(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の層、前記第2の層、及び前記第3の層は、前記患者の皮膚に接着されたときに、前記第1の層及び前記第3の層が、前記第2の層の周りに障壁を形成し、インピーダンスの変化の可能性を抑制することを容易にするように構成される、請求項10に記載の医療測位システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの図面を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【0017】
本開示は、導電層の周りに障壁が作られるような異なる直径の多層を含む体表面電極を提供する。この障壁は、インピーダンスの変化を抑制することを容易にし、使用中に患者の皮膚への電極の改善された接着性も提供する。開示された多層体表面電極は、第1の直径を有する第1の層と、第2の直径を有する第2の層と、第3の直径を有する第3の層と、を含む。第1及び第3の層が導電性の第2の(すなわち、中間の)層の周りに障壁を作り、環境因子によってもたらされるうるインピーダンスの変化を防ぐことを容易にするように、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置され、第2の直径は、第1の直径及び第3の直径よりも小さい。さらに、第1の(すなわち、最上部の)層は、第3の(即ち、最下部の、患者に接触する)層よりも大きい直径を有するので、第1の層は、表面電極の改善された接着性を提供し、第2の層の周りに作られる障壁をさらに強化するため、第3層の接着特性を守る助けにもなる。このように、ここで開示される異なる直径を有する多層体表面電極は、例えば、発汗によって生じる水分、又は表面電極の望ましくない意図しない移動又は動きのような外部環境因子に晒されることによって、使用中にインピーダンスの変化をもたらしうる相互作用を防ぐとともに、患者の皮膚への電極のより強い接着性を提供しうる。加えて、多層の、特に第1の層の形状は、正方形や長方形のような他の形状を有する表面電極と比較して、表面電極の折りたたみ、テンティング、角の折り曲げが生じる可能性を減少させるのに役立つ。さらに、ここに記載される多層体表面電極は、望ましい電極サイズを今まで通り維持している一方で、ドリフト及びシフトの可能性を減らし、結果として使用中のインピーダンスの変化をも減少させる。
【0018】
ここで図面を参照する。様々な図面において、同一の構成要素を特定するために同様の参照番号が使用される。
図1は、一以上の幾何構造の多次元表面モデルを作成するためのシステム10の一つの例示的な実施形態を図示する。本実施形態では、ここに記載されるように、システム10は、患者体内の医療機器(例えば、カテーテル)に配置される電極の一以上の特性を決定するための医療測位システムを含む。医療測位システムの例は、「Correction of Shift and Drift in Impedance−based Medical Device Navigation using Measured Impedances at External Patch Electrodes」と題する米国特許第8849393号及び「System for Determining the Position of a Medical Device within a Body」と題する米国特許第8517031号によって広く記載されており、これら全体の開示は、参照によってここに組み込まれている。
【0019】
引き続き
図1を参照すると、本実施形態では、システム10は、医療機器と、モデル構築システム14と、その他の構成要素と、を含む。本実施形態では、医療機器はカテーテル12であり、モデル構築システム14は、一部に、処理装置16を含む。処理装置16は、電子制御ユニットの形態をとってもよく、例えば、カテーテル12によって収集されるデータを用いて、心臓内の構造の三次元モデルを構築するように構成される。
【0020】
図1に図示されるように、カテーテル12は、患者の身体18内に、さらに具体的には、患者の心臓20内に挿入されるように構成される。カテーテル12は、ケーブルコネクタ又はインターフェイス22と、ハンドル24と、近位端28及び遠位端30を有する(ここで使用されるように、「近位」は、カテーテル12の臨床医に近い部分に向かう方向を示し、「遠位」は、臨床医から離れ、(一般的に)患者の体内にある方向を示す)シャフト26と、カテーテル12のシャフト26の内に、又はシャフト26上に取り付けられる一以上のセンサ32(例えば32
1、32
2、32
3)と、を含んでもよい。本実施形態では、センサ32は、シャフト26の遠位端30に、又はその近くに配置されている。
【0021】
