特許第6605199号(P6605199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605199
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】磁気アクチュエータが設けられた弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20191031BHJP
   F16K 31/08 20060101ALI20191031BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   F16K31/06 305J
   F16K31/08
   H01F7/16 R
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-243710(P2014-243710)
(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-108449(P2015-108449A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2017年12月1日
(31)【優先権主張番号】13195769.8
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511268708
【氏名又は名称】シデル エッセ.ピ.ア. コン ソシオ ウニコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ・デッリーコ
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ・コッキ
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−165376(JP,U)
【文献】 米国特許第06246131(US,B1)
【文献】 実開平02−094986(JP,U)
【文献】 特開昭61−013076(JP,A)
【文献】 米国特許第05158263(US,A)
【文献】 国際公開第2010/018850(WO,A1)
【文献】 特開昭57−086496(JP,A)
【文献】 国際公開第00/043702(WO,A1)
【文献】 実開昭58−172163(JP,U)
【文献】 実開昭62−117375(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06−31/11
B67C 3/28
3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)軸(12)に沿って延在するスリーブ(18)と、
b)強磁性材料から作られ、中央部(42)と前記スリーブ(18)の内面によって軸方向に案内される2つの反対側の端部(43、44)とを備える移動可能な芯(27)と、
c)前記スリーブ(18)の周囲の固定位置に配置され、強磁性材料から作られるハウジング(35)と、前記スリーブ(18)の外面に面するコイル(36)と、前記コイル(36)と位置合わせされ前記コイル(36)の軸方向の両側に配置され互いに向き合う同一極を有する2つの磁石(37、38)とを備える磁性固定子(26)と、
を備える磁気アクチュエータ(25)と、
弁座(48)を有する導管(9)と、
前記弁座(48)に軸方向に面し、前記端部の1つ(44)に対して同軸であり固定されて、前記弁座(48)が開く開位置と前記弁座(48)が閉じる閉位置との間で前記芯(27)とともに軸方向に摺動する栓部材(49)と、
を備える弁(1)であって、
前記弁(1)は、前記栓部材(49)と前記弁座(48)との間の流体の通路面積を変更するために、使用時に、前記コイル(36)に供給される電流を調節することによって、比例弁として動作するように構成され、
前記芯(27)が少なくとも1つの通路(45)を有して、流体を前記芯(27)内に流れさせること、及び前記端部(43、44)が前記中央部(42)の外径よりも大きな外径を有することを特徴とする、弁。
【請求項2】
使用時に、前記コイル(36)が励磁されていないとき、前記弁座(48)は部分的に開いており、前記芯(27)は、前記永久磁石(37、38)の位置に対して端部(43、44)の中央対称位置として定義される静止位置に配置され、
前記弁座(48)を開閉するためには、前記コイル(36)はそれぞれの反対方向の電流で励磁されるように構成されている、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
使用時に、前記コイル(36)が励磁されていないとき、前記弁座(48)は部分的に開いており、前記芯(27)は、前記永久磁石(37、38)の位置に対して端部(43、44)の中央対称位置として定義される静止位置に配置され、
前記弁座(48)を開閉するためには、前記コイル(36)はそれぞれの反対方向の電流で励磁されるように構成され、
前記弁(1)は、前記栓部材(49)と前記弁座(48)との間の流体の通路面積を変更するために、使用時に、前記コイル(36)に供給された前記電流を調節することによって、比例弁として動作するように構成されている、請求項1に記載の弁。
【請求項4】
前記ハウジング(35)は、座部を有し、
