特許第6605111号(P6605111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6605111
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】燃料電池セル、及びセルスタック装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0265 20160101AFI20191031BHJP
   H01M 8/026 20160101ALI20191031BHJP
   H01M 8/0263 20160101ALI20191031BHJP
   H01M 8/1226 20160101ALI20191031BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20191031BHJP
   H01M 8/243 20160101ALN20191031BHJP
   H01M 8/2418 20160101ALN20191031BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20191031BHJP
【FI】
   H01M8/0265
   H01M8/026
   H01M8/0263
   H01M8/1226
   H01M8/2484
   !H01M8/243
   !H01M8/2418
   !H01M8/12 101
   !H01M8/12 102C
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-209050(P2018-209050)
(22)【出願日】2018年11月6日
【審査請求日】2019年4月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小原 隆平
(72)【発明者】
【氏名】菅 博史
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−208417(JP,A)
【文献】 特開昭62−271354(JP,A)
【文献】 特開平09−102323(JP,A)
【文献】 特開2017−017023(JP,A)
【文献】 特開2007−211268(JP,A)
【文献】 特開2014−194065(JP,A)
【文献】 特開2015−025151(JP,A)
【文献】 特開2019−106361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部及び基端部を有する燃料電池セルであって、
支持基板と、
前記支持基板上に配置される少なくとも1つの発電素子部と、
前記支持基板内を前記基端部から前記先端部に向かって延びる複数の第1ガス流路と、
前記支持基板内を前記基端部から前記先端部に向かって延び、前記先端部において前記第1ガス流路と連通する少なくとも1つの第2ガス流路と、
を備え、
前記少なくとも1つの第1ガス流路の断面積の合計値は、前記少なくとも1つの第2ガス流路の断面積の合計値よりも小さく、
隣り合う前記第1ガス流路と前記第2ガス流路との間のピッチは、隣り合う前記第1ガ
ス流路間のピッチよりも大きい、
燃料電池セル。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2ガス流路の断面積の合計値(S2)に対する、前記少なくとも1つの第1ガス流路の断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)は、0.92以下である、
請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1ガス流路の各断面積は、前記少なくとも1つの第2ガス流路の各断面積よりも小さい、
請求項1又は2に記載の燃料電池セル。
【請求項4】
前記第1ガス流路の数は、前記第2ガス流路の数よりも少ない、
請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池セル。
【請求項5】
前記燃料電池セルの先端部において前記少なくとも1つの第1ガス流路と前記少なくとも1つの第2ガス流路とを連通する連通流路をさらに備える、
請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池セル。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の燃料電池セルと、
ガス供給室及びガス回収室を有し、前記燃料電池セルの基端部を支持するマニホールドと、
を備え、
前記少なくとも1つの第1ガス流路は、前記ガス供給室と連通し、
前記少なくとも1つの第2ガス流路は、前記ガス回収室と連通する、
