特許第6605071号(P6605071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6605071スティック型内容物のマルチ充填容器及びこれを用いた充填方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605071
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】スティック型内容物のマルチ充填容器及びこれを用いた充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20191031BHJP
   A45D 40/16 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B65D83/00 B
   A45D40/16 B
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-90562(P2018-90562)
(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公開番号】特開2019-196196(P2019-196196A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2018年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ホ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ウトゥム
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−111525(JP,A)
【文献】 特開昭54−156754(JP,A)
【文献】 特公昭36−017099(JP,B1)
【文献】 特開昭59−044205(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0109261(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0107919(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A45D 40/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口部が設けられ、内側にスティック型内容物が充填されるスティック型内容物ケースと、
前記スティック型内容物ケースの入口部に装着され、スティック型内容物ケースの内側と外側へ移動する移動分離壁が設けられたマルチ充填カバーと、を含み、
前記スティック型内容物ケースの下部には注入口が設けられることを特徴とする、スティック型内容物のマルチ充填容器。
【請求項2】
入口部が設けられ、内側にスティック型内容物が充填されるスティック型内容物ケースと、
前記スティック型内容物ケースの入口部に装着され、スティック型内容物ケースの内側と外側へ移動する移動分離壁が設けられたマルチ充填カバーと、を含み、
前記移動分離壁には、マルチ充填カバーの外側に露出するように取っ手部が設けられることを特徴とする、スティック型内容物のマルチ充填容器。
【請求項3】
前記マルチ充填カバーは立体的なドーム状に形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスティック型内容物のマルチ充填容器。
【請求項4】
前記マルチ充填カバーの中央には分離壁貫通孔が設けられ、前記分離壁貫通孔には移動分離壁が貫通結合されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスティック型内容物のマルチ充填容器。
【請求項5】
前記マルチ充填カバーには離脱防止溝が設けられ、前記移動分離壁には前記離脱防止溝と対応する離脱防止突起が設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスティック型内容物のマルチ充填容器。
【請求項6】
前記移動分離壁の一側端部は、マルチ充填カバーの内周縁と対応する形状に形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスティック型内容物のマルチ充填容器。
【請求項7】
スティック型内容物ケースの入口部にマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填容器を裏返す準備段階と、
前記マルチ充填容器の下部から第1内容物を充填した後、冷却させる第1充填段階と、
前記マルチ充填カバーの移動分離壁をスティック型内容物ケースの外側に抜き取る分離壁除去段階と、
前記マルチ充填容器の下部から第2内容物を充填した後、冷却させる第2充填段階と
前記第1、第2内容物が固化すると、マルチ充填カバーを除去するカバー除去段階と、を含む、スティック型内容物のマルチ充填容器を用いた充填方法。
【請求項8】
前記準備段階では、前記マルチ充填容器を裏返して治具に装着させることを特徴とする、請求項に記載のスティック型内容物のマルチ充填容器を用いた充填方法。
