【実施例1】
【0042】
本実施例は、
図2で実証される。本実施例における流体は、赤、緑、青、および白色素粒子を有する。赤色粒子(R)は、高い正電荷を帯び、白色粒子(W)は、高い負電荷を帯び、青色(B)粒子は、低い正電荷を帯び、緑色粒子(G)は、低い負電荷を帯びる。
【0043】
図2(a)では、高い負電圧電位差(例えば、−15V)がピクセルに印加されるとき、白色粒子(W)は、共通電極(21)側に押され、赤色粒子(R)は、ピクセル電極(22a)側に引かれる。青色(B)および緑色(G)粒子は、それらのより低い電荷レベルにより、より高く荷電した白色および赤色粒子より遅く移動し、したがって、それらは、青色粒子の上方に緑色粒子を伴って、ピクセルの中央にとどまる。結果として、白色が視認側で見られる。
【0044】
図2(b)では、高い正電圧電位差(例えば、+15V)がピクセルに印加されるとき、粒子分布は、
図2(a)に示されるものと反対になり、結果として、赤色が視認側で見られる。
【0045】
図2(c)では、より低い正電圧電位差(例えば、+3V)が
図2(a)のピクセルに印加される(つまり、白色状態から駆動される)とき、白色粒子(W)がピクセル電極(22a)に向かって移動する一方で、赤色粒子(R)は共通電極(21)に向かって移動する。それらが移動しながら接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い正電圧電位差によって生成される電場は、白色および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0046】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および緑色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/緑色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、共通電極(21)側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(負の)緑色粒子(G)は、ピクセル電極(22a)側へ移動する。その結果として、青色が視認側で見られる。
【0047】
図2(d)では、より低い負電圧電位差(例えば、−3V)が
図2(b)のピクセルに印加される(つまり、赤色状態から駆動される)とき、赤色粒子(R)がピクセル電極(22a)に向かって移動する一方で、白色粒子(W)は共通電極(21)に向かって移動する。白色粒子および赤色粒子が接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い負電圧電位差によって生成される電場は、白色粒子および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0048】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および緑色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/緑色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(負の)緑色粒子(G)は、共通電極側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、ピクセル電極側へ移動する。その結果として、緑色が視認側で見られる。
【0049】
図2(e)では、黒色が視認側から見られる。これは、赤色、緑色、および青色粒子をピクセルの上部分で混合させ、黒色状態を視認側で見せるように、ピクセルが赤色状態(
図2bで見られる)であるときに振動波形を印加することによって達成されてもよい。
【0050】
振動波形は、多くのサイクルにわたって一対の反対駆動パルスを繰り返すことから成る。例えば、振動波形は、20ミリ秒間の+15Vパルスおよび20ミリ秒間の−15Vパルスから成り、そのような一対のパルスは、50回繰り返される。そのような振動波形の合計時間は、2000ミリ秒であろう(
図3参照)。
【0051】
実践では、少なくとも10回の繰り返しがあってもよい(すなわち、10対の正および負のパルス)。
【0052】
振動波形が印加された後、光学状態は、本実施例では黒色であることが見られる、粒子の混合物に由来するであろう。
【0053】
振動波形内の駆動パルスのそれぞれは、実施例では完全白色状態から完全赤色状態まで必要とされる駆動時間の50%を超えずに(または30%、10%、もしくは5%を超えずに)印加される。例えば、完全白色状態から赤黄色状態に、または逆も同様にピクセルを駆動するために300ミリ秒かかる場合、振動波形は、それぞれ多くても150ミリ秒にわたって印加される、正および負のパルスから成ってもよい。実践では、パルスは、より短いことが好ましい。
【0054】
また、