セルスタック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池セル、及びセルスタック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルスタック装置は、燃料電池セル及びマニホールドを有している。燃料電池セルは、マニホールドから上方に延びており、マニホールドからの燃料ガスの供給を受けて発電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−171064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなセルスタック装置において、燃料電池セルにおける出力の向上が要望されている。そこで、本発明の課題は、燃料電池セルにおける出力を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に係る燃料電池セルは、先端部及び基端部を有する。この燃料電池セルは、支持基板と、少なくとも1つの発電素子部と、少なくとも1つの第1ガス流路と、少なくとも1つの第2ガス流路とを備えている。発電素子部は、支持基板上に配置される。第1及び第2ガス流路は、支持基板内を基端部から先端部に向かって延び、先端部において互いに連通している。少なくとも1つの第1ガス流路の断面積の合計値は、少なくとも1つの第2ガス流路の断面積の合計値よりも小さい。
【0006】
このように、少なくとも1つの第1ガス流路の断面積の合計値を、少なくとも1つの第2ガス流路の断面積の合計値よりも小さくすることによって、燃料電池セルにおける出力を向上させることができる。
【0007】
好ましくは、少なくとも1つの第2ガス流路の断面積の合計値(S2)に対する、少なくとも1つの第1ガス流路の断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)は、0.92以下である。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの第1ガス流路の各断面積は、少なくとも1つの第2ガス流路の各断面積よりも小さい。
【0009】
好ましくは、第1ガス流路の数は、第2ガス流路の数よりも少ない。
【0010】
好ましくは、燃料電池セルは、連通流路をさらに備える。連通流路は、燃料電池セルの先端部において、少なくとも1つの第1ガス流路と少なくとも1つの第2ガス流路とを連通する。
【0011】
本発明の第2側面に係るセルスタック装置は、上記いずれかの燃料電池セルと、マニホールドとを備える。マニホールドは、ガス供給室及びガス回収室を有する。マニホールドは、燃料電池セルの基端部を支持する。少なくとも1つの第1ガス流路は、ガス供給室と連通する。少なくとも1つの第2ガス流路は、ガス回収室と連通する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、燃料電池セルにおける出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】セルスタック装置の斜視図。
図2】マニホールドの断面図。
図3】マニホールドの上面図。
図4】セルスタック装置の断面図。
図5】燃料電池セルの斜視図。
図6】支持基板の断面図。
図7】燃料電池セルの断面図。
図8】基端部における燃料電池セルの断面図。
図9】先端部における燃料電池セルの断面図。
図10】変形例に係るセルスタック装置の断面図。
図11】変形例に係るセルスタック装置の断面図。
図12】変形例に係るセルスタック装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る燃料電池セル及びセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、燃料電池セルの一例として固体酸化物形燃料電池セル(SOFC)を用いて説明する。図1はセルスタック装置を示す斜視図、図2はマニホールドの断面図である。なお、図1及び図2において、いくつかの燃料電池セルの記載を省略している。
【0015】
[セルスタック装置]
図1に示すように、セルスタック装置100は、マニホールド2と、複数の燃料電池セル10と、を備えている。
【0016】
[マニホールド]
図2に示すように、マニホールド2は、燃料電池セル10にガスを供給するように構成されている。また、マニホールド2は、燃料電池セル10から排出されたガスを回収するように構成されている。マニホールド2は、ガス供給室21とガス回収室22とを有している。ガス供給室21には、改質器などを介して燃料ガス供給源から燃料ガスが供給される。ガス回収室22は、各燃料電池セル10にて使用された燃料ガスのオフガスを回収する。
【0017】
マニホールド2は、マニホールド本体部23と、仕切板24とを有している。マニホールド本体部23は、内部に空間を有している。マニホールド本体部23は、直方体状である。
【0018】
図3に示すように、マニホールド本体部23の天板部231には、複数の貫通孔232が形成されている。各貫通孔232は、マニホールド本体部23の長さ方向(z軸方向)に間隔をあけて並んでいる。各貫通孔232は、マニホールド本体部23の幅方向(y軸方向)に延びている。各貫通孔232は、ガス供給室21及びガス回収室22に開口している。なお、各貫通孔232は、ガス供給室21に開口する部分とガス回収室22に開口する部分とに分かれていてもよい。
【0019】
仕切板24は、マニホールド本体部23の空間をガス供給室21とガス回収室22とに仕切っている。詳細には、仕切板24は、マニホールド本体部23の略中央部において、マニホールド本体部23の長さ方向に延びている。なお本実施形態では、仕切板24はマニホールド本体部23の空間を完全に仕切っているが、仕切板24とマニホールド本体部23との間に隙間が形成されていてもよい。
【0020】
