(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
このセクションは、開示のより良い理解を容易にできる態様を導入する。従って、このセクションの記述は、この観点から読まれるべきであり、従来技術の中にあるものまたは従来技術の中にないものについての承認として理解されるべきではない。
D2D通信は公知であり、多くの既存の無線ネットワーク、例えばアドホックネットワーク中で広く使われている。D2D通信の例は、ブルートゥース(登録商標)、およびワイアレスフィデリティ(WiFi)ダイレクトなどの一組の電気電子学会(IEEE)802.11標準のいくつかのバリエーションに従う通信を含む。上記の例のシステムは無免許のスペクトルにおいて動作する。
【0003】
最近、第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、セルラネットワークへの下敷きとして、D2D通信が、通信デバイスの近接をうまく利用すると同時に、コントロールされた干渉環境の中でデバイスが動作することを可能にするアプローチとして提案されている。一般に、例えばD2D通信のためにセルラのアップリンク資源のいくつかを確保することによって、そのようなD2D通信がセルラシステムと同じスペクトルを共有することが提案される。スペクトルは不足しがちな資源であるので、D2D通信のために専用のスペクトルを割り当てることはあまりない選択肢である。共有、特にD2Dサービスとセルラサービスとの間の動的な共有はより柔軟で、より高いスペクトル効率を提供できる。
【0004】
D2D通信はアドホックか、あるいはネットワーク補助型であってよい。例えば、セルラネットワークは、D2D接続のためのセキュリティを確立することにより、および/またはD2D接続のセットアップを部分的にまたは完全に制御すること(例えばデバイス/ピアの発見および資源割当て)によりD2D接続を補助できる。セルラネットワークはまた、干渉環境をコントロールすることによってD2D通信を補助することができる。例えば、ライセンスされた事業者のD2D通信のためのスペクトルを使うならば、無免許のスペクトルにおいて運営するよりも高い信頼性を提供できる。D2D接続を補助するために、ネットワークはまた、同期および/または部分的または完全な無線資源管理(RRM)(例えばD2D通信のための時間および/または周波数資源割当てを含んでよい)を提供できる。
【0005】
D2D通信のために、アクセス方式またはモードの選択、特に、アクセス方式またはモードが無競合(CF)であるべきか競合ベース(CB)であるべきかは、いまだに討議中である。
【0006】
競合ベースアクセス方式は、D2D通信に特に割り当てられた非UE固有資源プール(non-UE specific resource pool)の規定に関係している。資源プールは、UEがセルラネットワークのサービスエリア外にある場合にはD2D通信が可能なUE(D2D UEと略す)のために事前設定されるか(「サービスエリア外シナリオ」と称される)、または、UEがセルラネットワークのサービスエリア内にある場合には例えばシステム情報ブロック(SIB)シグナリング経由で設定される(「サービスエリア内シナリオ」と称される)。D2D UEはそのとき自律的にプールの中で資源を選択し、選択した資源を用いてデータを転送する。そのような競合ベースアクセス方式を用いると、複数のUEが、資源プールの中で同じ資源を使ってD2D通信を開始したいならば、D2D UEの間の衝突が生じる可能性がある。
【0007】
無競合アクセス方式は、UEがD2D通信経由でデータを送信したい場合に、中央制御エンティティ(例えば長期発展(LTE)システムにおける発展型ノードB(eNB))が資源をD2D UEに割り当てることを意味している。例えば、もしUEがD2D通信を開始したいならば、そのUEは、 D2D通信のための利用可能な資源について、その在圏基地局に問い合わせをしてよい。そして、在圏基地局はUEのための専用の資源を割り当て、UEに知らせることができる。その後、UEは、割り当てられた資源を用いてD2D通信を開始してよい。無競合アクセス方式によって、D2D UEの間の衝突は避けることができる。しかし、D2D通信のための資源をスケジューリングするように基地局に要求することに関していくらかの時間が掛かり、それによって伝送遅延が増大し得る。
【0008】
競合ベースアクセス方式は、サービスエリア外シナリオにおいてD2D通信のための唯一の適切な解決策である。しかし、サービスエリア内シナリオについては、競合ベース通信アクセス方式または無競合通信アクセス方式のどちらでも可能である。
【0009】
セルラネットワークの中でD2D通信を可能にすることはいくつかの課題を提起する。サービスエリア内シナリオにおいてD2D通信に直面している第一の問題点は、D2D UEから成るD2Dシステムとレガシーセルラ(例えばLTE)システムとの間の共存である。D2D通信がLTE資源を使うので、専用の資源をD2D通信のために割り当てることは非効率である。事業者の観点からは、LTEシステムの商品価値がD2Dシステムのそれより大きいので、LTEシステムはD2Dシステムより重要である。従って、LTEシステムが影響されないであろうようにD2D通信を制御する方法が解決すべき問題点である。
【0010】
サービスエリア内シナリオにおいてD2D通信に直面している第二の問題点は、競合ベースアクセス方式においてどのように競合または衝突を避けるか、および、いつ競合ベースアクセス方式を利用し、いつ無競合アクセス方式を利用するかである。
【発明の概要】
【0011】
上記の関心事の一つ以上に対処するために、D2Dベースのアクセス(すなわちD2D通信のアクセス)のための解決策を提供することは技術的に望ましいであろう。
【0012】
第一の面において、セルラ無線システムの基地局(BS)における方法が提供される。その方法は、D2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを取得することと、その少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含むメッセージを一つ以上の端末装置に送信することとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記取得することは、D2D通信のために割り当てられた資源の負荷レベルを監視し、少なくとも部分的に負荷レベルに基づいて少なくとも一つのアクセス制御パラメータを決定することによって実施され得る。
【0014】
いくつかのさらなる実施形態において、この方法は、負荷レベルに基づいてD2D通信に割り当てられた資源を調整することと、それからD2D通信に割り当てられた調整された資源の負荷レベルを監視することとをさらに含むことができる。
【0015】
いくつかの更なる実施形態においては、前記調整することは、負荷レベルが第一のしきい値よりも高く且つセルラ無線システム内において空き資源が利用可能である場合には、負荷レベルに基づいてD2D通信に対してより多くの資源を割り当てることによって、または、負荷レベルが第二のしきい値よりも低い場合には、負荷レベルに基づいてD2D通信のために割り当てられた資源の少なくとも一部を回収することによって実施され得る。
【0016】
いくつかの実施形態においては、第一の負荷レベルに基づいて決定された少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、第二の負荷レベルに基づいて決定された少なくとも一つのアクセス制御パラメータが許容するより多くのD2Dベースのアクセスを許容でき、ここで第一の負荷レベルは第二の負荷レベルより低い。
【0017】
