(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記進退機構は、前記第1反射光学素子を回動させることにより、前記第1反射光学素子を前記光路内へ配置し、または、前記光路外へ退避させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
前記第2反射光学素子は、前記反射光学素子の回動に連動し、前記第1反射光学素子の角度に対応した角度に設定されることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る画像表示装置について図面を参照しつつ詳しく説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態は、画像表示装置10と、この画像表示装置10における被投影体をウインドシールド50としたヘッドアップディスプレイ装置とに関する。
図1は、第1実施形態に係る画像表示装置10およびヘッドアップディスプレイ装置の概略構成を示す側面図である。
図2は、画像表示装置10の構成を示すブロック図である。
図3は、ディフューザ12、第1ミラー21、第2ミラー22、および、駆動モータ23の配置を示す斜視図である。
図4(A)は、第1状態における、ディフューザ12、第1ミラー21、および第2ミラー22の関係を示す側面図、
図4(B)は、第2状態における、ディフューザ12、第1ミラー21、および第2ミラー22の関係を示す側面図である。
図1および
図3は、第1ミラー21が第1状態にあるとき、すなわち
図4(A)に対応する状態を示している。また、
図1、
図3、および
図4には、基準座標としてX−Y−Z座標が示されている。Z方向は、ディフューザ12の光軸12cの方向に沿っており、X−Y面はZ方向に直交する面である。
【0016】
図1に示すように、画像表示装置10は、光学エンジン11と、中間画像表示体としてのディフューザ12と、第1反射光学素子としての第1ミラー21と、第2反射光学素子としての第2ミラー22と、投影光学系としての投影ミラー30とを備える。さらに、
図2に示すように、画像表示装置10は、駆動モータ23と、メモリ41とを備える。ここで、第1ミラー21と第2ミラーは反射光学系を構成する。
【0017】
光学エンジン11は、制御部40の制御に基づいてディフューザ12上に中間画像を形成するユニットである。光学エンジン11としては、例えば、光源としてのLEDと、このLEDからの出射光を反射する走査ミラーと、この走査ミラーからの反射光をディフューザ12の光軸12cに平行な光としてディフューザ12に入射させるコリメータレンズとからなる。光学エンジン11およびディフューザ12は画像表示装置10のベース部材(不図示)に固定されている。
【0018】
中間画像表示体としてのディフューザ12としては、例えば、マイクロレンズアレイ、拡散板、ランダム位相板、回折格子が挙げられる。
また、光学エンジン11は、ディフューザ12上に形成される画像に対応する、予めメモリ41に保存された制御データにしたがって駆動される。
【0019】
光学エンジン11の走査ミラーは、2次元スキャナとして、互いに直交する2つの回動軸を中心として反射面が回動する。この走査ミラーにおいては、第1の回動軸を中心とした回動によって1ライン分の光がコリメータレンズに入射し、第2の回動軸を中心とした所定量の回動の後に、第1の回動軸を中心とする回動を行うことによって次の1ライン分の光がコリメータレンズに入射し、これらを繰り返すことによって1フレーム分の光がコリメータレンズ上に照射される。コリメータレンズに照射された光はディフューザ12へ出射され、ディフューザ12上に中間画像が形成される。
【0020】
また、走査ミラーに代えて、DMD(デジタルミラーデバイス)やLCOS(商標、Liquid crystal on silicon)を用いることもできる。DMDを用いる場合は、光源からの入射光をマトリックス状に配列した複数のマイクロミラーのそれぞれで反射させ、ディフューザ12上に中間画像を形成する。LCOSは、透過型と反射型のいずれを用いることができ、LCOSでの透過光または反射光によってディフューザ12上に中間画像を形成する。
【0021】
さらにまた、光学エンジン11とディフューザ12に代えて、自発光デバイス、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)やEL素子(エレクトロルミネッセンス素子)を用いることもできる。
【0022】
第2反射光学素子としての第2ミラー22は、画像表示装置10のベース部材(不図示)に固定されており、ディフューザ12からの出射光の光路Pの外側に配置される。第2ミラー22は、X方向に沿ってみたときに、
