特許第6604954号(P6604954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許66049542つの容器間で滅菌製品を移送するためのデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604954
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】2つの容器間で滅菌製品を移送するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/07 20060101AFI20191031BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20191031BHJP
   B67D 7/02 20100101ALI20191031BHJP
【FI】
   A61L2/07
   A61J1/20
   B67D7/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-548062(P2016-548062)
(86)(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公表番号】特表2017-506092(P2017-506092A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】EP2015051256
(87)【国際公開番号】WO2015110531
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2018年1月17日
(31)【優先権主張番号】1450604
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504103504
【氏名又は名称】ピエール・ファーブル・デルモ−コスメティク
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ドローネ,ジャン−クロード
(72)【発明者】
【氏名】セラ,ローラン
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−055207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L2/00、
F17C5/06、
A61J1/20、
B67D7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌条件で第1の容器(10)から第2の容器(20)内に滅菌製品を移送するデバイスであって、前記デバイスは、前記第1の容器(10)、前記第2の容器(20)、取外し可能ホース(30)、及びこの取外し可能ホース(30)の内側容積部(301)を滅菌する滅菌システムに前記取外し可能ホースを接続する手段を備え、
−前記第1の容器(10)は、第1の管(11)を備える、空にする手段を備え、前記第1の管(11)には、互いに別個に動作することができる2つの開放/閉鎖弁(13、14)を直列に取り付け、前記開放/閉鎖弁(13、14)は、近位弁(13)と呼ぶ、前記第1の容器側上に配置した第1の弁、及び遠位弁(14)と呼ぶ、前記第1の管の反対側の自由端(112)上に配置した第2の弁を備え、
−前記第2の容器(20)は、第2の管(21)を備える充填手段を備え、前記第2の管(21)には、互いに別個に動作することができる2つの開放/閉鎖弁(23、24)を直列に取り付け、前記開放/閉鎖弁(23、24)は、近位弁(23)と呼ぶ、前記第2の容器側上に配置した第1の弁、及び遠位弁(24)と呼ぶ、前記第2の管の反対側の自由端(212)上に配置した第2の弁を備え、
−前記取外し可能ホース(30)は、前記第1の管の前記自由端と前記第2の管の前記自由端とを封止接続し、および前記第1の管の前記自由端と前記第2の管の前記自由端とから分離可能であり、
−前記内側容積部(301)を滅菌する滅菌システムに前記取外し可能ホースを接続する手段は、前記取外し可能ホースが前記第1の管の前記自由端と前記第2の管の前記自由端とを封止接続したときに前記取外し可能ホース(30)の内側容積部の滅菌を可能にするよう動作させることができる、デバイス。
【請求項2】