図2に示すように、ガス供給室21の底面には、ガス供給口211が形成されている。また、ガス回収室22の底面には、ガス排出口221が形成されている。なお、ガス供給口211はガス供給室21の側面又は上面に形成されていてもよいし、ガス排出口221はガス回収室22の側面又は上面に形成されていてもよい。
【0021】
ガス供給口211は、例えば、燃料電池セル10の配列方向(z軸方向)において、マニホールド2の中心Cよりも第1端部201側に配置されている。一方、ガス排出口221は、例えば、燃料電池セル10の配列方向(z軸方向)において、マニホールド2の中心Cよりも第2端部202側に配置されている。
【0022】
[燃料電池セル]
図4は、セルスタック装置の断面図を示している。図4に示すように、燃料電池セル10は、マニホールド2から上方に延びている。燃料電池セル10は、基端部101及び先端部102を有している。燃料電池セル10は、基端部101がマニホールド2に取り付けられている。すなわち、マニホールド2は、各燃料電池セル10の基端部101を支持している。本実施形態では、燃料電池セル10の基端部101は下端部を意味し、燃料電池セル10の先端部102は上端部を意味する。
【0023】
図1に示すように、各燃料電池セル10は、主面同士が対向するように並べられている。また、各燃料電池セル10は、マニホールド2の長さ方向(z軸方向)に沿って間隔をあけて並べられている。すなわち、燃料電池セル10の配列方向は、マニホールド2の長さ方向に沿っている。本実施形態では、各燃料電池セル10は、マニホールド2の長さ方向に沿って等間隔に配置されているが、等間隔でなくてもよい。
【0024】
図4及び図5に示すように、燃料電池セル10は、支持基板4、複数の第1ガス流路43、複数の第2ガス流路44、及び複数の発電素子部5を有している。また、燃料電池セル10は、連通流路30を有している。
【0025】
[支持基板]
支持基板4は、マニホールド2から上方に延びている。支持基板4は、扁平状であり、基端部41と先端部42とを有している。基端部41及び先端部42は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)における両端部である。本実施形態では、支持基板4の基端部41は下端部を意味し、支持基板4の先端部42は上端部を意味する。本実施形態では、支持基板4は、幅方向(y軸方向)に比べて長さ方向(x軸方向)の寸法の方が長いが、長さ方向(x軸方向)よりも幅方向(y軸方向)の寸法の方が長くてもよい。
【0026】
支持基板4の基端部41は、マニホールド2に取り付けられる。例えば、支持基板4の基端部41は、接合材などによってマニホールド2の天板部231に取り付けられる。詳細には、支持基板4の基端部41は、天板部231に形成された貫通孔232に挿入されている。なお、支持基板4の基端部41は、貫通孔232に挿入されていなくてもよい。
【0027】
図5に示すように、支持基板4は、第1主面45と、第2主面46とを有している。第1主面45と第2主面46とは、互いに反対を向いている。第1主面45及び第2主面46は、各発電素子部5を支持している。第1主面45及び第2主面46は、支持基板4の厚さ方向(z軸方向)を向いている。また、支持基板4の各側面47は、支持基板4の幅方向(y軸方向)を向いている。各側面47は、湾曲していてもよい。
【0028】
支持基板4は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板4は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成される。または、支持基板4は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板4の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。この気孔率は、例えば、アルキメデス法、又は微構造観察により測定される。
【0029】
支持基板4は、緻密層48によって覆われている。緻密層48は、第1ガス流路43及び第2ガス流路44から支持基板4内に拡散されたガスが外部に排出されることを抑制するように構成されている。本実施形態では、緻密層48は、支持基板4の第1主面45、第2主面46、及び各側面47を覆っている。なお、本実施形態では、緻密層48は、後述する電解質7と、インターコネクタ9とによって構成されている。緻密層48は、支持基板4よりも緻密である。例えば、緻密層48の気孔率は、0〜7%程度である。
【0030】
[第1及び第2ガス流路]
第1及び第2ガス流路43、44は、支持基板4内を延びている。第1及び第2ガス流路43、44は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)に延びている。すなわち、第1及び第2ガス流路43、44は、燃料電池セル10の基端部101から先端部102に向かって延びている。第1及び第2ガス流路43,44のそれぞれは、互いに実質的に平行に延びている。なお、第1及び第2ガス流路43、44は、支持基板4を貫通している。
【0031】
燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、第1ガス流路43は、基端部101側においてガス供給室21と連通しており、第2ガス流路44は基端部101側においてマニホールド2のガス回収室22と連通している。