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、D2Dベースのアクセスが許容される確率を示している排除要因と、端末装置が排除された後D2Dベースのアクセスを再試行する前に待機すべき期間を示している排除時間を含んでよい。
【0018】
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、端末装置が属しているアクセスクラスが、D2Dベースのアクセスを排除されるかどうかを示している排除ビットマップを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態においては、メッセージが、システム情報ブロックメッセージ経由でブロードキャストすることによって送信されてよい。
【0020】
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、D2D競合ベースアクセスのために、またはD2D無競合アクセスのために使われ得る。
【0021】
第二の面において、セルラ無線システムの端末装置における方法が提供される。その方法は、セルラ無線システムの基地局からのメッセージを受信することを含む。このメッセージはD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含む。この方法は、少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づき、D2Dベースのアクセスが許容されるかまたは排除されるかを決定することと、D2Dベースのアクセスが許容されることに応じてD2Dベースのアクセスを開始することとをさらに含む。
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは第一のタイプのD2Dベースのアクセスのために使われ得る。そのような実施形態においては、D2Dベースのアクセスは、少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて第一のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されると決定することに応じて第一のタイプのD2Dベースのアクセスを開始することによって開始され得る。D2Dベースのアクセスはまた、第一のタイプのD2Dベースのアクセスが少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて排除されると判定することに応じて第二のタイプのD2Dベースのアクセスを開始することによっても開始され得る。
【0022】
いくつかの更なる実施形態においては、この方法は、第二のタイプのD2Dベースのアクセスを開始する前に、基地局から受信した第二のタイプのD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて、第二のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されるかまたは排除されるかを決定することをさらに含んでよい。
【0023】
いくつかの実施形態においては、第一のタイプのD2Dベースのアクセスは、D2D競合ベースアクセスとD2D無競合アクセスのうちの一方であってよく、第二のタイプのD2Dベースのアクセスは、D2D競合ベースアクセスとD2D無競合アクセスのうちの他方であってよい。
【0024】
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、D2Dベースのアクセスが許容される確率を示している排除要因と、端末装置が排除された後D2Dベースのアクセスを再試行する前に待機すべき期間を示している排除時間とを含んでよい。
【0025】
他の実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、端末装置が属しているアクセスクラスがD2Dベースのアクセスを排除されるかどうかを示す排除ビットマップを含むことができる。
【0026】
第三の面において、セルラ無線システムの基地局が提供される。その基地局は、D2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを取得するように構成された取得モジュールと、少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含むメッセージを一つ以上の端末装置に送信するように構成された送信モジュールとを含む。
第四の面において、セルラ無線システムの端末装置が提供される。その端末装置は、セルラ無線システムの基地局からのメッセージを受信するように構成された受信モジュールを含む。このメッセージはD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含む。その端末装置は、少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいてD2Dベースのアクセスが許容されるか排除されるかを決定するように構成された決定モジュールと、決定モジュールによってD2Dベースのアクセスが許容されると決定することに応じてD2Dベースのアクセスを開始するように構成された開始モジュールとをさらに含む。
【0027】
第五の面において、セルラ無線システムの基地局が提供される。その基地局はプロセッサとメモリとを含む。そのメモリはプロセッサによって実行可能な命令を含んでおり、それによって、D2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを取得するように、そして少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含むメッセージを一つ以上の端末装置に送信するように、基地局は動作する。
【0028】
第六の面において、セルラ無線システムの基地局が提供される。その基地局は、D2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを取得するように、そして少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含むメッセージを一つ以上の端末装置に送信するように構成された処理手段を含む。
【0029】
第七の面において、セルラ無線システムの端末装置が提供される。その端末装置はプロセッサとメモリとを含む。メモリはプロセッサによって実行可能な命令を含んでおり、それによって、セルラ無線システムの基地局からのメッセージを受信するように端末装置は動作する。そのメッセージはD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含む。端末装置は、少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいてD2Dベースのアクセスが許容されるか排除されるかを決定し、D2Dベースのアクセスが許容されると判定することに応じてD2Dベースのアクセスを開始するようにさらに動作する。
【0030】
第八の面において、セルラ無線システムの端末装置が提供される。この端末装置は、セルラ無線システムの基地局からのメッセージを受信するように構成された処理手段を含む。このメッセージはD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含む。処理手段は、少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいてD2Dベースのアクセスが許容されるか排除されるかを決定し、D2Dベースのアクセスが許容されると判定することに応じてD2Dベースのアクセスを開始するようにさらに構成される。
【0031】
