特許第6605095号(P6605095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605095
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂積層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20191031BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B32B27/32 C
   B32B27/32 E
   B32B27/36
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-146932(P2018-146932)
(22)【出願日】2018年8月3日
(62)【分割の表示】特願2014-68489(P2014-68489)の分割
【原出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-184006(P2018-184006A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2018年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166649
【氏名又は名称】五洋紙工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100207136
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 有希
(74)【代理人】
【識別番号】100076820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 健次
(72)【発明者】
【氏名】梅本 俊一
(72)【発明者】
【氏名】川原 央
(72)【発明者】
【氏名】宗 敏康
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−255392(JP,A)
【文献】 特開2016−117266(JP,A)
【文献】 特開2004−034302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 65/00−65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルからなる基材層、超低密度ポリエチレンからなる中間層、及びポリプロピレンからなる表面層の三層を少なくともこの順で互いに接着して含み、
ポリエステルがジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとの重縮合体であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
【請求項2】
ポリエステルが2軸延伸ポリエステルであり、超低密度ポリエチレンが線状超低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
【請求項3】
ポリプロピレンが無延伸のポリプロピレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
【請求項4】
ポリプロピレンがポリプロピレンのホモポリマーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
【請求項5】
ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリブチレンナフタレートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
【請求項6】
キャリアフィルムである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂フィルムにポリオレフィン系樹脂フィルムを積層した積層フィルムに関し、特に高分子材料製キャストフィルムを製造する際のキャリアフィルム、あるいは電子部品の包装や組み立て工程で使用されるキャリアフィルムとして有用なポリオレフィン系樹脂積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャストフィルムを製造する際に用いるキャリアフィルム、あるいは電子機器等にマウントする電子部品を保持するキャリアフィルムとしては、厚さや縦・横の寸法精度が高い高分子材料製フィルムが求められていた。このようなキャリアフィルムとしては、例えばポリウレタン、フッ素系樹脂等を素材とするものが知られており、さらには延伸ポリエステル樹脂のフィルムにフッ素系樹脂をラミネートした積層フィルムが知られている。
【0003】
このようなキャリアフィルムの製造方法として、延伸ポリエステル樹脂の少なくとも片面にフッ素樹脂を押出ラミネートする製造方法が開示されている(特許文献1)。また、延伸ポリエステルフィルムに同じくフッ素樹脂を積層した厚さ精度の優れたキャリアフィルムが開示されている(特許文献2)。しかしながら、延伸ポリエステルフィルムとフッ素系樹脂はいずれも耐熱性が高く、且つ表面のフッ素樹脂層は剥離性が大きいため、単に積層しただけではこれらの層は剥離しやすいという欠点を有する。そこで、このような欠点を解消するため、通常の場合は、これら2層の間にポリエステル系等の接着剤を塗布し乾燥させた接着剤層が設けられる。
【0004】
しかしながら、このような接着剤層は、乾燥工程が必要で製造コストが高くなるだけでなく、溶剤が残留するため積層シートの特性が低下し、例えば耐熱性が低下したり、積層が剥離したり、さらには使用の際に溶剤が揮発して最終製品に悪影響を与えるなどといった不都合が生じる。
