(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605004
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】流体制御装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F04B 43/02 20060101AFI20191031BHJP
F04B 43/04 20060101ALI20191031BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20191031BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20191031BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
F04B43/02 C
F04B43/04 B
H01L41/09
H01L41/053
B81C3/00
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-168150(P2017-168150)
(22)【出願日】2017年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-40355(P2018-40355A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2018年2月27日
(31)【優先権主張番号】105128591
(32)【優先日】2016年9月5日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】韓 永隆
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲けい▼峰
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−57247(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/187271(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/054801(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
F04B 43/04
B81C 3/00
H01L 41/053
H01L 41/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、圧電素子及び振動板によって構成され、前記振動板が第一表面及びこれに対応する第二表面を有し、前記第二表面が突出部を有する圧電アクチュエータと、流通板及び可撓性板を包含し、前記可撓性板が可動部を有する変形可能基材構成とを提供するステップ(a)と、
前記変形可能基材構成にある前記可撓性板及び前記流通板を積層し合うように接合して事前同時変形作業を実施することで、前記可撓性板及び前記流通板を同時変形して事前成型の同時変形構成を構成するステップ(b)と、
前記ケーシング、前記圧電アクチュエータ及び前記変形可能基材構成が順次積層し合い、定位して接合し、前記変形可能基材構成にある前記事前成型の同時変形構成が前記振動板の前記突出部に相対することで、前記可撓性板の前記可動部と前記振動板の前記突出部との間に特定の深さを定義するステップ(c)と、を包含することを特徴とする、流体制御装置の製造方法。
【請求項2】
前記事前成型の同時変形構成の同時変形領域は、前記可撓性板の前記可動部の領域にあり、且つ前記事前成型の同時変形構成は、湾曲同時変形構成であって、前記湾曲同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項3】
前記事前成型の同時変形構成の同時変形領域は、前記可撓性板の前記可動部の領域にあり、且つ前記事前成型の同時変形構成は、錐体同時変形構成であって、前記錐体同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項4】
前記事前成型の同時変形構成の同時変形領域は、前記可撓性板の前記可動部の領域及び前記可動部を超えたその他の領域にあり、前記事前成型の同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項5】
前記事前成型の同時変形構成の同時変形領域は、前記可撓性板の前記可動部の領域及び前記可動部を超えたその他の領域にあり、且つ前記事前成型の同時変形構成は、湾曲同時変形構成であって、前記湾曲同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項6】
前記事前成型の同時変形構成の同時変形領域は、前記可撓性板の前記可動部の領域及び前記可動部を超えたその他の領域にあり、且つ前記事前成型の同時変形構成は、錐体同時変形構成であって、前記錐体同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項7】
前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板及び前記可撓性板によって構成される曲面同時変形構成であって、前記曲面同時変形構成は、異なる曲率にある複数の曲面によって構成され、前記可撓性板の前記曲面同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項8】
前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板及び前記可撓性板によって構成される曲面同時変形構成であって、前記曲面同時変形構成は、同じ曲率にある複数の曲面によって構成され、前記可撓性板の前記曲面同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項9】
前記事前成型の同時変形構成は、前記振動板の前記突出部に近接する方向に向かって突出する突出同時変形構成であって、前記突出同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを維持することを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項10】
前記事前成型の同時変形構成は、前記振動板の前記突出部から離れる方向に向かって突出する突出同時変形構成であって、前記突出同時変形構成は、前記振動板の前記突出部との間で必要な特定の深さを維持することを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項11】
ケーシングと、圧電素子及び振動板によって構成される圧電アクチュエータと、流通板及び可撓性板を包含し、前記可撓性板が可動部を有する変形可能基材構成とを提供するステップ(a)と、
前記変形可能基材構成にある前記可撓性板及び前記流通板を積層し合うように接合して事前同時変形作業を実施することで、前記可撓性板及び前記流通板を同時変形して事前成型の同時変形構成を構成するステップ(b)と、
前記ケーシング、前記圧電アクチュエータ及び前記変形可能基材構成が順次積層し合い、定位して接合し、前記事前成型の同時変形構成が前記振動板に相対することで、前記可撓性板の前記可動部と前記振動板との間に特定の深さを定義するステップ(c)と、を包含することを特徴とする、流体制御装置の製造方法。
