(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604927
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】アウトセット引戸用鎌錠
(51)【国際特許分類】
E05B 65/08 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
E05B65/08 G
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-189265(P2016-189265)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-53505(P2018-53505A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000152664
【氏名又は名称】株式会社日乃本錠前
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 真弓
(72)【発明者】
【氏名】緒方 幹人
(72)【発明者】
【氏名】川井 学
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3165169(JP,U)
【文献】
実開昭53−148799(JP,U)
【文献】
特開2008−231807(JP,A)
【文献】
特開2006−274644(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0258475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸の側面に設置された操作部を操作することによって、アウトセット引戸を施解錠するアウトセット引戸用鎌錠であって、
前記操作部に機械的に連結され、該操作部の操作に連動して上下方向に往復移動する連動桿と、該連動桿に連動して回動する鎌部材と、前記連動桿が挿通して上下方向に往復移動する摺動長穴を有する鎌錠本体とを備えており、
前記鎌部材は、基端部と、前記連動桿と平行となるように前記基端部から突出して設けられた鎌軸と、前記基端部に設けられ、前記連動桿が挿通する湾曲状長穴と、前記基端部の先端側に設けられ、前記連動桿が上下方向に往復移動し前記湾曲状長穴に沿って移動して前記基端部が前記鎌軸を中心に回動することにより、前記引戸の側面から突出又は引込するように構成された鎌部とを備え、
前記鎌錠本体の前記摺動長穴の両側には前記鎌部材の前記鎌軸を軸支する1対の軸受け穴が設けられており、前記鎌軸は両端部が前記基端部の両側面からそれぞれ突出して該基端部に固着されており、該鎌軸の前記両端部のうちの一方が該1対の軸受け穴の1つに装着されて軸支されるように構成されていることを特徴とするアウトセット引戸用鎌錠。
【請求項2】
前記操作部に一端部が連結されており、該操作部が上下方向に移動することにより回動軸を中心に揺動する揺動部材と、前記連動桿が固着されていると共に前記揺動部材の他端部に連結されており、該揺動部材の揺動に応じて上下方向に摺動する摺動部材とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のアウトセット引戸用鎌錠。
【請求項3】
前記揺動部材の一部、前記連動桿の一部及び前記摺動部材は、前記鎌錠本体内に収容されていることを特徴とする請求項2に記載のアウトセット引戸用鎌錠。
【請求項4】
前記引戸の前記鎌部が突出又は引込する側の壁面に設けられ、前記鎌部が係脱可能な鎌受けをさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアウトセット引戸用鎌錠。
【請求項5】
前記鎌部材の少なくとも前記湾曲状長穴が設けられている部分は、樹脂材料から形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアウトセット引戸用鎌錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトセット引戸の開閉を制限するためのアウトセット引戸用鎌錠に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の新築及びリフォーム需要によってアウトセット引戸の使用量が増加している。アウトセット引戸は、良く知られているように、面倒な控え壁の施工が不要であると共に取付けも簡単な外付けタイプの引戸である。
【0003】
