(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の電気掃除機は、掃除機本体に対して伸縮自在に設けられる伸縮パイプの伸出方向の端部に第1ハンドルが配置され、前記掃除機本体側に前記伸縮パイプを部分的に内包する筒部を把持部とする第2ハンドルが配置されている。
この電気掃除機は、掃除機本体に対して伸縮パイプの長さを伸ばした状態でスティック型として使用することができ、また伸縮パイプの長さを縮めた状態でハンディ型として使用することができる。
【0014】
図1は、スティック型として使用する電気掃除機100の全体斜視図である。
図2は、ハンディ型として使用する電気掃除機100の左側面図である。
図3は、吸口体3を取り外した
図2に示す電気掃除機100の平面図である。
図4は、
図3のIV−IV断面図である。なお、
図2及び
図3における伸縮パイプ20は、隠れ線(点線)で表している。また、以下の説明における電気掃除機100の前後上下左右の方向は、
図1及び
図2の矢印で示す前後上下左右の方向を基準とする。
【0015】
図1及び
図2に示すように、電気掃除機100は、吸口体3と、掃除機本体1と、伸縮パイプ20(
図1参照)と、第1ハンドル30と、後に詳しく説明する伸縮パイプ20のロックアンロック装置50(
図6参照)とを備えている。
【0016】
≪吸口体≫
吸口体3は、掃除機本体1の前部に開口する吸込口15(
図4参照)に嵌脱自在に取り付けられる。
図1に示す吸口体3は、電動機駆動の回転ブラシを内蔵するパワーブラシ式吸口体3aであり、
図2に示す吸口体3は、隙間ノズル3bである。なお、電気掃除機100の吸口体3は、これらパワーブラシ式吸口体3aや隙間ノズル3bに限定されるものではなく、他の吸口体を使用することもできる。また、電気掃除機100は、吸口体3を取り付けないで使用することもできる。ちなみに、本実施形態での吸口体3は、掃除機本体1の前端に設けられた吸口体着脱ボタン16を押し下げることによって掃除機本体1から取り外すことができるようになっている。
【0017】
なお、
図1に示す電気掃除機100と
図2に示す電気掃除機100とは、伸び出た伸縮パイプ20の長さが異なり、前記のように吸口体3がパワーブラシ式吸口体3aと隙間ノズル3bとで異なっていること以外は同じ構造となっている。
【0018】
≪掃除機本体≫
掃除機本体1は、ケース10内に後記の電動送風機40(
図4参照)、本体基板44(
図4参照)、蓄電池60(
図4参照)などを備えて構成されている。また、掃除機本体1は、ケース10に対して着脱自在に取り付けられた集塵装置2と、吸口体3から吸い込まれる塵挨を含む空気を集塵装置2に送り込む後記の空気導入管17(
図5参照)とを備えている。
【0019】
掃除機本体1の外形は、主にケース10と集塵装置2とがなす外形で略構成されており前後方向に長い形状となっている。また、掃除機本体1のケース10には、第2ハンドル33が形成されている。前記の第1ハンドル30及び第2ハンドル33については後に詳細に説明する。
【0020】
<ケース>
ケース10は、
図1に示すように、パイプケース部13と、モータケース部11と、蓄電池ケース部12と、導入管ケース部14とを有している。
【0021】
パイプケース部13は、掃除機本体1の上部を前後方向に延びるように形成されている。パイプケース部13は、後記するように、掃除機本体1の後部寄りで第2ハンドル33を形成している。パイプケース部13の外形は、この第2ハンドル33部分を除いて前後方向に延びる凸条形状となっている。
【0022】
パイプケース部13は、
図3及び
図4に示すように、電気掃除機100がハンディ型として使用される際には、後記する伸縮パイプ20(パイプ部材21)を内側に収納する。なお、電気掃除機100がスティック型として使用される際には、パイプ部材21は、
図1に示すように、掃除機本体1の後端部からパイプケース部13の外側に伸び出た状態となる。
【0023】
本実施形態でのモータケース部11は、
図1及び
図2に示すように、パイプケース部13の下側において掃除機本体1の略後半分の範囲でパイプケース部13と蓄電池ケース部12との間に配置されている。モータケース部11は、
図3に示すように、パイプケース部13よりも左右方向に幅広に形成されている。
【0024】
本実施形態での蓄電池ケース部12は、
図1及び
図2に示すように、掃除機本体1の略後半分の範囲でモータケース部11の下側に配置されている。蓄電池ケース部12は、
図3に示すように、パイプケース部13よりも左右方向に幅広に形成され、モータケース部11よりも左右方向に幅狭に形成されている。
【0025】
本実施形態での導入管ケース部14は、後記する空気導入管17(
図5参照)を上側から覆うように配置されている。
なお、
図1及び
図2中、符号80は、後に説明する回転ブラシである。
導入管ケース部14は、
図3に示すように、掃除機本体1の略前半分の範囲でパイプケース部13の右側に張り出すように配置されている。
【0026】
<電動送風機、本体基板及び蓄電池>
図4に示すように、電動送風機40は、モータケース部11内に収容されている。具体的には、電動送風機40は、モータケース部11内に配置される固定ケース11a内にネジなどによって支持されている。
【0027】
電動送風機40は、ファン41と、このファン41を回転軸42周りに駆動する電動機43と、を備えている。
本実施形態での電動送風機40は、ファン41が前方を向くように配置されることで、回転軸42が伸縮パイプ20と平行になっている。
電動送風機40は、集塵装置2側に臨む前部から吸気する。電動送風機40からの排気は、固定ケース11a内を後方に向けて流れる。
【0028】
本体基板44,44は、掃除機本体1を制御する制御基板であり、電動送風機40の後方で固定ケース11a内にネジなどによって固定されている。
本実施形態での本体基板44,44は、上下に分割して配置され、対向する面に電子部品が実装されている。電動送風機40から排出された空気のほとんどは、各本体基板44,44に対向するように配置された電子部品を冷却するように流れる。そして、固定ケース11aの所定の開口部(図示を省略)から流れ出た排気は、モータケース部11の内外を貫く複数のスリットなどで形成される排気口(図示を省略)を介して機外に排出される。なお、この排気口にはフィルタを配置することもできる。
