(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態を説明するための全図において同一の機能を有するものは同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0013】
本発明の第一の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の安全支援装置を含む安全運転支援システム100の構成を示す図である。本実施形態の安全運転支援システム100は、車両110および120にそれぞれ搭載された車載運行管理ユニット111および121、車両130に搭載された車載ユニット131と、運行管理センタ140とを備える。
【0014】
車両110、120、130は、鉱山現場などで用いられる車両である。車両110、120は、運行管理センタ140によりそれぞれ運行管理されている重機である。例えば、車両110はダンプトラックであり、車両120はショベルである。一方、車両130は、運行管理センタ140の管制下になく、運行管理されていない一般の車両、例えば、ショベルに人員を運搬する軽車両である。
【0015】
なお、
図1では、3台の車両110、120および130に、車載運行管理ユニット111、121、および車載ユニット131が、それぞれ搭載された安全運転支援システム100の例を示している。しかし、これ以下またはこれ以上の台数の車両に車載装置をそれぞれ搭載して、本実施形態による安全運転支援システム100を構成してもよい。また、本実施形態による安全運転支援システム100には、
図1に示した以外の車両、たとえばホイールローダー、グレーダー等が含まれてもよい。
【0016】
車両110に搭載された車載運行管理ユニット111は、第1運行管理端末112、オペレータ用ユーザインタフェース(I/F)113、および、車両制御システム114を備える。また、車両120に搭載された車載運行管理ユニット121は、第2運行管理端末122、オペレータ用ユーザI/F123、および車両制御システム124を備える。
【0017】
車両130に搭載された車載ユニット131は、オペレータ用ユーザI/F133を備える。なお、車両130は、運行管理センタ140に管理されていないため、運行管理端末および車両制御システムは備えない。
【0018】
また、各車載運行管理ユニット111、121、および、車載ユニット131は、それぞれ、共通の安全運転支援装置200をさらに備える。
【0019】
安全運転支援装置200は、各車載運行管理ユニット111、121、および、車載ユニット131において、それぞれ、第1運行管理端末112、第2運行管理端末122、および、オペレータ用ユーザI/F133に、通信可能に接続される。また、安全運転支援装置200は、当該安全運転支援装置200が搭載された車両(以下、自車両と呼ぶ。)の位置情報を含む車両情報と、自車両の周囲の他の車両(以下、他車両と呼ぶ。)の位置情報を含む車両情報と、を用いて、自車両と他車両との衝突のリスクを判定し、オペレータに警告するために、警告情報を出力する。
【0020】
第1運行管理端末112および第2運行管理端末122は、運行管理センタ140との間で、無線通信を行うことにより、自車両の状態を所定の時間間隔で、運行管理センタ140に通知する。また、運行管理センタ140から送信される指示、情報を受信する。第1運行管理端末112および第2運行管理端末122では、受信した指示から制御信号を生成し、車両制御システム114および124にそれぞれ出力する。
【0021】
さらに、本実施形態の第1運行管理端末112および第2運行管理端末122は、自車両の車両固有の情報(固有情報)および運行状態に関する情報(運行情報)を内部に記憶する。そして、これらの情報を、必要に応じて安全運転支援装置200に出力する。
【0022】
なお、車両110の第1運行管理端末112と、車両120の第2運行管理端末122とは、本実施形態に係る部分は、基本的に同様の構成を有する。このため、以下、本明細書では、特に区別する必要がない限り、運行管理端末112と呼び、代表して説明する。
【0023】
本実施形態のオペレータ用ユーザI/F113、123、133は、安全運転支援装置200から出力される警告情報を、自車両のオペレータに提示する。警告情報は、例えば、自車両と衝突する危険がある他車両に関する情報や該当他車両との衝突リスクに関する情報である。ユーザへの提示は、例えば、ブザーを鳴らしたり、ランプを点灯させたり、警告画面を表示したりすることで、行う。
【0024】
なお、オペレータ用ユーザI/F113、123は、警告情報を、運行管理端末112を介して受信する。オペレータ用ユーザI/F113、123は、例えば、ディスプレイ、音声出力装置であってもよい。なお、オペレータ用ユーザI/F113、123は、ディスプレイ、入力装置、音声出力装置、演算装置(CPU)、記憶装置、メモリ等を備えた汎用の情報処理装置、タブレット端末等であってもよい。
【0025】
なお、オペレータ用ユーザI/F113および123は、基本的に同様の構成を有する。以下、本明細書において、特に区別する必要がない場合は、オペレータ用ユーザI/F113で代表する。また、以下、本明細書では、オペレータ用ユーザI/F113は、ディスプレイである場合を例にあげて説明する。
【0026】
また、車両130のオペレータ用ユーザI/F133は、ディスプレイ、入力装置、音声出力装置、演算装置(CPU)、記憶装置、メモリ、外部機器接続インタフェース(I/F)等を備えた汎用の情報処理装置、タブレット端末等である。外部機器接続I/Fを介して入力された情報を、ユーザに提示可能な構成を有すればよい。
【0027】
車両制御システム114、124は、運行管理端末112からの制御信号に従って、自車両のブレーキや操舵などを制御し、自車両の走行制御を行う。車両制御システム114、124は、基本的に同じ構成を有する。以下、本明細書において、特に区別する必要がない場合は、車両制御システム114で代表する。
【0028】
各車載運行管理ユニット111、121および車載ユニット131に搭載された上記各装置は、各車載運行管理ユニット111、121および車載ユニット131内で、相互にネットワークを介して、または個別に接続されている。
【0029】
[ハードウェア構成]
次に、本実施形態の安全運転支援装置200および運行管理端末112のハードウェア構成について説明する。
【0030】
[安全運転支援装置]
図2(a)は、本実施形態の安全運転支援装置200のハードウェア構成図である。本図に示すように、安全運転支援装置200は、CPU201と、RAM等の揮発性メモリ(以下、単にメモリと呼ぶ)202と、ROM、FLASHメモリ、ハードディスク等の不揮発性ストレージである記憶装置203と、出力装置206と、出力装置用コントローラ205と、接続装置間通信I/F208と、車車間通信I/F209と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機204と、これらを接続する内部バス211とを備える。
【0031】