【請求項12】
前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板及び前記可撓性板によって構成される湾曲同時変形構成であって、前記湾曲同時変形構成は、前記振動板との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項11に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項13】
前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板及び前記可撓性板によって構成される錐体同時変形構成であって、前記錐体同時変形構成は、前記振動板との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項11に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項14】
前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板及び前記可撓性板によって構成される曲面同時変形構成であって、前記曲面同時変形構成は、異なる曲率にある複数の曲面によって構成され、前記可撓性板の前記曲面同時変形構成は、前記振動板との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項11に記載の流体制御装置の製造方法。
【請求項15】
前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板及び前記可撓性板によって構成される曲面同時変形構成であって、前記曲面同時変形構成は、同じ曲率にある複数の曲面によって構成され、前記可撓性板の前記曲面同時変形構成は、前記振動板との間で必要な特定の深さを定義することを特徴とする、請求項11に記載の流体制御装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御装置の製造方法に関し、特に、変形可能な基材を有する流体制御装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在医薬、コンピューターテクノロジー、印刷、エネルギー等の工業など分野を問わず製品は精密化及び小型化の方向に発展しており、そのうち、小型ポンプ、噴霧器、インクジェットヘッド、工業印刷装置等の製品に含まれる流体輸送構造は中でも重要な技術であるが、いかに革新的な構造で技術のボトルネックを打破するかが発展させるための重要な内容となっている。
【0003】
従来の流体制御装置の局部構成を示す模式図である
図1Aと、従来の流体制御装置の局部構成に係る組み立ての変位を示す模式図である
図1Bとを参照すると、図示されているとおり、従来の流体制御装置100の作動の核心は、基板101及び圧電アクチュエータ102を包含することにあり、前記基板101は、前記圧電アクチュエータ102と積層するように設置し、且つ前記基板101及び前記圧電アクチュエータ102は、間隙103を有し、そのうち、前記間隙103は、一定の深さを保持する必要があり、この前記間隙103によって一定の深さを維持しており、前記圧電アクチュエータ102が印加電圧を受けて作動し、変形が発生すると、駆動可能流体が前記流体制御装置100にある各チャンバ内に流動し、これにより、流体の伝送という目的を達成している。しかし、この周知の前記流体制御装置100で、前記圧電アクチュエータ102及び前記基板101の全体がいずれもプレート状の構成であり、且つ一定の剛性を有するというような条件の下、全体がいずれもプレート状の構成である二つの部材をそれぞれ正確に定位させ、二つのプレートの間に一定の間隙103を発生させる、即ち、一定の深さを維持するには、一定の困難があり、上述したいずれかが全体に一定の剛性を有するプレートであるため、誤差が極めて発生し易く、いずれかの一辺が角度θ傾斜すると、相対する位置に、相対する距離に前記角度θを乗算した変位値、例えば変位dが発生し、
図1Bにあるように、前記一定の間隙103の標記箇所にある変位d’増加したり、図示されていないが、変位d’減少したりしてしまう。特に、流体制御装置が小型化の方向に発展すれば、各素子の大きさが小型化するようになり、変位d’増加したり、変位d’減少したりせずに、前記二つのプレートの間に一定の前記間隙103を維持するとともに、前記間隙103の一定の深さを保持することは、より困難なものとなり、前記間隙103の一定の深さを保持することができなくなると、例えば、前記間隙103に上述した変位d’増加するような誤差が発生した場合、前記間隙103の距離が大きくなり、好ましくない流体伝送効率になっていしまい、これに対して、前記間隙103に上述した変位d’減少するような誤差が発生した場合、前記間隙103の距離が小さくなり、前記圧電アクチュエータ102が作動する際その他の素子と接触干渉し易くなってしまい、騒音の問題が発生し、前記流体制御装置の不具合率がこれに伴い増加していしまう。
【0004】
つまり、従来の前記流体制御装置100にある前記圧電アクチュエータ102と前記基板101は、いずれも全体に一定の剛性を有するプレート状の構成であるため、両者プレートの間を全体で定位するようにして正確に定位させるという目的を達することは、明らかに困難であり、特に、素子が小型化すればする程、組み立ての際の正確な定位はより難しくなり、流体輸送の効率低下及び騒音の発生といった問題を引き起こし、使用上の不便及び不快に繋がってしまう。
【0005】
このため、上述の従来技術の欠点を改善し、従来の流体伝送装置を採用した機器や設備の体積を小さくして小型化すると同時に静音性を確保し、且つ組み立て時に発生し易い誤差を克服し、便利で快適に使用でき、携帯性も備えた小型流体伝送装置をいかに開発するかが現在解決を要する切迫した問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、従来の流体制御装置において、基板と圧電アクチュエータとが素子の小型化により、組み立て時に正確に定位されずに誤差が発生し、組み立てた後、求められる間隙の距離を維持し難く、流体輸送の効率低下及び騒音の発生といった問題を引き起こし、使用上の不便及び不快に繋がってしまうことを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達するため、本発明の比較的広義の実施態様が提供する流体制御装置の製造方法は、ケーシングと、圧電素子及び振動板によって構成され、前記振動板が第一表面及びこれに対応する第二表面を有し、前記第二表面が突出部を有する圧電アクチュエータと、流通板及び可撓性板を包含し、前記可撓性板が可動部を有する変形可能基材構成とを提供するステップ(a)と、前記変形可能基材構成にある前記可撓性板及び前記流通板を積層し合うように接合して事前同時変形作業を実施することで、前記可撓性板及び前記流通板を同時変形して事前成型の同時変形構成を構成するステップ(b)と、前記ケーシング、前記圧電アクチュエータ及び前記変形可能基材構成が順次積層し合い、定位して接合し、前記変形可能基材構成にある前記事前成型の同時変形構成が前記振動板の前記突出部に相対することで、前記可撓性板の前記可動部と前記振動板の前記突出部との間に特定の深さを定義するステップ(c)と、を包含している。
