特許第6605163号(P6605163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6605163
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】固体材料容器
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20191031BHJP
   B01D 8/00 20060101ALI20191031BHJP
   C23C 16/448 20060101ALN20191031BHJP
【FI】
   C23C14/24 B
   C23C14/24 D
   B01D8/00 Z
   !C23C16/448
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-39085(P2019-39085)
(22)【出願日】2019年3月5日
【審査請求日】2019年3月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小浦 輝政
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−207263(JP,A)
【文献】 特開平05−311403(JP,A)
【文献】 特開2006−037131(JP,A)
【文献】 特開2005−060757(JP,A)
【文献】 特開平07−286265(JP,A)
【文献】 特開2017−197824(JP,A)
【文献】 特表2017−519908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−16/56
B01D 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納された固体材料を気化させて供給するための固体材料容器であって、
冷却ガスを前記固体材料容器の内部に導入する冷却ガス導入ラインと、
前記冷却ガスを前記固体材料容器から導出する冷却ガス導出ラインと、を有し、
前記冷却ガス導入ラインは、前記冷却ガスを前記固体材料容器の内部に噴出させるための1または2以上の冷却ガス噴出孔を有し、
前記冷却ガス噴出孔は、前記固体材料容器の内部に収納された固体材料の表面よりも上方に配置され、
前記冷却ガス噴出孔は、前記冷却ガスが前記固体材料容器の内部のうち、前記固体材料が収納されていない空間に、水平方向または水平方向よりも上方向に噴出されるように形成される、固体材料容器。
【請求項2】
前記冷却ガス導入ラインは、前記固体材料容器の上部から、前記固体材料容器の内部に垂直方向に挿入されるように配置され、
2以上の前記冷却ガス噴出孔が、前記冷却ガス導入ラインの側面に鉛直方向に配置される、請求項1に記載の固体材料容器。
【請求項3】
前記冷却ガス導入ラインは、前記固体材料容器の上部から、前記固体材料容器の内部に垂直方向に挿入されたのち、前記固体材料容器側の端部においてL字状に湾曲することによって前記冷却ガス噴出孔が前記固体材料容器に対して水平方向を向いて開口していることを特徴とする、請求項1に記載の固体材料容器。
【請求項4】
前記冷却ガス噴出孔から噴出されるときの前記冷却ガスの毎分の流量が、前記固体材料容器の内部空間のうち、前記固体材料容器の使用開始前の状態において、固体材料が充填されていない部分の体積の1倍以上30倍以下となるように、前記冷却ガスの流量を調整する冷却ガス流量調整機構を備える、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の固体材料容器。
【請求項5】
前記冷却ガスの温度は、―50℃以上50℃以下である、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の固体材料容器。
【請求項6】
前記固体材料容器に導入される前記冷却ガスの温度を、―50℃以上50℃以下の温度に冷却させる、ガス冷却機構をさらに備える、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の固体材料容器。
【請求項7】
前記冷却ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、および水素ガスよりなる群から選択される少なくとも1種のガスである、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の固体材料容器。
【請求項8】