【0005】
また、フッ素樹脂からなる表面層は、剥離性には優れているが、凹凸模様がつけにくいという欠点がある。このため、製品であるキャストフィルムに表面層の凹凸模様を転写させても、希望するようなクリアな凹凸模様や艶消し模様が得られ難いという問題がある。
【0006】
一方、表面層がポリオレフィン、特にポリプロピレンからなる積層ポリエステルフィルムとしては、ポリエステルフィルムにポリオレフィンポリオールを構成成分とするポリウレタン、ポリオレフィンおよび架橋剤を含む組成物を塗布してポリオレフィン、特にポリプロピレンとの接着性を高めた積層ポリエステルフィルムが知られている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−243524号公報
【特許文献2】特開2002−67241号公報
【特許文献3】特開2013−188978号公報
【特許文献4】特開2013−202984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの積層フィルムで用いられている接着剤はいずれも耐熱性が低いため、キャストフィルムを製造するためのキャリアフィルムとして使用した場合や、製品移送、組み立てあるいはフィルムキャストなどの工程での加熱によってキャリアフィルムの各層が剥離したり、端部からの接着剤が染み出すトラブルが発生する場合がある。
【0009】
本発明はかかる実情に鑑み、接着層の耐熱性が高く、製造工程での加熱によって各層が剥離したり、残留する溶剤が使用工程において揮発したり、端部から接着剤が染み出す等のトラブルが発生しないポリオレフィン系樹脂積層フィルム及び該フィルムを含むキャリアフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の特徴は、ポリエステルからなる基材層、超低密度ポリエチレンからなる中間層、及びポリプロピレンからなる表面層の三層を少なくともこの順で互いに接着して含み、ポリエステルがジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとの重縮合体であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
【0011】
本発明の別の特徴は、ポリエステルが2軸延伸ポリエステルであり、超低密度ポリエチレンが線状超低密度ポリエチレンである上記のポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
【0012】
本発明の更に別の特徴は、ポリプロピレンが無延伸のポリプロピレンである上記のポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
【0013】
本発明の更に別の特徴は、ポリプロピレンがポリプロピレンのホモポリマーである上記のいずれかのポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
【0014】
本発明の更に別の特徴は、ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリブチレンナフタレートである上記いずれかのポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
本発明の更に別の特徴は、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムはキャリアフィルムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルム(以下、単に積層フィルムと称することがある)によれば、接着層の耐熱性が高いため、製造工程での加熱により各層が剥離する等のトラブルが発生せず、また、接着剤を使用しないので、残留する溶剤が使用工程において揮発したり、端部から接着剤が染み出す等のトラブルを防止でき、キャストフィルムを製造する際のキャリアフィルムや、電子部品の包装や組み立て工程で使用されるキャリアフィルムとして好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明におけるポリオレフィン系積層フィルムは、ポリエステルからなる基材層、超低密度ポリエチレンからなる中間層、及びポリプロピレンからなる表面層の三層を少なくとも含む。なお、本発明においてフィルムとは、いわゆるプラスチックフィルム(JIS Z 0108で規定される、厚さが0.25mm未満のプラスチックの膜状のもの)に限られず、いわゆるプラスチックシート(JIS Z 0108で規定される、厚さが0.25mm以上のプラスチックの薄い板状のもの)も含まれる。
【0017】
本発明における基材層は、ポリエステルフィルムからなる。
【0018】
ポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
【0019】
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
【0020】
本発明で好適に使用されるポリエステルとしては、代表的にはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0021】
本発明の基材層としてのポリエステルフィルムの成形方法は特に限定されず、通常知られている方法が採用できるが、押出法が好ましい。押出法により作製したフィルムをそのまま、あるいは延伸してから用いてもよいが、強度、耐熱性、透明性、厚み精度等に優れている点で、2軸延伸フィルムが好ましい。
【0022】
