(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配線基板上に、ソルダーレジスト膜で覆われていない開口部が所定のパターンとなるように、前記ソルダーレジスト膜を形成する、ソルダーレジスト膜のパターン形成方法であって、
粘度が15Pa・s以上100Pa・s以下であり、チクソ比が3以上5以下であり、レオメーターにより測定した、温度20℃から160℃までの最低損失弾性率(G”)が、400Pa以上1000Pa以下である熱硬化型ソルダーレジストを、前記開口部に対応するパターンを有する印刷マスクを用いて、前記配線基板上に印刷する工程と、
前記ソルダーレジストを硬化させて、ソルダーレジスト膜を形成する工程と、
前記開口部の内縁に沿って、パルス幅が1ピコ秒以上1000ピコ秒以下のレーザーを照射して、前記ソルダーレジスト膜の一部を除去する工程と、を備え、
前記熱硬化型ソルダーレジストが、(A)ベース樹脂と、(B)エポキシ化合物と、(C)硬化剤と、(D)チクソ剤と、(E)溶剤とを含有し、
前記(B)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であり、
前記(C)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であり、
前記(D)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であり、
前記(E)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下である
ことを特徴とするソルダーレジスト膜のパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ソルダーレジスト膜のパターン形成方法]
以下、本実施形態のソルダーレジスト膜のパターン形成方法を図面に基づいて説明する。
図1(A)〜
図1(E)は、本実施形態のソルダーレジスト膜のパターン形成方法を説明するための図である。
本実施形態のソルダーレジスト膜のパターン形成方法においては、
図1(E)に示すように、配線基板1上に、開口部1Aが形成されるように、ソルダーレジスト膜2aを形成する。なお、ソルダーレジスト膜2aは、配線基板1を覆うように設けられるが、開口部1Aは、ソルダーレジスト膜2aに覆われていない。
そして、本実施形態のソルダーレジスト膜のパターン形成方法は、
図1(A)〜
図1(E)に示すように、ソルダーレジスト2を、印刷マスク3を用いて、配線基板1上に印刷する工程(印刷工程)と、ソルダーレジスト2を硬化させて、ソルダーレジスト膜2aを形成する工程(硬化工程)と、開口部1Aの内縁に沿って、パルス幅が1000ナノ秒以下のレーザー4を照射して、ソルダーレジスト膜2aの一部を除去する工程(レーザー除去工程)と、を備える方法である。
【0011】
[印刷工程]
印刷工程においては、まず、
図1(A)に示す配線基板1、および、
図1(B)に示すソルダーレジスト2を準備する。
配線基板1は、
図1(A)に示すように、絶縁基材11と、配線12とを備える。
絶縁基材11としては、適宜公知のものを用いることができ、ガラスエポキシ基材、ポリイミド基材、およびシリコン基材などが挙げられる。
配線12は、配線基板1の表面に形成されるものであり、他の電子部品との電気的接続を図るためのものである。配線12の材質は、特に限定されないが、銅、銀、スズ、金、ニッケル、およびパラジウムなどが挙げられる。配線12は、単一層で形成されていてもよく、複数の材質を用いて複数層で形成されてもよい。
【0012】
ソルダーレジスト2は、粘度が15Pa・s以上であり、チクソ比が2.1以上であることが必要である。粘度が15Pa・s未満の場合には、印刷の滲みが大きくなって除去面積が大きくなるために、加工時間が長くなり過ぎる。また、チクソ比が2.1未満の場合には、印刷の滲みが大きくなって除去面積が大きくなるために、加工時間が長くなり過ぎる。また、印刷の滲みの更なる抑制の観点から、粘度が、25Pa・s以上100Pa・s以下であることがより好ましく、40Pa・s以上90Pa・s以下であることがさらに好ましく、50Pa・s以上70Pa・s以下であることが特に好ましい。同様の観点から、チクソ比が、2.5以上5以下であることがより好ましく、3以上4.7以下であることがさらに好ましく、3.5以上4.5以下であることが特に好ましい。
【0013】
なお、粘度は、ブルックフィールド社製の粘度計HBT型を用いて、スピンドル回転数50rpmで温度25℃におけるソルダーレジスト2の粘度を測定する。また、ブルックフィールド社製の粘度計HBT型を用いて、スピンドル回転数5rpmで温度25℃におけるソルダーレジスト2の粘度(η5)、および、スピンドル回転数50rpmで温度25℃におけるソルダーレジスト2の粘度(η50)をそれぞれ測定し、これらの測定値からチクソ比(η5/η50)を算出する。
【0014】
また、ソルダーレジスト2における、レオメーターにより測定した、温度20℃から160℃までの最低損失弾性率(G”)は、300Pa以上2000Pa以下(より好ましくは、400Pa以上1000Pa以下)であることが好ましい。最低損失弾性率が300Pa以上であれば、除去面積を小さくできるために、加工時間をより短くできる。
なお、温度20℃から160℃までの最低損失弾性率(G”)は、次の方法により測定できる。すなわち、レオメーター(装置名「HAAKE MARS III」、Thermo Fisher Scientific社製)にソルダーレジストを投入し、昇温速度は5℃/min、周波数は1.0Hz、ギャップは0.5mm、ディスク径はφ25mmの条件で、プレートの回転を左右に振動させながら、温度を20℃から160℃まで変化させた場合のソルダーレジストのひずみを測定する。そして、測定結果に基づいて、貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”(単位:Pa)を算出し、損失弾性率G”の値が最低となるときの値を、最低損失弾性率として表記する。