前記冷却ガス導出ラインの後段に、前記冷却ガスを冷却するためのコールドトラップと、前記コールドトラップから導出される冷却ガスを前記固体材料容器に再度導入させる冷却ガス返送ラインをさらに有する、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の固体材料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造材料、例えば薄膜製造用の固体材料の蒸気を供給するための固体材料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業の進歩に伴い、厳しい薄膜の要件を満たすであろう新たな半導体材料を利用することが求められている。これらの材料は、半導体製品内の薄膜堆積、形状加工するための広範な用途において使用される。
例えば、固体前駆体材料としては、バリア層、高誘電率/低誘電率絶縁膜、金属電極膜、相互接続層、強誘電性層、窒化珪素層又は酸化珪素層用の構成成分が挙げられ得る。加えて、この固体前駆体としては、化合物半導体用のドーパントとして働く構成成分や、エッチング材料が挙げられ得る。例示的な前駆体材料としては、アルミニウム、バリウム、ビスマス、クロム、コバルト、銅、金、ハフニウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、ニオブ、白金、ルテニウム、銀、ストロンチウム、タンタル、チタン、タングステン、イットリウム及びジルコニウムの無機化合物及び有機金属化合物が挙げられる。
【0003】
この新たな材料の一部は、標準温度及び圧力で固体の形にあるため、製造プロセス用の半導体成膜チャンバへ直接供給することはできない。
これらの材料は、一般に、非常に高い融点及び低い蒸気圧を有しているため、成膜チャンバへの供給に先立って、固体材料容器の内部で加熱され、気化・昇華されねばならない。
【0004】
半導体製造工程で使用されるために十分な量の蒸気を供給するためには、加熱時において固体材料容器から固体材料へ十分な入熱があることが求められる。
固体材料の気化に際して、気化熱が奪われるため、固体材料蒸気の供給を開始すると固体材料表面の温度が低下する。すると温度が低下した部分について、固体材料の蒸気圧が低下することから、供給時間の経過とともに固体材料容器から導出される蒸気の量が低下することとなる。このような蒸気の導出量の変動は、半導体製造工程において均一な成膜を妨げることとなるため、好ましくない。
このため、固体材料容器は一般に重量が大きく設計されている。重量を大きくすることにより、固体材料容器そのものが有する熱量が大きくなり、気化に伴い温度が低下した固体材料表面に迅速に熱量を供給することが可能となるためである。
【0005】
ところで、固体材料容器は、半導体製造装置に固体材料の蒸気を供給するため、半導体製造装置に近接して配置される。ここで固体材料容器内部の固体材料が消費されると、固体材料が充填された別の固体材料容器に交換される。
固体材料容器の交換作業を行うためには、安全上の観点から固体材料容器を室温付近にまで冷却する必要がある。また、半導体プロセスの進捗を考慮すると可能な限り素早く冷却する必要がある。
【0006】
固体材料容器を冷却する方法は、例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。
特許文献1は、固体材料が貯留される容器の外側に設けられた空間に熱媒体(たとえば熱媒油)を導入することにより固体材料を加熱する装置を開示する。この装置において固体材料容器を冷却する場合には、熱媒体が導入される空間に冷却媒体(たとえば冷却水)を導入する。
特許文献2は、固体材料が貯留される容器の底面、側面、および上面を覆うように水冷ケーシングを配置し、水冷ケーシングに冷却水を導入することにより、固体材料容器が冷却される装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2010−533790号公報
【特許文献2】特開2014−114491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の装置では、固体材料容器の外側に、さらに冷媒や熱媒体を導入するための空間を配置する必要があることから、固体材料が大型化するという問題点がある。固体材料は、それ自身でも重量が大きいものであるが、冷媒や熱媒体を導入する空間を配置することでさらに重量が大きくなり、容器の交換作業や運搬が困難になる。また、固体材料容器の構造が複雑になるため、メンテナンス工程が煩雑になるほか、固体材料容器の製造も困難になる。
さらに、熱媒体と冷媒とを同じ空間に交互に導入する必要があることから、空間内に残留する熱媒体が冷媒に混入することによる冷媒の汚染が生じたり、加熱された空間に冷媒が導入されることにより急激に冷媒が加熱され、多量の冷媒蒸気が発生する危険性もある。
【0009】