図4(A)に示す第1状態における第1ミラー21と平行となるように傾けて配置されている。この傾斜配置により、第1ミラー21の反射面21rで反射されてY方向に沿って進行した光L12は、第2ミラー22の反射面22rで反射され、Z方向に沿った反射光L13として投影ミラー30へ入射する。
なお、第1ミラー21と第2ミラー22の配置は、ディフューザ12からの出射光が、ディフューザ12にもどることなく、第1ミラー21、第2ミラー22の順に反射されて投影ミラー30へ入射すれば任意に設定可能である。
【0023】
第1反射光学素子としての第1ミラー21は、制御部40の制御によって回動する駆動モータ23によって、回動軸21cを中心として回動する。駆動モータ23は、画像表示装置10のベース部材(不図示)に固定されている。
図3に示すように、回動軸21cは、第1ミラー21に対して、第1ミラー21の幅方向(X方向)に沿って延びるように固定され、その長手方向(X方向)の端部には同心状に歯車21gが設けられている。この歯車21gは、駆動モータ23の駆動軸23cの先端に設けた歯車23gと噛み合っており、駆動モータ23の駆動によって、歯車23g、21gを介して、回動軸21cが回動し、これにともなって第1ミラー21が回動する。これにより、駆動モータ23と回動軸21cは、第1ミラー21をディフューザ12からの出射光の光路P内へ配置し、または、第1ミラー21を光路Pの外側へ退避させる進退機構として機能する。
【0024】
また、第1ミラー21においては、回動軸21cと平行に延びるように、ディフューザ12側の端部に所定重量のカウンターウエイト21wが設けられている。カウンターウエイト21wを設けることによって、第1ミラー21の回動時の微小振動を抑えることが可能となり、これにより第1ミラー21の回動を安定したものとすることができる。
【0025】
さらに、画像表示装置10のベース部材の上壁部10aには、ダンパー部材24が設けられている。このダンパー部材24は、弾性材料、例えばゴム材料で構成される。ダンパー部材24は、第1ミラー21が回動してディフューザ12の光軸12cと略平行になった状態(
図4(B)に示す第2状態)において、第1ミラー21における、投影ミラー30側の端部の上面21uが弾性的に接触するように配置されている。このように、第2状態において、回動した第1ミラー21の端部の上面21uがダンパー部材24に接触することによって、第1ミラー21の回動が規制され、第1ミラー21の第2状態が保持される。
【0026】
以上の構成の第1ミラー21は、駆動モータ23の駆動によって回動し、
図4(A)に示す第1状態と、
図4(B)に示す第2状態とのいずれかの状態をとる。
図4(A)に示すように、第1状態においては、ディフューザ12の出射面12aから垂直な方向(Z方向)に沿って出射するディフューザ12の出射光の光路P内に、第1ミラー21の反射面21rが配置され、かつ、第1ミラー21の反射面21rは、ディフューザ12の光軸12cに対して所定の角度をなしている。この所定の角度は、0よりも大きく90よりも小さな角度であって、第2ミラー22の位置と角度に合わせて設定され、本実施形態では、Y方向下方に配置された第2ミラー22の反射面22rと平行になるように設定されている。このような第1状態において、ディフューザ12からの出射光のうち、第1ミラー21に入射した光L11は反射面21rによって反射され、第2ミラー22に入射する。第2ミラー22に入射した光は、第2ミラー22の反射面22rで反射され、Z方向に沿った反射光L13として投影ミラー30へ入射する。
一方、第1ミラー21に入射しなかった光L21は投影ミラー30へ直接入射する。
【0027】
これに対して、第2状態においては、
図4(B)に示すように、第1ミラー21は、回動によって反射面21rがZ方向に沿うように配置され、ディフューザ12の出射光の光路Pの外側へ退避した状態となっている。これにより、ディフューザ12からの出射光L31、L32は、第1ミラー21と第2ミラー22のいずれにも入射することがなく、投影ミラー30に直接入射する。
【0028】
投影光学系としての投影ミラー30は、
図1に示すように、ディフューザ12側に反射面30rを有する凹面鏡(拡大鏡)である。ディフューザ12で結像した画像を含むイメージ光は、投影ミラー30で拡大・反射される。投影ミラー30からの反射光は、被投影体としての、車両のウインドシールド50の表示領域に投影される。このウインドシールド50は半反射面として機能するため、入射したイメージ光は、対象者としての運転者に向けて反射されるとともに、ウインドシールド50の前方位置に虚像が形成され、運転者の目Eには、ステアリングホイールの前方に、ディフューザ12に結像された中間画像に対応する情報が表示されているように見える。
【0029】
図1と