車車間通信I/F209には、車車間通信でデータを送受信するための車車間通信用アンテナ212が接続される。GNSS受信機204には、GNSSデータを取得するためのGNSSアンテナ213が接続される。なお、安全運転支援装置200が、運行管理端末112に接続される場合は、GNSSアンテナ213は、両者で共用してもよい。また運行管理端末112が接続されている場合はGNSSアンテナ213を安全運転支援装置200に接続せず自車両の位置情報を運行管理端末112から受け取っても良い。なお、GNSSとしてはGlobal Positioning System(GPS)やGLONASSなどがあげられる。
【0032】
接続装置間通信I/F208は、安全運転支援装置200を、運行管理端末112またはオペレータ用ユーザI/F133に接続するためのインタフェースである。安全運転支援装置200と運行管理端末112またはオペレータ用ユーザI/F133との間は、例えば、Ethernet(登録商標)、CAN(Controller Area Network)、Bluetooth(登録商標)などで、通信可能に接続される。以下、本明細書では、安全運転支援装置200と運行管理端末112またはオペレータ用ユーザI/F133との間は、有線、無線を問わず、通信可能に接続されることを、単に接続と呼ぶ。
【0033】
出力装置206は、安全運転支援装置200内での処理結果の、オペレータへの出力インタフェースである。本実施形態では、例えば、後述のリスク判定等を行い、リスクがあると判定された場合、オペレータに警告を出力する。このため、出力装置206には、例えば、ランプ、簡易な表示装置、ブザー、簡易な音声出力装置等のインジケータが用いられる。出力装置用コントローラ205は、出力装置206の動作を制御する。
【0034】
[運行管理端末]
図2(b)は、本実施形態の運行管理端末112のハードウェア構成図である。本図に示すように、運行管理端末112は、CPU301と、RAM等の揮発性メモリ(以下、単にメモリと呼ぶ)302と、ROM、FLASHメモリ、ハードディスク等の不揮発性ストレージである記憶装置303と、ディスプレイI/F305と、制御系I/F307と、接続装置間通信I/F308と、センタ通信I/F309と、GNSS受信機304と、これらを接続する内部バス311とを備える。
【0035】
センタ通信I/F309には運行管理センタ140と通信するための、センタ通信用アンテナ312が接続される。GNSS受信機304にはGNSSアンテナ313が接続される。接続装置間通信I/F308は、安全運転支援装置200との接続インタフェースである。
【0036】
制御系I/F307は、車載ネットワークを介して車両制御システム114と接続するインタフェースである。車載ネットワークには、CAN、車載Ethernetなどが用いられる。
【0037】
ディスプレイI/F305は、オペレータ用ユーザI/F113と、例えば、ディスプレイ用ケーブルを介して接続される。ディスプレイ用ケーブルには、例えば、RGBケーブルやHDMI(登録商標)ケーブルなどが用いられる。
【0038】
なお、本実施形態では、GNSSを用いて取得される自車両の位置情報は、安全運転支援装置200側で直接取得することが可能であるため、運行管理端末112は、GNSS受信機302およびGNSSアンテナ313で構成される自車両位置情報取得機能は、備えなくてもよい。また、自車両位置情報取得機能の有無、あるいは、GNSSアンテナ313の取り付け構成は、車両毎に異なってもよい。
【0039】
[機能ブロック]
次に、本実施形態の安全運転支援システム100を実現する、安全運転支援装置200および運行管理端末112の機能について説明する。
【0040】
[安全運転支援装置]
本実施形態の安全運転支援装置200は、鉱山等で稼働する車両に搭載され、車車間通信により他車両との距離を検出し、車種に応じた衝突リスクを判定する。このとき、搭載される車両を問わず、すなわち、接続先の機器の種類を問わず、機能する。また、接続時、ユーザによる車種等の搭載先車両の情報の設定も不要である。さらに、接続先の機器との接続が断たれた場合であっても、直前の接続時に設定された、車両特有の情報をそのまま利用でき、再度の初期設定処理も不要である。
【0041】
これを実現する、本実施形態の安全運転支援装置200の機能を説明する。
図3(a)は、本実施形態の安全運転支援装置200の機能ブロック図である。本図に示すように、本実施形態の安全運転支援装置200は、固有情報設定部251と、自車両情報管理部252と、他車両情報管理部253と、リスク判定部254と、車車間通信部255と、他装置間通信部256と、位置情報取得部257と、出力データ生成部258と、接続先検出部259と、報知部260と、を備える。
【0042】
[他装置間通信部]
他装置間通信部256は、接続装置間通信I/F208への外部装置の接続の有無を検出するとともに、接続を検出すると、当該外部装置(接続先装置)との間で、データの送受信を行う。また、接続先装置との接続および切断を検出し、それぞれ、例えば、接続通知および切断通知を接続先検出部259に通知する。
【0043】
本実施形態では、接続先装置は、運行管理端末112またはオペレータ用ユーザI/F133のいずれかである。例えば、接続先装置が運行管理端末112である場合、他装置間通信部256は、運行管理端末112から、データ(受信データ)を受信する。受信データには、自車両を特定する情報である固有情報を含む設定データと、自車両のオペレーション状態を示す情報、位置情報および走行情報を含む運行データとが含まれる。受信データの詳細は、後述する。他装置間通信部256は、受信したデータを、接続先検出部259に送信する。なお、オペレーション状態については、後述する。
【0044】
また、他装置間通信部256は、リスク判定部254による判定結果から生成された警告データを接続先装置に出力する。警告データの詳細も後述する。
【0045】
[接続先検出部]
接続先検出部259は、安全運転支援装置200の外部装置との接続状態を管理するとともに、接続されている場合の、接続先装置を検出する。
【0046】
接続先検出部259は、起動後、所定の時間間隔で、接続状態を監視し、接続状態が、例えば、「0:未接続」、「1:接続待」、「2:接続済」、「3:接続後切断」のいずれであるか、判別する。判別は、他装置間通信部256から受信する接続通知および切断通知、およびデータにより行う。そして、判別結果を、後述する自車両情報管理テーブル520に登録する。
【0047】
「0:未接続」は、安全運転支援装置200が、いずれの外部機器にも接続されていない状態である。すなわち、接続装置間通信I/F208を介して、他装置間通信部256が、定期的な接続確認情報を受信していない状態である。
【0048】
「1:接続待」は、安全運転支援装置200を起動後、接続されるまでの状態である。例えば、安全運転支援装置200を外部装置に接続し、外部装置側の起動を待つ状態である。
【0049】