前記第1の容器(10)は、内側容積部(103)滅菌システムに封止接続する手段(15)を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記内側容積部(103)滅菌システムに前記第1の容器(10)を封止接続する手段(15)は、前記第1の管(11)とは別個である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の容器(10)は、充填ホースに封止接続する手段(15)を備え、前記充填ホースは、好ましくは前記内側容積部(103)滅菌システムへの封止接続手段と一致する、請求項1から3のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2の容器(20)は、内側容積部(203)滅菌システムに封止接続する手段(25)を備える、請求項1から4のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記内側容積部(203)滅菌システムに前記第2の容器(20)を封止接続する手段(25)は、前記第2の管(21)とは別個である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
請求項1から6のうちいずれか一項に記載のデバイスによって、第1の容器(10)から第2の容器(20)内に滅菌製品を移送する方法であって、
a/前記第1の容器に関連する少なくとも1つの弁(13、14)が閉鎖している構成で、前記第1の容器(10)に前記滅菌製品を充填するステップ、
b/前記取外し可能ホース(30)によって、前記第1の管(11)の自由端(112)と前記第2の管(21)の自由端(212)とを封止接続するステップ、
c/前記取外し可能ホース(30)を内側容積部滅菌システムに接続するステップ、
d/前記取外し可能ホース(30)の内側容積部(301)を滅菌するステップ、
e/前記取外し可能ホース(30)及び前記内側容積部滅菌システムを分離するステップ、
f/前記第1の容器と関連する弁(13、14)及び前記第2の容器の弁(23、24)の全てを開放するステップ、
g/前記取外し可能ホース(30)を介して前記第1の容器(10)から前記第2の容器(20)内に前記滅菌製品を移送するステップ、並びに
h/前記第2の容器と関連する少なくとも1つの前記弁(23、24)を閉鎖するステップ
を連続的に含む方法。
【請求項8】
前記取外し可能ホース(30)の内側容積部(301)を滅菌する前記ステップd/は、加圧清浄蒸気によって実行する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記取外し可能ホース(30)の内側容積部(301)を滅菌する前記ステップd/は、前記第2の容器に関連する少なくとも1つの弁(23、24)、好ましくは近位弁(23)を閉鎖するステップより先に実行し、前記閉鎖ステップは、好ましくは、前記第2の管(21)の自由端(212)で前記取外し可能ホース(30)を封止接続する前記ステップb/の前に実施する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の容器(20)の内側容積部(203)を滅菌する予備ステップを含む、請求項7から9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の容器(10)の内側容積部(103)を滅菌する予備ステップを含む、請求項7から10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の容器(20)の内側容積部(203)及び/又は前記第1の容器(10)の内側容積部(103)の滅菌は、加圧清浄蒸気によって、好ましくは前記取外し可能ホース(30)の内側容積部(301)の滅菌を実施する滅菌システムと同じ滅菌システムにより実行する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の容器(20)の内側容積部(203)の滅菌は、加圧清浄蒸気を前記第2の容器に導入し、前記第2の管(21)の自由端(212)を介して凝縮物を排出することによって実行する、及び/又は前記第1の容器(10)の内側容積部(103)の滅菌は、加圧清浄蒸気を前記第1の容器に導入し、前記第1の管(11)の自由端(112)を介して凝縮物を排出することによって実行する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無菌条件で、第1の容器から第2の容器内に滅菌製品、特に流体製品を移送するデバイス、及びそのようなデバイスを実施する移送方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、製薬、化粧品、具体的には皮膚用化粧品、獣医学又は食用農産品の分野における滅菌製品を製造及び/又は包装するラインで用途を有する。こうした製品は、流体形態、例えばゲル、クリーム又は乳状液、より一般には溶液又は懸濁液の形態、及び粉末形態の両方であり得る。こうした製品は、特に、注入可能な薬剤、目薬及び眼軟膏、非経口栄養製品、局所化粧品組成物等であり得る。例えば、器から器へ、器から注入器へ等、滅菌製品を移送しなければならない容器は、あらゆる種類の容器であり得る。
