(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記幅方向吸収体エンボスは、着用者の体液排出部に対応する領域の周囲を囲む環状に形成された圧搾溝の略幅方向に延びる部分及び吸収性物品の略幅方向に沿って延びる独立する圧搾溝のいずれか又はこれらの組み合わせからなる請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された吸収性物品では、非積繊部を伝って体液が後側に勢いよく流れやすいため、体液が非積繊部の後側端部に到達して吸収体の一部に体液が集中するおそれがあり、この場合には漏れが生じやすくなる。また、スリムタイプの吸収性物品では、吸収体に非積繊部を設けると、その分だけ体液の吸収容量が低下するため、吸収性能が悪化するおそれがある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載された吸収性物品では、高密度部と低密度部とが交互に形成されているので、吸収体の厚みが厚くなる傾向にあり、スリムタイプの吸収性物品には不向きである。また、前記高密度部が吸収体の長手方向に延びているため、この高密度部を伝って高密度部の端部に体液が拡散しやすく、吸収体の端部からの漏れが懸念される。
【0010】
そこで本発明の主たる課題は、吸収速度の低下や漏れを生じることなく、吸収体の広い範囲を有効活用できるようにした吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性の表面シートと不透液性の裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体の少なくとも前記表面シート側の面に、前記表面シートとの間に空間を形成しながら前記裏面シート側に向けて窪ませた、前記吸収体の厚みを厚み方向に圧縮するコアプレスが格子状パターンで形成されるとともに、前記吸収体の幅方向中央部に、略幅方向に沿って延びる幅方向吸収体エンボスが吸収性物品の長手方向に離隔して複数形成され、
前記幅方向吸収体エンボスと重なる部分及びその近傍で前記コアプレスを間欠させた非プレス部が、前記幅方向吸収体エンボスの全周囲に沿って形成され、前記幅方向吸収体エンボスと前記コアプレスとが直接接続しないようにされ、
前記表面シートの外面に前記表面シートから吸収体までの間を一体的に前記裏面シート側に向けて窪ませた長手方向表面エンボスが、吸収性物品の幅方向中央部に長手方向に沿って延びるとともに、前記幅方向吸収体エンボスを横断するように形成され、かつ前記長手方向表面エンボス
の底面は、低圧搾部と前記長手方向表面エンボスが延びる方向に沿って間隔を空けて複数配置され
た高圧搾部とで構成され、前記高圧搾部は前記幅方向吸収体エンボス
よりも前側であって、高圧搾部の後端部が前記幅方向吸収体エンボスの前側に隣接する非プレス部と重なる位置に配置されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0012】
上記請求項1記載の発明では、吸収体に格子状パターンでコアプレスを施すことにより、吸収体を厚み方向に圧縮したスリムタイプの吸収性物品である。前記コアプレスを施すことにより、吸収体の繊維の疎密差が形成され、吸収体内部の拡散性を向上させることができる。
【0013】
また、前記長手方向表面エンボスを、吸収性物品の幅方向中央部に長手方向に沿って形成することにより、この長手方向表面エンボスの内部を流れて吸収性物品の長手方向に対する拡散性を向上させている。ここで、前記長手方向表面エンボスの底面は、圧搾により押し固められ、繊維密度が非常に高くなっているため、体液の吸収性能が著しく低下している。また、長手方向表面エンボスの側面においても前記コアプレスが施された部分では、コアプレスによって繊維が圧密化しているため、体液が吸収しにくくなっている。しかしながら、本発明では、前記長手方向表面エンボスが吸収性物品の長手方向に離隔して複数形成されている幅方向吸収体エンボスを横断するように形成されているため、長手方向表面エンボスを流れる体液の一部が前記幅方向吸収体エンボスに流入して幅方向吸収体エンボスにおいて吸収体に吸収されるようになる。前記幅方向吸収体エンボスを吸収性物品の長手方向に離隔して複数設けることにより、長手方向表面エンボスを流れる途中で順次幅方向吸収体エンボスに体液が流れ込み、長手方向表面エンボスを流れる体液の流速が後方に向かうにしたがって徐々に小さくなり、長手方向表面エンボスの後端部に体液が勢いよく流れることなく、吸収体の後端からの漏れが防止できる。
【0014】