このようなアウトセット引戸用の錠として、引戸開閉方向と直交する方向に突出するデッドボルト方式のアウトセット引戸錠が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載のアウトセット引戸錠は、施錠具を上下動することによって、ガイド具に案内される錠片が引戸開閉方向と直交する方向に突出及び引込する錠本体と、錠片が突出して係合する受具とからなり、施錠具を上下動すると、作動具を介して伝達具が上下動し、伝達具には、共に上下動する変換具を表裏反転しても取り付けられように構成し、変換具には、斜め方向に伸びる誘導孔を設け、ガイド具には、横方向に伸びる案内孔を設け、誘導孔と案内孔は交差するように設けられ、錠片に係合する連係ピンをその交差部に貫通するように設けてなり、変換具が上下動することによって、連係ピンが誘導孔と案内孔に案内されて横方向に移動して錠片が突出又は引込し施解錠されるように構成されている。特にこの特許文献1に記載の錠では、変換具を表裏逆にして誘導孔の傾斜の向きを逆にすると共に、錠片の突出方向を逆にすることによって、錠片を逆向きに突出させることができるように構成されている。
【0005】
しかしながら、この種のデッドボルト方式のアウトセット引戸錠では、引戸自体を開閉方向と直交するアウトセット方向に押すと、ロックが外れてしまう可能性があり、防犯性に欠けるという問題点があった。
【0006】
このような問題点を解決するために、アウトセット引戸用の鎌錠も提案されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
特許文献2の引戸錠装置は、アウトセット引戸用の鎌錠であり、引戸の側縁に錠前を組み込む一方、引戸が全閉位置にあるときに錠前の鎌出入口と鎌掛け穴が対向する壁側に、鎌受けを取り付ける。施解錠時、操作具のサムタンを操作して回転伝達軸を回転させると、その回転を運動変換手段で直線往復運動に変換し、摺動体を、スライダを介して第2ケース内で高さ方向上下に摺動して鎌部材を回動し、鎌部を引戸の開閉方向と直交する向きに鎌出入口から出没させて鎌受けの鎌掛け穴に対して係脱する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4769751号公報
【特許文献2】実用新案登録第3165169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のアウトセット引戸錠は、ロックの外れる可能性があるため防犯性に欠けるという上述した問題点の他に、左右勝手の入り替えの際に、錠片とガイド具を外し、さらに、変換具を外し、表裏を反転して再組み立てすることが必要となり、作業が繁雑であるという問題点があった。
【0010】
また、特許文献2のアウトセット引戸の鎌錠は、施解錠時、操作具のサムタンの回転操作を運動変換手段で直線往復運動に変換し、さらに摺動体を、スライダを介して鎌部材を回動させ、鎌部を引戸の開閉方向と直交する向きに鎌出入口から出没させるという構成であるため、構造が複雑であり、部品点数も多くなり、製造コストが高いという問題点があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、構造が簡単であると共に部品点数が少なく低コストで製造可能なアウトセット引戸用鎌錠を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、左右勝手の入れ替え作業を容易に行うことができるアウトセット引戸用鎌錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、引戸の側面に設置された操作部を操作することによって、アウトセット引戸を施解錠するアウトセット引戸用鎌錠が提供される。このアウトセット引戸用鎌錠は、操作部に機械的に連結され、この操作部の操作に連動して上下方向に往復移動する連動桿と、連動桿に連動して回動する鎌部材とを備えている。鎌部材は、基端部と、連動桿と平行となるように基端部から突出して設けられた鎌軸と、基端部に設けられ、連動桿が挿通する湾曲状長穴と、基端部の先端側に設けられ、連動桿が上下方向に往復移動し湾曲状長穴に沿って移動して基端部が鎌軸を中心に回動することにより、引戸の側面から突出又は引込するように構成された鎌部とを備えている。
【0014】