特許文献2に記載の装置では、水冷ケーシング内に冷却水を流通させる水路を形成する必要があり、装置が煩雑になる。また、固体材料容器の外側にさらに水冷ケーシングを配置する必要があり、装置が大型化するという問題がある。
【0010】
前述のように固体材料容器は重量が大きく、大きな熱量を有していることから、その冷却には時間がかかる。特許文献1または特許文献2に記載されるような、固体材料容器を外側から冷却する装置では、固体材料容器を配置する装置が大型化してしまう。また、固体材料容器を取り外して他の固体材料容器に交換する場合には、その外側の冷却用の装置から取り出す工程が必要となり、交換作業が煩雑となる。また、固体材料容器の外側に設けられる冷却用の装置は、固体材料の外周に隙間なく配置して熱伝導を高める必要があるため、固体材料容器の形状に合わせて製作され、異なる形状の固体材料容器を取り付けることはできない。
【0011】
以上の背景により、簡便な手法・構成により、迅速に、固体材料容器を配置する装置を大型化することなく、任意の形状の固体材料容器を冷却するための手段の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る固体材料容器は、
内部に収納された固体材料を気化させて供給するための固体材料容器であって、
冷却ガスを前記固体材料容器の内部に導入する冷却ガス導入ラインと、
前記冷却ガスを前記固体材料容器から導出する冷却ガス導出ラインと、を有し、
前記冷却ガス導入ラインは、前記冷却ガスを前記固体材料容器の内部に噴出させるための1または2以上の冷却ガス噴出孔を有する。
【0013】
固体材料容器は、配管により固体材料を使用する設備(たとえば半導体製造装置である)に接続されている。固体材料供給時には、固体材料容器は加熱手段により加熱されている。加熱温度は、固体材料を使用するプロセス、固体材料の物性等に応じて任意に設定され、例えば50℃以上300℃以下の温度である。
加熱された固体材料容器からの入熱により、固体材料容器の内部の固体材料の温度が上昇し、固体材料は気化または昇華されて、蒸気として固体材料容器の外部へと導出される。
ここで固体材料容器の加熱手段は、恒温槽、オイルバス、マントルヒーター、テープヒーター、ジャケットヒーター、またはブロックヒーターであってもよい。
【0014】
固体材料の使用後、固体材料の蒸気の導出を停止し、固体材料容器を交換しようとする場合、固体材料容器の温度を低下させる必要がある。交換の際の容器温度は、安全上の観点および容器の材質等により任意に設定され、例えば15℃以上50℃以下の温度である。
【0015】
本発明に係る固体材料容器(図1中に示す、1である)では、冷却ガス導入ライン10から冷却ガスを導入して、固体材料容器1を内部から冷却することにより、迅速に冷却することが可能となる。冷却ガスは、固体材料容器1の加熱温度よりも低い温度のガスであればよく、例えば温度−50℃以上50℃以下のガスであってもよい。冷却ガスは、固体材料に対して不活性であればよく、ガス種は例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、水素またはドライエアであってもよい。冷却ガスは、あらかじめ冷却されていてもよい。冷却手段は特に限定されず、例えば熱交換器を使用した冷媒との熱交換、またはペルチェ素子による冷却であってもよい。冷媒は特に限定されず、液体窒素、水、オイル、またはフロリナートであってもよい。
なお、図中の矢印は、ガスの流れ方向を示す矢印である。
【0016】
冷却ガスの導入圧力は特に限定されず、例えば0.01MPaA以上2MPaA以下とすることができる。冷却ガスの導入圧力は、固体材料容器1の設計、それに充填される固体材料の物性等に応じて定めることができ、冷却ガスの導入時間の経過とともに上昇させることもできる。
【0017】
冷却ガスの導入流量は、任意に定めることができるが、固体材料容器1内部の固体材料が充填されていない空間部が、毎分1回以上置換される流量が好ましい。また流量が小さすぎると容器の冷却に要する時間が長くなり、効率が低下する。一方で流量が大きすぎると、固体材料容器の内部で固体材料の巻き上げが発生して後段の配管や機器に不具合を発生させる要因となる。以上を考慮すると、冷却ガスの毎分の流量が、固体材料容器の内部空間のうち、前記固体材料容器の使用開始前の状態において、固体材料が充填されていない部分の体積の1倍以上30倍以下となる量とすることができる。固体材料が、冷却ガスのガス流によって巻き上がる現象を考慮すると、1倍以上10倍以下が好ましく、1倍以上5倍以下がさらに好ましい。
【0018】
導入された冷却ガスは、固体材料容器1の冷却のために使用される。固体材料容器1およびその内部の固体材料2との熱交換によって温度が上昇した冷却ガスは、冷却ガス導出ライン11から固体材料容器1の外部へと導出される。