【背景技術】
【0003】
そのような分野では、製品は、微生物増殖に関連する厳しい貯蔵基準に準拠しなければならない。この貯蔵を保証する方法の1つは、製品内に保存料を含めることである。しかし、こうした保存料は、ユーザに耐性がないことがあるので、この種の添加剤を含有しないにもかかわらず、十分な貯蔵期間及び微生物に対する清浄さを有する製品を提案することが好ましい。この目的は、製品を滅菌し、この滅菌状態を維持できる条件内で製品を貯蔵することによって達成することができる。
【0004】
製品の滅菌状態は、本明細書では、微生物が製品中に増殖する可能性がある限り、規格EN556及び現行のヨーロッパ薬局方に従って、それ自体が慣例的である様式で定義する。典型的には、この確率は10-6未満である。健康製品の滅菌製造に関係する規格ISO13408によれば、滅菌製品は、15分を超えなければならないF0滅菌値の滅菌方法により処理していなければならない。現行のヨーロッパ薬局方によって定義した決定方法である、このF0値は、分で表される時間を示し、これは121℃という高温湿度に対する、生存する微生物の致死効果を数量化したものである。ヨーロッパ薬局方に従って滅菌される製品は、少なくとも15分に等しいF0滅菌値の滅菌工程を受けている。
【0005】
製品を製造又は包装する間、滅菌製品は、製品を収容する第1の滅菌容器から、同様に滅菌された第2の容器内に頻繁に移送される必要がある。これは特に製品の一時的保管のため、又は製品を異なる包装ラインに分配するためのものである。次に、この種の移送は、第1の容器から第2の容器への経路の間、製品の滅菌状態の維持を可能にする条件下で行うことが不可欠である。
【0006】
従来、この種の移送に使用する手段は、特許出願EP1067089に記載のもの等、STDD(封止移送(Sealed Transfer)ドア・デバイス)として公知である特殊なドアを備える隔離器から構成される。これらのデバイスは、微生物の見地から制御、監視する環境を必要とし、したがって移送は、封止筐体内で実施され、この筐体の内部環境を滅菌状態で保持するため、特に、内部の空気量の切り替え、及び完全なフィルタ除去を必要とする。そのような無菌条件での移送工程は、実施に長時間かかり、多くを要求する。というのは、この移送工程は、特に、十分な滅菌条件を筐体内で維持し、それにより一方の容器からもう一方の容器への移送の間、製品に対する微生物の汚染源を構成し得るものが少しも導入されていないことを保証するために、相当な注意を向けることが必要であるためである。この種のシステムの購入費用及び消耗品の費用も高額である。
【0007】
制御環境を必要としない、滅菌溶液用途の無菌接続器も、従来技術で提案されている。しかし、これらの接続器は、15kg/時を超える高い流速では、全種類の流体製品、特に粘性製品の移送が可能ではない。したがって、こうした接続器は、大量の滅菌製品を工業的に生産、包装する状況には全く適していない。最後に、これらの接続器は、単回使用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許出願EP1067089
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術が提案する滅菌製品、特に流体化粧品又は製薬品を第1の容器から別の容器に移送するデバイス及び方法の欠点、及び具体的には上記の欠点を解消することを目的とし、このことは、滅菌製品の移送を実施するデバイス及び方法を提案することによって解消し、これにより、非滅菌環境内を含め、移送すべき製品の特性、特にその粘度とは無関係に、無菌条件での移送の実行が容易且つ迅速に可能になる。本発明の目的は、清浄化及び滅菌した後、このデバイスを再利用可能にすること、並びにデバイスが高い流速での製品移送を保証できることでもある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本発明によれば、第1の容器から第2の容器内に無菌条件で滅菌製品を移送するデバイスを提案し、このデバイスは、第1の容器、第2の容器、取外し可能ホース、及び内側容積部滅菌システムに取外し可能ホースを接続する手段を備え、