【0029】
蓄電池60は、蓄電池ケース部12内に収容されている。本実施形態での蓄電池60は、上下方向に扁平の直方体で形成されている。蓄電池60は、電気掃除機100の主電源であり、本体基板44、電動送風機40などと電気的に接続されている。
蓄電池60は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの充電可能な二次電池で構成されている。本実施形態での蓄電池60は、単電池を複数用いた組電池を想定しているが、電気掃除機100の使用条件等によっては単電池を使用することもできる。
【0030】
<ダストケース及び空気導入管>
集塵装置2は、
図1に示すように、パイプケース部13の下方であって、モータケース部11の前方に配置されている。また、集塵装置2は、
図4に示すように、掃除機本体1の吸込口15の後方に位置している。
【0031】
図5は、
図4の集塵装置2周りの部分拡大断面図である。
図5は、空気導入管17を表すために作図の便宜上、
図4のケース10、伸縮パイプ20などを省略し、吸込口15、空気導入管17及び集塵装置2のみを表している。
本実施形態での集塵装置2は、サイクロン方式のものであり、略円柱状の外形を有している。
【0032】
この集塵装置2は、
図5に示すように、吸込口15を介して吸引した空気の流入口149が設けられる外筒128と、この外筒128内に配置される内筒129と、この内筒129を所定の位置に固定するフィルタケース131とを備えている。フィルタケース131内には、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)などの高効率フィルタが配置されている。外筒128と内筒129との間には、塵埃分離部134と塵埃収容部135とが形成されている。
図5中、符号133は、外筒128の前側の開口部を気密に閉じている蓋体である。蓋体133は、外筒128の外周面に取り付けられたヒンジ127によって外筒128に取り付けられている。また、蓋体133は、所定のロック装置(図示を省略)によって前記開口部に対する閉状態を維持している。ただし、このロック装置の解除操作によって、蓋体133はヒンジ127周りに回動可能となって外筒128の開口部を開くことができる。
【0033】
このような集塵装置2は、前記したように、ケース10に対して着脱自在に取り付けられる。この際、
図4に示すように、集塵装置2の前部に設けられた被係合部126がケース10側に係合される。また、集塵装置2の後部に設けられた前後方向に移動可能なロックボタン119は、後方に移動することでケース10の所定の位置に設けられた凹部(図示を省略)に嵌り込む。これにより集塵装置2の後部はケース10側に支持される。
【0034】
また、ロックボタン119を前方に移動させて集塵装置2の後部のケース10による支持を解くと、ケース10に対する集塵装置2の後部の離脱が可能となる。そして、集塵装置2の後部を、被係合部126を支点として下周りに回動させることによって集塵装置2の前部のケース10に対する係合も解除可能となる。これにより集塵装置2は、ケース10からの取り外しを行うことができる。
【0035】
空気導入管17は、
図5に示すように、吸込口15と、この吸込口15と流入口149とを繋ぐ連通管18とを備えている。この空気導入管17は、吸引した空気を集塵装置2の外筒128内に送り込む。
【0036】
本実施形態での吸込口15は、前後方向に延びる略円筒体(筒体)で形成されている。この吸込口15は、前記のように、掃除機本体1の前部で前方向に向けて開口し、吸込口15には、嵌脱自在に吸口体3(
図1及び
図2参照)が取り付けられるようになっている。
【0037】
また、
図3に示すように、吸込口15の中心軸Ax1は、掃除機本体1の平面視で後記する伸縮パイプ20の中心軸Ax2の前方延長上に配置されている。また、
図4に示すように、吸込口15の中心軸Ax1は、掃除機本体1の側面視で、伸縮パイプ20の中心軸Ax2の下方でこの中心軸Ax2と平行になるように配置されている。
【0038】
連通管18は、
図5に示すように、吸込口15に接続される集塵装置2の前方から集塵装置2の側面に沿って後方に向かって延び、後端部で流入口149に接続されている。なお、連通管18の後端部は、外筒128の内周に沿って流れる旋回流201を形成するように流入口149に接続されている。
【0039】
本実施形態での集塵装置2は、駆動する電動送風機40(
図4参照)によって例えば吸口体3から塵挨とともに吸込んだ空気流を、空気導入管17を介して流入口149に受け入れる。この空気流は、前記のように外筒128の内周に沿って旋回する。塵埃分離部134では、旋回流201に含まれる塵挨が遠心力によって外筒128の遠心方向(外筒128の半径方向外側)に移動する。塵埃分離部134における外筒128の図示しないメッシュ部を通過した塵挨分離後の空気流は、フィルタケース131を介して集塵装置2の後端から流れ出ていく。集塵装置2を通過した空気流は、さらに浄化されて電動送風機40(
図4参照)に吸い込まれていく。
【0040】
一方、塵埃分離部134で空気の流れ(旋回流)から分離された塵埃は、塵埃収容部135内に搬送される。塵埃収容部135では、塵埃がドーナツ状に溜まっていく。
ユーザは、前記のように集塵装置2をケース10(
図4参照)から取り外し、ヒンジ127周りに蓋体133を回動させて開いた外筒128の開口部からドーナツ状に溜まった塵挨を取り出して廃棄することができる。
【0041】
≪伸縮パイプ≫
伸縮パイプ20は、前記のように、掃除機本体1の後端部から伸び出る長さが可変となっている(
図1及び
図2参照)。なお、伸縮パイプ20は、掃除機本体1から伸び出ている長さが伸縮するものであり、掃除機本体1の前後方向における伸縮パイプ20の絶対長さ(全体長さ)が伸縮するものではない。ただし、以下の伸縮パイプ20の用語は、掃除機本体1から伸び出ている部分に限定して適用するものではなく、説明の便宜上、掃除機本体1に内在している部分をも含めた全体の伸縮パイプ20に適用する。
【0042】
伸縮パイプ20は、
図2及び
図3に示すように、電気掃除機100がハンディ型として使用される場合には、伸縮パイプ20の略全長にわたってパイプケース部13内に収容される。つまり、伸縮パイプ20の前後方向の長さとパイプケース部13の前後方向の長さとは略同じに設定されている。
