【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本発明によれば、第1の容器から第2の容器内に無菌条件で滅菌製品を移送するデバイスを提案し、このデバイスは、第1の容器、第2の容器、取外し可能ホース、及び内側容積部滅菌システムに取外し可能ホースを接続する手段を備え、
−第1の容器は、滅菌製品の収容を目的とし、好ましくはその下部に、第1の管を備える、空にする手段を備え、第1の管には、互いに別個に動作することができる2つの開放/閉鎖弁を直列に取り付け、開放/閉鎖弁は、近位弁と呼ぶ、第1の容器側上に配置した第1の弁、及び遠位弁と呼ぶ、第1の管の反対側の自由端上に配置した第2の弁を備え、
−第2の容器は、好ましくはその下部に、第2の管を備える充填手段を備え、第2の管には、開放/閉鎖弁を直列に取り付け、好ましくは、互いに別個に動作することができる2つの開放/閉鎖弁を直列に取り付け、開放/閉鎖弁は、近位弁と呼ぶ、第2の容器側上に配置した第1の弁、及び遠位弁と呼ぶ、第2の管の反対側の自由端上に配置した第2の弁を備え、
−取外し可能ホースは、第1の管の自由端と第2の管の自由端とを封止接続し、
−内側容積部滅菌システムに取外し可能ホースを接続する手段は、取外し可能ホースが第1の管の自由端と第2の管の自由端とを封止接続したときに動作させることができる。
【0011】
本発明によれば、本発明によるデバイスの第1の容器から第2の容器内に無菌条件で滅菌製品を移送する方法は、
a/第1の容器に関連する少なくとも1つの弁、好ましくは近位弁が閉鎖している構成で、第1の容器に滅菌製品を充填するステップ、
b/取外し可能ホースによって、第1の管の自由端と第2の管の自由端とを封止接続するステップ、
c/取外し可能ホースを内側容積部滅菌システムに接続するステップ、
d/取外し可能ホースの内側容積部を滅菌するステップ、
e/取外し可能ホース及び内側容積部滅菌システムを分離するステップ、
f/第1の容器及び第2の容器とそれぞれ関連する全ての弁を開放するステップ、
g/取外し可能ホースを介して第1の容器から第2の容器内に滅菌製品を移送するステップ、並びに
h/第2の容器と関連する少なくとも1つの弁を閉鎖するステップ
を連続的に含む。
【0012】
そのようなデバイス及びその実施方法は、有利には、防除されていない微生物条件を有する環境を含めた、容器が置かれる環境とは無関係に、第1の容器から第2の容器内に無菌条件で滅菌製品を移送することを可能にする。本明細書では、無菌条件とは、移送される製品に対し微生物汚染を生じさせない条件、即ち外部汚染によって微生物学的品質を低下させることがない条件を意味する。
【0013】
本発明による方法は、従来技術が提案する方法よりも実施が迅速で、あまり多くを要求しない。実際、従来技術では、一方の容器からもう一方の容器に滅菌製品を移送するために、容器外側の環境の滅菌状態、特に、容器間の製品の移送手段の滅菌状態を継続的に維持しなければならず、維持には、多くの特殊で専用の作業を必要とする一方で、反対に、本発明は、滅菌状態の一時的な中断、及び最初は滅菌されていない取外し可能ホースの実装を伴う。この取外し可能ホースは、第1の容器及び第2の容器のそれぞれに関連する管に、容器の滅菌状態を中断することなく接続され、次に、容器のそれぞれに隣接する管の部分において、ホースを有利には現場で滅菌し、経路全体に沿って滅菌環境を再度もたらし、その後、滅菌製品を第1の容器から第2の容器に移送するようにする。このことは、有利には、環境の微生物防除に対する制約条件がないことに関連して、時間の節約をもたらす。
【0014】
本発明によるデバイス及び移送方法は、例えば1ロット分の製造した滅菌製品を特定の包装要件に適合するように分割するため、又は製造工場から包装工場に滅菌製品を移動するために、滅菌製品を収容する容器の置換えが必要な状況では特に有用である。
