特許第6605100号(P6605100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イー インク カリフォルニア, エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605100
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】フルカラーディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20191031BHJP
【FI】
   G02F1/167
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-164192(P2018-164192)
(22)【出願日】2018年9月3日
(62)【分割の表示】特願2016-544623(P2016-544623)の分割
【原出願日】2015年1月13日
(65)【公開番号】特開2019-32535(P2019-32535A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】61/927,418
(32)【優先日】2014年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516101190
【氏名又は名称】イー インク カリフォルニア, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ハンス チャン
(72)【発明者】
【氏名】フイ ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ リン
(72)【発明者】
【氏名】ホンメイ ザン
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−310391(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0300727(US,A1)
【文献】 特公昭49−033555(JP,B1)
【文献】 特開2008−083413(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0009818(US,A1)
【文献】 特開2009−064004(JP,A)
【文献】 特開2009−244635(JP,A)
【文献】 特開2012−013784(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0062159(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/165 − 1/19
G09G 3/16
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ層であって、前記ディスプレイ層は、電気泳動流体を含み、前記ディスプレイ層は、対向する側面に第1および第2の表面を有し、前記電気泳動流体は、大きい正のゼータ電位を有する粒子、大きい負のゼータ電位を有する粒子、小さい正のゼータ電位を有する粒子、および小さい負のゼータ電位を有する粒子を備え、前記粒子の全てが溶媒中に分散され、前記4種類の粒子は、それぞれ、第1、第2、第3、および第4の光学特性を有し、各光学特性は相互に異なり、その結果、
(a)前記大きい正のゼータ電位を有する粒子と同一の極性を有する第1の電場の印加が、前記第1の表面で前記第1の光学特性を表示させ、かつ、
(b)前記大きい負のゼータ電位を有する粒子と同一の極性を有する第2の電場の印加が、前記第1の表面で前記第2の光学特性を表示させ、かつ、
(c)いったん前記第1の光学特性が前記第1の表面で表示されると、前記小さい負のゼータ電位を有する粒子と同一の極性を有するが、前記大きい正のゼータ電位を有する粒子と前記大きい負のゼータ電位を有する粒子との間の引力を克服するために十分に強くないが、前記小さい正のゼータ電位を有する粒子と前記小さい負のゼータ電位を有する粒子との間の引力を克服するために十分である第3の電場の印加が、前記第1の表面で前記第4の光学特性を表示させ、かつ、
(d)いったん前記第2の光学特性が前記第1の表面で表示されると、前記小さい正のゼータ電位を有する粒子と同一の極性を有するが、前記大きい正のゼータ電位を有する粒子と前記大きい負のゼータ電位を有する粒子との間の引力を克服するために十分に強くないが、前記小さい正のゼータ電位を有する粒子と前記小さい負のゼータ電位を有する粒子との間の引力を克服するために十分である第4の電場の印加が、前記第1の表面で前記第3の光学特性を表示させ、かつ、
(e)振動波形の印加が、前記第1の表面で第5の光学特性を表示させ、
前記第5の光学特性は、前記第1、第2、第3、および第4の光学特性と異なる、層。
【請求項2】
前記4種類の粒子は、赤色、緑色、青色、および白色の粒子である、請求項1に記載の層。
【請求項3】
前記4種類の粒子は、赤色、黄色、青色、および白色の粒子である、請求項1に記載の層。
【請求項4】
前記4種類の粒子は、シアン色、マゼンタ色、黄色、および白色の粒子である、請求項1に記載の層。
【請求項5】
小さいゼータ電位を有する粒子のゼータ電位の大きさが、前記大きいゼータ電位を有する粒子のゼータ電位の大きさの50%未満である、請求項1に記載の層。
【請求項6】
小さいゼータ電位を有する粒子のゼータ電位の大きさが、前記大きいゼータ電位を有する粒子のゼータ電位の大きさの75%未満である、請求項1に記載の層。
【請求項7】
前記第1、第2、第3、および第4の光学特性は、黒色ではなく、前記第5の光学特性は、黒色である、請求項1に記載の層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、各ピクセルが複数の高品質色状態を表示することができる、フルカラーディスプレイデバイスと、そのような電気泳動ディスプレイのための電気泳動流体とを対象とする。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