【0032】
各第1ガス流路43は、支持基板4の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第1ガス流路43は、等間隔に配置されていることが好ましい。また、各第2ガス流路44は、支持基板4の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第2ガス流路44は、等間隔に配置されていることが好ましい。
【0033】
図4に示すように、隣り合う第1ガス流路43のピッチp1は、例えば、1〜5mm程度である。この隣り合う第1ガス流路43のピッチp1は、第1ガス流路43の中心間の距離である。例えば、第1ガス流路43のピッチp1は、支持基板4の基端部41、中央部、及び先端部42のそれぞれにおいて測定したピッチの平均値とすることができる。
【0034】
隣り合う第2ガス流路44のピッチp2は、例えば、1〜5mm程度である。この隣り合う第2ガス流路44のピッチp2は、第2ガス流路44の中心間の距離である。例えば、第2ガス流路44のピッチp2は、支持基板4の基端部41、中央部、及び先端部42のそれぞれにおいて測定したピッチの平均値とすることができる。なお、各第2ガス流路44間のピッチp2は、各第1ガス流路43間のピッチp1と実質的に等しいことが好ましい。
【0035】
隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、例えば、1〜10mm程度である。この隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、第1ガス流路43の中心と第2ガス流路44の中心との距離である。例えば、ピッチp0は、燃料電池セル10の基端面111において測定することができる。
【0036】
隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、隣り合う第1ガス流路43のピッチp1よりも大きい。また、隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、隣り合う第2ガス流路44のピッチp2よりも大きい。
【0037】
このように、第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0を第1ガス流路43間のピッチp1、及び第2ガス流路44間のピッチp2よりも大きくすることによって、隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とを分けている。この第1ガス流路43と第2ガス流路44との間の領域を境界領域403と称する。
【0038】
図6に示すように、支持基板4は、第1領域401、第2領域402、及び境界領域403を有している。第1領域401、第2領域402、及び境界領域403のそれぞれの領域は、支持基板4を幅方向(y軸方向)に区画することによってできる領域である。第1領域401は、第1ガス流路43が形成される領域である。第2領域402は、第2ガス流路44が形成される領域である。境界領域403は、第1領域401と第2領域402との間の領域である。境界領域403によって、第1領域401と第2領域402とが隔てられている。
【0039】
第1ガス流路43と第2ガス流路44とは、燃料電池セル10の先端部102側において互いに連通している。詳細には、第1ガス流路43と、第2ガス流路44とが、連通部材3の連通流路30を介して連通している。
【0040】
[第1及び第2ガス流路の断面積]
各第1ガス流路43の断面積の合計値は、各第2ガス流路44の断面積の合計値よりも小さい。このため、各第1ガス流路43内を流れるガスの圧力損失の合計値は、各第2ガス流路44内を流れるガスの圧力損失の合計値よりも大きい。なお、本実施形態では、各第1ガス流路43の断面積のそれぞれは、各第2ガス流路44の断面積のそれぞれよりも小さい。
【0041】
各第2ガス流路44の断面積の合計値(S2)に対する、各第1ガス流路43の断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)は、出力向上の観点から、例えば、0.92以下とすることが好ましい。また、この割合(S1/S2)は、特に限定されるものではないが、製造上の観点から、例えば、0.02以上とすることができる。なお、第1ガス流路43の断面積は、例えば、0.1〜25mm程度とすることができる。また、第2ガス流路44の断面積は、例えば、0.5〜30mm程度とすることができる。
【0042】
なお、第1ガス流路43の断面積は、第1ガス流路43が延びる方向(x軸方向)と直交する面(yz平面)で切断した切断面における第1ガス流路43の断面積を言う。また、第1ガス流路43の断面積は、基端部101側の任意の箇所における断面積と、中央部の任意の箇所における断面積と、先端部102側の任意の箇所における断面積との平均値とすることができる。
【0043】
また、第2ガス流路44の断面積は、第2ガス流路44が延びる方向(x軸方向)と直交する面(yz平面)で切断した切断面における第2ガス流路44の断面積を言う。また、第2ガス流路44の断面積は、基端部101側の任意の箇所における断面積と、中央部の任意の箇所における断面積と、先端部102側の任意の箇所における断面積との平均値とすることができる。
