(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このバンドソーにより切断材を切断していると、切断材から切り屑が生じることとなる。この切り屑は、帯鋸刃具の切断範囲から駆動ホイール側に飛散することがある。このように飛散した切り屑は、上記した駆動ホイールの刃具支持周面に付着することがある。このように刃具支持周面に付着した切り屑は、刃具支持周面と帯鋸刃具との間に入り込んでしまうため、刃具支持周面に対する帯鋸刃具の密着度を下げてしまう。このように帯鋸刃具の刃具支持周面に対する密着度が下がってしまうと、帯鋸刃具の刃具支持周面との間に生ずる摩擦力が下がることとなる。そうすると、帯鋸刃具が、刃具支持周面から滑ってしまうことになりかねない。つまり、帯鋸刃具の周回が駆動ホイールの回転駆動とズレてしまい、バンドソーとしての機能が損なわれてしまいかねない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、帯鋸刃具を周回させて切断材を切断するバンドソーにおいて、切り屑が駆動ホイールの刃具支持周面に付着することがあっても
、帯鋸刃具を滑ってしまい難いようにし、帯鋸刃具の周回をより確実なものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係るバンドソーは次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明に係るバンドソーは、モータと、前記モータにより回転される駆動ホイールと、前記駆動ホイールの周面に支持されて回転される無端帯状の帯鋸刃具と、前記駆動ホイールの前記周面に付着した切り屑を除去するための切り屑除去部と、を有する、という構成である。この第1の発明に係るバンドソーによれば、切り屑除去部を有するので、切り屑が駆動ホイールの周面に付着することがあっても、駆動ホイールの周面に付着した切り屑を除去することができる。これによって、切り屑が駆動ホイールの周面に付着することがあっても、切り屑を周面から適切に除去して周面から帯鋸刃具を滑ってしまい難いようにし、帯鋸刃具の周回をより確実なものとすることができる。
【0007】
第2の発明に係るバンドソーは、前記第1の発明に係るバンドソーにおいて、前記切り屑除去部は、前記駆動ホイールの前記周面と接触する弾性体で形成される、という構成である。この第2の発明に係るバンドソーによれば、切り屑除去部は駆動ホイールの周面と接触する弾性体で形成されるので、切り屑除去部は駆動ホイールの周面に弾性的に接触させて周面に付着した切り屑を除去することができる。これによって、駆動ホイールの周面に負荷をかけることがなくなり、周面を傷めることなく周面に付着した切り屑を除去することができる。
【0008】
第3の発明に係るバンドソーは、前記第1または前記第2の発明に係るバンドソーにおいて、前記切り屑除去部は、前記駆動ホイールの周方向に間隔を置いて複数設けられている、という構成である。この第3の発明に係るバンドソーによれば、切り屑除去部は駆動ホイールの周方向に間隔を置いて複数設けられているので、駆動ホイールの周面に付着した切り屑の除去を、駆動ホイール一回転で複数回行うことができる。これによって、より確実に駆動ホイールの周面に付着した切り屑を除去することができる。
【0009】
第4の発明に係るバンドソーは、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係るバンドソーにおいて、前記駆動ホイールを支持するハウジングを有し、前記切り屑除去部は、前記ハウジングに対して着脱可能に設けられる、という構成である。この第4の発明に係るバンドソーによれば、切り屑除去部はハウジングに対して着脱可能に設けられるので、切り屑除去部が劣化した場合には着けていた切り屑除去部をハウジングから取り外して新たな切り屑除去部を取り付けることができる。これによって、切り屑除去部の機能を維持することができて、駆動ホイールの周面に付着した切り屑の除去を確実なものとすることができる。
【0010】
第5の発明に係るバンドソーは、前記第1から前記第4のいずれかの発明に係るバンドソーにおいて、前記切り屑除去部は、前記発泡樹脂を材料として成形される、という構成である。この第5の発明に係るバンドソーによれば、切り屑除去部は発泡樹脂を材料として成形されるので、切り屑除去部を軽量かつ安価にすることができる。これによって、周面に付着した切り屑を除去するにあたり軽量かつ安価とすることができる。
【0011】
