【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る固体材料容器は、
内部に収納された固体材料を気化させて供給するための固体材料容器であって、
冷却ガスを前記固体材料容器の内部に導入する冷却ガス導入ラインと、
前記冷却ガスを前記固体材料容器から導出する冷却ガス導出ラインと、を有し、
前記冷却ガス導入ラインは、前記冷却ガスを前記固体材料容器の内部に噴出させるための1または2以上の冷却ガス噴出孔を有する。
【0013】
固体材料容器は、配管により固体材料を使用する設備(たとえば半導体製造装置である)に接続されている。固体材料供給時には、固体材料容器は加熱手段により加熱されている。加熱温度は、固体材料を使用するプロセス、固体材料の物性等に応じて任意に設定され、例えば50℃以上300℃以下の温度である。
加熱された固体材料容器からの入熱により、固体材料容器の内部の固体材料の温度が上昇し、固体材料は気化または昇華されて、蒸気として固体材料容器の外部へと導出される。
ここで固体材料容器の加熱手段は、恒温槽、オイルバス、マントルヒーター、テープヒーター、ジャケットヒーター、またはブロックヒーターであってもよい。
【0014】
固体材料の使用後、固体材料の蒸気の導出を停止し、固体材料容器を交換しようとする場合、固体材料容器の温度を低下させる必要がある。交換の際の容器温度は、安全上の観点および容器の材質等により任意に設定され、例えば15℃以上50℃以下の温度である。
【0015】
本発明に係る固体材料容器(
図1中に示す、1である)では、冷却ガス導入ライン10から冷却ガスを導入して、固体材料容器1を内部から冷却することにより、迅速に冷却することが可能となる。冷却ガスは、固体材料容器1の加熱温度よりも低い温度のガスであればよく、例えば温度−50℃以上50℃以下のガスであってもよい。冷却ガスは、固体材料に対して不活性であればよく、ガス種は例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、水素またはドライエアであってもよい。冷却ガスは、あらかじめ冷却されていてもよい。冷却手段は特に限定されず、例えば熱交換器を使用した冷媒との熱交換、またはペルチェ素子による冷却であってもよい。冷媒は特に限定されず、液体窒素、水、オイル、またはフロリナートであってもよい。
なお、図中の矢印は、ガスの流れ方向を示す矢印である。
【0016】
冷却ガスの導入圧力は特に限定されず、例えば0.01MPaA以上2MPaA以下とすることができる。冷却ガスの導入圧力は、固体材料容器1の設計、それに充填される固体材料の物性等に応じて定めることができ、冷却ガスの導入時間の経過とともに上昇させることもできる。
【0017】
冷却ガスの導入流量は、任意に定めることができるが、固体材料容器1内部の固体材料が充填されていない空間部が、毎分1回以上置換される流量が好ましい。また流量が小さすぎると容器の冷却に要する時間が長くなり、効率が低下する。一方で流量が大きすぎると、固体材料容器の内部で固体材料の巻き上げが発生して後段の配管や機器に不具合を発生させる要因となる。以上を考慮すると、冷却ガスの毎分の流量が、固体材料容器の内部空間のうち、前記固体材料容器の使用開始前の状態において、固体材料が充填されていない部分の体積の1倍以上30倍以下となる量とすることができる。固体材料が、冷却ガスのガス流によって巻き上がる現象を考慮すると、1倍以上10倍以下が好ましく、1倍以上5倍以下がさらに好ましい。
【0018】
導入された冷却ガスは、固体材料容器1の冷却のために使用される。固体材料容器1およびその内部の固体材料2との熱交換によって温度が上昇した冷却ガスは、冷却ガス導出ライン11から固体材料容器1の外部へと導出される。
導出される冷却ガス中には、固体材料の蒸気が同伴される。同伴された蒸気が配管内で凝縮することを抑制するため、冷却ガス導出ライン11は加熱手段(不図示)により加熱されていてもよい。加熱手段の例としては、配管ブロックヒーター、ジャケットヒーター、またはラインヒーター等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
固体材料容器1には、固体材料を同伴させるためのキャリアガスを導入するキャリアガス導入ラインと、キャリアガスに同伴された固体材料の蒸気を導出する固体材料導出ラインがあらかじめ設けられていることが一般的である。この場合、キャリアガス導入ラインまたは固体材料導出ラインは、冷却ガス導入ライン10または冷却ガス導出ライン11を兼ねることもできる。
たとえば、冷却ガス導出ライン11が固体材料導出ラインを兼ねる場合、
図8に示すように冷却ガス導出ライン11を分岐させ、仕切弁を設けてもよい。
【0020】
冷却ガス導入ライン10の開口部の位置は、固体材料容器1に充填される固体材料2の内部として、粉状または顆粒状の固体材料の内部(
図1にAで示す)に挿入されるように配置されていてもよい。
また、
図1における配置のように、開口部が、固体材料容器1の内部の、固体材料2が配置されていない空間(
図1にBで示す)に配置されていてもよい。
【0021】
冷却ガス導入ライン10には、冷却ガスを固体材料容器の内部に噴出させるための1または2以上の冷却ガス噴出孔21が備えられている。
図2〜
図6は、冷却ガス導出ライン10の先端部分の拡大図である。
冷却ガス噴出孔21が1つの場合、
図2に示すように円柱状の冷却ガス導入ライン10の先端部(円柱の底部に該当する部分)に冷却ガス噴出孔21aを開口させることもできるが、
図3に示すように、円柱状の冷却ガス導入ライン10の側面に冷却ガス噴出孔21bを開口させてもよい。
冷却ガス噴出孔21を2以上有する場合には、
図4に示すように冷却ガス導入ライン10の側面に複数の冷却ガス噴出孔21cを設け、シャワー状に冷却ガスを噴出させるようにしてもよい。
【0022】
冷却ガス噴出孔21が1つの場合、冷却ガスが噴出する噴出面積を大きくできることから、冷却ガスの流速を低減させることができ、冷却ガスの吹き付けによる固体材料の飛び散りを抑制することが可能となる。