コネクタ22は、例えば、モデル構築システム14及び/又はシステム10の他の構成要素(例えば、医療測位システム)に延びるケーブル34、36のようなケーブルに対する機械的、流体的、及び電気的接続を提供する。コネクタ22は、従来技術であり、カテーテル12の近位端28に、特に、カテーテル12のハンドル24に配置されている。
【0022】
シャフト26の近位端28に配置されるハンドル24は、臨床医にカテーテル12を保持するための位置を提供し、患者の身体18内でシャフト26を操縦し、案内するための手段をさらに提供してもよい。
【0023】
シャフト26は、身体18内を移動するように構成される、細長い管状の、可撓性部材である。シャフト26は、これらに限定されないが、例えば、センサ32、関連する導体、及び信号の処理及び調整のために使用される追加可能な電子機器のような、シャフト26に取り付けられるセンサ及び/又は電極を支持する。シャフト26はまた、流体(洗浄用の流体と、低温アブレーション用の液体と、体液と、を含む)、医薬品、及び/又は手術用の道具又は器具の輸送、送り出し、及び/又は除去を許容してもよい。
【0024】
カテーテル12のシャフト26内又はシャフト26上に取り付けられるセンサ32は、これらに限定するものでないが、例えば、電気生理学的検査、ペーシング、心臓マッピング、アブレーションなど様々な診断及び治療目的のために設けられてもよい。本実施形態では、一以上のセンサ32は、位置又は配置を検知する機能を実行するために設けられてもよい。さらに具体的には、以下にさらに詳細に記載されるように、一以上のセンサ32は、特定の時点での、カテーテル12及びそれのシャフト26の遠位端30の配置(位置及び向き)に関連する情報を提供する位置センサとして構成される。したがって、カテーテル12が、心臓20の重要な構造の表面に沿って及び/又はその構造の内部を、移動するとき、センサ32は、重要な構造の表面、及び/又は、重要な構造内の他の配置に対応する配置データ点を収集するために使用され得る。これらの配置データ点は、それから、身体内の医療機器を位置付けるためのモデル位置システムと、重要な構造の三次元モデルを生み出すためのモデル構築システム14に使用され得る。
【0025】
モデル構築システム14及びモデル位置システムは、例えば、St.Jude Medical,Inc.から市販されているEnSite(商標)NavX(商標)システムのような電界型システムであってもよく、これについては「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart」と題する米国特許第7263397号に関連して一般に公開されており、全体の開示は参照によって本明細書に組み込まれている。しかしながら、他の実施形態では、モデル構築システム14及びモデル位置システムは、以下のものに限定されないが、例えば、磁場型システムであってもよく、その例としては、Biosense Webster社から市販されているCarto(商標)、または、MediGuide Ltd社製のgMPSシステムが挙げられる。Cartoについては、一以上の米国特許、「Intrabody Measurement」と題する米国特許第6498944号、「Medical Diagnosis, Treatment and Imaging Systems」と題する米国特許第6788967号、「System and Method for Determining the Locaton and Orientation of an Invasive Medical Instrument」と題する米国特許第6690963号に関連して一般に公開され、gMPSシステムについては、一以上の米国特許、「Medical Positioning System」と題する米国特許第6233476号、「System for Determining the Position and Orientation of a Catheter」と題する米国特許第7179354号、「Medical Imaging and Navigation System」と題する米国特許第7386339号に関連して一般に公開されて、それぞれ全体の開示は参照によって本明細書に組み込まれている。Biosense Webster社からは、Carto(商標)3システムのような電界型及び磁場型システムのコンビネーションも市販されている。また、他のインピーダンス型位置決めシステム、音響又は超音波型システム、及び一般に利用可能な蛍光透視、コンピュータ断層撮影(CT)、及び磁気共鳴画像(MRI)型システムも市販されている。
【0026】
上に簡単に記載されているように、カテーテル12のセンサ32は、位置決めセンサを含む。センサ32は、カテーテルの配置(位置及び/又は向き)の情報を示す信号を作り出す。本実施形態では、モデル構築システム14は、電界型システムであり、センサ32は、一以上の電極を備えてもよい。あるいは、モデル構築システム14が磁場型システムである実施形態では、センサ32は、低強度磁場の一以上の特性を検出するように構成される一以上の磁気センサを備えてもよい。例えば、一つの例示的な実施形態では、センサ32は、カテーテル12のシャフト26上又はシャフト26内に配置される磁気コイルを備えてもよい。