【請求項9】
前記分離壁除去段階では、前記移動分離壁の離脱防止突起が前記マルチ充填カバーの離脱防止溝に挿入されることを特徴とする、請求項に記載のスティック型内容物のマルチ充填容器を用いた充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック型内容物のマルチ充填容器及びこれを用いた充填方法に係り、より詳細には、スティック型内容物ケースの入口部に立体的な形状のマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填カバーの中央に移動分離壁を設け、前記移動分離壁がスティック型内容物ケースの内側と外側へ移動するようにすることにより、前記スティック型内容物ケースの下部から異種の内容物をそれぞれ充填するとき、前記移動分離壁をスティック型内容物ケースの内側と外側へ移動させてそれぞれ第1内容物と第2内容物を順次充填し、前記第1、第2内容物が固化すると前記マルチ充填カバーをスティック型内容物ケースから一度に除去するので、スティック型内容物ケースへの異種の内容物のマルチ充填が容易であるのはもとより、固化した第1、第2内容物の表面がマルチ充填カバーの立体的な形状に応じて多様に表現されて審美感及び使用性が向上するようにした、スティック型内容物のマルチ充填容器に関する。
【0002】
また、本発明は、スティック型内容物ケースの入口部にマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填容器を裏返す準備段階と、前記マルチ充填容器の下部から第1内容物を充填した後、冷却させる第1充填段階と、前記マルチ充填カバーの移動分離壁をスティック型内容物ケースの外側に抜き取る分離壁除去段階と、前記マルチ充填容器の下部から第2内容物を充填した後、冷却させる第2充填段階と、前記第1、第2内容物が固化すると、マルチ充填カバーを除去するカバー除去段階とを含んでなるようにして、マルチ充填容器に第1、第2内容物の充填が迅速かつ簡単に行われ、これによりマルチスティック型内容物の生産性が向上する、スティック型内容物のマルチ充填容器を用いた充填方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、女性は自分の外見をさらに美しく飾るために様々な化粧品を使用するが、このような化粧品は一定の形状を有する化粧品容器に貯蔵されて使用される。特に、前記化粧品容器は、スティック型化粧品容器またはチューブ型化粧品容器またはコンパクト型化粧品容器などの多様な形態に製作されて消費者に提供される。
【0004】
前記化粧品容器の中でも、スティック型化粧品容器には、ワックスとオイルを主成分とする紫外線遮断剤、口紅、ファンデーションなどの化粧品内容物が充填され、当該化粧品内容物がスティック状に固化されている。
【0005】
上述したようなスティック型化粧品の充填方式を詳しく考察すると、フロント充填(front filling)方式とバック充填(back filling)方式に大別される。
【0006】
前記フロント充填(front filling)方式は、金型を別個に作って、前記金型に液状化粧品を充填して冷却させる方式であって、スティック型化粧品の生産性を向上させるのに困難さがあり、内容物の表面光沢が良好でないため、見かけ上美麗でない欠点を持っており、成形不良率が多いという欠点を持っている。
【0007】
これに対し、前記バック充填(back filling)方式は、スティック型化粧品容器を充填機械に連結し、前記スティック型化粧品容器の後ろ部分から液状化粧品を充填した後、冷却して包装する充填方式であって、生産性が高いうえ、工程数が節減され、保湿性の維持が良好であって良質の製品を消費者に提供することができ、量産が可能であるという利点を持っている。
【0008】
最近、購買者のニーズを満たすために、スティック型化粧品の形態及び機能が多様化されながら、スティック型化粧品容器に二種類のスティック型化粧品が一緒に充填されるマルチ充填方式が新たに試行されており、これにより、スティック型化粧品充填容器及び充填方法に関する研究開発が持続的に行われている。
【0009】
前述したような従来のスティック型化粧品充填装置及び方法は、韓国登録特許第10−0810798号に開示されているが、この従来技術は、図1に示すように、ケース100の内に挿入可能なモールドシャフト200を含む充填ノズル300と、第1組成物を収容するための通路を形成する外側バリア400とから構成され、前記モールドシャフト200がケース100内に挿入され、第1組成物がモールドシャフト200の周囲のケース100内に分配された後、前記モールドシャフト200がケース100から除去されて空間が設けられ、この空間に第2組成物が充填されることを特徴とする。
【0010】
しかし、前記従来技術は、第1、第2組成物がケース100の下部から充填されるバック充填(back filling)方式ではなく、ケース100の入口から充填するフロント充填(front filling)方式なので、ケース100の入口に露出する第1、第2組成物の表面を直線的にカット(cutting)しなければならない工程が必要であり、これにより、第1、第2組成物の表面の形状をドームのように滑らかに形成することができないため審美感に劣るという問題点があった。