【0008】
また、上述の目的を達するため、本発明のもう一つの比較的広義の実施態様が提供する流体制御装置の製造方法は、ケーシングと、圧電素子及び振動板によって構成される圧電アクチュエータと、流通板及び可撓性板を包含し、前記可撓性板が可動部を有する変形可能基材構成とを提供するステップ(a)と、前記変形可能基材構成にある前記可撓性板及び前記流通板を積層し合うように接合して事前同時変形作業を実施することで、前記可撓性板及び前記流通板を同時変形して事前成型の同時変形構成を構成するステップ(b)と、前記ケーシング、前記圧電アクチュエータ及び前記変形可能基材構成が順次積層し合い、定位して接合し、前記事前成型の同時変形構成が前記振動板に相対することで、前記可撓性板の前記可動部と前記振動板との間に特定の深さを定義するステップ(c)と、を包含している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】従来の流体制御装置の局部構成を示す模式図である。
【
図1B】従来の流体制御装置の局部構成に係る組み立ての変位を示す模式図である。
【
図2】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図3A】本発明に係る流体制御装置を示す断面図である。
【
図3B】本発明に係る流体制御装置の局部動作を示す模式図である。
【
図4A】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第一実施態様を示す模式図である。
【
図4B】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第二実施態様を示す模式図である。
【
図4C】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第三実施態様を示す模式図である。
【
図4D】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第四実施態様を示す模式図である。
【
図5A】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第五態様を示す模式図である。
【
図5B】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第六態様を示す模式図である。
【
図5C】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第七態様を示す模式図である。
【
図5D】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第八態様を示す模式図である。
【
図6A】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第九態様を示す模式図である。
【
図6B】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第十態様を示す模式図である。
【
図6C】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第十一態様を示す模式図である。
【
図6D】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第十二態様を示す模式図である。
【
図7】本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置にある事前成型の同時変形構成の第十三態様を示す模式図である。
【
図8】本発明のもう一つの好ましい実施例に係る流体制御装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特徴と利点を体現するいくつかの典型的実施例を以下において詳細に説明する。本発明は異なる態様において各種の変化が可能であり、そのいずれも本発明の範囲を逸脱せず、且つ本発明の説明及び図面は本質的に説明のために用いられ、本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。
【0011】
本発明に係る流体制御装置の製造方法によって製造された流体制御装置2は、医薬・バイオテクノロジー、エネルギー、コンピューターテクノロジー、または印刷等の工業に応用し、流体を伝送するために用いることができるが、これに限らない。本発明の好ましい実施例に係る流体制御装置の製造方法を示すフローチャートである
図2と、本発明に係る流体制御装置を示す断面図である
図3Aを参照されたい。
図2にある本発明に係る流体制御装置の製造方法と、
図3AにあるステップS31のように、まず、ケーシング26、圧電アクチュエータ23及び変形可能基材構成20を提供している。そのうち、前記圧電アクチュエータ23は、圧電素子233及び振動板230によって構成され、前記振動板230は、第一表面230b及びこれに対応する第二表面230aを有し、前記第二表面230aは、突出部230cを有している。前記振動板230は、可撓性で、正方形のプレート状の構成とすることができるがこれに限らず、前記圧電素子233は、方形のプレート状の構成であって、その辺の長さは、前記振動板230の辺の長さより長くなく、前記振動板230の前記第一表面230b上に貼着することができるがこれに限らず、前記圧電素子233が印加電圧を受けた後に変形を発生させ、前記振動板230の湾曲振動を駆動し、また、前記圧電アクチュエータ23は、外枠231及び少なくとも一つのフレーム232をさらに包括し、前記外枠231は、前記振動板230の外側に囲繞するように設置し、前記外枠231の形態もまた前記振動板230の形態に概ね対応しているため、正方形の中空枠型の構成とすることができるがこれに限らず、且つ前記振動板230と前記外枠231との間は、前記少なくとも一つのフレーム232によって接続し、弾性的な支持を提供している。また、前記変形可能基材構成20は、流通板21及び可撓性板22を含むが、これに限らず、前記流通板21は、少なくとも一つの表面を有し、前記少なくとも一つの表面は、外部表面21aを包含し、前記流通板21は、少なくとも一つの導入孔210、少なくとも一つの集約溝211及び集約開口部212をさらに有し、前記導入孔210は、前記流通板21を貫通して前記少なくとも一つの集約溝211と連通し合い、前記集約溝211のもう一端は、前記集約開口部212に連通し、前記可撓性板22は、可動部22a及び固定部22bを有し、このような前記可撓性板22を前記流通板21上に接続するように設置することで、前記固定部22bは前記流通板21上に接続するように固定し、前記可動部22aは前記集約開口部212の箇所に対応し、且つ流路孔220は、前記可動部22a上に設置し、前記集約開口部212に対応している。前記ケーシング26は、少なくとも一つの排出孔261を有し、また、前記ケーシング26は、単一のプレート構成だけでなく、周縁に側壁260を有した前記圧電アクチュエータ23を設置するための枠体構成とすることもでき、即ち、前記ケーシング26が前記圧電アクチュエータ23及び前記変形可能基材構成20の外側を被覆し、前記ケーシング26及び前記圧電アクチュエータ23の間に流体が流通する一時保存チャンバAを構成し、且つ前記排出孔261によって前記一時保存チャンバAを連通し、流体を前記ケーシング26外に流通させている。