第6の発明に係るバンドソーは、前記第1の発明に係るバンドソーにおいて、前記切り屑除去部は、前記駆動ホイールの前記周面と接触する剛体と、該剛体を前記周面側に付勢する弾性体とを有する、という構成である。この第6の発明に係るバンドソーによれば、切り屑除去部は駆動ホイールの周面と接触する剛体と剛体を周面側に付勢する弾性体とを有するので、切り屑除去部は駆動ホイールの周面に弾性的に剛体を接触させて周面に付着した切り屑を除去することができる。これによって、弾性体の弾性により駆動ホイールの周面に負荷をかけることなく、剛体の接触により周面に付着した切り屑を除去することができる。したがって、周面を傷めることなく周面に付着した切り屑を除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るバンドソーを実施するための実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、図面に記載の方向に基づいてバンドソー10を説明する。
図1の外観側面図は、バンドソー10の側面視を示している。
図2の外観後面図は、バンドソー10の後面視を示している。
図3の正面図は、装置カバー65を取り外してホイールの正面視を示している。
図1〜
図3に示すように、バンドソー10は、ポータブルバンドソー(携帯用バンドソー)とも称される手持ち式のバンドソーである。このバンドソー10は、電源として充電式バッテリ95が利用される電動工具である。
【0014】
バンドソー10は、概略、駆動本体30と、バッテリ装着部13と、ハンドル部15と、を有する。バッテリ装着部13とハンドル部15とは、一体のハンドルハウジング12により形成される。このハンドルハウジング12は、後に説明する装置ハウジング41に一体にされている。ハンドルハウジング12の後部には、バッテリ装着部13が設けられている。バッテリ装着部13には、バンドソー10の電源となる充電式バッテリ95が装着される。充電式バッテリ95は、広く利用されるスライド着脱式の充電式バッテリとなっている。このため、充電式バッテリ95の充電量が少なくなると、充電式バッテリ95はバッテリ装着部13から取り外され、専用の充電器にて充電される。なお、バッテリ装着部13には、充電式バッテリ95をスライドさせて着脱可能な構成が形成されている。
【0015】
駆動本体30の上側にはハンドル部15が設けられている。ハンドル部15は、駆動本体30と一体に設けられる。ハンドル部15は、メイングリップ151およびサブグリップ155を有する。ハンドル部15(メイングリップ151、サブグリップ155)は、後に説明する帯鋸刃具91により切断材を切断するにあたって、切断材を切断し易く配置設定される。メイングリップ151には、帯鋸刃具91を周回させるためのオンオフを操作する操作スイッチ161が設けられている。また、メイングリップ151には、操作スイッチ161を操作不可から操作可に切り替えるロックオフボタン162が設けられている。また、ハンドル部15の下側には、照射装置17が設けられていると共に、掛止フック18が取り付けられている。
【0016】
駆動本体30は、
図4に示すように、モータ33を含む駆動装置31と駆動ホイール71を含む刃具回転装置40とを有する。駆動装置31は、
図4の断面図に示すとおりの内部構造にて構成される。すなわち、駆動装置31は、概略、モータハウジング32と、モータ33と、冷却ファン34と、遊星ギヤ機構35とを有する。モータハウジング32は、刃具回転装置40の装置ハウジング41に螺子止めされている。モータ33は、モータ軸331を有するブラシモータにて構成される。モータ軸331は、ベアリング333,334,335により回転可能に支持されている。ベアリング333,334,335は、モータハウジング32に支持されている。冷却ファン34は、モータ軸331に取り付けられている。
【0017】
モータ軸331の回転駆動は、
図4に示すように遊星ギヤ機構35に入力される。遊星ギヤ機構35は、ギヤハウジング351と、遊星ギヤ353と、回転出力軸36とを有する。ギヤハウジング351は、モータハウジング32に螺子止めされて一体となっている。回転出力軸36は、遊星ギヤ機構35により減速されたモータ軸331の回転駆動を受けて回転出力する。回転出力軸36は、並列されるベアリング355,356により回転可能に支持されている。ベアリング355,356は、ギヤハウジング351に支持されている。
【0018】
刃具回転装置40は、
図1および
図3に示すように、概略、装置ハウジング41と、駆動ホイール71と、従動ホイール81と、装置カバー65とを有する。装置ハウジング41は、上記したように、ハンドルハウジング12と一体にされると共にモータハウジング32とも一体とされる。この装置ハウジング41は、駆動ホイール71および従動ホイール81を回転可能に支持する。なお、装置ハウジング41に支持される駆動ホイール71および従動ホイール81は、装置カバー65により覆われる。