カラーディスプレイを達成するために、多くの場合、カラーフィルタが使用される。最も一般的なアプローチは、赤、緑、および青色を表示するように、ピクセル化ディスプレイの黒/白色サブピクセルの上にカラーフィルタを追加することである。赤色が所望されるとき、表示される唯一の色が赤であるように、緑および青色サブピクセルが黒色状態に変えられる。緑色が所望されるとき、表示される唯一の色が緑であるように、赤および青色サブピクセルが黒色状態に変えられる。青色が所望されるとき、表示される唯一の色が青であるように、緑および赤色サブピクセルが黒色状態に変えられる。黒色状態が所望されるとき、3つ全てのサブピクセルが黒色状態に変えられる。白色状態が所望されるとき、3つのサブピクセルは、それぞれ、赤、緑、および青に変えられ、結果として、白色状態が視認者によって見られる。
【0003】
そのような技法の最大の不都合は、サブピクセルのそれぞれが、所望の白色状態の約3分の1(1/3)の反射率を有するため、白色状態が極めて薄暗いことである。これを補うために、白色レベルが、(各サブピクセルがピクセルの面積のわずか4分の1である)赤、緑、または青色レベルを犠牲にして倍増されるように、黒色および白色状態のみを表示することができる、第4のサブピクセルが追加されてもよい。白色ピクセルからの光を追加することによって、より明るい色を達成することができるが、これは、色を非常に薄く、かつ不飽和状態にするようにする色域を犠牲にして達成される。3つのサブピクセルの色飽和を低減させることによって、類似結果を達成することができる。このアプローチを用いても、白色レベルは、通常、白黒ディスプレイのレベルの実質的に半分未満であり、十分に読みやすい白黒明度およびコントラストを必要とする電子書籍リーダまたはディスプレイ等のディスプレイデバイスのために許容できない選択にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明の一側面は、
(a)複数のピクセルと、
(b)第1の種類の粒子、第2の種類の粒子、第3の種類の粒子、および第4の種類の粒子が、溶媒または溶媒混合物中に分散され、第1および第2の種類の粒子が、高レベルの電荷を帯びて反対に荷電し、第3および第4の種類の粒子が、低レベルの電荷を帯びて反対に荷電する、電気泳動流体と、
を備え、ピクセルのそれぞれは、少なくとも5つの異なる色状態を表示することが可能である、電気泳動ディスプレイを対象とする。
【0005】
一実施形態では、第1および第2の種類の粒子は、それぞれ、白色および赤色である。一実施形態では、第3および第4の種類の粒子は、それぞれ、青色および緑色である。一実施形態では、ピクセルのそれぞれは、白、赤、緑、青、および黒色の状態を表示することが可能である。別の実施形態では、ピクセルのそれぞれは、黄、マゼンタ、およびシアン色の状態を表示することが可能である。
【0006】
一実施形態では、第3および第4の種類の粒子は、それぞれ、青色および黄色である。一実施形態では、ピクセルのそれぞれは、白、赤、黄、青、および黒色の状態を表示することが可能である。一実施形態では、ピクセルのそれぞれは、緑、橙、および紫色の状態を表示することが可能である。
【0007】
一実施形態では、低レベルの電荷は、高レベルの電荷の約50%未満である。別の実施形態では、低レベルの電荷は、高レベルの電荷の約75%未満である。
【0008】
一実施形態では、電気泳動流体はさらに、実質的に荷電していない中立浮力粒子を備える。別の実施形態では、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、荷電していない。
【0009】
本発明の別の側面は、電気泳動流体を備え、それらの対向側に第1および第2の表面を有する、ディスプレイ層を対象とし、電気泳動流体は、全てが溶媒または溶媒混合物中に分散される、高く正に荷電した粒子、高く負に荷電した粒子、低く正に荷電した粒子、および低く負に荷電した粒子を備え、4種類の粒子は、それぞれ、相互と異なる光学特性を有し、したがって、
(a)高く正に荷電した粒子と同一の極性を有する電場の印加が、第1の表面で高く正に荷電した粒子の光学特性を表示させるか、または
(b)高く負に荷電した粒子と同一の極性を有する電場の印加が、第1の表面で高く負に荷電した粒子の光学特性を表示させるか、または
(c)いったん高く正に荷電した粒子の光学特性が第1の表面で表示されると、低く負に荷電した粒子と同一の極性を有するが、高く正に荷電した粒子と高く負に荷電した粒子との間の引力を克服するために十分に強くないが、他の反対に荷電した粒子の間の引力を克服するために十分である、電場の印加が、第1の表面で低く負に荷電した粒子の光学特性を表示させるか、または
(d)いったん高く負に荷電した粒子の光学特性が第1の表面で表示されると、低く正に荷電した粒子と同一の極性を有するが、高く正に荷電した粒子と高く負に荷電した粒子との間の引力を克服するために十分に強くないが、他の反対に荷電した粒子の間の引力を克服するために十分である、電場の印加が、第1の表面で低く正に荷電した粒子の光学特性を表示させるか、または
(e)振動波形の印加が、第1の表面で第5の光学特性を表示させ得る。
【0010】
本発明の本側面の一実施形態では、4種類の粒子は、赤、緑、青、および白色である。別の実施形態では、4種類の粒子は、赤、黄、青、および白色である。さらなる実施形態では、4種類の粒子は、シアン、マゼンタ、黄、および白色である。
【0011】
一実施形態では、4種類の粒子のうちのいずれも黒色粒子ではなく、第5の光学特性は、黒色の状態である。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
(a)複数のピクセルと、
(b)第1の種類の粒子、第2の種類の粒子、第3の種類の粒子、および第4の種類の粒子が、溶媒または溶媒混合物中に分散され、前記第1および第2の種類の粒子が、高レベルの電荷を帯びて反対に荷電し、前記第3および第4の種類の粒子が、低レベルの電荷を帯びて反対に荷電する、電気泳動流体と、
