特許第6605189号(P6605189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605189
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】荷役車両用コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/48 20060101AFI20191031BHJP
   B60P 3/40 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B60P1/48 A
   B60P3/40 Z
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-236533(P2013-236533)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96359(P2015-96359A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年8月18日
【審判番号】不服2018-11909(P2018-11909/J1)
【審判請求日】2018年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 昌史
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 藤井 昇
【審判官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3032683(JP,U)
【文献】 実開昭55−41947(JP,U)
【文献】 特開平10−7034(JP,A)
【文献】 特開2000−198451(JP,A)
【文献】 実開平7−40264(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00- 1/64
B60P 3/00- 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役車両(V)の車台(1)上に前後方向に移動可能に搭載され、その車台(1)に設けた荷役装置(3)により車台(1)と地面との間で、後方下向きに傾斜させ、後端下部を接地させながら移動して地上に降ろすようにした、荷役車両用コンテナであって、
前記コンテナは積載物を搭載可能なコンテナ本体(2)を備え、そのコンテナ本体(2)の後端下部に、接地可能なソリ(17)および接地ローラ(16)を設け、前記接地ソリ(17)は、コンテナ本体(2)の積み降ろし方向と直交する方向に軸線を有する揺動軸(17a)回りに揺動可能であり、前記接地ローラ(16)は前記揺動軸(17a)と平行な回転軸(16a)回りに回転可能に設けられることを特徴とする、荷役車両用コンテナ。
【請求項2】
前記接地ソリ(17)の揺動軸(17a)と、前記接地ローラ(16)の回転軸(16a)とを一致させたことを特徴とする、前記請求項1に記載の荷役車両用コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両の車台上に、その車台と地面との間で積み降ろし可能に搭載される、荷役車両用コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役車両の車台上に搭載されるコンテナを、脱着装置により地上に降ろし、コンテナへの荷物の積み降ろし時に、地面に近い高さで荷役作業ができるようにしたものは公知である(後記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4963096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記荷役車両では、その荷役車両の車台は、地面よりも高い位置にあるため、その車台上に搭載されるコンテナを地に降ろす際に、コンテナは、車台上を後方にスライド移動させたのち、車台の後端部に設けた案内コロ上を移動させ、そのコンテナを後方下向きに傾斜させながら移動して地上に降ろすようにされている。そして、コンテナの後側の接地箇所に、後端側に向かって反り返った接地保護キャップが固定されている。
【0005】