【0019】
駆動ホイール71は、
図3および
図4に示すように、有底略円盤形のホイール本体72を有する。ホイール本体72には、装置カバー65に面して円盤面73が設けられている。円盤面73の中心には、回転出力軸36が取り付けられる軸取付部741が設けられている。円盤面73の裏側には、径方向に延びる補強リブ742が設けられている。円盤面73の外周には、支持周面部75が設けられている。支持周面部75には、樹脂製のラバータイヤ76が設けられている。
【0020】
このラバータイヤ76の外周面が、帯鋸刃具91を接触支持する刃具支持周面77として設定される。ラバータイヤ76は、適宜に弾性を有したゴム樹脂にて成形されている。これにより、ラバータイヤ76は、刃具支持周面77にて帯鋸刃具91を接触支持するにあたって、帯鋸刃具91との間に好ましい摩擦力が生じるようになっている。なお、支持周面部75とラバータイヤ76とには、互い同士が一体密着となるように適宜の凹凸形状が設けられている。
【0021】
従動ホイール81を構成するホイール本体82にあっても、上記した駆動ホイール71を構成するホイール本体72と、略同一に構成される。このため、図示される従動ホイール81のホイール本体82は、上記した駆動ホイール71のホイール本体72の説明において付した符号と同一の符号を図面に付して説明を省略する。なお、駆動ホイール71のホイール本体72は、上記した駆動装置31から回転出力される回転出力軸36に取り付けられている。
【0022】
これに対して、従動ホイール81のホイール本体82は、回転軸37により単純に回転支持されている。これら駆動ホイール71と従動ホイール81とには、輪状となる無端帯状の帯鋸刃具91が掛けられる。帯鋸刃具91は、駆動ホイール71と従動ホイール81とにより支持される。この帯鋸刃具91は、駆動ホイール71の回転駆動を受けて周回するように作用される。このため、従動ホイール81は、帯鋸刃具91の周回を受けて従動回転される。なお、この刃具支持周面77は、本発明に係る駆動ホイールの周面に相当する。
【0023】
従動ホイール81には、ブレード交換機構47が設けられている。ブレード交換機構47は、偏心レバー471と図示省略する圧縮ばねとを有する。ブレード交換機構47は、駆動ホイール71に対する従動ホイール81の相対位置を、接近あるいは離間させるように作用する。つまり、駆動ホイール71に対する従動ホイール81の相対位置が接近すると、駆動ホイール71および従動ホイール81の両者に帯鋸刃具91を付け外すことができる。これとは逆に、駆動ホイール71に対する従動ホイール81の相対位置が離間すると、駆動ホイール71および従動ホイール81の刃具支持周面77,87に帯鋸刃具91は押圧される。つまり、帯鋸刃具91は、駆動ホイール71および従動ホイール81と一体回転するように、駆動ホイール71および従動ホイール81に支持される。
【0024】
周回する帯鋸刃具91は、これら駆動ホイール71と従動ホイール81との間に設定される切断範囲Dにて外部に露出される。切断範囲Dにて外部に露出される帯鋸刃具91は、切断範囲Dの両端部分に設けられる第1ガイドローラ43および第2ガイドローラ44によりガイドされる。第1ガイドローラ43および第2ガイドローラ44は、装置ハウジング41に支持される。第2ガイドローラ44の近くには、切断材を当接させるストッパプレート45が設けられている。切断範囲Dにて外部に露出される帯鋸刃具91は、切断材に対する切断の深さを確保するために、この帯鋸刃具91が周回する方向に対して角度が付けられている。
【0025】
装置ハウジング41について説明する。装置ハウジング41は、上記した駆動ホイール71および従動ホイール81を収容する空間を有して形成される。すなわち、装置ハウジング41には、駆動ホイール71を収容する駆動ホイール収容部51と、従動ホイール81を収容する従動ホイール収容部61が設けられている。駆動ホイール収容部51と従動ホイール収容部61との両者は、上記したホイール本体72,82を収容可能とする凹形のスペースにて形成される。これら駆動ホイール収容部51と従動ホイール収容部61との両者は略同様に機能する形状を有して形成される。なお、駆動ホイール収容部51と従動ホイール収容部61との間には、多数の補強リブ48が設けられている。この補強リブ48は、駆動ホイール71および従動ホイール81を支持する装置ハウジング41の剛性を高めるように作用する。
【0026】