第九の面において、コンピュータプログラムコードを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。このコンピュータプログラムコードは、実行されると、上述したように第一の面に従った方法で装置に動作を実行させるよう構成される。
【0032】
第十の面において、コンピュータプログラムコードを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。このコンピュータプログラムコードは、実行されると、上述したように第二の面に従った方法で装置に動作を実行させるよう構成される。
第一の面に対応する実施形態はまた、第三の面、第五の面、第六の面、および第九の面のために適用可能であることは理解されるべきである。同様に、第二の面に対応する実施形態はまた、第四の面、第七の面、第八の面、および第十の面のために適用可能である。
【0033】
本明細書の中で説明された技術の特定の実施形態によって、D2Dベースのアクセスのための一つ以上のアクセス制御パラメータを端末装置に知らせることで、基地局はD2D通信のアクセスをコントロールできる。このように、レガシーセルラシステム、例えばLTEシステムへのD2Dアクセスの影響を低減させることが可能である。
【0034】
本実施形態の他の機能と利点は、添付図面とともに読まれると、例として実施形態の原理を説明する特定の実施形態の以下の説明から理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本開示の原理と精神は、実例となる実施形態に関して説明されるであろう。これらのすべての実施形態は、単に当業者がよりよく理解し、さらに本開示を実施するように与えられるのであり、本開示の範囲を制限するために与えられるのではないことは理解されるべきである。例えば、一実施形態の一部として説明されたか、または記述された機能は、更なる実施形態を産み出すために別の実施形態によって使われてもよい。明晰さのために、実際の実装のすべての機能がこの明細書の中で説明されるわけではない。
【0037】
以下の説明において、ここに使われる基地局(BS)は、資源を端末に割り当てるためのエンティティであり、例えば用いられた技術と用語に応じて拡張ノードB(eNB)、NodeB、無線アクセスユニット、基地局コントローラ、または基地トランシーバ基地局(BTS)などと称されることがある。ここに使われる端末装置は、移動局(MS)、移動ユニット、セルラ電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、または無線通信能力を有するすべての携帯ユニットまたは端末、または通信機能を備えたマルチメディアシステムを含むがそれらに限定されないユーザ機器(UE)であってよい。ここに使われるD2D UEはD2D通信が可能なUEを指す。用語「端末装置」および、「ユーザ機器」または「UE」が以下では区別なく使うことができることにどうか留意してもらいたい。
【0038】
説明の目的のためのLTEタイプのセルラネットワークの文脈で実施形態が以下に説明されとはいえ、当業者は、ここに開示された本実施形態を様々な他のタイプのセルラネットワークにも適用できることを認めるであろう。
【0039】
現在、IEEE802.11無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のようなメカニズムを、D2D競合ベースアクセス方式のために再利用できる。詳細には、キャリヤ検出多元アクセス・衝突回避(CSMA/CA)メカニズムにおいて、UEがデータの送信を開始する前に、UEはバックオフタイマをセットする。このバックオフタイマによって設定されるような期間の間、UEは、使用されるチャネルが空いているか否かを継続的に監視する。チャネルが一つのスロットに対して空いているならば、バックオフタイマは1減らすことができる。さもなければ、バックオフタイマはそのまま維持される。タイマーが満了すると、UEは、チャネルは空いており、データを送信する準備をしてもよいと推定する。このメカニズムは電力を消費するかもしれない。
【0040】
D2D競合ベースアクセス方式の利点は、D2D UEがeNBへの、およびeNBからの事前のシグナリングなしにデータを送信できるので、より低負荷の下ではより低遅延を提供できることであり得る。しかし、D2Dシステムにおける負荷がより高くなると、すなわちより多くのD2D UEがそのシステム内でデータを送信したい場合、UEの間の衝突確率は増大するであろうし、それから、資源利用効率は劇的に低下するであろう。反対に、無競合ベースアクセス方式の利点は、高負荷の下での高資源効率にあり、その一方送信遅延は低負荷の下ではやや長い。
【0041】
本実施形態によると、ネットワーク補助型D2Dアクセス方式が提供される。D2Dベースのアクセスのための一つ以上のアクセス制御パラメータを基地局からUEに知らせることによって、基地局はD2D通信のアクセスをコントロールできる。このようにして、レガシーセルラシステム、例えばLTEシステムへの影響は低減され得る。いくつかのさらなる実施形態においては、競合ベースアクセス方式と無競合アクセス方式の両方の利点を獲得できるように、競合ベースアクセス方式と無競合アクセス方式との間で変更するメカニズムが提供される。
【0042】
図1は、本実施形態が適用され得る模範的なシナリオを説明する。LTEネットワークの下地になるD2D通信の概念は
図1中で模範的に示される。セルラモードにおいてアップリンク及びダウンリンクの資源を用いる代わりに、UEの間の直接接続がピアツーピア通信を通して許される。D2D通信のいくつかの応用例は、マルチメディアのダウンロード、ビデオストリーミング、オンラインゲーム、およびピアツーピアファイル共有である。
【0043】
図1は、基地局(BS)101と、基地局101によって提供されたサービスエリア(不図示、セルとも呼ぶ)中で通信している複数のUE102a-j(これ以降集合的に102と称することがある)とを示す。基地局101は、サービスエリアの中のUE102などの無線端末装置と通信することが可能である。いくつかのUEは、セルラ通信を使って、基地局101経由で互いに通信できる一方、他のUEは、直接接続、すなわちD2D通信を用いて互いに通信することができる。以下では簡潔さを目的として、セルラ通信の中のUEはセルラUEと称することがあり、D2D通信の中のUEはD2DUEと称することがある。例えば、セルラUE102aは基地局101経由でセルラUE102bと通信するかもしれない。そして、セルラUE102cは基地局101経由でセルラUE102dと通信することができ、その一方で、UE102eとUE102fとは、互いに直接通信してD2Dペアを成形し、UE102gとUE102hとは互いに直接通信して別のD2Dペアを成形し、そして、UE102iとUE102jとは互いに直接通信してさらに別のD2Dペアを成形することができる。
【0044】
いくつかの実装においては、基地局101は長期発展(LTE)標準に従う発展型ノードB(eNB)として実施されてもよい。基地局101はまたIEEE802.16標準に従って実施されてもよい。基地局101は、他の基地局、無線ネットワークコントローラ、在圏ゲートウエイ等の他のネットワークノードへの有線または無線のバックホールリンクを有していてよい。
【0045】
UEは移動型および固定型またはそのいずれかであってよい。UEは例えば無線ハンドヘルドデバイス、無線プラグインアクセサリなどとして実施できる。例えば、UEは、無線電話や、ネットワークと無線接続されるコンピュータ、またはそれらと同様の形をとることができる。いくつかの場合では、UEは以下の一つ以上を含むことができる:少なくとも一つのプロセッサ、少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体(例えばメモリ、記憶装置、およびそのようなもの)、無線アクセスメカニズム、およびユーザインタフェース。