【0043】
伸縮パイプ20は、
図4に示すように、伸縮パイプ20の長さ方向(前後方向)の略全体を占めるパイプ部材21と、パイプ部材21の両端内側にそれぞれ配置される第1挿入部材22、及び第2挿入部材23と、を備えている。
【0044】
パイプ部材21の後端部には、後に詳しく説明する第1ハンドル30が取り付けられている。ユーザは、この第1ハンドル30を把持することで伸縮パイプ20(パイプ部材21)を掃除機本体1から引き出すこととなる。
【0045】
図6は、
図4のVI部の部分拡大断面図である。
図6に示すように、パイプ部材21の前側には、伸縮パイプ20の掃除機本体1に対するロックアンロック装置50が配置されている。
【0046】
パイプ部材21の前側上部には、ロックアンロック装置50をパイプ部材21の内外に臨ませる長孔25が形成されている。この長孔25は、本実施形態でのロックアンロック装置50のサイズに合わせて前後方向に長く形成されている。ロックアンロック装置50については後に詳しく説明する。
【0047】
本実施形態でのパイプ部材21は、アルミニウム合金などの軽金属からなる金属パイプを想定しているがこれに限定されるものではなく、合成樹脂などの他の材料からなるものを使用することもできる。また、本実施形態でのパイプ部材21は、断面形状が円形であるものを想定しているが、楕円、多角形などの他の形状とすることもできる。
【0048】
第1挿入部材22は、
図6に示すように、パイプ部材21の前側に配置されている。
第1挿入部材22は、パイプ部材21に内嵌される筒部22aと、ロックアンロック装置50の基部を支持する支持部22bとを備えている。
【0049】
筒部22aは、パイプ部材21の内側に収まる外径を有している。筒部22aの前端部には、パイプ部材21の前端に当接するフランジ22cが形成されている。また、筒部22aの後端上部には、長孔25の前縁部に掛る爪部22dが形成されている。第1挿入部材22は、フランジ22cと爪部22dによってパイプ部材21に対して一体になるように支持されている。
【0050】
第1挿入部材22を構成する支持部22bは、筒部22aの後端部から後方に延在する板状部材で構成され、筒部22aと一体成形されている。
支持部22bは、後記のロックアンロック装置50を構成するピン54を摺動可能に保持するピン保持部22eと、ロックアンロック装置50を構成する基部56aがネジ止めされるネジ受け部22fとを有している。
【0051】
本実施形態での第1挿入部材22は、合成樹脂からなるものを想定しているがこれに限定されるものではなく、金属などの他の材料からなるものを使用することもできる。
なお、
図6中、符号23aは、電気系統を構成するコードである。パイプ部材21がパイプケース部13に収容された状態で、このパイプ部材21の内側を前後方向に延びている。このコード23aは、パイプ部材21内で延びる少なくとも一部が螺旋状に形成されている。この螺旋部は、掃除機本体1からの伸縮パイプ20の伸び出し量に応じて前後方向に伸縮することができる。このコード23aは、前端がパイプケース部13の前端に設けられた端子(不図示)と電気的に接続され、後端が後記するスイッチ基板36(
図8参照)と電気的に接続されている。
また、コード23aは、
図6において螺旋状の部分のみを図示しておりその他の部分は省略している。また、他の図面においてはコード23aの全ての記載を省略している。
【0052】
図7は、
図4のVII部の部分拡大断面図である。
図7に示すように、第2挿入部材23は、パイプ部材21の後部内側に配置されている。
第2挿入部材23は、後記のロックアンロック装置50を構成する伝達部材27の後端が取り付けられる後端取付部23aと、後端取付部23aから後方に延びて、パイプ部材21の内側で前後方向に摺動することによって後端取付部23aを前後方向に案内する案内部材23bとを備えている。
【0053】
本実施形態での後端取付部23aは、後記する伝達部材27の後端を引っ掛ける立体構造体で形成されているが、これに限定されるものではない。後端取付部23aは、伝達部材27の後端を係止する構造を有していればよく、伝達部材27の後端形状のバリエーションに応じてその構造を適宜に変更することができる。また、後端取付部23aは、これと別体の伝達部材27に接合可能なものに限定されるものではなく、予め伝達部材27に一体に成形された一体成形体とすることもできる。
【0054】
案内部材23bは、後端取付部23aの後端に接続される略円筒体で構成されている。この略円筒体は、パイプ部材21の後端内側面(内周面)に対して摺接する。
案内部材23bの後端部には、フランジ23cが形成されている。このフランジ23cは、案内部材23bがパイプ部材21の内側を前進した際に、パイプ部材21の後端に当接することで、パイプ部材21の内側における第2挿入部材23の最大前進長さを所定長さに規定している。
【0055】
案内部材23bの下壁(下側周壁)には、後記するトリガー39の突出片39cが嵌入される孔部23dが形成されている。
第2挿入部材23は、後に詳しく説明するように、このトリガー39との連係によって、パイプ部材21の内側を前後方向に移動する。
本実施形態での第2挿入部材23は、合成樹脂からなるものを想定しているがこれに限定されるものではなく、金属などの他の材料からなるものを使用することもできる。
【0056】
≪第1ハンドル≫
第1ハンドル30は、
図1及び
図2に示すように、伸縮パイプ20(パイプ部材21)の後端部に取り付けられている。
第1ハンドル30は、
図2に示すように、伸縮パイプ20の中心軸Ax2の後方延長線上に規定される軸線Ax3に沿って延びるように形成されるベースグリップ部30aと、このベースグリップ部30aの軸線Ax3に交差する軸線Ax4に沿って延びる傾斜グリップ部30bと、を備えるピストルグリップで構成されている。さらに詳しくは、ユーザが傾斜グリップ部30bを把持した際に、ユーザの前腕が伸縮パイプ20の中心軸Ax2の後方延長線に沿って略延びるように、ベースグリップ部30aの軸線Ax3と、傾斜グリップ部30bの軸線Ax4との成す角度θが、100°から130°程度に設定されている。
【0057】
第1ハンドル30は、
図1に示すように、操作部31と、トリガー39とを備えている。