【0044】
[発電素子部]
各発電素子部5は、支持基板4の第1主面45又は第2主面46に支持されている。なお、第1主面45に形成される発電素子部5の数と第2主面46に形成される発電素子部5の数とは、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。また、各発電素子部5の大きさは、互いに異なっていてもよい。
【0045】
各発電素子部5は、第1及び第2ガス流路43,44が延びる方向(x軸方向)に沿って間隔をあけて配置される。詳細には、各発電素子部5は、支持基板4上において、基端部101から先端部102に向かって互いに間隔をあけて配置されている。なお、各発電素子部5は、インターコネクタ9によって、互いに直列に接続されている。
【0046】
発電素子部5は、支持基板4の幅方向(y軸方向)に延びている。発電素子部5は、支持基板4の幅方向において第1部分51と第2部分52とに区画される。なお、第1部分51と第2部分52との厳密な境界はない。例えば、燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、支持基板4の長さ方向視(x軸方向視)において、ガス供給室21とガス回収室22との境界と重複する部分を、第1部分51と第2部分52との境界部とすることができる。
【0047】
支持基板4の厚さ方向視(z軸方向視)において、各第1ガス流路43は、発電素子部5の第1部分51と重複している。このため、発電素子部5の第1部分51は、主に各第1ガス流路43から燃料ガスが供給される。また、支持基板4の厚さ方向視(z軸方向視)において、各第2ガス流路44は、発電素子部5の第2部分52と重複している。このため、発電素子部5の第2部分52は、主に各第2ガス流路44から燃料ガスが供給される。なお、複数の第1ガス流路43のうち、一部の第1ガス流路43が第1部分51と重複していなくてもよい。同様に、複数の第2ガス流路44のうち、一部の第2ガス流路44が第2部分52と重複していなくてもよい。
【0048】
図7は、第1ガス流路43に沿って切断した燃料電池セル10の断面図である。なお、第2ガス流路44に沿って切断した燃料電池セル10の断面図は、第2ガス流路44の断面積が異なる以外は、図7と同じである。
【0049】
発電素子部5は、燃料極6、電解質7、及び空気極8を有している。また、発電素子部5は、反応防止膜11をさらに有している。燃料極6は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極6は、燃料極集電部61と燃料極活性部62とを有する。
【0050】
燃料極集電部61は、凹部49内に配置されている。凹部49は、支持基板4に形成されている。詳細には、燃料極集電部61は、凹部49内に充填されており、凹部49と同様の外形を有する。各燃料極集電部61は、第1凹部611及び第2凹部612を有している。燃料極活性部62は、第1凹部611内に配置されている。詳細には、燃料極活性部62は、第1凹部611内に充填されている。
【0051】
燃料極集電部61は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部61は、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部61の厚さ、及び凹部49の深さは、50〜500μm程度である。
【0052】
燃料極活性部62は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部62は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部62の厚さは、5〜30μmである。
【0053】
電解質7は、燃料極6上を覆うように配置されている。詳細には、電解質7は、一のインターコネクタ9から他のインターコネクタ9まで長さ方向に延びている。すなわち、支持基板4の長さ方向(x軸方向)において、電解質7とインターコネクタ9とが交互に配置されている。また、電解質7は、支持基板4の第1主面45、第2主面46、及び各側面47を覆っている。
【0054】
電解質7は、支持基板4よりも緻密である。例えば、電解質7の気孔率は、0〜7%程度である。電解質7は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質7は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質7の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0055】
反応防止膜11は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜11は、平面視において、燃料極活性部62と略同一の形状である。反応防止膜11は、電解質7を介して、燃料極活性部62と対応する位置に配置されている。反応防止膜11は、電解質7内のYSZと空気極活性部81内のSrとが反応して電解質7と空気極活性部81との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜11は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜11の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0056】