−第1の容器は、滅菌製品の収容を目的とし、好ましくはその下部に、第1の管を備える、空にする手段を備え、第1の管には、互いに別個に動作することができる2つの開放/閉鎖弁を直列に取り付け、開放/閉鎖弁は、近位弁と呼ぶ、第1の容器側上に配置した第1の弁、及び遠位弁と呼ぶ、第1の管の反対側の自由端上に配置した第2の弁を備え、
−第2の容器は、好ましくはその下部に、第2の管を備える充填手段を備え、第2の管には、開放/閉鎖弁を直列に取り付け、好ましくは、互いに別個に動作することができる2つの開放/閉鎖弁を直列に取り付け、開放/閉鎖弁は、近位弁と呼ぶ、第2の容器側上に配置した第1の弁、及び遠位弁と呼ぶ、第2の管の反対側の自由端上に配置した第2の弁を備え、
−取外し可能ホースは、第1の管の自由端と第2の管の自由端とを封止接続し、
−内側容積部滅菌システムに取外し可能ホースを接続する手段は、取外し可能ホースが第1の管の自由端と第2の管の自由端とを封止接続したときに動作させることができる。
【0011】
本発明によれば、本発明によるデバイスの第1の容器から第2の容器内に無菌条件で滅菌製品を移送する方法は、
a/第1の容器に関連する少なくとも1つの弁、好ましくは近位弁が閉鎖している構成で、第1の容器に滅菌製品を充填するステップ、
b/取外し可能ホースによって、第1の管の自由端と第2の管の自由端とを封止接続するステップ、
c/取外し可能ホースを内側容積部滅菌システムに接続するステップ、
d/取外し可能ホースの内側容積部を滅菌するステップ、
e/取外し可能ホース及び内側容積部滅菌システムを分離するステップ、
f/第1の容器及び第2の容器とそれぞれ関連する全ての弁を開放するステップ、
g/取外し可能ホースを介して第1の容器から第2の容器内に滅菌製品を移送するステップ、並びに
h/第2の容器と関連する少なくとも1つの弁を閉鎖するステップ
を連続的に含む。
【0012】
そのようなデバイス及びその実施方法は、有利には、防除されていない微生物条件を有する環境を含めた、容器が置かれる環境とは無関係に、第1の容器から第2の容器内に無菌条件で滅菌製品を移送することを可能にする。本明細書では、無菌条件とは、移送される製品に対し微生物汚染を生じさせない条件、即ち外部汚染によって微生物学的品質を低下させることがない条件を意味する。
【0013】
本発明による方法は、従来技術が提案する方法よりも実施が迅速で、あまり多くを要求しない。実際、従来技術では、一方の容器からもう一方の容器に滅菌製品を移送するために、容器外側の環境の滅菌状態、特に、容器間の製品の移送手段の滅菌状態を継続的に維持しなければならず、維持には、多くの特殊で専用の作業を必要とする一方で、反対に、本発明は、滅菌状態の一時的な中断、及び最初は滅菌されていない取外し可能ホースの実装を伴う。この取外し可能ホースは、第1の容器及び第2の容器のそれぞれに関連する管に、容器の滅菌状態を中断することなく接続され、次に、容器のそれぞれに隣接する管の部分において、ホースを有利には現場で滅菌し、経路全体に沿って滅菌環境を再度もたらし、その後、滅菌製品を第1の容器から第2の容器に移送するようにする。このことは、有利には、環境の微生物防除に対する制約条件がないことに関連して、時間の節約をもたらす。
【0014】
本発明によるデバイス及び移送方法は、例えば1ロット分の製造した滅菌製品を特定の包装要件に適合するように分割するため、又は製造工場から包装工場に滅菌製品を移動するために、滅菌製品を収容する容器の置換えが必要な状況では特に有用である。
【0015】
特定の実施形態によれば、本発明は、個別に又は技術的作業の組合せのそれぞれで実施される以下の特徴に更に従う。
【0016】
取外し可能ホースの内側容積部を滅菌するステップd/は、それ自体は公知であるあらゆる方法により実行することができる。本発明の特定の実施形態では、ステップd/は、清浄蒸気生成デバイス等の従来の滅菌システムを使用する加圧清浄蒸気によって実行し、この清浄蒸気生成デバイスは、滅菌製品の製造、包装の現場に備えられることが多い。
【0017】
取外し可能ホースの内側容積部の滅菌ステップの前に、本発明による方法は、有利には、第1の容器に関連する近位弁及び遠位弁の状態を確認するステップ、並びに閉鎖していないことがある前記容器の弁を閉鎖するステップを含む。このステップは、第1の容器を滅菌製品により充填するステップa/の間、第1の容器と関連する近位弁が既に閉鎖している本発明の特定の実施形態では、特に高度に有利である。実際、近位弁と遠位弁との間に位置する第1の管の部分では、次に、空の滅菌容積部が形成され、取外し可能ホースを滅菌する間、この滅菌容積部は、第1の容器に収容した製品を取外し可能ホースの滅菌に使用する高温蒸気から隔離する。このことは、特に製品が1つ以上の熱に弱い成分を含有する場合、特に有利である。