【0012】
次に、
図2にあるステップS32のように、前記可撓性板22及び前記流通板21を積層し合うように接合して事前同時変形作業を実施することで、前記可撓性板22及び前記流通板21を同時変形して事前成型の同時変形構成を構成している。前記事前同時変形作業は、外力を加える同時変形作業或いは外力でない同時変形作業とすることができ、そのうち、外力でない同時変形作業は、例えば、熱膨張変形、収縮変形などの構成自身以外の力を受けて変形するものではなく、前記変形可能基材構成20が温度変化或いはその他の要因により構成内部に変化が発生し、外部が変形するものであって、
図4A〜
図7にあるように、前記事前成型の同時変形構成を形成している。本実施例において、前記事前同時変形作業は、上述した外力を加える同時変形作業であって、前記外力を加える同時変形作業は、少なくとも一つの外力を前記変形可能基材構成20の前記少なくとも一つの表面に加え、前記少なくとも一つの外力は、外力を一回だけ、或いは同時に複数回加えることができるが、これに限らず、且つ前記少なくとも一つの外力は、接触力とすることができるがこれに限らず、即ち、前記外力の接触を前記変形可能基材構成20の前記少なくとも一つの表面に実施することで、前記変形可能基材構成20に同時変形を発生させ、前記事前成型の同時変形構成を形成し、且つ前記外力に接触した前記事前成型の同時変形構成の表面は、例えば、付勢力痕跡(図示されていない)といった少なくとも一つの変形構成を発生するが、これに限らない。また、前記少なくとも一つの外力は、外力が加わった表面と一定の間隙(図示されていない)を保持する非接触力とすることもできるがこれに限らず、例示すると、前記少なくとも一つの外力は、真空吸引器によって発生した吸引力や磁気吸引力などであるが、これに限らず、これら真空吸引力や磁気吸引力などの非接触力によって前記変形可能基材構成20上に加えられることで、前記変形可能基材構成20に同時変形が発生し、前記事前成型の同時変形構成を形成している。
【0013】
最後に、ステップS33のように、前記ケーシング26、前記圧電アクチュエータ23及び前記変形可能基材構成20が順次積層し合い、定位して接合し、前記変形可能基材構成20にある前記事前成型の同時変形構成が前記振動板230の前記突出部230cに相対することで、前記可撓性板22の前記可動部22aと、前記振動板230の前記突出部230cとの間に特定の深さδを定義している。このステップは、
図3Aにあるように、前記ケーシング26を前記圧電アクチュエータ23の外側周縁に被覆し、そのうち、前記変形可能基材構成20は、ステップS32の同時変形を行っていないが、これは、本発明に係る前記流体制御装置2の積層方法を主に説明するものであって、即ち前記圧電アクチュエータ23を前記ケーシング26の収容空間26aに設置し、前記変形可能基材構成20、或いはすでに事前成型した同時変形構成である変形可能基材構成20を前記圧電アクチュエータ23に対応するように組立て、前記収容空間26a内にともに設置することで、前記圧電アクチュエータ23の底部を封止し、また、前記可動部22aは、前記振動板230の前記突出部230cの位置に相対し、且つ本実施例において、前記変形可能基材構成20の事前成型の同時変形構成は、
図4A〜
図7にあるように、前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向、或いは前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって同時変形するがこれに限らず、且つ主に、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間に必要とする特定の深さδを定義し、事前成型の同時変形構成によって必要とする特定の深さδを維持した本発明に係る前記流体制御装置2を製造している。
【0014】
上述したとおりに製造した前記流体制御装置2は、
図3A及び
図3Bにあるように、前記流通板21、前記可撓性板22及び前記圧電アクチュエータ23が対応し合うように組立てられると、前記可撓性板22の前記流路孔220箇所は、前記流通板21の前記集約開口部212とともに流体を集約するチャンバを形成し、且つ前記可撓性板22と前記圧電アクチュエータ23の前記外枠231との間に間隙hを有し、一部の実施例において、前記間隙hは、これに限らないが、例えば、導電ペーストといった媒体を充填することができ、媒体によって接合して定位することで、前記可撓性板22は、前記圧電アクチュエータ23の前記振動板230との間で一定の距離を維持することができ、例えば、前記間隙hは、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間に特定の深さδをさらに形成することができ、さらに、前記振動板230が振動したとき、前記流体を圧縮、即ち前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間の間隙を小さくし、流体の圧力及び流動速度を増大させることができる。また、前記特定の深さδは、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間にある接触干渉を減少させるために用いることで、騒音発生という問題を低減する適切な距離であって、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間にある前記特定の深さδで構成するチャンバは、前記可撓性板22の前記流路孔220を介して前記流通板21の前記集約開口部212箇所で流体が集約するチャンバと連通し合っている。前記流体制御装置2が作動すると、主に、前記圧電アクチュエータ23の前記圧電素子233が印加電圧を受けて稼働することによって前記振動板230が垂直方向の往復振動を行うように駆動し、前記振動板230が上に向かって振動すると、前記可撓性板22が軽くて薄い片状構成であることから、前記可撓性板22も共振するとともに垂直方向の往復振動が行われおり、即ち、前記可撓性板22の前記可動部22aも湾曲しながら振動して変形し、且つ前記流路孔220は、前記可撓性板22の中心或いは中心に近接する箇所に設置し、この時、前記可撓性板22の前記可動部22aは前記振動板230が上に向かって振動する連動によって流体を上に送入且つ押圧するとともに上に向かって振動させ、流体は、前記流通板21上の前記少なくとも一つの導入孔210から入り込み、前記少なくとも一つの集約溝211によって中央の前記集約開口部212箇所に集約され、前記集約開口部212に対応するように設置した前記可撓性板22上の前記流路孔220により、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間にある特定の深さδで構成するチャンバ内に上に向かって流れ込み、前記可撓性板22の変形を介することで、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記圧電アクチュエータ23との間にある特定の深さδで構成する前記チャンバの体積を圧縮し、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間にある特定の深さδで構成する前記チャンバ中間にある流通空間を圧縮させる動的エネルギーを強化することで、その中にある流体が圧迫されて両側に向かって流動するように促し、前記振動板230と前記フレーム232との間にある空隙を通過して上に向かって突き抜けるように流動しており、前記振動板230が下に向かって湾曲するように振動した場合、前記可撓性板22の前記可動部22aも共振するとともに下に向かって湾曲しながら振動して変形し、中央の前記集約開口部212箇所に集約される流体が減少し、且つ前記圧電アクチュエータ23も下に向かって振動し、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間にある前記特定の深さδで構成する前記チャンバ底部まで変位して圧縮可能な前記チャンバの体積を拡大するため、