【0027】
明確性及び説明の目的のため、モデル構築システム14は、以下では、例えば、前に説明されたEnSite(商標)NavX(商標)システムのような電界型システムを含むものとして記載する。
【0028】
図2を参照すると、処理装置16に加えて、モデル構築システム14は、複数の表面電極38と、多重スイッチ40と、信号発生器42と、ディスプレイ44と、他、可能な構成要素と、を含んでもよい。他の実施形態では、これらの構成要素のいくつか又はすべては、モデル構築システム14から分離された別体であるが、モデル構築システム14に電気的に接続されており、モデル構築システム14と通信するように構成されている。
【0029】
処理装置16は、プログラム可能なマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを含んでもよく、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。処理装置16は、中央処理装置(CPU)と入力/出力(I/O)インターフェースとを含んでもよく、処理装置16は、例えば、表面電極38及びセンサ32によって作り出される信号を含む複数の入力信号を受け取り、複数の出力信号であって、例えば、ディスプレイ44及びスイッチ40を制御する及び/又はこれらにデータを提供するために使用される複数の出力信号を作り出してもよい。
【0030】
「腹部パッチ」と呼ばれる表面電極38
Bを除いて、表面電極38は、例えば、カテーテル12の配置及び向きを決定するために使用される電気信号を作り出すために設けられる。一実施形態では、表面電極38は、身体18の表面に直交方向に配置され、身体18内に軸特異性電界を作り出すために使用される。例えば、一実施形態では、表面電極38
X1、38
X2は、第1の(x)軸に沿って配置されてもよい。表面電極38
Y1、38
Y2は、第2の(y)軸に沿って配置されてもよく、表面電極38
Z1、38
Z2は、第3の(z)軸に沿って配置されてもよい。表面電極38のそれぞれは、多重スイッチ40に接続されてもよい。本実施形態では、処理装置16は、適切なソフトウェアにより、制御信号をスイッチ40に供給し、それによって電極38のペアを信号発生器42に順次接続するように構成される。電極38のそれぞれのペアの励起は、身体18内、心臓20のような関心領域内に、電界を作り出す。腹部パッチ38
Bと呼ばれる非励起電極38での電圧レベルは、フィルタ処理され、変換され、処理装置16に供給され、基準値として使用される。
【0031】
本実施形態では、カテーテル12のセンサ32は、処理装置16に電気的に接続され、位置検知機能を提供するように構成される。より具体的には、センサ32は、表面電極38を励起することによって、身体18内に(例えば心臓内に)作り出される電界内に配置される。明確性及び説明だけの目的のために、以下の記載は、単一の信号センサ32が電界内に配置される実施形態に限定する。しかしながら、本開示の意図及び範囲内にある他の実施形態では、複数のセンサ32が、電界内に配置され、それから、それぞれのセンサの配置及び向きは、以下に記載される技術を使用して決定され得ることが理解されるであろう。
【0032】
電界内に配置されるとき、センサ32は、表面電極38間の配置と組織に対するセンサ32の位置とに対応する電圧を受ける。センサ32と表面電極38との間に生じる電圧の測定の比較は、組織に対するセンサ32の相対的な配置を決定するために使用され得る。したがって、カテーテル12は特定の領域又は重要な表面の近くに、又はそれに沿って掃引されるとき、処理装置16は、センサ32での電圧レベルの変化を反映するセンサ32からの信号(配置情報)と、非通電の表面電極38からの信号を受け取る。そして、処理装置16は、様々な既知のアルゴリズムを用いて、センサ32の配置(位置及び向き)を決定し、センサ32の位置に対応する配置データ点として記録してもよく、したがって、処理装置16と結びつく又は処理装置16にアクセス可能なメモリ47のような記憶部又は保存機器に、モデルされている重要な構造の表面上又は内部の点を記録してもよい。いくつかの実施形態では、配置データ点として配置を記録することに先立って、処理装置16に受け取られる信号によって表される生の配置データは、既知の、又は今後開発される技術を用いて、呼吸、心臓活動、及びその他の不適切な結果を除去するために処理装置16によって補正されてもよい。さらに、カテーテル12の他の部分の配置は、内挿(補間)又は外挿(補外)によって、センサ32での測定から推測されて、さらなる配置データ点を作り出してもよい。
【0033】
上述の記載は、概して、直交する表面電極38の配置に関して述べたが、本開示は、そのように限定されることを意図しない。むしろ、他の実施形態では、直交しない配置が、センサ32の配置座標を決定するために使用されてもよい。例えば、及びおおまかに言えば、