また、幅方向吸収体エンボスにおいては、繊維密度が小さく繊維間空隙が大きな非プレス部が全周囲に沿って配置され、前記幅方向吸収体エンボスと前記コアプレスとが直接接続しないようにされているため、幅方向吸収体エンボスの側面から体液が非プレス部に浸透しやすくなっている。非プレス部に浸透した体液は、幅方向吸収体エンボスに沿って幅方向に拡散するとともに、前記コアプレスとの繊維の疎密差に伴う毛管作用により、吸収体の広い範囲に拡散しやすくなっている。また、前記非プレス部から繊維間空隙が小さな吸収体の内部に浸透した体液は、繊維間空隙が大きな非プレス部に移行にくい性質を有しているため、幅方向吸収体エンボスに逆戻りしにくい構造となっている。
【0015】
このように、本吸収性物品では、吸収体の厚みを薄型化したスリムタイプの吸収性物品において、吸収速度の低下や漏れを生じることなく、吸収体の広い範囲を有効活用して、より多くの体液を吸収保持できるようになる。
【0016】
また、本発明では、前記長手方向表面エンボス
の底面は、低圧搾部と前記長手方向表面エンボスが延びる方向に沿って間隔を空けて複数配置され
た高圧搾部とで構成され、前記高圧搾部は前記幅方向吸収体エンボス
よりも前側であって、高圧搾部の後端部が前記幅方向吸収体エンボスの前側に隣接する非プレス部と重なる位置に配置されている。
【0017】
前記長手方向表面エンボスの底面が低圧搾部と前記長手方向表面エンボスが延びる方向に沿って間隔を空けて複数配置され
た高圧搾部とで構成されているため、底面が凹んでいる前記高圧搾部を体液が通過する際に、体液の流速が一時的に減少し、長手方向表面エンボスを体液が勢いよく流れるのが抑制できる。また、前記高圧搾部は前記幅方向吸収体エンボスの少なくとも前側に近接
よりも前側であって、高圧搾部の後端部が前記幅方向吸収体エンボスの前側に隣接する非プレス部と重なる位置に配置されていることにより、長手方向表面エンボスを前側から後側に向けて流れる体液の流速が高圧搾部において低減された直後に幅方向吸収体エンボスが位置することとなり、幅方向吸収体エンボスに体液が流れ込みやすくなる。また、前記高圧搾部が基点となって、長手方向表面エンボスを流れる体液を幅方向吸収体エンボスに分散させやすくなる。
【0018】
請求項2に係る本発明として、前記長手方向表面エンボスは、着用者の体液排出部に対応する領域から後側に延びるように設けられている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0019】
上記請求項2記載の発明では、着用者の体液排出部に対応する領域から後側に延びるように前記長手方向表面エンボスを設けることにより、この領域に排出された体液を吸収性物品の後方に拡散しやすくしている。
【0020】
請求項3に係る本発明として、前記幅方向吸収体エンボスは、着用者の体液排出部に対応する領域の周囲を囲む環状に形成された圧搾溝の略幅方向に延びる部分及び吸収性物品の略幅方向に沿って延びる独立する圧搾溝のいずれか又はこれらの組み合わせからなる請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0021】
上記請求項3記載の発明では、前記幅方向吸収体エンボスとして、着用者の体液排出部に対応する領域の周囲を囲む環状の圧搾溝の略幅方向に延びる部分によって形成してもよいし、独立する圧搾溝によって形成してもよいことを規定している。いずれにおいても、長手方向表面エンボスを流れる体液が幅方向吸収体エンボスに流れ込み、体液を広い範囲に拡散させつつ吸収保持できるようになる。
【0022】
請求項4に係る本発明として、前記吸収体の厚みが5mm以下である請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0023】
上記請求項4記載の発明では、前記吸収体にコアプレスを施すことによって吸収体の厚み(最大厚み)が5mm以下の薄型にしている。
【発明の効果】
【0024】
以上詳説のとおり本発明によれば、吸収速度の低下や漏れを生じることなく、吸収体の広い範囲を有効活用できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0027】
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、
図1〜