を備え、前記ピクセルのそれぞれは、少なくとも5つの異なる色状態を表示することが可能である、電気泳動ディスプレイ。
(項目2)
前記第1および第2の種類の粒子は、それぞれ、白色および赤色である、項目1に記載のディスプレイ。
(項目3)
前記第3および第4の種類の粒子は、それぞれ、青色および緑色である、項目2に記載のディスプレイ。
(項目4)
前記ピクセルのそれぞれは、白、赤、緑、青、および黒色の状態を表示することが可能である、項目3に記載のディスプレイ。
(項目5)
前記ピクセルのそれぞれは、黄、マゼンタ、およびシアン色の状態を表示することが可能である、項目4に記載のディスプレイ。
(項目6)
前記第3および第4の種類の粒子は、それぞれ、青色および黄色である、項目2に記載のディスプレイ。
(項目7)
前記ピクセルのそれぞれは、白、赤、黄、青、および黒色の状態を表示することが可能である、項目6に記載のディスプレイ。
(項目8)
前記ピクセルのそれぞれは、緑、橙、および紫色の状態を表示することが可能である、項目7に記載のディスプレイ。
(項目9)
前記4種類の粒子は、赤、緑、青、および白色の粒子であるか、または前記4種類の粒子は、赤、黄、青、および白色の粒子であるか、もしくは前記4種類の粒子は、シアン、マゼンタ、黄、および白色の粒子である、項目1に記載のディスプレイ。
(項目10)
前記低レベルの電荷は、前記高レベルの電荷の約50%未満である、項目1に記載のディスプレイ。
(項目11)
前記低レベルの電荷は、前記高レベルの電荷の約75%未満である、項目1に記載のディスプレイ。
(項目12)
前記電気泳動流体はさらに、実質的に荷電していない中立浮力粒子を備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目13)
前記実質的に荷電していない中立浮力粒子は、荷電していない、項目12に記載のディスプレイ。
(項目14)
電気泳動流体を含み、対向する側面に第1および第2の表面を有する、ディスプレイ層であって、前記電気泳動流体は、全てが溶媒または溶媒混合物中に分散される、高く正に荷電した粒子、高く負に荷電した粒子、低く正に荷電した粒子、および低く負に荷電した粒子を備え、前記4種類の粒子は、それぞれ、相互と異なる光学特性を有し、したがって、
(a)前記高く正に荷電した粒子と同一の極性を有する電場の印加が、前記第1の表面で前記高く正に荷電した粒子の前記光学特性を表示させるか、または
(b)前記高く負に荷電した粒子と同一の極性を有する電場の印加が、前記第1の表面で前記高く負に荷電した粒子の前記光学特性を表示させるか、または
(c)いったん前記高く正に荷電した粒子の前記光学特性が前記第1の表面で表示されると、低く負に荷電した粒子と同一の極性を有するが、前記高く正に荷電した粒子と前記高く負に荷電した粒子との間の引力を克服するために十分に強くないが、他の反対に荷電した粒子の間の引力を克服するために十分である、電場の印加が、前記第1の表面で前記低く負に荷電した粒子の前記光学特性を表示させるか、または
(d)いったん前記高く負に荷電した粒子の前記光学特性が前記第1の表面で表示されると、前記低く正に荷電した粒子と同一の極性を有するが、前記高く正に荷電した粒子と前記高く負に荷電した粒子との間の引力を克服するために十分に強くないが、他の反対に荷電した粒子の間の引力を克服するために十分である、電場の印加が、前記第1の表面で前記低く正に荷電した粒子の前記光学特性を表示させるか、または
(e)振動波形の印加が、前記第1の表面で第5の光学特性を表示させ得る、層。
(項目15)
前記4種類の粒子は、赤、緑、青、および白色の粒子である、項目14に記載の層。
(項目16)
前記4種類の粒子は、赤、黄、青、および白色の粒子である、項目14に記載の層。
(項目17)
前記4種類の粒子は、シアン、マゼンタ、黄、および白色の粒子である、項目14に記載の層。
(項目18)
より低く荷電した粒子の電荷が、より高く荷電した粒子の電荷の約50%未満である、項目14に記載の層。
(項目19)
より低く荷電した粒子の電荷が、より高く荷電した粒子の電荷の約75%未満である、項目14に記載の層。
(項目20)
前記4種類の粒子のうちのいずれも黒色の粒子ではなく、前記第5の光学特性は、黒色の状態である、項目14に記載の層。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の電気泳動ディスプレイ流体を描写する。
【0013】
図2-1】図2−1〜2−4は、本発明の実施例を図示する。
図2-2】図2−1〜2−4は、本発明の実施例を図示する。
図2-3】図2−1〜2−4は、本発明の実施例を図示する。
図2-4】図2−1〜2−4は、本発明の実施例を図示する。
【0014】
図3図3は、振動波形を示す。
【0015】
図4図4および図5は、どのようにして黄、マゼンタ、およびシアン色状態が図2のディスプレイデバイスによって表示され得るのかを示す。
【0016】
図5図4および図5は、どのようにして黄、マゼンタ、およびシアン色状態が図2のディスプレイデバイスによって表示され得るのかを示す。
【0017】
図6-1】図6−1〜6−4は、本発明の別の実施例を図示する。
図6-2】図6−1〜6−4は、本発明の別の実施例を図示する。
図6-3】図6−1〜6−4は、本発明の別の実施例を図示する。
図6-4】図6−1〜6−4は、本発明の別の実施例を図示する。
【0018】
図7図7および図8は、どのようにして紫、橙、および緑色状態が図6のディスプレイデバイスによって表示され得るのかを示す。
【0019】
図8図7および図8は、どのようにして紫、橙、および緑色状態が図6のディスプレイデバイスによって表示され得るのかを示す。
【0020】
図9A図9Aおよび9Bは、それぞれ、ピクセル電極と整合させられた、または整合させられていないディスプレイセルを実証する。