【0046】
図1においては、一つの基地局101だけが示されていることに注意すること。実際には、多くの基地局があってもよい。さらに、基地局101によって提供されるセルの中には、多くのUEがあってよく、D2Dペアは
図1に例示するようなそれらよりも複雑であってもよい。例えば、すべての二つのUEがD2D通信経由で直接的な、または間接的な接続を持っているD2Dクラスタの中に、三つ以上のUEがグループ化されてもよい。当業者は、
図1に例示するようなシナリオが、本実施形態がどのような点でも現在の開示を制限することなく適用され得る環境を説明するための例に過ぎないことを理解すべきである。
【0047】
図2は、本実施形態に応じたUEと基地局(例えばeNB)との間のD2Dベースアクセスのためのシグナリングフローの例を説明する。
【0048】
ブロックS210に示すように、基地局はD2Dベースのアクセスのための一つ以上のアクセス制御パラメータを取得する。アクセス制御パラメータは、いくつかの要因(例えば、セルラサービスの負荷情報およびD2Dサービスの負荷情報から得られるD2D通信に割り当てられた資源の負荷レベル、セルラUEのQoS要件、セルラUEの数、資源利用などから得られる)に基づいて決定され得る。資源の負荷レベルは資源の利用効率を示す測定基準(metric)を指す。先に述べたように、二つのタイプのD2Dベースのアクセスモード(すなわち無競合(CF)と競合ベース(CB))がある。上記のアクセス制御パラメータ(s)は、D2D無競合アクセスのために、またはD2D競合ベースアクセスのために提供してよい。この結果、二つのタイプのD2Dベースアクセスは個別に制御され得る。
【0049】
そして、S211において、基地局は、取得した一つ以上のアクセス制御パラメータを含むメッセージを一つ以上のUEに送信する。好ましくは、このメッセージは基地局によってブロードキャストされるシステム情報ブロック(SIB)メッセージである。
【0050】
いくつかの実施形態においては、アクセス制御パラメータは、D2Dベースのアクセスが許容される確率を示している排除要因と、端末装置が排除された後D2Dベースのアクセスを再試行する前に待機すべき期間を示している排除時間とを含んでよい。これらのアクセス制御パラメータをUEに知らせるために、新しい情報要素(IE)が、D2Dベースのアクセスの受付制御を実施するSIBメッセージ(例えばSIB2)中に追加されてもよい。以下は追加された新しいIEの例を説明する。
D2DAC-BarringConfig::= SEQUENCE{
d2dac-BarringFactor ENUMERATED{
P00、p05、p10、p15、p20、p25、p30、p40、
P50、p60、p70、p75、p80、p85、p90、p95、p100}、
d2dac-BarringTime EUMERATED{s4、s8、s16、s32、s64、s128、s256、s512}、
}。
【0051】
これらのパラメータは、新たに定義されたD2Dベースのアクセスのための能力カテゴリに基づく。より詳細には、パラメータ<d2dac-BarringFactor>は、D2Dベースのアクセスが許容される確率をD2D UEに通知するために使われる。このパラメータの値は範囲[0、1]で解釈される:p00=0、p05=0.05、p10=0.10、...、p95=0.95、p100=1。「1」は、D2Dベースのアクセスがどのような追加の制限もなしに開始できることを意味する一方で、「0」は、D2Dベースのアクセスが排除されて、全く開始されないかもしれないことを意味している。
【0052】
パラメータ<d2dac-BarringTime>は、UEが、排除された後にD2Dベースのアクセスを再試行する前に待機すべき期間を示すために使われる。このパラメータの値は、秒単位のアクセス排除時間値である。
【0053】
D2Dベースのアクセスのために全体として許容されるかまたは排除されることがある事前定義済みのアクセスクラスに各UEが属している他の実施形態においては、UEが属しているアクセスクラスについての情報はUEにおいて記憶されてよい。この実施形態においては、アクセス制御パラメータは、UEが属しているアクセスクラスが、D2Dベースのアクセスから排除されるかどうかを示している排除ビットマップを含むことができる。これらのアクセス制御パラメータをD2D UEに知らせるために、他の新たなIEが、D2Dベースのアクセスの精密な排除を実施するSIBメッセージ(例えばSIB14)中に追加されてもよい。以下は追加された新しいIEの例を説明する。
D2DAC-BarringConfig::= SEQUENCE{
d2d-BarringBitmap BIT STRING (SIZE (10))
}。
【0054】
この新たなIEは、D2Dベースのアクセスのための新たに定義された容量カテゴリと、0から9の各D2D UEのための新たに割り当てられたアクセスクラスとに基づく。パラメータ<d2d-BarringBitmap>は、D2D UEが属しているどのアクセスクラスが排除されるかを通知するために使用される。例えば、<d2d-BarringBitmap>中の第一ビットはアクセスクラス0に対応し、<d2d-BarringBitmap>中の最終ビットはアクセスクラス9に対応する。値「1」は、D2Dベースのアクセスが排除されることを意味し、値「0」は、D2Dベースのアクセスが排除されない、すなわち許容されることを意味してよい。
【0055】
当業者は、これらのパラメータの値は単に説明のためであることを理解してよく、また他の値を、それらのD2Dアクセス制御情報を示すために使うことができる。例えば、<d2d-BarringBitmp>において、値「1」は、D2Dベースのアクセスが許容されることを意味してよい一方、値「0」は、D2Dベースのアクセスが排除されることを意味してよい。当業者はまた、上述した二つのIE(すなわち二つのアクセス制御パラメータ)が、D2D通信に対して独立して適用することも、一緒に適用することもできることを理解するかもしれない。さらに、当業者は、他の情報要素がまた、一つ以上のアクセス制御パラメータを搬送するために使われてもよいことを理解するかもしれない。
【0056】
図2を続けると、ブロックS220において、UEがD2Dベースのアクセスを開始したいときには、UEは、D2Dアクセス制御情報(すなわち基地局から受信した一つ以上のアクセス制御パラメータ)に従って、D2Dベースのアクセスが許容されるか排除されるかを判定する。
【0057】
D2Dアクセス制御情報が、たとえばSIB2で搬送された排除要因と排除時間とを含むなら、UEは範囲[0、1]で無作為の値pを振り出すであろう。pがSIB2に含まれた<d2dac-BarringFactor>により示された値より小さいならば、D2Dベースのアクセスが許容されると判定する。そして、UEはブロックS230でD2Dベースのアクセスを開始することができる。さもなければ、D2Dベースのアクセスが排除されると判定し、SIB2に含まれた<d2dac-BarringTime>により示される期間を待機すべきである。その期間が満了したとき、UEは、D2Dベースのアクセスを再試行できる。
【0058】