図3Bで示した実施作動を再度繰り返し、前記可撓性板22の前記可動部22aと前記振動板230の前記突出部230cとの間にある特定の深さδで構成する前記チャンバ中間にある流通空間の圧縮される空間を拡大することで、比較的大きな流体吸入量及び排出量に達している。
【0015】
本発明の好ましい実施例において、上述したとおり、前記変形可能基材構成20は、前記流通板21及び前記可撓性板22によって構成されており、そのうち、前記流通板21及び前記可撓性板22は、互いに積層し合い、且つ前記流通板21及び前記可撓性板22の両者が前記事前同時変形作業を行うことで、前記事前成型の同時変形構成を構成している。さらにいうと、上述した同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22のいずれか一方に変形が発生すると、もう一方もこれに伴って変形し、且つ両者変形の形状はいずれも同一で、即ち対応し合う両者の表面は、互いに接合し合い且つ位置決めし、両者の間には、間隙や平行的なずれがなく、例えていうと、前記変形可能基材構成20の前記流通板21に変形が発生すると、前記可撓性板22にも同一の変形が発生し、同じように、前記変形可能基材構成20の前記可撓性板22に変形が発生すると、前記流通板21にもまた同一の変化が発生する。また、上述した背景技術にあるように、周知の前記流体制御装置において、圧電アクチュエータ及び基板がいずれもプレート状の構成であり、且つ一定の剛性を有するというような条件の下、全体がいずれもプレート状の構成である二つの部材をそれぞれ正確に定位させ、二つのプレートの間に一定の間隙を発生させる、即ち、一定の深さを維持するには、一定の困難があり、誤差が極めて発生し易く、様々な問題を引き起こしていしまう。このため、本発明の様々な好ましい実施例は、その特徴が前記変形可能基材構成20の事前成型の同時変形構成を利用することにあり、前記流通板21及び前記可撓性板22の同時変形構成であって、前記変形可能基材構成20は、周知技術に係る基板素子に相当するが、前記変形可能基材構成20の前記事前成型の同時変形構成にある前記流通板21及び前記可撓性板22は、本発明における様々な実施例によって定義される様々な特定の事前成型の同時変形構成があり、これら様々な特定の事前成型の同時変形構成は、いずれも、相対する前記振動板230の前記突出部230cとの間で、必要とする特定の深さδを保持するため、前記流体制御装置2が小型化に向かって発展し、各素子の大きさが小型化するようになったとしても、前記事前成型の同時変形構成によって上述した両者の間に一定の間隙を有することを維持することが容易になる。なぜならば、これを利用して位置決めする面積が縮小した、変形が湾曲状、錐体状、様々な曲面状或いは不規則な形状などの非プレート状の同時変形構成は、プレートと位置決めし、二つの大きなプレート同士が位置決めするのではなく、非プレート状の小さい面積が大きな面積のプレートと位置決めするため、両者間の間隙の誤差を容易に低減することができ、流体輸送の効率低下及び騒音の発生といった問題を解決することに達し、使用上の不便及び不快といった周知の問題を解決している。
【0016】
一部の実施例において、前記事前成型の同時変形構成が同時変形可能な態様は、湾曲構成、錐体構成、凸起平面構成、曲面構成或いは不規則形状構成などとすることができるが、これに限らず、これら同時変形の構成及び態様は、以下のおいて説明する。
【0017】
図4A及び
図4Cにあるように、第一実施態様及び第三実施態様において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22で構成される湾曲同時変形構成であって、即ち前記事前成型の同時変形構成の湾曲同時変形領域は、前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域にあり、つまり、二つの前記実施態様の前記事前成型の同時変形構成は、いずれも湾曲同時変形構成であるが、両者の湾曲同時変形の方向にのみ違いがある。
図4Aで図示される第一実施態様において行う湾曲変形の前記事前同時変形作業は、前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって湾曲変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域も前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって湾曲変形することで、前記事前成型の同時変形構成の湾曲同時変形構成を構成しており、
図4Cで図示される第三実施態様において行う湾曲変形の前記事前同時変形作業は、前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって湾曲変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域も前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって湾曲変形することで、前記事前成型の同時変形構成の湾曲同時変形構成を構成している。このため、第一実施態様及び第三実施態様において構成する、前記事前成型の同時変形構成の前記可撓性板22の前記可動部22aの領域と、前記振動板230の前記突出部230cとの間は、特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、この二つの実施態様において前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21及び前記可撓性板22を有する湾曲同時変形の前記流体制御装置2を構成している。
【0018】
図5A及び
図5Cにあるように、第五実施態様及び第七実施態様において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22で構成される錐体同時変形構成であって、即ち前記事前成型の同時変形構成の錐体同時変形領域は、前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域にあり、つまり、二つの前記実施態様の同時変形構成は、いずれも錐体同時変形構成であるが、両者の錐体同時変形の方向にのみ違いがある。