「2:接続済」は、接続され、データの送受信も行われている状態である。他装置間通信部256から接続通知を受信後、切断通知を受信していない状態である。このとき、接続先装置が運行管理端末112である場合は、さらに、上記受信データを受信する。
【0050】
「3:接続後切断」は、接続状態を経て、切断された状態である。他装置間通信部256から切断通知を受信し、本状態とする。
【0051】
また、接続先検出部259は、検出した接続状態と他装置間通信部256が受信したデータとに基づいて、安全運転支援装置200の接続先装置を検出する。本実施形態では、例えば、「運行管理端末112に接続」、「オペレータ用ユーザI/F133に接続」、「いずれの装置にも接続されずに使用する単独使用」、のいずれであるかを判別する。
【0052】
例えば、接続状態が「1:接続待」で、所定期間、接続確認情報を受信せず、接続状態が「0:未接続」に遷移した場合、「単独使用」と判断する。また、接続状態が「2:接続済」で、他装置間通信部256が上記設定データ410を受信した場合、「運行管理端末112に接続」と検出する。一方、接続状態が「2:接続済」であるにも関わらず、他装置間通信部256を介して設定データ410を受信しない場合は、「オペレータ用ユーザI/F133に接続」と検出する。
【0053】
本実施形態の接続先検出部259は、検出結果を固有情報設定部251に通知する。また、接続先装置が運行管理端末112と検出された場合は、運行管理端末112から受信した設定データも併せて固有情報設定部251に送信する。また、オペレーション状態を示す情報および運行データを、自車両情報管理部252に送信する。
【0054】
なお、メンテナンス処理などの際、車載システムに安全運転支援装置200を仮に取り付け、固有情報を保持しておきたくない場合がある。例えば、メンテナンスモード等を設け、当該モードが選択された場合、運行管理端末112から受信した設定データを固有情報設定部251に送信しないよう構成してもよい。
【0055】
また、接続先装置が運行管理端末112である場合、定期的に送信される運行データを用い、接続、切断の監視を行うよう構成してもよい。
【0056】
[固有情報設定部]
固有情報設定部251は、接続先検出部259から受信した接続先装置に応じて、固有情報を設定して保持するとともに、自車両情報管理部252に送信する。
【0057】
設定する固有情報は、接続先装置が運行管理端末112である場合、接続先検出部259から受信した設定データから取得する。すなわち、固有情報設定部251は、接続先検出部259が、運行管理端末112を接続先装置として検出した場合、運行管理端末112から送信された設定データを固有情報として設定する。一方、接続先装置がオペレータ用ユーザI/F133である場合、または、安全運転支援装置200が単独使用である場合、デフォルト値を固有情報として設定する。すなわち、いずれの装置も接続されていない場合、または、接続先検出部259が、接続先装置としてオペレータ用ユーザI/F133を検出した場合、デフォルト値を固有情報として設定する。
【0058】
デフォルト値は、安全運転支援装置200の搭載車両が、運行管理システムの管制下にある重機以外の車両であること、あるいは、安全運転支援装置200が、単独で使用されていること、を示す情報である。例えば、固有情報のうち、車種については、一般車であることを示す情報を、車両サイズについては、一般車の平均サイズを、車両識別子については、後述する安全運転支援装置200に付与される端末識別子、等とする。デフォルト値は、予め作成され、記憶装置203に保持される。
【0059】
なお、本実施形態の固有情報設定部251は、後述の自車両情報管理部252からのリクエストにより、自車両情報管理部252が管理する最新の固有情報を保存するよう構成してもよい。
【0060】
[位置情報取得部]
位置情報取得部257は、搭載先の車両の位置情報を取得する。本実施形態では、GNSSアンテナ213を経由しGNSS受信機204で受信したGNSS信号を元に自車両の位置情報、走行情報等を取得し、取得する毎に、自車両情報管理部252に出力する。
【0061】
[自車両情報管理部252]
自車両情報管理部252は、自車両情報を管理する。自車両情報は、自車両情報管理テーブル520に管理される。自車両情報として管理される情報は、例えば、固有情報と、位置情報と、走行情報と、作業状態と、受信時刻と、接続状態とを含む。自車両情報の詳細は、後述する。
【0062】
なお、自車両情報のうち、時系列で変化する情報は、受信する毎に上書きされる。また、自車両情報管理部252は、一定時間以上、自車両の位置情報を受信しない場合、自車両情報管理テーブル520に格納されているデータを消去(リセット)する。
【0063】
また、自車両情報管理部252は、位置情報および走行情報を、位置情報取得部257と運行管理端末112との両方から取得できる場合、どちらの情報を利用するか決定し、決定した方から受信した情報のみ、自車両情報管理テーブル520に保存する。どちらの情報を利用するかの決定方法には、例えば、取得した位置情報の更新頻度が高い方を採用したり、誤差が少ない方を採用したり、予め、優先順位を決めておき、優先順位に応じて選択する、等がある。
【0064】
また、本実施形態の自車両情報管理部252は、リクエストに応じて、自車両情報を、車車間通信部255およびリスク判定部254にそれぞれ提供する。
【0065】
[車車間通信部]
車車間通信部255は、他の安全運転支援装置200との間で車車間通信を行う。車車間通信は、中継局を介さない直接無線通信である。
【0066】
車車間通信部255は、定期的に、自車両情報管理テーブル520からデータを取得して、自車両に関する情報を含む車車間通信情報を生成し、他車両に送信する。また、車車間通信部255は、他車両が定期的に生成した、当該他車両に関する情報を含む車車間通信情報を受信し、他車両情報管理部253に送信する。送受信は、車車間通信I/F209を介して行われる。
【0067】
無線通信方式としてはWiFiのAd−Hocモードや802.11pなど以外に鉱山内において共通で独自の周波数帯を用いた通信方式を用いることもできる。
【0068】
車車間通信情報として生成され、送受信されるデータには、例えば、固有情報、運行データ、接続状態等が含まれる。車車間通信情報の詳細については、後述する。
【0069】
[他車両情報管理部]
他車両情報管理部253は、車車間通信部255が他車両から受信した、車車間情報を、他車両の情報として他車両情報管理テーブル530に保存する。他車両情報管理テーブル530に保存されるデータ(他車両情報)は、基本的に自車両情報と同じである。ただし、車両毎に1レコードとして格納する。
【0070】
なお、他車両情報管理部253は、車車間通信情報を定期的に受信する。新たな車車間情報を受信した場合、端末識別子、あるいは、固有情報の車両識別子に基づいて、同一の識別子を有するレコードを、最新のレコードに更新する。同一の識別子を有するレコードがない場合、新規のレコードとして格納する。また、一定時間以上、車車間通信情報を受信しない識別子を有するレコードについては、他車両情報管理テーブル530から削除する。
【0071】
[リスク判定部]