【0018】
本発明の特定の実施形態では、第1の容器は、好ましくは、その上部に、内側容積部滅菌システムへの封止接続手段を備える。この滅菌システムへの封止接続手段は、好ましくは、第1の容器を空にする手段の部分を形成する第1の管とは別個である。第1の容器は、好ましくは、やはり上部に、滅菌製品を充填するホースへの封止接続手段も備えることができ、この封止接続手段も、好ましくは第1の管とは別個である。この充填ホースへの封止接続手段は、好ましくは、第1の容器の内側容積部滅菌システムへの封止接続手段と一致する。
【0019】
第2の容器も、好ましくは、その上部に、内側容積部滅菌システムへの封止接続手段を備える。この滅菌システムへの封止接続手段は、好ましくは、第2の容器を充填する手段の部分を形成する第2の管とは別個である。
【0020】
そのような特徴は、有利には、特に加圧清浄蒸気滅菌システム、例えばそれ自体は従来のものである清浄蒸気生成デバイスによって、第1の容器及び/又は第2の容器の内側容積部の現場での滅菌を可能にする。そのような加圧清浄蒸気滅菌システムは、好ましくは、取外し可能ホースの内側容積部の滅菌を実施したものと同じである。
【0021】
かなり有利には、本発明による方法が、加圧清浄蒸気によって実行される第1の容器の内側容積部の滅菌ステップ及び/又は第2の容器の内側容積部の滅菌ステップを含む場合、このステップは、好ましくは、加圧清浄蒸気を第1の容器及び第2の容器それぞれに導入し、好ましくは、前記第1の容器及び第2の容器のそれぞれの上部に導入し、第1の管及び第2の管のそれぞれの自由端を介して凝縮物を排出することによって実行する。
【0022】
第1の容器及び第2の容器のそれぞれに関して、したがって、関連する管は、有利には、第1に、容器の内側容積部の滅菌、並びに管自体の滅菌及び弁の滅菌に関連して、第2に、一方の容器からもう一方の容器への滅菌製品の移送に関連して、二重機能を満たす。
【0023】
同様に、本発明の特に好ましい実施形態では、第1の容器の上部に配置した封止接続手段も、第1に、第1の容器の滅菌、第2に、滅菌製品の充填に関する、2つの機能を満たすことができる。
【0024】
本発明の特定の実施形態では、第1の管及び/又は第2の管は、関連する遠位弁と近位弁との間に排液点を備える。
【0025】
第1の管及び/又は第2の管は、好ましくは、その全長に沿って実質的に均一な断面も有する。
【0026】
第2の容器は、取外し可能ホースの滅菌前に滅菌することができる。この場合、第2の容器に関連する第2の管に取り付けた弁のうち少なくとも1つ、好ましくは近位弁を取外し可能ホースの滅菌ステップd/を実施する前に閉鎖する。したがって、本発明の特定の実施形態では、取外し可能ホースの内側容積部の滅菌ステップd/は、第2の容器に関連する少なくとも1つの弁、好ましくは近位弁を閉鎖するステップより先に実行する。この閉鎖ステップは、好ましくは、第2の管の自由端で取外し可能ホースを封止接続するステップb/の前に実施する。好ましくは、第2の容器に関連する2つの弁は、滅菌状態の点でデバイスをより安全にするために、取外し可能ホースと第2の管とを接続する前に閉鎖する。
【0027】
しかし、本発明は、第2の容器の滅菌及び取外し可能ホースの滅菌を同時に実行することを除外するものではなく、このことは、例えば、加圧清浄蒸気を第2の容器、好ましくは第2の容器の上部に導入し、その端部が第2の容器から離れている取外し可能ホースで凝縮物を排出することによって行う。第2の容器に関連する遠位弁及び近位弁は、次に、開放され、第2の容器から第2の管の全て、及び取外し可能ホースの内への加圧水蒸気の循環を可能にするようにする。
【0028】
本発明によるデバイスは、好ましくは、デバイスの異なる構成要素同士を迅速に接続する板を更に備え、特に第1の管と第1の容器、第2の管と第2の容器の迅速な接続、及び/又は取外し可能ホースを滅菌システム、特に加圧清浄蒸気型システムに迅速に接続する。
【0029】
好ましくは、第1の管に取り付けた弁及び/又は第2の管に取り付けた弁は、弁の開閉を自動制御する手段に関連する。この手段は、好ましくは、デバイスに関連する滅菌システムを更に制御するようにも構成する。
【0030】
本発明によるデバイス及び移送方法は、有利には、管及び接続ホースの直径を適切に選択することにより、15kg/時を超える高い出力で、あらゆる種類の滅菌製品、特に高粘度製品の移送を可能にする。