空気極8は、燃料極6と協働して電解質7を挟むように配置されている。空気極8は、空気極活性部81及び空気極集電部82を有している。
【0057】
空気極活性部81は、反応防止膜11上に配置されている。空気極活性部81は、酸素イオン伝導性を有するとともに、電子伝導性を有する。空気極活性部81は、空気極集電部82よりも酸素イオン伝導性を有する物質の含有率が大きい。詳細には、空気極活性部81における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合は、空気極集電部82における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合よりも大きい。
【0058】
空気極活性部81は、多孔質の材料から構成される。空気極活性部81は焼成体である。空気極活性部81は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極活性部81は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極活性部81の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0059】
空気極集電部82は、空気極活性部81上に配置されている。空気極集電部82は、空気極活性部81から、隣の発電素子部5に向かって延びている。空気極集電部82は、インターコネクタ9を介して隣の発電素子部5の燃料極集電部61と電気的に接続されている。なお、燃料極集電部61と空気極集電部82とは、支持基板20の長手方向(x軸方向)において、発電領域から互いに反対側に延びている。なお、発電領域とは、平面視(z軸方向視)において、燃料極活性部62と電解質7と空気極活性部81とが重複する領域である。
【0060】
空気極集電部82は、電子伝導性を有する多孔質材料から構成される。空気極集電部82は、焼成体である。空気極集電部82は、空気極活性部81よりも高い電子伝導性を有していることが好ましい。空気極集電部82は、酸素イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0061】
空気極集電部82は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部82は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部82は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。なお、空気極集電部82の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0062】
[インターコネクタ]
インターコネクタ9は、x軸方向において隣り合う発電素子部5を電気的に接続するように構成されている。インターコネクタ9は、隣り合う発電素子部5の一方の発電素子部5の燃料極6と、他方の発電素子部5の空気極8とを電気的に接続している。詳細には、インターコネクタ9は、一方の発電素子部5の燃料極集電部61と、他方の発電素子部5の空気極集電部82とを電気的に接続している。
【0063】
このように、各発電素子部5は、インターコネクタ9によって、第1及び第2主面45、46のそれぞれにおいて燃料電池セル10の先端部102から基端部101まで直列に接続されている。
【0064】
インターコネクタ9は、例えば、燃料極集電部61の第2凹部612内に配置されている。詳細には、インターコネクタ9は、第2凹部612内に埋設(充填)されている。インターコネクタ9は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ9は、支持基板4よりも緻密である。例えば、インターコネクタ9の気孔率は、0〜7%程度である。インターコネクタ9は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ9の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0065】
図8に示すように、各燃料電池セル10において最も基端側に配置されたインターコネクタ9dは、第1主面45に配置される発電素子部5と、第2主面に配置される発電素子部5とを電気的に接続している。なお、各燃料電池セル10の各主面45,46において最も基端側に配置された一対の発電素子部5は、インターコネクタ9dを介して互いに隣り合っている。また、本実施形態では、第2主面46において最も基端側に配置されたインターコネクタ9dが、各燃料電池セル10において最も基端側に配置されたインターコネクタである。
【0066】
第1主面45において最も基端側に配置された発電素子部5の空気極集電部82は、第1主面45から側面47を介して第2主面46まで延びている。すなわち、この最も基端側に配置された発電素子部5の空気極集電部82は、環状に延びている。そして、第2主面46において最も基端側に配置されたインターコネクタ9dは、第1主面45から第2主面46まで延びる空気極集電部82と、第2主面46において最も基端側に配置された発電素子部5の燃料極集電部61と、を電気的に接続している。
【0067】