市販の2軸延伸ポリエステルフィルムとしては、東洋紡株式会社のエステルフィルムE5007、E5107、E5000、E5100、E5101、三菱樹脂株式会社のダイアホイル、帝人デュポン株式会社のテトロンフィルム、ユニチカ株式会社のエンブレット、フタムラ化学株式会社の2軸延伸ポリエステルフィルム等が例示できる。
【0023】
本発明の基材層を構成するポリエステルフィルムには、易滑性を向上させてフィルムの走行性を改善したり、耐擦傷性を付与したりする目的でフィラーを含有させることもできる。本発明で使用されるフィラーとしては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、ゼオライト等の無機粒子、各種合成架橋高分子樹脂やシュウ酸カルシウム等からなる有機粒子などが使用できる。
【0024】
用いるフィラーの粒径は特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよいが、通常は平均粒径0.01〜5μmの範囲が好適である。平均粒径が5μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなり、これらの粒子がフィルムの表面から脱落しやすくなる。また、平均粒径が0.01μm未満では表面粗度が低すぎて満足な易滑性や耐擦傷性が得られないことがある。
【0025】
フィラーの含有量も特に限定されず、目的に応じて適量を配合すればよいが、通常の場合、ポリエステルに対して0.0003〜1重量%が好適であり、より好ましくは0.0005〜0.1重量%である。
【0026】
その他、本発明の基材層を構成するポリエステルフィルムには、適宜各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白材、染料等を配合することもできる。
【0027】
本発明において基材層としてのポリエステルフィルムの厚さは、通常10〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。ポリエステルフィルムの厚さが10μmより薄くなると取り扱い性が低下し、一方、200μmより厚くなると厚さ精度が低下する。
【0028】
本発明における中間層は基材層と表面層との接着層として機能するもので、超低密度ポリエチレンフィルムからなる。
【0029】
超低密度ポリエチレンは、密度が0.870〜0.910g/cmのポリエチレン又はエチレン系の共重合体で、コモノマーとしてヘキセン−1やオクテン−1が用いられている。かかる超低密度ポリエチレンは、日本ポリエチレン株式会社のカーネル、住友化学株式会社のエクセレンVL、東ソー株式会社のLUMITAC、ダウケミカル株式会社のアフィニティーやナックフレックス等として市販されている。
【0030】
本発明の中間層としての超低密度ポリエチレンフィルムの成形方法は特に限定されず、通常知られている方法が採用できるが、押出法が好ましい。押出法により作製したフィルムをそのまま、あるいは延伸して用いることができる。
【0031】
本発明において中間層としての超低密度ポリエチレンフィルムの厚さは、通常5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。超低密度ポリエチレンフィルムの厚さが5μmより薄くなると取り扱い性が低下し、一方、100μmより厚くなると厚さ精度が低下する。
【0032】
本発明において、2軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材層と線状超低密度ポリエチレンフィルムからなる中間層を組み合わせて使用すると、表面層のポリプロピレンフィルムとの接着性が良好であるので好ましい。
【0033】
本発明における表面層は、ポリプロピレンフィルムからなる。本発明で使用されるポリプロピレンは特に限定されず、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体も使用できる。耐熱性に優れる点からは、ポリプロピレンのホモポリマーが好ましい。
【0034】
本発明の表面層としてのポリプロピレンフィルムの成形方法は特に限定されず、通常知られている方法が採用できるが押出法が好ましい。押出法により作製したフィルムをそのまま、あるいは延伸して用いてもよい。
【0035】
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムをキャスト法によるキャリアフィルムとして使用する場合、表面層のポリプロピレンフィルムの表面に艶消し加工又は模様付加工を施し、キャスト法で得られるフィルムにそれらの形状を転写する場合がある。このような場合、延伸ポリプロピレンは、表面への艶消し加工や模様付加工が無延伸のポリプロピレンに比べて難しい傾向にある。また、キャリアフィルムとして使用する際に加熱による延伸ポリプロピレンの収縮により弊害が生じるおそれがある。このような点から、無延伸のポリプロピレンフィルムを用いるのが好ましい。押出法で積層する場合は押出グレードの樹脂が好ましい。このような市販の樹脂としては、株式会社プライムポリマーのプライムポリプロ(登録商標)F109V、サンアロマー株式会社のサンアロマー ラミネートグレードPH800Cなどが例示できる。
【0036】
本発明において表面層としてのポリプロピレンフィルムの厚さは、通常10〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。ポリプロピレンフィルムの厚さが10μmより薄くなると取り扱い性が低下し、一方、200μmより厚くなると厚さ精度が低下する。
【0037】
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、上記基材層、中間層、表面層の3層の他、必要に応じ、剥離層などの任意の層を設けることもできる。