リスク判定部254は、自車両情報管理部252が管理する自車両情報および他車両情報管理部253が管理する他車両情報を用い、他車両との衝突リスクを判定する。リスクの判定は、予め定めたタイミング、例えば、周期的に、あるいは、所定のイベント発生時に行う。
【0072】
本実施形態では、リスク判定を、他車両情報管理テーブル530に格納される全他車両について行う。判定結果は、判定結果管理テーブル540に保存される。例えば、衝突のリスクが有ると判定された他車両については、当該他車両に対応づけて衝突リスク有を意味する情報(リスク有)を格納し、衝突のリスクが無いと判定された他車両については、衝突リスク無を意味する情報(リスク無)を格納する。判定および保存は、予め定めたタイミングで行われる。例えば、所定の時間間隔で行われる。全他車両について判定を終えると、その旨、出力データ生成部258に通知する。
【0073】
本実施形態では、リスク判定部254は、例えば、他車両との相対距離が一定距離以内になった場合に衝突リスクありと判定する。なお、リスクの判定では、自車両・他車両の位置関係だけでなく、自車両・他車両情報に設定されている各車両の車種の組み合わせやオペレーション状態を加味する。この場合、例えば、組み合わせ、オペレーション状態に応じて判定方式や判定に使用するパラメータの値を変更する。
【0074】
なお、オペレーション状態とは、自車両の作業状態を示す情報である。車種毎に予め定められ、運行管理端末112で設定される。例えば、車種がダンプトラックの場合、「積込中」、「待機中」、「搬送中」、「放土中」、「その他」など、車種がショベルやホイールローダーの場合、「積込中」、「その他」など、また、車種がドーザーやグレーダーの場合、「整地中」、「その他」などである。
【0075】
例えば、車両のオペレーション状態に優先度を設け、優先度に応じて、衝突リスク有と判定する距離(閾値距離)を変化させてもよい。優先度の高いオペレーション状態の車両ほど、閾値距離を小さくする。例えば、自車両が優先度の高いオペレーション状態の場合、閾値距離が小さくなるため、衝突リスク有と判定される可能性が低くなり、作業が妨げられることがない。一方、優先度の低いオペレーション状態の車両では、閾値距離が大きくなるため、早くから衝突リスク有と判定される。
【0076】
また、車両の種類、作業内容に応じて閾値距離を変化させてもよい。例えば、ダンプトラックとショベルの場合、積込作業等を行っている場合は、近接作業が必要となる。このような場合まで衝突リスク有と判定されないよう、閾値距離などを含むリスク判定のアルゴリズムを決定する。
【0077】
[出力データ生成部]
出力データ生成部258は、リスク判定部254から判定終了の通知を受領すると、接続先装置に向けた出力データを生成する。出力データは、判定を行った全他車両について、衝突リスク有と判定された他車両については警告情報を格納し、衝突リスク無と判定された他車両については、何も格納しない。この出力データは、判定結果管理テーブル540に格納されたデータを用いて生成する。また、出力データの生成にあたり、出力データ生成部258は、自車両情報管理テーブル520および他車両情報管理テーブル530も参照する。
【0078】
生成された出力データは、他装置間通信部256に送信され、他装置間通信部256により警告データとされ、接続先装置に出力される。警告データの詳細については、後述する。
【0079】
さらに、本実施形態の出力データ生成部258は、安全運転支援装置200の報知部260から出力する報知データも併せて生成する。これにより、オペレータは、安全運転支援装置200を単独使用する場合であっても、リスク状況を把握できる。
【0080】
なお、出力データ生成部258は、安全運転支援装置200が、いずれかの接続先装置に接続されている場合のみ、出力データを生成する。自車両情報の接続状態を用いて、出力データを生成するか否かを判別する。例えば、接続状態が、「0:未接続」、「1:接続待」、「3:接続後切断」の場合、出力データを生成しない。また、報知データは、衝突リスク有りと判定された他車両がある場合のみ生成する。
【0081】
[報知部]
報知部260は、出力データ生成部258から報知データを受信すると、警告を出力する。本実施形態では、出力装置用コントローラ205が本機能を実現する。例えば、出力装置206がランプや簡易な表示装置の場合、その点灯パターンを変化させる。また、出力装置206がブザーである場合、当該ブザーから警告音を出力させる。
【0082】
安全運転支援装置200の上記各機能は、記憶装置203のROM等に予め記憶されたプログラムを、CPU201が、メモリ202にロードして実行することにより実現される。なお、全部または一部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(field−programmable gate array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0083】
また、各機能の処理に用いる各種のデータ、処理中に生成される各種のデータは、メモリ202、または、記憶装置203に格納される。また、自車両情報管理テーブル520、他車両情報管理テーブル530、判定結果管理テーブル540は、メモリ202または記憶装置203に構築される。一方、固有情報設定部251が保持する固有情報は、記憶装置203に格納される。
【0084】
なお、安全運転支援装置200では、例えば、車車間通信部255による無線の送受信の処理と、リスク判定部254によるリスク判定処理とを、別スレッドで実施するよう構成してもよい。これにより、リスク判定の処理の負担が大きい場合でも、車車間通信の送信周期は影響を受けずに一定の周期で送信を継続することができる。
【0085】
[運行管理端末]
次に、運行管理端末112の機能を説明する。本実施形態の運行管理端末112は、例えば、FMS(Fleet Management System)で用いられる端末など、基本的に従来の運行管理システムの運行管理端末と同様の機能を備える。すなわち、
図3(b)に示すように、センタ通信部351と、制御通信部352と、位置情報取得部353と、表示制御部354と、制御部355と、外部機器通信部356と、自車両情報設定管理部357と、警告情報管理部358と、を備える。
【0086】
センタ通信部351は、センタ通信用アンテナ312を介して運行管理センタ140とデータを送受信する。例えば、制御部355から現在の自車両のオペレーション状態を取得して運行管理センタ140に通知する。また、運行管理センタ140から該当車両に対する運行指示を受信し、制御部355に通知する。なお、車両毎の設定を運行管理センタ140で一元管理する場合は、運行管理センタ140から該当車両用の設定を受信し、制御部355に通知する。無線通信方式としてはWiFiのインフラストラクチャモードや携帯電話網、802.11nのようなメッシュネットワークを用いることもできる。
【0087】