図3Aから3Dは、座標システム50内にセットされる複数の例示的な直交しない双極子D
0、D
1、D
2、及びD
3を示す。
図3Aから3Dでは、X軸パッチ電極は、X
A及びX
B、Y軸パッチ電極は、Y
A及びY
B、Z軸パッチ電極は、Z
A及びZ
Bと表示される。任意の所望の軸に対して、所定の駆動(ソース―シンク)セットの構成による、センサ32のような心臓内センサにおいて測定される電位は、代数的に組み合わされて、直交軸に沿って単に均一な電流を駆動することによって得られるのと同一な有効電位が得られる。非励起パッチ電極は、接地基準に対する電圧を測定する一方、任意の2個の表面電極38
X1、38
X2、38
Y1、38
Y2、38
Z1、及び38
Z2(
図2を参照)は、接地基準、例えば腹部パッチ38
Bに対して、双極子のソース及びドレインとして選択されてもよい。心臓20に配置されるセンサ32も、電流パルスの場に晒され、接地(例えば腹部パッチ38
B)に対して測定される。
【0034】
他の例示的な実施形態では、複数の表面電極38は、共通軸に沿って直線的に配列されてもよい。そのような一実施形態では、表面電極38の一つとカテーテル12に取り付けられた電極とを備える電極のペアの励起は、電界を作り出す。励起していない表面電極38は電位を測定し、その電位からセンサ32の位置を決定してもよい。したがって、そのような実施形態では、異なる表面電極38とカテーテルに取り付けられた電極とを備える複数の電極のペアの励起が、センサ32の電位を決定するために使用されてもよい。
【0035】
表面電極38及びセンサ32のそれぞれからのデータのセットはすべて、心臓内のセンサ32の配置を決定するために使用される。電圧の測定が実行された後、表面電極38の別なペアが、電流源によって励起され、残りの表面電極38及びセンサ32の電圧測定処理が行われる。一度センサ32の配置が決定されると、上記に記載されるように、配置は、上記に記載されるのと同一の方法でデータ点46として記録されてもよい。いくつかの実施形態では、配置データ点としての配置の記録に先立って、処理装置16によって受け取られた信号によって表される生の配置データは、既知の、又は今後開発される技術を使用して、呼吸、心臓活動、及び他の不適切な結果を除去するために、処理装置16によって補正されてもよい。したがって、本開示の意図及び範囲内であれば、センサ32の配置を決定し、それによって、それぞれに対応するデータ点を収集するために、複数の技術が使用されてもよいことが理解されるだろう。
【0036】
一実施形態では、表面電極38は、少なくとも異なる直径を有する第1、第2、及び第3の層を含む多層構造である。
図4A及び
図4Bは、多層体表面電極の例示的な実施形態を示す。本実施形態では、表面電極38は、第1の直径D1及び第1の厚みT1を有する第1の層540と、第2の直径D2及び第2の厚みT2を有する第2の層542と、第3の直径D3及び第3の厚みT3を有する第3の層544と、を含む。直径D1は、直径D2及びD3よりも大きい。さらに、直径D2は、直径D1及びD3よりも小さい。したがって、直径D3は、D2よりも大きいが、D1よりも小さい。本実施形態では、第1の層540、第2の542、及び第3の層544のそれぞれは円形であり、第2の層542が第1の層540と第3の層544との間に全体的に配置されるように、互いに同心円状に配列されている。即ち、第2の層542の外周全体は、第1の層540と第3の層544とで、第2の層542の周りに「障壁」を作り出すように、第1の層540及び第3の層544のそれぞれの外周内に配置される。この障壁は、使用中のインピーダンスの変化の可能性を抑制し、患者の皮膚への表面電極38の接着性を改善することを容易にする。さらに、以下でより詳細に説明するように、第3の層544の外周全体は、第1の層540の外周内に配置される。ここで詳細に議論される例示的な実施形態では、3層を含むものとして説明されているけれども、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、4、5、6、又はそれ以上の数の層のような、3以上の層が、表面電極に含まれてもよいことを理解するだろう。
【0037】
上記に指摘したように、第1の層540は、直径D2、D3のそれぞれよりも大きい直径D1を有する。第1の層540は、使用中に、患者の皮膚から最も離れているように電極38内に配置されるように構成される。即ち、第1の層540は、使用中に、第1の層540の上面546は、患者の皮膚から見て外方に面しており、第1の層540の底面548は、患者の皮膚に向かって面するように構成される。第1の層540は、第2の層542及び第3の層544のいずれよりも大きい全体的な断面及び外周を有するような任意の適切な形状及びサイズであってもよい。即ち、第1の層540は、第2の層542及び第3の層544の外周全体が第1の層540の外周内に収まるような任意の形状及びサイズであってもよい。