駆動ホイール収容部51について説明する。駆動ホイール収容部51は、概略、外側周壁部52と内側周壁部53とを有する。外側周壁部52と内側周壁部53とは、駆動ホイール71の刃具支持周面77と均等距離が隔てられて対面する壁形状を有する。外側周壁部52は、装置ハウジング41において駆動ホイール71のホイール本体72の後側に設定される。外側周壁部52は、装置ハウジング41の後側外縁としても機能する。この外側周壁部52は、装置ハウジング41において駆動ホイール71の刃具支持周面77にて支持される帯鋸刃具91に対面するように設定される。このため、この外側周壁部52は、帯鋸刃具91を支持する刃具支持周面77と均等距離が隔てられて対面される円弧形状を有して形成されている。
【0027】
これに対して内側周壁部53は、装置ハウジング41において駆動ホイール71のホイール本体72の前側に設定される。つまり、内側周壁部53は、駆動ホイール71に対して従動ホイール81に向く側に設定され、且つ、駆動ホイール71の刃具支持周面77に対面するように設定される。なお、この内側周壁部53に対面する駆動ホイール71の刃具支持周面77は帯鋸刃具91を支持していない。このため、この内側周壁部53は、駆動ホイール71の刃具支持周面77との間には、帯鋸刃具91など何も介在されずに対面するものとなっている。
【0028】
この内側周壁部53にあっても、外側周壁部52と同様、刃具支持周面77と均等距離が隔てられて対面される円弧形状を有して形成されている。なお、内側周壁部53の左端531と刃具支持周面77の支持始点771との間には適宜の間隔が設けられている。このため、内側周壁部53の左端531は、周回する帯鋸刃具91と適宜に離間して接触しないものとなっており、帯鋸刃具91は好ましく周回することができる。また、内側周壁部53の右端532と刃具支持周面77の支持終点772との間にも適宜の間隔が設けられている。このため、内側周壁部53の右端532は、周回する帯鋸刃具91と適宜に離間して接触しないものとなっており、帯鋸刃具91は好ましく周回することができる。
【0029】
ところで、上記した装置ハウジング41には、装置カバー65が取り付けられている。この装置カバー65は、装置ハウジング41に駆動ホイール71および従動ホイール81を収容した状態で、これら駆動ホイール71および従動ホイール81を覆うように設けられるカバーである。この装置カバー65は、ヒンジ部62を介して装置ハウジング41に結合されている。つまり、この装置カバー65は、右側周縁に設けられるヒンジ部62により駆動ホイール71および従動ホイール81を外部に露出させる開け状態と、駆動ホイール71および従動ホイール81を覆っておく閉め状態とに切り替えることができる。
【0030】
図2等に示すように、ヒンジ部62は、ヒンジピン621とピン嵌合部622とにより設定される。ピン嵌合部622は、装置ハウジング41と装置カバー65との両者に設けられている。なお、装置ハウジング41の左側周縁には雌フック部631が設けられており、装置カバー65の左側周縁には雄フック部632が設けられている。ここで、雌フック部631に雄フック部632が嵌合されると、装置カバー65の閉め状態が保持され、雌フック部631に雄フック部632の嵌合解除されると、装置カバー65は開け状態となる。
【0031】
内側周壁部53には、切り屑を除去するための除去スポンジ55が取り付けられている。この切り屑は、周回する帯鋸刃具91により切断材を切断している際に、この切断材から発生する切り屑である。次に、この内側周壁部53に取り付けられる除去スポンジ55の構成について4種類の構成例を挙げて説明する。なお、
図5の平面図は除去スポンジ55の第1構成例(55A)を模式的に示している。
図6の平面図は除去スポンジ55の第2構成例(55B)を模式的に示している。
図7の平面図は除去スポンジ55の第3構成例(55C)を模式的に示している。
図8の平面図は除去スポンジ55の第4構成例(55D)を模式的に示している。また、
図9の作用図は、切り屑Gの除去作用を模式的に示している。なお、
図5〜
図8において共通に構成される箇所については、共通の符号を用いて図面に記載している。
【0032】
これらの構成例の除去スポンジ55(55A〜55D)は、本発明に係る切り屑除去部に相当する。つまり、これらの構成例の除去スポンジ55は、駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑Gを除去するように作用する。すなわち、これらの構成例の除去スポンジ55は、駆動ホイール71の刃具支持周面77と接触する弾性を有する。つまり、除去スポンジ55は、刃具支持周面77と接触する接触面56を有する弾性体にて形成される。具体的には、これらの構成例の除去スポンジ55は、弾性を有する発泡樹脂を材料として適宜に成形することにより形成される。このように成形された除去スポンジ55は、装置ハウジング41の一部である内側周壁部53に取り付けられる。