制御通信部352は、車両制御システム114とデータを送受信する。車両制御システム114から制御信号を受信し、制御部355に送信する。受信する制御信号のうち、車種に関わらず共通の制御信号には、アクセル開度、ステアリング角、ブレーキシグナル、シフトレバーポジションなどがある。車種によって異なる制御信号には、例えば、車種がショベルの場合、アームの旋回角や旋回速度などがある。
【0088】
位置情報取得部353は、GNSSアンテナ313を経由しGNSS受信機304で受信したGNSS信号を用いて、自車両の位置情報、走行情報を算出し、自車両情報設定管理部357および制御部355に送信する。なお、安全運転支援装置200もGPSデータ受信機能を備える場合、いずれで取得した位置情報を用いるか、判断するよう構成してもよい。判断方法は、上述のとおりである。
【0089】
表示制御部354は、オペレータ用ユーザI/F113に画像データを出力する。
【0090】
自車両情報設定管理部357は、自車両情報を管理する。管理する自車両情報は、例えば、自車両の固有情報、運行情報などである。また、本実施形態の自車両情報設定管理部357は、安全運転支援装置200からのリクエストに応じ、上記設定データおよび運行データを生成し、外部機器通信部356を介して要求元に送信する。
【0091】
外部機器通信部356は、上述のように、安全運転支援装置200とデータの送受信を行う。本実施形態では、自車両情報設定管理部357から受信した設定データおよび運行データを安全運転支援装置200に送信する。また、安全運転支援装置200から警告データを受信すると、警告情報管理部358に送信する。
【0092】
警告情報管理部358は、外部機器通信部356を介して警告データを受信すると、受信した警告データに従って、画面データを生成する。そして、表示制御部354に、オペレータ用ユーザI/F113に出力させる。
【0093】
制御部355は、運行管理端末112内の各部を制御する。例えば、車両制御システム114に出力する制御信号、および、表示制御部354から出力する画像データを生成する。制御信号および画像データは、運行管理センタ140および/または車両制御システム114から受信したデータと自車両情報設定管理部357で保持する現在の自車両の状況とに従って生成される。
【0094】
[データフォーマット]
次に、安全運転支援装置200が他装置と送受信するデータについて、その通信フォーマットを用いて説明する。
【0095】
図4(a)は、安全運転支援装置200が他装置間通信部256を介して運行管理端末112から受信する設定データ410の、通信フォーマット例である。本図に示すように、設定データ410は、車両識別子411、車種412、車両サイズ413および車種依存付加情報414を含む車両固有の情報(固有情報)と、地図情報415といった時系列で変化しない情報を含む。これらの情報は、安全運転支援装置200の初期設定時に用いられる。この設定データ410は、安全運転支援装置200を起動し、運行管理端末112との接続が確立した際、他装置間通信部256を介して運行管理端末112に要求し、受信する。
【0096】
車両識別子411は、運行管理センタ140が管理する各車両に一意に付与される識別子である。これにより、運行管理センタ140は、鉱山内で管理する各車両を一意に識別する。車両識別子411には、接続先装置である運行管理端末112を搭載する車両(自車両)に付与された識別子が設定される。
【0097】
車種412は、車両の種類を識別する識別子である。例えば、ダンプトラックやショベル、ホイールローダー、グレーダー、ドーザー、ドリル、軽車両など、自車両の種類に応じた情報が設定される。
【0098】
車両サイズ413は、自車両のサイズで、例えば車両の幅と長さである。自車両のサイズに応じた値が設定される。
【0099】
車種依存付加情報414は、車種に応じて追加で必要な情報である。例えば、車種412がショベルの場合は、アームの長さなどが必要に応じて設定される。
【0100】
地図情報415は、自車両の運行管理端末112で用いている地図情報であり、例えば、道路形状を表すための点列を示すノードと点列の繋がりを示すリンク、積込場や報土場のような面を示すためのエリアの情報などが設定される。
【0101】
図4(b)は、安全運転支援装置200が他装置間通信部256を介して運行管理端末112から受信する運行データ420の、通信フォーマット例である。本図に示すように、運行データ420は、オペレーション状態421と、緯度、経度、高度等の位置情報422と、車速、進行方向、車体向等の走行情報423と、を備える。運行データ420は、運行管理端末112から安全運転支援装置200に定期的に出力される。
【0102】
なお、安全運転支援装置200が、GNSSアンテナ213を備え、GNSSデータを受信可能な場合は、この運行データ420のうち、位置情報、速度、進行方向など、GNSSデータから取得可能な情報は、運行管理端末112から受け取らなくてもよい。あるいは、上述のように接続状態の判別にのみ用いてもよい。
【0103】
オペレーション状態421は、上述のとおり、自車両のオペレーション状態(運行管理状態)を示す情報である。なお、運行管理端末112が、車両の作業モードを判定する機能を有する場合、オペレーション状態421に、自車両が実行中の作業を示す作業モードの情報を含んでもよい。
【0104】
さらに、オペレーション状態421には、積込作業での対象車両としてのショベルやホイールローダーが存在するときは、その対象車両に対応する車両識別子を含んでもよい。また、搬送時の経路情報なども含んでもよい。また、車種412がショベルやホイールローダーの場合には、「稼働中」、「非稼働中」などの稼働状態を示す情報、鉱物等の積込先である対象車両としてのダンプトラックが存在するときには、その対象車両に対応する車両識別子等を含んでもよい。これらの情報は、リスク判定時に、車種の違い、相手車両の車種の違い、場所の違いによるリスクの違いを考慮した判定を行うために用いられる。
【0105】
位置情報422は、緯度、経度、高度等、自車両の位置を示す情報である。緯度、経度および高度は、例えば、運行管理端末112の後述の位置情報取得部353において取得したデータが設定される。なお、位置情報422は、車両の位置を捕捉できれば良く、鉱山内で基準点を設けそこからの相対距離等であってもよい。
【0106】
走行情報423は、車速、進行方向、車体の向きの情報等を含む。このうち、車速5は、自車両の速さである。運行管理端末112の位置情報取得部353において取得した車速、車両制御システム114から受信した速さ等が設定される。また、進行方向は、自車両の速度ベクトルの向きである。位置情報取得部353、または、車両制御システム114から受信した情報が登録される。車体向きは、車両の向きを示す情報である。例えば、前進している時は進行方向と同じ値が、後退している時は進行方向と180度異なる値が設定される。
【0107】
次に、安全運転支援装置200から他装置間通信部256を介して接続先装置に送信される警告データについて説明する。
図4(c)は、本実施形態の警告データ430の通信フォーマット例である。警告データは、リスク判定部254がリスク判定を行い、出力データ生成部258がその結果を用いて生成した出力データに基づくデータである。