図2(c)および2(d)の色状態に達するように印加される、より低い電圧電位差は、赤色状態から白色状態に、または白色状態から赤色状態にピクセルを駆動するために必要とされる全駆動電圧電位差の約5%〜約50%であり得ることも留意されたい。
【0055】
実施例2は、黒、白、赤、緑、または青色状態を呈するピクセルの可能性を実証するが、本発明はまた、ピクセルが黄、マゼンタ、またはシアン色状態を呈する可能性も提供する。
【0056】
図4では、各ピクセルは、2つのサブピクセルを有する。
図4(a)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが緑色を表示するときに、黄色状態が表示される。
図4(b)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが青色を表示し、ピクセルにマゼンタ状態を表示させる。
図4(c)では、ピクセルがシアン色状態を表示する一方で、サブピクセルのうちの一方は青色を表示し、他方のサブピクセルは緑色を表示する。
【0057】
より明るい黄、マゼンタ、またはシアン色状態を表示するために、ピクセルは、3つのサブピクセルから成ってもよい。これは、第3のサブピクセルが追加され、その第3のサブピクセルが白色状態のみを表示する、
図5に示されている。
【実施例2】
【0058】
本実施例は、
図6で実証される。本実施例における流体は、赤、黄、青、および白の色素粒子を有する。赤色粒子(R)は、高い正電荷を帯び、白色粒子(W)は、高い負電荷を帯び、青色(B)粒子は、低い正電荷を帯び、黄色粒子(Y)は、低い負電荷を帯びる。
【0059】
図6(a)では、高い負電圧電位差(例えば、−15V)がピクセルに印加されるとき、白色粒子(W)は、共通電極(61)側に押され、赤色粒子(R)は、ピクセル電極(62a)側に引かれる。青色(B)粒子および黄色(Y)粒子は、それらのより低い電荷レベルにより、より高く荷電した白色粒子および赤色粒子より遅く移動し、したがって、それらは、青色粒子の上方に黄色粒子を伴って、ピクセルの中央にとどまる。結果として、白色が視認側で見られる。
【0060】
図6(b)では、高い正電圧電位差(例えば、+15V)がピクセルに印加されるとき、粒子分布は、
図6(a)に示されるものと反対になり、結果として、赤色が視認側で見られる。
【0061】
図6(c)では、より低い正電圧電位差(例えば、+3V)が
図6(a)のピクセルに印加される(つまり、白色状態から駆動される)とき、白色粒子(W)がピクセル電極(62a)に向かって移動する一方で、赤色粒子(R)は共通電極(61)に向かって移動する。それらが移動しながら接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い正電圧電位差によって生成される電場は、白色粒子および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0062】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および黄色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/黄色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、共通電極(61)側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(負の)黄色粒子(Y)は、ピクセル電極(62a)側へ移動する。その結果として、青色が視認側で見られる。
【0063】
図6(d)では、より低い負電圧電位差(例えば、−3V)が
図6(b)のピクセルに印加される(つまり、赤色状態から駆動される)とき、赤色粒子(R)がピクセル電極(62a)に向かって移動する一方で、白色粒子(W)は共通電極(61)に向かって移動する。白色粒子および赤色粒子が接触するとき、それらの相互への強い引力により、それらは、移動を停止し、ピクセルの中央にとどまる。換言すると、低い負電圧電位差によって生成される電場は、白色粒子および赤色粒子を分離するために十分に強くない。
【0064】
しかしながら、電場は、より低く荷電した青色粒子および黄色粒子を分離するために十分に強く、また、反対に荷電した高−低粒子対(白色/青色および赤色/黄色)の間の引力を克服するためにも十分に強い。結果として、より低く荷電した(負の)黄色粒子(Y)は、共通電極側(すなわち、視認側)まで移動し、より低く荷電した(正の)青色粒子(B)は、ピクセル電極側へ移動する。その結果として、黄色が視認側で見られる。
【0065】
図6(e)では、黒色が視認側から見られる。これは、ピクセルが赤色状態(
図6bで見られる)であるときに振動波形を印加することによって達成されてもよく、黒色状態を視認側で見せる。
【0066】
同様に、実施例2で説明されるように、
図6(c)および6(d)の色状態に達するように印加される、より低い電圧電位差は、赤色状態から白色状態に、または白色状態から赤色状態にピクセルを駆動するために必要とされる全駆動電圧電位差の約5%〜約50%であってもよい。
