(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604893
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】ガラス繊維基材のほつれ防止処理剤
(51)【国際特許分類】
D06M 15/53 20060101AFI20191031BHJP
C03C 25/32 20180101ALI20191031BHJP
D06M 101/00 20060101ALN20191031BHJP
【FI】
D06M15/53
C03C25/32
D06M101:00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-78897(P2016-78897)
(22)【出願日】2016年4月11日
(65)【公開番号】特開2017-190531(P2017-190531A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年1月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190138
【氏名又は名称】信越石英株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】横澤 裕也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰
【審査官】
斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−287448(JP,A)
【文献】
特公昭52−048235(JP,B2)
【文献】
特開平05−222676(JP,A)
【文献】
特開平05−239765(JP,A)
【文献】
特開2004−263349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 25/00 − 25/70
D06M 13/00 − 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維基材のガラス繊維のほつれを防止するためのガラス繊維基材のほつれ防止処理剤であって、
炭素、酸素及び水素のみから構成され、且つ、分子構造内にエステル結合を含まず、400℃以下の加熱処理で除去することができる低熱分解性ポリエーテル高分子を含有することを特徴とするガラス繊維基材のほつれ防止処理剤。
【請求項2】
前記ガラス繊維基材を構成するガラス材料が石英ガラスであることを特徴とする請求項1記載のガラス繊維基材のほつれ防止処理剤。
【請求項3】
前記低熱分解性ポリエーテル高分子が、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレンオキシドからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のガラス繊維基材のほつれ防止処理剤。
【請求項4】
前記ガラス繊維基材がガラスクロスである、請求項1〜3のいずれか1項記載のガラス繊維基材のほつれ防止処理剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のほつれ防止処理剤が塗布されてなるガラス繊維製品。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載のほつれ防止処理剤をガラス繊維基材に塗布する工程と、
該ほつれ防止処理剤を塗布されたガラス繊維基材を所定の形状に切断する工程と、
該切断されたガラス繊維基材を400℃以下で加熱処理し、前記低熱分解性ポリエーテル高分子を除去する工程と、
を含む、ほつれ防止処理されたガラス繊維製品の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項記載のほつれ防止処理剤をガラス繊維基材に塗布する工程と、
該ほつれ防止処理剤を塗布されたガラス繊維基材を所定の形状に切断する工程と、
該切断されたガラス繊維基材を400℃以下で加熱処理し、前記低熱分解性ポリエーテル高分子を除去する工程と、
を含む、ほつれ防止処理剤の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維基材のほつれ防止処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスクロスは耐熱性に優れるため、断熱材や溶湯(液体金属)の不純物濾過、溶湯の整流などに使用されている。これらの用途に対して使用する場合、ガラスクロス表面の有機物はガス発生の原因となるため、使用時には加熱脱油されたクロスを使用することが望ましい。ところが、加熱脱油されたクロスは種々の形状へカットする際、ほつれてしまったり、毛羽が発生したりして扱いづらいといった問題点があった。特に、石英ガラス繊維の場合、柔軟性に乏しく顕著である。
【0003】