ところが、コンテナを降ろす場所は、凹凸地面、軟弱地面などの不整地面、悪天候によりぬかるんだ地面など様々であり、前記従来の荷役車両の接地保護キャップでは、コンテナに固定されていて地面との接触部は、コンテナの降ろし方向に直交する線が、コンテナに対して相対位置の変わらない一直線状となるため、コンテナの降ろし場所が、不整地面やぬかるんだ地面の場合には、接地保護キャップにコンテナの荷重が集中して、その接地保護キャップが、降ろし場所にめりこんでしまい、コンテナ脱着作業に支障を及ぼすという問題がある。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、コンテナの降ろし場所が、不整地面やぬかるんだ地面であっても、コンテナの脱着が常にスムーズに行われるようにした、新規な荷役車両用コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、荷役車両の車台上に前後方向に移動可能に搭載され、その車台に設けた荷役装置により車台と地面との間で、後方下向きに傾斜させ後端下部を接地させながら移動して地上に降ろすようにした、荷役車両用コンテナであって、
前記コンテナは積載物を搭載可能なコンテナ本体を備え、そのコンテナ本体の後端下部に、接地可能な接地ソリおよび接地ローラを設け、前記接地ソリは、コンテナ本体の積み降ろし方向と直交する方向に軸線を有する揺動軸回りに揺動可能であり、前記接地ローラは前記揺動軸と平行な回転軸回りに回転可能に設けられることを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項2の発明は、前記請求項1の発明において、前記接地ソリの揺動軸と、前記接地ローラの回転軸とを一致させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、コンテナ本体を車台と地面との間で積み降ろしする際に、接地ソリは、コンテナ本体の傾動位置のいかんにかかわらず、接地ソリの接地面を、その全域に亘って常に地面に面接触させることができ、また接地ローラは地面上を常に円滑に転動することができる。その結果、接地ソリと接地ローラとが協働してコンテナ本体を常に円滑に移動させてコンテナ本体を車台からスムーズに脱着させることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、接地ソリの揺動軸と、前記接地ローラの回転軸とを一致させたので、接地ソリが揺動しても、接地ローラは、常に地面上を転動して、特に、舗装された地面などの整地面で、コンテナをスムーズに脱着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コンテナを積載した荷役車両の斜視図(第1の実施形態)
図2図1の2矢視図(第1の実施形態)
図3図2の3矢視図(第1の実施形態)
図4図2の4矢視仮想線囲い部分の拡大図(第1の実施形態)
図5図4の5−5線断面図(第1の実施形態)
図6】コンテナのダンプ時の状態を示す荷役車両の側面図(第1の実施形態)
図7】コンテナの降ろし途中の状態を示す荷役車両の側面図(第1の実施形態)
図8】コンテナの降ろし終了状態を示す荷役車両の側面図(第1の実施形態)
図9】(A)コンテナと固定荷台とに長尺物を積み込む状態を示す荷役車両の側面図(第1の実施形態)(B)コンテナと固定荷台とから長尺物を降ろす状態を示す荷役車両の側面図(第1の実施形態)
図10】制御装置の制御ブロック図(第1の実施形態)
図11】制御装置のフローチャート図(第1の実施形態)
図12】(A)コンテナ車台積載時の接地ローラおよび接地ソリの側面図(第2の実施形態)(B)コンテナ傾動時の接地ローラおよび接地ソリの側面図(第2の実施形態)
図13】(A)コンテナ車台積載時の接地ローラおよび接地ソリの側面図(第3の実施形態)(B)コンテナ傾動時の接地ローラおよび接地ソリの側面図(第3の実施形態)
図14】(A)コンテナ車台積載時の接地ローラおよび接地ソリの側面図(第4の実施形態)(B)コンテナ傾動時の接地ローラおよび接地ソリの側面図(第4の実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜11を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0013】
以下の説明において、荷役車両Vの走行方向の前後を「前後」、その上下を「上下」、その左右を「左右」とする。
【0014】