図4(A)に示す第1状態においては、ディフューザ12からの出射光のうち第1ミラー21に入射せずに直接投影ミラー30に入射した光L21は、投影ミラー30で反射されてウインドシールド50に入射し、ウインドシールド50で反射されるととともにウインドシールド50の前方位置に虚像51を形成する。また、ディフューザ12からの出射光のうち第1ミラー21と第2ミラー22に順に反射されて投影ミラー30に入射した光L13は、投影ミラー30で反射されてウインドシールド50に入射し、ウインドシールド50で反射されるととともにウインドシールド50の前方位置に虚像52を形成する。ディフューザ12から直接投影ミラー30に入射した光と、第1ミラー21と第2ミラー22で順に反射されてから投影ミラー30に入射した光とでは、ウインドシールド50に至るまでの光路長に違いがあるため、それぞれに対応する虚像51、52とウインドシールド50との距離も上記光路長に応じて異なったものとなり、第1ミラー21に入射せずに直接投影ミラー30に入射した光L21に対応する虚像51よりも虚像52の方がより前方に形成される。したがって、2つの虚像51、52は運転者から見た奥行き方向(Z方向)において異なる位置に形成されることから、異なる位置に異なる情報を表示することが可能となり、運転状況等に応じて、所望の情報を所望の位置に表示させることが可能となる。
【0030】
一方、
図4(B)に示す第2状態においては、ディフューザ12からの出射光、例えば
図4(B)に示す出射光L21、L31は、第1ミラー21と第2ミラー22によって反射されることなく投影ミラー30に直接入射し、投影ミラー30で反射されてウインドシールド50に入射し、そしてウインドシールド50で反射されるととともにウインドシールド50の前方位置に虚像を形成する。したがって、ウインドシールド50の前方位置に、分割されていない大きな面積で情報を表示させることができ、また、駆動モータ23による第1ミラー21の回動によって、複数の情報を異なる位置に形成できる第1状態と、単一の情報を大きな画面で表示する第2状態とを、運転状況等に応じた所望のタイミングで容易に切り替えることができる。
【0031】
以上のように構成されたことから、上記第1実施形態によれば、投影距離が異なる複数の画像を表示する第1状態と、投影距離が等しい情報を大画面で表示する第2状態とを低コストで容易に切換えることが可能となる。また、第1ミラー21を回動させて光路P内へ配置し、または、光路Pの外側へ退避させるため、第1ミラー21の光路P内への配置、および、光路Pの外部への退避を容易に行うことができる。
【0032】
以下に変形例について説明する。
上記第1実施形態においては、駆動モータ23によって第1ミラー21を回動軸21cを中心として回動させていたが、第1ミラー21の回動は、駆動モータ23以外のアクチュエータ、例えば、ばねやソレノイドを用いて行っても良い。
【0033】
上記第1実施形態においては、第1ミラー21と第2ミラー22の2つのミラーを用いて反射経路を形成して、ディフューザ12からの出射光の一部を投影ミラー30に入射させていたが、3つ以上のミラーで1つの反射経路を形成してもよい。
【0034】
また、
図4(A)、(B)に示す例では、ディフューザ12から直接投影ミラー30に入射する経路と、第1ミラー21および第2ミラー22を経由して投影ミラー30に入射する経路との2つの経路を実現する形態としていたが、これ以外にも経路を設けてもよい。
【0035】
第1状態においてディフューザ12からの出射光を順に反射することができれば、第1反射光学素子および第2反射光学素子として、ミラー以外の光学素子、例えばプリズムを用いてもよい。
【0036】
上記第1実施形態においては、駆動モータ23によって第1ミラー21を回動軸21cを中心として回動させることによって、第1ミラー21をディフューザ12からの出射光の光路P内へ配置し、または、光路Pの外側へ退避させていたが、これに代えて、所定の角度、例えば
図4(A)に示す角度に固定したミラーを、回動させることなくY方向に上下に移動可能に設けてもよい。このミラーは、ばね、ソレノイドなどのアクチュエータによって移動可能であり、ディフューザ12からの出射光の光路Pの内側と外側の2つの位置のいずれかに配置させる。これにより、
図4(A)に示す状態と同様にディフューザ12からの出射光を第2ミラー22側へ反射する第1状態と、ディフューザ12からの出射光がミラーで反射されることなく投影ミラー30へ直接入射する第2状態とを実現することができる。
【0037】
また、上記第1実施形態では、投影ミラー30からの反射光を、被投影体としてのウインドシールド50に投影させていたが、被投影体としてウインドシールド50のうち側にコンバイナを配置し、投影ミラー30からの反射光をコンバイナに投影する構成も可能である。この構成においては、コンバイナが半反射面として機能するため、入射したイメージ光は、対象者としての運転者に向けて反射されるとともに、ウインドシールド50の前方位置に虚像が形成される。