図5に示される例示的な実施形態では、第1の層540は円形である。さらに、この特定の実施形態では、例えば、第1の層540の直径D1は、2.5インチから4.25インチまでの範囲であってもよく、2.5インチから4.0インチ、2.5インチから3.5インチ、2.5インチから3.0インチ、3.0インチから4.0インチ、3.0から3.5インチ、約2.5インチ、約3.0インチ、約3.5インチ、約4.0インチ、又は約4.25インチを含むが、これらに限定されない。第1の層540はまた、例えば、0.034インチの厚みT1を有してもよい。あるいは、第1の層540は、任意の適切な厚みを有してもよい。第1の層540は、
図5の実施形態では円形として図示されているが、当業者であれば、本明細書に開示される第1の層540の特徴と同等である限り、第1の層540が、楕円形といった任意の他の形状であってもよいことを理解するだろう。
【0038】
第1の層540は、少なくとも第1の層540の底面548で、患者の皮膚での使用に適切であり、患者の皮膚に接着可能な接着性発泡体又はテープから構成される。いくつかの実施形態では、第1の層540の接着性発泡体又はテープは、発汗によって生じる水分などに対する、耐湿性を示す。
【0039】
第2の層542は、第2の層542の全体の外周が第1の層540及び第3の層544のそれぞれの外周内に収まるような、直径D1、D3のそれぞれよりも小さい直径D2を有する。即ち、第2の層542は、第1の層540と第3の層544との間で電極38内に配置されるように構成される。第2の層542の上面550は、第1の層540の底面548に接触し、第2の層542の底面552は、第3の層544の上面554に接触する。
【0040】
第2の層542は、第1の層540及び第3の層544のそれぞれよりも小さい全断面を有するような任意の適切な形状及びサイズであってもよい。即ち、第2の層542は、患者の皮膚に貼付されるときには、汗のような外部環境因子に対する障壁が第2の層542に対して作り出されるように、第2の層542の全外周が第1の層540及び第3の層544の外周内に収まるような任意の形状及びサイズであってもよい。
図5に示される例示的な実施形態では、第2の層542は円形である。さらに、本実施形態では、例えば、第2の層542の直径D2は、1.3インチから3.05インチの範囲であってもよく、1.3インチから3.0インチ、1.3インチから2.5インチ、1.3インチから2.0インチ、2.0インチから3.0インチ、2.0インチから2.5インチ、約1.3インチ、約2.0インチ、約2.5インチ、約3.0インチ、又は約3.05インチを含むが、これに限定されない。第2の層542はまた、例えば、0.002インチの厚みT2を有してもよい。あるいは、第2の層542は、任意の適切な厚みを有してもよい。第2の層542は、
図5の実施形態では円形として説明されるけれども、当業者であれば、本明細書に開示される第2の層542の特徴と同等である限り、第2の層542が楕円といった任意の他の形状であってもよいことを理解するだろう。
【0041】
第2の層542は、電気信号を受け取ることに適切な導電性材料から構成される。一つの特定の実施形態では、例えば、第2の層542は、シルバーカーボンフィルムである。
【0042】
第3の層544は、直径D1よりも小さいけれども、直径D2よりも大きい直径D3を有する。即ち、第3の層544は、使用中に患者の皮膚に接触するように電極38以内の大きさで、構成される。第3の層544の上面554は、第2の層542の底面552に接触し、第3の層544の底面556は、使用中に患者の皮膚に接触する。
【0043】
第3の層544は、第1の層540よりも小さい全断面と第2の層542よりも大きい全断面とを有するような任意の適切な形状及びサイズであってもよい。即ち、第3の層544は、第3の層544の全外周が第1の層540の外周内に収まるだけでなく、第2の層542の全外周が第3の層544の全外周内に収まるような任意の形状及びサイズであってもよい。言い換えると、第1の層540の直径D1は第3の層544の直径D3よりも大きいので、電極38は、第1の層540の底面548の外側部分549が、使用中に患者の皮膚に接触してもよいように構成され、結果として第2の層542周りに第1の層540及び第3の層544によって作り出される障壁を強化する。
図5に示される例示的な実施形態では、第3の層544は、円形である。さらに、本実施形態では、例えば、第3の層544の直径D3は、1.6インチから3.35インチの範囲であってもよく、1.6インチから3.0インチ、1.6インチから2.5インチ、1.6インチから2.0インチ、2.0インチから3.0インチ、2.0インチから2.5インチ、約1.6インチ、約1.8インチ、約2.0インチ、約2.5インチ、約3.0インチ、又は約3.35インチを含むが、これに限定されない。第3の層544はまた、例えば、0.032インチ(例えば、第3の層544が63Xハイドロゲルであるとき)又は0.040インチ(例えば、第3の層544が63Bハイドロゲルであるとき)の厚みT3を備えてもよい。あるいは、第3の層544は、任意の適切な厚みを有してもよい。第3の層544は、