図1、2において、荷役車両Vは、前、後輪がいずれも駆動される、4輪駆動車両であって、シャシフレームF上の車台1に積み降ろし可能に積載される長尺物用コンテナ本体(以下、コンテナ本体という)2と、このコンテナ本体2を積み降ろしする荷役装置3と、車台1上に固定される固定荷台4とを備えている。
【0015】
まず、図1〜5を参照して、前記コンテナ本体2の構造について説明する。
【0016】
コンテナ本体2は、車台1の前後方向に長い長方形状のサブフレーム10と、このサブフレーム10の上面に敷設される床板11とを備えており、その左右側面、上面および後面は開放されている。サブフレーム10の前面の左右方向の中央部には、鉛直方向に延びる支柱12が一体に立設されている。この支柱12は、前方開放の横断面コ字状で、その鉛直方向に長い棒状に形成されている。また、この支柱12の上端には、係合ピン13が横向きに固定されており、この係合ピン13は、後述する荷役装置3のフックアーム26の上端に設けたフック27に係脱可能である。
【0017】
床板11の左右両側面には、その前後方向に間隔をあけて複数対(3対)の側部スタンション15が対称的に立設されている。これらの側部スタンション15は、床板11の両側面に沿って略鉛直に延びており、コンテナ本体2に積載される、木材などの長尺物Wが側方に転がり落ちるのを防止する。また、床板11の車幅方向の中心軸線L−L上で、かつその前後方向の中心よりも前方には、一本の中央部スタンション19 が一体に立設されている。この中央部スタンション19は前記支柱12の車幅方向の幅内にあって、木材などの長尺物Wの斜め積みを防止する。
【0018】
コンテナ本体2のサブフレーム10の左右縦フレーム101 の前端部は、床板11の前端面よりも前方に突出しており、その左右縦フレーム101 の前端には、係合部14がそれぞれ一体に設けられる。図2に示すように、係合部14は、前面が開口された、前後方向に長い鞘状に形成されており、コンテナ本体2が車台1上に積載されたとき、その係合部14に、車台1の前部左右に固定した被係合部としての係止フック7が嵌入して、コンテナ本体2の前端を、車台1に適確に固縛、支持する。
【0019】
図1、4、5に示すように、コンテナ本体2の後端下部左右には、ブラケット9がそれぞれ固定されており、これらのブラケット9には、キャスタよりなる接地ローラ16および接地ソリ17がそれぞれ支持されている。すなわち、接地ローラ16の回転軸16aは、ブラケット9に、コンテナ本体2の積み降ろし方向と直交する軸線を有して回転自在に支持されており、また接地ソリ17は、ブラケット9に、接地ローラ16の回転軸16aと一致する揺動軸l7a回りに揺動可能に支持されている。そして、接地ローラ16の下部は、接地ソリ17に開口した窓孔17bを通して、その接地ソリ17の接地面よりも下方に突出されている。また、接地ソリ17の重心Gは、その揺動軸17aの略直下に位置していて、接地ソリ17は、その自由状態では、略水平行状態、すなわちコンテナ本体2の床板11と略平行に保持される。前記接地ソリ17の接地面は平坦面であり、その後端部には、後端側に向かって反り返る湾曲面17cが形成されている。
【0020】
なお、接地ソリ17は、従来公知の水平保持手段により、その自由状態で略水平状態に保持するようにしてもよく、また接地ソリ17の前端部に湾曲面17cを形成してもよい。
【0021】
後述するように、コンテナ本体2が後方に向けて傾動され、その後部下端が地面に着地したとき、前記接地ローラ16および接地ソリ17はいずれも接地するようにされる。そして、コンテナ本体2の降ろし作動に伴って、接地ローラ16は回転され、一方、接地ソリ17は前後方向に揺動して地面上を滑り、コンテナ本体2をスムーズに地面上に降ろすことができる。
【0022】
接地ローラ16の下部は、接地ソリ17の窓孔17bを通して下方に突出しており、接地ソリ17の揺動位置に関係なく地面上に接地するようにされている。
【0023】
図6〜8に示すように、前記荷役装置3は、前記コンテナ本体2を、ダンプ作動あるいは車台1と地面間で積み降ろし作動するように構成されており、車台1の後部において基端部(後端部)が前後方向に回動自在に軸支21されるダンプアーム20と、このダンプアーム20の先端部(前端部)側において基端部(後端部)が車台1に前後方向に回動自在に軸支23される荷役アーム22と、この荷役アーム22の中間部と、車台1の前寄り部間に連結されるリフトシリンダ24とを備えている。荷役アーム22は、先端部(上端部)にフック27が取り付けられたフックアーム26と、リフトアーム28とを相互に伸縮可能に嵌合して構成されており、フックアーム26とリフトアーム28とは、それら間に連結されるスライドシリンダ29により伸縮作動される。そして、前記ダンプアーム20と荷役アーム22間には、それらを直線状に一体に固縛する従来公知の固縛手段(図示せず)が設けられている。