単一の前記コイル(36)は、強磁性材料の2つの環状部(40)が前記コイル(36)と前記磁石(37、38)との間で軸方向に設けられるように、前記ハウジング(35)の前記座部に配置される、請求項1に記載の弁。
【請求項5】
前記導管(9)が1つの入口(13)と1つの出口(14)を有して、前記少なくとも1つの通路(45)が、前記流体を前記芯(27)内に前記導管(9)に沿って流れさせることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の弁。
【請求項6】
前記芯(27)が、前記端部(43、44)の両方を貫通して作られ前記軸(12)を中心に配置される複数の前記通路(45)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の弁。
【請求項7】
前記栓部材(49)と反対側の軸方向の端において、前記芯(27)には前記導管(9)の入口に向かって軸方向に先細になる先端が設けられることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の弁。
【請求項8】
ボルト(30)によって互いに接続されている2つのプレート(28、29)をさらに備え、前記固定子(26)が前記プレート(28、29)の間で軸方向にクランプされることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の弁。
【請求項9】
前記固定子(26)に対して同軸であり固定される少なくとも1つのプレート(29)と、
前記スリーブ(18)及び外側突出部(22)を備える管体(20)であって、前記外側突出部(22)が前記固定子(26)および前記少なくとも1つのプレート(29)の間で軸方向にクランプされる、管体(20)と、
を備えることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項の記載の弁。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプレート(29)が前記弁座(48)を形成し、封止手段(33)が前記管体(20)と前記少なくとも1つのプレート(29)との間の結合部に設けられることを特徴とする、請求項に記載の弁。
【請求項11】
前記管体(20)が前記導管(9)の入口又は出口(13、14)を形成することを特徴とする、請求項又は10に記載の弁。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプレート(29)が前記導管(9)の入口又は出口(13、14)を形成し、封止手段(33)が前記管体(20)と前記少なくとも1つのプレート(29)との間の結合部に設けられることを特徴とする、請求項から11のいずれか一項に記載の弁。
【請求項13】
前記入口及び出口(13、14)が前記スリーブ(18)と同軸であることを特徴とする、請求項に記載の弁。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項の記載の少なくとも1つの弁(1)を備えることを特徴とする、容器(3)を液体で充填するための充填装置(2)。
【請求項15】
前記弁(1)が、容器(3)から及び/又は容器(3)へのガスの流れを制御するためにガスライン(5)に沿って配置される弁ブロック(8)の一部を形成することを特徴とする、請求項14に記載の充填装置(2)。
【請求項16】
前記弁(1)が、容器(3)に詰められる液体の流れを制御するために液供給ライン(6)に沿って配置されることを特徴とする、請求項14に記載の充填装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気アクチュエータが設けられた弁に関する。具体的には、本発明は液体、好適には炭酸清涼飲料で容器を充填するために流体の流れを制御するように設計された弁に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、充填機において、容器は、各々の支持装置の上に配置され容器の口が各々の充填装置の下に位置する状態で、液体で充填される。充填装置は、充填チャンバーと、各々の容器の口から及び容器の口に向かって移動するように垂直方向に沿って移動可能な充填ヘッドとを実質的に備える。充填装置は、充填チャンバー内において、各々の容器の口への液体の流れを遮断するための閉位置と、充填チャンバーをこのような口に連通させそれによって液体を容器に流し込むことができる開位置との間で移動可能なストッパをさらに備える。
【0003】
炭酸液の場合、具体的には炭酸清涼飲料の場合、充填される前に各々の容器は、いくつかの予備的なステップ、すなわち、空気が真空システムによって容器から吸い取られる第1の脱気ステップと、炭酸ガスが容器内に供給され残っている空気と混合させるフラッシングステップと、残留空気と炭酸ガスとの混合物が真空システムによって吸い取られる第2の脱気ステップと、炭酸ガスがガスラインから容器内に供給されて容器を所与の圧力に加圧する加圧ステップとを受ける。
【0004】
加圧後、ストッパは容器を充填するように開位置に移動される。具体的には、充填は高流量充填ステップと、その後、低流量充填ステップとを含むことがある。このような充填ステップの間、炭酸ガスは各容器から漸進的に流れ出しガスラインに戻る。具体的には、制御ユニットが、プロセス及び/又は液体の種類に応じて設定された設定値に関して、供給される液体の圧力とガスライン内の圧力との間の圧力差を調整する。