【0108】
本図に示すように、警告データ430は、自車両情報431と、検出他車両数432と、警告情報433と、を備える。
【0109】
自車両情報431は、送信元の自車両の情報であり、検出他車両数432は、今回判定した他車両の数である。警告情報433には、判定した他車両毎に、当該他車両の情報(他車両情報)434と、衝突リスク有と判定された場合、それを意味する情報(警告)435とが格納される。衝突リスク無と判定された他車両については、他車両情報434のみとする。
【0110】
次に、各安全運転支援装置200間で車車間通信により送受信される車車間通信情報について説明する。
図4(d)は、本実施形態の車車間通信情報の通信フォーマット例である。
【0111】
本図に示すように、車車間通信情報440は、例えば、端末識別子441と、固有情報442と、オペレーション状態443と、位置情報444と、走行情報445と、接続状態446と、を含む。上述のように、これらの情報は、自車両情報管理テーブル520から取得する。なお、必ずしも全ての情報を含まなくてもよい。例えば、後述するリスク判定のアルゴリズムで必要な情報のみを送受信するよう構成してもよい。
【0112】
次に、自車両情報管理部252が自車両情報管理テーブル520に管理する自車両情報について説明する。自車両情報の一例を
図5(a)に示す。
【0113】
本図に示すように、自車両情報は、端末識別子と、固有情報と、位置情報と、走行情報と、オペレーション状態(OP状態)と、受信時刻と、接続状態とを含む。
【0114】
端末識別子は、安全運転支援装置200を一意に識別する識別子であり、他の安全運転支援装置200と重複することのない値である。端末識別子は、予め、各安全運転支援装置200に設定されている。例えば、車車間通信I/F209のMACアドレス等が用いられる。
【0115】
固有情報は、上述のように自車両の固有の情報であり、例えば、車両識別子、車種、車両サイズ、付加情報等であり、起動時に、固有情報設定部251から受け取り、設定される。上述のように、接続先装置が運行管理端末112であれば、運行管理端末112から受信した設定データ410内の各値が設定される。また、接続先装置がオペレータ用ユーザI/F133、または、単独使用であれば、固有情報設定部251が設定したデフォルト値が設定される。
【0116】
位置情報は、自車両の現在位置の情報であり、例えば、緯度、経度、高度を有する。また、走行情報は、自車両の走行状態を特定する情報であり、例えば、速度、進行方向、向き等を有する。位置情報と走行情報とは、位置情報取得部257から取得する、または、運行管理端末112から受信した運行データ420から取得する。
【0117】
オペレーション状態は、自車両の作業状態を特定する情報である。オペレーション状態は、例えば、運行管理端末112から受信した運行データ420から取得する。なお、接続先装置がオペレータ用ユーザI/F133である場合、あるいは、単独使用である場合、運行管理端末112から運行データ420が得られない。このような場合は、運行管理されていないことを示す空の値が格納される。
【0118】
受信時刻は、定期的に取得するデータを取得した最新の日時である。例えば、位置情報取得部257から位置情報および走行情報を、接続先検出部259から作業情報を受信する場合、それぞれの最新時刻を格納するよう構成してもよい。あるいは、いずれか一方を格納してもよい。
【0119】
接続状態は、安全運転支援装置200の接続状態を示す情報である。上述の接続先検出部259による検出結果が格納される。
【0120】
次に、他車両情報管理テーブル530に保存される他車両情報を説明する。他車両情報のデータ例を
図5(b)に示す。上述のように、車車間通信部255を介して受信した車車間情報を、固有情報内の車両識別子、または、端末識別子毎に、格納する。格納項目は、基本的に自車両情報と同じである。ただし、受信時刻には、車車間通信情報440を受信した時刻を格納する。この受信時刻は、削除するか否かの判定に用いられる。
【0121】
[処理の流れ]
次に、上述の各機能による、本実施形態の安全運転支援装置200の動作について説明する。上述のように、本実施形態の安全運転支援装置200は、鉱山等で稼働する全車両において、車両の車載システムに搭載されている装置に接続するだけで、オペレータによる設定操作無しで、車種等の情報が初期設定され、車種に応じた衝突リスクを判定する。また、スタンドアローンでも動作する。さらに、接続先装置との接続が切れた場合であっても、継続して衝突リスクを判定できる。
【0122】
まず、起動時の処理の流れを説明する。
図6は、本実施形態の安全運転支援装置200の起動時の処理フローである。安全運転支援装置200は、起動時、接続状態を初期化する。接続状態の初期化は、接続状態を「1:接続待」に設定することである。
【0123】
安全運転支援装置200が起動されると、接続先検出部259は、自車両情報管理テーブル520の接続状態を「1:接続待」とするよう、自車両情報管理部252に指示を出す(ステップS1101)。
【0124】
次に、接続先検出部259は、固有情報設定部251にアクセスし、前回起動時の情報が保持されているか否かを判別する(ステップS1102)。
【0125】
ステップS1102において、保持されていない場合、接続先検出部259は、固有情報設定部251に、固有情報としてデフォルト値を設定するよう指示し (ステップS1103)、処理を終了する。
【0126】
次に、上述の起動時の処理を終えた後の、安全運転支援装置200の接続先検出部259による接続状態確認更新処理の流れを説明する。本実施形態の接続先検出部259は、上述のように、起動後、所定の時間間隔で(周期的に)接続状態を監視する。そして、初期処理時には、接続先装置を検出し、固有情報設定部251に通知する。
図7は、接続先検出部259による接続状態確認更新処理の処理フローである。
【0127】
接続先検出部259は、まず、現在の接続状態を判別する(ステップS1201)。判別は、自車両情報管理テーブル520の接続状態に登録されている情報で行う。
【0128】
「0:未接続」の場合、そのまま処理を終了する。
【0129】
「1:接続待」の場合、起動後の初期処理として、接続先を検出し、固有情報を設定する。ここでは、まず、接続検出の有無を判別する(ステップS1202)。判別は、他装置間通信部256からの接続通知を受け取ったか否かにより行う。
【0130】
ステップS1202で接続が検出されなかった場合、この安全運転支援装置200の起動から一定時間が経過しているかを確認する(ステップS1205)。本処理は、各装置間の起動時間の違いを吸収するために設けられたものであり、判別に用いる時間は、予め、適切な値が設定される。
【0131】
一定時間が経過していない場合は、本周期処理を終了する。本処理は、今後、接続される可能性があり、継続して接続通知を待つためである。
【0132】