これを防ぐためにはガラスクロスの一部もしくは全体に対してほつれ防止処理剤で表面処理をした後、目的の形状にカットし、ほつれ防止処理剤を最後に焼き飛ばす方法が考えられる。例えば、ほつれ防止処理剤としては特許文献1に記載のエポキシ樹脂が挙げられるが、これは有機溶剤を使用するため環境に良くない。また、特許文献2に記載のポリエステル樹脂、特許文献3に記載のエポキシエステル系樹脂は、分子構造内にエステル結合を有するため、水と反応し一部がカルボン酸やアルコールに分解されやすく化学的に不安定である。また、特許文献4〜5に記載の水系ウレタン樹脂は分子構造内に窒素を含むため、燃焼時に窒化酸化物やシアン化物が発生する可能性があるため、積極的に燃焼させる用途には好ましくない。特許文献6に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂、特許文献7に記載のポリエーテルイミド樹脂、特許文献8に記載のポリオレフィン樹脂、その他、一般的なナイロン6、酢酸ビニル、エチレン−ビニルアルコール、共重合ポリアミドなどのほつれ防止処理剤もあるが、これらは何れも完全に除去するために400℃を超える加熱が必要となり、特許文献9に記載されているように加熱脱油後にガラスクロスの強度が大きく低下してしまうといった問題点がある。特に石英ガラスクロスのようなガラスクロスでは顕著である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−13343
【特許文献2】特開2001−81671
【特許文献3】特開平8−260340
【特許文献4】特開平6−240578
【特許文献5】特開2006−342445
【特許文献6】特開平9−279481
【特許文献7】特開昭63−288272
【特許文献8】特開2001−140143
【特許文献9】特開平3−218948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のガラス繊維製品のほつれ防止処理剤にみられる上記問題を解決するものである。即ち、ガラス繊維製品のほつれを押さえ、有機溶剤を用いず、炭素と酸素と水素のみからなるため加熱脱油に際して安全で、且つ、加熱脱油後のガラス繊維製品の強度低下を防ぐことができるガラス繊維基材のほつれ防止処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガラス繊維基材のほつれ防止処理剤は、上記課題を解決するためになされたもので、炭素、酸素及び水素のみから構成され、且つ、分子構造内にエステル結合を含まず、400℃以下の加熱処理で除去することができる低熱分解性ポリエーテル高分子を含有することを特徴とする。
【0007】
前記低熱分解性ポリエーテル高分子が、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレンオキシドからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0008】
本発明のガラス繊維製品は、本発明のほつれ防止処理剤が塗布されてなるガラス繊維製品である。
【0009】
本発明のガラス繊維製品の製造方法は、本発明のほつれ防止処理剤をガラス繊維基材に塗布する工程と、該ほつれ防止処理剤を塗布されたガラス繊維基材を所定の形状に切断する工程と、該切断されたガラス繊維基材を400℃以下で加熱処理し、前記低熱分解性ポリエーテル高分子を除去する工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラス繊維のほつれを押さえ、有機溶剤を用いず、炭素と酸素と水素のみからなるため加熱脱油に際して安全で、且つ、加熱脱油後もガラス繊維製品の強度低下を防ぐことができるほつれ防止処理剤を提供することができるという著大な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0012】
本発明のガラス繊維基材のほつれ防止処理剤は、炭素、酸素及び水素のみから構成され、且つ、分子構造内にエステル結合を含まない低熱分解性ポリエーテル高分子を含有することを特徴とする。該低熱分解性ポリエーテル高分子は、400℃以下の加熱処理で分解され、除去することができるポリエーテル高分子であり、分解される温度が100℃〜400℃であることが好ましく、100℃〜350℃であることがより好ましい。
【0013】
前記低熱分解性ポリエーテル高分子としては、ポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドを用いることが好ましい。
上記ポリアルキレングリコールとしては、室温で固体の状態、具体的には凝固点が30℃以上であれば特に限定されないが、例えば、PEG#1000(日油(株)製)、PEG#1500(日油(株)製)、PEG#2000(日油(株)製)、PEG#4000(日油(株)製)、PEG#6000(日油(株)製)、PEG#11000(日油(株)製)、PEG#20000(日油(株)製)、プロノン(登録商標)#208(日油(株)製)、ユニルーブ(登録商標)70DP−600B(日油(株)製)、ユニルーブ(登録商標)70DP−950B(日油(株)製)、ポリアルキレングリコール誘導体であるユニオックス(登録商標)M−1000(日油(株)製)、ユニオックス(登録商標)M−2000(日油(株)製)、ユニオックス(登録商標)M−4000(日油(株)製)などが市販されている。これらポリアルキレングリコールは単独でも2種類以上混合しても用いることができる。