【0005】
容器を液体で充填した後、容器の口頚部の炭酸ガスは減圧されるので、液位の上の圧力が大気圧と等しくなる。
【0006】
容器へ及び容器からの炭酸ガスの流れは弁ブロックによって制御され、弁ブロックには、具体的には3つのオンオフ弁が設けられている。これらの弁のうちの第1の弁によって容器が加圧され、第2の弁によって充填の間炭酸ガスがガスラインに戻され、第3の弁によって充填プロセスの終了時に容器が減圧される。
【0007】
充填装置で通常使用される周知のオンオフ弁は機械式動力伝達装置を有し、動力伝達装置は、空気圧式アクチュエータによって定義されるアクチュエータからの運動を、弁座の開閉を行うように設計された膜によって定義される栓部材に伝達する。
【0008】
これらの種類の弁にはいくつか欠点がある。第1に、機械式動力伝達装置の部品は摩耗に曝されるので寿命サイクルが比較的小さい。第2に、これらの部品はガスの流れと接触し、内部無菌環境と外部非滅菌環境との間の完全な分離が存在しない。また、栓部材の応答時間はかなり悪いので、充填の間のガスの流れの制御は所望通り正確でない。
【0009】
このような欠点を解決するために、弁の無菌環境と接触する機械的接続部なしで、磁場の作用によって栓部材を遠隔で移動させることが好適である。この点に関して、米国特許第6246131号明細書は、請求項1のプリアンブルに相当し、磁気アクチュエータが設けられた弁を図10に示している。アクチュエータは、円筒状スリーブと、円筒状スリーブ内で軸方向に移動可能な鉄芯と、円筒状スリーブの周囲に配置されるコイルとを有する。第1の永久磁石及び第2の永久磁石は、同一極が互いに向き合う状態で、コイルの両側に対称的に取り付けられる。磁性ガイドリングは、磁力の効果を強化するためにコイルと永久磁石との間で対称的に設けられる。
【0010】
過渡的正又は負のインパルス電圧(およそ0.01秒)を与えることによりコイル内の磁化方向は変化し、鉄芯を軸方向に移動させるように磁力が生成される。
【0011】
この解決策では、ガスは導管内を流れ、導管は、磁気アクチュエータの一方の側に配置され、鉄芯の軸に対して横方向に延在する。弁座はサイドチャンバー内に配置され、栓部材によって閉じられ得、栓部材は、鉄芯の軸方向の端に固定されこのようなサイドチャンバー内に収納されている。この配置が理由で、可能な洗浄液が導管内に供給されて弁を洗浄するとき、容易に届かない箇所が弁に存在する。具体的には、これらの箇所は、鉄芯が摺動する空間によって形成される。したがって、この種類の弁は、いわゆるCIP及びSIPプロセス(定置洗浄、定置減菌)によって洗浄及び/又は滅菌することができず、充填機で使用することができない。
【0012】
また、鉄芯が円筒形なので、コイルが励磁されていないとき鉄芯の単一で一義的な静止位置が存在できず、軸方向の磁力がかなり小さくなり得ると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6246131号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、前述した欠点に対する安価で利便性のある解決策を提供するように設計された磁気アクチュエータを有する弁を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、請求項1に記載されている通りの、磁気アクチュエータを有する弁が提供される。
【0016】
以下に、本発明の好適且つ非限定的な一実施形態を、添付図面を参照しながら一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の教示による磁気アクチュエータが設けられた弁の好適な一実施形態を有する充填装置の略断面図である。
図2図1で示した弁の拡大斜視図である。
図3】開動作の状態で配置された図2の弁の断面図である。
図4】閉動作の状態で配置された図2の弁の断面図である。
図5図1から図4の弁の磁気アクチュエータを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、符号1は弁を示し、弁は、液体、具体的には炭酸清涼飲料で容器3を充填するための充填装置2の一部をなすように設計されている。
【0019】
弁1以外では、充填装置2の要素は当技術分野において周知であるので、詳細に説明されない。具体的には、充填装置2は、ガス、具体的には炭酸ガスをガスライン5から容器3内に供給することによって容器3を所与の圧力に加圧するように、容器3を充填する前に加圧ステップを実施するように構成されている。充填装置2は液供給ライン6を備え、液供給ラインは、加圧ステップ後に、容器3に液体を供給するように開かれる。具体的には、充填は高流量充填ステップと、その後、低流量充填ステップとを含んでもよい。充填の間、炭酸ガスは容器3から漸進的に流れ出しガスライン5に戻る。具体的には、制御ユニット(図示せず)が、プロセス及び/又は液体の種類に応じて設定された設定値に関して、供給される液体の圧力とガスライン5内の圧力との間の圧力差を調整する。
【0020】