一方、一定時間が経過している場合は、自車両情報管理テーブル520の接続状態に「0:未接続」を設定するよう自車両情報管理部252に指示を行う(ステップS1209)。起動から一定時間経過しても、外部装置が接続されない場合、今後、新たに運行管理端末112やオペレータ用ユーザI/F(タブレット)133などの機器が接続されることはないと判断し、この接続状態を設定する。すなわち、接続先検出部259は、安全運転支援装置200が、単独使用されるものと判別する。
【0133】
そして、接続先検出部259は、固有情報設定部251に、固有情報としてデフォルト値を設定するよう指示し(ステップS1213)、本周期処理を終了する。これにより、本安全運転支援装置200は、外部装置に接続されず、独立した状態で稼働する。また、固有情報設定部251は、固有情報としてデフォルト値を保持するとともに、自車両情報管理部252に固有情報としてデフォルト値を送信する。それを受け、自車両情報管理部252は、自車両情報管理テーブル520の固有情報にデフォルト値を設定する。
【0134】
また、ステップS1202において、接続が検出された場合、接続先検出部259は、まず、自車両情報管理テーブル520の接続状態に、「2:接続済」を設定する(ステップS1206)。次に、他装置間通信部256から設定データ410を受信したか否かを判別する(ステップS1210)。
【0135】
そして、受信した場合、当該設定データ410を固有情報設定部251に送信し、固有情報として設定するよう指示を行い(ステップS1211)、本周期処理を終了する。
【0136】
この場合、接続先検出部259は、安全運転支援装置200が、運行管理端末112に接続されたものと判別し、運行管理端末112から送信された設定データ410を固有情報として設定するよう指示を行う。なお、受け取った固有情報設定部251は、自身で保持するとともに、自車両情報管理部252にも送信する。そして、自車両情報管理部252は、自車両情報管理テーブル520の固有情報に設定データ410内の値を設定する。このとき、固有情報設定部251は、既に固有情報を保持している場合、新たに受信した固有情報に更新する。
【0137】
一方、ステップS1210において、設定データ410を受信していない場合は、固有情報設定部251に、固有情報としてデフォルト値を設定するよう指示し(ステップS1212)、本周期処理を終了する。
【0138】
この場合、接続先検出部259は、安全運転支援装置200が外部装置には接続されているが、運行管理端末112に接続されていないと判別する。従って、安全運転支援装置200が一般車両130に搭載されたオペレータ用ユーザI/F133に接続されたものと判別し、固有情報としてデフォルト値を設定するよう指示を行う。固有情報設定部251は、固有情報を自身で保持するとともに、自車両情報管理部252に送信する。そして、自車両情報管理部252は、自車両情報管理テーブル520の固有情報にデフォルト値を設定する。
【0139】
また、ステップS1201において、接続状態が「3:接続後切断」である場合、接続先検出部259は、まず、接続検出の有無を判別する(ステップS1203)。判別は、上記ステップS1202と同様の手法で行う。ここで、検出されない場合は、切断された状態が継続しているものとして、本周期処理を終了する。
【0140】
一方、ステップS1203において、接続が検出された場合、接続先検出部259は、自車両情報管理テーブル520の接続状態に、「2:接続済」を設定し(ステップS1207)、本周期処理を終了する。なお、このとき、固有情報設定部251の固有情報の再設定は行わない。このような状況は、例えば、ノイズにより見かけ上切断された場合、振動による影響で一瞬物理的な接続が途切れたような場合等が想定されるためである。
【0141】
また、ステップS1201において、「2:接続済」と判別された場合、接続先検出部259は、切断が検出された場合のみ、自車両情報管理テーブル520の「接続状態」に、「3:接続後切断」を設定する。
【0142】
具体的には、まず、切断が検出されたか否かを判別する(ステップS1204)。接続先検出部259は、他装置間通信部256から切断通知を受け取った場合、切断が検出されたものと判別する。
【0143】
ステップS1204において、切断が検出されなければ、本周期処理を終了する。一方、切断が検出されれば、自車両情報管理テーブル520の接続状態に「3:接続後切断」を設定し(ステップS1208)、処理を終了する。
【0144】
接続先検出部259は、以上の処理を、周期的に実行することにより、安全運転支援装置200が搭載された車両の固有情報を、固有情報設定部251に設定するとともに、自車両情報管理テーブル520の接続状態情報を、最新の状態に維持する。
【0145】
[リスク判定処理]
次に、リスク判定部254による、リスク判定処理を説明する。
図8は、本実施形態のリスク判定処理の処理フローである。リスク判定処理は、例えば、上述のように、一定の時間間隔で、あるいは、特定のイベント発生時に、等、定期的に実行される。
【0146】
リスク判定部254は、自車両情報管理テーブル520から自車両の情報を、他車両情報管理テーブル530から他車両の情報を、それぞれ取得する(ステップS1301)。
【0147】
リスク判定部254は、他車両情報管理テーブル530に格納されている各他車両について、衝突リスクを判定する。具体的には、検出した他車両の台数分、すなわち、他車両情報管理テーブル530の格納されている全レコードについて、順に、以下の処理を行う(ステップS1302)。
【0148】
自車両の位置情報と、処理対象の他車両の位置情報とを用い、リスク判定を行う(ステップS1303)。上述のように、位置情報に加え、車種、オペレーション状態等を用い、自車両のそれらの情報との組み合わせに応じたアルゴリズムに従って、リスクを判定する。
【0149】
リスク有と判定された場合、リスク判定部254は、判定結果管理テーブル540に、処理対象の他車両情報の例えば、車両識別子に対応づけて、リスク有と格納する(ステップS1305)。
【0150】
一方、リスク無と判定された場合、リスク判定部254は、判定結果管理テーブル540に、処理対象の他車両情報の、例えば、車両識別子に対応づけて、リスク無と格納する(ステップS1306)。なお、リスク無と判定された場合、当該車両については、判定結果管理テーブル540に格納しないよう構成してもよい。
【0151】
以上の処理を、全ての他車について行うと、リスク判定部254は、リスク判定処理が終了したことを出力データ生成部258に通知し(ステップS1307)、リスク判定処理を終了する。
【0152】
以上説明したように、本実施形態のリスク判定部254は、収集した情報に基づき、リスクを判定する。なお、上記リスク判定処理では、車両の車種、作業状態等、各種パラメータに基づいて、詳細なリスク判定を行う場合を例にあげて説明した。しかしながら、リスク判定処理は本手法に限定されない。例えば、車両間の距離のみで判別してもよい。例えば、他車両との間の距離が、所定の値以下となった場合、リスク有と判別する等である。
【0153】
次に、リスク判定部254からリスク判定処理終了の通知を受けた、出力データ生成部258による出力データ生成処理の流れを説明する。
