120との車間距離Dが十分な間隔である」、とは、少なくとも、この車間距離Dの間を割込み車両が通過することのできる間隔であればよい。
【0052】
なお、自車両1と先行車両120との間に割込み車両が入り込んでくる場面は、上記実施例で説明したような場面に限られない。
【0053】
なお、割込み警報の表示に合わせて、割込み車両を検知したことを知らせる音声(割込み警報に係る音声)を出力させるように構成してもよい。
【0054】
なお、上記実施例では、制御部100が、設定部101や計測部102を有する構成としたが、これに限られない。例えば、制御部100と、設定部101や計測部102とがそれぞれ別の構成であってもよい。