【0031】
このデバイスは、デバイスの構成要素を清浄化するのに十分であるため完全に再利用可能であり、滅菌製品の新たな移送を実行できるように容器を再度滅菌に適用可能な場合、完全に再利用可能である。こうした清浄化及び滅菌作業は、有利には、例えば滅菌製品を製造、包装する場所で一般に使用する清浄蒸気滅菌システムにより、移送場所自体である現場で、実行することができる。
【0032】
本発明によるデバイス及び方法は、購入及び実装それぞれの点で安価である。
【0033】
移送は、容易で迅速に、更にはいわゆる指定のない領域、即ち微生物環境に対する制約条件のない領域で、製品に課された滅菌基準に準拠して、実行することができる。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、滅菌製品を収容する容器に関し、この製品とは、即ち、滅菌処理を受けている、特にヨーロッパ薬局方に従った、少なくとも15分に等しいF0値の滅菌工程を受けている製品である。この容器は、好ましくはその下部に、空にする及び/又は充填する管を備え、管には、互いに別個に動作さることができる2つの開放/閉鎖弁を直列に取り付ける。この管は、有利には、容器の底壁内に開口する。
【0035】
本発明の有利な特徴によれば、2つの弁は、閉鎖し、2つの弁の間に位置する管の部分の内側容積部は、滅菌されており、したがって容器の内部と外部との間に緩衝領域を構成する。2つの弁は、有利には、容器の反対側に位置する管の自由端で生じ得る微生物汚染に対し連続する障壁を形成し、したがって、容器内に収容した滅菌製品をあらゆるそのような汚染から効率的に保護する。
【0036】
次に、図1から図5に示す好ましい実施形態の文脈において本発明をより詳細に説明するが、こうした実施形態は、決して本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による、第1の容器から第2の容器内に滅菌製品を移送するための方法の予備ステップに対応する構成における、本発明の一実施形態によるデバイスの構成要素の一部の概略図であり、前記ステップは、第1の容器及び第2の容器の滅菌から構成する。
図2】前記予備ステップの完了時の構成における、図1のデバイスの図である。
図3】本発明による移送方法の後続のステップに対応する構成における、図1のデバイスの図であり、このステップは、第1の管と第2の管とを接続する取外し可能ホースの滅菌から構成する。
図4】本発明による移送方法の更なる後続のステップにおける、図3のデバイスの図であり、このステップの間に、滅菌製品を第1の容器から第2の容器に移送する。
図5】本発明による移送方法の実施完了時における、図4のデバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の特定の実施形態による、無菌条件で一方の容器からもう一方の容器へ滅菌製品を移送するデバイスを図1で概略的且つ部分的に示す。
【0039】
このデバイスは、第1の容器10及び第2の容器20を備える。これらの容器は、滅菌製品の製造/包装のラインで通常使用されるあらゆる種類のものとすることができる。こうした容器は、特に、ステンレス金属製の、流体滅菌製品を貯蔵及び/又は移送するための器とすることができる。こうした器は、同じ形態及び同じ内側容積を有しても、有していなくてもよい。
【0040】
本発明によれば、第1の容器10及び第2の容器20のそれぞれの役割は交換可能であるという理解の下で、第1の容器10は最初に滅菌製品を収容することを目的とし、第2の容器20はこの滅菌製品を移送後、滅菌製品を受け入れることを目的とする。
【0041】
第1の容器10は、第1の容器10の底壁101内に開口する第1の管11を備える。この第1の管11には、管を開放/閉鎖する2つの弁が取り付けられ、これらの弁は、互いに別個に動作させることができる。いわゆる近位弁13は、第1の容器10側上に配置され、いわゆる遠位弁14は、第1の容器10の反対側の第1の管11側の自由端112上に配置される。
【0042】
第1の管11は、好ましくはその全長に沿って実質的に一定の断面を有する。近位弁13と遠位弁14との間に配置される第1の管の部分は、介挿部111と呼ばれる。
【0043】
第1の容器10は、例えば図1に示す上部には、その上側壁102に、内側容積部103滅菌システム、例えば清浄蒸気生成デバイス、及び充填ホースに封止接続するための手段15も備える。この接続手段は、それ自体従来のものである。
【0044】
