【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明の構成では、プラグインモジュールとの電気的な接続を形成するコネクタであって、当該コネクタはコネクタボディを有し、該コネクタボディは電気的な線路を収容するための複数の通路を有し、当該コネクタはマットシール部材を有し、該マットシール部材は、前記コネクタボディに設けられた前記通路内に収容された電気的な線路を貫通案内するための複数の通路を有し、前記マットシール部材に、当該コネクタをシールするための、側方で環状に延びる少なくとも1つのラジアルシール部材が配置されており、当該コネクタは
押圧板を有し、該
押圧板は、前記コネクタボディに設けられた前記通路内に収容された電気的な線路を貫通案内するための複数の通路を有し、前記コネクタボディは収容範囲を有し、該収容範囲内に前記マットシール部材と前記
押圧板とが挿入可能であり、これにより前記
押圧板と前記マットシール部材と前記コネクタボディとに設けられた前記通路の開口が、それぞれ互いに整合し、かつ電気的な線路を収容するための一貫して延びる通路を形成して、当該コネクタの軸方向を規定しており、前記収容範囲は、カラー状の縁付け部を有し、該縁付け部は前記マットシール部材と前記
押圧板とを環状に取り囲むように延びていて、前記マットシール部材の前記ラジアルシール部材が、前記収容範囲に設けられた前記縁付け部と前記マットシール部材との間に位置している、プラグインモジュールとの電気的な接続を形成するコネクタにおいて、前記
押圧板と前記マットシール部材とは、前記
押圧板を軸方向に押しずらすことによって、前記マットシール部材の縁範囲が半径方向に拡開されて、前記マットシール部材の前記ラジアルシール部材が前記収容範囲の前記縁付け部に押圧され、このときに当該コネクタをシールするように互いに協働するように形成されているようにした。
【0008】
本発明の有利な実施態様は、請求項2以下に記載されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成では、コネクタが、コネクタボディを有し、このコネクタボディは電気的な線路を収容するための複数の通路を有する。さらに、前記コネクタはマットシール部材を有し、このマットシール部材は、コネクタボディに設けられた前記通路内に収容された電気的な線路を貫通案内するための複数の通路を有する。前記マットシール部材には、コネクタをシールするための、側方で環状に延びる少なくとも1つのラジアルシール部材が配置されている。さらに、前記コネクタは
押圧板を有し、この
押圧板は、コネクタボディに設けられた前記通路内に収容された電気的な線路を貫通案内するための複数の通路を有する。
【0010】
マットシール部材と
押圧板とは、コネクタボディに設けられた収容範囲に挿入可能であるので、
押圧板とマットシール部材とコネクタボディとに設けられた前記通路の開口は、それぞれ互いに整合して、電気的な線路を収容するための一貫して延びる通路を形成する。これらの通路は、前記コネクタの軸方向を規定する。
【0011】
コネクタボディに設けられた収容範囲は、カラー状の縁付け部を有する。この縁付け部はマットシール部材と
押圧板とを環状に取り囲むように延びているので、マットシール部材に設けられたラジアルシール部材は、前記収容範囲に設けられたカラー状の縁付け部とマットシール部材との間に位置している。
【0012】
総合的に前記コネクタは、コネクタの密な構成に基づいて、ワイヤハーネスと制御ユニットとの間の長寿命でかつ確実な電気的接続を提供するように形成されていてよい。
【0013】
したがって、本発明の構成では、
押圧板とマットシール部材とは、マットシール部材と
押圧板とがコネクタボディの収容範囲内に挿入される際に、
押圧板を軸方向に押しずらすことによって、マットシール部材の縁範囲が半径方向に拡開されて、マットシール部材のラジアルシール部材が前記収容範囲のカラー状の縁付け部に押圧され、このときに前記コネクタをシールするように互いに協働するように形成されている。「半径方向」はこの場合、軸方向に対して直交する方向に延びている。
【0014】