【0024】
図1〜3に示すように、荷役装置3が荷役車両Vの車台1上に設置され、また、コンテナ本体2が車台1上に積載されている状態では、車台1側の係止フック7は、コンテナ本体2側の係合部14に嵌入してコンテナ本体2の前部は、車台1上に堅固に固縛される。
【0025】
荷役装置3のフックアーム26は、コンテナ本体2の支柱12の前方にあって、そのフックアーム26の上端のフック27は、コンテナ本体2の支柱12の先端部の係合ピン13に係合されて、コンテナ本体2は、車台1上に安定支持されると共に、後述するように、荷役装置3の作動により、後方にダンプされ、あるいは車台1と地上間で積み降ろし可能とされている。そして、コンテナ本体2の前面と、後述の固定荷台4の後面間において、支柱12の左右両側には、外部に開放する左右開口部31,32が形成されている。また、コンテナ本体2は、その前後方向の全長を、車台1の全長よりも短く形成することにより、荷役車両Vの後端からの突出量を短くすることができる。
【0026】
前記固定荷台4は、前記コンテナ本体2よりも前方において、前記左右開口部31,32を隔てて車台1の前部に設けられ、車台1の前部に固定した支持台40上に床板42を敷設して、平面視車幅方向(左右方向)に長い長方形状に形成されている。支持台40により、固定荷台4の床板42の上面は、コンテナ本体2の床板11の上面と一致させている。固定荷台4の前部には、遮蔽壁44が立設されている。この遮蔽壁44は、固定荷台4の前面およびその左右側面の前部を覆うように平面視チャンネル状に形成されていて、荷役車両Vの運転席Cの後面を覆っており、荷役車両V上に積載された長尺物Wが、運転席Cと接触するのを防止するようにしており、また、固定荷台4上に積載された長尺物Wの前部を積載位置に整合するのに役立っている。固定荷台4の床板42の左右側面の前後方向の中間部には、対をなす側部スタンション15が対称的に一体に立設されており、固定荷台4上に積載された長尺物Wが側方に転がり落ちないようにしている。
【0027】
図2、10に示すように、荷役車両Vの運転席C内の適所には、前記荷役装置3を作動制御する制御装置50が設けられる。この制御装置50は、メインスイッチ51、切替スイッチ52、および操作スイッチ53を備えており、操作スイッチ53は、ダンプスイッチ54および積卸スイッチ55とよりなる。これらのスイッチ群からの入力信号が制御装置50に入力され、また該制御装置50からの出力信号は、荷役装置3のリフトシリンダ24およびスライドシリンダ29を作動制御する。
【0028】
図11の制御装置50のフローチャート図において、切替スイッチ52を「長尺側」に切り替えると、操作スイッチ53(ダンプスイッチ54および積卸スイッチ55)を操作しても荷役装置3を動作させないように制御し、また、切替スイッチ52を「通常側」に切り替えると、荷役装置3を通常の動作が可能となるように制御する。
【0029】
つぎに、この第1の実施形態の作用について説明する。
【0030】
コンテナ本体2により、長い長尺物W以外の短尺材、チップなどの積荷を運搬するときは、制御装置50の切替スイッチ52を「通常側」に切替える。
【0031】
(1) 「車台1上のコンテナ本体2をダンプさせる場合」
制御装置50の切替スイッチ52を「通常側」に切替えて、荷役装置3のダンプスイッチ54をON作動すれば、図6に示すように、コンテナ本体2を車台1上の設置状態(図1〜3参照)から車台1の後方にダンプさせて、コンテナ本体2上の積荷を地上に放出することができる。具体的には、ダンプアーム20と荷役アーム22との間に設けた固縛手段(図示せず)の固縛作動により、両アーム20,22の相対回動を規制してそれらを一直線に固縛した状態で、前記リフトシリンダ24を伸長作動させると、フックアーム26の上端のフック27に、支柱12上端の係合ピン13が係合されているコンテナ本体2は、車台1上を後方へ傾斜されてダンプ状態となり、コンテナ本体2上に積載されている、短尺物、チップなどの積荷(木材などの長尺物を除く)を、荷役車両Vの後方に放出することができる。またリフトシリンダ24を収縮作動すれば、コンテナ本体2は下降して車台1上に降ろすことができる。