このように、第1主面45において直列接続された複数の発電素子部5と、第2主面46において直列接続された複数の発電素子部5とは、インターコネクタ9dによって、燃料電池セル10の基端部101において直列接続されている。
【0068】
[連通部材]
図4に示すように、連通部材3は、支持基板4の先端部42に取り付けられている。そして、連通部材3は、連通流路30を有している。連通流路30は、第1ガス流路43と第2ガス流路44とを連通する。すなわち、第1ガス流路43と第2ガス流路44とは、連通流路30を介して互いに連通している。
【0069】
連通流路30は、燃料電池セル10の先端部102において、燃料電池セル10の幅方向(y軸方向)に延びている。すなわち、連通流路30は、第1及び第2ガス流路43,44と交差する方向に延びている。各第1ガス流路43及び各第2ガス流路44は、先端部102において、連通流路30と連通している。
【0070】
連通部材3は、支持基板4に接合されていることが好ましい。また、連通部材3は、支持基板4と一体的に形成されていることが好ましい。連通流路30の数は、第1ガス流路43の数よりも少ない。本実施形態では、一本の連通流路30のみによって、複数の第1ガス流路43と複数の第2ガス流路44とが連通されている。
【0071】
連通部材3は、例えば、多孔質である。また、連通部材3は、その外側面を構成する緻密層31を有している。緻密層31は、連通部材3の本体よりも緻密に形成されている。例えば、緻密層31の気孔率は、0〜7%程度である。この緻密層31は、連通部材3と同じ材料や、上述した電解質7に使用される材料、結晶化ガラス等によって形成することができる。
【0072】
[集電部材]
図9に示すように、集電部材12は、隣り合う燃料電池セル10の間に配置されている。そして、集電部材12は、隣り合う燃料電池セル10を互いに電気的に接続している。集電部材12は、隣り合う燃料電池セル10の先端部102同士を接合している。例えば、集電部材12は、支持基板4の両主面に配置された複数の発電素子部5のうち、最も先端側に配置された発電素子部5よりも先端側に配置されている。集電部材12は、隣り合う燃料電池セル10の最も先端側に配置された発電素子部5同士を電気的に接続している。なお、各燃料電池セル10の各主面45,46において最も先端側に配置された発電素子部5は、隣の燃料電池セル10の最も先端側に配置された発電素子部5と隣り合っている。
【0073】
集電部材12は、導電性接合材103を介して、発電素子部5から延びる空気極集電部82に接合される。導電性接合材103としては、周知の導電性セラミックス等を用いることができる。例えば、導電性接合材103は、(Mn,Co)、(La,Sr)MnO、及び(La,Sr)(Co,Fe)Oなどから選ばれる少なくとも1種によって構成することができる。
【0074】
このように、各燃料電池セル10において、最も先端側に配置されたインターコネクタ9bは、集電部材12及び空気極集電部82を介して、隣り合う一対の燃料電池セル10の発電素子部5同士を電気的に接続している。本実施形態では、第1主面45において最も先端側に配置されたインターコネクタ9が、各燃料電池セル10において最も先端側に配置されたインターコネクタである。
【0075】
[発電方法]
上述したように構成されたセルスタック装置100では、燃料ガスをマニホールド2のガス供給室21に供給するとともに、燃料電池セル10を空気などの酸素を含むガスに曝す。例えば、燃料電池セル10の上方から燃料電池セル10に向かって空気を供給する。すると、空気極8において下記(1)式に示す化学反応が起こり、燃料極6において下記(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O+2e→O2− …(1)
+O2−→HO+2e …(2)
【0076】
詳細には、ガス供給室21に供給された燃料ガスは、各燃料電池セル10の第1ガス流路43内を流れ、各発電素子部5の燃料極6において、上記(2)式に示す化学反応が起こる。各燃料極6において未反応であった燃料ガスは、第1ガス流路43を出て連通部材3の連通流路30を介して第2ガス流路44へ供給される。そして、第2ガス流路44へ供給された燃料ガスは、再度、燃料極6において上記(2)式に示す化学反応が起こる。第2ガス流路44を流れる過程において燃料極6において未反応であった燃料ガスは、マニホールド2のガス回収室22へ回収される。
【0077】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0078】
変形例1
上記実施形態では、第1ガス流路43と第2ガス流路44とは、連通部材3が有する連通流路30によって連通されていたが、この構成に限定されない。例えば、図10に示すように、連通流路30は、支持基板4内に形成されていてもよい。この場合、セルスタック装置100は、連通部材3を備えていなくてもよい。この支持基板4内に形成された連通流路30によって、第1ガス流路43と第2ガス流路44とが連通されている。
【0079】
変形例2
上記実施形態では、支持基板4は、複数の第1ガス流路43を有しているが、1つの第1ガス流路43のみを有していてもよい。この場合、第1ガス流路43の断面積の合計値とは、その1つの第1ガス流路43の断面積を意味する。同様に、支持基板4は、複数の第2ガス流路44を有しているが、1つの第2ガス流路44のみを有していてもよい。この場合、第2ガス流路44の断面積の合計値とは、その1つの第2ガス流路44の断面積を意味する。