操作部31は、ユーザが第1ハンドル30を把持した際に、電気掃除機100の手元操作を可能にしている。操作部31には、複数の操作ボタン31a(本実施形態では前後方向に並ぶ2つの操作ボタン31a)が配置されている。これらの操作ボタン31aは、吸込力の切替え、電動送風機40のオンオフの切換え、パワーブラシ式吸口体3aのオンオフの切替えなどに割り当てることができる。
【0058】
図8は、第1ハンドル30の分解斜視図である。
図8に示すように、第1ハンドル30は、ハンドル上半体35と、スイッチ基板36と、基板下カバー部材37と、ハンドル下半体38と、トリガー39とが上下方向に組み合わされて形成される。具体的には、
図7に示すように、パイプ部材21を上下方向からそれぞれ挟み付けるようにハンドル上半体35とハンドル下半体38とが配置される。また、これらハンドル上半体35及びハンドル下半体38同士は、ネジTで締結されてパイプ部材21に固定される。
【0059】
図8に示すように、ハンドル上半体35は、第1ハンドル30の略上半分の外形を形成している。ベースグリップ部30a(
図2参照)を形成するハンドル上半体35部分は、掃除機本体1の後部側のパイプケース部13の外形と近似した外形を有している。したがって、
図2に示すように、伸縮パイプ20の中心軸Ax2の後方延長線上に軸線Ax3が配置されるベースグリップ部30aは、ハンディ型の使用態様の電気掃除機100において、パイプケース部13からベースグリップ部30aへと外形が連なった印象を与える意匠性を有している。
【0060】
図9は、
図8のIX−IX断面を部分的に描いた部分断面図である。
図9には、仮想線(二点鎖線)でスイッチ基板36と基板下カバー部材37とを描いている。
図9に示すように、ハンドル上半体35の下面側には、前後方向(
図9の紙面に対して垂直方向)に延びる一対のリブ35aが形成されている。
【0061】
一対のリブ35aは、スイッチ基板36の左右幅と略同じ距離をおいて対向している。
また、リブ35aの下端には、ハンドル上半体35の中央側に向けて屈曲する爪部35bが形成されている。爪部35bは、図示を省略するが、前後方向に延びるそれぞれのリブ35aの下端辺に沿って複数形成されている。本実施形態での爪部35bは、各リブ35aにそれぞれ2つ形成されている。
【0062】
これらの爪部35bは、一対のリブ35a間に配置されるスイッチ基板36の左右両縁に係止することで、操作部31に対応するように、スイッチ基板36をハンドル上半体35の下面側の所定位置に支持している。
図9中、符号31は、操作部であり、符号31aは、操作ボタンであり、符号37aは、基板下カバー部材37の台座部であり、符号37bは、基板下カバー部材37の板枠部である。
【0063】
基板下カバー部材37は、
図8に示すように、パイプ部材21の曲面に合わせた曲面を有する台座部37aと、スイッチ基板36を三方から囲むように台座部37aに形成される板枠部37bと、を備えている。
【0064】
本実施形態での基板下カバー部材37は、電気絶縁性を有する合成樹脂で形成されている。この基板下カバー部材37は、本実施形態での金属製のパイプ部材21上で、スイッチ基板36を下方から覆うように配置されている。また、板枠部37bは、
図9に示すように、ハンドル上半体35の一対のリブ35aを外側から挟持するように配置される。つまり、スイッチ基板36は、リブ35aを介して電気絶縁性の板枠部37bで覆われている。
【0065】
図8に示すように、ハンドル下半体38は、第1ハンドル30の略下半分の外形を形成している。ベースグリップ部30a(
図2参照)を形成するハンドル下半体38部分には、ハンドル下半体38の下面を上下方向に貫く3つのスリット38a,38b,38cが形成されている。
【0066】
これらのスリット38a,38b,38cは、前後方向に延びるように形成されている。また、スリット38a,38b,38cは、ハンドル下半体38の左右幅方向に3列並ぶように形成されている。
【0067】
これらのスリット38a,38b,38cのうち、スリット38aは、他のスリット38b,38cよりもやや前方にシフトしてハンドル下半体38の左右幅方向の中央に形成されている。また、スリット38b,38cは、スリット38aよりもやや後方にシフトし、スリット38aの後部を部分的に挟む位置に形成されている。
なお、
図7に示すように、パイプ部材21の下側周壁において前記のスリット38aと対応する位置には、スリット38aと上下に互い重なり合うようにスリット21aが形成されている。このパイプ部材21のスリット21aについては後に説明する。
【0068】
図7に示すように、スリット38aには、後記するトリガー39の突出片39cが挿通されている。また、
図8に示すスリット38b,38cには、後記するトリガー39の案内リブ39d,39eがそれぞれ挿通されることとなる。
【0069】
また、
図8中、符号38d,38dは、ネジT(
図7参照)が挿通されるボス部であり、ハンドル上半体35の下面には、
図7に示すようにこれらボス部38d,38dに対応するようにボス部35d,35dが形成されている。
図8中、符号21b,21bは、パイプ部材21に形成されたボス部35d,35d(
図7参照)の挿通孔である。なお、
図8に図示しないが、パイプ部材21の下側周壁には、ボス部38d,38dの挿通孔が形成されている。
【0070】
トリガー39は、
図8に示すように、スライダ39aと、指掛け部39bとを備えている。
スライダ39aは、ハンドル下半体38の下面を前後方向にスライドする部材であり、ハンドル下半体38の下面に対して摺接する略板状体で形成されている。このスライダ39aの上面には、ハンドル下半体38のスリット38a,38b,38cに対応するように、前記の突出片39cと、一対の案内リブ39d,39eとが立設されている。
【0071】
突出片39cは、
図7に示すように、ハンドル下半体38のスリット38aを上下方向に貫通している。また、突出片39cは、パイプ部材21のスリット21aを上下方向に貫通している。そして、スリット21aから上方に突出する突出片39cの先端部は、パイプ部材21の内側に配置される案内部材23bに係合している。
【0072】