【0015】
また、ソルダーレジスト2の粘度、チクソ比および最低損失弾性率を上述した範囲に調整する方法としては、以下のような方法が挙げられる。
粘度およびチクソ比は、いずれも硬化性樹脂、溶剤およびチクソ剤の種類や配合量を変更することにより調整できる。
最低損失弾性率(G”)は、いずれも硬化性樹脂、硬化剤、溶剤およびチクソ剤の種類や配合量を変更することにより調整できる。
【0016】
ソルダーレジスト2としては、熱硬化型ソルダーレジストおよび紫外線硬化型ソルダーレジストなどが挙げられる。これらの中でも、密着性、耐薬品性などの観点から、熱硬化型ソルダーレジストを用いることが好ましい。
本実施形態に用いる熱硬化型ソルダーレジストは、(A)ベース樹脂と、(B)エポキシ化合物と、(C)硬化剤と、(D)チクソ剤と、(E)溶剤とを含有することが好ましい。
【0017】
(A)ベース樹脂は、熱硬化型ソルダーレジストの主成分となる樹脂である。(A)成分としては、メタクリル酸エステル、およびアクリル酸エステルなどの不飽和基含有化合物の共重合により得られる樹脂が挙げられる。また、(A)成分としては、(B)エポキシ化合物との反応性を有する樹脂を用いることが好ましく、例えば、カルボキシル基を含有するカルボキシル基含有樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
(B)エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびp−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールF型またはビスフェノールS型のエポキシ樹脂(ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたエポキシ樹脂)、脂環式エポキシ樹脂(シクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、およびシクロペンテンオキシド基などを有するエポキシ樹脂)、トリグリシジルイソシアヌレート(トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなど)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびアダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
【0019】
(C)硬化剤は、(B)成分を硬化させるために使用する成分である。(C)成分としては、例えば、メラミン化合物、ジシアンジアミド化合物、イミダゾール化合物、およびフェノール化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(C)成分の配合量は、(B)成分の硬化性の観点から、(A)成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0020】
(D)チクソ剤としては、有機系チクソ剤および無機系チクソ剤が挙げられる。有機系チクソ剤としては、アマイド類などが挙げられる。また、無機系チクソ剤としては、フュームドシリカ、カオリン、有機ベントナイト、およびガラスフリットなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、チクソ比の観点から、有機系チクソ剤および無機系チクソ剤を併用することが好ましい。
(D)成分の配合量は、粘度およびチクソ比を調整するという観点から、(A)成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。
【0021】
(E)溶剤としては、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン)、アルコール類(例えば、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン)、石油系溶剤類(例えば、石油エーテル、石油ナフサ)、セロソルブ類(例えば、セロソルブ、ブチルセロソルブ)、(例えば、カルビトール、ブチルカルビトール)、および、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(E)成分の配合量は、粘度を調整するという観点から、(A)成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上150質量部以下であることが好ましく、50質量部以上120質量部以下であることがより好ましい。
【0022】
本実施形態に用いる熱硬化型ソルダーレジストには、上記した(A)成分〜(E)成分の他に、必要に応じて、種々の添加成分、例えば、フィラー(硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、タルク、およびマイカなど)、着色剤、酸化防止剤、およびカップリング剤などを、適宜配合してもよい。
【0023】
印刷工程においては、次に、
図1(B)に示すように、ソルダーレジスト2を、印刷マスク3を用いて、配線基板1上に印刷する。
印刷マスク3は、開口部1A(
図1(E)参照)に対応するパターンを有する。この印刷マスク3により、開口部1Aには、ソルダーレジスト2が印刷されないようにする。
印刷には、公知の印刷装置を適宜用いることができる。
ソルダーレジスト2の厚みにより、得られるソルダーレジスト膜2aを調整できる。ソルダーレジスト膜2aの厚みとしては、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