【0011】
また、前記従来技術は、ケース100内にモールドシャフト200を挿入し、第1組成物を充填した後、さらにケース100からモールドシャフト200を除去し、しかる後に、第2組成物を充填する方式で行われるため、充填方法が複雑であって生産性に劣るうえ、前記モールドシャフト200が移動中に揺れてケース100内の組成物に傷が生じて製品不良も発生するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、スティック型内容物ケースの入口部に立体的な形状のマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填カバーの中央に移動分離壁を設け、前記移動分離壁がスティック型内容物ケースの内側と外側へ移動するようにすることにより、前記スティック型内容物ケースの下部から異種の内容物をそれぞれ充填するとき、前記移動分離壁をスティック型内容物ケースの内側と外側へ移動させてそれぞれ第1内容物と第2内容物を順次充填し、前記第1、第2内容物が固化すると前記マルチ充填カバーをスティック型内容物ケースから一度に除去するので、スティック型内容物ケースへの異種の内容物のマルチ充填が容易であるのはもとより、固化した第1、第2内容物の表面がマルチ充填カバーの立体的な形状に応じて多様に表現されて審美感及び使用性が向上するようにした、スティック型内容物のマルチ充填容器を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、スティック型内容物ケースの入口部にマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填容器を裏返す準備段階と、前記マルチ充填容器の下部から第1内容物を充填した後、冷却させる第1充填段階と、前記マルチ充填カバーの移動分離壁をスティック型内容物ケースの外側に抜き取る分離壁除去段階と、前記マルチ充填容器の下部から第2内容物を充填した後、冷却させる第2充填段階と、前記第1、第2内容物が固化すると、マルチ充填カバーを除去するカバー除去段階とを含んでなるようにして、マルチ充填容器に第1、第2内容物の充填が迅速かつ簡単に行われ、これによりマルチスティック型内容物の生産性が向上する、スティック型内容物のマルチ充填容器を用いた充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明は、入口部が設けられ、内側にスティック型内容物が充填されるスティック型内容物ケースと、
前記スティック型内容物ケースの入口部に装着され、スティック型内容物ケースの内側と外側へ移動する移動分離壁が設けられたマルチ充填カバーと、を含む、スティック型内容物のマルチ充填容器を提供する。
【0015】
また、前記スティック型内容物ケースの下部には注入口が設けられることを特徴とする。
【0016】
また、前記マルチ充填カバーは立体的なドーム状に形成できる。
【0017】
また、前記マルチ充填カバーの中央には分離壁貫通孔が設けられ、前記分離壁貫通孔には移動分離壁が貫通結合されることを特徴とする。
【0018】
また、前記マルチ充填カバーには離脱防止溝が設けられ、前記移動分離壁には前記離脱防止溝と対応する離脱防止突起が設けられることを特徴とする。
【0019】
また、前記移動分離壁には、マルチ充填カバーの外側に露出するように取っ手部が設けられることを特徴とする。
【0020】
また、前記移動分離壁の一側端部は、マルチ充填カバーの内周縁と対応する形状に形成されることが好ましい。
【0021】
本発明は、スティック型内容物ケースの入口部にマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填容器を裏返す準備段階と、
前記マルチ充填容器の下部から第1内容物を充填した後、冷却させる第1充填段階と、
前記マルチ充填カバーの移動分離壁をスティック型内容物ケースの外側に抜き取る分離壁除去段階と、
前記マルチ充填容器の下部から第2内容物を充填した後、冷却させる第2充填段階と
前記第1、第2内容物が固化すると、マルチ充填カバーを除去するカバー除去段階と、を含む、スティック型内容物のマルチ充填容器を用いた充填方法を提供する。
【0022】
また、前記準備段階では、マルチ充填容器を裏返して治具に装着させることを特徴とする。
【0023】
また、前記分離壁除去段階では、移動分離壁の離脱防止突起がマルチ充填カバーの離脱防止溝に挿入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るスティック型内容物のマルチ充填容器は、スティック型内容物ケースの入口部に立体的な形状のマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填カバーの中央に移動分離壁を設け、前記移動分離壁がスティック型内容物ケースの内側と外側へ移動するようにすることにより、前記スティック型内容物ケースの下部から異種の内容物をそれぞれ充填するとき、前記移動分離壁をスティック型内容物ケースの内側と外側へ移動させてそれぞれ第1内容物と第2内容物を順次充填し、前記第1、第2内容物が固化すると前記マルチ充填カバーをスティック型内容物ケースから一度に除去するので、スティック型内容物ケースへの異種の内容物のマルチ充填が容易であるのはもとより、固化した第1、第2内容物の表面がマルチ充填カバーの立体的な形状に応じて多様に表現されて審美感及び使用性が向上するようにするという効果がある。