容器3を充填した後、容器の口頚部の炭酸ガスは減圧されるので、液位の上の圧力が大気圧と等しくなる。
【0021】
容器3へ及び容器3からの炭酸ガスの流れは弁ブロック8によって制御され、弁ブロックは、図1に示す好適な実施形態では、3つのオンオフ弁1を備える。弁1のうちの第1の弁によって容器3が加圧され、弁1のうちの第2の弁によって炭酸ガスがガスライン5に戻され、第3の弁によって充填プロセスの終了時に容器3が減圧される。
【0022】
別の実施形態(図示せず)によれば、弁1は、オンオフ弁の代わりに調整又は比例弁として弁ブロック8において使用されて、具体的には、容器3に供給される液体の量を確認するように設計された流量計(図示せず)の測定値に応じてガスの流れを制御する。この場合、弁ブロック8は、3つの代わりに2つの弁1だけ備えることができ、及び/又は制御ユニットによって実施される制御は、前述したものと異なることができる。
【0023】
ガスの流れを制御するための弁ブロック8における使用と組み合わせて、又はその代替として、弁1は、液供給ライン6に沿って配置されて、容器3に詰められる液体の流れを直接制御することができる。
【0024】
図3及び図4に示すように、弁1は内部導管9を備え、導管は、直線軸12に沿って延在し入口13及び出口14を端とする流路11を備える。具体的には、入口13及び出口14は、外部に対する導管9の唯一の開口部である。好適には、入口13及び出口14は流路11と同軸である。
【0025】
流路11は、軸12に沿って一定であり好適には円形である断面を有する。流路11は、スリーブ18によって半径方向に画定される導管部分であり、スリーブは常磁性材料(例えば、鋼AISI 316 L)から作られ、比較的小さい半径方向の厚さ、具体的には0.6mm未満の厚さを有する。具体的には、スリーブ18は端部21を有する管体20の一部であり、端部は入口13を形成し、流路11より小さい内径を有する。管体20は、好適には端部21と反対側の軸方向の端に配置される外側フランジ又は外側突出部22をさらに備える。
【0026】
弁1は、磁気アクチュエータ25を備え、次いで磁気アクチュエータは、スリーブ18の周囲の固定位置に配置される磁性固定子26と、強磁性材料から作られ流路11内に収納されスリーブ18の内面によって軸方向に案内される移動可能な芯27とを備える。
【0027】
図2に示すように、好適には、固定子26は2つのプレート28、29の間で軸方向にクランプされ、プレートはボルト30によって互いに固定される。プレート28は軸方向の貫通孔31を有し、管体20に嵌め合わせられる。好適には、端部21は貫通孔31から軸方向に突き出る。
【0028】
図3及び図4を参照すると、プレート29は出口14を形成し、フランジ22によって軸方向に支えられているので、フランジは、プレート29と固定子26との間で軸方向にクランプされて、固定子26は管体20に対して固定されている。具体的には、環状ガスケット33は、外部非滅菌環境に対する導管9の密閉を保証するように管体20とプレート29との間の結合部に設けられる。
【0029】
図5で模式的に示すように、固定子26は、強磁性材料から作られるハウジング35とコイル36とを備え、コイルは、スリーブ18(図5には示さず)の周囲に配置され、芯27に対して半径方向の空隙ができるだけ最も小さくなるようにスリーブ18の外面に面する。固定子26は2つの磁石37、38、具体的には永久磁石をさらに備え、磁石は、軸12と平行方向にコイル36と位置合わせされ、コイル36の両側に、好適には対称位置に配置され、互いに向き合う同一極(N極又はS極)を有するので、それぞれの磁束は固定子26において軸方向から見て反対方向に向けられる。
【0030】
コイル36はハウジング35の座部に配置されるので、強磁性材料の2つの環状部40は、磁束を案内するためにコイル36と磁石37、38との間で軸方向に設けられる。好適には、強磁性材料の環状部41は、磁石37、38の外側端部側にも軸方向に設けられる。
【0031】
本発明の一態様によれば、芯27は、流路11の外径より小さい外径を有する中央部42と、2つの反対側の端部又は両極43、44とを備え、端部又は両極は、流路11の外径と実質的に等しい外径を有して、中央部42に対して半径方向に外側に突き出し、スリーブ18の内面によって軸方向に案内される。
【0032】
また図3及び図4に示すように、本発明によれば、芯27は1つ以上の通路45を有して、流体を導管9に沿って自由に流れさせる。限定的ではないが好適には、通路45は軸12に平行である。具体的には、通路45は、両方の端部43、44の中に作られ、軸12を中心に間隔をあけて設けられた貫通孔によって形成される。
【0033】
変形例によれば(図示せず)、通路45は溝によって形成され、溝は、半径方向に端部43、44を画定しスリーブ18と摺動自在に係合する側面に作られる。別の変形例によれば(図示せず)、通路45の少なくとも一部は、軸12に沿って、すなわち芯27の中心に延在する。
【0034】
図3及び図4に示した特定の実施形態によれば、端部43、44のそれぞれは、半径方向外側に先細になって、スリーブ18の内面と摩擦係合する面積を低減し、芯27の慣性を低減する。例えば、端部43、44のそれぞれは、錐台状表面46によって軸方向に境界が定められる。
【0035】
好適な一変形例によれば、端部43、44は、図5に模式的に示したように概ね円筒形を有する。