案内リブ39d,39eのそれぞれは、前記のようにスリット38b,38cに挿通される。案内リブ39d,39eは、スリット38b,38c内を前後方向に摺動する。これによりユーザが指掛け部39bに手指を掛けて引いた際には、スライダ39aは、スリット38b,38cの延びる前後方向に沿うように案内されて、がたつくことなく後方にスムーズに移動する。
【0073】
なお、図示は省略するが、案内リブ39d,39eの側面には、それぞれ前後方向に延びる溝部が形成されており、この溝部には、スリット38b,38cの近傍でハンドル下半体38の下側内周面に設けられた前後方向に延びるレール部材が嵌め込まれている。これによりトリガー39は、ハンドル下半体38から下方に脱離することなく前後方向に移動自在となっている。
このような第1ハンドル30を構成するトリガー39は、後記するようにロックアンロック装置50の一部をも構成している。
【0074】
≪第2ハンドル≫
図3及び
図4に示すように、第2ハンドル33は、掃除機本体1の後側上部に形成されている。
第2ハンドル33は、掃除機本体1の前後方向に延在するパイプケース部13のうち、掃除機本体1の後部で伸縮パイプ20(パイプ部材21)を部分的に内包する筒部22aを把持部としている。
言い換えれば第2ハンドル33は、
図2に示すように、モータケース部11とパイプケース部13とを部分的に上下に分かつように掃除機本体1を左右方向(
図2の紙面に対して垂直方向)に貫くユーザの手指の挿入口33aが形成されて構成されている。
【0075】
本実施形態で挿入口33aは、側面視で前後方向に長い長孔となっている。さらに具体的には、この長孔は、前後両端部に同径の円弧を備え、円弧に連なる上下二辺が互いに平行となったトラック形状(オーバル形状)となっている。つまり、この長孔は、上下二辺に対する円弧が正接円弧となっている。これにより挿入口33aに対するユーザの手指の収まりが良好となる。
【0076】
また、側面視での長孔の前後方向に延びる中心軸線Ax5は、掃除機本体1の吸込口15の中心軸線Ax1の後方延長線上に位置している。つまり、長孔の上下二辺のそれぞれは、吸込口15の中心軸線Ax1に対して平行となるように形成されている。
【0077】
このような第2ハンドル33は、図示は省略するが、筒部22aに対向するモータケース部11の上面S1(
図1参照)を、上側に凹となるように形成することもできる。これにより掃除機本体1の上下高さを増加させることなく、挿入口33aを大きく確保することができる。
【0078】
また、本実施形態での第2ハンドル33は、
図4に示すように、電動送風機40の固定ケース11a上に形成されている。具体的には、第2ハンドル33の把持部としての筒部22aの下方に蓄電池60の少なくとも一部、電動送風機40の少なくとも一部、及び本体基板44の少なくとも一部が位置するように、挿入口33aの前後方向の位置が設定されている。これにより、
図2に示すように、ユーザが把持する筒部22aの下方付近に電気掃除機100の重心Gaが位置する。特に吸口体3を下方に傾けた際には、筒部22aの真下に重心Gaが位置する。よって、ユーザの手指に掛る荷重の負担が軽減される。
【0079】
≪ロックアンロック装置≫
ロックアンロック装置50(
図6参照)は、パイプケース部13(
図6参照)内を前後に移動する伸縮パイプ20(
図6参照)を所定の位置にロックし又はアンロックするものである。これにより掃除機本体1(
図2参照)から後方に伸び出す伸縮パイプ20(
図2参照)の長さが調節される。
【0080】
このロックアンロック装置50は、伸縮パイプ20とともにパイプケース部13内を前後に移動し、前後方向の所定の位置に係止される被係止部51(
図6参照)と、この被係止部51を所定の位置に係止する係止部52(
図6参照)と、被係止部51を係止部52に係止させ、又はこの係止を解かせる作動部53(
図6及び
図7参照)と、を備えている。
【0081】
<被係止部>
図6に示すように、被係止部51は、前記の第1挿入部材22(支持部22b)に取り付けられることで、前記のように伸縮パイプ20とともにパイプケース部13内を前後に移動する。この被係止部51は、パイプ部材21の長孔25を介してパイプ部材21の内外に臨んでいる。
【0082】
本実施形態に係る電気掃除機100における被係止部51は、パイプ部材21の先端側のみに形成されている。
被係止部51は、上下移動するピン54と、ピン54を下方に付勢するばね55と、後記する作動部53の引張動作を受けてばね55の付勢力に抗してピン54を引き上げるピン引上げ機構56と、を備えて構成されている。
【0083】
ピン54は、略円柱形状を呈しており、ピン54の中心軸が上下方向に向くようにピン引上げ機構56に支持されている。
【0084】
ピン引上げ機構56は、伸縮パイプ20の第1挿入部材22(支持部22b)にネジTで取り付けられる基部56aと、ピン54を支持する上下移動自在な可動部56bと、後記する作動部53による引張力を受けて後方に移動することで可動部56bを上方に移動させるスライダ部56cと、を備えて構成されている。
【0085】
なお、ばね55の上下端のそれぞれは、基部56aと可動部56bとに支持され、ばね55は、可動部56bを基部56aから離反させるように付勢している。これによってピン54は、下方に向けて付勢される。
【0086】
図10(a)は、ロックアンロック装置50の分解斜視図である。
図10(a)は、作図の便宜上、掃除機本体1から分離した伸縮パイプ20にロックアンロック装置50が取り付けられる様子を示している。
図10(b)は、
図10(a)のX−X断面図である。
図10(a)に示すように、基部56aは、可動部56bの左右両側部と後部とを覆う壁板を有する枠体で構成されている。
【0087】
図10(a)に示すように、可動部56bは、前後方向に長い枠体で形成され、前後のにはそれぞれテーパ面S2,S2が形成されている。このテーパ面S2,S2は、前方から後方に向けて下り勾配となるように傾斜している。
この可動部56bの内側には、前記のピン54及びばね55が配置されるとともに、可動部56bは、基部56aを構成する枠体の内側に基部56aの下方から組み付けられる。
【0088】
図10(a)に示すように、スライダ部56cは、基部56aの上側に配置される略板体からなるベース部56dと、このベース部56dから下方に突出する前後一対の可動部当接突起56e,56eと、を備えている。可動部当接突起56e,56eには、