冷却ガス噴出孔21が2以上の場合、冷却ガスの噴出方向を分散させることが可能となることから、特定の方向から固体材料にガスが吹き付けて固体材料が偏在化することを抑制することが可能となる。
【0023】
このように、固体材料容器1の内部に冷却ガスを導入することにより、固体材料容器1の内部から固体材料容器1を冷却することが可能となるため、容器の冷却をより短時間に実施することができる。
【0024】
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス噴出孔21は、固体材料容器1の内部に収納された固体材料2の表面よりも上方に配置され、冷却ガス噴出孔21は、冷却ガスが固体材料容器1の内部のうち、固体材料2が収納されていない空間に、水平方向または水平方向よりも上方向に噴出されるように形成されてもよい。
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1の上部から、固体材料容器1の内部に垂直方向に挿入されるように配置され、2以上の冷却ガス噴出孔21が、前記冷却ガス導入ラインの側面に鉛直方向に配置されてもよい。
【0025】
冷却ガスの噴出方向が固体材料2の方向である場合には、冷却ガスの噴出によって固体材料容器1内部の固体材料が舞い上がり、固体材料容器に接続されているバルブや圧力計等の機器を閉塞、リークさせたり、多量の粉状物質が後段の配管に流れ込んで配管を閉塞させたりする
おそれがある。
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス噴出孔21は、固体材料2が収納されていない空間(
図1にBで示す空間)に開口され、さらに、冷却ガスの噴出方向が水平方向または水平方向よりも上方向になるように配置されている。
【0026】
たとえば、
図3では、固体材料容器1に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10の側面に冷却ガス噴出孔21bが、固体材料2よりも上方に配置されており、冷却ガス噴出孔21bから導出されるガスは、固体材料容器1に対して水平方向に噴出する。
たとえば
図4では、固体材料容器1に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10の側面に複数の冷却ガス噴出孔21cが鉛直方向に配置されており、冷却ガス噴出孔21cから導出されるガスは、固体材料容器1に対して水平方向に噴出する。冷却ガス噴出孔21cは、鉛直方向に縦に1列配置されてもよいが、
図4に示すように複数列配置されてもよい。
この構造により、冷却ガスのフローが直接固体材料2に吹き付けて固体材料が舞い上がる現象を抑制させることが可能となる。
【0027】
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1の上部から、固体材料容器1の内部に垂直方向に挿入されたのち、固体材料容器1側の端部においてL字状に湾曲することによって冷却ガス噴出孔21が固体材料容器1に対して水平方向を向いて開口していることを特徴とすることもできる。
【0028】
たとえば
図5では、固体材料に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1側の端部においてL時に湾曲しており、冷却ガス噴出孔21dは水平方向に向けて開口していることから、冷却ガス噴出孔は水平方向に噴出する。
別の例として、
図6では、固体材料に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1側の端部においてL時に湾曲しており、冷却ガス噴出孔21dは傾斜角度をもって開口しており、水平方向よりも上方向に冷却ガスが噴出する。
さらに別の例として、
図7では、固体材料に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10は固体材料容器1側の端部においてU字に湾曲しており、冷却ガス噴出孔21eは上方向に開口している。
このように冷却ガス導入ライン10を固体材料容器1内部で湾曲させることにより、冷却ガスの噴出方向を調整し、冷却ガスが直接固体材料に吹き付けないようにすることで、固体材料の舞い上がりを抑制することが可能となる。
【0029】
本発明に係る固体材料容器1において、冷却ガス導出
ライン11の後段に、冷却ガスを冷却するためのコールドトラップ30と、コールドトラップ30から導出される冷却ガスを前記固体材料容器1に再度導入させる冷却ガス返送ライン31をさらに有してもよい。
冷却ガスは固体材料容器1を冷却した後に、冷却ガス導出
ライン11から導出される。ここで、導出される冷却ガスは気化した固体材料の蒸気を同伴している。固体材料の蒸気は温度の低下により凝縮、析出することがあり、配管の閉塞やパーティクル発生の要因となる場合がある。そこで、コールドトラップ30を設け、固体材料容器から導出されたのちに冷却する。これにより、冷却ガス中に含有される固体材料は凝縮され、コールドトラップ内に残留する。このように冷却ガス中に含有する固体材料含有量を低下させることにより、固体材料容器1の後段の配管内で固体材料が析出し、それにより閉塞したりする現象を抑制することができる。
冷却され、固体材料が低減された冷却ガスは、再び固体材料容器に冷却ガスとして導入されてもよい。このような構成とすることにより、冷却ガスを再利用することができ、コールドトラップの冷熱を固体材料容器の冷却に利用することができるため、エネルギー効率の良い冷却を実施することが可能となる。
【0030】
コールドトラップは、液体窒素、ドライアイス等の冷却媒体により冷却されている。そこに固体材料の蒸気を同伴する冷却ガスが導入されると、気体状態の固体材料が凝縮し、液体または固体状態となってコールドトラップ内に残留し、冷却ガスは温度が低下した状態でコールドトラップから導出される。
コールドトラップがら導出された冷却ガスは、そのまま、または新たな冷却ガスを追加して、再度冷却ガスとして使用される。