図9B図9Aおよび9Bは、それぞれ、ピクセル電極と整合させられた、または整合させられていないディスプレイセルを実証する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明の電気泳動流体は、誘電性溶媒または溶媒混合物中に分散される4種類の粒子を含む。例証を容易にするために、4種類の色素粒子は、図1に示されるように、第1の種類(11)、第2の種類(12)、第3の種類(13)、および第4の種類(14)の粒子と称され得る。しかしながら、4種類のみの色素粒子では、電気泳動流体を利用するディスプレイデバイスは、少なくとも5つの異なる色状態を表示し得、これがフルカラーディスプレイに至る。
【0022】
概して、4種類の粒子は、2つの群、すなわち、高く電荷した群および低く電荷した群に分けられる。反対に荷電した粒子の2つの群では、一方の群が、他方の群より強い電荷を帯びる。したがって、4種類の色素粒子はまた、高く正に荷電した粒子、高く負に荷電した粒子、低く正に荷電した粒子、および低く負に荷電した粒子と称され得る。
【0023】
例として、赤色粒子(R)および白色粒子(W)は、反対に荷電した粒子の第1の群であってもよく、本群では、赤色粒子は、高く正に荷電した粒子であり、白色粒子は、高く負に荷電した粒子である。青色粒子(B)および緑色粒子(G)は、反対に荷電した粒子の第2の群であってもよく、本群では、青色粒子は、低く正に荷電した粒子であり、緑色粒子は、低く負に荷電した粒子である。
【0024】
別の例では、赤色粒子は、高く正に荷電した粒子であってもよく、白色粒子は、高く負に荷電した粒子であってもよく、青色粒子は、低く正に荷電した粒子であってもよく、黄色粒子は、低く負に荷電した粒子であってもよい。
【0025】
本発明の範囲は、4種類の粒子が視覚的に区別可能な色である限り、任意の色の粒子を広く包含することが理解される。
【0026】
白色粒子については、それらは、TiO、ZrO、ZnO、Al、Sb、BaSO、PbSO、または同等物等の無機色素から形成されてもよい。
【0027】
黒色粒子については、存在する場合、それらは、CI色素黒色26または28、もしくは同等物(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)、またはカーボンブラックから形成されてもよい。
【0028】
他の色(非白色および非黒色)の粒子は、赤、緑、青、マゼンタ、シアン、または黄色等の色と無関係である。色粒子のための色素は、CI色素PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20を含み得るが、それらに限定されない。これらは、カラーインデックスハンドブック、“New Pigment Application Technology”(CMC Publishing Co,Ltd,1986)および“Printing Ink Technology”(CMC Publishing Co,Ltd,1984)で説明される、一般的に使用されている有機色素である。具体的な例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70−EDS、Hostaperm Pink E−EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G−EDS、Hostaperm Yellow H4G−EDS、Novoperm Yellow HR−70−EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD、Sun Chemicalフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ディアリライドイエローまたはディアリライドAAOTイエローを含む。
【0029】
非黒色および非白色粒子はまた、赤、緑、青、および黄色色素等の無機色素であってもよい。実施例は、CI色素青色28、CI色素緑色50、およびCI色素黄色227を含み得るが、それらに限定されない。
【0030】
色に加えて、4種類の粒子は、光学透過、反射率、発光、または機械読取のために意図されたディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化という意味で疑似カラー等の他の明確な光学特性を有してもよい。
【0031】
図1にも示されるように、本発明のディスプレイ流体を利用するディスプレイ層は、2つの表面、すなわち、視認側の第1の表面(17)、および第1の表面(17)の反対側の第2の表面(18)を有する。ディスプレイ流体は、2つの表面の間に挟持される。第1の表面(17)側には、ディスプレイ層の最上部全体を覆って拡散する、透明電極層(例えば、ITO)である共通電極(15)がある。第2の表面(18)側には、複数のピクセル電極(16a)を備える、電極層(16)がある。
【0032】
ピクセル電極は、その内容が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第7,046,228号に説明されている。薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを伴うアクティブマトリクス駆動が、ピクセル電極の層について記述されるが、本発明の範囲は、電極が所望の機能に供される限り、他の種類の電極の取扱いを包含することに留意されたい。
【0033】
図1の2本の垂直点線の間の各空間は、ピクセルを表す。示されるように、各ピクセルは、対応するピクセル電極を有する。共通電極に印加される電圧と対応するピクセル電極に印加される電圧との間の電位差によって、電場がピクセルのために生成される。
【0034】
流体中の4種類の粒子の割合は、変動し得る。例えば、1種類の粒子は、電気泳動流体の体積で、0.1%〜50%、好ましくは、0.5%〜15%を占めてもよい。
【0035】