D2Dアクセス制御情報が例えばSIB14で搬送された排除ビットマップを含むならば、UEは、そのUEが属しているアクセスクラスが排除されるかどうかをチェックするであろう。UEのアクセスクラスは、0から9の範囲内の値で汎用加入者識別モジュール(USIM)などのUEのメモリに保存されてよい。USIMに格納されたようなUEのアクセスクラスについて、<d2d-BarringBitmap>内の対応ビットが「0」に設定されているなら、D2Dベースのアクセスが許容されると判定する。そして、UEはブロックS230でD2Dベースのアクセスを開始することができる。さもなければ、<d2d-BarringBitmap>内の対応ビットが「1」に設定されているなら、D2Dベースのアクセスが排除されると判定し、UEはD2Dベースのアクセスを開始しなくてよい。
【0059】
上述したように、二つのIEすなわち二つのアクセス制御パラメータは、D2D通信に独立して適用することも、一緒に適用することもできる。一緒に適用される場合、UEは最初に、パラメータ<d2d-BarringBitmap>に従って、UEが属するアクセスクラスが排除されているかどうかをチェックしてよい。UEのアクセスクラスが許容されるならば、そのときUEはさらに、パラメータ<d2dac-BarringFactor>に従って、D2Dベースのアクセスが許容されるかどうかを判定してよい。これら二つのIEを結合することで、精密なD2Dベースのアクセスの制御を実施できる。
【0060】
このように、上記で、ここに開示したいくつかの実施形態に従って基地局とユーザ機器との間のシグナリングフローを説明した。D2Dベースのアクセスのための一つ以上のアクセス制御パラメータをUEに知らせることによって、基地局はD2D通信のアクセスをコントロールすることができる。特に、D2DシステムがレガシーLTEシステムと同じ資源を、例えばD2D無競合アクセスモードにおいて利用する場合、基地局は、アクセス制御パラメータの値を、LTEシステムを保護できるようにD2Dベースのアクセスを許容するか、または排除するためにセットしてよい。D2D競合ベースアクセスだけが存在するならば、D2Dベースのアクセスを開始することが適当であるか否かをチェックするためにD2D UEがずっと共有資源プールを監視する必要がないので、提案されたネットワーク補助型アクセス制御は、D2D UEの電力を節約するのに役立つかもしれない。D2D UEはこの状況を基地局によって送られたSIBメッセージから知ってもよく、このSIBメッセージの読み取りは一定の時間に生じてもよい。
【0061】
次に、基地局において、およびユーザ機器において実行される模範的な方法が個別に説明され、いくつかの付加的な作業がこれら実施形態で行われてよい。
【0062】
図3は、本実施形態に従うセルラ無線システムの基地局における方法の模範的なフローチャートを説明する。
【0063】
ブロックS310において、基地局はD2Dベースのアクセスのために少なくとも一つのアクセス制御パラメータを取得する。以前に述べたように、アクセス制御パラメータは、いくつかの要因(例えば、セルラサービスの負荷情報から得ることができるD2D通信に割当てられた資源の負荷レベル、D2Dサービスの負荷情報、セルラUEのQoS要件、セルラUEの数、資源利用の数など)に基づいて決定され得る。従って、いくつかの実施形態において、例えばD2D競合ベースアクセスモードのために、ブロックS311においてD2D通信に割り当てられた資源の負荷レベルを監視し、それからブロックS314において少なくとも部分的に負荷レベルに基づいた少なくとも一つのアクセス制御パラメータを決定することによって、少なくとも一つのアクセス制御パラメータが取得されてよい。当業者は、D2D無競合アクセスモードのために、他の要因(例えばセルラサービスなどの負荷情報など)が監視され、アクセス制御パラメータを決定するか、または調整するために使われてよいことを理解するかもしれない。ここで、アクセス制御パラメータがD2D競合ベースアクセスのために使われるとする。
【0064】
負荷レベルの監視は基地局で実施してよい。これは、D2D UEの送信電力が、セルラUEのそれに匹敵するか(例えば23dBm)、またはそれより大きい(例えば31dBm)ので実行可能であり、それによって基地局は、D2D通信のために割り当てられた資源がD2D UEによって利用されるか否かを知ることができる。その代わりに、D2D UEが負荷レベル(例えば衝突確率)を基地局に報告しても良い。
【0065】
いくつかの実施形態では、負荷レベルは、D2D通信、特に競合ベース通信に割り当てられた資源のビジー/フリー比率により表現されてよい。例えば、N回の送信間隔(TTIs)すべてについて、基地局は、D2D競合ベース通信のために使用された資源の数に対する使用されない資源の数をチェックしてよく、それによってビジー/フリー比率を計算する。その代わりに、負荷レベルが衝突確率によって表現されてもよい。たとえば、基地局は、D2D UEの間でデータ送信のための衝突があるTTIの数に対する衝突がないTTIの数をチェックしてよく、それによって衝突確率を計算する。
【0066】
このビジー/フリー比率または衝突確率により、基地局はD2Dシステムにおける負荷レベルを知ることができる。負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて、基地局は上述したようにアクセス制御パラメータの値を決定してよい。
【0067】
負荷レベルに基づいてアクセス制御パラメータの値を決定するために一つ以上の基準を用いることができる。いくつかの実施形態では、その基準は負荷レベルに関連付けられた複数の閾値により事前定義されてもよい。例として、N個の閾値TH
iがあり得る。ここでi=1,2,...,NかつTH
i<TH
i+1であり、一連のランク0〜TH
1、TH
1〜TH
2、...、TH
N-1<TH
Nになる。異なるランクがアクセス制御パラメータの異なる値に対応してよい。たとえば、監視された負荷レベルがTH
1〜TH
2の範囲に収まるなら、パラメータ<d2dac-BarringFactor>の値は「p95」にセットされてよく、かつ、<d2dac-BarringTime>の値は「s8」にセットされてよく、かつ/またはパラメータ<d2d-BarringBitmap>の値は、0から9までのアクセスクラスを許すように例えば「0000000001」にセットされてよい。当業者は、負荷レベルの粒度(すなわち閾値の数)が、特定の実装に応じて変わってよく、アクセス制御パラメータの粒度に整合している必要は無いことを理解するかもしれない。
【0068】
上述した基準は、負荷レベルの閾値とアクセス制御パラメータとの間のマッピングを格納するデータ構造(たとえばテーブル)によって保持されてもよい。
【0069】
いくつかの他の基準も適用可能であり得る。例えば、監視は継続的に実行されるので、負荷レベルの変化が計算できる。変化が所定の閾値を超えたことに応じて、アクセス制御パラメータの値が調整されてよい。調整のステップは基準の中で事前定義できる。
一般に、たとえ何の種類の基準が採用されても、第一の負荷レベルに基づいて決定された少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、第一の負荷レベルより高い第二の負荷レベルに基づいて決定された少なくとも一つのアクセス制御パラメータより多くのD2Dベースのアクセスを許容する。換言すれば、負荷レベルが高くなるほどより多くのD2Dベースのアクセスが排除される、すなわちパラメータ<d2dac-BarringFactor>の値が低くなる、あるいはパラメータ<d2d-BarringBitmap>においてより多くのビットが「1」にセットされる。同様に、負荷レベルが低くなるほどより少ないD2Dベースのアクセスが排除される、すなわちパラメータ<d2dac-BarringFactor>の値が高くなる、あるいはパラメータ<d2d-BarringBitmap>においてより多くのビットが「0」にセットされる。
【0070】
監視は、継続的に実行されるか、あるいは周期的に実行されてよいので、その結果アクセス制御パラメータは実時間で或いはほぼ実時間で、たとえば短期間で調整できる。