【0033】
装置ハウジング41とは別体に成形される除去スポンジ55は、この内側周壁部53に対して不図示の両面テープにて接着される。つまり、除去スポンジ55は、内側周壁部53に対して取り外すことができる上、再び両面テープにて内側周壁部53に接着させることができる。つまり、除去スポンジ55は、部材の劣化に応じて付け替えることができるようになっている。以下に、成形形状や配設個数などが相違する除去スポンジ55について、第1構成例55A、第2構成例55B、第3構成例55C、第4構成例55Dを挙げて説明する。なお、除去スポンジ55のうち、駆動ホイール71の回転駆動方向に対向する面を除去面57として設定する。この除去面57は、刃具支持周面77に接触する除去スポンジ55において刃具支持周面77に付着した切り屑Gを拭き取るかのように除去する面として設定される。
【0034】
[第1構成例の除去スポンジ55A]
第1構成例となる除去スポンジ55Aは、
図3,
図4,
図5,
図9に示すとおりに設けられる。すなわち、除去スポンジ55Aは、内側周壁部53の左端531側に1つ設けられている。つまり、除去スポンジ55Aは、左端531の近くの内側周壁部53に両面テープにて取り付けられている。除去スポンジ55Aの個体としては、
図5に示す下面視では略長方形の形状を有し、
図9に示す後面視では略台形の形状を有して形成されている。つまり、除去スポンジ55Aは、この除去面57は、上から下に向かうにしたがって右から左へに向かって傾斜している。これによって、除去面57は、
図9に示すように刃具支持周面77の回転に応じて、刃具支持周面77に付着した切り屑Gを上から下へと移動させることができる。上から下へ移動した切り屑Gは、刃具支持周面77から下に落ちることとなる。つまり、刃具支持周面77に付着した切り屑Gは、除去スポンジ55Aにより回転する刃具支持周面77から取り除かれる。
【0035】
上記したように除去スポンジ55Aにより刃具支持周面77から下に落とされた切り屑Gは、
図10に示す第1排出隙間S1や
図11に示す第2排出隙間S2を通じて、閉め状態の装置カバー65内部から装置カバー65外部に排出される。
図10の拡大外観側面図は、
図1において第1排出隙間S1を拡大して示している。
図11の拡大外観後面図は、
図2において第2排出隙間S2を拡大して示している。すなわち、駆動ホイール71に近接される装置カバー65の左側箇所には、装置カバー65の周縁を僅かに切り欠くことにより第1排出隙間S1が設定されている。この第1排出隙間S1は、ストッパプレート45の位置から雄フック部632の位置までの前後範囲で、閉め状態の装置カバー65の内部と通じるスリット形にて形成される。また、駆動ホイール71に近接される装置カバー65の後側箇所には、装置カバー65の周縁を僅かに切り欠くことにより第2排出隙間S2が設定されている。この第2排出隙間S2は、ホイール本体72の左右範囲に略対応する左右範囲で、閉め状態の装置カバー65の内部と通じるスリット形にて形成される。
【0036】
このように構成されたバンドソー10によれば、除去スポンジ55Aを有するので、切り屑が駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着することがあっても、駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。これによって、切り屑が駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着することがあっても、切り屑を刃具支持周面77から適切に除去して刃具支持周面77から帯鋸刃具91を滑ってしまい難いようにし、帯鋸刃具91の周回をより確実なものとすることができる。また、上記したバンドソー10によれば、除去スポンジ55Aは駆動ホイール71の刃具支持周面77と接触する弾性体で形成されるので、除去スポンジ55Aは駆動ホイール71の刃具支持周面77に弾性的に接触させて刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。これによって、駆動ホイール71の刃具支持周面77に負荷をかけることがなくなり、刃具支持周面77を傷めることなく刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。
【0037】