図6に示すように、可動部56bのテーパ面S2,S2にそれぞれ当接する湾曲部56f,56fが形成されている。
スライダ部56c(
図10(a)参照)は、基部56a(
図10(a)参照)に対して前後移動可能に基部56aの上側に組み付けられる。
【0089】
図10(a)に示すように、スライダ部56cの後部には、後記する伝達部材27の前端が取り付けられる前端取付部56gが形成されている。本実施形態での前端取付部56gは、伝達部材27の前端が差し込まれる孔で構成されている。この前端取付部56gは、伝達部材27の前端を係止する構造を有していればよく、伝達部材27の前端形状のバリエーションに応じてその構造を適宜に変更することができる。また、前端取付部56gは、これと別体の伝達部材27に接合可能なものに限定されるものではなく、予め伝達部材27に一体に成形された一体成形体とすることもできる。
【0090】
このようなピン引上げ機構56は、
図10(a)に示すように、その下側部分がパイプ部材21の長孔25を介してパイプ部材21内に収められる。
なお、
図10(a)中、符号56はピン引上げ機構を示している。
【0091】
そして、
図6に示すように、基部56aが第1挿入部材22の支持部22bを構成するネジ受け部22fにネジTで締結されるとともに、ピン54がピン保持部22eに挿通される。
【0092】
また、ピン引上げ機構56は、
図6に示すように、パイプ部材21とともにパイプケース部13内に収められる。
なお、
図6中、符号56hは、スライダ部56cの上面で前後方向に延びるリブである。このリブ56hは、パイプケース部13の上側内周面の前後方向に延びるように形成された溝部(図示を省略)に嵌り込むようになっている。これによりピン引上げ機構56がパイプ部材21とともにパイプケース部13内を前後方向に移動する際にがたつきがより確実に防止される。
【0093】
また、
図6中、符号21cは、ピン54の下方でパイプ部材21に形成されたピン挿通孔である。符号34aは、次に説明する係止部52を構成するロックプレート34に形成されたピン嵌入孔である。
【0094】
<係止部>
係止部52は、
図6に示すように、パイプ部材21の下方に配置されるロックプレート34を備えて構成されている。このロックプレート34は、掃除機本体1を構成するケース10に固定されている。
【0095】
ロックプレート34は、前後方向に細長い板体で形成されている。ロックプレート34には、前後方向にそって所定の間隔で複数の前記ピン嵌入孔34a(穴)が形成されている。本実施形態では4つのピン嵌入孔34aが形成されている。
このピン嵌入孔34aに被係止部51を構成するピン54が嵌り込むことによって、ロックアンロック装置50は、伸縮パイプ20のロック状態を維持することとなる。
【0096】
図10(b)に示すように、ロックプレート34の上面に形成されるピン嵌入孔34aの内径D1は、ピン54の外径D3よりも大きく、ロックプレート34の下面に形成されるピン嵌入孔34aの内径D2は、ピン54の外径D3と同径になっている。
つまり、このピン嵌入孔34aは、ピン54の受け入れ側開口部であるロックプレート34の上面側に、呼込み径を広げるR形状が施されている。
また、ピン54の受け入れ側開口部には、このR形状に代えて面取り形状を施すこともできる。
【0097】
<作動部>
作動部53は、
図7に示すように、トリガー39と、第2挿入部材23と、伝達部材27と、を備えている。なお、トリガー39は、前記の第1ハンドル30をも構成し、第2挿入部材23は、前記の伸縮パイプ20をも構成している。
【0098】
この作動部53は、被係止部51(ピン引上げ機構56)のスライダ部56cに引張力を加えるものである。トリガー39と第2挿入部材23については、前記のとおりであり、詳細な説明は省略する。
本実施形態での伝達部材27は、
図4に示すように、前後方向に長いロッド部材で構成されている。この伝達部材27としては、引張力をスライダ部56cに伝達できるものであれば、多少の撓み性を有するワイヤなどを使用することもできる。
【0099】
<ロックアンロック装置の動作>
次に、
図2に示すハンディ型から
図1に示すスティック型に電気掃除機100の使用態様を変更する際のロックアンロック装置50の動作について説明する。
図2に示すハンディ型の使用態様では、掃除機本体1から後方に伸び出す伸縮パイプ20の長さは縮められて、伸縮パイプ20は略全長にわたってパイプケース部13内に収容されている。
【0100】
この際、主に
図6を参照して説明すると、ロックアンロック装置50は、図示は省略するが、ロック状態にあってはピン54の先端がパイプ部材21のピン挿通孔21cを介してロックプレート34のピン嵌入孔34aに嵌り込んでいる。また、ピン54は、ばね55によって下方に付勢されており、ピン嵌入孔34aに嵌り込んだピン54のロック状態は維持される。
これによりパイプケース部13内における伸縮パイプ20の前後方向の移動が禁止されることで掃除機本体1に対する伸縮パイプ20の伸び出し長さは一定長さに固定される。
【0101】
次に、
図7を主に参照して、ユーザの手指が、トリガー39を後方に引くと、トリガー39の突出片39cの先端部は、係合する第2挿入部材23の案内部材23bを後方に移動させる。ちなみに、ユーザはばね55(
図6参照)の付勢力に抗する力でトリガー39を後方に引くことになる。
これにより、案内部材23bの後端と接続される第2挿入部材23の後端取付部23aは、伝達部材27を後方に引く。伝達部材27の先端と接続される被係止部51(スライダ部56c)の先端取付部56g(
図10(a)参照)は、この引張力を受けて後方に移動する。
【0102】
後方に移動するスライダ部56cの湾曲部56f(
図6参照)は、可動部56b(
図6参照)のテーパ面S2(
図6参照)を後方に押しやる。これにより湾曲部56fは、テーパ面S2の下方に位置するようにテーパ面S2上を摺動する。ピン54を支持する可動部56bは、上方に移動する。ピン54は、
図6に示すように、ロックプレート34のピン嵌入孔34aから脱することで前記のロック状態は解かれる。伸縮パイプ20は、パイプケース部13内で前後方向に移動可能となる。
【0103】
次に、