いくつかの実施形態では、少なくとも一つのアクセス制御パラメータが決定される前に、基地局はブロックS312において、ブロックS311において監視された負荷レベルに基づいてD2D通信のために割り当てられた資源を調整してよい。たとえば、負荷レベルが所定の閾値よりも高く、かつセルラ無線システム内に利用可能な空き資源がある場合、基地局は負荷レベルに基づいてより多くの資源をD2D通信に割り当ててよい。負荷レベルが別の所定の閾値よりも低い場合には、基地局は、負荷レベルに基づいてD2D通信に割り当てられた資源の少なくとも一部を回収してよい。
【0071】
この実施形態では、D2D通信に割り当てられた資源がいったん調整されると、基地局はブロックS313において調整した資源すなわち現在D2D通信のために割り当てられたすべての資源の負荷レベルを監視してよい。
【0072】
少なくとも一つの制御パラメータの決定に続いて、ブロックS320において、基地局は、取得した一つ以上のアクセス制御パラメータを含むメッセージを、一つ以上のユーザ機器に送信する。一例においては、このメッセージは基地局によってブロードキャストされるシステム情報ブロック(SIB)メッセージであってよい。例えば、パラメータ<d2dac-BarringFactor>および<d2dac-BarringTime>はSIB2で搬送され、その一方パラメータ<d2d-BarringBitmap>はSIB14で搬送されてよい。
【0073】
上記説明から、D2D競合ベースアクセスについては、D2D通信のために割り当てられた資源の監視された負荷レベルに基づいてアクセス制御パラメータを決定/調整することにより、D2D UE間の衝突をできるだけ避ける/減らすことができることが理解できる。他のいくつかの実施形態においては、レガシーLTEシステムと同じ資源を利用するD2D無競合アクセスモードについては、いくつかの他の要因(例えばセルラサービスの負荷情報など)が監視され、アクセス制御パラメータの決定または調整のために利用されるなら、レガシーLTEシステムとD2Dシステムとの間の負荷の均衡が達成できる。例えば、セルラサービスの負荷が高いのであれば、より多くのD2D無競合アクセスが排除され、セルラサービスの負荷が低いのであれば、より少ないD2D無競合アクセスが排除され、すなわちD2D無競合通信を促進する。
【0074】
図4は、いくつかの本実施形態に従ってUEにおける方法の模範的なフローチャートを説明する。
【0075】
ブロックS410において、UEは、D2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含むメッセージを受信する。基地局における方法に関して述べたように、このメッセージはSIBメッセージ良い。例えば、パラメータ<d2dac-BarringFactor>および<d2dac-BarringTime>はSIB2で搬送され、その一方パラメータ<d2d-BarringBitmap>はSIB14で搬送されてよい。
【0076】
それからブロックS420において、UEは、基地局から受信した少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいてD2Dベースのアクセスが許容されるかそれとも排除されるかを決定する。UEは、D2Dベースのアクセスを開始したいときにそのような決定をしてよい。
【0077】
決定の仕方は受信したアクセス制御パラメータに依存する。少なくとも一つのアクセス制御パラメータがパラメータ<d2dac-BarringFactor>および<d2dac-BarringTime>を含むなら、UEは[0,1]の範囲で無策の値pを振り出すであろう。pが<d2dac-BarringFactor>により示された値より小さいならば、D2Dベースのアクセスが許容されると判定する。そして、UEはブロックS430でD2Dベースのアクセスを開始することができる。さもなければ、D2Dベースのアクセスが排除されると判定し、UEは、<d2dac-BarringTime>により示される期間を待機すべきである。その期間が満了すると、UEは、D2Dベースのアクセスを再試行できる。
【0078】
少なくとも一つのアクセス制御情報がパラメータ<d2d-BarringBitmap>を含むならば、UEは、そのUEが属しているアクセスクラスが排除されるかどうかをチェックするであろう。例えばUSIMに格納されたようなUEのアクセスクラスについて、<d2d-BarringBitmap>内の対応ビットが「0」に設定されているなら、D2Dベースのアクセスが許容されると判定する。そして、UEはブロックS430でD2Dベースのアクセスを開始することができる。さもなければ、<d2d-BarringBitmap>内の対応ビットが「1」に設定されているなら、D2Dベースのアクセスが排除されると判定し、UEはD2Dベースのアクセスを開始しないかもしれない。
【0079】
上述したように、二つのIEすなわち二つのアクセス制御パラメータは、D2D通信に独立して適用することも、一緒に適用することもできる。一緒に適用される場合、UEは最初に、パラメータ<d2d-BarringBitmap>に従って、UEが属するアクセスクラスが排除されているかどうかをチェックしてよい。D2Dベースのアクセスが許容されるならば、そのときUEはさらに、パラメータ<d2dac-BarringFactor>に従って、D2Dベースのアクセスが許容されるかどうかを判定してよい。これら二つのIEを結合することで、精密なD2Dベースのアクセスの制御を実施できる。
【0080】
さらに、先に述べたように、二つのタイプのD2Dベースのアクセスモード(すなわち無競合(CF)と競合ベース(CB))がある。上記のアクセス制御パラメータ(s)は、D2D無競合アクセスのために、またはD2D競合ベースアクセスのために提供できる。この結果、二つのタイプのD2Dベースのアクセスは個別に制御され得る。
図5は、二つのタイプのD2Dベースのアクセスが一緒に制御されるいくつかのさらなる実施形態に従う、UEにおける方法の模範的なフローチャートを説明する。ブロックS510において、UEは、第一のタイプのD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含むメッセージを受信する。そのメッセージはSIBメッセージであってよい。例えば、パラメータ<d2dac-BarringFactor>および<d2dac-BarringTime>はSIB2で搬送され、その一方パラメータ<d2d-BarringBitmap>はSIB14で搬送されてよい。
【0081】
それから、ブロックS520において、UEが例えばD2Dベースのアクセスを開始したいときには、UEは、基地局から受信した少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて、第一のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されるか排除されるかを決定する。その判定の仕方は、受信したアクセス制御パラメータに依存し、それは
図2及び
図4を参照して詳述されており、ここでは簡素化のために省略する。
【0082】
ブロックS530において、第一のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されると決定することに応じて、UEは第一のタイプのD2Dベースのアクセスを開始してよい。
【0083】
さもなければ、第一のタイプのD2Dベースのアクセスが排除されると決定することに応じて、UEは第二のタイプのD2Dベースのアクセスへと変更してもよい。すなわち、第一のタイプのD2Dベースのアクセスが排除されることを決定したなら、UEは第二のタイプのD2Dベースのアクセスを開始してよく、すなわち処理は、ブロックS550へとジャンプしてよい(このジャンプは