導出される冷却ガス中には、固体材料の蒸気が同伴される。同伴された蒸気が配管内で凝縮することを抑制するため、冷却ガス導出ライン11は加熱手段(不図示)により加熱されていてもよい。加熱手段の例としては、配管ブロックヒーター、ジャケットヒーター、またはラインヒーター等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
固体材料容器1には、固体材料を同伴させるためのキャリアガスを導入するキャリアガス導入ラインと、キャリアガスに同伴された固体材料の蒸気を導出する固体材料導出ラインがあらかじめ設けられていることが一般的である。この場合、キャリアガス導入ラインまたは固体材料導出ラインは、冷却ガス導入ライン10または冷却ガス導出ライン11を兼ねることもできる。
たとえば、冷却ガス導出ライン11が固体材料導出ラインを兼ねる場合、図8に示すように冷却ガス導出ライン11を分岐させ、仕切弁を設けてもよい。
【0020】
冷却ガス導入ライン10の開口部の位置は、固体材料容器1に充填される固体材料2の内部として、粉状または顆粒状の固体材料の内部(図1にAで示す)に挿入されるように配置されていてもよい。
また、図1における配置のように、開口部が、固体材料容器1の内部の、固体材料2が配置されていない空間(図1にBで示す)に配置されていてもよい。
【0021】
冷却ガス導入ライン10には、冷却ガスを固体材料容器の内部に噴出させるための1または2以上の冷却ガス噴出孔21が備えられている。
図2図6は、冷却ガス導出ライン10の先端部分の拡大図である。
冷却ガス噴出孔21が1つの場合、図2に示すように円柱状の冷却ガス導入ライン10の先端部(円柱の底部に該当する部分)に冷却ガス噴出孔21aを開口させることもできるが、図3に示すように、円柱状の冷却ガス導入ライン10の側面に冷却ガス噴出孔21bを開口させてもよい。
冷却ガス噴出孔21を2以上有する場合には、図4に示すように冷却ガス導入ライン10の側面に複数の冷却ガス噴出孔21cを設け、シャワー状に冷却ガスを噴出させるようにしてもよい。
【0022】
冷却ガス噴出孔21が1つの場合、冷却ガスが噴出する噴出面積を大きくできることから、冷却ガスの流速を低減させることができ、冷却ガスの吹き付けによる固体材料の飛び散りを抑制することが可能となる。
冷却ガス噴出孔21が2以上の場合、冷却ガスの噴出方向を分散させることが可能となることから、特定の方向から固体材料にガスが吹き付けて固体材料が偏在化することを抑制することが可能となる。
【0023】
このように、固体材料容器1の内部に冷却ガスを導入することにより、固体材料容器1の内部から固体材料容器1を冷却することが可能となるため、容器の冷却をより短時間に実施することができる。
【0024】
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス噴出孔21は、固体材料容器1の内部に収納された固体材料2の表面よりも上方に配置され、冷却ガス噴出孔21は、冷却ガスが固体材料容器1の内部のうち、固体材料2が収納されていない空間に、水平方向または水平方向よりも上方向に噴出されるように形成されてもよい。
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1の上部から、固体材料容器1の内部に垂直方向に挿入されるように配置され、2以上の冷却ガス噴出孔21が、前記冷却ガス導入ラインの側面に鉛直方向に配置されてもよい。
【0025】
冷却ガスの噴出方向が固体材料2の方向である場合には、冷却ガスの噴出によって固体材料容器1内部の固体材料が舞い上がり、固体材料容器に接続されているバルブや圧力計等の機器を閉塞、リークさせたり、多量の粉状物質が後段の配管に流れ込んで配管を閉塞させたりするそれがある。
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス噴出孔21は、固体材料2が収納されていない空間(図1にBで示す空間)に開口され、さらに、冷却ガスの噴出方向が水平方向または水平方向よりも上方向になるように配置されている。
【0026】
たとえば、図3では、固体材料容器1に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10の側面に冷却ガス噴出孔21bが、固体材料2よりも上方に配置されており、冷却ガス噴出孔21bから導出されるガスは、固体材料容器1に対して水平方向に噴出する。
たとえば図4では、固体材料容器1に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10の側面に複数の冷却ガス噴出孔21cが鉛直方向に配置されており、冷却ガス噴出孔21cから導出されるガスは、固体材料容器1に対して水平方向に噴出する。冷却ガス噴出孔21cは、鉛直方向に縦に1列配置されてもよいが、図4に示すように複数列配置されてもよい。