【0036】
弁1は、前記導管9に沿って流路11付近の位置に配置される弁座48と、弁座48と軸方向に向かい合う栓部材49とを備える。好適な実施形態では、弁座48はプレート29によって形成され、流路11を出口14と連通させる。栓部材49は、端部44に対して同軸であり固定されて、弁座48が開く開位置(図4)と弁座48が閉じる閉位置との間で、コイル36への給電に応答して芯27とともに軸方向に摺動する。具体的には、ねじ結合部50が設けられて、端部44内に作られた軸方向の孔に栓部材49を係合させる。
【0037】
好適な一変形例(図示せず)によれば、芯27は、軸12に直交する中央面に対して対称形状を有する。
【0038】
具体的には、ねじ結合部50のねじ軸孔は栓部材49内に作られ雄ねじと係合し、雄ねじは芯27の一部であり、端部44から軸方向に突き出す。芯27は、他方の軸方向の端に別の雄ねじを有し、別の雄ねじは端部43から軸方向に突き出し、別の雄ねじにはキャップが設けられる。キャップは比較的軟らかい材料で作られて、端部21との起こり得る衝撃を吸収し、及び/又はキャップは先細の先端を端として、入口13から入る流体を外側に偏向させる。
【0039】
具体的には、コイル36が励磁されていないとき、弁座48は部分的に開いており、芯27は、磁石37、38の位置に対して端部43、44の中央対称位置として定義される静止位置に配置される。
【0040】
弁座48を閉じる又は完全に開くためには、コイル36はそれぞれ反対方向の電流で励磁される。
【0041】
閉じている間、供給された電流は、端部44の空隙内すなわち栓部材49付近の磁束を増加させる。一方、磁石37、38の配置により、端部43では空隙内の磁束が減少する。したがって、芯27は弁座48に向かって軸方向に向けられた磁力を受ける。
【0042】
開位置に到達するためには、動作は前述したものと反対である(電流は、端部43の空隙内の磁束を増加させるように供給される)。
【0043】
場合により電流を消費せず芯27を閉位置又は開位置に保持するためには、2つの変形例(図示せず)が考えられる。追加の磁石が適切な位置に設けられる、又は開位置が、単にコイル36を非励磁にすることだけによって得られるように前述した静止位置に相当する。
【0044】
本発明による弁1の利点は前述の説明から明らかである。スリーブ18により、内部無菌環境を外部非滅菌環境から分離することができる。一方、磁気アクチュエータ25は、弁座48を開閉するとき、応答時間を小さくさせることができ、弁部品の摩耗を低減する。
【0045】
一方、洗浄液が入口13又は出口14から供給されて弁1の内部を洗浄するとき、導管9内の芯27の配置と、少なくとも1つの通路45の提供とにより、洗浄液は容易に導管9の全ての箇所、具体的には芯27の周囲に届く。一方、動作の間、ガス又は液体は入口13から芯27を通って出口14に容易に流れることができる。
【0046】
さらに、コイル36が励磁されていないとき、芯27及び栓部材49は同一の静止位置に戻る。これは、芯27内の突き出た端部43、44の存在により、静止位置が磁石37、38の間の中央位置として一義的に定義されるからである。
【0047】
一方、コイル36を励磁して芯27を閉位置に保持するとき、閉じ力は、米国特許第6246131号明細書に開示された従来技術による解決策のものよりも高い。
【0048】
また、管体20の特定の構造要素及び/又はプレート28、29の提供によって、弁部品を速く容易に作り及び/又は組み立てることができる。加えて、対称的な芯27により、栓部材49は、軸方向の端部43、44のどちらにも取り付けることができる。
【0049】
最後に、本明細書に記載し図示したように、添付特許請求の範囲に定義されている保護範囲から逸脱することなく、変更が弁1へなされてもよいことが明らかであろう。
【0050】
具体的には、入口13と出口14との位置は交換することができ及び/又は図面に例として示したものとは異なることができ、並びに/或いは、固定子26は、プレート28、29、ボルト30、及びフランジ22を使用せずにスリーブ18に対して固定することができる。
【0051】
調節システム(例として、シム)が設けられて、弁部品の組立ての間、流路11内の芯27の静止位置及び/又は弁座48に対する閉じ力を変更するために、スリーブ18に対する固定子26の軸方向の位置を調節することができる。
【0052】
最後に、既に説明したように、弁1は比例弁として使用でき、具体的には、栓部材49と弁座48との間の流体の通路面積を変更するために、コイル36に供給される電流を調節することによって使用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 弁
2 充填装置
3 容器
5 ガスライン
6 液供給ライン
8 弁ブロック
9 導管
11 流路
12 軸
13 入口
14 出口
18 スリーブ
20 管体
21、43、44 端部
22 フランジ/外側突出部
25 磁気アクチュエータ
26 固定子
27 芯
28、29 プレート
30 ボルト
31 貫通孔
33 環状ガスケット/封止手段
35 ハウジング
36 コイル
37、38 磁石
40、41 環状部
42 中央部
45 通路
46 錐台状表面
48 弁座
49 栓部材
50 ねじ結合部
図1
図2
図3
図4
図5