【0025】
また、本発明に係るスティック型内容物のマルチ充填容器を用いた充填方法は、スティック型内容物ケースの入口部にマルチ充填カバーを装着してマルチ充填容器を構成し、前記マルチ充填容器を裏返す準備段階と、前記マルチ充填容器の下部から第1内容物を充填した後、冷却させる第1充填段階と、前記マルチ充填カバーの移動分離壁をスティック型内容物ケースの外側に抜き取る分離壁除去段階と、前記マルチ充填容器の下部から第2内容物を充填した後、冷却させる第2充填段階と、前記第1、第2内容物が固化すると、マルチ充填カバーを除去するカバー除去段階とを含んでなるようにして、マルチ充填容器に第1、第2内容物の充填が迅速かつ簡単に行われ、これによりマルチスティック型内容物の生産性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来のスティック型化粧品の充填装置及び方法を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器の分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器の断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器を裏返して治具に装着させた様子を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器に設けられた注入口を介して第1内容物を充填する様子を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器に充填された第1内容物が冷却された様子を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器の移動分離壁をスティック型内容物ケースの外側に移動させた様子を示す断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器に設けられた注入口を介して第2内容物を充填する様子を示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器のスティック型内容物ケースからマルチ充填カバーを除去する様子を示す断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るスティック型内容物ケースにケース蓋を結合した様子を示す断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器を用いた充填方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明と本発明の実施によって達成される技術的課題は、以下に説明する好適な実施形態によって明らかになるであろう。以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態に係るスティック型内容物40のマルチ充填容器1を詳細に説明する。
【0028】
図2は本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器1の斜視図、図3は本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器1の分解斜視図、図4は本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器1の断面図、図5乃至図11は本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器1に異種の内容物が充填される様子を順次示す断面図である。
【0029】
本発明の一実施形態に係るスティック型内容物40のマルチ充填容器1は、入口部122が設けられ、内側にスティック型内容物40が充填されるスティック型内容物ケース10と、前記スティック型内容物ケース10の入口部122に装着され、スティック型内容物ケース10の内側と外側へ移動する移動分離壁30が設けられたマルチ充填カバー20とを含む。
【0030】
前記スティック型内容物ケース10は、内側にスティック型内容物40が充填され、前記スティック型内容物40を内部に挿入し或いは外部に引き出す。
【0031】
前記スティック型内容物ケース10は、図3に示すように、入口部122が設けられたケース本体12と、前記ケース本体12の内側に回転可能に結合される回転部材14と、前記回転部材14に固定結合され、ケース本体12の外部に露出する回転作動部材16と、前記回転部材14に螺合されて上下移動し、注入口184が設けられた昇降部材18と、前記ケース本体12の下部に結合される閉止キャップ19とから構成される。
【0032】
前記ケース本体12の上部には、固化したスティック型内容物40の挿入または引き出しのための入口部122が設けられ、前記ケース本体の下部の一側には、回転作動部材16を外側に露出させる露出ホール124が設けられる。