この構造により、冷却ガスのフローが直接固体材料2に吹き付けて固体材料が舞い上がる現象を抑制させることが可能となる。
【0027】
本発明に係る固体材料容器1の冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1の上部から、固体材料容器1の内部に垂直方向に挿入されたのち、固体材料容器1側の端部においてL字状に湾曲することによって冷却ガス噴出孔21が固体材料容器1に対して水平方向を向いて開口していることを特徴とすることもできる。
【0028】
たとえば図5では、固体材料に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1側の端部においてL時に湾曲しており、冷却ガス噴出孔21dは水平方向に向けて開口していることから、冷却ガス噴出孔は水平方向に噴出する。
別の例として、図6では、固体材料に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10は、固体材料容器1側の端部においてL時に湾曲しており、冷却ガス噴出孔21dは傾斜角度をもって開口しており、水平方向よりも上方向に冷却ガスが噴出する。
さらに別の例として、図7では、固体材料に対して垂直方向に挿入された冷却ガス導入ライン10は固体材料容器1側の端部においてU字に湾曲しており、冷却ガス噴出孔21eは上方向に開口している。
このように冷却ガス導入ライン10を固体材料容器1内部で湾曲させることにより、冷却ガスの噴出方向を調整し、冷却ガスが直接固体材料に吹き付けないようにすることで、固体材料の舞い上がりを抑制することが可能となる。
【0029】
本発明に係る固体材料容器1において、冷却ガス導出ライン11の後段に、冷却ガスを冷却するためのコールドトラップ30と、コールドトラップ30から導出される冷却ガスを前記固体材料容器1に再度導入させる冷却ガス返送ライン31をさらに有してもよい。
冷却ガスは固体材料容器1を冷却した後に、冷却ガス導出ライン11から導出される。ここで、導出される冷却ガスは気化した固体材料の蒸気を同伴している。固体材料の蒸気は温度の低下により凝縮、析出することがあり、配管の閉塞やパーティクル発生の要因となる場合がある。そこで、コールドトラップ30を設け、固体材料容器から導出されたのちに冷却する。これにより、冷却ガス中に含有される固体材料は凝縮され、コールドトラップ内に残留する。このように冷却ガス中に含有する固体材料含有量を低下させることにより、固体材料容器1の後段の配管内で固体材料が析出し、それにより閉塞したりする現象を抑制することができる。
冷却され、固体材料が低減された冷却ガスは、再び固体材料容器に冷却ガスとして導入されてもよい。このような構成とすることにより、冷却ガスを再利用することができ、コールドトラップの冷熱を固体材料容器の冷却に利用することができるため、エネルギー効率の良い冷却を実施することが可能となる。
【0030】
コールドトラップは、液体窒素、ドライアイス等の冷却媒体により冷却されている。そこに固体材料の蒸気を同伴する冷却ガスが導入されると、気体状態の固体材料が凝縮し、液体または固体状態となってコールドトラップ内に残留し、冷却ガスは温度が低下した状態でコールドトラップから導出される。
コールドトラップがら導出された冷却ガスは、そのまま、または新たな冷却ガスを追加して、再度冷却ガスとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】固体材料容器の構成例を示す図である。
図2】固体材料容器の冷却ガス導入ライン構成例の拡大図である。
図3】固体材料容器の冷却ガス導入ライン構成例の拡大図である。
図4】固体材料容器の冷却ガス導入ライン構成例の拡大図である。
図5】固体材料容器の冷却ガス導入ライン構成例の拡大図である。
図6】固体材料容器の冷却ガス導入ライン構成例の拡大図である。
図7】固体材料容器の構成例を示す図である。
図8】固体材料容器の構成例を示す図である。
【0032】
(実施例)
図4または図6に示す形状の冷却ガス導入ライン10を取り付けた図1に示す固体材料容器1を製作し、加熱後の冷却状況を確認した。
固体材料容器1は、内容積18Lの、肉厚0.28cmのステンレススチール製の固体材料容器(容器重量20kg)とした。ここに固体材料としてアルミナ10kgを導入して、恒温槽により容器外壁面温度が250℃または150℃になるように加熱した。容器外壁面温度が250℃または150℃に到達した後、5時間保持した。その後、恒温槽による加熱を停止し、冷却ガス導入ライン10から冷却ガスを導入した。冷却ガスは、温度20℃、流量15SLMの窒素ガスとした。固体材料容器の内部空間のうち、使用開始前の状態における固体材料が充填されていない部分の体積は8Lであるから、毎分の冷却ガスの流量は該体積の1.9倍である。