【0038】
<第2実施形態>
図5を参照しつつ、第2実施形態に係る画像表示装置について説明する。
図5は、第2実施形態における、ディフューザ112、第1ミラー121、第2ミラー122、およびリンク部材125の関係を示す側面図である。
図5では、第1ミラー121、第2ミラー122、およびリンク部材125の第1状態を実線で示し、第2状態を破線で示している。
図5には、基準座標としてX−Y−Z座標が示されている。Z方向は、ディフューザ112の光軸112cの方向に沿っており、X−Y面はZ方向に直交する面である。
【0039】
第2実施形態においては、反射光学系としての2つのミラー121、122が互いに連動して回動する点が第1実施形態と異なる。第1実施形態の光学エンジン11と投影ミラー30は第2実施形態においても同様の構成、配置、作用効果を有するため、その説明は省略する。また、第2実施形態のディフューザ112(
図5)も第1実施形態のディフューザ12と同様の構成、配置、作用効果を有する。
【0040】
第1反射光学素子としての第1ミラー121は、第1実施形態の第1ミラー21と同様に、制御部40の制御によって回動する駆動モータ123によって、回動軸121cを中心として回動し、
図5において実線で示す第1状態と、破線で示す第2状態とのいずれかの状態をとる。回動軸121c、歯車121g、反射面121r、カウンターウエイト121w、駆動軸123c、および、歯車123gは、第1実施形態の回動軸21c、歯車21g、反射面21r、カウンターウエイト21w、駆動軸23c、および、歯車23gと同様の構成・作用効果を有する。また、図示しないが、第1実施形態のダンパー部材24と同様にダンパー部材を設けている。第1ミラー121が回動してディフューザ112の光軸112cと略平行になった状態(
図5において破線で示す第2状態)において、第1ミラー121における、投影ミラー30側の端部の上面121uがダンパー部材に弾性的に接触し、第1ミラー121の回動範囲が規制される。ここで、駆動モータ123と回動軸121cは、第1ミラー121をディフューザ112からの出射光の光路P2内へ配置し、または、第1ミラー121を光路P2の外側へ退避させる進退機構である。
【0041】
第1ミラー121の投影ミラー30側の端部121eには、リンク部材125の上端部が連結されており、このリング部材125の下端部には、第2反射光学素子としての第2ミラー122の投影ミラー30側の端部122eが連結されている。第2ミラー122は、画像表示装置のベース部材(不図示)に固定された回動軸122cに対して、ディフューザ112側の端部が回動自在に支持されている。また、リンク部材125は、ディフューザ112からの出射光の進行を妨げない位置、例えば、第1ミラー121および第2ミラー122のX方向の両端部に設けられている。
【0042】
以上の構成においては、駆動モータ123の動作にしたがって第1ミラー121が回動軸121cを中心にして回動すると、リンク部材125で連結された第2ミラー122は、第1ミラー121の動きに連動して、回動軸122cを中心として回動し、
図5において実線で示す第1状態と、破線で示す第2状態とのいずれかの状態をとる。
図5に示す例において、第1ミラー121と第2ミラー122は、X方向から見て略平行な関係を維持するようにそれぞれが回動し、実線で示す第1状態では、第1ミラー121の反射面121rと第2ミラー122の反射面122rはディフューザ112の光軸112cに対して所定の角度をなしており、破線で示す第2状態ではディフューザ112の光軸112cの方向に沿うように位置している。ここで、第1状態における所定の角度は、0よりも大きく90よりも小さな角度である。また、第1ミラー121の反射面121rは、第1状態においてはディフューザ112からの出射光の光路P2内に位置し、第2状態においては光路P2の外側に退避される。一方、第2ミラー122の反射面122rは、第1状態および第2状態のいずれにおいても光路P2の外側に位置する。
なお、第1ミラー121と第2ミラー122の配置は、ディフューザ112からの出射光が、ディフューザ112にもどることなく、第1ミラー121、第2ミラー122の順に反射されて投影ミラー30へ入射すれば任意に設定可能である。
【0043】
第1状態においては、
図5の実線で示すように、ディフューザ112の出射面112aからの出射光のうち第1ミラー121への入射光L111が、反射面121rで反射され、その反射光L112は第2ミラー122に入射し、さらに第2ミラー122の反射面122rで反射した光は、Z方向に沿った反射光L113として投影ミラー30へ入射する。