【0024】
[硬化工程]
硬化工程においては、
図1(C)に示すように、ソルダーレジスト2を硬化させて、ソルダーレジスト膜2aを形成する。
硬化条件は、ソルダーレジスト2の種類に応じて異なるが、例えば、熱硬化型ソルダーレジストを用いる場合には、熱処理を施すことにより、ソルダーレジスト2を硬化させることができる。
熱処理条件は、熱硬化型ソルダーレジストの種類に応じて異なり、特に限定されない。例えば、生産性の観点から、熱処理温度は、100℃以上200℃以下であることが好ましく、120℃以上160℃以下であることがより好ましい。また、生産性の観点から、熱処理時間は、10分間以上2時間以下であることが好ましく、20分間以上90分間以下であることがより好ましい。
【0025】
[レーザー除去工程]
レーザー除去工程においては、
図1(D)に示すように、開口部1Aの内縁に沿って、パルス幅が1000ナノ秒以下のレーザー4を照射して、ソルダーレジスト膜2aの一部を除去する。
レーザー4は、パルス幅が1000ナノ秒以下のレーザーであり、具体的には、ナノ秒レーザー、およびピコ秒レーザーなどである。このようなレーザー4であれば、デブリの発生を十分に抑制できる。また、本実施形態においては、レーザー4により除去するのは、開口部1Aの内縁にある印刷の滲み部分だけなので、加工時間が長くなり過ぎることはない。さらに、デブリの更なる抑制の観点からは、パルス幅が1ピコ秒以上1000ピコ秒以下のピコ秒レーザーを用いることが好ましい。
開口部1Aの広さは、特に限定されない。しかし、例えば、開口部1Aがビアである場合、ビアの直径が、50μm以上1000μm以下であることが好ましく、100μm以上500μm以下であることがより好ましい。ビアの直径が前記範囲内であれば、加工時間およびパターン形成の精度の両方を高いレベルで維持できる。
【0026】
本実施形態によれば、前記したような簡便な方法で、
図1(E)に示すように、ソルダーレジスト膜2aを精度良くパターン形成できる。
【0027】
[電子基板の製造方法]
次に、本実施形態の電子基板の製造方法について説明する。
本実施形態の電子基板の製造方法は、前述したソルダーレジスト膜の形成方法により、配線基板1上にソルダーレジスト膜2aを形成し、電子基板を製造することを特徴とする方法である。
具体的には、前述したソルダーレジスト膜の形成方法により、パターン形成されたソルダーレジスト膜2aを有する配線基板1を作製し、これに、電子部品(チップおよびパッケージ部品など)を搭載し、リフロー処理を施すなどして、電子基板を製造する。
なお、本発明のソルダーレジスト膜の形成方法および電子基板の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた材料を以下に示す。
((A)成分)
ベース樹脂:メタクリル酸エステル系樹脂、商品名「ハイパールMA−4620」、根上工業社製、酸価は約130
((B)成分)
エポキシ化合物:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名「828」、三菱化学社製
((C)成分)
硬化剤:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、商品名「キュアゾール2P4MHZ−PW」、四国化成工業社製
((D)成分)チクソ剤A:フュームドシリカ、商品名「AEROSIL R974」、日本アエロジル社製
チクソ剤B:ポリカルボン酸のアマイド、商品名「BYK−405」、ビックケミージャパン社製
((E)成分)
溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、商品名「EDGAC」、ダイセル社製
【0029】
[実施例1]
ベース樹脂418質量部、エポキシ化合物179質量部、硬化剤10質量部、チクソ剤A100質量部、チクソ剤B3質量部および溶剤490質量部を容器に投入し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールを用いて室温にて混合し分散させて、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
配線基板(ガラスエポキシ基材、両面板、厚み:1.6mm)に、表面処理(バフ研磨およびスクラブ研磨)を施した後、開口部(直径200μmφのビア)に対応するパターンを有する印刷マスクを用いて、熱硬化型ソルダーレジストを印刷した(印刷工程)。その後、BOX炉にて温度150℃で60分の熱処理を施すことで、配線基板上にソルダーレジスト膜を形成した(硬化工程)。ソルダーレジスト膜の厚みは、15μmであった。
そして、直径200μmφのビアの内縁に沿って、レーザー加工装置A(UVレーザー、「LPM−GPX−T」、三星ダイヤモンド社製)を用いて、パルス幅が15ピコ秒で、波長が355nmのレーザーを照射して、ソルダーレジスト膜の一部を除去して、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した(レーザー除去工程)。
【0030】
[実施例2]
実施例1と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
また、レーザー除去工程におけるレーザーのパルス幅を15ナノ秒に変更した以外は実施例1と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0031】
[比較例1]
実施例1と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
また、印刷工程において印刷マスクを用いずにベタ印刷を行い、レーザー除去工程において、直径200μmφのビアの内縁だけでなく、ビア全体にレーザーを照射した以外は実施例1と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0032】