【0033】
(実施例1)
図3に示す形状の冷却ガス噴出孔21bを有する冷却ガス導入ライン10では、配管径は1/2インチ、開口部面積は0.71cmであった。開口部は、配管の先端から5mm上に配置された。
【0034】
(実施例2)
図4に示す形状の冷却ガス噴出孔21cを有する冷却ガス導入ライン10では、それぞれの冷却ガス噴出孔21cの直径は1mmであり、冷却ガス噴出孔21の数は32であった。32の冷却ガス噴出孔21は、5mm間隔で垂直方向に8こずつ配置され、垂直に8この冷却ガス噴出孔21が配置された列は4列、冷却ガス導入ラインの側壁面に配置された。
【0035】
(実施例3)
図6に示す形状の冷却ガス噴出孔21eを有する冷却ガス導入ライン10では、冷却ガス導入ライン10は固体材料容器1に挿入されたのち、固体材料容器1全体の高さのうち下から70%の高さの位置において、L字形状に湾曲された。初期の固体材料の充填高さは、固体材料容器1全体の高さのうち下から50%の高さであることから、L字形状の湾曲部分は固体材料の充填高さよりも高い位置にある。湾曲された配管の先端部は斜め方向45℃に切断され、その切り口を冷却ガス噴出孔21eとした。
【0036】
実施例1、2、3で、固体材料容器の加熱温度が250℃の場合において、冷却ガスの導入開始から、固体材料容器1の容器外壁面温度が50℃となるまでに要した時間を計測した結果、いずれの場合も所要時間は800分であった。
図6に示す形状の場合(実施例3)については、その容器外壁面温度の推移を示すグラフを表1に示す。表1に点線で示す冷却ガスを導入しない場合には、容器外壁面温度が50℃以下となる冷却に長時間(1800分以上)を要するが、実線で示す冷却ガスを導入する場合には冷却時間が大幅に短縮された。このことから、冷却ガスの導入による容器冷却効果が十分に得られたといえる。
なお、容器外壁面温度は、円筒形状の固体材料容器1の側面中央部の表面を熱電対により計測した。
【0037】
【表1】
【0038】
同様に、実施例3において固体材料容器の加熱温度を150℃とした場合の容器外壁面温度の推移を示すグラフを表2に示す。
表2に点線で示す冷却ガスを導入しない場合には、容器外壁面温度が50℃となるまでの冷却に長時間(900分以上)を要するが、実線で示す冷却ガスを導入する場合には冷却時間が大幅に短縮された(約480分)。このことから、冷却ガスの導入による容器冷却効果が十分に得られたといえる。
【0039】
【表2】
【0040】
次に、図6に示すように冷却ガス導入ライン1をL字に湾曲させて冷却ガスの吹き出し方向を水平方向よりも上方向とする場合(実施例3)と、冷却ガス導入ライン1を湾曲させない場合(比較例1)とで、固体材料容器1内部における固体材料の舞い上がりの有無を確認した。比較例1と実施例3とでは、冷却ガス噴出孔21の高さは同じとしたが、冷却ガスの噴出方向は、実施例3場合には水平方向よりも上方向となるのに対し、比較例1場合には下向き垂直方向となる。
冷却時における冷却ガスの種類及び流量は上記と同様として、固体材料の舞い上がりの有無は、冷却ガス導出ライン11に設けられたパーティクルカウンタにより検出されるパーティクルの有無により確認した。
比較例1には、検出された径0.1μm以上のパーティクル量は1cfあたり1000個であった。これに対し、実施例3の場合には、検出された径0.1μm以上のパーティクル量は1cfあたり10個以下であった。このことから、冷却ガスが固体材料の表面に直接あたる方向に噴出する場合よりも、固体材料容器1に対して水平方向または水平方向よりも上方向に噴出する方が、固体材料の舞い上がりと、それに伴う後段へのパーティクルの同伴を抑制できることが確認された。
【符号の説明】
【0041】
1.固体材料容器
2.固体材料
10. 冷却ガス導入ライン
11.冷却ガス導出ライン
21.冷却ガス噴出孔


【要約】
【課題】簡便な手法・構成により、迅速に、固体材料容器を配置する装置を大型化することなく、任意の形状の固体材料容器を冷却するための手段を提供する。
【解決手段】固体材料容器1は、内部に収納された固体材料2を気化させて供給するための固体材料容器であって、冷却ガスを前記固体材料容器1の内部に導入する冷却ガス導入ライン10と、前記冷却ガスを前記固体材料容器1から導出する冷却ガス導出ライン11と、を有し、前記冷却ガス導入ライン10は、前記冷却ガスを前記固体材料容器の内部に噴出させるための1または2以上の冷却ガス噴出孔21を有する。

図1
【選択図】図1
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図2
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図5
図6
図7
図8