【0038】
これら各層の積層方法は特に限定されず、加熱プレス、押出ラミネート、タンデム押出、共押出などの公知の方法を単独で、あるいは2以上組み合わせて行うことが出来る。
【0039】
積層する前に各層の表面に化学処理、コロナ処理、プラズマ処理又はこれらを組み合わせて行ってもよい。
【0040】
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの好ましい厚さは用途によって異なるが、25〜300μmが好ましく、50〜100μmがより好ましい。25μm未満では強度が不足する傾向があり、一方300μmを超えると剛性が高くなり使用が限られる傾向がある。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例、比較例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0042】
尚、以下の実施例、比較例において、層間剥離強度の測定は以下の方法で行った。
【0043】
層間剥離強度の測定方法: 積層フィルムの剥離強度は、測定する方向(機械方向(流れ方向)及び幅方向)に長い200mm×25mmの矩形のサンプル片2種を積層フィルムから切り出し、温度20℃、相対湿度65%の恒温室に24時間保管した後、引張試験機(島津製作所製AUTOGRAPH)で剥離速度100mm/分、角度180°で剥離することにより測定した。
【0044】
実施例1
幅約40cm、厚さ38μmの2軸延伸ポリエステルフィルム (フタムラ化学株式会社製) を基材層として用い、この基材層にコロナ処理を施してから、線状超低密度ポリエチレン(LLDPE)(東ソー株式会社製LUMITAC08L51A、密度0.898) をL/ D22、50mmφ、ダイス幅400mmの押出機を用いて樹脂温度280℃で前記2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に押出ラミネートすることにより、線状超低密度ポリエチレンフィルムからなる中間層を形成した。ラインスピードは30m/分、プレスロールのプレス圧力は0.5MPaで、ラミネート厚さは20μmであった。
【0045】
得られたラミネートフィルムについて、上記の方法で2軸延伸ポリエステルフィルム基材層と線状超低密度ポリエチレンフィルム中間層の層間剥離強度を測定したところ、機械方向(流れ方向)で450g/25mm、幅方向で470g/25mmであり、キャリアフィルムとして使用できる十分な接着強度を有することが確認された。
【0046】
上記のラミネートフィルムの線状超低密度ポリエチレンフィルム中間層の表面に、上記と同様の方法でポリプロピレンフィルム表面層を形成した。即ち、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製サンアロマー ラミネートグレードPH800C)を上記押出機を用いて樹脂温度280℃で前記中間層の表面に押出ラミネートすることにより、ポリプロピレンフィルム表面層を形成し、本発明の基材層、中間層、及び表面層の3層ラミネートフィルムからなるポリオレフィン系樹脂積層フィルムを得た。ラインスピードは100m/分、プレスロールのプレス圧力は0.3MPaで、ラミネート厚さは17μmであった。得られたポリオレフィン系樹脂積層フィルムの厚さは55μmであった。
【0047】
得られたポリオレフィン系樹脂積層フィルムの線状超低密度ポリエチレンフィルム中間層とポリプロピレンフィルム表面層の層間剥離強度は、機械方向(流れ方向)、幅方向ともに1000g/25mm以上であって、キャリアフィルムとして十分に使用に耐える接着強度であった。
【0048】
比較例1
線状超低密度ポリエチレンに代えて密度0.919の低密度ポリエチレン(LDPE)(東ソー株式会社製ペトロセンDLZ19A)を用いた他は実施例1と同様にして、3層ラミネートフィルムからなるポリオレフィン系樹脂積層フィルムを作製した。得られたポリオレフィン樹脂積層フィルムの界面の剥離強度は、2軸延伸ポリエステルフィルム基材層−低密度ポリエチレンフィルム中間層間の強度は極めて低く、低密度ポリエチレンフィルム中間層−ポリプロピレンフィルム表面層間の剥離強度も低く測定不可能であった。
【0049】
比較例2
幅約40cm、厚さ38μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(フタムラ化学株式会社製)にポリエステル系接着剤(旭硝子株式会社製AG−9014A)を厚さ約12μmの厚さで塗布し乾燥させた。得られた接着剤塗工ポリエステルフィルムの表面にポリプロピレン樹脂(三井化学株式会社製プライムポリプロPH800C)を実施例1と同様にして、Tダイによる押出ラミネートを行った。得られた3層ラミネートフィルムからなるポリオレフィン系樹脂積層フィルムの厚さは67μmであった。得られたポリオレフィン系樹脂積層フィルムの層間剥離強度は機械方向、幅方向ともに130g/25mm、120g/25mmであった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
叙上のとおり、本発明に係るポリオレフィン系樹脂積層フィルム及び該フィルムを含むキャリアフィルムは、耐熱性が高いので製造工程での加熱によって各層が剥離するといったトラブルが発生しない。また、接着剤を使用しないので、残留する溶剤が使用工程において揮発したり、端部から接着剤が染み出す等のトラブルが発生しないので、キャストフィルム製造の際に使用されるキャリアフィルム、電子部品の包装、組み立て工程で使用されるキャリアフィルム等として有用である。