図5Aで図示される第五実施態様において行う同時変形は、錐体構成の事前同時変形作業であって、前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって錐体変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域も前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって錐体変形することで、前記事前成型の同時変形構成の錐体同時変形構成を構成しており、
図5Cで図示される第七実施態様において行う同時変形は、錐体構成の事前同時変形作業であって、前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって錐体変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域も前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって錐体変形することで、前記事前成型の同時変形構成の錐体同時変形構成を構成している。このため、第五実施態様及び第七実施態様において構成する、前記事前成型の同時変形構成の前記可撓性板22の前記可動部22aの領域と、前記振動板230の前記突出部230cとの間は、特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、この二つの実施態様において前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21及び前記可撓性板22を有する錐体同時変形の前記流体制御装置2を構成している。
【0019】
図6A及び
図6Cにあるように、第九実施態様及び第十一実施態様において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22で構成される凸起平面同時変形構成であって、即ち前記事前成型の同時変形構成の凸起平面同時変形領域は、前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域にあり、つまり、二つの前記実施態様の同時変形構成は、いずれも凸起平面同時変形構成であるが、両者の凸起平面同時変形の方向にのみ違いがある。
図6Aで図示される第九実施態様において行う同時変形は、凸起平面構成の事前同時変形作業であって、前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域に対応し、前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって凸起平面変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域も前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって凸起平面変形することで、前記事前成型の同時変形構成の凸起平面同時変形構成を構成しており、
図6Cで図示される第十一実施態様において行う同時変形は、凸起平面構成の事前同時変形作業であって、前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって凸起平面変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域及び前記可動部22aを超えたその他の領域も前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって凸起平面変形することで、前記事前成型の同時変形構成の凸起平面同時変形構成を構成している。このため、第九実施態様及び第十一実施態様において構成する、前記事前成型の同時変形構成の前記可撓性板22の前記可動部22aの領域と、前記振動板230の前記突出部230cとの間は、特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、この二つの実施態様において前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21及び前記可撓性板22を有する凸起平面同時変形の前記流体制御装置2を構成している。
【0020】
また、一部の実施例において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22の一部分のみが同時変形することによって構成される同時変形構成とすることもでき、即ち、前記事前成型の同時変形構成の一部同時変形領域は、前記可動部22aの領域だけにあり、且つ前記事前成型の同時変形構成の一部同時変形構成は、湾曲構成、錐体構成或いは凸起平面構成のいずれかとすることもできるが、これに限らない。
【0021】
図4B及び
図4Dにあるように、第二実施態様及び第四実施態様において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22で構成される一部湾曲同時変形構成であって、即ち前記事前成型の同時変形構成は、前記可動部22aの領域及び前記流通板21の前記可動部22aに対応した箇所にのみ一部湾曲し、つまり、二つの前記実施態様の同時変形構成は、いずれも湾曲同時変形構成であるが、両者の湾曲同時変形の方向にのみ違いがある。
図4Bで図示される第二実施態様において行う一部分の湾曲同時変形の前記事前同時変形作業は、前記集約開口部212にある前記可動部22aの領域に対応する前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって湾曲変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域も前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって湾曲変形することで、前記事前成型の同時変形構成の一部湾曲同時変形構成を達しており、
図4Dで図示される第四実施態様において行う一部分の湾曲同時変形の前記事前同時変形作業は、前記集約開口部212にある前記可動部22aの領域に対応する前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって湾曲変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域も前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって湾曲変形することで、前記事前成型の同時変形構成の一部湾曲同時変形構成を構成している。このため、第二実施態様及び第四実施態様において構成する、前記事前成型の同時変形構成の前記可撓性板22の前記可動部22aの領域と、前記振動板230の前記突出部230cとの間は、特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、この二つの実施態様において前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21及び前記可撓性板22を有する一部湾曲同時変形の前記流体制御装置2を構成している。
【0022】
図5B及び
図5Dにあるように、第六実施態様及び第八実施態様において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22で構成される一部錐体同時変形構成であって、即ち前記事前成型の同時変形構成の一部錐体同時変形領域は、前記可動部22aの領域にあり、つまり、二つの前記実施態様の同時変形構成は、いずれも錐体同時変形構成であるが、両者の錐体同時変形の方向にのみ違いがある。