施解錠する際に操作部を操作すると、連動桿がこの操作部の操作に連動して上下方向に往復移動し湾曲状長穴に沿って移動する。これにより鎌部材の基端部が鎌軸を中心に回動して、鎌部が引戸の側面から突出又は引込する。このように、連動桿が上下方向に往復移動し湾曲状長穴に沿って移動することによって鎌部材の基端部が鎌軸を中心に回動する構造であるため、構造が簡単であると共に部品点数が少なく済み、低コストで製造することができる。また、鎌錠であるため、アウトセット引戸を確実に施錠して施錠性を高めることができる。
【0015】
連動桿が挿通して上下方向に往復移動する摺動長穴を有する鎌錠本体をさらに備えており、鎌錠本体の摺動長穴の近傍には鎌部材の鎌軸を軸支する軸受け穴が設けられていることが好ましい。
【0016】
この場合、鎌錠本体の摺動長穴の両側には1対の軸受け穴が設けられており、鎌軸は両端部が基端部の両側面からそれぞれ突出して基端部に固着されており、鎌軸の両端部のうちの一方が1対の軸受け穴の1つに装着されて軸支されるように構成されていることがより好ましい。鎌部材を裏返して鎌軸の他方を1対の軸受け穴の他の1つに装着すれば、鎌錠の左右勝手の入れ替えを行うことができるので、左右勝手の入れ替えに関わる部品数を少なくすることができ、低コストで製造することができる。しかも、左右勝手の入れ替え作業を容易に行うことができ、入れ替えミスの軽減や施工時間の短縮に繋がる。
【0017】
操作部に一端部が連結されており、操作部が上下方向に移動することにより回動軸を中心に揺動する揺動部材と、連動桿が固着されていると共に揺動部材の他端部に連結されており、揺動部材の揺動に応じて上下方向に摺動する摺動部材とをさらに備えていることも好ましい。
【0018】
この場合、揺動部材の一部、連動桿の一部及び摺動部材は、鎌錠本体内に収容されていることがより好ましい。
【0019】
引戸の鎌部が突出又は引込する側の壁面に設けられ、鎌部が係脱可能な鎌受けをさらに備えていることも好ましい。
【0020】
鎌部材の少なくとも湾曲状長穴が設けられている部分は、樹脂材料から形成されていることも好ましい。これにより、連動桿が湾曲状長穴内をスムーズに移動でき、かつ施錠する際に鎌受けに当接する時の操作音を抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアウトセット引戸用鎌錠によれば、連動桿が上下方向に往復移動し湾曲状長穴に沿って移動することによって鎌部材の基端部が鎌軸を中心に回動する構造であるため、構造が簡単であると共に部品点数が少なく済み、低コストで製造することができる。また、鎌錠であるため、アウトセット引戸を確実に施錠して施錠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアウトセット引戸用鎌錠の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図1のアウトセット引戸用鎌錠の要部の構成(解錠状態)を概略的に示す端面図及び側面図である。
【
図3】
図1のアウトセット引戸用鎌錠の要部の構成(施錠状態)を概略的に示す端面図及び側面図である。
【
図4】
図1のアウトセット引戸用鎌錠の端面部材の構成を概略的に示す側面図である。
【
図5】
図1のアウトセット引戸用鎌錠の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るアウトセット引戸用鎌錠の実施形態を、図を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係るアウトセット引戸用鎌錠100の全体の構成を分解して示している。
図2はアウトセット引戸用鎌錠100の要部の構成(解錠状態)を示しており、同図(a)は端面を、同図(b)は側面を示している。
図3はアウトセット引戸用鎌錠100の要部の構成(施錠状態)を示しており、同図(a)は端面を、同図(b)は側面を示している。
図4はアウトセット引戸用鎌錠100の端面部材40の構成を概略的に示しており、同図(a)は鎌出入口44から見た側面を、同図(b)は端面部材40の裏面を示している。
図5はアウトセット引戸用鎌錠100の設置及び使用状態を示している。
【0025】
図1〜
図5に示すように、本実施形態に係るアウトセット引戸用鎌錠100は、アウトセット引戸Dの戸先近傍の側面に設置された操作部10を上下動することによって、アウトセット引戸Dを施解錠する鎌錠である。このアウトセット引戸用鎌錠100は、アウトセット引戸Dを施解錠するための操作部10と、この操作部10の上下動を鎌部材30に伝達する伝達機構を内部に収容している鎌錠本体20と、鎌部材30と、鎌錠本体20と協働して鎌部材30を保持する端面部材40と、引戸Dに対向する壁面Wに設けられ鎌部材30が掛止される鎌受け50とを備えている。
【0026】