本発明の構成に至る思想は、以下に説明する認識に基づいているとみなすことができる。すなわち、これまで一般に、コネクタボディの収容範囲内にマットシール部材を挿入するために比較的大きな力が加えられなければならなかった。なぜならば、ラジアルシール部材は既にマットシール部材の挿入時にコネクタボディの収容範囲の縁付け部に密に押圧されるからである。マットシール部材の高い差込み力は、時として、コネクタの組付け時にラジアルシール部材が損傷され、たとえば圧潰されるか、亀裂形成されるか、またはせん断されることを招いてしまう。その結果、コネクタにおけるシール性問題が観察されるので、コネクタ内部の電気的なコンタクトはもはや十分に保護されていない。
【0015】
そこで本発明によれば、
押圧板とマットシール部材とが協働するように構成されていることに基づき、マットシール部材のラジアルシール部材がもはやコネクタの組付け時に損傷され得なくなることが確保され得る。なぜならば、ラジアルシール部材は、
押圧板がコネクタボディの収容範囲内へ挿入されたあとでしか収容範囲の縁付け部に押圧されないからである。これにより、マットシール部材のシール機能を確保することができ、そしてマットシール部材の組付けが容易になるという利点が得られる。なぜならば、僅かな力を加えるだけで、マットシール部材をコネクタボディ内に密に組み付けることができるからである。
【0016】
本発明の別の実施態様では、
押圧板を押しずらすことにより拡開されるマットシール部材の縁範囲が、少なくとも部分範囲において、コネクタボディの収容範囲に設けられたカラー状の縁付け部に向かって上昇する傾斜面として形成されている。この傾斜面は、
押圧板が軸方向に押しずらされると、マットシール部材の縁範囲に、半径方向に作用する力が導入され、これによってこの縁範囲がコネクタボディに、特に収容範囲の縁付け部に押圧され得るようにするために形成されている。
【0017】
本発明のさらに別の実施態様では、
押圧板が縁範囲を有し、この縁範囲は、押圧面として、マットシール部材の縁範囲の傾斜面と協働するように形成されていて、少なくとも所定の部分範囲において、マットシール部材の縁範囲の傾斜面とは異なる勾配(ピッチ)を有する。
【0018】
これにより、マットシール部材の縁範囲が
押圧板の縁範囲によって拡開されて、ラジアルシール部材によってコネクタボディの収容範囲の縁付け部に押圧され得るので、マットシール部材のラジアルシール部材が前記コネクタを半径方向でシールすることが確保され得る。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様では、マットシール部材が、前記コネクタをシールするための少なくとも2つのラジアルシール部材を有しており、これらのラジアルシール部材はコネクタボディの収容範囲のカラー状の縁付け部とマットシール部材との間に位置しており、この場合、前記ラジアルシール部材のうちの1つのラジアルシール部材は、マットシール部材がコネクタボディの収容範囲内に挿入されると、収容範囲のカラー状の縁付け部に押圧されて、このときにマットシール部材を所定の位置に保持するように形成されている。
【0020】
マットシール部材を所定の位置に保持することにより、コネクタの組付けを容易にすることができ、またマットシール部材のシール機能を確保することができる。さらに、これにより、マットシール部材の通路の開口と、
押圧板の通路の開口と、コネクタボディの通路の開口とが互いに整合するので、電気的な線路がこれらの通路を通じて密に案内され得ることを確保することができる。さらに、マットシール部材の組付け時に一方のラジアルシール部材だけがコネクタボディの収容範囲内に半径方向で圧入され、第2のラジアルシール部材は
押圧板の組付けによってはじめて収容範囲に半径方向で押圧されることにより、組付けによるラジアルシール部材の損傷を回避することができる。このことは、製作におけるコスト節約をもたらすこともできる。なぜならば、マットシール部材の不良率低減が記録され得るからである。
【0021】
本発明のさらに別の実施態様では、マットシール部材が、
押圧板に面した側と、
押圧板とは反対の側とに関して非対称的に形成されている。言い換えれば、マットシール部材は、軸方向に対して直角な平面に関して対称性を有しない。すなわち、マットシール部材は軸方向において非対称的に形成されているわけである。
【0022】