図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、経血やおりものなど(以下、まとめて体液ともいう。)を速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、肌当接面側の両側部に長手方向のほぼ全長に亘って設けられたサイド不織布7、7とを備え、かつ前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記裏面シート2と表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合されることにより、吸収体が介在しないフラップ部が形成されたものである。なお、図示例では、前記吸収体4の形状保持および拡散性向上のために、前記吸収体4をクレープ紙又は不織布などからなる被包シート5で囲繞しているが、この被包シート5は設けなくてもよい。また、図示しないが、前記表面シート3の非肌側に隣接して、前記表面シート3とほぼ同形状の親水性の不織布などからなるセカンドシートを配設してもよい。
【0028】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、蒸れ防止の観点から透湿性を有するものを用いるのが望ましい。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記裏面シート2の非肌側面(外面)にはナプキン長手方向に沿って1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記裏面シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0029】
次いで、前記表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。前記表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、体液が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維の複合繊維を好適に用いることもできる。
【0030】
前記表面シート3の幅寸法は、
図2及び
図3の横断面図に示されるように、吸収体4の幅寸法よりも若干長めとされ、吸収体4を覆うだけに止まり、それより外方側は前記表面シート3とは別のサイド不織布7、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されたサイド不織布7が配設されている。
【0031】
かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を13〜23g/m
2として作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
【0032】
前記サイド不織布7は、
図2に示されるように、幅方向中間部より外側部分を所定の内側位置から裏面シート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、所定の位置に所定のフラップ部が形成されている。このフラップ部は、ほぼ体液排出部Hに対応する部分の両側部に左右一対のウイング状フラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側(後部側)位置にヒップホールド用フラップW
B、W
Bを形成してもよい。これらウイング状フラップW、Wおよびヒップホールド用フラップW
B、W
Bの外面側にはそれぞれ粘着剤層(図示せず)が備えられ、ショーツに対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wを基端部の折返し線RL位置にて反対側に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するとともに、前記ヒップホールド用フラップW
Bをショーツの内面に止着するようになっている。一方、前記サイド不織布7の内方側部分は表面シート3の肌側に積層された状態で吸収体4側(表面シート3の肌側面)に接着されている。
【0033】
〔吸収体〕
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばパルプと高吸水性ポリマーとにより構成されている。前記高吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0034】
本生理用ナプキン1は、吸収体4の目付を低くした薄型のスリムナプキンである。前記パルプの目付は、50〜300g/m
2、好ましくは80〜220g/m
2とするのがよく、前記高吸水性ポリマーの目付は、30〜180g/m
2、好ましくは50〜160g/m
2とするのがよい。これらパルプ及び高吸水性ポリマーの目付は、一定である必要はなく、吸収体の部位によって変化させても良い。例えば、着用者の体液排出部Hに対応する領域においてパルプと高吸水性ポリマーの目付を高くした高吸収部を形成することができる。装着時の違和感を軽減し、アウターに響かなくするため、前記吸収体4の厚みは5mm以下、好ましくは2〜5mmとするのがよい。また、吸収体の密度(平均密度)は、0.01g/cm