一方、第1ミラー121に入射しなかった光L121は投影ミラー30へ直接入射する。
【0044】
これに対して、第2状態においては、
図5の破線で示すように、第1ミラー121および第2ミラー122は、回動によって、それぞれの反射面121r、122rがZ方向に沿うように配置され、ディフューザ112の出射光の光路P2の外側へそれぞれ退避した状態となっている。これにより、ディフューザ112からの出射光L121は、第1ミラー121と第2ミラー122のいずれにも入射することがなく、投影ミラー30に直接入射する。
【0045】
第2実施形態によれば、駆動モータ123を動作させることによって、第1ミラー121と第2ミラー122を連動して回動させることができ、これにより、第1ミラー121からの反射光を第2ミラー122から所望の方向に反射させることができる。さらに、第2ミラー122の角度を変えることができるため、第2状態においては、装置内への外光の入射を抑えることが可能となり、これにより、外光によるノイズ画像の発生を抑えることができる。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
【0046】
<第3実施形態>
図6と
図7を参照しつつ、第3実施形態に係る画像表示装置について説明する。
図6は、第3実施形態に係る画像表示装置の概略構成を示す斜視図である。
図7は、
図6に示す筐体220の構成を示す斜視図である。
図6では、第1状態における、ディフューザ212、第1ミラー221、および、第2ミラー222の関係を示しており、
図7では、第2状態におけるディフューザ212、第1ミラー221、および、第2ミラー222の関係を示している。
図6と
図7には、基準座標としてX−Y−Z座標が示されている。Z方向は、ディフューザ212の光軸212cの方向に沿っており、X−Y面はZ方向に直交する面である。
【0047】
第3実施形態においては、中間画像表示体としてのディフューザ212、反射光学系としての2つのミラー221、222が共通の筐体220内に配置されており、また、投影光学系として2つの投影ミラー231、232を備えている点が第1実施形態と異なる。
【0048】
図6に示すように、第3実施形態に係る画像表示装置は、光学エンジン211と、ディフューザ212および2つのミラー221、222を収容した筐体220と、2つの投影ミラー231、232とを備え、これらは、画像表示装置のベース部材200b上に配置されている。光学エンジン211は第1実施形態の光学エンジン11と同様の構成であり、出射光がディフューザ212の光軸212cに沿って、筐体220内のディフューザ212に入射するように配置されている。筐体220からの出射光は第1投影ミラー231、第2投影ミラー232の順に反射・拡大され、その反射光は車両のウインドシールドへ投影され、第1実施形態と同様に、運転者に向けて反射されるとともに、ウインドシールドの前方位置に虚像が形成される。
【0049】
図6と
図7に示すように、筐体220は略直方体状の外形を備える。
図7に示すように、筐体220の光学エンジン211側の背面220aには、光学エンジン211からの出射光が直接入射可能なようにディフューザ212が固定されている。ディフューザ212は、第1実施形態のディフューザ12と同様の構成、配置、作用効果を有する。
【0050】
図7に示すように、筐体220の第1投影ミラー231側の前面220bには、ディフューザ212に対応する形状の開口部220pが設けられている。この開口部220pはZ方向から見て矩形状であって、その中心がディフューザ212の光軸212c上に位置するように設けられている。
また、筐体220には、X方向において互いに対向する2つの側面220c、220dが、Z方向に沿って延びるように設けられ、筐体220の外部から外光が入射することを防ぐ。
このような構成によって、筐体220内において、Z方向に沿って、ディフューザ212の出射面212aから開口部220pへ向かう光路が形成される。
【0051】
図7に示すように、筐体220の上面220eには、回動軸221cを介して、第1反射光学素子としての第1ミラー221が回動可能に支持されている。回動軸221cは、不図示の駆動モータによって駆動され、この回動軸221cの回動にしたがって、回動軸221cを中心として第1ミラー221が回動する。これにより、第1ミラー221は、
図6に示す第1状態と
図7に示す第2状態とのいずれかの状態をとる。第1状態において、第1ミラー221は、ディフューザ212からの出射光の光路内へ傾斜した状態で配置され、また、第2状態において、第1ミラー221は、Z方向に沿って延びるように配置され、ディフューザ212からの出射光の光路の外側へ退避する。第2状態においては、第1ミラー221が筐体220の上面220eを閉じる形となり、筐体220の内部への外光の入射を遮蔽する。