【0014】
上記ポリアルキレングリコールのほつれ防止処理剤への配合割合は特に限定されないが、ほつれ防止処理剤の総量100質量%に対して、0.05〜50質量%が好適であり、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。配合割合が、50質量%を超えればほつれ防止処理剤の粘度が上がり、ガラス繊維基材に目曲がりなどが発生し、0.05質量%未満ではほつれ防止効果が低減するおそれがある。
【0015】
上記ポリアルキレンオキシドとしては、室温で固体の状態、具体的には凝固点が30℃以上であれば特に限定されないが、例えば、PEO(登録商標)−1(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−2(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−3(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−4(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−8(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−15(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−18(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−27(住友精化(株)製)、PEO(登録商標)−29(住友精化(株)製)などが市販されている。これらポリアルキレンオキシドは単独でも2種類以上混合しても用いることができる。
【0016】
上記ポリアルキレンオキシドのほつれ防止処理剤への配合割合は特に限定されないが、ほつれ防止処理剤の総量100質量%に対して、0.05〜50質量%が好適であり、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。配合割合が、50質量%を超えればほつれ防止処理剤の粘度が上がり、ガラス繊維基材に目曲がりなどが発生し、0.05質量%未満ではほつれ防止効果が低減するおそれがある。
【0017】
上記ポリアルキレングリコール及びポリアルキレンオキシドは単独でも2種類以上混合しても用いることができる。
【0018】
本発明のほつれ防止処理剤は、溶剤として水を用いることが好ましい。
【0019】
本発明のほつれ防止処理剤は、本発明の効果を損なわない限り、上記したポリエーテル高分子以外の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、400℃以下の加熱処理で除去できる界面活性剤などが挙げられる。
【0020】
ガラス繊維を構成するガラス材料としては特に限定されないが、Eガラス、Dガラス、石英ガラスなどが挙げられる。中でも石英ガラスは柔軟性に乏しく、加熱脱油後のガラス繊維基材においてほつれやすいため、特に効果的である。
【0021】
本発明のほつれ防止処理剤が塗布されるガラス繊維基材としては、製織後、加熱脱油したガラス基材が望ましいが、加熱脱油後にシランカップリング剤などの表面処理が施された表面処理ガラス基材で行っても良い。また、加熱脱油が不要なガラス繊維集束剤が塗布されたガラス繊維基材については、加熱脱油を行わないまま、そのガラス繊維基材表面に対してほつれ防止処理を行うことができる。
【0022】
本発明のほつれ防止処理剤は、ガラス繊維基材のカット時のほつれを防止するために使用する。本発明のほつれ防止処理剤であれば、400℃以下の加熱脱油で完全に除去することができるため、ほつれ防止処理剤を塗布し、所定の形にカットした後に400℃以下で加熱脱油することで、目的形状のガラス繊維基材を得ることができる。
【0023】
本発明のほつれ防止処理剤は、水等の溶剤に、炭素と酸素と水素のみから構成され、且つ、分子構造内にエステル結合を含まない400℃以下の加熱処理で除去することができる低熱分解性ポリエーテル高分子を所定量添加し、攪拌することで製造することができる。
【0024】
本発明のほつれ防止処理剤をガラス繊維基材に塗布する方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法などが挙げられる。
【0025】
本発明のほつれ防止処理剤は、ガラス繊維基材に塗布後、室温でも乾燥させることができるが、加熱して乾燥させることが望ましい。
【0026】