3以上とするのがよい。
【0035】
前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
【0036】
図4及び
図5に示されるように、前記吸収体4の少なくとも前記表面シート3側の面(肌側の面)に、表面シート3との間に空間を形成しながら前記裏面シート2側(非肌側)に向けて窪ませたコアプレス10が形成されている。このコアプレス10は、前記吸収体4の厚みを厚み方向に圧縮するためのものであり、吸収体4の全面を圧縮するのではなく、所定の間隔をあけた所定のパターンで圧縮したものである。前記コアプレス10を施した部分が厚み方向に圧縮されることによって、コアプレス10を施さない部分の繊維がこれに引き込まれ、コアプレス10を施さない部分が影響を受けてある程度圧縮されるため、吸収体4全体の厚みが厚み方向に小さくなる。前記「吸収体4の厚み」とは、吸収体4の全体の厚みであって、具体的には最も肉厚な部分において計測した最大厚みのことであり、(株)尾崎製作所製の定圧厚み測定器デジタルタイプFFD−7によって測定することができる。
【0037】
前記コアプレス10を施すことによって減少する厚みの割合としては、コアプレス10を施す前の吸収体4の厚みをt
0、コアプレス10を施した後の吸収体4の厚みをtとすると、t/t
0=1/10〜7/10程度であるのが好ましい。この割合が1/10より小さいと吸収体が硬くなって装着感が悪化する。逆に7/10より大きいと、コアプレス10による圧縮の効果が小さく、吸収体4の厚みが大きくなる。この割合を変化させるには、コアプレス10の圧縮深さ、隣り合うコアプレス同士の間隔、コアプレス10の平面パターンなどを調整することにより成すことができる。
【0038】
前記コアプレス10は、図示例では、吸収体4の肌側面(表面シート3側の面)からのみ圧縮することにより、吸収体4の肌側面に凹状の窪み部が形成され、非肌側面(裏面シート2側の面)はほぼ平坦に形成されている。このような加工を行うには、表面に多数の凸部が形成された凸ロールと表面がフラットなアンビルロールとの間に吸収体を通過させることにより成すことができる。一方、図示しないが、吸収体4の肌側面及び非肌画面の両面からそれぞれ圧縮することにより、吸収体4の肌側面及び非肌側面の両面にそれぞれ凹状の窪み部が形成されるようにしてもよい。このように加工するには、表面に多数の凸部が形成された第1凸ロールと、前記第1凸ロールの凸部に対応する位置に同じく凸部が形成された第2凸ロールとの間を通過させることにより成すことができる。少なくとも肌側面を圧縮することにより、表面シート3側から浸透した体液がコアプレス10の凹部に流入し、コアプレス10に沿って拡散しやすくなるとともに、拡散する過程で随時吸収体4に吸収されるようになる。
【0039】
前記コアプレス10は、
図4に示されるように、吸収体4のほぼ全体に同じパターンで形成するのが好ましい。すなわち、着用者の体液排出部Hに対応する領域にも、それ以外の領域と同様のパターンで施されている。これによって、吸収体4の全体を薄型化でき、装着時の違和感が確実に軽減できるとともに、確実にアウターに響かなくすることができる。
【0040】
前記コアプレス10は、吸収体4の厚みを厚み方向に圧縮できれば任意のパターンで施すことができるが、
図4に示されるように、吸収体4の端縁間に亘って形成された、連続する又は所定の部位において間欠する複数の線状プレス部11、11…を含むのが好ましい。前記線状プレス部11は、吸収体4の外縁に達しない中間部に形成されるのではなく、吸収体4の前後端縁及び左右端縁のうちの一つの端縁と、それ以外のいずれかの端縁との間に亘って形成されている。吸収体4の端縁間に亘って形成することにより、吸収体4の全体を圧縮することができ、確実に薄型化できるようになる。
【0041】
前記コアプレス10は、幅方向の一方側に傾斜し、長手方向に所定の間隔をあけて複数配置された第1の線状プレス部11a、11a…と、前記第1の線状プレス部11aに交差するとともに、幅方向の他方側に傾斜し、長手方向に所定の間隔をあけて複数配置された第2の線状プレス部11b、11b…とにより構成された格子状パターンを含むのが好ましい。コアプレス10を格子状パターンで形成することによって吸収体4の厚みがより確実に薄型化でき、装着時の違和感の軽減やアウターへの響きにくさの効果が顕著になる。前記第1の線状プレス部11a…及び第2の線状プレス部11b…はそれぞれ、ほぼ同じ間隔で配置するのが好ましく、これによって、前記線状プレス部11a、11bによって周囲が区画された正方形又は菱形からなる略四角形の格子が多数配置されるようになる。前記線状プレス部11a、11bで囲まれた略四角形の格子部分は、直接圧縮された部分ではないが、前記線状プレス部11a、11bの影響を受けて元の厚みより厚みが小さくなる。