第2の容器20は、第1の容器10を参照して既に説明したものと同様の特徴を有する。第2の容器20は、第2の容器20の底壁201内に開口する第2の管21を備える。この第2の管21には、管を開放/閉鎖する2つの弁が取り付けられ、これらの弁は、互いに別個に動作させることができる。いわゆる近位弁23は、第2の容器20側上に配置され、いわゆる遠位弁24は、第2の容器20の反対側の第2の管21の自由端212上に配置される。
【0045】
第2の管21は、好ましくはその全長に沿って一定の断面を有する。この断面は、第1の管11の断面と実質的に同一であってもよい。近位弁23と遠位弁24との間に配置される第2の管の部分は、介挿部211と呼ばれる。
【0046】
第2の容器20は、上部には、その上側壁202に、内側容積部203滅菌システム、例えば清浄蒸気生成器デバイスに封止接続するための手段25も備える。この接続手段は、それ自体従来のものである。
【0047】
慣例によって、本明細書に添付の図では、閉鎖位置の弁は、弁上に形成した×印で示す一方で、開放位置にある弁は、×印なしで示されることになる。
【0048】
本発明の一実施形態による、図1に示す2つの容器間で滅菌製品を移送するための方法の予備ステップでは、第1の容器10及び第2の容器20は、滅菌処理を受ける。これらの滅菌作業は、異なる時間、同じ場所又は異なる場所、及び同じ滅菌システム又は異なるシステムによることを含め、同時に又は連続して行うことができる。
【0049】
滅菌は、好ましくは、それ自体は従来のものである清浄蒸気生成器デバイスの使用により、加圧清浄蒸気によって行われる。
【0050】
この目的のために、第1の容器10に関して、例えば、第1の容器10の上部に配置した接続手段15は、例えばこの目的で設けた滅菌システムへの結合板を介して接続するが、図示しない。第1の管11の自由端112は、凝縮物を回収するホース12によって上記結合板に接続する。
【0051】
2つの近位弁13及び遠位弁14のそれぞれは、開放され、加圧清浄蒸気は、図1の16で示す封止接続手段15を介して第1の容器10に導入される。この清浄な蒸気を第1の容器10に充填し、第1の管11を介して逃し、ホース12に通し、図1の17で示すように凝縮物を排出させる。この処理ステップは、第1の容器10の内側容積部103、第1の管11、並びに関連する近位弁13及び遠位弁14に満足なレベルの滅菌状態が得られたことを保証する十分な時間の長さの間、実施される。
【0052】
このステップの完了時、弁13、14のうち少なくとも1つを閉鎖する。好ましくは、近位弁13及び遠位弁14は、第1の管の介挿部111が空であり、滅菌され、したがって第1の容器10の外部と内部との間に緩衝領域が構成されることを保証するように、両方とも閉鎖される。
【0053】
第1の容器の滅菌システムへの接続手段は、分離される。
【0054】
滅菌作業は、第2の容器20に対しても同様に行うことができ、加圧清浄蒸気は、図1の26で示すように封止接続手段25によって第2の容器20に導入され、凝縮物は、27で示す方向に従って第2の管21から排出ホース22を介して排出される。
【0055】
この予備ステップの完了時のデバイスを図2に概略的に示す。第1の容器10及び第2の容器20は、滅菌システム(複数可)から分離してある。全ての弁は閉鎖され、第1の容器及び第2の容器の内側容積部103及び203、並びに第1の管11及び第2の管21の内側容積部は、滅菌されている。
【0056】
第1の管11及び第2の管21のそれぞれの介挿部111、211は、有利には、第1の容器及び第2の容器それぞれの内側容積部103及び203をあらゆる微生物汚染から保護する緩衝領域を構成する。
【0057】
滅菌後、第1の容器10に、移送すべき滅菌製品を充填する。この目的で、第1の容器10は、封止接続手段15によって、図示しないが、充填ホースに接続される。したがって、滅菌製品は、図2の18で示すように第1の容器10に導入される。滅菌製品は、容器の内側容積部103の少なくとも一部を充填し、重力現象によって、第1の容器10と、関連する近位弁13との間に配置された、近位部113として知られる第1の管11の一部も充填する。第1の管11の介挿部111は、有利には依然として空であり、滅菌されている。
【0058】
本発明による移送方法の次のステップを図3に示す。
【0059】
デバイスは、第1の管11の自由端112と第2の管21の自由端212とを封止接続する取外し可能ホース30を備える。最初は滅菌されていない、このホースは、この封止接続を保証するように適所に置かれる。ホースは、好ましくはその全長に沿って一定の断面を有する。この断面は、好ましくは、第1の管11及び第2の管21の断面と実質的に同一である。