4種類の粒子が分散される溶媒は、透明かつ無色である。これは、好ましくは、高い粒子移動度のために、低い粘度と、約2〜約30、好ましくは、約2〜約15の範囲内の誘電率とを有する。好適な誘電性溶媒の例は、アイソパー、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5−エチリデン−2−ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体等の炭化水素、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン、またはアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5−トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロ−ベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン等のハロゲン化溶媒、および3M Company(St.PaulMN)からのFC−43、FC−70、またはFC−5060等のペルフルオロ化溶媒、TCI America(Portland,Oregon)からのポリ(ペルフルオロプロピレンオキシド)等の低分子量のハロゲン含有ポリマー、Halocarbon Product Corp.(River Edge,NJ)からのHalocarbon Oils等のポリ(クロロトリフルオロエチレン)、AusimontからのGaidenまたはDuPont(Delaware)からのKrytox OilsおよびGreases K−流体 Series等のペルフルオロポリアルキルエーテル、Dow−corning(DC−200)からのポリジメチルシロキサン系シリコーン油を含む。
【0036】
一実施形態では、「低電荷」粒子によって帯びられる電荷は、「高電荷」粒子によって帯びられる電荷の約50%未満、または約5%〜約30%未満であってもよい。別の実施形態では、「低電荷」粒子は、「高電荷」粒子によって帯びられる電荷の約75%未満、または約15%〜約55%未満であってもよい。さらなる実施形態では、示されるような電荷レベルの比較は、同一の電荷極性を有する2種類の粒子に適用される。
【0037】
電荷強度は、ゼータ電位に関して測定されてもよい。一実施形態では、ゼータ電位は、CSPU−100信号処理ユニット、ESA EN# Attnフロースルーセル(K:127)を伴うColloidal Dynamics AcoustoSizer IIMによって判定される。サンプルで使用される溶媒の密度、溶媒の誘電率、溶媒中の音速、溶媒の粘度等の計器定数は、全て試験温度(25℃)で試験前に入力される。色素サンプルは、(通常、12個未満の炭素原子を有する炭化水素流体である)溶媒中に分散され、5〜10重量%に希釈される。サンプルはまた、電荷制御剤対粒子の1:10の重量比を伴う、電荷制御剤(Lubrizol Corporation、Berkshire Hathaway会社から入手可能であるSolsperse 17000(登録商標)、「Solsperse」は登録商標である)も含有する。希釈サンプルの質量が判定され、次いで、サンプルがゼータ電位の判定のためにフロースルーセルの中へ装填される。
【0038】
「高く正に荷電した」粒子および「高く負に荷電した」粒子の大きさは、同一または異なり得る。同様に、「低く正に荷電した」粒子および「低く負に荷電した」粒子の大きさは、同一または異なり得る。
【0039】
また、同一の流体中では、高い−低い電荷の粒子の2つの群は、異なるレベルの電荷差異を有し得ることも留意されたい。例えば、1つの群では、低く正に荷電した粒子は、高く正に荷電した粒子の電荷強度の30%である電荷強度を有してもよく、別の群では、低く負に荷電した粒子は、高く負に荷電した粒子の電荷強度の50%である電荷強度を有してもよい。
【0040】
粒子の電荷極性および電荷のレベルは、その内容が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014−0011913号で説明される方法に従って調整されてもよい。
【0041】
また、4種類の粒子は、異なる粒子サイズを有し得ることも留意されたい。例えば、より小さい粒子は、約50nm〜約800nmに及ぶサイズを有してもよい。より大きい粒子は、より小さい粒子のサイズの約2〜約50倍、より好ましくは、約2〜約10倍であるサイズを有してもよい。
【実施例1】
【0042】
本実施例は、図2で実証される。本実施例における流体は、赤、緑、青、および白色素粒子を有する。赤色粒子(R)は、高い正電荷を帯び、白色粒子(W)は、高い負電荷を帯び、青色(B)粒子は、低い正電荷を帯び、緑色粒子(G)は、低い負電荷を帯びる。
【0043】
図2(a)では、高い負電圧電位差(例えば、−15V)がピクセルに印加されるとき、白色粒子(W)は、共通電極(21)側に押され、赤色粒子(R)は、ピクセル電極(22a)側に引かれる。青色(B)および緑色(G)粒子は、それらのより低い電荷レベルにより、より高く荷電した白色および赤色粒子より遅く移動し、したがって、それらは、青色粒子の上方に緑色粒子を伴って、ピクセルの中央にとどまる。結果として、白色が視認側で見られる。
【0044】
図2(b)では、高い正電圧電位差(例えば、+15V)がピクセルに印加されるとき、粒子分布は、図2(a)に示されるものと反対になり、結果として、赤色が視認側で見られる。
【0045】
図2(c)では、より低い正電圧電位差(例えば、+3V)が図2(a)のピクセルに印加される(つまり、白色状態から駆動される)とき、白色粒子(W)がピクセル電極(22a)に向かって移動する一方で、赤色粒子(R)は共通電極(21)に向かって移動する。それらが移動しながら接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い正電圧電位差によって生成される電場は、白色および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0046】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および緑色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/緑色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、共通電極(21)側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(負の)緑色粒子(G)は、ピクセル電極(22a)側へ移動する。その結果として、青色が視認側で見られる。