【0042】
前記第1の線状プレス部11aと第2の線状プレス部11bとの交差角度は、図示例ではほぼ直角であるが、30°〜150°程度の角度を有していれば良い。前記第1の線状プレス部11a及び第2の線状プレス部11bは、生理用ナプキン1の幅方向に対して傾斜しているのが望ましい。これにより、歩行時などに左右の脚をそれぞれ前後に動かしたとき、脚の付け根の内側からの圧力によって、生理用ナプキン1にねじれ方向の力が加わったとき、前記線状プレス部11a、11bに沿って吸収体4が斜め方向に変形しやすく、身体の動きに追従しやすくなる。また、これらの線状プレス部11a、11bに沿って体液が生理用ナプキン1の幅方向に流れるため、幅方向に平行に延びる線状プレス部を形成した場合に比べて、横漏れが生じるのが防止できる。このような斜め方向の変形を生じやすくする観点及び横漏れを防止する観点から、前記線状プレス部11a、11bは、生理用ナプキン1の幅方向に対して30°以上の角度で傾斜しているのが好ましい。
【0043】
前記吸収体4を確実に薄型化するため、
図4に示されるように、前記第1の線状プレス部11aと第2の線状プレス部11bとによって区画される各格子の1辺の長さaは、4〜10mmとするのが好ましい。4mmより小さいと、線状プレス部11a、11b同士の間隔が近接しすぎて吸収体4が硬くなり、装着感が悪化する。一方、10mmより大きいと、各格子の中央部が肌側に膨出して、吸収体4の全体を充分に薄型化することができない。
【0044】
前記吸収体4を確実に薄型化するため、
図4及び
図5に示されるように、前記線状プレス部11a、11bと離間する各格子の中央部に、円形、多角形などからなる点状又はドット状の中央プレス部16を施してもよい。これにより、各格子の中央部が肌側に膨出するのが押さえられ、吸収体4の硬さをあまり増加させずに、吸収体4の全体を確実に薄型化することができるようになる。また、各格子部分に浸透した体液は、毛細管現象によって繊維密度が高い中央プレス部16に向けて拡散しやすくなるため、拡散性が向上して体液を素早く吸収することができるようになる。前記中央プレス部16を設けた場合の各格子の1辺の長さaとしては、当該中央プレス部16を設けない場合の長さより大きくすることができ、最大で15mm程度としても、吸収体4を薄型化するという観点からは問題がない。なお、前記線状プレス部11a、11bの幅は、0.5〜3mmとするのがよい。
【0045】
一方、前記線状プレス部11a、11bは、吸収体4の幅方向及び長手方向に沿った正格子状に配置することも可能である。この他に、各格子が六角形からなるハニカム状に配置してもよい。いずれにしても、吸収体4の厚みが5mm以下となり、吸収体4の内部における体液の拡散が生じやすいパターンであれば任意の形態を採用することができる。また、上記形態例では、線状プレス部11a、11bを連続する線状に形成しているが、複数のドットを間隔をあけて配置した不連続線状に形成してもよい。
【0046】
前記吸収体4の表面シート3側の面には、
図4及び
図5に示されるように、前記コアプレス10の他に、表面シート3との間に空間を形成しながら裏面シート2側に窪ませることにより、前側部分が着用者の体液排出部Hに対応する領域の周囲を囲むように形成され、後側部分が着用者の臀部溝に対応する領域を囲むように後方に細長く延在する、平面視縦長の外側吸収体エンボス12と、前記外側吸収体エンボス12の内側に配置され、着用者の体液排出部Hのうち特に膣口に対応する領域の周囲を囲むように形成された縦長の楕円形からなる内側吸収体エンボス13と、前記内側吸収体エンボス13の後側に離隔して配置され、吸収体4の幅方向中央部に略幅方向に沿って延びる幅方向吸収体エンボス14とが形成されている。
【0047】
前記外側吸収体エンボス12は、体液が外側に急速に拡散するのを防止し、吸収体4の端部からの漏れを防止するとともに、エンボスで囲まれた領域を肌面にフィットしやすくするために設けられるものである。
【0048】
前記内側吸収体エンボス13は、膣口から排出される体液を受け止め、外側への拡散スピードを低減するためのものである。
【0049】