【0032】
(2) 「車台1上のコンテナ本体2を地上に降ろす場合」
また、制御装置50の切替スイッチ52を「通常側」に切替えて、荷役装置3の積卸スイッチ55をON作動すれば、コンテナ本体2を車台1と地上間で積み降ろして、コンテナ本体2上に積載される短尺物、チップなどの積荷(木材などの長尺物を除く)を地上に降ろすことができる。
【0033】
図7に示すように、スライドシリンダ29の収縮作動によりフックアーム26をリフトアーム28に対して荷役車両Vの後方へ水平移動させ、固縛手段の固縛作動を解除してダンプアーム20と荷役アーム22とが相対回動可能とした状態で、リフトシリンダ24を伸長させると、リフトアーム26とフックアーム28とよりなる荷役アーム22は軸支23点を中心として後方に回動する。これによりコンテナ本体2は車台1上を後方に移動する。
【0034】
リフトシリンダ24の伸長継続によれば、コンテナ本体2後端の、接地ローラ16および接地ソリ17は地面に接地し、引き続くリフトシリンダ24の伸長作動により、接地ローラ16は地面上を回転し、接地ソリ17は地面に倣うように揺動しながら地面上を滑り、コンテナ本体2は、接地ローラ16の回転軸16aおよび接地ソリ17の揺動軸17aを支点として後方に傾動する。
【0035】
しかして、接地ソリ17は、地面上に接地されたとき、地面からの反力を受けてその揺動軸17a回りに自由に揺動できるので、コンテナ本体2を降ろす場所が、凹凸地面、軟弱地面などの不整地面やぬかるんだ地面であっても、それらの地面に追従するように自由に揺動して、接地ソリ17の接地面を地面に常に面接触させることができ、従来の接地保護キャップやローラのような線接触よりも地面と接触する面積を広く確保することができ、地面にめりこむことなく、地面上をスムーズに滑ることができる。
【0036】
図8に示すように、リフトシリンダ24の伸長継続により、荷役アーム22が後方回動位置に至ればフックアーム26は下向きとなってコンテナ本体2は地上に降ろされる。フックアーム26先端のフック27を係合ピン13から外せば、コンテナ本体2は荷役車両Vから分離され、コンテナ本体2の脱着をスムーズに行うことができる。
【0037】
そしてコンテナ本体2と地面間で、前記積荷(木材などの長尺物を除く)の積み降ろしを行なうことができる。
【0038】
(3) 「地上に卸されているコンテナ本体2を車台1上に積み込む場合」
地上に卸されているコンテナ本体2の前方に、適宜の間隔をあけて荷役車両Vを縦列停止させたのち、荷役アーム22を軸支23点周りに後方回動位置までフル回動させる。フックアーム26のフック27を支柱12の係合ピン13に係合させ、荷役アーム22の前方回動により、前述のコンテナ本体2を降ろす場合と同じく、接地ローラ16は地面上を転動し、接地ソリ17は地面上をスムーズに滑り、コンテナ本体2は車台1上に積み込まれてその上を前方に移動し、スライドシリンダ29の伸長作動により、フックアーム26は前端位置に移動して、図1、2に示すように、荷役車両Vへのコンテナ本体2の積み込みを終了する。
【0039】
図1,2に示すように、コンテナ本体2の前端の係合部14は、車台1上の被係合部としての係止フック7に嵌入して、コンテナ本体1の前部を、車台1上に適確に固縛、支持することができる。
【0040】
荷役車両Vは、従来の荷役車両では運搬の困難な、長い長尺物の運搬を可能としている。
【0041】
この第1の実施形態では、建築用向けの角材に加工するための長い木材(3.6m以上)などの長尺物Wを積載して運搬するようにしており、特に、その長尺物Wの輸送量を増やすべく、その長尺物Wを縦方向に2本ずつ縦列させた状態で、複数本の長尺物Wを運搬し、その輸送量を増量することができ、しかも、コンテナ本体2の前後方向の長さを短かく設定して、このコンテナ本体2を使用しないときの保管スペースを狭くできる。
【0042】
(4) 「車台1上の固定荷台4とコンテナ本体2とに跨がって木材などの長尺物Wを輸送する場合」
この場合、運転席C内の制御装置50の切替スイッチ52は、「長尺側」に切り替え、前記荷役装置3の作動を禁止する。
【0043】