図7を主に参照して、ユーザは、トリガー39を引いた状態で第1ハンドル30を把持してパイプケース部13内で前後方向に移動可能となった伸縮パイプ20を掃除機本体1から引き出す。そして、ユーザは、引き出された伸縮パイプ20の長さが、スティック型としての使用に好適な伸縮パイプ20に近づいたときに、トリガー39を開放するとともに、さらに伸縮パイプ20を引き出していく。
【0104】
このとき
図6に示すピン54は、ばね55によって下方に付勢されつつ、パイプケース部13内を後方に移動する。そして、ピン54がロックプレート34のピン嵌入孔34aに到達すると、ばね55の付勢力によってピン54は、ピン嵌入孔34aに嵌り込む。これにより伸縮パイプ20は、
図1に示すスティック型での使用態様の長さに固定される。
【0105】
≪電気掃除機の使用態様≫
次に、本実施形態に係る電気掃除機100の具体的な使用態様について説明する。なお、
図11から
図18において、前記の
図1から
図10に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
図11は、電気掃除機100をハンディ状態で充電台70に取り付けたときの斜視図である。
図12は、電気掃除機100をスティック状態で充電台70に取り付けたときの斜視図である。
図13は、電気掃除機100をスティック状態で自立させたときの側面図である。
図14は、ふとん吸口6を取付けたハンディ状態の電気掃除機100を示す側面図である。
図15は、回転ブラシ80を使用したハンディ状態の電気掃除機100を示す側面図である。
図16は、パワーブラシ式吸口体3aを取り付けたスティック状態の電気掃除機を示す側面図である。
図17は、別の吸口体(応用吸口体5)を取り付けた使用状態を示す側面図である。
【0107】
図11に示すように、ハンディ状態の電気掃除機100が取り付けられる充電台70は、ベース部71とスタンド部72と充電台端子部(図示を省略)とを含んで構成されている。
ベース部71は、吸口体3(
図1参照)が載置される略矩形状の載置面71aを有している。また、ベース部71には、応用吸口体5(
図17参照)などを着脱自在に取り付ける応用吸口体固定突起71cが設けられている。応用吸口体5を付属した場合、応用吸口体固定突起71cに差し込むことによって保管することができる。
【0108】
スタンド部72は、ベース部71の後端部から鉛直方向(上下方向)上向きに延在している。また、スタンド部72は、上下方向の中央より上部が下部よりも前後方向に厚みを持って形成されている。スタンド部72は、ベース部71に対し着脱自在となっている。
【0109】
スタンド部72の上面72aには、前記の充電台端子部が設けられ、後記する掃除機本体1の蓄電池ケース部12に設けた本体端子部(図示を省略)と導通することにより、蓄電池60へ充電ができるようになっている。
【0110】
また、電気掃除機100は、
図12に示すように、スティック状態でも充電することができる。このとき、吸口体3を装着して電気掃除機100をセットすることで、吸口体3の下面がベース部71の載置面71aに支持されるので、電気掃除機100をより安定して支持することができる。
また、充電台70は、蓄電池60の充電を行わない場合でも、掃除機本体1を収納する際のスタンドとして使用することができる。
【0111】
次に、電気掃除機100の自立構造について説明する。
図13に示すように、前記したように、吸口体3は、吸口ケース3aと、吸口継手3bと、を備えて構成されている。
【0112】
吸口継手3bは、吸口ケース3aに対して前後方向に回動自在に連結される第1接続管3gと、この第1接続管3gに対して左右方向に回動自在に連結される第2接続管3hと、を備えている。
【0113】
第1接続管3gは、床面(清掃面)に対して略平行な状態から略垂直な状態まで(上下方向に)回動可能となるように構成されている。
第2接続管3hは、第1接続管3gに対して左右方向に回動可能となるように構成されている。これにより、例えば、掃除機本体1を床面に対して略垂直にした状態から、掃除機本体1を床面に略平行な状態に向けて倒すことができる。
【0114】
また、第2接続管3hには、蓄電池60から給電が行われる給電端子(図示を省略)が設けられている。また、第2接続管3hには、掃除機本体1の吸込口15と連結される連結管(図示を省略)が形成されている。
【0115】
また、第2接続管3hの先端部には、突起部3mが形成されている。また、吸口ケース3aの上面には、突起部3mの先端部が当接する。また、吸口継手3bが前方に向けて立ち上がったときに、突起部3mの先端が吸口ケース3aの上面に突き当たることで、吸口継手3bの前方への回動動作が規制される。そして、この電気掃除機100では、吸口継手3bの回動が規制されたときに、吸口継手3b(第1接続管3g)の軸を通る鉛直線上に掃除機本体1の重心Gaが位置している。これにより、電気掃除機100を自立させることができる。
【0116】
次に、ふとん吸口6を使用した電気掃除機100について説明する。
図14に示すように、ふとん吸口6は、吸口本体6a、回転体6bおよび継手6cを備えて構成されている。
ふとん吸口6では、継手6cを床面(被清掃面)側に寝かせたときに、吸口本体6aの下面に対して、例えば、15度といった浅い角度となるように構成されている。
これにより、ふとんをハンディ型で清掃する際に、掃除機本体1を前後に円滑に移動させることが可能になる。
また、図示は省略するが、伸縮パイプ20を伸ばすことでスティック型にてふとんを清掃することもできる。
【0117】
次に、掃除機本体1に回動自在に取り付けられる回転ブラシ80について説明する。
図15に示すように、回転ブラシ80は、掃除機本体1の前端に回動自在に支持される回転ベース81aと、この回転ベース81aに植設される刷毛部81bとを有して構成されている。
回転ベース81aは、収納状態において、
図2に示すように、吸込口15の下方に回動するようになっている。
掃除機本体1をハンディ型として使用する際、回転ブラシ80を回動させて刷毛部81bを平らな清掃面に接触できるようになっている。
【0118】
次に、
図16に示すように、パワーブラシ式吸口体3aを取り付けた電気掃除機100では、スティック状態の使用にして、掃除機本体1を寝かした状態にすることで、ベッドやソファの下の床面を掃除することが可能になる。
【0119】
また、