前記外側吸収体エンボス12及び内側吸収体エンボス13の平面形状は、図示例では、外側吸収体エンボス12の前側部分がナプキン長手方向に長い略楕円形に形成されるとともに、後側部分が細長形状に形成され、内側吸収体エンボス13がナプキン長手方向に長い略楕円形に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、幅方向外側への体液の拡散のみを軽減したい場合には、体液排出部対応領域の両側部にそれぞれ長手方向に沿う曲線状に形成してもよいし、前記外側吸収体エンボス12を臀部溝に対応する領域まで延在させずに、内側吸収体エンボス13と同様に縦長の楕円形に形成してもよい。前記外側吸収体エンボス12及び内側吸収体エンボス13のいずれか一方又は両方は、その一部又は全部を所定の離隔幅で複数配置した多重線によって形成してもよい。また、前記外側吸収体エンボス12及び内側吸収体エンボス13のいずれか一方又は両方は、設けなくてもよい。
【0050】
前記幅方向吸収体エンボス14は、後段で詳述するように、後述の長手方向表面エンボス20から流れ込んだ体液を幅方向に拡散させながら、吸収体4に吸収しやすくするためのものである。
【0051】
前記幅方向吸収体エンボス14は、吸収体4又は被包シート5の肌側面からの圧搾により、吸収体4のみ又は被包シート5及び吸収体4を一体的に窪ませたものであり、表面シート3との間に空間を形成しながら配置されている。仮に、前記表面シート3も一体的に圧搾した場合には、加熱により表面シート3がフィルム化して吸収体への体液の移行を阻害するおそれがあるため好ましくない。
【0052】
前記幅方向吸収体エンボス14は、前記コアプレス10と同様に、吸収体4の肌側面からのみ圧縮することにより、吸収体4の肌側面にのみ形成された凹状の窪み部によって構成してもよいし、吸収体4の肌側面及び非肌側面からそれぞれ圧縮することにより、吸収体4の肌側面及び非肌側面の両面にそれぞれ形成された凹状の窪み部によって構成してもよい。
【0053】
また、前記幅方向吸収体エンボス14は、種々の形態で形成することが可能である。好ましくは、
図4に示されるように、前記内側吸収体エンボス13の後側に離間するとともに、前記外側吸収体エンボス12から離間して配置され、後側に膨出する曲線状の平面形状で形成するのがよい。また、前記内側吸収体エンボス13の前側及び後側における吸収体4の略幅方向に延びる部分13a、13bは、後述の長手方向表面エンボス20をこの内側吸収体エンボス13の前側部分13a及び後側部分13bを横断して配置した場合には、これらの部分13a、13bを幅方向吸収体エンボス14とみなすことができる。後述の長手方向表面エンボス20が横断する場合には、これらの部分13a、13bも幅方向吸収体エンボス14と同様の機能が発揮されるためである。ただし、最も外側に配置されるエンボス、
図4に示される例では、外側吸収体エンボス12の前側及び後側における吸収体4の略幅方向に延びる部分12a、12bは、幅方向吸収体エンボス14として用いるのは好ましくない。この外側吸収体エンボス12は、これより外側への体液拡散を軽減し、吸収体4の端部からの漏れを防止するためのものであるため、これを横断して後述の長手方向表面エンボス20を設けると、外側吸収体エンボス12より外側に体液が拡散しやすくなり、外側吸収体エンボス12の効果が著しく低下するおそれがある。
【0054】
前記幅方向吸収体エンボス14は、
図6に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向に離隔して複数配置することができる。複数設けることにより、幅方向吸収体エンボス14を通過する度に、後述の長手方向表面エンボス20を流れる体液の流速及び流量が徐々に減少し、長手方向表面エンボス20の後端部に体液が勢いよく流れるのが防止できる。前記幅方向吸収体エンボス14の数としては、1〜10個、好ましくは2〜5個程度がよい。複数設ける場合の隣り合う幅方向吸収体エンボス14、14の離隔距離としては、あまり近づきすぎると液拡散がしにくく、大きすぎると液拡散の効果が小さいため、10〜30mm程度とするのがよい。
【0055】
前記幅方向吸収体エンボス14の平面形状は、特に限定されないが、
図4に示されるように、吸収体4の後側に向けて膨出する曲線で形成するのが好ましい。これにより、後述の長手方向表面エンボス20を前側から後側に向けて流れる体液が幅方向吸収体エンボス14に流れ込みやすくなるとともに、幅方向吸収体エンボス14に流れ込んだ体液が幅方向の端部に直進することなく、両側面に接触しやすくなり、側面を通じて吸収体4に吸収されやすくなる。なお、幅方向吸収体エンボス14の平面形状は、吸収体4の略幅方向に沿って延びる直線でもよいし、前側に向けて膨出する曲線でもよい。
【0056】
前記幅方向吸収体エンボス14の吸収体4の幅方向の長さは、特に限定されない。この長さを長くすれば吸収体4の幅方向への拡散性が向上し、吸収体4の幅方向端縁からの漏れが懸念されるため、あまり長くするのは好ましくない。この長さは、吸収体4の幅及び後述の長手方向表面エンボス20の溝幅によっても異なるが、吸収体4の幅寸法に対して、1/10〜1/2、好ましくは1/7〜1/3とするのがよい。