【0033】
前記回転部材14は、ケース本体12の内側に回転可能に結合され、内周縁にねじ突起142が設けられ、下部外周縁には第1固定結合突起144が設けられる。
【0034】
前記回転作動部材16は、回転部材14の外側に固定結合されて前記回転部材14を回転させるとともに、ケース本体12の露出ホール124の外側に露出する。
【0035】
また、前記回転作動部材16の外周縁には、ユーザーが滑らずに容易に回転させることができるように摩擦突起162が設けられ、前記回転作動部材16の内周縁には、回転部材14の第1固定結合突起144に係合される第2固定結合突起164が設けられる。
【0036】
前記昇降部材18は、回転部材14に螺合されて前記回転部材14の回転によって上下移動する。前記昇降部材18の下部中央にはねじ棒181が設けられ、前記ねじ棒181の外周縁には、回転部材14のねじ突起142に螺合されるねじ山182が設けられる。
【0037】
また、前記ねじ棒181の両側には、図6及び図9に示すように、スティック型内容物40が注入される注入口184が設けられるが、前記注入口184を介して注入されたスティック型内容物40は、図10に示すように、昇降部材18の上部で固化して昇降部材18と一緒に上下移動する。
【0038】
前記昇降部材18の上部には図3及び図4に示すように分離壁挿入溝186が設けられ、この分離壁挿入溝186に移動分離壁30の一側端部が挿入される。
【0039】
前記閉止キャップ19は、図10に示すように、昇降部材18の注入口184を介してスティック型内容物40が充填された後、ケース本体12の下部に結合される。
【0040】
また、前記閉止キャップ19の上部中央には、昇降部材18のねじ棒181の端部が装着される装着溝191が設けられる。
【0041】
前記マルチ充填カバー20は、スティック型内容物40の充填の際に、スティック型内容物ケース10の入口部122に装着される。
【0042】
前記マルチ充填カバー20は立体的なドーム状に形成してもよい。すなわち、スティック型内容物ケース10の内側でスティック型内容物40が固化するとき、前記マルチ充填カバー20の立体的な形状に応じて、固化したスティック型内容物40の表面が多様に表現され、審美感及び使用性が向上するのである。
【0043】
前記マルチ充填カバー20の中央には分離壁貫通孔22が設けられ、前記分離壁貫通孔22には移動分離壁30が挿入される。
【0044】
前記分離壁貫通孔22は、図3に示すように、マルチ充填カバー20の上面に斜線状に形成してもよい。
【0045】
前記マルチ充填カバー20の分離壁貫通孔22に隣接したマルチ充填カバー20の内側面には、離脱防止溝24が設けられる。
【0046】
前記マルチ充填カバー20の両側面には治具装着顎26が外方へ突設され、前記治具装着顎26は、図5に示すように、マルチ充填容器1を裏返して治具Gに載置するとき、前記治具Gの上面に装着される。
【0047】
前記マルチ充填カバー20は、図4に示すように、スティック型内容物ケース10の入口部122に締まり嵌めできるのはもとより、前記結合構造に限定されず、様々な形態で結合されることも可能である。
【0048】
前記マルチ充填カバー20には、スティック型内容物ケース10の内側と外側へ移動する移動分離壁30が設けられる。
【0049】
前記移動分離壁30は、マルチ充填カバー20の分離壁貫通孔22に挿入されることにより、異種の内容物がマルチ充填できるようにスティック型内容物ケース10の内部空間を半分に分割する。
【0050】
言い換えれば、図4及び図5に示すように、前記移動分離壁30の一側端部がケース本体12の分離壁挿入溝186に挿入されることにより、前記ケース本体12の内側空間を第1充填空間12aと第2充填空間12bに分ける。
【0051】
前記移動分離壁30の一側端部には取っ手部32が設けられ、前記取っ手部32はマルチ充填カバー20の外側に露出する。また、前記取っ手部32には、図3に示すように、ユーザーが容易に把持することができるように取っ手ホール322を設けてもよい。
【0052】
前記移動分離壁30の下部には離脱防止突起34が外方へ突設されるが、前記離脱防止突起34は、図8に示すように、移動分離壁30をスティック型内容物ケース10から抜き取るとき、マルチ充填カバー20の離脱防止溝24に挿入される。よって、前記移動分離壁30がマルチ充填カバー20から離脱しなくなる。
【0053】
また、前記移動分離壁30の一側端部は、マルチ充填カバー20の内周縁と対応する形で形成されることが好ましい。すなわち、図8に示すように、移動分離壁30をスティック型内容物ケース10の外側に抜き取りながら移動分離壁30の離脱防止突起34がマルチ充填カバー20の離脱防止溝24に挿入されるようにするとき、前記移動分離壁30の一側端部がマルチ充填カバー20の内周縁と同様に形成されているため、図9に示すように、スティック型内容物ケース10の注入口184を介して充填された第2内容物42が冷却されるとき、前記第2内容物42の表面に前記移動分離壁30による跡が生じなくなるのである。
【0054】