操作部10は、アウトセット引戸Dを施解錠する際に操作されるものであり、例えば、金属材料から形成され、引戸Dの壁面と対向する側面(以下、外側側面)とは反対側の側面(以下、内側側面)の戸先近傍に設けられた引き手H1の手掛け部内の上部に設けられた操作ノブ11と、この操作ノブ11の裏側に装着された連結軸12とから構成されている。操作ノブ11は上下に摺動することができるように構成されており、連結軸12は操作ノブ11と共に上下に移動するように構成されている。なお、引戸Dの外側側面に配設された引き手H2には、鍵(又はピン)等で開錠するための機構(図示せず)が設けられている。
【0027】
鎌錠本体20は、施解錠操作による操作部10からの上下動を鎌部材30に伝達する伝達機構であり、収容ケース21と、収容ケース21内にその一部が収容されていると共に操作部10の連結軸12に一端部が連結されており、操作部10が上下方向に移動することにより回動軸22aを中心に揺動する揺動部材22と、収容ケース21内に収容されていると共に揺動部材22の他端部に連結されており、揺動部材22の揺動に応じて収容ケース21内を上下方向に往復摺動する摺動部材23と、収容ケース21内にその一部が収容されていると共に摺動部材23に固着されており、摺動部材23と共に上下方向に往復移動する連動桿24と、後述する端面部材40を取り付けるための取り付け部25とを備えている。
【0028】
鎌錠本体20の収容ケース21は、例えば、金属材料で形成された略直方体の中空筐体である。この収容ケース21の一方の端面(引戸Dに設置時にこの引戸Dの戸尻側を向く端面)には、揺動部材22が挿通して揺動するための開口部が設けられており、他方の端面(引戸Dに設置時にこの引戸Dの戸先側を向く端面)には、連動桿24が挿通して上下方向に往復移動する摺動長穴26が設けられている。この他方の端面における摺動長穴26の両側に1対の非貫通の軸受け穴27が設けられている。また、収容ケース21の両側面(引戸表面と平行する方向に配置される面、引き戸の開閉方向と垂直に配置される面)には、摺動部材23の摺動を案内するためのガイド溝28がそれぞれ設けられている。ガイド溝28は、アウトセット引戸用鎌錠100が引戸Dに設置された状態における上下方向に伸長して設けられている。
【0029】
揺動部材22は、その中央部又は中央部近傍に回動軸22aが設けられており、この回動軸22aを中心にして揺動するように軸支されている。また、揺動部材22の一端部(引戸Dに設置時にこの引戸Dの戸尻側の端部)には、上下方向に移動する連結軸12が挿通して若干スライド可能な長円形状の軸穴22bが設けられている。揺動部材22の他端部(引戸Dに設置時にこの引戸Dの戸先側の端部)には、U字形状の開口溝22cが形成されており、摺動部材23の連動軸23aがこの開口溝22c内を摺動するように構成されている。揺動部材22が揺動すると、摺動部材23の連動軸23aがこの開口溝22c内を摺動することにより、摺動部材23が上下方向に摺動する。摺動部材23は、樹脂材料又は金属材料によってブロック形状に形成されており、さらに、上述した連動軸23aと、収容ケース21のガイド溝28に嵌入して摺動するガイド部23bとを備えている。
【0030】
摺動部材23にはこの摺動部材23に連動して上下方向に往復移動するように構成された連動桿24が固着されている。連動桿24は、例えば、金属材料で形成された中実の丸棒であり、この連動桿24の一端は摺動部材23に固着され、他端は端面部材40の後述する摺動溝42に摺動可能に嵌入されており、その間の部分は鎌部材30の湾曲状長穴33内を挿通している。
【0031】
鎌部材30は、連動桿24上下方向の移動に連動して回動するように構成されており、基端部31と、連動桿24と平行となるように基端部31から突出して設けられた鎌軸32と、基端部31に設けられ、連動桿24が挿通する湾曲状長穴33と、基端部31の先端側に設けられ、連動桿24が上下方向に往復移動し湾曲状長穴33に沿って移動して基端部31が鎌軸32を中心に回動することにより、引戸Dの側面から突出又は引込して壁Wに設けられた鎌受け50(
図5参照)に掛止するように構成された鎌部34とを備えている。
【0032】
鎌部材30における基端部31の少なくとも湾曲状長穴33が設けられる部分は、樹脂材料から形成されていることが望ましい。本実施形態においては、基端部31の湾曲状長穴33が設けられている基端部本体31aの部分は樹脂材料で構成されており、これより先端側の鎌部34及び鎌軸32が装着される部分は横断面が略コ字状の金属板材31bによって基端部本体31aの両側面を挟むように構成されている。この場合、金属板材31bは補強機能を有している。なお、本実施形態の鎌部34においては、樹脂材料からなる基端部本体31aが金属板材31bの縁端より突出するように構成されており、これにより、施錠する際に鎌部34が鎌受け50に当接する時の操作音を抑えることができる。また、湾曲状長穴33の部分が樹脂材料で形成されていることにより、連動桿24がこの湾曲状長穴33内をスムーズに摺動することができる。