【0047】
図2(d)では、より低い負電圧電位差(例えば、−3V)が図2(b)のピクセルに印加される(つまり、赤色状態から駆動される)とき、赤色粒子(R)がピクセル電極(22a)に向かって移動する一方で、白色粒子(W)は共通電極(21)に向かって移動する。白色粒子および赤色粒子が接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い負電圧電位差によって生成される電場は、白色粒子および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0048】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および緑色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/緑色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(負の)緑色粒子(G)は、共通電極側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、ピクセル電極側へ移動する。その結果として、緑色が視認側で見られる。
【0049】
図2(e)では、黒色が視認側から見られる。これは、赤色、緑色、および青色粒子をピクセルの上部分で混合させ、黒色状態を視認側で見せるように、ピクセルが赤色状態(図2bで見られる)であるときに振動波形を印加することによって達成されてもよい。
【0050】
振動波形は、多くのサイクルにわたって一対の反対駆動パルスを繰り返すことから成る。例えば、振動波形は、20ミリ秒間の+15Vパルスおよび20ミリ秒間の−15Vパルスから成り、そのような一対のパルスは、50回繰り返される。そのような振動波形の合計時間は、2000ミリ秒であろう(図3参照)。
【0051】
実践では、少なくとも10回の繰り返しがあってもよい(すなわち、10対の正および負のパルス)。
【0052】
振動波形が印加された後、光学状態は、本実施例では黒色であることが見られる、粒子の混合物に由来するであろう。
【0053】
振動波形内の駆動パルスのそれぞれは、実施例では完全白色状態から完全赤色状態まで必要とされる駆動時間の50%を超えずに(または30%、10%、もしくは5%を超えずに)印加される。例えば、完全白色状態から赤黄色状態に、または逆も同様にピクセルを駆動するために300ミリ秒かかる場合、振動波形は、それぞれ多くても150ミリ秒にわたって印加される、正および負のパルスから成ってもよい。実践では、パルスは、より短いことが好ましい。
【0054】
また、図2(c)および2(d)の色状態に達するように印加される、より低い電圧電位差は、赤色状態から白色状態に、または白色状態から赤色状態にピクセルを駆動するために必要とされる全駆動電圧電位差の約5%〜約50%であり得ることも留意されたい。
【0055】
実施例2は、黒、白、赤、緑、または青色状態を呈するピクセルの可能性を実証するが、本発明はまた、ピクセルが黄、マゼンタ、またはシアン色状態を呈する可能性も提供する。
【0056】
図4では、各ピクセルは、2つのサブピクセルを有する。図4(a)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが緑色を表示するときに、黄色状態が表示される。図4(b)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが青色を表示し、ピクセルにマゼンタ状態を表示させる。図4(c)では、ピクセルがシアン色状態を表示する一方で、サブピクセルのうちの一方は青色を表示し、他方のサブピクセルは緑色を表示する。
【0057】
より明るい黄、マゼンタ、またはシアン色状態を表示するために、ピクセルは、3つのサブピクセルから成ってもよい。これは、第3のサブピクセルが追加され、その第3のサブピクセルが白色状態のみを表示する、図5に示されている。
【実施例2】
【0058】
本実施例は、図6で実証される。本実施例における流体は、赤、黄、青、および白の色素粒子を有する。赤色粒子(R)は、高い正電荷を帯び、白色粒子(W)は、高い負電荷を帯び、青色(B)粒子は、低い正電荷を帯び、黄色粒子(Y)は、低い負電荷を帯びる。
【0059】
図6(a)では、高い負電圧電位差(例えば、−15V)がピクセルに印加されるとき、白色粒子(W)は、共通電極(61)側に押され、赤色粒子(R)は、ピクセル電極(62a)側に引かれる。青色(B)粒子および黄色(Y)粒子は、それらのより低い電荷レベルにより、より高く荷電した白色粒子および赤色粒子より遅く移動し、したがって、それらは、青色粒子の上方に黄色粒子を伴って、ピクセルの中央にとどまる。結果として、白色が視認側で見られる。
【0060】
図6(b)では、高い正電圧電位差(例えば、+15V)がピクセルに印加されるとき、粒子分布は、図6(a)に示されるものと反対になり、結果として、赤色が視認側で見られる。
【0061】
図6(c)では、より低い正電圧電位差(例えば、+3V)が図6(a)のピクセルに印加される(つまり、白色状態から駆動される)とき、白色粒子(W)がピクセル電極(62a)に向かって移動する一方で、赤色粒子(R)は共通電極(61)に向かって移動する。それらが移動しながら接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い正電圧電位差によって生成される電場は、白色粒子および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0062】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および黄色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/黄色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、共通電極(61)側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(負の)黄色粒子(Y)は、ピクセル電極(62a)側へ移動する。その結果として、青色が視認側で見られる。