【0060】
デバイスは、それ自体は従来のものである、取外し可能ホース30を滅菌システムに接続する手段を更に備え、好ましくは、第1の容器10及び/又は第2の容器20の滅菌を実施したものと同一であるか又は少なくとも同じ種類のものである。好ましくは、滅菌システムは、加圧清浄蒸気滅菌システムである。
【0061】
これらの図示しない接続手段は、それ自体は従来のものであるあらゆる種類のものとすることができ、取外し可能ホース30が第1の管11と第2の管21とを接続する際に取外し可能ホース30の内側容積部301の滅菌を可能にする等のように動作させることができる。
【0062】
接続手段は、図3の31で示すように、取外し可能ホース30の第1の端部に加圧清浄蒸気を導入し、反対端部で、例えば、限定はしないが、図3の32で示すように、第1の管11と関連する遠位弁14で、この目的で弁が備える第3の通路を介して凝縮物を排出することを保証するように構成される。凝縮物の一部は、図3の33で示すように、第2の管21に関連する遠位弁24で排出することもでき、遠位弁14、24に関する限り、取外し可能ホース30の内側容積部301並びに第1の管11及び第2の管21それぞれの自由端の全てが滅菌されていることを保証するようにする。この滅菌処理は、十分なレベルの滅菌状態が得られるまで継続する。
【0063】
この滅菌作業の間、第1の管11の介挿部111は、有利には、第1の容器10及び第1の管11の近位部113内に収容された滅菌製品を高温滅菌蒸気から保護する。
【0064】
第2の容器20に関する限り、この作業の間、遠位弁24は、第2の管21の介挿部211の新たな滅菌処理を可能にするように開放することができる。この遠位弁24は好ましくは閉鎖される。この最後のケースでは、関連する近位弁23は、同様に完全に閉鎖又は開放することができる。好ましくは、近位弁23及び遠位弁24は、両方とも閉鎖され、滅菌条件が第2の容器20内で維持されることを保証するようにする。
【0065】
このステップの完了時、第1の容器10、第1の管11、取外し可能ホース30、第2の管21、及び第2の容器20の全て、即ち、続いて滅菌製品が第1の容器10から第2の容器20に移送される経路の全ては、滅菌されている。
【0066】
実際の移送を構成する次のステップを図4に概略的に示す。
【0067】
全ての弁、より具体的には第1の容器10と関連する近位弁13及び遠位弁14、並びに第2の容器20と関連する近位弁23及び遠位弁24は、開放され、図4の34で示すように、第1の管11、取外し可能ホース30、その後、第2の管21により、第1の容器10から第2の容器20への滅菌製品の移送を実行するようにする。この移送は、有利には無菌条件で実行され、容器の環境に対する微生物防除の保証を必要とせずに、移送する製品の無菌状態を保つ。このことは、高い粘度を有する製品を含むあらゆる種類の製品を容易に迅速に、更には、必要とする流量で移送することを可能にし、この流量は、具体的には、第1の管11、第2の管21及び取外し可能ホース30の内径の適切な選択により可能になる。
【0068】
第2の容器20内への滅菌製品の移送が完了すると、第2の管21に取り付けた遠位弁24及び近位弁23が閉鎖され、滅菌製品を収容する第2の容器20の内側容積部203を外部環境から隔離するようにする。
【0069】
第1の容器10に最初に収容した滅菌製品の全てが第2の容器20内に移送されていない場合でも、第1の管11に取り付けた遠位弁14及び近位弁13を閉鎖し、滅菌製品を依然として収容する第1の容器10の内側容積部103を外部環境から隔離するようにする。
【0070】
次に取外し可能ホース30を第2の管21及び第1の管11から分離し、図5に概略的に示す構成のデバイスを得るようにする。
【0071】
取外し可能ホース30、並びに第1の容器10及び第1の管11が空である場合、これらは、具体的には現場で容易に洗浄し、別の後続の移送作業のために再利用することができる。
【0072】
滅菌製品を収容する第2の容器20は、有利には、特に、例えば前述したような本発明による方法の実施によって、無菌条件で滅菌製品を第3の容器内に移送するために使用することができる。この目的で、次に、第2の容器20が第1の容器の役割を果たし、このことは、有利には、第2の容器20が本発明による第1の容器の特徴と同様の特徴を有することによって可能である。次に、もはや実行する必要のない第1の容器の滅菌及び充填ステップを除き、上記の方法をもう一度適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5