また、上記したバンドソー10によれば、除去スポンジ55Aは内側周壁部53に対して着脱可能に設けられるので、除去スポンジ55Aが劣化した場合には内側周壁部53から着けていた除去スポンジ55Aを取り外して新たな除去スポンジ55Aを取り付けることができる。これによって、除去スポンジ55Aの機能を維持することができて、駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑の除去を確実なものとすることができる。また、上記したバンドソー10によれば、除去スポンジ55は発泡樹脂材料を材料として成形されるので、除去スポンジ55を軽量かつ安価にすることができる。これによって、刃具支持周面77に付着した切り屑を除去するにあたり軽量かつ安価とすることができる。
【0038】
また、除去スポンジ55Aは内側周壁部53の左端531の近くに設けられているので、切り屑を除去して直ぐの刃具支持周面77を、刃具支持周面77の支持始点771とすることができる。これによって、綺麗な刃具支持周面77により帯鋸刃具91を支持することができ、刃具支持周面77と帯鋸刃具91との間に適切な摩擦力を生じさせることができる。また、除去スポンジ55Aは内側周壁部53の左端531の近くに設けられているので、帯鋸刃具91を支持していない空間範囲54に切り屑が侵入してしまうのを抑止することができる。これによって、帯鋸刃具91を支持していない刃具支持周面77に、切り屑が付着してしまうことを抑えることができる。
【0039】
[第2構成例の除去スポンジ55B]
第2構成例となる除去スポンジ55Bは、
図6に示すとおりに設けられる。すなわち、第2構成例の除去スポンジ55Bは、内側周壁部53の左端531側に1つと、内側周壁部53の右端532側に1つ設けられている。つまり、第2構成例の除去スポンジ55Bは、駆動ホイール71の周方向に間隔を置いて内側周壁部53に2つ両面テープにて取り付けられている。それぞれの除去スポンジ55Bの個体としては、上記した第1構成例の除去スポンジ55Aと略同一に構成される。このように第2構成例の除去スポンジ55Bを設けた場合にも、上記した第1構成例の除去スポンジ55Aを設けた場合に奏する作用効果と略同様の作用効果を奏することができる。さらに、第2構成例の除去スポンジ55Bは、駆動ホイール71の周方向に間隔を置いて内側周壁部53に2つ設けられているので、駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑の除去を、駆動ホイール71一回転で2数回行うことができる。これによって、より確実に駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。また、除去スポンジ55Bは内側周壁部53の右端532の近くにも設けられているので、空間範囲54への切り屑の侵入をより抑止することができる。これによって、帯鋸刃具91を支持していない刃具支持周面77に、切り屑が付着することをより抑えることができる。
【0040】
[第3構成例の除去スポンジ55C]
第3構成例となる除去スポンジ55Cは、
図7に示すとおりに設けられる。すなわち、第3構成例の除去スポンジ55Cは、内側周壁部53の左端531側に1つ設けられている。この第3構成例の除去スポンジ55Cは、上記した刃具支持周面77と接触する接触面56Cが3つに分割されている。このため、上記した駆動ホイール71の回転駆動方向に対向する面を除去面57Cも3箇所設けられるものとなっている。このように第3構成例の除去スポンジ55Cを設けた場合にも、上記した第1構成例の除去スポンジ55Aを設けた場合に奏する作用効果と略同様の作用効果を奏することができる。さらに、第3構成例の除去スポンジ55Cは、除去面57Cを3箇所有することとなるので、駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑の除去を、より効果的に行うことができる。これによって、より確実に駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。
【0041】
[第4構成例の除去スポンジ55D]
第4構成例となる除去スポンジ55Dは、
図8に示すとおりに設けられる。すなわち、第4構成例の除去スポンジ55Dは、内側周壁部53の左端531側に1つ設けられている。この第4構成例の除去スポンジ55Dの接触部57Dは、上記した除去スポンジ55A〜Cの接触面56,56Cと比較して刃具支持周面77と接触する面積が小さく設定されている。また、この除去スポンジ55Dには、中間部分に屈曲部56Dが設けられている。この屈曲部56Dは、接触部57Dが刃具支持周面77に接触するにあたり、除去スポンジ55Dが弾性変形され易くするように作用する。なお、この接触部57Dが、上記した除去面57,57Cと同様の作用を奏する。