図5Bで図示される第六実施態様において行う一部同時変形は、錐体構成の事前同時変形作業であって、前記集約開口部212にある前記可動部22aの領域に対応する前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって錐体変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域も前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって錐体変形することで、前記事前成型の同時変形構成の一部錐体同時変形構成を達しており、
図5Dで図示される第八実施態様において行う一部同時変形は、錐体構成の事前同時変形作業であって、前記集約開口部212にある前記可動部22aの領域に対応する前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって錐体変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域も前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって錐体変形することで、前記事前成型の同時変形構成の一部錐体同時変形構成を達している。このため、第六実施態様及び第八実施態様において構成する、前記事前成型の同時変形構成の前記可撓性板22の前記可動部22aの領域と、前記振動板230の前記突出部230cとの間は、特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、この二つの実施態様において前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21及び前記可撓性板22を有する一部錐体同時変形の前記流体制御装置2を構成している。
【0023】
図6B及び
図6Dにあるように、第十実施態様及び第十二実施態様において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22で構成される一部凸起平面同時変形構成であって、即ち前記事前成型の同時変形構成の一部凸起平面同時変形領域は、前記可動部22aの領域にあり、つまり、二つの前記実施態様の同時変形構成は、いずれも凸起平面同時変形構成であるが、両者の凸起平面同時変形の方向にのみ違いがある。
図6Bで図示される第十実施態様において行う一部同時変形は、凸起平面構成の事前同時変形作業であって、前記集約開口部212にある前記可動部22aの領域に対応する前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって凸起平面変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域も前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かって凸起平面変形することで、前記事前成型の同時変形構成の一部凸起平面同時変形構成を達しており、
図6Dで図示される第十二実施態様において行う一部同時変形は、凸起平面構成の事前同時変形作業であって、前記集約開口部212にある前記可動部22aの領域に対応する前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21の前記外部表面21aが前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって凸起平面変形すると同時に、前記可撓性板22の前記可動部22aの領域も前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かって凸起平面変形することで、前記事前成型の同時変形構成の一部凸起平面同時変形構成を達している。このため、第十実施態様及び第十二実施態様において構成する、前記事前成型の同時変形構成の前記可撓性板22の前記可動部22aの領域と、前記振動板230の前記突出部230cとの間は、特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、この二つの実施態様において前記事前成型の同時変形構成の前記流通板21及び前記可撓性板22を有する一部凸起平面同時変形の前記流体制御装置2を構成している。
【0024】
また、一部の実施例において、前記事前成型の同時変形構成は、前記流通板21及び前記可撓性板22で構成される曲面同時変形構成態様とするができ、前記曲面同時変形構成は、異なる曲率にある複数の曲面によって構成されたり、同じ曲率にある複数の曲面によって構成されたりしており、
図7に図示された第十三実施態様において行う同時変形は、曲面構成の事前同時変形作業であって、前記変形可能基材構成20の前記流通板21の前記外部表面21aは、異なる曲率にある複数の曲面によって構成された変形を発生させると同時に、前記可撓性板22も異なる曲率にある複数の曲面によって構成された変形を発生させることで、前記事前成型の同時変形構成の曲面同時変形構成を構成し、前記事前成型の同時変形構成の曲面同時変形構成が前記振動板230の前記突出部230cとの間で特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、前記事前成型の同時変形構成を有する曲面同時変形の前記流体制御装置2を構成している。
【0025】
さらにまた、その他の一部の実施例において、前記事前成型の同時変形構成は、規則的な形態の同時変形構成とは限らず、不規則な形状の同時変形構成とすることもでき、つまり、前記事前成型の同時変形構成にある前記流通板21或いは前記可撓性板22の表面は不規則な形状の同時変形構成であるが、これに限らない。その他の一部の実施例において、前記事前成型の同時変形構成は、前記振動板230の前記突出部230cに近接する方向に向かう突出同時変形構成としたり、前記振動板230の前記突出部230cから離れる方向に向かう突出同時変形構成としたりすることができ、前記突出同時変形構成は、前記振動板230の前記突出部230cとの間に特定の深さδを定義している。
【0026】
上述した複数の実施態様において発生する前記事前成型の同時変形構成は、様々な実施方法があり、且つ実際に使用する状況に応じて変化を施すことができることから、上述したこれら方法に限らない。
【0027】
また、その他の実施例において、本発明に係る前記圧電アクチュエータ23の前記振動板230は、前記突出部230cを設けないこともでき、即ち前記圧電アクチュエータ23の前記振動板230の前記第二表面230aは、平面的な構成(図示されていない)であるがこれに限らない。従って、この実施態様において、前記変形可能基材構成20と前記圧電アクチュエータ23との間にある間隙hは、前記変形可能基材構成20の前記可撓性板22と、前記圧電アクチュエータ23の前記振動板230の前記第二表面230aとの間にある距離であって、組立てた後、前記変形可能基材構成20に同時変形を発生させることで、前記事前成型の同時変形構成を構成し、前記事前成型の同時変形構成と、前記振動板230との間に特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、前記可撓性板22と前記圧電アクチュエータ23の前記振動板230とが互いに接触干渉することを減少させ、流体伝送の効率を向上し、騒音の発生を低減している。また、この実施態様において、前記事前成型の同時変形構成が行う同時変形の態様は、上述したように、湾曲構成、錐体構成、凸起平面構成、曲面構成或いは不規則形状構成などとすることができるが、これに限らない。