該ほつれ防止処理剤を塗布されたガラス繊維基材を所定の形状に切断した後、該切断されたガラス繊維基材を400℃以下で加熱処理し、前記低熱分解性ポリエーテル高分子を除去し、加熱脱油することにより、本発明のガラス繊維製品を製造することができる。該加熱脱油の処理温度は400℃以下で且つほつれ防止処理剤中の低熱分解性ポリエーテル高分子が分解される温度以上であればよいが、100℃〜400℃が好ましく、150℃〜400℃がより好ましい。
【0027】
本発明のガラス繊維製品は、例えば、断熱材や溶湯(液体金属)の不純物濾過、溶湯の整流用ガラスクロス等の用途に好適である。
【実施例】
【0028】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0029】
以下の実験例、比較例における測定および評価は以下の方法で行った。
【0030】
1.ガラスクロスのカット時ほつれ
ほつれ防止処理済みガラスクロスの一部をカットし、その断面を目視で確認した。
【0031】
2.ほつれ防止処理剤消失温度
ほつれ防止処理済みガラスクロスの一部をカットし、(株)日立ハイテクサイエンス製TG−DTA7300を用いて脱油性の確認を行った。TG曲線の減少が止まり一定になる温度をほつれ防止処理剤消失温度とした。雰囲気は大気とし、昇温速度は10℃/分とした。
【0032】
3.ガラスクロスの引張強度
ほつれ防止処理済みガラスクロスをほつれ防止処理消失温度×2時間の条件で加熱処理した後に、JIS R 3420 2013 7.4.2に従い測定を行った。また、比較のため、ほつれ防止処理を施す前の未処理ガラスクロスについても同様の方法で測定を行った。
【0033】
(実施例1)
ガラスビーカーに水950gを取り、これにポリアルキレングリコールとしてPEG#4000(日油(株)製)50gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。次に、ほつれ防止処理剤に未処理2116タイプ石英ガラスクロス(フィラメント本数:7μm×200本、経糸密度:65本/25mm、緯糸密度:62本/25mm)を10分間浸漬させ、石英ガラスクロスを引き上げた後に100℃×10分間の加熱条件で乾燥させた。各種評価は該ほつれ防止処理済み石英ガラスクロスを用いて行った。結果を表1に示す。
【0034】
(実施例2)
ガラスビーカーに水950gを取り、これにポリアルキレンオキシドとしてPEO(登録商標)−1(住友精化(株)製)50gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0035】
(実施例3)
ガラスビーカーに水990gを取り、これにポリアルキレングリコールとしてPEG#11000(日油(株)製)10gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例4)
ガラスビーカーに水999gを取り、これにポリアルキレングリコールとしてPEG#20000(日油(株)製)1gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例5)
ガラスビーカーに水850gを取り、これにポリアルキレングリコールとしてPEG#1000(日油(株)製)150gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例6)
ガラスビーカーに水600gを取り、これにポリアルキレングリコールとしてPEG#1000(日油(株)製)400gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
(比較例1)
ガラスビーカーに水950gを取り、これに酢酸ビニルエマルションとしてビニブラン(登録商標)1002(日信化学工業(株)製)50gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0041】
(比較例2)
ほつれ防止処理剤としてエポキシ樹脂jER(登録商標)828(三菱化学(株)製)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0042】
(比較例3)
特許文献7に記載の方法で、ガラスビーカーに塩化メチレン940gを取り、これにポリエーテルイミド樹脂としてウルテム(ULTEM)(登録商標)1000(SABICイノベーティブプラスチックス社製)60gを加え、完全に溶解するまで攪拌し、ほつれ防止処理剤を得た。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表1に示した如く、実施例1〜6は炭素と酸素と水素のみから構成され、且つ、分子構造内にエステル結合を含まない400℃以下の加熱処理で除去することができる低熱分解性ポリエーテル高分子を含有することを特徴とするガラス繊維基材のほつれ防止処理剤を使用したため、ほつれが抑制され、且つ、低温で加熱脱油することができたために加熱処理後、石英ガラスクロスの引張強度低下が見られなかった。
一方、表2に示した如く、比較例1〜3は酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂を用いたため、ほつれ防止処理剤消失温度が上がり、加熱処理後石英ガラスクロスの引張強度低下が見られた。