[比較例2]
実施例1と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
また、レーザー除去工程において、レーザー加工装置B(炭酸ガスレーザー、「ML605GTW5(−H)−5350U」、三菱電機社製)を用いて、パルス幅が10マイクロ秒で、波長が1064nmのレーザーを照射した以外は実施例1と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0033】
[比較例3]
実施例1と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
また、レーザー除去工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0034】
[比較例4]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
そして、得られた熱硬化型ソルダーレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0035】
[比較例5]
比較例4と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
また、レーザー除去工程を行わなかった以外は比較例4と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0036】
[比較例6]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
そして、得られた熱硬化型ソルダーレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0037】
[比較例7]
比較例6と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
また、レーザー除去工程を行わなかった以外は比較例6と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0038】
[比較例8]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化型ソルダーレジストを得た。
そして、得られた熱硬化型ソルダーレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を作製した。
【0039】
<絶縁被膜の形成方法の評価>
絶縁被膜の形成方法の評価(粘度、チクソ比、ビア形成時間、ビア端部のテーパー幅、デブリ、最低損失弾性率)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。また、実施例1、2および比較例1〜8における印刷工程での印刷形式、並びにレーザー除去工程の条件を表1に示す。
(1)粘度
ブルックフィールド社製の粘度計HBT型を用いて、スピンドル回転数50rpmで温度25℃における熱硬化型ソルダーレジストの粘度を測定した。
(2)チクソ比
ブルックフィールド社製の粘度計HBT型を用いて、スピンドル回転数5rpmで温度25℃における熱硬化型ソルダーレジストの粘度(η5)、および、スピンドル回転数50rpmで温度25℃における熱硬化型ソルダーレジストの粘度(η50)をそれぞれ測定した。そして、これらの測定値からチクソ比(η5/η50)を算出した。
(3)ビア形成時間
直径200μmφのビア1つあたりの形成時間(単位:秒)を測定した。
(4)ビア端部のテーパー幅
パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を試料として、KYENCE社製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡「VK−9500」で、ビア周辺部を観察して、ビア端部のテーパー幅を測定した。なお、ビア端部のテーパー幅とは、ソルダーレジスト膜におけるビア端部の上端部から下端部までの基板の平面方向における距離である。
(5)デブリ
パターン形成されたソルダーレジスト膜を有する配線基板を試料として、KYENCE社製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡「VK−9500」で、ビア周辺部を観察した。そして、以下の基準に従って、デブリを評価した。
○:デブリが観察されなかった。
△:デブリが観察されたが、デブリの高さが1μm未満であった。
×:デブリが観察され、デブリの高さが1μm以上であった。
(6)最低損失弾性率
レオメーター(装置名「HAAKE MARS III」、Thermo Fisher Scientific社製)にソルダーレジストを投入し、昇温速度は5℃/min、周波数は1.0Hz、ギャップは0.5mm、ディスク径はφ25mmの条件で、プレートの回転を左右に振動させながら、温度を20℃から160℃まで変化させた場合のソルダーレジストのひずみを測定する。そして、測定結果に基づいて、貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”(単位:Pa)を算出し、損失弾性率G”の値が最低となるときの値を、最低損失弾性率として表記する。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のソルダーレジスト膜のパターン形成方法を用いた場合(実施例1および2)には、ビア形成時間、ビア端部のテーパー幅、およびデブリの結果が良好であることが確認された。従って、本発明のソルダーレジスト膜のパターン形成方法によれば、簡便な方法で、ソルダーレジスト膜を精度良くパターン形成できることが確認された。