前記スティック型内容物40は、図6乃至図9に示すように、スティック型内容物ケース10の下部に設けられた注入口184を介して液状として充填された後、冷却されて固化する。
【0055】
前記スティック型内容物40は、異種の第1内容物41と第2内容物42からなり、順次スティック型内容物ケース10の内部に充填され、前記移動分離壁30によって区画されてマルチ充填される。
【0056】
すなわち、図6に示すように、まず第1内容物41をスティック型内容物ケース10の注入口184を介して充填して冷却した後、図8に示すように、移動分離壁30をスティック型内容物ケース10の外側へ移動させる。その後、図9に示すように、第2内容物42をスティック型内容物ケース10の他の注入口184を介して充填して冷却する。これにより、スティック型内容物ケース10の内部空間に異種の内容物を容易にマルチ充填することができる。
【0057】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るスティック型内容物のマルチ充填容器1を用いた充填方法を詳細に説明する。
【0058】
図12は本発明の一実施形態に係るマルチ充填容器1を用いた充填方法のフローチャートである。
【0059】
本発明の一実施形態に係るスティック型内容物のマルチ充填容器1を用いた充填方法は、図12に示すように、準備段階(S10)、第1充填段階(S20)、分離壁除去段階(S30)、第2充填段階(S40)、及びカバー除去段階(S50)を含む。
【0060】
前記準備段階(S10)は、図4に示すように、スティック型内容物ケース10の入口部122にマルチ充填カバー20を装着してマルチ充填容器1を構成し、図5に示すように、前記マルチ充填容器1を裏返す。
【0061】
前記準備段階(S10)では、図5に示すように、マルチ充填容器1を裏返して治具Gに装着させる。このとき、前記マルチ充填カバー20の外周縁に設けられた治具装着顎26が前記治具Gの上面に装着されるようにして前記マルチ充填容器1を固定する。
【0062】
前記第1充填段階(S20)は、図6に示すように、マルチ充填容器1の下部に第1内容物41を充填した後、冷却する段階である。
【0063】
前記第1充填段階(S20)では、第1内容物41がスティック型内容物ケース10の注入口184を介して第1充填空間12aの内部に充填される。このとき、移動分離壁30は、図7に示すように、スティック型内容物ケース10の内部に挿入されて前記スティック型内容物ケース10の分離壁挿入溝186に嵌め込まれた状態である。
【0064】
前記分離壁除去段階(S30)は、図8に示すように、マルチ充填カバー20の移動分離壁30をスティック型内容物ケース10の外側へ抜き取る段階である。
【0065】
前記分離壁除去段階(S30)では、移動分離壁30の離脱防止突起34がマルチ充填カバー20の離脱防止溝24に挿入され、移動分離壁30の一側端部とマルチ充填カバー20の内周縁とが対応する形で形成されており、第1、第2内容物41、42の表面が図9に示すように滑らかに維持されながら固化する。
【0066】
前記第2充填段階(S40)は、図9に示すように、マルチ充填容器1の下部から第2内容物42を充填した後、冷却する段階である。
【0067】
前記第2充填段階(S40)では、第2内容物42がスティック型内容物ケース10の注入口184を介して第2充填空間12bの内部に充填されて第1内容物41と密着した状態で固化する。
【0068】
また、前記第1、第2充填段階(S20、S40)では、第1、第2内容物41、42の表面がマルチ充填カバー20の内側の立体的な形状に応じて多様に表現されながら固化される。
【0069】
前記カバー除去段階(S50)は、図10に示すように、スティック型内容物ケース10からマルチ充填カバー20を除去する段階である。
【0070】
前記カバー除去段階(S50)は、第1、第2内容物41、42が固化した後に行われ、前記カバー除去段階(S50)の前または後でスティック型内容物ケース10のケース本体12の下部に閉止キャップ19を結合する。
【0071】
前記カバー除去段階(S50)の後には、図11に示すように、スティック型内容物ケース10にケース蓋50を結合する。
【0072】
以上、本発明で説明したのは、スティック型内容物のマルチ充填容器及びこれを用いた充填方法を実施するための一つの実施形態に過ぎないもので、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。添付された特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば誰でも様々な変更実施が可能な範囲まで本発明の範囲に属するものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0073】
1 マルチ充填容器
10 スティック型内容物ケース
20 マルチ充填カバー
22 分離壁貫通孔
30 移動分離壁
40 スティック型内容物
50 ケース蓋
G 治具
S10 準備段階
S20 第1充填段階
S30 分離壁除去段階
S40 第2充填段階
S50 カバー除去段階
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12