【0067】
実施例2は、黒、白、赤、黄、または青色状態を呈するピクセルの可能性を実証するが、本発明はまた、ピクセルが紫、橙、または緑色状態を呈する可能性も提供する。
【0068】
図7では、各ピクセルは、2つのサブピクセルを有する。
図7(a)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが青色を表示するときに、紫色状態が表示される。同様に、
図7(b)では、一方のサブピクセルが赤色を表示し、他方のサブピクセルが黄色を表示し、ピクセルに橙色状態を表示させる。
図7(c)では、ピクセルが緑色状態を表示する一方で、サブピクセルのうちの一方は青色を表示し、他方のサブピクセルは黄色を表示する。
【0069】
より明るい紫、橙、または緑色状態を表示するために、ピクセルは、3つのサブピクセルから成ってもよい。これは、第3のサブピクセルが追加され、その第3のサブピクセルが白色状態のみを表示する、
図8に示されている。
【0070】
2つの実施例では、具体的な色の粒子が利用されることが実証されているが、上記のような実践では、高い正電荷または高い負電荷、もしくは低い正電荷または低い負電荷を帯びる粒子は、任意の色であってもよい。これらの変形例の全ては、本願の範囲内であることを意図している。例えば、4種類の粒子は、シアン、マゼンタ、黄、および白色であってもよい。
【0071】
本発明のさらなる側面では、流体はさらに、実質的に荷電していない中立浮力粒子を含んでいてもよい。
【0072】
「実質的に荷電していない」という用語は、荷電されていないか、または荷電した粒子によって帯びられる平均電荷の5%未満である電荷を帯びるかのいずれかである、粒子を指す。一実施形態では、中立浮力粒子は、荷電していない。
【0073】
「中立浮力」という用語は、重力で上昇または下降しない粒子を指す。換言すると、粒子は、2つの電極板の間の流体中で浮動するであろう。一実施形態では、中立浮力粒子の密度は、それらが分散される溶媒または溶媒混合物の密度と同一であり得る。
【0074】
ディスプレイ流体中の実質的に荷電していない中立浮力粒子の濃度は、好ましくは、体積で約0.1〜約10%の範囲内、より好ましくは、体積で約0.1〜約5%の範囲内である。
【0075】
実質的に荷電していない中立浮力粒子は、ポリマー材料から形成されてもよい。ポリマー材料は、コポリマーまたはホモポリマーであってもよい。
【0076】
実質的に荷電していない中立浮力粒子のポリマー材料の実施例は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフェノール、およびポリシロキサンを含み得るが、それらに限定されない。ポリマー材料の具体的例は、ポリ(ペンタブロモフェニルメタクリレート)、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリ(ナフチルメタクリレート)、ポリ(アルファ−メチルスチレン)、ポリ(N−ベンジルメタクリルアミド)、およびポリ(ベンジルメタクリレート)を含み得るが、それらに限定されない。
【0077】
より好ましくは、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、ディスプレイ流体の溶媒中で可溶性ではなく、また、高い屈折率も有する、ポリマーから形成される。一実施形態では、実質的に荷電していない中立浮力粒子の屈折率は、粒子が分散される溶媒または溶媒混合物のものと異なる。しかしながら、典型的には、実質的に荷電していない中立浮力粒子の屈折率は、溶媒または溶媒混合物のものより高い。ある場合には、実質的に荷電していない中立浮力粒子の屈折率は、1.45を上回り得る。
【0078】
一実施形態では、実質的に荷電していない中立浮力粒子の材料は、芳香族部分を含んでもよい。
【0079】
実質的に荷電していない中立浮力粒子は、懸濁重合、分散重合、シード重合、ソープフリー重合、乳化重合、または逆乳化−蒸発プロセスを含む物理的方法等の重合技法を通して、単量体から調製されてもよい。単量体は、分散剤の存在下で重合される。分散剤の存在は、ポリマー粒子が所望のサイズ範囲で形成されることを可能にし、分散剤はまた、粒子が凝集することを防止するように、ポリマー粒子の表面に物理的または化学的に結合された層を形成してもよい。
【0080】
分散剤は、好ましくは、炭化水素溶媒中でポリマー粒子を安定させ得る、(少なくとも8つの原子の)長鎖を有する。そのような分散剤は、アクリレートまたはビニル基が反応媒体中の単量体と共重合することができるため好適である、アクリレート末端またはビニル末端高分子であってもよい。
【0081】
分散剤の1つの具体例は、アクリレート末端ポリシロキサン(Gelest、MCR−M17、MCR−M22)である。
【0082】
別の種類の好適な分散剤は、以下に示されるようなポリエチレンマクロモノマーである。
CH
3−[−CH