【0063】
図6(d)では、より低い負電圧電位差(例えば、−3V)が図6(b)のピクセルに印加される(つまり、赤色状態から駆動される)とき、赤色粒子(R)がピクセル電極(62a)に向かって移動する一方で、白色粒子(W)は共通電極(61)に向かって移動する。白色粒子および赤色粒子が接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い負電圧電位差によって生成される電場は、白色粒子および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0064】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および黄色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/黄色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(負の)黄色粒子(Y)は、共通電極側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、ピクセル電極側へ移動する。その結果として、黄色が視認側で見られる。
【0065】
図6(e)では、黒色が視認側から見られる。これは、ピクセルが赤色状態(図6bで見られる)であるときに振動波形を印加することによって達成されてもよく、黒色状態を視認側で見せる。
【0066】
同様に、実施例2で説明されるように、図6(c)および6(d)の色状態に達するように印加される、より低い電圧電位差は、赤色状態から白色状態に、または白色状態から赤色状態にピクセルを駆動するために必要とされる全駆動電圧電位差の約5%〜約50%であってもよい。
【0067】
実施例2は、黒、白、赤、黄、または青色状態を呈するピクセルの可能性を実証するが、本発明はまた、ピクセルが紫、橙、または緑色状態を呈する可能性も提供する。
【0068】
図7では、各ピクセルは、2つのサブピクセルを有する。図7(a)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが青色を表示するときに、紫色状態が表示される。同様に、図7(b)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが黄色を表示し、ピクセルに橙色状態を表示させる。図7(c)では、ピクセルが緑色状態を表示する一方で、サブピクセルのうちの一方は青色を表示し、他方のサブピクセルは黄色を表示する。
【0069】
より明るい紫、橙、または緑色状態を表示するために、ピクセルは、3つのサブピクセルから成ってもよい。これは、第3のサブピクセルが追加され、その第3のサブピクセルが白色状態のみを表示する、図8に示されている。
【0070】
2つの実施例では、具体的な色の粒子が利用されることが実証されているが、上記のような実践では、高い正電荷または高い負電荷、もしくは低い正電荷または低い負電荷を帯びる粒子は、任意の色であってもよい。これらの変形例の全ては、本願の範囲内であることを意図している。例えば、4種類の粒子は、シアン、マゼンタ、黄、および白色であってもよい。
【0071】
本発明のさらなる側面では、流体はさらに、実質的に荷電していない中立浮力粒子を含んでいてもよい。
【0072】
「実質的に荷電していない」という用語は、荷電されていないか、または荷電した粒子によって帯びられる平均電荷の5%未満である電荷を帯びるかのいずれかである、粒子を指す。一実施形態では、中立浮力粒子は、荷電していない。
【0073】
「中立浮力」という用語は、重力で上昇または下降しない粒子を指す。換言すると、粒子は、2つの電極板の間の流体中で浮動するであろう。一実施形態では、中立浮力粒子の密度は、それらが分散される溶媒または溶媒混合物の密度と同一であり得る。
【0074】
ディスプレイ流体中の実質的に荷電していない中立浮力粒子の濃度は、好ましくは、体積で約0.1〜約10%の範囲内、より好ましくは、体積で約0.1〜約5%の範囲内である。
【0075】
実質的に荷電していない中立浮力粒子は、ポリマー材料から形成されてもよい。ポリマー材料は、コポリマーまたはホモポリマーであってもよい。
【0076】
実質的に荷電していない中立浮力粒子のポリマー材料の実施例は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフェノール、およびポリシロキサンを含み得るが、それらに限定されない。ポリマー材料の具体的例は、ポリ(ペンタブロモフェニルメタクリレート)、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリ(ナフチルメタクリレート)、ポリ(アルファ−メチルスチレン)、ポリ(N−ベンジルメタクリルアミド)、およびポリ(ベンジルメタクリレート)を含み得るが、それらに限定されない。
【0077】
より好ましくは、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、ディスプレイ流体の溶媒中で可溶性ではなく、また、高い屈折率も有する、ポリマーから形成される。一実施形態では、実質的に荷電していない中立浮力粒子の屈折率は、粒子が分散される溶媒または溶媒混合物のものと異なる。しかしながら、典型的には、実質的に荷電していない中立浮力粒子の屈折率は、溶媒または溶媒混合物のものより高い。ある場合には、実質的に荷電していない中立浮力粒子の屈折率は、1.45を上回り得る。
【0078】
一実施形態では、実質的に荷電していない中立浮力粒子の材料は、芳香族部分を含んでもよい。
【0079】