【0015】
特定の実施形態によれば、本発明は、個別に又は技術的作業の組合せのそれぞれで実施される以下の特徴に更に従う。
【0016】
取外し可能ホースの内側容積部を滅菌するステップd/は、それ自体は公知であるあらゆる方法により実行することができる。本発明の特定の実施形態では、ステップd/は、清浄蒸気生成デバイス等の従来の滅菌システムを使用する加圧清浄蒸気によって実行し、この清浄蒸気生成デバイスは、滅菌製品の製造、包装の現場に備えられることが多い。
【0017】
取外し可能ホースの内側容積部の滅菌ステップの前に、本発明による方法は、有利には、第1の容器に関連する近位弁及び遠位弁の状態を確認するステップ、並びに閉鎖していないことがある前記容器の弁を閉鎖するステップを含む。このステップは、第1の容器を滅菌製品により充填するステップa/の間、第1の容器と関連する近位弁が既に閉鎖している本発明の特定の実施形態では、特に高度に有利である。実際、近位弁と遠位弁との間に位置する第1の管の部分では、次に、空の滅菌容積部が形成され、取外し可能ホースを滅菌する間、この滅菌容積部は、第1の容器に収容した製品を取外し可能ホースの滅菌に使用する高温蒸気から隔離する。このことは、特に製品が1つ以上の熱に弱い成分を含有する場合、特に有利である。
【0018】
本発明の特定の実施形態では、第1の容器は、好ましくは、その上部に、内側容積部滅菌システムへの封止接続手段を備える。この滅菌システムへの封止接続手段は、好ましくは、第1の容器を空にする手段の部分を形成する第1の管とは別個である。第1の容器は、好ましくは、やはり上部に、滅菌製品を充填するホースへの封止接続手段も備えることができ、この封止接続手段も、好ましくは第1の管とは別個である。この充填ホースへの封止接続手段は、好ましくは、第1の容器の内側容積部滅菌システムへの封止接続手段と一致する。
【0019】
第2の容器も、好ましくは、その上部に、内側容積部滅菌システムへの封止接続手段を備える。この滅菌システムへの封止接続手段は、好ましくは、第2の容器を充填する手段の部分を形成する第2の管とは別個である。
【0020】
そのような特徴は、有利には、特に加圧清浄蒸気滅菌システム、例えばそれ自体は従来のものである清浄蒸気生成デバイスによって、第1の容器及び/又は第2の容器の内側容積部の現場での滅菌を可能にする。そのような加圧清浄蒸気滅菌システムは、好ましくは、取外し可能ホースの内側容積部の滅菌を実施したものと同じである。
【0021】
かなり有利には、本発明による方法が、加圧清浄蒸気によって実行される第1の容器の内側容積部の滅菌ステップ及び/又は第2の容器の内側容積部の滅菌ステップを含む場合、このステップは、好ましくは、加圧清浄蒸気を第1の容器及び第2の容器それぞれに導入し、好ましくは、前記第1の容器及び第2の容器のそれぞれの上部に導入し、第1の管及び第2の管のそれぞれの自由端を介して凝縮物を排出することによって実行する。
【0022】
第1の容器及び第2の容器のそれぞれに関して、したがって、関連する管は、有利には、第1に、容器の内側容積部の滅菌、並びに管自体の滅菌及び弁の滅菌に関連して、第2に、一方の容器からもう一方の容器への滅菌製品の移送に関連して、二重機能を満たす。
【0023】
同様に、本発明の特に好ましい実施形態では、第1の容器の上部に配置した封止接続手段も、第1に、第1の容器の滅菌、第2に、滅菌製品の充填に関する、2つの機能を満たすことができる。
【0024】
本発明の特定の実施形態では、第1の管及び/又は第2の管は、関連する遠位弁と近位弁との間に排液点を備える。
【0025】
第1の管及び/又は第2の管は、好ましくは、その全長に沿って実質的に均一な断面も有する。
【0026】