【0052】
ここで、回動軸221cを駆動する駆動モータ(不図示)と回動軸221cとの間には、第1実施形態の第1ミラー21と駆動モータ23と同様に、歯車や駆動軸が設けられているが
図6と
図7ではこれらの図示を省略している。また、第1ミラー221には、第1実施形態の第1ミラー21と同様にカウンターウエイトを設けることが好ましい。さらに、第1実施形態のダンパー部材24と同様に、筐体220の上面220eにダンパー部材を設け、これによって第1ミラー221の回動を規制することが好ましい。ここで、回動軸221cと不図示の駆動モータは、第1ミラー221をディフューザ212からの出射光の光路内へ配置し、または、第1ミラー221を前記光路の外側へ退避させる進退機構である。
【0053】
図7に示すように、筐体220の下面220fには、回動軸222cを介して、第2反射光学素子としての第2ミラー222が回動可能に支持されている。回動軸222cは、不図示の駆動モータによって駆動され、この回動軸222cの回動にしたがって、ディフューザ212からの出射光の光路の外側において、回動軸222cを中心として第2ミラー222が回動し、これにより、第2ミラー222は、
図6に示す第1状態と
図7に示す第2状態とのいずれかの状態をとる。第1状態において、第2ミラー222は第1ミラー221に対応して傾斜した状態で配置され、また、第2状態において、第2ミラー222は、Z方向に沿って延びるように配置される。また、第2状態においては、第2ミラー222が筐体220の下面220fを閉じる形となり、筐体220の内部への外光の入射を遮蔽する。
【0054】
また、駆動モータ(不図示)と回動軸222cとの間には、第1実施形態の第1ミラー21と駆動モータ23と同様に、歯車や駆動軸が設けられているが
図6と
図7ではこれらの図示を省略している。また、第2ミラー222には、第1実施形態の第1ミラー21と同様にカウンターウエイトを設けることが好ましい。また、第1実施形態のダンパー部材24と同様に、筐体220の下面220fにダンパー部材を設け、これによって第2ミラー222の回動を規制することが好ましい。
なお、第1ミラー221と第2ミラー222は、それぞれを回動させるための駆動モータの動作を同期させることが好ましく、これにより、投影画像の切り替えを適切なタイミングで行うことが可能となる。
【0055】
第1状態においては、ディフューザ212の出射面212aから出射光の光路内に、第1ミラー221が配置され、その反射面221rが、ディフューザ212の光軸212cに対して所定の角度をなす。また、第2ミラー222は、筐体220の下面220fよりも下方に傾いた状態となる。この状態においては、
図6に示すように、ディフューザ212からの出射光のうち、第1ミラー221に入射した光L211は反射面221rによって反射され、第2ミラー222に入射する。第2ミラー222に入射した光L212は、第2ミラー222の反射面222rで反射され、Z方向に沿った反射光L213として第1投影ミラー231へ入射する。
一方、第1ミラー221に入射しなかった光L221は第1投影ミラー231へ直接入射する。
【0056】
これに対して、
図7に示す第2状態においては、第1ミラー221は、回動によって反射面221rがZ方向に沿うように配置され、ディフューザ212の出射光の光路の外側へ退避した状態となっている。これにより、ディフューザ212からの出射光は、第1ミラー221と第2ミラー222のいずれにも入射することがなく、第1投影ミラー231に直接入射する。
【0057】
第1投影ミラー231と第2投影ミラー232は、筐体220からの出射光を順に反射・拡大する凹面鏡(拡大鏡)であり、投影光学系を構成する。ディフューザ212で結像した画像を含むイメージ光は、これらの投影ミラー231、232で順に拡大・反射される。第2投影ミラー232からの反射光は、被投影体としての、車両のウインドシールド50の表示領域に投影される。このウインドシールド50は半反射面として機能するため、入射したイメージ光は、対象者としての運転者に向けて反射されるとともに、ウインドシールド50の前方位置に虚像が形成される。
なお、第1投影ミラー231と第2投影ミラー232の一方を、拡大機能を有しないミラーとしてもよい。また、3枚以上の凹面鏡やミラーによって投影光学系を構成してもよい。
【0058】
第3実施形態の画像表示装置によれば、筐体が1つになることからコストの低減が可能となる。さらに、ディフューザと反射光学系を別個の筐体におさめる場合に発生する組み付け誤差を抑えることができるため、組み付け誤差に起因する、投影距離や投影位置のばらつきを抑えることが可能となる。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。