図5の実施形態では円形として説明されるけれども、当業者であれば、本明細書に開示される第3の層544の特徴と同等である限り、第3の層544が楕円といった任意の他の形状であってもよいことを理解するだろう。
【0044】
第3の層544は、使用中に患者の皮膚に表面電極38を接着させるのに適切な導電性接着剤から構成される。一実施形態では、例えば、第3の層544は、導電性ゲルである。さらに、本実施形態では、第1の層540及び第3の層544は、生体適合性を有する(例えば、皮膚に接触することを容易にする)。
【0045】
患者の皮膚への貼付の前に、第1の層540及び第3の層544の接着剤が損傷を受ける、又は害されることから守るために、ライナを電極38に貼付してもよい。
図5に示されるように、ライナ558は、第3の層544の底面556に貼り付けられてもよく、また、第1の層540の外部端560の周りに上方に延びてもよい。ライナ558は、技術的に既知の任意の従来の手法によって底面556及び/又は外部端560に取り付けられてもよく、例えば、患者の皮膚へ貼付する前に、底面556及び外部端560からライナ558をはがすことによって、取り除かれてもよい。第3の層544の底面556及び第1の層540の外部端560に対して位置するように
図5に示されているけれども、本開示の意図及び範囲内にある他の実施形態では、ライナ558は、電極38の追加の部分に対向して及び覆って位置されてもよく、又は電極38のより少ない部分に対向して及び覆って位置されてもよいことを理解されるだろう。ライナ558は、電極38の接着部に取り付けられる、又は接着されるままであるが、電極38の任意の部分の接着特性を害することなくきれいに取り外しできるような任意の十分に柔軟な材料で形成されてもよい。
【0046】
加えて、いくつかの実施形態では、信号を電極38に、及び電極38(即ち、電極38と信号発生器/受信器との間で)から伝導するように構成されるケーブルは、電極38と信号発生器/受信器との間に連結されてもよい。信号発生器/受信機は、例えば、信号発生器42(
図2に示される)であってもよい。一実施形態では、
図6に示されるように、ケーブル562は電極38に連結され、信号が電極38からケーブル562を通って連結部材564に送信されてもよく、いくつかの実施形態では、連結部材564は、電気信号を作り出す、又は受け取ることが可能な装置に連結されてもよい。一の特定の実施形態では、
図6に示されるように、ケーブル562の第1の端566は、第1の層540と第2の層542との間に裾広がりにされ、接着されてもよく、ケーブル562の第2の端568は、連結部材564に連結されてもよい。しかしながら、本開示の意図及び範囲内にある他の実施形態では、ケーブル562は、電極38から装置に信号を送信することが可能な任意の他の既知であり適した手法によって、電極38と電気信号を作り出す、又は受け取ることが可能な装置との間に連結されてもよいことが理解されるであろう。
【0047】
使用中は、複数の表面電極38は、例えば、
図3Aから
図3Dに示されるように、患者の身体に配置されてもよい。したがって、表面電極38は、システム10(
図1に示される)に使用されてもよい。あるいは、当業者に理解されるように、表面電極38は、任意の適したシステムに使用されてもよく、ここに記載されるマッピングシステムを用いる使用に限定されない。
【0048】
本開示のある実施形態が、ある程度の特殊性を伴って上で説明されたが、当業者は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱せずに、開示された実施形態に対して多数の変更を行うことができであろう。すべての方向を示す言葉(例えば、上側、下側、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、最上部、最下部、上、下、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、本開示の読者による理解を助けるために特定する目的で使用されるのみであって、特に開示の位置、向き、又は使用に関して限定するものではない。結合を示す言葉(例えば、取り付けられた、連結された、接続されたなど)は、広義に解釈されるべきであり、要素間、接続の間に中間部材を含んでもよいし、構成要素間の相対的な動きを含んでもよい。したがって、結合を示す言葉は、二つの構成要素が直接接続され、互いに対する固定された関係にあることを必ずしも暗示しない。上の説明に含まれ又は添付図面に示されたすべての事項が、単に例示的であって限定的ではないものとして解釈されなければならないことが意図されている。詳細又は構造の変更が、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の趣旨から逸脱せずに行われてもよい。