第2の容器は、取外し可能ホースの滅菌前に滅菌することができる。この場合、第2の容器に関連する第2の管に取り付けた弁のうち少なくとも1つ、好ましくは近位弁を取外し可能ホースの滅菌ステップd/を実施する前に閉鎖する。したがって、本発明の特定の実施形態では、取外し可能ホースの内側容積部の滅菌ステップd/は、第2の容器に関連する少なくとも1つの弁、好ましくは近位弁を閉鎖するステップより先に実行する。この閉鎖ステップは、好ましくは、第2の管の自由端で取外し可能ホースを封止接続するステップb/の前に実施する。好ましくは、第2の容器に関連する2つの弁は、滅菌状態の点でデバイスをより安全にするために、取外し可能ホースと第2の管とを接続する前に閉鎖する。
【0027】
しかし、本発明は、第2の容器の滅菌及び取外し可能ホースの滅菌を同時に実行することを除外するものではなく、このことは、例えば、加圧清浄蒸気を第2の容器、好ましくは第2の容器の上部に導入し、その端部が第2の容器から離れている取外し可能ホースで凝縮物を排出することによって行う。第2の容器に関連する遠位弁及び近位弁は、次に、開放され、第2の容器から第2の管の全て、及び取外し可能ホースの内への加圧水蒸気の循環を可能にするようにする。
【0028】
本発明によるデバイスは、好ましくは、デバイスの異なる構成要素同士を迅速に接続する板を更に備え、特に第1の管と第1の容器、第2の管と第2の容器の迅速な接続、及び/又は取外し可能ホースを滅菌システム、特に加圧清浄蒸気型システムに迅速に接続する。
【0029】
好ましくは、第1の管に取り付けた弁及び/又は第2の管に取り付けた弁は、弁の開閉を自動制御する手段に関連する。この手段は、好ましくは、デバイスに関連する滅菌システムを更に制御するようにも構成する。
【0030】
本発明によるデバイス及び移送方法は、有利には、管及び接続ホースの直径を適切に選択することにより、15kg/時を超える高い出力で、あらゆる種類の滅菌製品、特に高粘度製品の移送を可能にする。
【0031】
このデバイスは、デバイスの構成要素を清浄化するのに十分であるため完全に再利用可能であり、滅菌製品の新たな移送を実行できるように容器を再度滅菌に適用可能な場合、完全に再利用可能である。こうした清浄化及び滅菌作業は、有利には、例えば滅菌製品を製造、包装する場所で一般に使用する清浄蒸気滅菌システムにより、移送場所自体である現場で、実行することができる。
【0032】
本発明によるデバイス及び方法は、購入及び実装それぞれの点で安価である。
【0033】
移送は、容易で迅速に、更にはいわゆる指定のない領域、即ち微生物環境に対する制約条件のない領域で、製品に課された滅菌基準に準拠して、実行することができる。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、滅菌製品を収容する容器に関し、この製品とは、即ち、滅菌処理を受けている、特にヨーロッパ薬局方に従った、少なくとも15分に等しいF0値の滅菌工程を受けている製品である。この容器は、好ましくはその下部に、空にする及び/又は充填する管を備え、管には、互いに別個に動作さることができる2つの開放/閉鎖弁を直列に取り付ける。この管は、有利には、容器の底壁内に開口する。
【0035】
本発明の有利な特徴によれば、2つの弁は、閉鎖し、2つの弁の間に位置する管の部分の内側容積部は、滅菌されており、したがって容器の内部と外部との間に緩衝領域を構成する。2つの弁は、有利には、容器の反対側に位置する管の自由端で生じ得る微生物汚染に対し連続する障壁を形成し、したがって、容器内に収容した滅菌製品をあらゆるそのような汚染から効率的に保護する。
【0036】
次に、
図1から
図5に示す好ましい実施形態の文脈において本発明をより詳細に説明するが、こうした実施形態は、決して本発明を限定するものではない。