2−]
n−CH
2O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2
【0083】
マクロモノマーのバックボーンは、ポリエチレン鎖であってもよく、整数「n」は、30〜200である。本種類のマクロモノマーの合成は、Seigou Kawaguchi et al,Designed Monomers and Polymers,2000,3,263で見出され得る。
【0084】
流体システムがフッ素化される場合には、分散剤も好ましくはフッ素化される。
【0085】
代替として、実質的に荷電していない中立浮力粒子はまた、ポリマーシェルでコーティングされたコア粒子から形成されてもよく、シェルは、例えば、上記で識別されるポリマー材料のうちのいずれかから形成されてもよい。
【0086】
コア粒子は、TiO
2、ZrO
2、ZnO、Al
2O
3、Cl色素ブラック26または28、もしくは同等物(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)等の無機色素、またはフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ディアリライドイエロー、ディアリライドAAOTイエロー、およびSun Chemicalからのキナクリドン、アゾ、ローダミン、ペリレン色素系列、Kanto ChemicalからのHansa yellow G粒子、ならびにFisherからのCarbon Lampblack、もしくは同等物等の有機色素であってもよい。
【0087】
コアシェルが実質的に荷電していない中立浮力粒子の場合、それらは、コアセルベーション、界面重縮合、界面架橋結合、その場での(in−suit)重合、またはマトリクス重合等のマイクロカプセル化方法によって形成されてもよい。
【0088】
実質的に荷電していない中立浮力粒子のサイズは、好ましくは、約100ナノメートル〜約5ミクロンの範囲内である。
【0089】
本発明の本側面の一実施形態では、流体に添加される実質的に荷電していない中立浮力粒子は、4種類の荷電した粒子の1つの色と実質的に視覚的に同一の色を有してもよい。例えば、ディスプレイ流体において、荷電した赤色粒子、緑色粒子、青色粒子、および白色粒子、ならびに実質的に荷電していない中立浮力粒子があってもよく、この場合、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、赤色、緑色、青色、または白色であってもよい。
【0090】
別の実施形態では、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、4種類の荷電粒子のいずれか1つの色と実質的に異なる色を有してもよい。
【0091】
流体中の実質的に荷電していない中立浮力粒子の存在は、入射光の反射を増加し、したがって、特に、それらが反射材料から形成される場合、コントラスト比も向上する。
【0092】
画像安定性もまた、4つの粒子流体システム内の実質的に荷電していない中立浮力粒子の添加によって向上され得る。実質的に荷電していない中立浮力粒子は、電場下の電極の表面上に詰め込まれた荷電粒子から生じる間隔を充填することができ、したがって、荷電粒子が重力に起因して沈降しないように防止する。
【0093】
加えて、実質的に荷電していない中立浮力粒子が、白色である場合、それらは、ディスプレイの反射性を増進し得る。それらが、黒色である場合、それらは、ディスプレイの黒さを増進し得る。
【0094】
いずれの場合も、実質的に荷電していない中立浮力粒子は、流体中の4種類の荷電粒子の駆動挙動に影響を及ぼさない。
【0095】
前述される電気泳動流体は、ディスプレイセル内に充填される。ディスプレイセルは、その内容が参照することによって全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,930,818号に説明される、カップ状マイクロセルであってもよい。ディスプレイセルはまた、それらの形状またはサイズにかかわらず、マイクロカプセル、マイクロチャネル、または均等物等の他の種類のマイクロコンテナであってもよい。これらの全ては、本願の範囲内である。
【0096】
図9Aおよび9Bに示されるように、本発明におけるディスプレイセル(90)およびピクセル電極(92a)は、整合されてもよく、または整合されなくてもよい。
【0097】
用語「約」は、本願全体を通して、表示値の±5%を意味することが意図される。
【0098】
本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、均等物が置換され得ることが、当業者によって理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを、本発明の目的、精神、および範囲に適合させるように、多くの修正が行われ得る。全てのそのような修正は、本明細書に添付される請求項の範囲内であることを意図している。