【0049】
本開示又はその好ましい実施形態の構成要素を紹介する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、その構成要素が1つ又は複数存在することを意味するものとする。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、包括的であって、列挙した構成要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものとする。
【0050】
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の構造に様々な変更を行うことができるので、上述の説明に含まれる、又は添付図面に示される全ての事項は、限定の意味ではなく例示として解釈されるべきものとする。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
多層体表面電極であって、
第1の直径を有する第1の層と、
第2の直径を有する第2の層と、
第3の直径を有する第3の層と、を備え、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配置され、
前記第2の直径は、前記第1の直径及び前記第3の直径よりも小さい、多層体表面電極。
(項目2)
前記第1の直径は、前記第3の直径よりも大きい、請求項1に記載の多層体表面電極。
(項目3)
前記第1の層は、前記第2の層の第2の厚み及び前記第3の層の第3の厚みよりも大きい第1の厚みを有する、請求項2に記載の多層体表面電極。
(項目4)
前記第1の層は、前記第2の層の第2の厚み及び前記第3の層の第3の厚みよりも大きい第1の厚みを有する、請求項1に記載の多層体表面電極。
(項目5)
前記第1の層は、接着材料を備える、請求項1に記載の多層体表面電極。
(項目6)
前記第2の層は、導電性材料を備える、請求項1に記載の多層体表面電極。
(項目7)
前記第3の層は、導電性ゲルを備える、請求項1に記載の多層体表面電極。
(項目8)
前記第1の層及び前記第2の層は、それらの間で前記多層体表面電極に信号を伝えるためのケーブルを受け入れるように構成される、請求項1に記載の多層体表面電極。
(項目9)
多層体表面電極キットであって、
複数の多層体表面電極と、
複数のライナと、を備え、
前記複数の多層体表面電極のそれぞれは、
第1の直径を有する第1の層と、
第2の直径を有する第2の層と、
第3の直径を有する第3の層と、を備え、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配置され、
前記第2の直径は、前記第1の直径及び前記第3の直径よりも小さく、
前記複数のライナのそれぞれは、前記複数の電極のそれぞれの少なくとも前記第3の層の底面に取り付けられる、多層体表面電極キット。
(項目10)
前記第1の直径は、前記第3の直径よりも大きい、請求項9に記載の多層体表面電極キット。
(項目11)
前記第1の層は、接着材料を備える、請求項9に記載の多層体表面電極キット。
(項目12)
前記第1の層は、少なくとも前記第1の層の底面を患者の皮膚に接着するように構成される接着性発泡体を備える、請求項11に記載の多層体表面電極キット。
(項目13)
前記第3の層は、導電性ゲルを備える、請求項9に記載の多層体表面電極キット。
(項目14)
医療測位システムであって、
複数の多層体表面電極と、
複数のケーブルと、
機器と、を備え、
前記複数の多層体表面電極のそれぞれは、
第1の直径を有する第1の層であって、少なくとも前記第1の層の底面に患者の皮膚を接着するように構成される接着性発泡体を含む、前記第1の層と、
第2の直径を有する第2の層と、
第3の直径を有する第3の層と、を備え、
前記第2の直径は、前記第1の直径及び前記第3の直径よりも小さく、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配置され、
前記複数のケーブルのそれぞれは、前記複数の多層体表面電極のそれぞれの前記第1の層と前記第2の層との間に配置される第1の端を有し、前記複数の多層体表面電極のそれぞれから信号を送信するように構成されており、
前記機器は、前記複数のケーブルのそれぞれの第2の端に連結され、前記信号を受け取り、前記信号に基づいて、前記患者身体内の医療機器の位置を決定するように構成される、医療測位システム。
(項目15)
前記第1の層、前記第2の層、及び前記第3の層は、前記患者の皮膚に接着されたときに、前記第1の層及び前記第3の層が、前記第2の層の周りに障壁を形成し、インピーダンスの変化の可能性を抑制することを容易にするように構成される、請求項14に記載の医療測位システム。