図17に示すように、電気掃除機100は、応用吸口体5を取り付けて使用することもできる。
応用吸口体5の先端は、狭い場所の清掃をすることができるように、例えば回転ブラシ80よりも小さい形状となっている。また、ハンディ型では届かない高い場所の清掃をするために、長さが伸縮できる構成となっている。
【0120】
≪電気掃除機の作用効果≫
次に、本実施形態に係る電気掃除機100の奏する作用効果について説明する。
電気掃除機100は、掃除機本体1に対して伸縮自在に設けられる伸縮パイプ20の伸出方向の端部に第1ハンドル30が配置され、掃除機本体1側に伸縮パイプ20を部分的に内包する筒部22aを把持部とする第2ハンドルが配置されている。
これにより、電気掃除機100をハンディ状態で使用する際に、第1ハンドル30を電気掃除機100の重心Ga(
図2参照)に近づけることができる。また、ハンディ状態で第2ハンドル33を使用する際にも、第2ハンドル33は重心Ga(
図2参照)に近づいている。したがって、電気掃除機100によれば、ユーザの手指に大きな負担がかかることがない。
【0121】
また、電気掃除機100では、第2ハンドル33の把持部としての筒部22aの下方に蓄電池60の少なくとも一部、電動送風機40の少なくとも一部、及び本体基板44の少なくとも一部が位置するように、挿入口33aの前後方向の位置が設定されている。これにより、
図2に示すように、ユーザが把持する筒部22aの下方付近に電気掃除機100の重心Gaが位置する。よって、ユーザの手指に掛る荷重の負担が軽減される。
【0122】
また、電気掃除機100においては、
図3に示すように、吸込口15の中心軸Ax1は、掃除機本体1の平面視で後記する伸縮パイプ20の中心軸Ax2の前方延長上に配置されている。また、
図4に示すように、吸込口15の中心軸Ax1は、掃除機本体1の側面視で、伸縮パイプ20の中心軸Ax2の下方でこの中心軸Ax2と平行になるように配置されている。
したがって、この電気掃除機100によれば、伸縮パイプ20の後部に取り付けられる第1ハンドル30を把持して吸込口15を床面側に向けた際の操作性に優れる。
【0123】
また、
図2に示すように、ユーザの手指の挿入口33aとなる長孔向に延びる中心軸線Ax5は、掃除機本体1の吸込口15の中心軸線Ax1の後方延長線上に位置している。
したがって、この電気掃除機100によれば、第2ハンドル33を把持して吸込口15を床面側に向けた際の操作性に優れる。
【0124】
また、電気掃除機100がスティック型の形態で使用される場合、電気掃除機100の重心Gaが手元ではなく床面側になるので、手に大きな負担をかけることなく、掃除が可能になり、使い勝手が向上する。
このように、電気掃除機100は、ハンディ型でもスティック型でも使い易さを実現できる。
【0125】
また、この電気掃除機100によれば、伸縮パイプ20のロックアンロック装置50を操作するトリガー39が第1ハンドル30を構成しているので、第1ハンドル30を使用した伸縮パイプ20の長さ調節が極めて簡単となる。
【0126】
また、この電気掃除機100によれば、操作ボタン31aが第1ハンドル30を構成するベースグリップ部30aの上面に配置されているので、ユーザは第1ハンドル30を把持した側の手の指で電気掃除機100の電気的操作を簡単に行うことができる。
【0127】
また、この電気掃除機100においては、操作ボタン31aに連係するスイッチ基板36が第1ハンドル30内に配置されている。また、スイッチ基板36は、第1ハンドル30を構成するハンドル上半体35の下面側に設けられたリブ35aに係止されているので、スイッチ基板36の取付安定性及び信頼性に優れる。
【0128】
また、この電気掃除機100においては、スイッチ基板36がリブ35aを介して電気絶縁性を有する板枠部37bに覆われているので、外部からの電気的影響を受けにくい。
【0129】
また、この電気掃除機100においては、
図6に示すように、伸縮パイプ20(パイプ部材21)の前端部に被係止部51を備えている。ところで、従来の電気掃除機(例えば、特許文献1参照)では、掃除機本体の後端部にてパイプ部材を係止することで、パイプ部材の伸出長さをロックしている。しかし、従来の電気掃除機では、掃除機本体内にパイプ部材を押し込んだ際に、パイプ部材の先端が掃除機本体内でフリーとなってがたがつく。
【0130】
これに対して、本実施形態の電気掃除機100では、伸縮パイプ20(パイプ部材21)の前端部に被係止部51を備えているので、従来の電気掃除機と異なって伸縮パイプ20(パイプ部材21)の前端部が、がたつくことが防止される。
【0131】
また、本実施形態の電気掃除機100では、被係止部51は伸縮パイプ20(パイプ部材21)の前端部のみに配置されているとともに、係止部52としてのピン嵌入孔34aは、ロックプレート34の前後方向に沿って複数形成されている。
【0132】
ところで、従来の電気掃除機(例えば、特許文献1参照)では、パイプ部材の長手方向に沿って複数の被係止部(孔)が形成されている。したがって、従来の電気掃除機は、パイプ部材が掃除機本体から伸び出すと、パイプ部材の被係止部(孔)が目立つ問題がある。これに対して本実施形態の電気掃除機100では、被係止部51は伸縮パイプ20(パイプ部材21)の前端部のみに配置されているので良好な意匠性を発揮することができる。
【0133】
また、本実施形態の電気掃除機100では、ピン嵌入孔34a(穴)は、ピン54の受け入れ側開口部に、呼込み径を広げる面取り形状又はR形状が施されている。
これにより電気掃除機100は、ピン嵌入孔34a(穴)に対するピン54の受け入れが円滑に行われて伸縮パイプ20(パイプ部材21)のがたつきが防止される。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。
電気掃除機100の使用態様は、
図1に示すスティック状態と
図2に示すハンディ状態の2形態に限定されるものではなく、ハンディ状態とスティック状態の中間の状態で使用することができる。
【0135】
また、前記実施形態の電気掃除機100は、伸縮パイプ20が中空となっているが、中実とすることもできる。
【0136】
また、前記実施形態の電気掃除機100は、係止部52としてのピン嵌入孔34aが、ロックプレート34を貫く孔で形成されているが、本実施形態での係止部52は、有底の穴とすることもできる。