【0042】
このため、刃具支持周面77に対する接触部57Dの接触は、より刃具支持周面77に負荷をかけることがなくなり、刃具支持周面77を傷めることなく刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。このように第4構成例の除去スポンジ55Dを設けた場合にも、上記した第1構成例の除去スポンジ55Aを設けた場合に奏する作用効果と略同様の作用効果を奏することができる。さらに、第4構成例の除去スポンジ55Dは、より刃具支持周面77に負荷をかけないので、刃具支持周面77を傷めることはより無くなる。
【0043】
上記した除去スポンジ55A〜Dにあっては、内側周壁部53の左端531側に設けられているため、帯鋸刃具91を支持していない空間範囲54に切り屑が侵入してしまうのを抑止していた。しかしながら、このような空間範囲54への切り屑の侵入の抑止としては、次のように構成されるものであってもよい。すなわち、
図12の正面図は、切り屑の侵入を遮る遮蔽リブ67が設けられている例を示している。
図12に示すように、内側周壁部53の左端531には、空間範囲54に切り屑が侵入してくるのを遮るための遮蔽リブ67が設けられている。なお、この
図12において、上記したバンドソー10の構成と同一に構成される箇所については上記したバンドソー10の説明において付した符号と同一の符号を図面に付して説明を省略する。
【0044】
この遮蔽リブ67には、ホイール本体72側に向けて屈曲される屈曲部671が設けられている。この遮蔽リブ67は、屈曲部671が設けられることにより平行部672が形成されている。この平行部672は、刃具支持周面77の支持始点771における接線方向と平行な方向に延びている。つまり、この平行部672は、周回される帯鋸刃具91と略平行に形成されるものとなっている。この平行部672の先端673は、ホイール本体72に近接配置されている。このようにして、遮蔽リブ67は、先端673がホイール本体72に近接配置されているので、帯鋸刃具91を支持していない空間範囲54に切り屑が侵入してしまうのを抑止することができる。また、遮蔽リブ67は、平行部672が周回される帯鋸刃具91と略平行に形成されているので、帯鋸刃具91の周回を邪魔することがない。これによって、遮蔽リブ67は、帯鋸刃具91の周回を邪魔することなく、帯鋸刃具91を支持していない刃具支持周面77に、切り屑が付着してしまうことを抑えることができる。
【0045】
なお、本発明に係るバンドソーにあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。すなわち、本発明に係る切り屑除去部としては、上記した除去スポンジ55A〜Dの例に限定されるものではなく、駆動ホイール71の刃具支持周面77に付着した切り屑を除去する作用を有していれば、適宜の構成を選択するものであってもよい。例えば、本発明に係る切り屑除去部としては、上記した除去スポンジ55A〜Dに代えて適宜の弾性を有する軟質樹脂の成形部材であってもよく、内側周壁部53に対して適宜の接着剤により取り付けられるものであってもよい。また、内側周壁部53に対して取り付けられる除去スポンジの形状としては、上記した実施の形態にて説明した形状に限定されるものではなく、内側周壁部53に対して取り付けられる除去スポンジの個数としても、上記した実施の形態にて説明した個数に限定されるものではない。
【0046】
また、本発明に係る切り屑除去部にあっては、上記した除去スポンジ55の例に限定されることなく、次のように構成されるものであってもよい。すなわち、上記した除去スポンジ55は、に代えて、切り屑除去部は、駆動ホイール71の刃具支持周面77と接触する剛体と、剛体を刃具支持周面77側に付勢する弾性体とを有する、構成であってもよい。この剛体としては、例えば適宜の剛性を有するプラスチック樹脂などが挙げられる。また。弾性体としては、例えばスポンジのような発泡樹脂を材料とする成形品などが挙げられる。このように切り屑除去部が構成される場合であっても、この切り屑除去部は駆動ホイール71の刃具支持周面77に弾性的に剛体を接触させて刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。これによって、弾性体の弾性により駆動ホイール71の刃具支持周面77に負荷をかけることなく、剛体の接触により刃具支持周面77に付着した切り屑を除去することができる。したがって、刃具支持周面77を傷めることなく周面に付着した切り屑を除去することができる。