【0033】
端面部材40は、金属材料から形成され、上下長が長い端面片40aと上下長が短い側面片40bとをL字形状に一体化して構成した部材である。この端面部材40の端面片40aがアウトセット引戸Dの戸先側端面に当接して装着され、側面片40bがアウトセット引戸Dの側面に当接するように取り付けられる。この端面部材40の端面片40aの裏面(引戸側の面)には、1対の取り付け用突起部41と、連動桿24の他端が摺動可能に嵌入する上下1つずつの摺動溝42と、2つの摺動溝42の片側に設けられ、鎌軸32の一端が下側に位置する軸受け穴43に回転可能に装着される2つの非貫通の軸受け穴43とが設けられている。2つの摺動溝42及び2つの軸受け穴43が設けられている理由は、鎌錠の左右勝手の入れ替えを行う際にこの端面部材40が上下逆に配置され、その下側に位置する摺動溝42及び軸受け穴43が利用されるためである。また、側面片40bには、矩形形状に開口された鎌出入口44が設けられている。この端面部材40は、取り付け用突起部41を介して収容ケース21の取り付け部25にネジで取り付けられる。この場合、鎌軸32が端面部材40と鎌錠本体20の収容ケース21との間に支持され、同時に連動桿24が湾曲状長穴33を挿通してその他端が下側の摺動溝42に嵌入される。
【0034】
鎌錠30の左右勝手切り替えの際は、端面部材40が上下逆かつ左右逆となるように設置される。従って、側面片40bは、上下逆転して引戸の反対側の側面に当接するように設置される。さらに、鎌部材30を裏返して鎌軸32の他方を鎌錠本体20の1対の軸受け穴27の他の1つに回動可能に嵌入し、鎌軸32の一方を端面部材40の下側の1対の軸受け穴43の1つに回動可能に嵌入すれば、鎌錠30の左右勝手の入れ替えを行うことができる。このように、本実施形態によれば、左右勝手の入れ替えに関わる部品数を少なくすることができ、低コストで製造することができる。しかも、左右勝手の入れ替え作業を容易に行うことができ、入れ替えミスの軽減や施工時間の短縮に繋がる。
【0035】
鎌受け50は、金属材料から形成され、鎌部材30の鎌部34が係脱可能に構成されている。この鎌受け50は、アウトセット引戸Dの鎌部材30が突出又は引込する側の壁面Wに取り付けられている。
【0036】
以下、本実施形態のアウトセット引戸用鎌錠100の施解錠動作を説明する。
【0037】
操作ノブ11を
図2に示すように上方へ摺動させることで、アウトセット引戸用鎌錠100が解錠状態になる。即ち、操作ノブ11を上方へ摺動させると、連結軸12がこれに連動して上方へ移動し、この連結軸12が挿通している軸穴22bを一端部に有する揺動部材22が、これに連動して回動軸22aを中心に、
図2(b)にて反時計回りに回動し、略U字形状の開口溝22bを有する他端部が下方に移動する。これにより、摺動部材23が下方へ摺動し、連動桿24がこれに連動して下方へ移動することにより、鎌部材30が鎌軸32を中心に、
図2(a)にて時計回りに回動する。その結果、鎌部34が鎌受け50から外れてアウトセット引戸Dの内部(鎌出入口44の内側)に引き込むこととなり、解錠状態となる。
【0038】
また、操作ノブ11を
図3に示すように下方へ摺動させることで、アウトセット引戸用鎌錠100が施錠状態になる。即ち、操作ノブ11を下方へ摺動させると、連結軸12がこれに連動して下方へ移動し、この連結軸12が挿通している軸穴22bを一端部に有する揺動部材22が、これに連動して回動軸22aを中心に、
図3(b)にて時計回りに回動し、略U字形状の開口溝22bを有する他端部が上方に移動する。これにより、摺動部材23を上方へ摺動し、連動桿24がこれに連動して上方へ移動することにより、鎌部材30が鎌軸32を中心に、
図3(a)にて反時計回りに回動する。その結果、鎌部34がアウトセット引戸Dの内部(鎌出入口44の内側)から突出し鎌受け50に掛止することとなり、施錠状態になる。
【0039】