実質的に荷電していない中立浮力粒子は、懸濁重合、分散重合、シード重合、ソープフリー重合、乳化重合、または逆乳化−蒸発プロセスを含む物理的方法等の重合技法を通して、単量体から調製されてもよい。単量体は、分散剤の存在下で重合される。分散剤の存在は、ポリマー粒子が所望のサイズ範囲で形成されることを可能にし、分散剤はまた、粒子が凝集することを防止するように、ポリマー粒子の表面に物理的または化学的に結合された層を形成してもよい。
【0080】
分散剤は、好ましくは、炭化水素溶媒中でポリマー粒子を安定させ得る、(少なくとも8つの原子の)長鎖を有する。そのような分散剤は、アクリレートまたはビニル基が反応媒体中の単量体と共重合することができるため好適である、アクリレート末端またはビニル末端高分子であってもよい。
【0081】
分散剤の1つの具体例は、アクリレート末端ポリシロキサン(Gelest、MCR−M17、MCR−M22)である。
【0082】
別の種類の好適な分散剤は、以下に示されるようなポリエチレンマクロモノマーである。
CH−[−CH−]−CHO−C(=O)−C(CH)=CH
【0083】
マクロモノマーのバックボーンは、ポリエチレン鎖であってもよく、整数「n」は、30〜200である。本種類のマクロモノマーの合成は、Seigou Kawaguchi et al,Designed Monomers and Polymers,2000,3,263で見出され得る。
【0084】
流体システムがフッ素化される場合には、分散剤も好ましくはフッ素化される。
【0085】
代替として、実質的に荷電していない中立浮力粒子はまた、ポリマーシェルでコーティングされたコア粒子から形成されてもよく、シェルは、例えば、上記で識別されるポリマー材料のうちのいずれかから形成されてもよい。
【0086】
コア粒子は、TiO、ZrO、ZnO、Al、Cl色素ブラック26または28、もしくは同等物(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)等の無機色素、またはフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ディアリライドイエロー、ディアリライドAAOTイエロー、およびSun Chemicalからのキナクリドン、アゾ、ローダミン、ペリレン色素系列、Kanto ChemicalからのHansa yellow G粒子、ならびにFisherからのCarbon Lampblack、もしくは同等物等の有機色素であってもよい。
【0087】
コアシェルが実質的に荷電していない中立浮力粒子の場合、それらは、コアセルベーション、界面重縮合、界面架橋結合、その場での(in−suit)重合、またはマトリクス重合等のマイクロカプセル化方法によって形成されてもよい。
【0088】
実質的に荷電していない中立浮力粒子のサイズは、好ましくは、約100ナノメートル〜約5ミクロンの範囲内である。
【0089】
本発明の本側面の一実施形態では、流体に添加される実質的に荷電していない中立浮力粒子は、4種類の荷電した粒子の1つの色と実質的に視覚的に同一の色を有してもよい。例えば、ディスプレイ流体において、荷電した赤色粒子、緑色粒子、青色粒子、および白色粒子、ならびに実質的に荷電していない中立浮力粒子があってもよく、この場合、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、赤色、緑色、青色、または白色であってもよい。
【0090】
別の実施形態では、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、4種類の荷電粒子のいずれか1つの色と実質的に異なる色を有してもよい。
【0091】
流体中の実質的に荷電していない中立浮力粒子の存在は、入射光の反射を増加し、したがって、特に、それらが反射材料から形成される場合、コントラスト比も向上する。
【0092】
画像安定性もまた、4つの粒子流体システム内の実質的に荷電していない中立浮力粒子の添加によって向上され得る。実質的に荷電していない中立浮力粒子は、電場下の電極の表面上に詰め込まれた荷電粒子から生じる間隔を充填することができ、したがって、荷電粒子が重力に起因して沈降しないように防止する。
【0093】
加えて、実質的に荷電していない中立浮力粒子が、白色である場合、それらは、ディスプレイの反射性を増進し得る。それらが、黒色である場合、それらは、ディスプレイの黒さを増進し得る。
【0094】
いずれの場合も、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、流体中の4種類の荷電粒子の駆動挙動に影響を及ぼさない。
【0095】
前述される電気泳動流体は、ディスプレイセル内に充填される。ディスプレイセルは、その内容が参照することによって全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,930,818号に説明される、カップ状マイクロセルであってもよい。ディスプレイセルはまた、それらの形状またはサイズにかかわらず、マイクロカプセル、マイクロチャネル、または均等物等の他の種類のマイクロコンテナであってもよい。これらの全ては、本願の範囲内である。
【0096】
図9Aおよび9Bに示されるように、本発明におけるディスプレイセル(90)およびピクセル電極(92a)は、整合されてもよく、または整合されなくてもよい。
【0097】
用語「約」は、本願全体を通して、表示値の±5%を意味することが意図される。
【0098】
本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、均等物が置換され得ることが、当業者によって理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを、本発明の目的、精神、および範囲に適合させるように、多くの修正が行われ得る。全てのそのような修正は、本明細書に添付される請求項の範囲内であることを意図している。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7
図8
図9A
図9B