マットシール部材の非対称的な構成の思想は、以下に説明する認識に基づいているとみなすことができる。すなわち、電気的な線路の貫通案内のために用いられる、マットシール部材に設けられた通路は、マットシール部材において種々の位置に配置されていてよい。この場合、これらの通路はしばしば均一には分配されていない。すなわち、これらの通路はマットシール部材において特に非対称的に配置されていてよい。これまで、マットシール部材はその外側輪郭に関して一般に対称的に形成されていた。それゆえに、マットシール部材は製作時に読み取られなければならない。なぜならば、さもないと、マットシール部材が上下逆さまに組み付けられる危険があったからである。上下逆さまに組み付けられたマットシール部材は、不密なコネクタを招く恐れがあり、このことは差込み接続部の信頼性および寿命を低下させる恐れがある。
【0023】
マットシール部材の、本発明における非対称的な構成に基づき、コネクタの製作中にマットシール部材の正しい組込み位置が、たとえば手により、またはロボットによって検知され得ることを確保することができるので有利である。このことは、製作における一層のコスト低減をもたらすことができる。なぜならば、第1に、マットシール部材の読取りを不要にすることができ、第2に、不密となるコネクタの不良率を低減させることができるからである。
【0024】
本発明のさらに別の実施態様では、マットシール部材の、
押圧板に面した側が、周囲長に関して、
押圧板とは反対の側よりも大きく形成されている。このことは、コネクタボディの収容範囲内へのマットシール部材の挿入を容易にすることができる。なぜならば、マットシール部材を所定の位置で簡単に挿入することができるからである。さらに、これにより、コネクタのシールを付加的に確保することができる。その理由は、既にマットシール部材の挿入時にコネクタボディの縁付け部に押圧されるラジアルシール部材が、損傷を受けることなしに、マットシール部材の正しい組込み位置により収容範囲の縁付け部に確実に押圧され得るからである。こうして、さらに、製作時における不密となるコネクタの不良率を一層減少させ、ひいては製作にかかるコストを一層減少させることができる。
【0025】
本発明のさらに別の実施態様では、マットシール部材の、
押圧板とは反対の側が、シールボディを有する。このシールボディは、たとえば弾性的な材料から、マットシール部材の、
押圧板とは反対の側に面状に取り付けられているか、またはたとえば軸方向の回りを巡るように延びる環状のエレメントとして形成されていてよい。すなわち、シールボディは、たとえば面シール部材の形に形成されているか、またはマットシール部材の、
押圧板とは反対の側の部分範囲のみをカバーしていてよい。さらに、マットシール部材がシールボディと一体に形成されているか、またはシールボディが別個の構成部分として、たとえば電気的な線路を貫通案内するための相応する複数の通路を備えたマットの形に形成されていてよい。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様では、マットシール部材のシールボディは、
押圧板が軸方向に押しずらされると、軸方向で前記コネクタボディに押圧されて、このときに前記コネクタをシールするように形成されている。これにより、製作のために別のコストが必要となることなしに、コネクタを付加的に軸方向でシールすることができるので有利である。
【0027】
本発明のさらに別の実施態様では、マットシール部材のシールボディおよび/または環状のラジアルシール部材が、シリコーンから製造されている。シリコーンは、軟質でかつ酷使可能な材料としてこの目的のために好適になり得る。なぜならば、シリコーンは、亀裂導入されたり、損傷を受けたりすることなしに、高い圧縮負荷および引張応力にさらされ得るからである。しかし、別の弾性的なシール性材料、たとえばバイトンを、ラジアルシール部材およびシールボディとして使用することもできる。
【0028】
さらに、本発明は、コネクタと、該コネクタを収容するためのプラグインモジュールとを備えた差込みシステムに関する。この差込みシステムは、たとえば自動車内のワイヤハーネスと制御装置との間の電気的な接続を形成するために使用され得る。この場合、プラグインモジュールは制御装置に取り付けられていてよく、コネクタは車両のワイヤハーネスに接続されていてよい。