図1、2、鎖線に示すように、荷役車両V上には、固定荷台4とコンテナ本体2とに跨がって、山から伐採した複数本の木材などの長尺物W(3.6m以上)を、縦方向に2本ずつ縦列して積載する。図9(A)に示すように、荷役装置3に依存せずに、前記長尺物Wは、地上の保管場所からクレーンなどの他の荷役機械(図示せず)により、ロープなど索条Rにより吊り上げて、複数の長尺物Wを2本ずつ縦列して、固定荷台4とコンテナ本体2とに跨がって積載する。このとき、側部スタンション15は、長尺物Wの転がり落ちるのを防いで、その積載をし易くしている。また中央部スタンション19は、長尺物Wが、車台1上に斜めに積み込まれるのを防止している。
【0044】
固定荷台4とコンテナ本体2とに跨がって各2本ずつ縦列して積載された複数本の長尺物Wは、図示しないロープなどの索条により適宜コンテナ本体2に固縛する。そして、多数本の長尺物Wを積載した荷役車両Vは、その長尺物Wの加工場などに輸送される。
【0045】
なお、長尺物Wは2本ずつ縦列することなくコンテナ本体2上に積載するようにしてもよい。
【0046】
(5) 「車台1上の木材などの長尺物Wを地上に卸す場合」
この場合も、制御装置50の切替スイッチ52は、「長尺側」に切り替えたままである。
【0047】
図9(B)に示すように、荷役車両Vの走行により目的地まで運搬された長尺物Wは、荷役装置3の作動に依存せずに、クレーンなどの他の荷役機械でロープなど索条Rにより吊り上げて車台1上から加工場などの地上に卸される。
【0048】
つぎに、図12を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0049】
この第2の実施形態では、接地ソリ17の揺動軸17aを、接地ローラ16の回転軸16aよりもコンテナ本体2の後方に位置させた場合であり、前記揺動軸17aと回転軸16aは、コンテナ本体2の前後方向において互いに平行である。
【0050】
この第2の実施形態によれば、コンテナ本体2の傾動時に、接地ソリ17を接地ローラ16に優先して接地させることができ、地面の状態によっては、接地ローラ16を接地させないで、あるいは僅かに接地させた状態で、特に、不整地面やぬかるんだ地面でコンテナ本体2をスムーズに移動させることができる。
【0051】
つぎに、図13を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0052】
この第3の実施形態では、接地ソリ17の揺動軸17aを、接地ローラ16の回転軸16aよりもコンテナ本体2の前方に位置させた場合であり、前記揺動軸17aと回転軸16aは、コンテナ本体2の前後方向において互いに平行である。
【0053】
この第3の実施形態によれば、コンテナ本体2の傾動時に、接地ローラ16を接地ソリ17に優先して接地させることができ、地面が舗装地面などの整地面で、コンテナ本体2をスムーズに前後移動させることができる。
【0054】
つぎに、図14を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0055】
この第4の実施形態では、接地ソリ17の重心Gを、その揺動軸17aよりも前方に位置させた場合であり、接地ローラ16の回転軸16aは、接地ソリ17の揺動軸17aと同軸上にある。
【0056】
この第4の実施形態によれば、接地ソリ17を後上がりに傾斜させることができ、コンテナ本体2の傾動時に、接地ソリ17が接地する瞬間に、不整地面やぬかるみなどに大きな凹凸があっても、接地ソリ17が、不整地面に引っかかりにくく、コンテナ本体2をスムーズに前後移動させることができる。
【0057】
なお、この第4の実施形態では、接地ローラ16の回転軸16aと、接地ソリ17の揺動軸17aとを一致させなくてもよい。
【0058】
以上、本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0059】
たとえば、コンテナは、長尺物用コンテナの他、従来公知のコンテナであってもよい。またコンテナの積み降ろしは、ウインチ、傾斜フレームをスライド移動するもの(たとえば、特許第3648075号のもの)、その他、従来公知のコンテナ積み降ろし手段を用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1・・・・・・・・・車台
2・・・・・・・・・コンテナ本体
3・・・・・・・・・荷役装置
16・・・・・・・・接地ローラ
16a・・・・・・・・回転軸
17・・・・・・・・・接地ソリ
17a・・・・・・・・揺動軸
V・・・・・・・・・荷役車両
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