【0057】
図4及び
図5に示されるように、少なくとも前記幅方向吸収体エンボス14と重なる部分及びその近傍で前記コアプレス10が間欠することにより、前記幅方向吸収体エンボス14の周囲に所定の幅で非プレス部15を形成するのが好ましい。すなわち、前記幅方向吸収体エンボス14部分及びその周囲の所定幅において、前記コアプレス10が形成されず、前記幅方向吸収体エンボス14とコアプレス10との間に圧搾しない領域(非プレス部15)が形成されている。幅方向吸収体エンボス14の周囲に前記非プレス部15を形成することによって、幅方向吸収体エンボス14から繊維間空隙が大きな非プレス部15に体液の吸収が速やかに行われるとともに、この非プレス部15で体液が一時的に貯留された後、高密度のコアプレス10に浸透するため、体液を吸収体4に素早く吸収させることができる。また、一旦吸収体4に吸収された体液は、密度が小さな非プレス部15に移行しにくい性質を有しているため、幅方向吸収体エンボス14への体液の逆戻りが防止できる。
【0058】
前記非プレス部15は、幅方向吸収体エンボス14の周囲に全周に亘って形成され、幅方向吸収体エンボス14とコアプレス10とが直接接続しないようになされている。前記非プレス部15の幅は、体液のバッファーゾーンとしての機能を確保するとともに、吸収体4の厚みが厚くなるのを防止する観点から、0.5〜5mmとするのが好ましい。
【0059】
前記非プレス部15は、前記外側吸収体エンボス12及び内側吸収体エンボス13の周囲にも形成するのが望ましい。
【0060】
前記吸収体4にコアプレス10及び外側吸収体エンボス12、内側吸収体エンボス13及び幅方向吸収体エンボス14を形成するには、前記コアプレス10及び各エンボス12、13、14に対応する凸部が形成された凸ロールによってコアプレス10及び各エンボス12、13、14を同時に施してもよいし、コアプレス10を形成した後、次工程で各エンボス12、13、14を形成してもよい。前記コアプレス10、中央プレス部16及び各エンボス12、13、14は、底部の圧搾密度をほぼ同等とし、毛管作用による体液の引き込み力をほぼ均等にし、体液拡散の偏りを生じなくするため、ほぼ同等の溝深さで形成するのが好ましい。
【0061】
〔長手方向表面エンボス〕
本生理用ナプキン1では、
図1に示されるように、前記表面シート3の外面に表面シート3から吸収体4までの間を一体的に裏面シート2側に向けて窪ませた長手方向表面エンボス20が、生理用ナプキン1の幅方向中央部に長手方向に沿って延びるとともに、前記幅方向吸収体エンボス14を横断するように形成されている。前記長手方向表面エンボス20は、体液排出部Hに対応する領域における体液を途中で幅方向に拡散させつつ、吸収体4の後側に向けて拡散させ、吸収体4の広い範囲を有効活用するためのものである。
【0062】
前記長手方向表面エンボス20は、着用者の体液排出部Hに対応する領域から生理用ナプキン1の後側に延びるように設けるのが好ましい。これにより、体液排出部対応領域の体液を後側に拡散させることができ、吸収体の広い範囲を有効活用できるようになる。前記長手方向表面エンボス20は、着用者の体液排出部H、具体的に膣口の直ぐ後側から形成するのが好ましい。
図1に示される形態例では、前記長手方向表面エンボス20が、内側吸収体エンボス13の後側に離隔して配置されている。
【0063】
前記長手方向表面エンボス20の後端は、着用者の臀部溝に対応する領域の中間までとするのが好ましい。あまり吸収体4の後側まで延在させると、吸収体4の後端からの漏れが生じるおそれがある。具体的には、臀部溝の周囲を囲むように形成された前記外側吸収体エンボス12の後側部分のうち、長手方向中央部を若干後側に越えたあたりまでとするのが好ましい。
【0064】
前記長手方向表面エンボス20の溝幅は、小さすぎると体液が流れにくく、大きすぎると装着時の違和感を生じるため、2〜10mmが好ましい。前記長手方向表面エンボス20の溝幅は、全長に亘ってほぼ一定でもよいし、途中で変化させてもよい。変化させる場合の例としては、前記幅方向吸収体エンボス14を横断する部分で溝幅を相対的に大きくすることにより、幅方向吸収体エンボス14に体液を流れ込みやすくしてもよい。また、長手方向表面エンボス20を流れる体液が幅方向吸収体エンボス14に流れ込むことによって、長手方向表面エンボス20の流量が幅方向吸収体エンボス14を通過する毎に減少するのに合わせて、吸収体4の後側に向けて徐々に、又は前記幅方向吸収体エンボス14を通過する毎に段階的に溝幅を小さくしてもよい。これにより、後側の溝幅を小さくできるため、装着時の違和感が軽減できる効果も期待できる。