図4(c)に示す、警告データ430の元となる出力データを生成する場合を例にあげて説明する。
図9は、本実施形態の出力データ生成出力処理の処理フローである。
【0154】
まず、出力データ生成部258は、自車両の接続状態を判別する(ステップS1401)。ここでは、自車両情報管理テーブル520にアクセスし、接続状態に格納されているデータにより判別する。そして、格納されているデータが、「2:接続済」の場合、以下の処理を行い、出力データを生成する。
【0155】
出力データ生成部258は、まず、自車両情報管理テーブル520から自車両情報を取得し、「自車両情報431」を生成する(ステップS1402)。なお、ここでは、全ての自車両情報を取得しなくてもよい。少なくとも、位置情報、走行情報、および車両識別子が含まれていればよい。
【0156】
次に、出力データ生成部258は、他車両情報管理テーブル530にアクセスし、格納されている他車両数を取得し、「検出他車両数432」を生成する(ステップS1403)。
【0157】
その後、出力データ生成部258は、検出した他車両の台数分、すなわち、他車両情報管理テーブル530に格納されている全レコードについて、以下の処理を行う(ステップS1404)。
【0158】
まず、他車両情報を取得し、「他車両情報434」を生成する(ステップS1405)。そして、判定結果管理テーブル540にアクセスし、当該他車両に「リスク有」が格納されているか否かを判別する(ステップS1406)。そして、格納されている場合、「警告435」を生成する(ステップS1407)。なお、ステップS1405においても、全ての他車両情報を取得しなくてもよい。少なくとも、位置情報、走行情報、および車両識別子が含まれていればよい。
【0159】
全他車両について、上記処理を終え、出力データを完成させると、出力データ生成部258は、作成した出力データを、他装置間通信部256に送信する(ステップS1408)。出力データを受信した他装置間通信部256は、警告データ430を生成し、接続先装置に送信する。
【0160】
その後、出力データ生成部258は、リスク判定において、リスク有と判定された他車両がある場合、報知部260から報知する指示を作成する。具体的には、まず、出力データ生成部258は、判定結果管理テーブル540に、リスク有と格納されたデータがあるか否かを判別する(ステップS1409)。そして、当該データがある場合、報知データを生成し、報知部260に出力し(ステップS1410)、処理を終了する。
【0161】
なお、本実施形態では、リスク判定部254と出力データ生成部258とを独立に備え、リスク判定と出力データ生成とを、それぞれ別個に行う場合を例にあげて説明した。しかしながら、リスク判定と出力データの生成とは、同時に行うよう構成してもよい。
【0162】
すなわち、各他車種について、リスクを判定し、判定結果管理テーブル540に格納する毎に、出力データを生成する。そして、最終的に、リスク有と判定された車種がある場合のみ、報知部260に報知するよう指示を行う。
【0163】
また、出力データ生成部258は、リスク有と判定された他車両がない場合も、出力データを生成しているが、本処理に限定されない。例えば、リスク有と判定された他車両がある場合のみ、出力データを生成するよう構成してもよい。
【0164】
以上説明したように、本実施形態では、運行管理端末112とは独立した安全運転支援装置200において、衝突のリスク判定を行う。このため、運行管理センタと通信可能な運行管理システムを搭載していない一般車両であっても、作業場において、安全運転の支援を行うことができる。
【0165】
また、本実施形態の安全運転支援装置200は、自身の接続先装置を検出する接続先検出部259と、検出された接続先装置に応じて、自身の搭載先の車両である自車両の固有情報を設定する固有情報設定部251と、を備える。そして、接続先検出部259が、運行管理端末112を接続先装置と検出した場合、固有情報設定部251は、運行管理端末112から送信された情報を固有情報に設定し、それ以外の場合、固有情報設定部251は、予め定めた値を固有情報として設定する。
【0166】
このため、本実施形態の安全運転支援装置200では、リスク判定に車両固有の情報を用いることができるため、車種の違い、作業内容に応じたリスク判定を行うことができ、オペレータに必要十分な警告を与えることができる。
【0167】
また、鉱山等の作業現場では、運行管理システムの管制下の車両と、管制下にない車両とが混在している。このため、従来の安全運転支援装置では、各車両固有の情報については、共通の装置を用いる場合は、全ての車両について手作業で設定する必要があった。一方、管制下の車両のみ運行管理システムからの情報を用いる場合、管制下の車両と非管制下の車両とで異なるシステムを用意する必要があった。
【0168】
しかしながら、本実施形態の安全運転支援装置200によれば、運行管理システムの管制下の車両については、同システムを利用して自動的に固有情報を設定し、非管制下の車両については、一般車両として、予め定めた値を固有情報として自動的に設定する。従って、車種によらず、適切な固有情報が自動的に設定されるため、両者に同一の装置を用いることができる。また、運行管理端末112は、後から本実施形態の安全運転支援装置200を接続することにより、特別な設定を行うことなく、衝突防止機能を得ることができる。
【0169】
また、本実施形態によれば、全ての安全運転支援装置200に自動的に固有情報が設定されるため、接続時に個別設定が不要である。このため、設定ミスによる誤作動の発生がない。また、この固有情報は、FLASHメモリ等の不揮発性ストレージに保持される。従って、運行管理端末112との接続が外れた場合であっても、また、安全運転支援装置200の電源が切れた場合であっても、維持される。このため、鉱山のように、接続が外れやすい環境、搭載機器が故障しやすい環境で使用される場合であっても、再接続時に手間がかからない。また、継続して安全運転支援を行うことができる。
【0170】
また、本実施形態の安全運転支援装置200は、自車両の位置情報を取得する位置情報取得部257をさらに備える。また、周囲の他車両の位置情報は、車車間通信により取得する。このため、運行管理端末112を搭載していない車両であっても、リスクの判定が可能となり、また、運行管理センタ140と通信ができないような環境であっても、リスクの判定が可能となる。従って、車種、車両によらず、作業環境によらず、安全運転の支援を行うことができる。
【0171】
このように、本実施形態の安全運転支援装置200によれば、運行管理システムによる制御対象となる車両と、非対象の車両とに同一の装置を用いることができる。従って、車種によって、異なる構成の安全運転支援装置200を用意する必要がなく、装置のストックの管理が容易になり、また、統一仕様によりローコスト化できる。すなわち、環境や車種によらず、使い勝手がよく、効果的に衝突を低減することができる。
【0172】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。