図5中で示されない)。
【0084】
オプションとして、第二のタイプのD2Dベースのアクセスを開始する前に、UEはブロックS540において、基地局から受信した第二のタイプのD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて、第二のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されるかまたは排除されるかを決定してもよい。第一のタイプのD2Dベースのアクセスのためのアクセス制御パラメータ(s)と同様に、第二のタイプのD2Dベースのアクセスのためのアクセス制御パラメータ(s)もまたSIBメッセージの中で基地局によってブロードキャストされてもよい。特定の実装に依存して、第二のタイプのD2Dベースのアクセスのためのアクセス制御パラメータ(s)のためのSIBメッセージは、第一のタイプのD2Dベースのアクセスのためのアクセス制御パラメータ(s)のためのSIBメッセージから分離され、または組み合わされる。ブロックS540での決定の仕方はブロックS520でのそれと同様でよい。
【0085】
ブロックS550において、第二のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されると判定することに応じて、UEは第二のタイプのD2Dベースのアクセスを開始してよい。さもなければ、ブロックS560においてUEは次の再試行を待機してよい。
【0086】
上記実施形態においては、第一のタイプのD2Dベースのアクセスは、D2D競合ベースアクセスとD2D無競合アクセスのうちのひとつであってよく、第二のタイプのD2Dベースのアクセスは、D2D競合ベースアクセスとD2D無競合アクセスのうちの他のひとつであってよい。D2Dベースのアクセスの二つのタイプの間の変更を通して、負荷の均衡を達成でき、D2D競合ベースアクセスとD2D無競合アクセスの両方の利点を得ることができる。
【0087】
一例では、第一のタイプはD2D競合ベースアクセスであり、第二のタイプはD2D無競合アクセスであってよい。このような例では、負荷レベルが低い場合、D2D競合ベースアクセスが促進されてより小さい送信遅延を達成できる。負荷レベルが高い場合、いくつかのUEはD2D無競合アクセスに変更し、それからD2D競合ベースアクセスの負荷レベルは低下し得る。この方法では、D2D競合ベースアクセスの低いスペクトル効率が回避され、D2D無競合アクセスの高いスペクトル効率が達成される。
【0088】
他の例では、第一のタイプはD2D無競合アクセスであり、第二のタイプはD2D競合ベースアクセスであってよい。例えば、このケースは、ソース基地局すなわち上述の基地局からターゲット基地局へのUEのハンドオーバーの間、特にUEがソース基地局との接続を切った後、かつUEとターゲット基地局との間の接続が確立される前に生じ得る。
【0089】
図6は、模範的な本実施形態を実行するよう構成できる基地局600の概略ブロック図を説明する。
【0090】
図6に示すように、基地局600は取得モジュール610および送信モジュール620を含む。
【0091】
取得ブロックS610は、D2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを取得するよう構成される。
【0092】
いくつかの実施形態において、取得モジュール610は監視モジュール611および決定モジュール612を含む。監視モジュール611はD2D通信のために割り当てられた資源の負荷レベルを監視するよう構成できる。決定モジュール612は、監視モジュール611に監視される負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて少なくともひとつのアクセス制御パラメータを決定するよう構成できる。当業者は、監視モジュール611は他の要因(例えばセルラサービス或いはD2Dサービスの付加情報など)を監視してもよいこと、および決定モジュール612は、アクセス制御パラメータを決定するときにこれらの要因を考慮にいれてよいことを理解するかもしれない。監視モジュール611及び決定モジュール612により実行される動作の詳細は
図3を参照して説明されており、そのためここではその説明を省略する。
【0093】
いくつかの更なる実施形態では、取得モジュール610は更に、負荷レベルに基づいてD2D通信のために割り当てられた資源を調整するよう構成された調整モジュール613を含む。監視モジュール611は更に、D2D通信に割り当てられた調整済み資源の負荷レベルを監視するよう構成される。調整モジュール613により実行される動作の詳細は
図3を参照して説明されており、そのためここではその説明を省略する。
送信モジュール620は、取得した一つ以上のアクセス制御パラメータを含むメッセージを一つ以上のユーザ機器に送信するよう構成される。一例においては、このメッセージは基地局によってブロードキャストされるシステム情報ブロック(SIB)メッセージであってよい。
【0094】
基地局600に含まれたモジュール610-620は、模範的な本実施形態を実行するために構成されることが理解されるべきである。その結果、
図2及び
図3に関して上述した動作及び機能はまた、装置600およびその中のモジュールに適用され、それらの詳細な説明は簡易化のためにここでは省略する。
【0095】
図7は、模範的な本実施形態を実行するよう構成できる端末装置700の概略ブロック図を説明する。
【0096】
図7に示すように、端末装置700は受信モジュール710および決定モジュール720および開始モジュール730を含む。
【0097】
受信モジュール710は、セルラ無線システムの基地局からのメッセージを受信するように構成される。このメッセージはD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータを含む。いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、D2Dベースのアクセスが許容される確率を示している排除要因と、端末装置が排除された後D2Dベースのアクセスを再試行する前に待機すべき期間を示している排除時間とを含んでよい。代わりにまたは追加で、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは、端末装置が属しているアクセスクラスが、D2Dベースのアクセスを排除されるかどうかを示している排除ビットマップを含むことができる。
【0098】
決定モジュール720は、少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいてD2Dベースのアクセスが許容されるかまたは排除されるかを判定するよう構成される。
【0099】
開始モジュール730は、決定モジュール720によりD2Dベースのアクセスが許容されると判定することに応じて、D2Dベースのアクセスを開始するよう構成される。
【0100】
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのアクセス制御パラメータは第一のタイプのD2Dベースのアクセスのために使用されてよく、開始モジュール730は、決定モジュール720により少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて第一のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されることに応じて、第一のタイプのD2Dベースのアクセスを開始するよう構成されてよい。そのような実施形態においては、開始モジュール730は、決定モジュール720により少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて第一のタイプのD2Dベースのアクセスが排除されることに応じて、第二のタイプのD2Dベースのアクセスを開始するようさらに構成されてよい。