アウトセット引戸用鎌錠100の左右勝手の入れ替えを行う場合、鎌錠本体20から端面部材40を取り外した後、鎌部材30を鎌錠本体20から外し、鎌部材30の表裏を逆にして鎌軸32を他方の軸受け穴27に装着し、連動桿24を湾曲状長穴33を挿通させ、さらに、上下逆かつ左右逆に設置した端面部材40の下側に位置する摺動溝42に連動桿24の他端を嵌入させた後、鎌軸32の他端を下側に位置する他方の軸受け穴43に装着すれば良い。即ち、本実施形態の構成によれば、鎌部材30と端面部材40の2つの部品の取り付け方向を入れ替えるだけで、左右勝手の入り替えが簡単にできる。
【0040】
以上詳細に説明したように、本実施形態のアウトセット引戸用鎌錠100は、施解錠するための操作部10と、操作部10の上下動を鎌部材30に伝達する伝達機構を内部に収容する鎌錠本体20と、鎌部材30と、鎌錠本体20と協働して鎌部材30を保持する端面部材40と、引戸Dに対向する壁面Wに設けられ鎌部材30が掛止するための鎌受け50とを備えている。鎌錠本体20は、操作部10に機械的に連結され、この操作部10の操作に連動して上下方向に往復移動して鎌部材30を回動させる連動桿24を備えている。鎌部材30は、基端部31と、連動桿24と平行となるように基端部31から突出して設けられた鎌軸32と、基端部31に設けられ、連動桿24が挿通する湾曲状長穴33と、基端部31の先端側に設けられ、連動桿24が上下方向に往復移動し湾曲状長穴33に沿って移動することにより基端部31が鎌軸32を中心に回動した際に、アウトセット引戸Dの側面から突出又は引込するように構成された鎌部34とを備えている。
【0041】
このように、連動桿24が上下方向に往復移動し湾曲状長穴33に沿って移動することによって鎌部材30の基端部31が鎌軸32を中心に回動する構造であるため、構造が簡単であると共に部品点数が少なく済み、低コストで製造することができる。また、鎌錠であるため、アウトセット引戸を確実に施錠して施錠性を高めることができる。
【0042】
また、鎌錠本体20の摺動長穴26の両側には1対の軸受け穴27が設けられており、鎌部材30の鎌軸32は両端部が基端部31の両側面からそれぞれ突出して基端部31に固着されており、鎌軸32の両端部のうちの一方が1対の軸受け穴27の1つに装着されて軸支されるように、さらに、両端部のうちの他方が端面部材40の対応する位置(下方位置)に設けられた1対の軸受け穴43のうちの1つに装着されて軸支されるように構成されている。このような鎌部材30を裏返して鎌軸32の他方を1対の軸受け穴27の他の1つ及び端面部材40の対応する位置(この場合の下方位置)に設けられた1対の軸受け穴43のうちの他方との間に装着すれば、鎌錠10の左右勝手の入れ替えを行うことができるので、左右勝手の入れ替えに関わる部品数を少なくすることができ、低コストで製造することができる。しかも、左右勝手の入れ替え作業を容易に行うことができ、入れ替えミスの軽減や施工時間の短縮に繋がる。
【0043】
また、鎌部材30の湾曲状長穴33が設けられる部分が樹脂材料から形成されているため、連動桿24がスムーズに摺動でき、かつ施錠する際に鎌受け50に当接する時の操作音を抑えることができる。
【0044】
なお、上述した実施形態のアウトセット引戸用鎌錠100においては、鎌部材30の湾曲状長穴33が設けられる部分は、樹脂材料から形成されている例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、鎌部材30全体が金属材料から形成されても良い。
【0045】
さらに、上述した実施形態のアウトセット引戸用鎌錠100においては、鎌錠本体20は、収容ケース21内に回動可能に軸支された揺動部材22と、揺動部材22に連結されて、収容ケース21内の一端側に沿って摺動する摺動部材23とを備える構成例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。操作部10に連動して連動桿24を上下方向に直線往復移動させることができる機構であれば良い。
【0046】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0047】
10 操作部
11 操作ノブ
12 連結軸
20 鎌錠本体
21 収容ケース
22 揺動部材
22a 回動軸
22b 軸穴
22c 開口溝
23 摺動部材
23a 連動軸
24 連動桿
25 取り付け部
26 摺動長穴
27、43 軸受け穴
28 ガイド溝
30 鎌部材
30a 鎌本体
31 基端部
31a 基端部本体
31b 金属板材
32 鎌軸
33 湾曲状長穴
34 鎌部
40 端面部材
40a 端面片
40b 側面片
41 取り付け用突起部
42 摺動溝
43 軸受け穴
44 鎌出入口
50 鎌受け
51 鎌掛け部
100 アウトセット引戸用鎌錠
D アウトセット引戸
H 引き手
W 壁面