【0065】
前記長手方向表面エンボス20は、
図1に示されるように、低圧搾部21と高圧搾部22とを有し、前記高圧搾部22が長手方向表面エンボス20が延びる方向に沿って間隔を空けて複数配置されるのが好ましい。前記低圧搾部21とは相対的に溝深さが浅く形成された部分であり、前記高圧搾部22とは相対的に溝深さが深く形成された部分である。
図1では、高圧搾部22を黒塗り部分で表し、その他の白色部分は低圧搾部21である。前記低圧搾部21と高圧搾部22とを有することにより、高圧搾部22において溝深さが深くなるため、エンボス溝の底面を流れる体液の流れが急激に変化することにより、流速を低下させる効果が生じるようになる。
【0066】
また、前記高圧搾部22の少なくとも一部に、前記非プレス部15の少なくとも一部が重なるように配置された高圧搾部22を含んでいるのが好ましい。前記長手方向表面エンボス20を施す際、高圧搾部22が非プレス部15に重なるように配置することにより、未圧搾のために復元力が大きな非プレス部15が圧搾後に復元することなく、前記高圧搾部22によって確実に圧搾状態が保持され、前記長手方向表面エンボス20が確実に形成できるようになる。また、非プレス部15に高圧搾部22が重ねて配置されることにより、非プレス部15に吸収された体液が繊維が高密度化された高圧搾部22に毛管作用により引き込まれやすくなるため、体液の吸収速度が向上できる。
【0067】
前記高圧搾部22は、硬くなり装着感が悪化するのを防止するため、面積が1cm
2以下であるのが好ましい。このときの平面形状は特に限定されないが、エンボス溝が延びる方向に沿った長さが、エンボス溝の幅方向の長さの1.5倍以上であると、エンボス溝が延びる方向に沿った体液の流れが生じやすいため、好ましい。
図1に示される例では、エンボス溝が延びる方向に長い略菱形に形成されている。
【0068】
隣り合う高圧搾部22、22の離隔距離は、2〜20mmが好ましい。2mmより小さいと、非プレス部15に体液が浸透しにくく、20mmより大きいと高圧搾部22における流速の低減効果があまり期待できない。
【0069】
前記高圧搾部22は、前記幅方向吸収体エンボス14の少なくとも前側に近接して配置するのが好ましい。これにより、長手方向表面エンボス20を前側から後側に向けて流れる体液の流速が高圧搾部22において低減された直後に幅方向吸収体エンボス14が位置することとなり、幅方向吸収体エンボス14に体液が流れ込みやすくなる。また、前記高圧搾部22が基点となって、長手方向表面エンボス20を流れる体液を幅方向吸収体エンボス14に分散させやすくなる。高圧搾部22の具体的な配置位置としては、高圧搾部22の後端部が幅方向吸収体エンボス14の前側に隣接する非プレス部15と重なる位置とするのが好ましい。
【0070】
前記低圧搾部21の溝深さは、前記吸収体4に形成されたコアプレス10及び各エンボス12、13、14とほぼ同等またはこれより若干深くするのが好ましい。
【0071】
以上の構成からなる本生理用ナプキン1の体液の流れについて、
図7に基づいて詳細に説明する。着用者の体液排出部Hに対応する領域に排出された体液が長手方向表面エンボス20に流れ込んで、この長手方向表面エンボス20の溝内を後側に向けて流れる。その途中で、長手方向表面エンボス20の側面から表面シート3を浸透して幅方向吸収体エンボス14に体液が流れ込む。幅方向吸収体エンボス14に流れ込んだ体液は、幅方向吸収体エンボス14の周囲に密度が小さく繊維間空隙が大きな非プレス部15が設けられているため、この非プレス部15を構成する繊維との接触により非プレス部15の繊維間に毛管作用により吸収される。その後、非プレス部15に吸収された体液は、繊維間空隙が小さな隣接するコアプレス10に毛管作用によって引き込まれるとともに、コアプレス10によって区画された各格子部に浸透して保持される。また、長手方向表面エンボス20を後側に向けて流れる体液は、底面に高圧搾部22が設けられる場合には、その作用によって流速が徐々に低下しつつ、側面から表面シート3を浸透して吸収体4に吸収され、コアプレス10によって区画された各格子部やコアプレス10部分に保持される。このように、長手方向表面エンボス20が幅方向吸収体エンボス14に流れ込むことによって吸収体4に素早く吸収保持されるため、吸収速度が低下することなく、吸収体4の広い範囲に体液を拡散させて吸収することができ、吸収体の備える吸収容量を有効活用することができる。また、長手方向表面エンボス20を流れる体液の流量が減少し、長手方向表面エンボス20の後側に勢いよく体液が流れなくなるため、端部に達した体液による後漏れが防止できる。