【0028】
このため、上述した、前記圧電アクチュエータ23の前記振動板230が前記突出部230cを設けないもう一つの好ましい実施例の製造方法は、以下のとおりである。本発明のもう一つの好ましい実施例に係る流体制御装置の製造方法を示すフローチャートである
図8を参照されたい。
図8にあるように、本発明に係る前記流体制御装置の製造方法において、まず、ステップS41のように、ケーシング26、圧電アクチュエータ23及び変形可能基材構成20を提供しており、前記圧電アクチュエータ23もまた、圧電素子233及び振動板230によって構成され、前記振動板230は、可撓性で、正方形のプレート状の構成とすることができるがこれに限らず、第一表面230b及びこれに対応する第二表面230aを有し、前記圧電素子233は、方形のプレート状の構成であって、その辺の長さは、前記振動板230の辺の長さより長くなく、前記振動板230の前記第一表面230b上に貼着することができるがこれに限らず、前記圧電素子233が印加電圧を受けた後に変形を発生させ、前記振動板230の湾曲振動を駆動している。
【0029】
次に、ステップS42のように、前記ケーシング26、前記圧電アクチュエータ23及び前記変形可能基材構成20を順次積層し合うように接合して事前同時変形作業を実施することで、前記可撓性板22及び前記流通板21を同時変形して事前成型の同時変形構成を構成している。前記事前同時変形作業は、外力を加える前記事前同時変形作業或いは外力でない前記事前同時変形作業とすることができ、外力でない前記事前同時変形作業は、例えば、熱膨張変形、収縮変形などの構成自身以外の力を受けて変形するものではなく、前記変形可能基材構成20が温度変化或いはその他の要因により構成内部に変化が発生し、外部が変形するものであって、
図4A〜
図7にあるように、前記事前成型の同時変形構成を形成している。本実施例において、前記事前同時変形構成は、上述した外力を加える同時変形作業であって、前記外力を加える前記事前同時変形作業は、少なくとも一つの外力を前記変形可能基材構成20の前記少なくとも一つの表面に加えることで、前記事前成型の同時変形構成を構成し、前記少なくとも一つの外力は、外力を一回だけ、或いは同時に複数回加えることができるが、これに限らない。前記少なくとも一つの外力は、接触力とすることができるがこれに限らず、即ち、前記外力の接触を前記変形可能基材構成20の前記少なくとも一つの表面に実施することで、前記変形可能基材構成20に同時変形を発生させ、前記事前成型の同時変形構成を形成し、且つ前記外力に接触した前記事前成型の同時変形構成の表面は、例えば、付勢力痕跡(図示されていない)といった少なくとも一つの変形構成を発生し、また、前記少なくとも一つの外力は、外力が加わった表面と一定の間隙(図示されていない)を保持する非接触力とすることもできるがこれに限らず、例示すると、前記少なくとも一つの外力は、真空吸引器によって発生した吸引力や磁気吸引力などであるが、これに限らず、これら真空吸引力や磁気吸引力などの非接触力によって前記変形可能基材構成20上に加えられることで、前記変形可能基材構成20に同時変形が発生し、前記事前成型の同時変形構成を形成している。
【0030】
最後に、ステップS43のように、前記ケーシング26、前記圧電アクチュエータ23及び前記変形可能基材構成20が順次積層し合い、定位して接合することで、前記可撓性板22の前記可動部22aと、前記振動板230との間に特定の深さδを定義している。このステップは、
図3Aにあるように、前記ケーシング26を前記圧電アクチュエータ23の外側周縁に被覆し、即ち前記圧電アクチュエータ23を前記ケーシング26の収容空間26aに設置し、前記事前成型の同時変形構成である変形可能基材構成20を前記圧電アクチュエータ23に対応するように組立て、前記収容空間26a内にともに設置することで、前記圧電アクチュエータ23の底部を封止し、また、前記可動部22aは、前記振動板230の前記突出部230cの位置に相対し、且つ本実施例において、前記事前成型の同時変形構成は、
図4A〜
図7にあるように、前記振動板230に近接する方向、或いは前記振動板230から離れる方向に向かって同時変形するがこれに限らず、且つ主に、前記可撓性板22と前記振動板230との間に必要とする特定の深さδを定義し、事前成型の同時変形構成によって必要とする特定の深さδを維持した本発明に係る前記流体制御装置2を製造している。
【0031】
上述した複数の実施態様により、前記事前成型の同時変形構成である変形可能基材構成20で組立てを行うことは、前記事前成型の同時変形構成にある前記可撓性板22の前記可動部22aが、前記振動板230の前記突出部230cとの間、或いは前記振動板230との間で特定の深さδが必要な範囲を保持することができ、この特定の深さδの範囲を限定することで、前記流体制御装置2の組立て時の誤差によって発生する間隙が大きかったり、小さかったりすることや、前記可撓性板22と前記圧電アクチュエータ23とが互いに接触干渉し、好ましくない流体輸送の効率及び騒音の発生といった問題を防止することができる。
【0032】
以上のことから、本発明に係る前記流体制御装置は、組立前において前記変形可能基材構成に事前同時変形作業を行い、これにより、同時変形を発生させることで、事前成型の同時変形構成を構成し、圧電アクチュエータと組立てられると、前記事前成型の同時変形構成にある可撓性板の可動部が、振動板の突出部との間で特定の深さが必要な範囲を保持することができ、或いは、事前成型の同時変形構成にある可撓性板の可動部が、振動板との間で特定の深さが必要な範囲を保持することができ、このことから、事前成型の同時変形構成にある可撓性板の可動部と、振動板又は振動板の前記突出部との間で、必要な特定の深さの範囲を調整することで、可撓性板と圧電アクチュエータとの接触干渉を減少させ、流体伝送の効率を向上し、騒音低下という効果を達成することにより、製品の不具合発生率を低減し、流体制御装置の品質を向上することができる。
【0033】
本発明に属する技術分野において通常の知識を有する者であればさまざまな工夫と修飾が可能であるが、それらはいずれも本発明の特許請求の範囲が求める保護を逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0034】
100 従来の流体制御装置
101 基板
102 圧電アクチュエータ
103 間隙
2 流体制御装置
20 変形可能基材構成
21 流通板
21a 外部表面
210 導入孔
211 集約溝
212 集約開口部
22 可撓性板
22a 可動部
22b 固定部
23 圧電アクチュエータ
230 振動板
230a 第二表面
230b 第一表面
230c 突出部
231 外枠
232 フレーム
233 圧電素子
26 ケーシング
26a 収容空間
261 排出孔
260 側壁
δ 特定の深さ
h 間隙
A 一時保存チャンバ
θ 角度
d 変位
d’ 変位
S31 ステップ
S32 ステップ
S33 ステップ
S41 ステップ
S42 ステップ
S43 ステップ