【0101】
いくつかの更なる実施形態においては、決定モジュール720は、基地局から受信した第二のタイプのD2Dベースのアクセスのための少なくとも一つのアクセス制御パラメータに基づいて、第二のタイプのD2Dベースのアクセスが許容されるかまたは排除されるかを決定するようさらに構成されてよい。そのような実施形態においては、開始モジュール730は、決定モジュール720により第二のタイプのD2Dベースのアクセスが許容される場合にのみ、第二のタイプのD2Dベースのアクセスを開始するようさらに構成されてよい。
【0102】
上記実施形態においては、第一のタイプのD2Dベースのアクセスは、D2D競合ベースアクセスとD2D無競合アクセスのうちのひとつであってよく、第二のタイプのD2Dベースのアクセスは、D2D競合ベースアクセスとD2D無競合アクセスのうちの他のひとつであってよい。
【0103】
端末装置700に含まれたモジュール710-730は、模範的な本実施形態を実行するために構成されることは理解されるべきである。その結果、
図2,4,5に関して上述した動作及び機能はまた、端末700およびその中のモジュールに適用され、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0104】
図8は、本発明の模範的な実施形態を実行することにおける使用に適しているエンティティ800の簡略ブロック図を説明する。エンティティ800はネットワーク側のエンティティたとえば基地局、あるいはユーザ側のエンティティたとえば端末装置であり得る。
【0105】
図8に示すように、エンティティ800はデータプロセッサ(DP)801、DP801に結合されたメモリ(MEM)802、DP801に結合された適当なRF送信機TXおよび受信機RX804を含む。MEM802はプログラム(PROG)803を格納する。TX/RX804は双方向無線通信用である。実際の場で、BSまたは端末装置はいくつも持つかもしれないが、TX/RX804は、通信を容易にするために少なくとも一つのアンテナを持つことに注意せよ。エンティティ800はデータパスを介して、例えばインターネットなどの一つ以上の外部ネットワークまたはシステムに結合してよい。
【0106】
PROG803は、結合されたDP801により実行されると、エンティティ800に、ここでは
図2−
図5の方法で検討したように、本発明の模範的実施形態に従って動作することを可能とするプログラム命令を含むものとする。たとえばPROG803およびDP801は、決定モジュール612および決定モジュール720を、それぞれの機能を実行するように具体化できる。PROG803、DP801およびTX/RX804は、監視モジュール611、送信モジュール620、受信モジュール710、開始モジュール730を、それぞれの機能を実行するように具体化するために協働できる。
【0107】
本発明の実施形態は、エンティティ800のDP801により実行可能なコンピュータソフトウェアによって、あるいはハードウェアによって、あるいはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実施できる。
【0108】
MEM802はローカルな技術的な環境に適したどのようなタイプのものであってもよく、非限定的な例として、半導体ベースのメモリデバイス、磁気記憶デバイスおよびシステム、光メモリデバイスおよびシステム、固定メモリと取外し可能メモリなど、どのような適当なデータストレージ技術を使って実装してよい。一つのMEMだけがエンティティ800中に示される一方、いくつかの物理的に別個のメモリユニットがエンティティ800中にあってもよい。DP801はローカルな技術的な環境に適当などのようなタイプのものであってもよく、非制限的な例として、一つ以上の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、信号処理プロセッサ(DSP)、およびマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づいたプロセッサを含んでよい。エンティティ800は、例えば、主プロセッサを同期させるクロックに揃えて従動する特定用途集積回路チップなどのマルチプロセッサを有してもよい。
【0109】
模範的な実施形態はここに、方法および装置(すなわちシステム)のブロック図およびフローチャート説明に関して上で説明されている。ブロック図およびフローチャート説明中のブロック図の各ブロックと、ブロック図およびフローチャート説明中のブロックの組み合わせはそれぞれ、コンピュータプログラム命令を含む様々な手段によって実施できることは理解されるであろう。コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置で実行する命令が、フローチャートのブロックまたはブロックらで指定された機能を実行するための手段を作成するように、これらのコンピュータプログラム命令が、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置の上にロードされて機械を生産してもよい。
【0110】
前述したコンピュータプログラム命令は例えばサブルーチンおよび/または関数であり得る。一実施例のコンピュータプログラム製品は少なくとも一つのコンピュータ読取可能記憶媒体を含み、その上で前述したコンピュータプログラム命令が格納される。コンピュータ可読記憶媒体は例えば、光コンパクトディスクまたはRAM(ランダムアクセスメモリ)またはROM(読み出し専用メモリ)のような電子メモリデバイスであり得る。
【0111】
この明細書は多くの特定の実装の詳細を含むが、これらはいかなる実装の範囲、またはクレームされ得るものの範囲の限定として解釈すべきではなく、むしろ特定の実装の特定の実施形態に特異的であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書において別の実施形態の文脈で説明されているいくつかの機能は一つの実施形態と組み合わせても実施できる。逆に、一つの実施形態の文脈で説明される様々な機能はまた、複数の実施形態において別々に、あるいは任意の適当なサブコンビネーションでも実施できる。さらに、機能は、一定の組み合わせにおいて動作するとして上で説明され、そのようなものとして最初には主張されるかもしれないが、クレームされた組み合わせからの一つ以上の機能を、場合によってはその組み合せから削除することができ、主張された組み合わせはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションを指向するかもしれない。
【0112】
上述した実施形態は開示を制限するよりむしろ説明するために与えられていることも理解されるべきであり、当業者が容易に理解するように、本開示の精神および範囲から離れることなく修正または変更を用いることができることも理解されるはずである。そのような修正および変更は本開示および添付した特許請求の範囲の範囲内であるとみなされる。本開示の保護される範囲は添付の特許請求の範囲で定められる。また、特許請求の範囲におけるいかなる参照番号も特許請求の範囲の限定として解釈されるべきでない。動詞「含む」およびその活用の使用は、特許請求の範囲に述べられた要素または工程以外の要素または工程の存在を排除するものではない。要素または工程に先行する不定冠詞"a"または"an"は、複数のそのような要素または工程の存在を排除するものではない。