【0080】
変形例3
各第1ガス流路43の断面積は、互いに異なっていてもよい。また、各第2ガス流路44の断面積は、互いに異なっていてもよい。
【0081】
変形例4
上記実施形態では、第1ガス流路43の数と第2ガス流路44の数とは互いに同じであったが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、第1ガス流路43の数を、第2ガス流路44の数よりも少なくしてもよい。すなわち、ガス供給室21と連通するガス流路の数をガス回収室22と連通するガス流路の数よりも少なくしてもよい。この場合、各第1ガス流路43の各断面積は、各第2ガス流路44の各断面積と同じであってもよい。また、第1ガス流路43の断面積の合計値が第2ガス流路44の断面積の合計値以上にならない範囲であれば、各第1ガス流路43の各断面積は、各第2ガス流路44の各断面積よりも大きくてもよい。
【0082】
なお、図11に示す構成では、第1ガス流路43間のピッチp1を広げることで第1ガス流路43の数を第2ガス流路44の数よりも少なくしているが、セルスタック装置100は、他の構成によって第1ガス流路43の数を第2ガス流路44の数よりも少なくしてもよい。例えば、図12に示すように、第1領域401を第2領域402よりも小さくすることによって、第1ガス流路43の数を第2ガス流路44の数よりも少なくしてもよい。この場合、境界領域403は、幅方向(y軸方向)において支持基板4の中央から第1領域401側に寄っている。また、マニホールド2は、ガス供給室21がガス回収室22よりも小さくなるように構成されている。例えば、仕切板24を中央よりもガス供給室21側に移動させることによって、ガス供給室21をガス回収室22よりもちいさくすることができる。
【0083】
変形例5
上記実施形態では、燃料電池セル10はマニホールド2から上方に延びるように構成されているが、これに限定されない。例えば、燃料電池セル10は、マニホールド2から下方に延びていてもよい。
【0084】
変形例6
上記実施形態のマニホールド2では、1つのマニホールド本体部23を仕切板24で仕切ることによって、ガス供給室21とガス回収室22とを画定しているが、マニホールド2の構成はこれに限定されない。例えば、2つのマニホールド本体部23によってマニホールド2を構成することもできる。この場合、1つのマニホールド本体部23がガス供給室21を有し、別のマニホールド本体部23がガス回収室22を有している。
【実施例】
【0085】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0086】
図12に示すような構成のセルスタック装置100において、表1に示すように、各第2ガス流路44の断面積の合計値(S2)に対する、各第1ガス流路43の断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)を変えて、それぞれサンプルNo.1〜10を作成した。なお、本実施例では、第1ガス流路43の断面積と第2ガス流路44の断面積は互いに同じとし、第1ガス流路43の本数及び第2ガス流路44の本数を表1に示すように変えることによって、各第1ガス流路43の断面積の合計値(S1)及び各第2ガス流路44の断面積の合計値(S2)を変えている。各サンプルNo.1〜10に係る燃料電池セル10において、第1ガス流路43の断面積の合計値(S1)及び第2ガス流路44の断面積の合計値(S2)以外の構成は基本的に同じとしている。
【0087】
(評価方法)
以上のように作製した各燃料電池セル10を以下の条件で起電力を測定し、各サンプルの評価を行った。まず、各燃料電池セル10をマニホールド2に挿入し、第1ガス流路43をガス供給室21と連通させ、第2ガス流路44をガス回収室22と連通させた。そして、マニホールド2のガス供給室21に燃料ガスを供給し、燃料電池セル10の両面に空気を供給した。第1ガス流路43及び第2ガス流路44を流れたオフガスはガス回収室22にて回収した。評価条件は、温度が750℃、電流密度が0.2A/cm、燃料利用率が80%、空気利用率が5%であった。
【0088】
【表1】

【0089】
表1に示すように、各第1ガス流路43の断面積の合計値を、各第2ガス流路44の断面積の合計値よりも小さくすることによって、燃料電池セル10の出力を向上できることが分かった。
【符号の説明】
【0090】
2 マニホールド
21 ガス供給室
22 ガス回収室
5 発電素子部
10 燃料電池セル
30 連通流路
43 第1ガス流路
44 第2ガス流路
【要約】
【課題】燃料電池セルにおける出力を向上する。
【解決手段】燃料電池セル10は、支持基板4と、少なくとも1つの発電素子部5と、少なくとも1つの第1ガス流路43と、少なくとも1つの第2ガス流路44とを備えている。発電素子部5は、支持基板4上に配置される。第1及び第2ガス流路43,44は、支持基板4内を基端部101から先端部102に向かって延び、先端部102において互いに連通している。少なくとも1つの第1ガス流路43の断面積の合計値は、少なくとも1つの第2ガス流路44の断面積の合計値よりも小さい。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12